発明の名称 |
ディジタル無線電話装置 |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開平7−107559 |
公開日 |
平成7年(1995)4月21日 |
出願番号 |
特願平5−249622 |
出願日 |
平成5年(1993)10月6日 |
代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】森本 義弘
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発明者 |
下川 裕人 |
要約 |
目的 子機間直接通信での通信容量が低下することなく通信間に発生する干渉が軽減できるディジタル無線電話装置を提供することを目的とする。
構成 各子機の制御部4は、アンテナ部1で受信した信号に基づくディジタル無線受信部2からの受信データと受信状態検出部3からの受信状態情報を解析するとともに、ディジタル無線受信部2を制御する。子機間直接通信の際には、制御部4は、ランダムに決定した周波数から干渉波測定を実施する。この干渉波測定において、制御部4は、第1の処理として、周波数ごとの全スロットの干渉波測定で得られた干渉波レベルが全スロットで水準値以下である周波数での発呼を許可する。第1の処理において全周波数で発呼が不許可の場合、第2の処理として、周波数ごとの全スロットの干渉波測定により得られた干渉波レベルが全スロットのうちの1つでも水準値以下である周波数のスロットでの発呼を許可する。第2の処理において全周波数で発呼が不許可の場合、通信における発呼を不許可にする。 |
特許請求の範囲
【請求項1】 子機どうしで直接に通信を行うディジタル無線電話装置において、前記子機に、無線信号の受信を行なうディジタル無線受信部と、無線信号を発信および着信するアンテナ部と、受信状態を検出する受信状態検出部と、前記ディジタル無線受信部からの受信データの解析と前記受信状態検出部からの受信状態情報の解析を行うとともに、前記ディジタル無線受信部の制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記通信に使用するスロットを決定するための干渉波測定において最初に測定する周波数をランダムに決定することにより、前記通信に使用するスロットの周波数が偏らないようにする構成としたディジタル無線電話装置。 【請求項2】 制御部は、発呼時の干渉波測定において、第1の処理として、周波数ごとの全スロットの干渉波測定により得られた干渉波レベルが全スロットで水準値以下である前記周波数での発呼を許可し、第1の処理において、全ての周波数で発呼が許可されなかった場合、第2の処理として、周波数ごとの全スロットの干渉波測定により得られた干渉波レベルが全スロットのうちの少なくとも1つのスロットでも水準値以下である前記周波数の前記スロットでの発呼を許可し、第2の処理において、全ての周波数で発呼が許可されなかった場合、前記通信における発呼を不許可と判定する構成とした請求項1に記載のディジタル無線電話装置。
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発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、子機間で直接に通信を行うディジタル無線電話装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、ディジタル無線電話装置(PHP)は子機どうし親機を介することなく直接通信することができるようになってきた。 【0003】子機どうし直接通信を行う場合、発呼側子機は相手着呼側子機に対して発呼動作を行う前に、自通信で使用する周波数・受信スロットをモニタし、もしその周波数・スロットが他通信で既に使用している周波数・スロットであれば、その周波数・スロットの自通信での使用を避けて他の周波数・スロットを決定しなければならない。また他通信がその周波数・スロットを使用しているかどうかは、その周波数・受信スロットの受信レベル(干渉波レベル)を測定し、その測定結果があらかじめ設定している水準値以上であればその周波数・スロットでは既に他通信が使用しているものと判断される。 【0004】以下、図3を参照しながら従来のディジタル無線電話装置(PHP)の子機間で行う直接通信の際の発呼側子機の通信周波数・スロットの決定処理について説明を行う。 【0005】まず、発呼側子機は子機間直接通信に使用可能な10波の周波数の内、第1周波数を設定し(ステップ#1)、この第1周波数内の4つの受信スロット全ての干渉波レベルを測定する(ステップ#2)。測定の結果、あらかじめ設定している水準値以下の受信スロットが1つでもあれば(ステップ#3)、その周波数・スロットで自通信可能と判定し発呼可として発呼処理を行い(ステップ#6)、水準値以下の受信スロットが全くなければ(ステップ#3)、その周波数では自通信不可能と判定し、次に干渉波レベルを測定する周波数を決定する(ステップ#4)。前述の判定処理により水準値以下の受信スロットがなければステップ#1〜ステップ#4を繰り返し、10波全ての周波数を測定し終えても前記条件を満たす周波数・スロットがなければ(ステップ#5)、全周波数において自通信不可能と判定し、発呼不可とする(ステップ#7)。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来のディジタル無線電話装置(PHP)における子機では、子機間の直接通信で使用可能な10波の周波数の内、第1周波数の付近に通信が偏ってしまい、かつ図4に示すように、例えば第1周波数の第2スロット、第3周波数の第1スロットおよび第3スロットを既に他通信が使用中であると仮定すると、たとえ他の使用されていない周波数があったとしても、第1周波数の第1スロット,第3スロット,第4スロットまたは第3周波数の第2スロット,第4スロットが選択されて発呼されてしまう可能性がある。もし、上述のような周波数・スロットが選択決定され、同一周波数内に複数の通信が発生した場合、それぞれの通信間における子機どうしは同期がとれていないため、通信している途中にそれぞれの通信どうしが徐々に干渉を起こしてしまう可能性があるという問題点を有している。 【0007】本発明は上記課題を解決し、子機間の直接通信で使用可能な10波の周波数に通信が均等に分散されるようにし、また、この10波の周波数を最大に有効利用して、自己の通信中に他の通信との干渉が発生してしまう確率を従来より軽減することができ、それでいて、子機間の直接通信における最大通信容量が従来に比べて低下しないようにできるディジタル無線電話装置(PHP)を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明のディジタル無線電話装置は、子機どうしで直接に通信を行うディジタル無線電話装置において、前記子機に、無線信号の受信を行なうディジタル無線受信部と、無線信号を発信および着信するアンテナ部と、受信状態を検出する受信状態検出部と、前記ディジタル無線受信部からの受信データの解析と前記受信状態検出部からの受信状態情報の解析を行うとともに、前記ディジタル無線受信部の制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記通信に使用するスロットを決定するための干渉波測定において最初に測定する周波数をランダムに決定することにより、前記通信に使用するスロットの周波数が偏らないようにする構成とする。 【0009】また、前記制御部は、発呼時の干渉波測定において、第1の処理として、周波数ごとの全スロットの干渉波測定により得られた干渉波レベルが全スロットで水準値以下である前記周波数での発呼を許可し、第1の処理において、全ての周波数で発呼が許可されなかった場合、第2の処理として、周波数ごとの全スロットの干渉波測定により得られた干渉波レベルが全スロットのうちの少なくとも1つのスロットでも水準値以下である前記周波数の前記スロットでの発呼を許可し、第2の処理において、全ての周波数で発呼が許可されなかった場合、前記通信における発呼を不許可にする構成とする。 【0010】 【作用】上記の構成によると、子機どうしで直接に通信を行う際には、制御部は、ランダムに決定した周波数から干渉波測定を実施する。 【0011】この干渉波測定においては、制御部は、第1の処理として、周波数ごとの全スロットの干渉波測定により得られた干渉波レベルが全スロットで水準値以下である前記周波数での発呼を許可し、第1の処理において、全ての周波数で発呼が許可されなかった場合、第2の処理として、周波数ごとの全スロットの干渉波測定により得られた干渉波レベルが全スロットのうちの少なくとも1つのスロットでも水準値以下である前記周波数の前記スロットでの発呼を許可し、第2の処理において、全ての周波数で発呼が許可されなかった場合、前記通信における発呼を不許可にして、通信に使用するスロットを決定する。 【0012】以上により、通信に使用するスロットの周波数が偏らないようにし、使用可能な全ての周波数を有効に利用する。 【0013】 【実施例】以下、本発明の一実施例について、図1と図2に基づいて説明する。本実施例のディジタル無線電話装置(PHP)の構成要素を図1に示す。1はアンテナ部でありディジタル無線電話装置(PHP)の相手子機との無線信号の発信・着信を行う機能を持つ。2はディジタル無線受信部でありディジタル無線信号の受信を行なう機能を持つ。3は受信状態検出部であり現在の無線信号の電界レベルまたは干渉波レベルなどの無線状態情報を制御部に伝える機能を持つ。4は制御部であり受信データの解析と受信状態の解析を行うとともにディジタル無線受信部の周波数設定や変更、受信スロットタイミングの変更などの制御を行う機能を持つ。 【0014】以上の各構成要素よりなるディジタル無線電話装置(PHP)の子機について、以下各構成要素の関係と動作について説明する。まず、子機どうし直接通信を行う場合、発呼側子機は相手の着呼側子機に対して発呼動作を行う前に、自通信で使用する周波数・スロットをモニタし、もしその周波数・スロットが他通信で既に使用している周波数・スロットであれば、その周波数・スロットの自通信での使用を避けて他の周波数・スロットを決定しなければならない。他通信がその周波数・スロットを使用しているかどうかの判定は、その周波数・スロットの受信レベル(ここでは、他通信から受ける干渉波の強度である干渉波レベルとする)を測定し、その結果、測定された干渉波レベルがあらかじめ設定している水準値以上であれば、その周波数・スロットでは既に他通信が使用しているものと判断される。 【0015】以下、図2を参照しながら、本実施例のディジタル無線電話装置(PHP)において、子機間での直接通信を行う場合に、発呼側子機の発呼処理に先立って実施される通信に使用する周波数・スロットの決定処理について説明を行う。 【0016】第1の処理として、まず、発呼側子機は初回に干渉波レベルを測定する周波数をランダムに決定する(ステップ#11)。次にその周波数を設定し(ステップ#12)、その周波数内の4つの受信スロットの全ての干渉波レベルを測定する(ステップ#13)。測定の結果、全ての受信スロットの干渉波レベルがあらかじめ設定している水準値以下であれば、その周波数で既に使用している通信が1つも存在せずこの周波数の全スロットの使用が可能(以下OKと略す)と判定し(ステップ#14)、その周波数の第1スロットでの発呼を許可し発呼処理を行う(ステップ#22)。しかし、この周波数の全スロットのうちの1つでも干渉波レベルがあらかじめ設定している水準値を越える受信スロットがあれば、その周波数で既に使用している通信が少なくとも1つ存在しこの周波数の全スロットの使用が不可と判定し(ステップ#14)、まだ1つの通信も使用していないより良い周波数を検索するために、次に干渉波レベルを測定する周波数を決定する(ステップ#15)。上記の処理の実施中に、発呼が許可されるスロットが決定されるまでステップ#12〜ステップ#15を繰り返し、上記の第1の処理により干渉波レベルを測定した周波数内に、干渉波レベルが水準値を越える受信スロットが1つでもあり、さらに全周波数に対して測定し終えても前記条件を満たす周波数を見つけることができなければ(ステップ#16)、子機間の直接通信により使用可能な周波数帯の全ての周波数において、少なくとも各周波数で1つの通信によりそのスロットが既に使用されているものと判定する。つまり自子機が位置する周辺エリア内に他の通信が非常に多い状況にあると判定し、第2の処理として、再び初回に干渉波レベルを測定した周波数に戻り、他通信が多い状況における判定方法により自通信で使用できる周波数・スロットを検索する。 【0017】第2の処理として、まず、初回に干渉波レベルを測定した周波数を設定し(ステップ#17)、その周波数内の4つの受信スロット全ての干渉波レベルを測定する(ステップ#18)。この結果、測定された干渉波レベルがあらかじめ設定している水準値以下の受信スロットが1つでもあれば、その周波数内にまだ自通信が入り込める余地がありこの周波数で少なくとも1つのスロットの使用が可能と判定し(ステップ#19)、その周波数・スロットでの発呼を許可し発呼処理を行う(ステップ#22)。しかし、干渉波レベルがあらかじめ設定している水準値以下の受信スロットが1つもなければ、その周波数には自通信が入り込める余地が全くなくこの周波数の全スロットの使用が不可(以下NGと略す)と判定し(ステップ#19)、次に干渉波レベルを測定する周波数を決定する(ステップ#20)。上記の処理の実施中に、発呼が許可されるスロットが決定されるまでステップ#17〜ステップ#20を繰り返し、上記の第2の処理により干渉波レベルを測定した周波数内に、干渉波レベルが水準値以下の受信スロットが全くなく、さらに全周波数に対して測定し終えても前記条件を満たす周波数を見つけることができなければ(ステップ#21)、全ての周波数・スロットにおいて自通信の入り込める余地が全くないと判定し発呼不可とする(ステップ#23)。 【0018】以上の動作により、子機間の通信に使用するスロットの周波数を均等に分散させることができ、使用可能な全ての周波数を有効に利用することができる。そのため、自己の通信中に他の通信との干渉が発生してしまう確率を従来より軽減することができ、それでいて、子機間の直接通信における最大通信容量が従来に比べて低下しないようにできる。 【0019】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、子機どうしで直接に通信を行う際には、制御部は、ランダムに決定した周波数から干渉波測定を実施する。また、この干渉波測定においては、制御部は、第1の処理として、周波数ごとの全スロットの干渉波測定により得られた干渉波レベルが全スロットで水準値以下である前記周波数での発呼を許可し、第1の処理において、全ての周波数で発呼が許可されなかった場合、第2の処理として、周波数ごとの全スロットの干渉波測定により得られた干渉波レベルが全スロットのうちの少なくとも1つのスロットでも水準値以下である前記周波数の前記スロットでの発呼を許可し、第2の処理において、全ての周波数で発呼が許可されなかった場合、前記通信における発呼を不許可にして、通信に使用するスロットを決定する。以上により、使用するスロットの周波数を均等に分散させることができ、使用可能な全ての周波数を有効に利用することができる。そのため、自己の通信中に他の通信との干渉が発生してしまう確率を従来より軽減することができ、それでいて、子機間の直接通信における最大通信容量が従来に比べて低下しないようにできる。
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