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発明の名称 磁気記録媒体及び記録方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−73445
公開日 平成7年(1995)3月17日
出願番号 特願平5−218326
出願日 平成5年(1993)9月2日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小鍜治 明 (外2名)
発明者 廣幸 正樹 / 伊藤 博文
要約 目的
斜め配向の配向性を向上させ、高記録密度特性に優れた媒体を得る。また、その様な斜め配向媒体の特性を十分発揮させる事のできるヘッドとの組合せを提供する。

構成
膜面内長手方向から膜面垂直方向へ45度と135度で測定した磁気特性の角形比の比を0.8以下にし、かつ媒体の幅方向の角形比を0.4以下にする。また、2層構造の媒体で上層の膜厚が1μm以下であって、かつ前記の特徴をもたせる。さらにこれらの媒体に対しては媒体に用いた磁性粉の保磁力の3倍以上10倍以下の飽和磁束密度のヘッドで記録を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】非磁性支持体上に構成された磁性層が膜面内長手方向から膜面垂直方向に向かって斜めに配向している磁気記録媒体であって、膜面内長手方向から膜面垂直方向に45度と135度の方向で磁化曲線を測定したとき得られる角形比をそれぞれSq45、Sq135とした時、Sq135とSq45の小さい方の値と大きい方の値の比が0.8以下であり、かつ媒体の幅方向の角形比が0.4以下である事を特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】非磁性支持体上に少なくとも1層以上の磁性層を含む、2層以上の構造であり、最上層の磁性層の厚みが1μm以下であり、膜面内長手方向から膜面垂直方向に向かって斜めに配向している磁気記録媒体であって、最上層の磁性層は、膜面内長手方向から膜面垂直方向に測定した45度と135度の方向で磁化曲線を測定したとき得られる角形比をそれぞれSq45、Sq135とした時、Sq135とSq45の小さい方の値と大きい方の値の比が0.8以下であり、かつ最上層の磁性層は媒体の幅方向の角形比が0.4以下である事を特徴とする磁気記録媒体。
【請求項3】非磁性支持体上に構成された磁性層が膜面内長手方向から膜面垂直方向に向かって斜めに配向している磁気記録媒体において、膜面内長手方向から膜面垂直方向に測定した45度と135度の方向で磁化曲線を測定したとき得られる角形比をそれぞれSq45、Sq135とした時、Sq135とSq45の小さい方の値と大きい方の値の比が0.8以下であり、かつ媒体幅方向の角形比が0.4以下である事を特徴とする磁気記録媒体と、媒体の保磁力の3倍以上、10倍以下の飽和磁化を持つ磁気ヘッドを用いて記録を行う事を特徴とする記録方法。
【請求項4】非磁性支持体上に少なくとも1層以上の磁性層を含む、2層以上の構造であり、最上層の磁性層の厚みが1μm以下である磁気記録媒体において、最上層の磁性層が膜面内長手方向から膜面垂直方向に向かって斜めに配向しており、最上層の磁性層は、膜面内長手方向から膜面垂直方向に測定した45度と135度の方向で磁化曲線を測定したとき得られる角形比をそれぞれSq45、Sq135とした時、Sq135とSq45の小さい方の値と大きい方の値の比が0.8以下であり、かつ最上層の磁性層は媒体幅方向の角形比が0.4以下である事を特徴とする磁気記録媒体と、媒体の保磁力の3倍以上、10倍以下の飽和磁化を持つ磁気ヘッドを用いて記録を行う事を特徴とする記録方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオーディオ、ビデオやデータストレージ等の記録に用いられる長尺状の塗布型磁気記録媒体に関するものであり、またその磁気記録媒体と特定の磁気ヘッドの組合せによる記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、オーディオ、ビデオを含む情報機器の高速化にともない、磁気記録への高密度記録化が益々求められている。高密度化には記録媒体の高性能化が不可欠であり、さまざまな方法が試みられている。特に近年、塗布型磁気記録媒体で試みられている高密度化のための方法として、第一に磁性層中の磁性粉を斜めに配向させる事が挙げられる。この方法の効果は次の様に説明される。磁性粉を媒体の長手方向から膜面垂直方向へ向く斜めの方向に配向させた媒体に対して、磁気ヘッドを膜面垂直方向から磁性粉が傾斜している方向に走行させ、媒体中に信号を記録して行く際、ヘッドのリーディングエッジ側のヘッド発生磁界は、磁性粒子の容易軸方向(針状磁性粉の場合はその長軸方向)から印加され、粒子を磁化する。次にヘッドギャップ通過後、ヘッドのトレーリングエッジ側の発生磁界はリーディングエッジの磁界で磁化された磁性粒子の困難軸方向(針状磁性粉の場合はその短軸方向)から印加されるので、すでに磁化されている状態を変化させることはない。従って、通過していったヘッドの記録磁界が、すでに記録されている信号を減少させる、いわゆる記録減磁に対しては、斜め配向はその作用を受けにくく、記録された信号は劣化しにくい。さらに記録後、通常の長手配向媒体では記録された隣接する信号の同極どうしが向かい合うため、反発しあって信号が減少する、いわゆる自己減磁作用に対しても、磁化が斜めに配されているため同極どうしが向かい合わず、信号劣化が起こりにくい。この時、斜めの角度は膜面内長手方向から見て、20から70度、望ましくは30度前後がよいとされている(たとえば特開平3ー35420号公報)。
【0003】塗布型磁気記録媒体の高密度化のための方法として第二に挙げられるのは、記録を司る磁性層の薄層化である。この技術は磁性層を2層構造とし、上層と下層の保磁力を変えることで、周波数の異なる映像信号(Y信号)と色信号(C信号)が重畳されているビデオ信号を効果的に記録しようとする多層構造化技術に端を発する。すなわち、2層構造を実現するための塗布技術の向上により、従来塗布型媒体では不可能であったサブミクロンの磁性層の塗布が可能になった。そして、下層として非磁性層を塗布することで、蒸着媒体に匹敵する磁性層の薄層化が可能になった。この様に薄い磁性層では、減磁作用の一つである厚み損失を低減でき、記録密度特性の向上に効果がある。特に飽和記録を基本とするデジタル記録では、磁性層の薄層化は高密度化を達成するためには不可欠の技術といえる(例えば特開平5−73883号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来の技術は、原理的には塗布型媒体の高密度化を達成しうる方法であるが、塗布型媒体に適応し、またその効果を十分発揮させるにはいくつかの問題点がある。
【0005】第一に磁性粉の斜め配向は、斜め方向への配向性が十分でないと前記の様な効果は発揮されないという点である。斜め配向媒体としては、蒸着テープが知られているが、真空中の蒸着現象は蒸着原子が比較的直線運動するため、蒸着源とベースフィルムの角度を調節することで、全ての粒子が同じ方向に配向されるという理想に近い斜め配向状態が実現できる。しかし、塗布型媒体の場合は、磁性粒子がランダムな状態にある磁性塗料を一度塗布し、それが乾燥する前に配向磁界によって磁性粒子を斜めに配列させるため、その配向性が十分でない場合が多い。斜め配向の有効な点は、リーディング側のエッジで決められた記録磁化は、トレーリングエッジ通過時にヘッド発生磁界に対して困難軸が向いているために記録減磁されないことであるのだから、斜め方向の配向性が十分でないと、トレーリングエッジ通過時に記録減が生じ、高密度化への効果が発揮されない。従ってその配向性を高密度化の効果が発揮される程、良好にしなければならない。
【0006】第二に磁性層の薄層化技術は厚み損失を軽減することはできるが、該記の記録損失および、同極どうしが向かい合うことによる自己減磁作用を回避することはできないという問題点である。
【0007】第三に斜め配向媒体に飽和記録(デジタル記録)を行う場合、斜め配向の効果が低減されるという問題がある。すなはち、リーディングエッジ通過後のトレーリングエッジの発生する磁界が磁性粉の異方性磁界に対して大きすぎると、それが磁性粉の困難軸方向から印加された場合、磁性粉の磁化を消磁してしまう。従って、記録減磁が生じ、斜め配向の効果が減少される。
【0008】
【課題を解決するための手段】該記の問題点を解決するために、第一には斜めの配向性を高める事が必要である。この様な問題に鑑み営々努力した結果、その配向性を次のように規定し、高めればよい事を見いだした。すはなち、非磁性支持体上に構成された磁性層が膜面内長手方向から膜面垂直方向に向かって斜めに配向している磁気記録媒体の、膜面内長手方向から膜面垂直方向に45度と135度の方向で磁化曲線を測定したとき得られる角形比をそれぞれSq45、Sq135とした時、Sq135とSq45の小さい方の値と大きい方の値の比が0.8以下、望ましくは0.75以下であり、かつ媒体の幅方向の角形比が0.4以下、望ましくは0.35以下であるようにする。
【0009】さらに第二には、薄層媒体の記録磁性層に斜め配向を行い、厚み損失、記録損失、自己減磁作用を同時に軽減する。すなはち、非磁性支持体上に少なくとも1層以上の磁性層を含む、2層以上の構造であり、最上層の磁性層の厚みが1μm以下であり、膜面内長手方向から膜面垂直方向に向かって斜めに配向している磁気記録媒体であって、最上層の磁性層は、膜面内長手方向から膜面垂直方向に測定した45度と135度の方向で磁化曲線を測定したとき得られる角形比をそれぞれSq45、Sq135とした時、Sq135とSq45の小さい方の値と大きい方の値の比が0.8以下、望ましくは0.75以下であり、かつ最上層の磁性層は媒体の幅方向の角形比が0.4以下、望ましくは0.35以下であるようにする。
【0010】そして第三には、第一または第二に示した媒体に対して、媒体の保磁力の3倍以上、10倍以下の飽和磁化を持つヘッドを用いて記録を行う。
【0011】本発明でいうところの媒体の幅方向とは、面内長手方向から見て、媒体面内の直角方向をさす。
【0012】本発明で規定する磁気特性の角形比は一般に知られている通り、VSM(振動型試料磁気測定装置)等で、測定された残留磁化と最大磁化の比をいう。この角形比は印加する磁界強度により、最大磁化の大きさが若干異なり、角形比も異なるわけであるが、少なくとも媒体作成に用いられた磁性粉の保磁力の4倍以上の磁界を印加して測定するのが好ましい。
【0013】本発明に用いる事のできる磁性粉、非磁性支持体、バインダー、また、カーボン、研磨剤等の添加剤は、一般に公知とされているものを使うことができ、例えば、特開平5−73883号公報に開示してある。
【0014】
【作用】磁性粉を膜面内方向から膜面垂直方向に斜めに配向すると、配向している方向にVSM(試料振動型磁力計)等で磁気特性を測定すれば、磁性粉の磁化容易軸方向に磁気特性を測定する事になるので、角形比は大きくなる。また、そこから90度試料を回転し同様に磁気特性を測定すれば、それは磁性粉の困難軸方向の磁気特性を測定する事になるので、角形比は小さくなる。従って、その角形比の小さい方の値と大きい方の値の比が、小さければ小さいほど全ての磁性粉が同じ方向に配向されている事になる。45度と135度はちょうど90度、角度が異なり、しかも膜面内からの角度が同じ45度であるので、磁気特性を測定する時の反磁界の影響をそれぞれ同じと見なし、測定値を補正する事なく、比をとることができる。また、膜面内から斜めに傾いた方向に配向していても、媒体の長手方向に対して配向方向がばらついていれば、やはり高密度化の効果は発揮されない。従って、媒体幅方向の磁気特性を測定し、その角形比が小さければ長手方向にも十分向いている事を確認できる。本発明では45度と135度の角形比の比を0.8以下(望ましくは0.75以下)幅方向の角形比を0.4以下(望ましくは0.35以下)にすることによって、斜め配向媒体として高密度記録に効果がある事を見いだした。また、本発明による角度の設定の方法では、正確には膜面内長手方向から45度方向に配向している媒体でないと、その磁化容易軸と困難軸の測定にはならないが、配向方向と測定方向が若干ずれていても、本発明の主眼とする斜め方向の配向性が十分高ければ、そのSq45とSq135の比は十分小さくなる。また、配向方向が45度から著しく異なっている場合は、すでに斜め配向媒体とは呼べない。すなわち、このように角度を変えて磁気特性を測定し、その角形比の比を規定するのは、配向角度を規定するのではなく、その配向性(磁性粉が一方向へ、揃っている程度。配向軸の分散とも言える)を規定することであって従来の考え方とは大きく異なる。その様な意味で、目安とする測定角度は60度と120度や30度と150度等でも可能である。しかし、30度と120度または60度と150度などのように、膜面からの鋭角でみた仰角が異なる角度の組合せでは、反磁界の影響の程度が違い、補正した上でないと直接の比をとる意味はなく、煩雑な補正作業が必要となる。膜面から見た仰角が同じである事、また、間の角度が90度であること等より、45度と135度で測定するのが最も望ましい。
【0015】また、本発明ではこのように規定した特性を有する斜め配向媒体を、1μm以下の膜厚で上層の磁性層とした2層媒体においては、膜厚損失、記録損失、および自己減磁作用の低減を図る事ができる事を見いだした。
【0016】さらに、本発明では、これらの媒体に記録するためのヘッドは媒体の保磁力の3倍以上の飽和磁化を有するヘッドを用いなければ、十分な飽和記録が可能とならないし、また、ヘッドの飽和磁化が媒体の保磁力の10倍以上になると、磁性粉の困難軸方向からヘッド磁界が印加された時、磁性粉の磁化は消磁されてしまい斜め配向媒体の高密度化の効果が有効に発揮されない事を見いだした。
【0017】
【実施例】次に本発明を実施例を用いて具体的に説明する。
【0018】(実施例1)実験に用いた磁性塗料の組成を次に示す。
磁性粉 100重量部樹脂系バインダー 20重量部研磨剤 5重量部脂肪族系潤滑剤 4重量部硬化剤 6重量部メチルエチルケトン 100重量部トルエン 100重量部シクロヘキサノン 100重量部但し、各材料の詳細は次の通りである。
強磁性粉末:Fe合金粉末組成;Fe 93重量%、Ni 3重量%、Co 3重量%、その他 アルミナ、Zn、Cr等保磁力 1650Oe、 飽和磁化 130emu/g長軸長 0.15μm 針状比 10研磨剤:αアルミナまた樹脂系バインダ及び脂肪族系潤滑剤には以下の材料を混合して用いた。
樹脂系バインダー:塩化ビニル系 10重量部ポリウレタン系 10重量部脂肪族系潤滑剤:ミリスチン酸 2重量部ステアリン酸 1重量部ステアリン酸nブチル 1重量部硬化剤:ポリイソシアネート(コロネートL)
これらの材料のうち、磁性粉および樹脂系バインダー全量とメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンの混合溶液(混合比率は1:1:1)30重量部を連続ニーダーで混練した。
【0019】その後、この混練物と研磨剤、潤滑剤、及び残りの混合溶剤をサンドミル中で5時間分散し、最後にディスパーで撹拌しながら硬化剤を混合させ、最終塗料を得た。
【0020】この塗料を厚さ10μmのPET上に乾燥時の膜厚が3μmになるように塗布した。この時、塗膜が乾燥する前に、まず十分長手方向に配向させ、その後膜厚方向に対して斜めに配向させた。配向装置を含む、塗布装置の概略図を図1に示す。2、3、4の長手配向磁界発生装置はソレノイドで、中心での最大発生磁界は6200ガウスである。3つのソレノイドは、非磁性支持体であるPETの進入方向から見て、N極S極になるように電流を流しており、従って発生磁束は、それぞれ隣接するソレノイド間で連続する。5の斜め配向磁界発生装置を図2に示す。これは長手配向用のソレノイド21と、垂直配向用の電磁石22、23を組み合わせた構造をもっており、垂直方向の発生磁界の効率を高めるために、上下の電磁石にはヨーク25、26を取り付けてある。この斜め配向磁界発生装置中を通過する非磁性支持体1は長手方向の配向磁界と垂直方向の配向磁界のベクトル和による斜め配向磁界を受ける。本実施例では、長手方向には3000ガウス、垂直方向には1730ガウスの磁界を発生させた。これによって約30度の方向に約3460ガウスの実効磁界を発生させていることになる。
【0021】(比較例1)実施例1と同様の磁性塗料を用い、長手配向を行った後、斜め配向を行った。但し、斜め方向の実効磁界を実施例1の半分にした。すなはち、図1の5に示す、斜め配向磁界発生装置の長手方向に1500ガウス、垂直方向に865ガウスの磁界を発生させた。より具体的に述べると、実効磁界は実施例1の半分である1730ガウス、配向角度は実施例1と同じ約30度である。
【0022】(比較例2)実施例1と同様の磁性塗料を用い、長手配向は行わず、斜め配向のみをを行った。すなわち図1に示す2、3、4のソレノイドは停止させ、5の斜め配向磁界発生装置のみを用いた。斜め配向磁界強度は実施例1と同じ、長手方向に3000ガウス、垂直方向に1730ガウスとした。
【0023】(比較例3)実施例1と同様の磁性塗料を用い、長手配向のみを行った。すなはち、図1に示す2、3、4のソレノイドと5の斜め配向磁界発生装置の長手配向用ソレノイドを3000ガウスの磁界強度で稼動させた。
【0024】なお実施例1、比較例1、2、3とも同じ塗工速度でサンプルを作成した。各サンプルはカレンダー処理及び60度C、24時間の条件で硬化処理を施した後、非磁性支持体の磁性層と反対の面に、カーボンブラックを主体とするバックコート層を0.7μmの厚さで設け、1/2インチ幅にスリットした。
【0025】実施例1、比較例1、2、3の磁気特性を(表1)に示す。
【0026】
【表1】

【0027】ここで、膜面内から膜面垂直方向に45度と135度の方向で磁化曲線を測定したとき得られる角形比をそれぞれSq45、Sq135とした時、Sq135とSq45の小さい方の値と大きい方の値の比をRSQと定義した。また、SQtdはサンプルの幅方向の角形比を示している。SQtdが小さいほど磁性粉は長手方向に配向しており、RSQが小さいほど斜めによく配向している事を示している。
【0028】従って、(表1)の結果より、各サンプルに関して次の様な特徴を有している事がわかる。すなわち、実施例1は最もよく斜めに配向しており、かつ長手方向にも十分よく配向している。比較例1は長手にはよく配向しているが、斜め方向への配向性は高くない。比較例2は、比較例1より斜めに配向しているが、実施例1ほどではない。しかも長手方向の配向性は最も悪い。比較例3は長手配向サンプルであるので、斜め方向にはほとんど配向しておらず、長手方向のみに配向している。これらのサンプルの記録密度特性の相対比較を図3に示す。0dBのレファレンスレベルを比較例3(30)の長手配向サンプルとした。この記録密度特性は直径70mmのドラムにサンプルを巻き付け、回転させながらドラムの外側からヘッドを押し当てる、いわゆるドラムテスターを用いて測定した。相対速度は3.8m/sec、ヘッドはギャップ近傍にセンダストを配したMIGヘッドを用い正弦波信号の記録再生を行った。再生信号はスペクトルアナライザを用い、記録した信号成分の強度を読み取った。各記録密度での出力は、最適記録電流で記録した時の値である。図3より比較例2(32)はRSQの値が0.8以下であるが、最も出力が低いのがわかる。これはたとえ斜めに配向していても、長手方向に磁性粉がそろっていなければ高密度特性には効果的でない事を示している。また、比較例1(31)に示す通り、RSQが0.85程度では比較例3(30)の長手配向と同等の特性であり、斜めに配向しているとはいえ、全く効果的でない。実施例1(33)に示す本発明の様な配向性を示す媒体が、斜め配向による高密度化の効果を発揮する事ができる。
【0029】本発明による配向性の指標は、媒体の磁気的な特性の規定が高密度特性に有効であることを示している。従って、本実施例では同じ材料で配向性が異なる場合を示したが、分散や混練方法が異なったり、使用する材料の比率や種類が異なる場合でも本発明の指標は有効である。
【0030】(実施例2)次に示す組成によって下層の非磁性層用の塗料を作成した。
非磁性材料 100重量部樹脂系バインダー 12重量部硬化剤 4重量部メチルエチルケトン 24重量部トルエン 24重量部シクロヘキサノン 24重量部ただし、各材料の詳細は次の通りである。
非磁性材料:ベンガラ(αFe3O4) 平均粒径0.06nm樹脂系バインダーは以下の材料を混合して用いた。
樹脂径バインダー: 塩化ビニル系 6重量部ポリウレタン系 6重量部硬化剤:ポリイソシアネート(コロネートL)
これらの材料のうち、非磁性材料と樹脂系バインダーおよびメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンの混合溶液20重量部を連続ニーダーで混練した。この混合物と残りの溶剤をサンドミルで3時間分散した後、硬化剤を加え、ディスパーで分散し、下層用非磁性塗料とした。非磁性支持体としては実施例1の場合と同様に厚さ10μmのPETフィルムを用い、その上に、下層用非磁性塗料と実施例1で用いた磁性塗料を湿潤状態で塗布した。この時、下層及び上層の乾燥膜厚は、それぞれ、2.5μmと0.3μmである。配向は実施例1と同様に長手方向に十分配向させた後、斜め方向に配向させている。従って、配向条件及び作成に用いた装置は実施例1と同じである。さらに、カレンダー、硬化処理、バックコートの塗布、スリットも実施例1と同様に行った。
【0031】図4に実施例1(42)と実施例2(41)のデジタル信号の記録密度特性の比較を示す。信号の再生は低記録密度の領域ではオシロスコープを用い、再生波形のPEAK TO PEAKを読み取り、高調波成分が十分小さくなり、再生波形が正弦波状になってしまう、高記録密度の領域では基本波成分の強度をスペクトルアナライザで読み取った。実施例2は実施例1と比較して、低密度領域では再生出力は低いが、高密度領域で優れた特性を示しているのがわかる。これは、磁性層の膜厚の薄い実施例2のサンプルは、膜厚損失が実施例1のサンプルより軽減されている分、高密度特性に優れている事を示している。
【0032】(実施例3)実施例1で用いた塗料で、磁性粉を合金磁性粉の代わりに、コバルト被着型酸化鉄磁性粉を用いた磁性塗料を、実施例1の場合と同様に作成した。磁性層の厚みは同じく3.0μmである。この磁性粉は保磁力780Oe、飽和磁化78emu/g、超軸長0.17μm、軸比10である。この塗料を実施例1と同様の作成過程で斜め配向サンプルを作成した。
【0033】このサンプルに対して、飽和磁化5000ガウスのフェライトヘッド、飽和磁化8000ガウスのコバルト系アモルファスヘッド及び飽和磁化12000ガウスのセンダストヘッドを用いて信号を記録し、他のフェライトヘッドで再生するいわゆる録再分離を行った。記録に用いたヘッドは共にギャップ長0.35μm、トラック幅50μmで、再生に用いたフェライトヘッドはギャップ長0.2μm、トラック幅20μmである。4つのヘッドともアジマス角は0度である。コバルト系アモルファスヘッドだけはアモルファス磁性材層とSiO2の非磁性層を積層し、セラミック系基板で挟み込んだラミネート形状をしている。実施例1で説明したドラムテスターで、記録ヘッドと回転ドラムを挟んだ反対側から再生ヘッドをサンプルに押し当て、信号が記録されるトラックに再生ヘッドをオントラック状態にしたうえで、記録した信号を再生する。相対速度も実施例1と同様に3.8m/secである。
【0034】記録信号として50kHzの方形波を十分大きな記録電流で記録し、その再生波形をオシロスコープで観察した結果を図5(a)、(b)、(c)に示す。フェライトヘッドで記録した場合は、斜め配向された媒体特有の波形歪が生じており、記録された磁化が斜めに残っているのがわかる。しかし、飽和磁化が媒体の保磁力のおよそ10倍であるアモルファスヘッドでは、わずかに歪が認められるだけで、ほとんど単峰波形に近い。また、より飽和磁化の大きなセンダストヘッドを用いた場合は、波形歪は、ほとんどなく単峰状の波形に近くなっていた。これは記録された磁化の残留状態が、斜め方向ではなくむしろ面内長手方向に近いことを示している。つまり、斜め配向された保磁力780Oeの磁性粉に対して、アモルファスやセンダストの記録ヘッドの発生磁界は大きすぎ、磁性粉の困難軸方向から印加されると記録された磁化はヘッド磁界の印加方向に残留してしまうためでり、斜め配向媒体を有効に用いる上においては、媒体の保磁力と使用するヘッドの発生磁界を規定する必要がある事を示している。この事をさらに確認するために、実施例1のサンプルにセンダストヘッドで記録を行った場合の波形を図5(d)に示す。この場合は斜め配向特有の波形歪が生じており、記録された磁化は斜めに残っているのがわかる。
【0035】実施例3のサンプルに、フェライトヘッド(61)及びセンダストヘッド(60)でデジタル記録した場合の記録密度特性を図6に示す。記録密度の低い領域では、フェライトヘッドよりセンダストヘッドの方がより十分な記録ができるため、若干センダストヘッドの方が出力は高い(60)。しかし、高密度領域ではセンダストヘッドは記録磁化を斜めに残しにくいため、斜め配向の高密度記録に対する効果が十分発揮されない。
【0036】この様に斜め配向はむやみやたらに行っても、特性の向上を達成できるのではなく、媒体の保磁力と使用するヘッドの特性に間に、適正な関係を保つ必要がある。磁気記録媒体では、保磁力及び飽和磁化が大きい方が高記録密度化に有利である事が知られており、また、現在実用化されているヘッド材料で最も高い飽和磁束密度は、12000ガウスから14000ガウス程度であるので、斜め配向を行うには、合金磁性粉等のような保磁力の高い材料(1500Oe以上)を用いるのが、高密度記録に対してもヘッドとの組合せからも、有用である。
【0037】(実施例4)実施例3の磁性塗料と、実施例2で用いた下層用非磁性塗料を用いて、実施例2と同様な2層構造のサンプルを作成した。このサンプルに実施例3で行ったと同様な、録再分離での記録密度特性を調べた。図6に結果を示す。実施例3の場合と同様に飽和磁化がサンプルの保磁力に対して大きすぎる場合は、記録磁化が斜めに残らず、高密度記録への効果が発揮されない。また、実施例4のサンプルの上層磁性層は実施例3と同様であるが、上層膜厚が実施例3のサンプルに対して非常に薄い。従って、低記録密度領域では実施例3(60、61)より低い特性となるが、膜厚損失が軽減される分、高記録密度領域では実施例3より高い特性を示している。
【0038】
【発明の効果】以上の様に塗布型磁気記録媒体で斜め配向を行う場合は、その配向角度よりも、配向の程度を向上させることが、高密度化に必要で、しかも重要である。そして、本発明のごとく面内から45度と135度の角度から測定した角形比の比、及び媒体幅方向の角形比を規定することで、高密度記録でしかも高出力の媒体を得ることができる。また、多層構造による薄層磁性層に適応する事で、膜厚損失を低減させ、さらに斜め配向による高記録密度特性をもった高性能デジタル磁気記録媒体を得る事ができる。さらに、媒体の保磁力とのマッチングのとれた飽和磁化を有するヘッドを使用することで、斜め配向された媒体を最も効果的に利用できる磁気記録系を提供する事ができる。




 

 


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