発明の名称 |
オンライン文字・図形認識方法及びその装置 |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開平7−73277 |
公開日 |
平成7年(1995)3月17日 |
出願番号 |
特願平5−219683 |
出願日 |
平成5年(1993)9月3日 |
代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】中島 司朗
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発明者 |
松居 真一 |
要約 |
目的 特定個人の意図に応じた柔軟で安定した文字・図形認識を行う。
構成 入力データ抽出部1がオンラインの入力デバイスで検出される元データから個人特化オンライン認識部2と汎用オンライン認識部3で使用される形のオンライン入力データを抽出し、個人特化オンライン認識部2が特定入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識し、汎用オンライン認識部3が一般的な形状の文字・図形を認識する。又、入力データ保持部4が個人特化オンライン認識部2と汎用オンライン認識部3の双方で認識不能と判定されたオンライン入力データを保持し、学習部5が入力データ保持部4で保持されているオンライン入力データとオンライン入力データに対して入力者が行なった修正入力の結果とを参照して個人特化オンライン認識部2を学習させ、機能を強化する。 |
特許請求の範囲
【請求項1】 不特定多数の入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識する汎用オンライン認識手段と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して認識する個人特化オンライン認識手段とを用い、オンライン入力データの認識を汎用オンライン認識手段で実行し、汎用オンライン認識手段で認識不能と判定されたオンライン入力データの認識を個人特化オンライン認識手段で再度実行することを特徴とするオンライン文字・図形認識方法。 【請求項2】 不特定多数の入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識する汎用オンライン認識手段と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して認識する個人特化オンライン認識手段とを用い、オンライン入力データの認識を個人特化オンライン認識手段で実行し、個人特化オンライン認識手段で認識不能と判定されたオンライン入力データの認識を汎用オンライン認識手段で再度実行することを特徴とするオンライン文字・図形認識方法。 【請求項3】 不特定多数の入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識するために使用する汎用認識辞書と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して認識するために使用する個人特化認識辞書とを用い、汎用認識辞書と個人特化認識辞書のいずれか一方の辞書を用いてオンライン入力データの認識を実行し、認識不能と判定されたオンライン入力データの認識を他方の辞書を用いて再度実行することを特徴とするオンライン文字・図形認識方法。 【請求項4】 請求項1又は2又は3に記載のオンライン文字・図形認識方法において、更に汎用オンライン認識手段または汎用認識辞書と、個人特化オンライン認識手段または個人特化認識辞書との双方で認識不能と判定されたオンライン入力データまたは誤って認識されたオンライン入力データを入力データ保持手段にて保持し、学習手段にて保持されたオンライン入力データとこのオンライン入力データに対応する入力者の修正入力結果とを参照して個人特化オンライン認識手段または個人特化認識辞書を学習及び機能強化することを特徴とするオンライン文字・図形認識方法。 【請求項5】 不特定多数の入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識する汎用オンライン認識部と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して認識する個人特化オンライン認識部とを備え、汎用オンライン認識部で認識不能と判定されたオンライン入力データを個人特化オンライン認識部で再度認識を実行するように構成したことを特徴とするオンライン文字・図形認識装置。 【請求項6】 不特定多数の入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識する汎用オンライン認識部と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して認識する個人特化オンライン認識部とを備え、個人特化オンライン認識部で認識不能と判定されたオンライン入力データを汎用オンライン認識部で再度認識を実行するように構成したことを特徴とするオンライン文字・図形認識装置。 【請求項7】 不特定多数の入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識するために使用する汎用認識辞書と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して認識するために使用する個人特化認識辞書と、汎用認識辞書と個人特化認識辞書のいずれか一方の辞書を用いてオンライン入力データの認識を実行するとともに、認識不能と判定されたオンライン入力データの認識を他方の辞書を用いて再度実行するオンライン認識部を備えたことを特徴とするオンライン文字・図形認識装置。 【請求項8】 請求項5又は6又は7に記載のオンライン文字・図形認識装置において、更に汎用オンライン認識部または汎用認識辞書と、個人特化オンライン認識部または個人特化認識辞書との双方で認識不能と判定されたオンライン入力データまたは誤って認識されたオンライン入力データを保持する入力データ保持部と、保持されたオンライン入力データとこのオンライン入力データに対応する入力者の修正入力結果とを参照して個人特化オンライン認識部または個人特化認識辞書を学習及び機能強化する学習部とを備えたことを特徴とするオンライン文字・図形認識装置。
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発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ペン入力タブレットその他のオンライン入力デバイスを用いて電子的に入力された描画軌跡を、文字や図形として認識してコード情報に変換するオンライン文字・図形認識方法及びオンライン文字・図形認識装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、ペン入力タブレットや液晶ディスプレイ技術などの発達に伴い、オンラインで入力される文字あるいは図形の構成要素である入力データから、文字あるいは図形を認識するオンライン文字・図形認識装置の必要性が高まってきている。また、これらの機器や関連機器の小型化/高性能化に伴い、オンライン文字・図形認識装置が携帯機器の一部として組み込まれるなどして個人で占有して使用されるようになってきている。 【0003】従来のオンライン文字・図形認識装置としては、例えば図3に示すように、入力データ抽出部31と、オンライン認識部32と、認識辞書33とを備えたものが知られている。入力データ抽出部31は、オンラインで入力される座標点群からなるオンライン入力データを抽出する。オンライン認識部32は、入力データ抽出部31で抽出されたオンライン入力データと、認識辞書33に格納されている認識対象の文字あるいは図形の構成データとの類似性を判断して認識結果を出力する。認識辞書33は、認識対象の文字あるいは図形の構成データを格納している。 【0004】この従来のオンライン文字・図形認識装置においては、先ず入力データ抽出部31が、オンラインで入力される座標点群からなるオンライン入力データ、例えばペンで入力される場合のペンダウンからペンアップまでの一続きの座標点列(以下「ストローク」と称す)を抽出する。これをオンラインで入力される一つの文字あるいは図形が終了するまで行なう。これらのオンライン入力データは、認識辞書33に格納されている認識対象の文字あるいは図形の一つずつの構成データとオンライン認識部32によって比較され、その類似性が判断される。そしてもっとも類似性が高いと判断された認識対象の文字あるいは図形が認識結果として出力される。あるいは充分類似性の高い認識対象の文字あるいは図形のリストが認識結果として出力されることもある。また、いずれの認識対象の文字あるいは図形の構成データもオンライン入力データと十分類似性が高いと判断されなかった場合には、認識不能という判定結果が出力される。 【0005】ここで、認識辞書33には、一般的な形状のオンライン入力データを認識するためにあらかじめ構築されているもの(以下「汎用認識辞書」と称す)と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して構築されていくもの(以下「個人特化認識辞書」と記す)と、一般的な形状のオンライン入力データを認識するためにあらかじめ構築されている要素(以下「汎用要素」と称す)に、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習された要素(以下「個人要素」と称す)が付加されていくもの(以下「個人情報付加汎用認識辞書」と称す)とがある。 【0006】認識辞書33として、汎用認識辞書のみでは特定入力者のくせのあるオンライン入力データに対応できず、また個人特化認識辞書のみでは辞書を構築するための初期入力の手間が大きく、特に日本語のように文字数が多い場合には実用的でないと考えられるので、これらの中では個人情報付加汎用認識辞書が初期状態であらかじめある程度の認識性能を持ち、その上で特定入力者のくせのあるオンライン入力データに対応していく可能性を持つ点でもっとも優れていると考えることができる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の構成において個人情報付加汎用認識辞書を用いた場合でも、結果として付加された個人要素があらかじめ構築されている汎用要素と同等に扱われるため、どちらかの要素、例えば個人要素を優先して認識したいという場合には対応しにくい。極端な場合、ある特定の個人が「あ」という形状をした文字・図形の要素を個人要素として入力し、これを通常の「い」という文字の意味で使用したいと考えた場合、汎用要素の「あ」という形状(これは通常の「あ」という文字の意味を持つ)とよく似た要素として登録され、2つの要素間の違いが小さいために、この個人情報付加汎用認識辞書に対して「あ」のような形状が入力された場合、個人要素の方ににより近ければ「い」という意味の文字に対応する出力が得られ、汎用要素の方により近ければ「あ」という意味の文字に対応する出力が得られる。この場合、同じような形状を繰り返し入力した場合に出力が安定しないと考えられ、また個人の意図が個人情報付加汎用認識辞書に正確に反映できていないとも考えられる。 【0008】本発明は、かかる事情に鑑みて成されたものであり、個人情報付加汎用認識辞書の利点を持ち、さらに汎用要素と個人要素のいずれかを優先的に認識対象とすることによって、特定個人の意図に応じた柔軟で安定したオンライン文字・図形認識方法とその装置を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、不特定多数の入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識する汎用オンライン認識手段と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して認識する個人特化オンライン認識手段とを用い、オンライン入力データの認識を汎用オンライン認識手段で実行し、汎用オンライン認識手段で認識不能と判定されたオンライン入力データの認識を個人特化オンライン認識手段で再度実行することを特徴とする。 【0010】請求項2に記載の発明は、不特定多数の入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識する汎用オンライン認識手段と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して認識する個人特化オンライン認識手段とを備え、オンライン入力データの認識を個人特化オンライン認識手段で実行し、個人特化オンライン認識手段で認識不能と判定されたオンライン入力データの認識を汎用オンライン認識手段で再度実行することを特徴とする。 【0011】請求項3に記載の発明は、不特定多数の入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識するために使用する汎用認識辞書と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して認識するために使用する個人特化認識辞書とを用い、汎用認識辞書と個人特化認識辞書のいずれか一方の辞書を用いてオンライン入力データの認識を実行し、認識不能と判定されたオンライン入力データの認識を他方の辞書を用いて再度実行することを特徴とする。 【0012】請求項4に記載の発明は、請求項1又は2又は3に記載のオンライン文字・図形認識方法において、更に汎用オンライン認識手段または汎用認識辞書と、個人特化オンライン認識手段または個人特化認識辞書との双方で認識不能と判定されたオンライン入力データまたは誤って認識されたオンライン入力データを入力データ保持手段で保持し、学習手段にて保持されたオンライン入力データとこのオンライン入力データに対応する入力者の修正入力結果とを参照して個人特化オンライン認識手段または個人特化認識辞書を学習及び機能強化することを特徴とする。 【0013】請求項5、6、7及び8に記載の発明は装置に係る発明で、それぞれ請求項1、2、3及び4に記載の方法に係る発明の構成に対応している。 【0014】 【作用】請求項1に記載の発明によると、まず汎用オンライン認識手段がオンライン入力データから文字・図形を認識し、この汎用オンライン認識手段で認識不能と判定されたオンライン入力データを、あらかじめ特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習してある個人特化オンライン認識手段によって文字・図形として認識するので、個人情報付加汎用認識辞書の利点を持つとともに汎用要素を優先した状態で特定個人の意図に応じた柔軟で安定したオンライン文字・図形認識を実現できる。 【0015】また請求項2に記載の発明によると、まず特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習してある個人特化オンライン認識手段がオンライン入力データから文字・図形を認識し、この個人特化オンライン認識手段で認識不能と判定されたオンライン入力データを、汎用オンライン認識手段によって不特定多数の入力者からのオンライン入力データと同等に扱って文字・図形として認識するので、個人情報付加汎用認識辞書の利点を持つとともに個人要素を優先した状態で特定個人の意図に応じた柔軟で安定したオンライン文字・図形認識を実現できる。 【0016】また請求項3に記載の発明によると、不特定多数の入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識するために使用する汎用認識辞書と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して認識するために使用する個人特化認識辞書とを用い、まず汎用認識辞書と個人特化認識辞書のいずれか一方の辞書を用いて認識を実行し、認識不能と判定されたオンライン入力データについては他方の辞書を用いて再度認識を実行するので、個人情報付加汎用認識辞書の利点を持つとともに汎用要素又は個人要素のいずれかを任意に優先した状態で特定個人の意図に応じた柔軟で安定したオンライン文字・図形認識を実現できる。 【0017】また請求項4に記載の発明によると、学習手段にて、汎用オンライン認識手段または汎用認識辞書と、個人特化オンライン認識手段または前記個人特化認識辞書との双方で認識不能と判定されたオンライン入力データまたは誤って認識されたオンライン入力データとこのオンライン入力データに対応する入力者の修正入力結果とを参照して個人特化オンライン認識手段または個人特化認識辞書に学習を行わせ、その機能強化を図ることができる。 【0018】また請求項5、6、7及び8に記載の発明によると、それぞれ上記請求項1、2、3及び4に記載の発明に対応した作用が得られる。 【0019】 【実施例】以下、本発明の一実施例を図1、図2を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の一実施例におけるオンライン文字・図形認識装置の構成図を示す。このオンライン文字・図形認識装置は、入力データ抽出部1と、個人特化オンライン認識部2と、汎用オンライン認識部3と、入力データ保持部4と、学習部5とを備えている。 【0020】入力データ抽出部部1は、オンラインの入力デバイスで検出される元データから、個人特化オンライン認識部2と汎用オンライン認識部3で使用される形のオンライン入力データを抽出する。個人特化オンライン認識部2は、認識実行以前に特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習しておき、その学習内容を用いて特定入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識する。汎用オンライン認識部3は、あらかじめ不特定多数の入力者の一般的な形状のオンライン入力データから作成された内容を用いて文字・図形を認識する。入力データ保持部4は、個人特化オンライン認識部2と、汎用オンライン認識部3の双方で認識不能と判定されたオンライン入力データを保持する。学習部5は、入力データ保持部4で保持されているオンライン入力データと、オンライン入力データに対して入力者が行なった修正入力の結果とを参照して、オンライン入力データと修正入力結果とを結び付けるように個人特化オンライン認識部2を学習させ、機能を強化する。 【0021】次に動作を説明する。ここではオンラインの入力デバイスとして、ペン/タブレットの組合せを用いる。先ず入力データ抽出部1が、ペンで入力された元データから、個人特化オンライン認識部2と汎用オンライン認識部3で使用されるオンライン入力データを抽出する。ここでこのオンライン入力データとしては、例えばストロークを用いることができる。場合によっては、各座標点にサンプリング時刻等の情報を付加してもよい。入力データ抽出部1はこのストロークそのものを出力として個人特化オンライン認識部2と汎用オンライン認識部3に渡してもよいし、あらかじめ決めてある数十〜数百程度のストローク種に分類して、そのストローク種を渡してもよい。ストローク種に分類する場合に必要であれば、単一ストロークを複数ストロークに分割してから分類したり、逆に複数ストロークを単一ストロークにまとめてから分類したりすることも考えられる。さらに、ストローク種だけでは十分に認識できない場合に備え、例えばストローク始終点位置等の情報もオンライン入力データに付加してもよい。この実施例では、説明の簡単のために、オンライン入力データとしてストローク種を用いる場合について説明する。 【0022】次に、抽出されたオンライン入力データは個人特化オンライン認識部2に渡される。個人特化オンライン認識部2は、あらかじめ特定入力者が1つの文字・図形に対して数回程度入力したストローク種から作成した個人特化認識辞書を内蔵しており、個人特化認識辞書を用いて個人要素の認識を行う。個人特化認識辞書は認識対象の1つの文字・図形に対して1回の入力のみからでも作成できるが、安定性を上げるために数回程度の入力から正規化あるいは平均化等の処理により作成するのが望ましい。また個人特化認識辞書は認識対象のすべての文字・図形に対して作成しておく必要はなく、汎用オンライン認識部3で認識し難いと考えるものに対してのみ作成すればよい。オンライン入力データは、個人特化オンライン認識部2で個人特化認識辞書に登録されている文字・図形のストローク種データのいずれかと十分高い類似性で一致した場合にのみ、その文字・図形が認識結果として出力される。そうでない場合はオンライン入力データは個人特化オンライン認識部2では認識不能と判定される。 【0023】個人特化オンライン認識部2で認識不能と判定されたオンライン入力データは、次に汎用オンライン認識部3に渡される。汎用オンライン認識部3は、このオンライン文字・図形認識装置が認識対象とするすべての文字図形に対して、あらかじめ多数の入力者によって入力されたストローク種から正規化あるいは平均化等の処理により作成された汎用認識辞書を内蔵しており、汎用要素の認識を行う。オンライン入力データは、汎用認識辞書に登録されている文字・図形のストローク種データのいずれかと十分高い類似性で一致した場合に、その文字・図形が認識結果として出力される。そうでない場合はオンライン入力データは汎用オンライン認識部3でも認識不能と判定される。 【0024】個人特化オンライン認識部2および汎用オンライン認識部3の双方で認識不能と判定されたオンライン入力データは、入力データ保持部4に渡され、保持される。この後、入力者が認識不能とされたオンライン入力データに対応する文字・図形のコード情報をなんらかの手段、例えば再入力あるいはコード直接入力等で修正入力することにより、学習部5は入力データ保持部4に保持されているオンライン入力データを用いて個人特化オンライン認識部3に学習させ、その機能を強化する。 【0025】具体的には、オンライン入力データを修正入力された文字・図形に対応するものとして新たに個人特化認識辞書に付加するか、あるいはすでに文字・図形に対応する個人要素が登録されている場合には、オンライン入力データを付加して正規化あるいは平均化等の処理をし直し、文字・図形に対応する個人要素の内容を更新する。個人特化認識辞書に既に登録されている文字・図形に対応する個人要素の内容と、今回付加しようとしているオンライン入力データとが大きく食い違う場合には、同一の文字・図形に対応する新たな個人要素を付加してもよい。ここで、学習部5が行う個人特化オンライン認識部2の学習および機能強化は、自動で行ってもよいし、入力者に確認を求める手段を付加してもよい。 【0026】図2にこの実施例における個人特化認識辞書と汎用認識辞書の登録内容の例を示す。図2において、21は文字「け」に対応する個人特化認識辞書の登録要素の例を示している。また、22は文字「け」に対応する汎用認識辞書の登録要素の例を示している。21、22の双方ともストローク種の組合せによって認識を行うためのものであることを示している。 【0027】これらの構成により、特定入力者のくせによる一般的な形状でない文字・図形を先ず個人特化オンライン認識部2によって認識し、その後一般的な形状の文字・図形を汎用オンライン認識部3によって認識することで、個人のくせを優先し、なおかつ安定した認識ができるオンライン文字・図形認識装置とすることができる。例えば「あ」のような形状を「い」の文字の意味で用いたい入力者にとっては、個人特化オンライン認識部2でこのような形状を安定して「い」の文字の意味で認識することが可能となる。さらに、学習部5による個人特化オンライン認識部2の学習および機能強化によって、このような安定性は本実施例のオンライン文字・図形認識装置を使用していくにつれて、さらに向上していくことになる。 【0028】上記実施例では、オンラインの入力デバイスとして、ペン/タブレットの組み合わせを用いたが、デジタイザその他のデバイスを用いてもよい。また上記実施例では、個人特化オンライン認識部2での認識を先に行なっているが、汎用オンライン認識部3での認識を先に行なってもよい。この場合、一般的な形状で入力される文字・図形の認識を優先し、特定入力者の入力する一般的でない文字・図形の形状を最後に認識して救済することになり、そのような順序が必要な用途に適することとなる。 【0029】また上記実施例では、個人特化オンライン認識部2と汎用オンライン認識部3がストローク種という同一種類のオンライン入力データを用いて認識を実行しているが、入力データ抽出部1が抽出できるものであるならば一部が違うオンライン入力データあるいはまったく別の種類のオンライン入力データを用いて認識を実行してもよい。 【0030】また上記実施例では、汎用要素と個人要素とをそれぞれ汎用オンライン認識部3と個人特化オンライン認識部2という別々のオンライン認識部によって認識することとしているが、これらを、汎用認識辞書と個人特化認識辞書との2つの辞書を用いて同一のオンライン認識部で順次認識を行なうこととしてもよい。また、上記実施例では個人特化オンライン認識部2と汎用オンライン認識部3は、それぞれ個人特化認識辞書と汎用認識辞書を内蔵しているが、これら2つの辞書は認識部2、3に対して別個の部分として分離してもよいし、また2つの辞書を用いずに個人要素と汎用要素の内容をそれぞれ個人特化オンライン認識部2と汎用オンライン認識部3の内部処理で実現してもよい。 【0031】また、上記実施例ではオンライン入力データが個人特化オンライン認識部2と汎用オンライン認識部3の双方で認識不能と判定された場合に個人特化オンライン認識部2の学習および機能強化を学習部5で行うこととしているが、いずれかのオンライン認識部2、3で誤って認識結果として出力されたものに対する入力者の修正入力に対しても学習および機能強化を行うようにしてもよい。この場合、入力データ保持部4では個人特化オンライン認識部2および汎用オンライン認識部3の双方で認識不能と判定されたものだけでなく、すべてのオンライン入力データを修正入力が終了するまでの一定期間保持しておくことが必要となる。 【0032】又、上記実施例では認識結果として単一の文字あるいは図形を出力しているが、十分類似性の高い文字あるいは図形のリストを出力することとしてもよい。 【0033】 【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明によれば、まず汎用オンライン認識手段がオンライン入力データから文字・図形を認識し、この汎用オンライン認識手段で認識不能と判定されたオンライン入力データを、あらかじめ特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習してある個人特化オンライン認識手段によって文字・図形として認識するので、個人情報付加汎用認識辞書の利点を持つとともに汎用要素を優先した状態で特定個人の意図に応じた柔軟で安定したオンライン文字・図形認識を実現できるという効果を発揮する。 【0034】また請求項2に記載の発明によると、まず特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習してある個人特化オンライン認識手段がオンライン入力データから文字・図形を認識し、この個人特化オンライン認識手段で認識不能と判定されたオンライン入力データを、汎用オンライン認識手段によって不特定多数の入力者からのオンライン入力データと同等に扱って文字・図形として認識するので、個人情報付加汎用認識辞書の利点を持つとともに個人要素を優先した状態で特定個人の意図に応じた柔軟で安定したオンライン文字・図形認識を実現できるという効果を発揮する。 【0035】また請求項3に記載の発明によると、不特定多数の入力者のオンライン入力データから文字・図形を認識するために使用する汎用認識辞書と、特定入力者のオンライン入力データから特定入力者の入力する文字・図形の特徴を学習して認識するために使用する個人特化認識辞書とを用い、まず汎用認識辞書と個人特化認識辞書のいずれか一方の辞書を用いて認識を実行し、認識不能と判定されたオンライン入力データについては他方の辞書を用いて再度認識を実行するので、個人情報付加汎用認識辞書の利点を持つとともに汎用要素又は個人要素のいずれかを任意に優先した状態で特定個人の意図に応じた柔軟で安定したオンライン文字・図形認識を実現できるという効果を発揮する。 【0036】また請求項4に記載の発明によると、請求項1、2、3に記載の発明の効果に加えて、汎用オンライン認識手段または汎用認識辞書と、個人特化オンライン認識手段または前記個人特化認識辞書との双方で認識不能と判定されたオンライン入力データまたは誤って認識されたオンライン入力データとこのオンライン入力データに対応する入力者の修正入力結果とを参照して個人特化オンライン認識手段または個人特化認識辞書に学習を行わせ、その機能強化を図ることができるという効果を発揮する。 【0037】また請求項5、6、7及び8に記載の発明によると、それぞれ上記請求項1、2、3及び4に記載の発明に対応した効果を発揮する。
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