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発明の名称 データ送受信装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−66751
公開日 平成7年(1995)3月10日
出願番号 特願平5−212828
出願日 平成5年(1993)8月27日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小鍜治 明 (外2名)
発明者 高井 均 / 浦部 嘉夫 / 山▲さき▼ 秀聡
要約 目的


構成
送信データは、誤り検出ビットが付加されてデータパケットとなり、バースト状のスペクトラム拡散信号aとして送出される。受信側では、帯域通過手段21A〜21Bで、部分帯域成分である中間信号bになり、検波器22A〜22B、クロック再生器25A〜25B、復号器23A〜23B、ユニークワード検出器26A〜26B、パケット検出器27A〜27Bにより復号データパケットを複数抽出し、誤り検出器29A〜29Bは復号データパケット中のビット誤りを検出し、判定選択器24はビット誤りを含まぬ復号データパケットのみを選択繋ぎ合わせて、復号データを出力する。
特許請求の範囲
【請求項1】送信データを所定ビット数ごとに分け、少なくともユニークワードと誤り検出ビットを加えてデータパケットを構成し、搬送波を前記データパケットでディジタル変調して得られる一次変調信号に、前記一次変調信号よりも帯域の広い拡散変調信号を乗算して得られるバースト状のスペクトラム拡散信号を出力する送信装置と、前記スペクトル拡散信号を復調し復号データを出力する受信装置において、前記受信装置は、前記スペクトラム拡散信号の帯域内の部分的な帯域の信号成分のみを取り出す複数の帯域通過手段と、前記帯域通過手段の出力である複数の中間信号をそれぞれ検波する複数の検波器と、前記検波器の出力である複数の検波信号からそれぞれ再生クロックを生成する複数のクロック再生器と、前記検波信号と前記再生クロックからそれぞれ判定データ列を出力する複数の復号器と、複数の前記判定データ列からそれぞれ前記ユニークワードを検出することによりそれぞれ復号データパケットの先頭を見いだす複数のユニークワード検出器と、前記ユニークワード検出器の出力であるフレーム信号を基に前記判定データ列からそれぞれ前記復号データパケットを抽出する複数のパケット抽出器と、前記誤り検出ビットを用いて前記復号データパケットの中のビット誤りをそれぞれ検出する複数の誤り検出器とを有し、前記誤り検出器によってビット誤りが無いと判定した前記復号データパケットから前記復号データを得ることを特徴とするデータ送受信装置。
【請求項2】ディジタル変調は、差動位相変調であり、拡散変調信号の周期は、一次変調信号のシンボル周期の整数倍または整数分の1であり、検波器は、中間信号とそれを一次変調信号のシンボル周期の整数倍だけ遅延させた遅延信号とを乗算して検波信号を得る遅延検波器であることを特徴とする請求項1記載のデータ送受信装置。
【請求項3】帯域通過手段は、周波数混合器と、前記周波数混合器に局部発振信号を供給する局部発振器と、前記局部発振信号の周波数との差の周波数帯に変換された前記周波数混合器の出力の部分的な帯域の信号成分のみを取り出す帯域通過フィルタとで構成され、前記局部発振信号の周波数を前記シンボル周期分の1の整数倍だけ変化させること、あるいは、前記局部発振信号の周波数を前記シンボル周期分の1の整数倍の周波数間隔に配置した複数の前記局部発振器を用いることを特徴とする請求項2記載のデータ送受信装置。
【請求項4】拡散変調信号は、その周期毎に正弦波の周波数を繰り返し掃引して得られるチャープ信号であることを特徴とする請求項1記載のデータ送受信装置。
【請求項5】誤り検出ビットは、パリティビットであることを特徴とする請求項1記載のデータ送受信装置。
【請求項6】誤り検出ビットは、CRC符号であることを特徴とする請求項1記載のデータ送受信装置。
【請求項7】帯域通過手段および検波器およびクロック再生器および復号器およびユニークワード検出器およびパケット抽出器および誤り検出器は、すべて2系統あることを特徴とする請求項1記載のデータ送受信装置。
【請求項8】帯域通過手段は、対応する誤り検出器がビット誤りを検出した場合、前記帯域通過手段の通過帯域を変更することを特徴とする請求項1記載のデータ送受信装置。
【請求項9】帯域通過手段は、対応する誤り検出器がビット誤りを検出した場合、前記帯域通過手段の通過帯域幅を狭小変更することを特徴とする請求項1記載のデータ送受信装置。
【請求項10】受信装置は、任意のユニークワード検出器が、それ以外の1つあるいは複数のユニークワード検出器からのフレーム信号が出力されてから、所定時間の間フレーム信号を出力しない場合、前記任意のユニークワード検出器はユニークワード検出に失敗したものと判定し、フレームエラー信号を出力するフレームエラー検出器を具備することを特徴とする請求項1記載のデータ送受信装置。
【請求項11】帯域通過手段は、フレームエラー検出器の出力するフレームエラー信号によって、前記帯域通過手段の通過帯域を変更することを特徴とする請求項10記載のデータ送受信装置。
【請求項12】帯域通過手段は、フレームエラー検出器の出力するフレームエラー信号によって、前記帯域通過手段の通過帯域幅を狭小変更することを特徴とする請求項10記載のデータ送受信装置。
【請求項13】ディジタル変調は、多値変調であり、クロック再生器は、その出力である再生クロックとして、検波信号のシンボルに同期した再生シンボルクロックを生成し、復号器は、前記再生シンボルクロックに基づき前記検波信号を順次サンプリングして判定することにより判定シンボルデータ列を得て、さらに、前記判定シンボルデータ列をパラレル・シリアル変換することにより、ビット列である判定データ列を出力するものであり、ユニークワード検出器は、前記判定データ列と、ユニークワードとをビット列として比較照合することにより、フレームタイミングを抽出し、フレーム信号を出力することを特徴とする請求項1記載のデータ送受信装置。
【請求項14】パケット抽出器は、対応するフレームエラー検出器がフレームエラー信号を出力した場合、他のユニークワード検出器からのフレーム信号のタイミングを基に、復号データパケットを抽出することを特徴とする請求項10記載のデータ送受信装置。
【請求項15】パケット抽出器は、対応するフレームエラー検出器がフレームエラー信号を出力した場合、他のユニークワード検出器からのフレーム信号のタイミングから、各々の帯域通過手段の特性および拡散変調信号の特性により決まる各々の検波信号の振幅のピーク位置の違いを補正したタイミングを基に、復号データパケットを抽出することを特徴とする請求項10記載のデータ送受信装置。
【請求項16】復号器は、対応するフレームエラー検出器がフレームエラー信号を出力した場合、フレーム信号を出力した他のユニークワード検出器に対応するクロック再生器の出力する再生クロックに基づいて判定データ列を出力することを特徴とする請求項14または15記載のデータ送受信装置。
【請求項17】復号器は、対応するフレームエラー検出器がフレームエラー信号を出力した場合、フレーム信号を出力した他のユニークワード検出器に対応するクロック再生器の出力する再生クロックから、各々の帯域通過手段の特性および拡散変調信号の特性により決まる各々の検波信号の振幅のピーク位置の違いを補正したタイミングを基に、判定データ列を出力することを特徴とする請求項14または15記載のデータ送受信装置。
【請求項18】クロック再生器は、その出力である再生クロックとして、検波信号のシンボルに同期した再生シンボルクロックを生成し、復号器は、前記再生シンボルクロックに基づき前記検波信号を順次サンプリングして判定することにより、シンボル列である判定データ列を出力するものであり、ユニークワード検出器は、前記判定データ列と、ユニークワードとをシンボル列として比較照合することにより、フレームタイミングを抽出し、フレーム信号を出力することを特徴とする請求項1、14から17のいずれかに記載のデータ送受信装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスペクトラム拡散信号を使用してデータ伝送を行うための送受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スペクトラム拡散通信方式は、マルチパス環境下での良好な伝送特性および妨害信号排除能力を有することから、無線LANをはじめとする構内無線データ通信や電力線搬送データ通信などの用途に適する方式として注目されている。無線LANに供する電波の周波数帯としては、産業科学医療用周波数帯(ISMバンド)が有力な候補である。ISMバンドは、電子レンジ等の強力な電磁波を利用する機器が使用する周波数帯であるため、無線LANで使用する送受信装置には非常に高いレベルの妨害波の下でも正常にデータ伝送ができる特性が求められる。
【0003】一方、スペクトラム拡散通信において受信装置を簡単化するために、拡散同期を必要としない方式が各種考案されている。その一方式として、拡散信号の周期をデータのシンボル周期と同期させ、遅延検波により受信を行う方式(以下、SS遅延検波方式と記す)がある。例えば、特開昭62−257224号公報にこの方式の一例が記載されている。
【0004】以下図面を参照しながら、上記SS遅延検波方式によるスペクトラム拡散通信装置の一例の構成および動作について説明する。
【0005】図17は、SS遅延検波方式の送信装置および受信装置の一例のブロック図を示すものである。また、図18は図17の装置の各部の信号波形を示すものである。図17の送信装置10’において、11は差動符号化器、12は位相変調器、13は拡散変調信号発生器、14は拡散変調用乗算器である。また、15はクロック発生器であり、差動符号化器11、位相変調器12、および拡散変調信号発生器13に周期TのシンボルクロックCKを供給する。また、図17の受信装置20’において、22は遅延検波器であり、シンボル遅延器221、遅延検波用乗算器222、および低域通過フィルタ223、クロック再生器25、復号器23により構成されている。
【0006】ビット列であるデータdはシンボルクロックCKに同期して取り込まれ、差動符号化器11で差動符号化された後、位相変調器12で変調し、シンボル周期Tの2相位相変調波である一次変調信号pを得る。よって、一次変調信号pは、データdが1の時に前シンボルと同じ位相となり、データdが−1の時に前シンボルに対し逆の位相となる(±1の2値データとする)。拡散変調信号発生器13は、シンボルクロックCKに同期してこれと周期の等しい拡散変調信号qを発生する。拡散変調信号qは、疑似ランダム系列により生成される一定振幅の疑似ランダムパルス波形である。拡散変調用乗算器14は一次変調信号pと拡散変調信号qを乗算し、スペクトラム拡散信号aを得る。
【0007】図18(a)に、一次変調信号p、拡散変調信号q、およびスペクトラム拡散信号aの時間波形を示す。但し、一次変調信号pおよびスペクトラム拡散信号aについては、便宜上ベースバンド波形を図示した。
【0008】このようにして得られたスペクトラム拡散信号aは、伝送路を通り受信装置20’に入力される。受信装置20’において、遅延検波器22は、受信したスペクトラム拡散信号aと、それをシンボル遅延器221でシンボル周期Tだけ遅延させた遅延信号adを、遅延検波用乗算器222で乗算し、さらに低域通過フィルタ223によりその高周波成分を取り除いて検波信号cを得る。検波信号cにおいては、拡散変調信号の成分同士の乗算は常に一定値となる。従って、検波信号cは、通常の差動PSKの遅延検波出力と同様、前シンボルとの位相変化が無い時には正の値、前シンボルに対し反転位相となる場合には負の値を取る。クロック再生器25は、この検波信号cから、シンボルクロック(2相系の場合はビットクロックに同じ)を再生し、復号器23は、その再生シンボルクロックのタイミングで検波信号cを順次サンプルし、その極性を、正の場合には1、負の場合には−1と判定することにより、復号データd’が得られ、送信データを復元することができる。
【0009】図18(b)に、受信されたスペクトラム拡散信号a、遅延信号ad、および検波信号cを示す。但し、図18(a)と同じく、スペクトラム拡散信号aおよび遅延信号adについてはベースバンド波形を図示した。また、実際に受信される信号は、通常、伝送路においてスペクトラム拡散信号aに雑音や妨害成分が加わったり、ひずみが生じたりしている信号であるが、図18(b)では雑音等の影響は省略した。
【0010】上記構成により、スペクトラム拡散方式の特長である高い妨害排除能力や耐マルチパス特性を維持したままで、拡散同期等の複雑な機構を必要としない簡易な構成の送受信装置が得られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のような構成では、スペクトラム拡散信号の帯域内に非常に強力な妨害成分が加わった場合には、たとえ妨害成分の帯域が信号帯域の一部にしか重なっていない場合でも受信不能となる。
【0012】本発明は上記問題点を解決するもので、スペクトラム拡散信号の帯域内に非常に強い妨害成分が加わった場合にも確実な伝送を可能にすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために本発明のデータ送受信装置は、送信データを所定ビット数ごとに分け、ユニークワードと誤り検出ビット含むデータパケットを構成し、搬送波を前記データパケットでディジタル変調して得られる一次変調信号に、前記一次変調信号よりも帯域の広い拡散変調信号を乗算して得られるバースト状のスペクトラム拡散信号を出力する送信装置と、前記スペクトラム拡散信号を復調し復号データを出力する受信装置から成り、前記受信装置は、前記スペクトラム拡散信号の帯域内の、互いに異なる部分的な帯域の信号成分のみを取り出し復調する、複数の系統の、帯域通過手段と検波器とクロック再生器と復号器とユニークワード検出器とパケット抽出器と誤り検出器とを有し、前記誤り検出器により、ビット誤りが含まれない系統の出力を繋いで前記復調データとするよう構成して成るものである。
【0014】
【作用】本発明は上記した構成によって、スペクトラム拡散信号の帯域内の部分的な、複数の帯域の信号成分を同時に検波するので、信号帯域内に非常に強い妨害波が存在する場合やマルチパス等により周波数選択性ひずみが生じている場合に、これらの劣化要因の影響を避けて受信状態が良好な方の帯域の信号成分を選択的に利用することができ、強力な妨害波や周波数選択性ひずみによる誤り率の劣化を軽減することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例のデータ送受信装置について、図面を参照しながら説明する。
【0016】図1は、本発明の第1の実施例のデータ送受信装置のブロック図を示すものである。図1において、10は送信装置、20は受信装置、16はパケット組立て器、17は一次変調器、14は拡散変調用乗算器、15はクロック発生器、13は拡散変調信号発生器、21A〜21Bは帯域通過手段、22A〜22Bは検波器、23A〜23Bは復号器、25A〜25Bはクロック再生器、26A〜26Bはユニークワード検出器、27A〜27Bはパケット抽出器、29A〜29Bは誤り検出器、24は判定選択器である。そして、図3は、検波器22A〜22Bの構成例を示すブロック図であり、221はシンボル遅延器、222は乗算器、223は低域通過フィルタである。なお、送信装置10の中の一次変調器17の構成の一例は、図17の送信装置10’の中の差動符号化器11と位相変調器12に相当する。以下、さらに、パケット組立て器16の出力するデータパケットの一例の符号構成図である図2、図1の装置の各部の信号波形図(便宜上ベースバンド波形を図示)である図4、復号器23A〜23Bの出力である判定データ列に観測されるデータパケットの一例の説明図である図5、各部の信号のスペクトルの概略図である図6を用いて以下その動作を説明する。
【0017】図1の送信装置10の構成および動作は、「従来の技術」の項目で説明した図17における動作とほぼ同様であるが、パケット組立て器16が追加されており、送信データをパケット状に構成し、その各々のパケットに対応した、バースト状のスペクトラム拡散信号aを伝送信号として出力するところが異なる。つまり、送信データは、まず、所定のビット数ごとに分けられ、図2に1例を示すように、情報データ93となり、プリアンブル91、ユニークワード92、誤り検出ビット94を付加されてデータパケット61〜64を構成する。データパケット61〜64は、一次変調器17に入力され、各々のパケットに対応した、バースト状の一次変調信号となる。一次変調方式には、例えば、2、4、8相等の(差動)位相変調等が使われ、その基本構成および動作は、「従来の技術」の項目で説明した図17の差動符号化器11および位相変調器12の構成および動作と同様である。なお、バーストの急峻な立ち上がり立ち下がりは、送信スペクトラム幅の拡大を生じるので、バーストの前縁および後縁に包絡線が滑らかに変化するランプ波形を加えるものであってもよい。一次変調信号は、「従来の技術」の項目で説明した図17の従来例と同様に、さらに、拡散信号qと掛け合わされて、各々のパケットに対応した、バースト状のスペクトラム拡散信号aとして、送信装置10から出力される。
【0018】ユニークワード92は、後述するように、受信装置20での復号過程で対応するデータパケットを見いだすために挿入された固定のビットパターン列である。一方、誤り検出ビット94は、受信装置20にて、情報データ93および誤り検出ビット94それ自身の中にビット誤りが発生したかどうかを調べるために挿入された可変ビットパターン列である。誤り検出ビット94は、実際には、パリティ符号あるいはCRC(Cyclic Redundacy Check)符号等を用いる。
【0019】以下、一次変調方式が2相差動位相変調の場合を一例として、さらに詳細に動作を説明する。
【0020】送信装置10において、パケット組立て器16の出力であるデータパケット61〜64のm番目のデータdm(±1、2値の場合)は周期TのシンボルクロックCKに同期して取り込まれ、一次変調器17を構成する差動符号化器11で差動符号化された後、位相変調器12で変調され、その出力として、シンボル周期Tの2相位相変調波である一次変調信号pが得られる。拡散変調信号発生器13は、シンボルクロックCKに同期してこれと周期の等しい拡散変調信号qを発生する。拡散変調信号qは、例えば、疑似ランダム系列により生成される一定振幅の疑似ランダムパルス波形である。拡散変調用乗算器14は一次変調信号pと拡散変調信号qを乗算し、スペクトラム拡散信号aを得る。
【0021】さて、今、差動符号化後のデータを、δm(±1、2値の場合)とした場合、m = δm × δm-1 (1)と表わせる。従って、搬送波の周波数をfcとして、Re[…]を実数部とすれば、送信されるスペクトラム拡散信号aは、次式で表わされる。
【0022】
a(t)=Re[ δm・q(t)・exp(2πfct) ] (2)なお、図4(a)は、以上の送信装置10の各部の信号波形の一例を示した波形図である。
【0023】伝送路を通ったスペクトラム拡散信号aは、受信装置20に入り、まず帯域通過手段21A〜21Bで帯域制限され、中間信号bとなる。図6は、受信されたスペクトラム拡散信号aのスペクトルの概略および帯域通過手段21A〜21Bの取り得る帯域が3つである(B1〜B3)場合について例示したものである。帯域通過手段21A〜21Bは、それぞれ帯域通過フィルタで構成されており、それぞれが通過帯域B1〜B3のすべて、あるいは、一部に対応するものである。なお、通過帯域は、図6に示したように3つに限るものではなく、2以上の複数であればよい。また、同様に、帯域通過手段21A〜21Bは、図1に示したように、複数であればよく、典型例として2つの場合も含まれる。
【0024】このようにして得られた中間信号bは、検波器22A〜22Bでそれぞれ検波され、検波信号cが得られる。検波器22A〜22Bは、例えば、図3に示すような遅延検波器22が用いられる。
【0025】図4(b)は、受信装置20の各部の信号波形の一例を示した波形図である。スペクトラム拡散信号aのベースバンド波形は、各シンボル区間において、一次変調信号の位相が等しい場合には同じ形状であり、一次変調信号の位相が逆の場合には正負が反転した形状となっている。そして、帯域通過手段21A〜21Bの出力である中間信号bは、 b(t) = Re[ δm・q'(t)・exp(2πfct) ] (3)と表わせる(δm=±1)。中間信号bのベースバンド波形は、帯域通過手段21A〜21Bにより、帯域制限を受けてスペクトラム拡散信号aの形状とはかなり異なった波形となるものの(つまり、式(2)中の複素包絡線を表わすqの項が、式(3)では、帯域制限を受けた場合のそれq'に置き変わる)、各シンボル区間において、一次変調信号の位相が等しい場合にはほぼ同じ形状であり、一次変調信号の位相が逆の場合には正負が反転した形状となる(式(3)から分かるように、bは、δmの符号によって、その波形の正負が反転する)。厳密には、隣接シンボルとの境界付近において、隣接シンボルの影響を受けるために正確には同じ形状にならず、符号間干渉を生じることになるが、中間信号の帯域をシンボル繰り返し周波数に比べて大きくしておけば、符号間干渉は小さいため、さほど問題とならない。
【0026】遅延検波器22では、まず、シンボル遅延器221によって、シンボル周期Tだけ、中間信号bを遅延させ、遅延中間信号bdを得る。拡散変調信号qは、周期Tの繰り返し波形であり、近似的にq'も周期Tの繰り返し波形となることに留意すると、d(t)=b(t−T) =Re[δm-1q'(t)exp(2πfct)exp(-2πfcT)] (4)と表わせる。今、 exp(−2πfcT)=1 (5)を満たすように、Tを正確に定めるか、あるいは、シンボル遅延器221の出力信号の位相を調整することにより、結局、遅延中間信号bdは、d(t)=Re[δm-1q'(t)exp(2πfct)] (6)となる。乗算器222の内、低域通過フィルタ223で取り出される、低域周波数成分、すなわち、検波信号cは、式(3)と式(6)の乗算を実行し、高調波成分であるexp(4πfct)の成分の項を除き、式(1)を用いることにより、 c(t)=δmδm-1{Re[q'(t)]}2=dm{Re[q'(t)]}2 (7)が得られる。式(7)より、検波信号cの極性を判定することにより、データが復号されることが分かる。
【0027】図4(b)には、この検波過程の様子を模式的に示されている。すなわち、前シンボルから位相の変化が無い場合には同じ形状のパルス同士を乗算するため正のパルスを生じ、前シンボルから位相が反転した場合には正負が反転した形状のパルス同士を乗算するため負のパルスを生じる。従って、検波信号cは位相の反転の有無に応じて負および正のパルスとなる。クロック再生器25A〜25Bは、この検波信号cから再生シンボルクロックを生成し、そのタイミングを用いて、復号器23A〜23Bは、検波信号cを順次サンプリング/識別した後、その識別点の符号の極性により、正の場合には1、負の場合には−1と判定し、判定データ列d'mを出力する。
【0028】なお、ここでは、2相位相変調の場合について解説したが、4相、8相等の多値変調の場合も、その検波過程は同様である。異なる点は、遅延検波器22の構成が、直交軸を加えた2系統あることと、復号器23A〜23Bでは、検波信号cを識別判定して判定シンボルデータ列を得た後、パラレル・シリアル変換することにより、ビット列である判定データ列d'mを出力することである(例えば、W.R.Bennet、J.R.Davey著、「データ伝送」、ラテイス)。
【0029】さて、判定データ列には、図2のデータパケット61〜64に相当する、同一構造の図5のデータパケット61’〜64’が含まれる。ユニークワード検出器26A〜26Bは、判定データ列d'mと、ユニークワードの固定パターンとを随時照合し、一致を検出すると、フレーム信号を出力する。パケット抽出器27A〜27Bは、このフレーム信号のタイミングを基に、情報データ93’と誤り検出ビット94’からなる復号データパケット95’を抽出し、誤り検出器29A〜29Bに引き渡す。誤り検出器29A〜29Bはそれぞれ誤り検出ビット94’を基に、復号データパケット95’中のビット誤りを検出し、その結果を判定選択器24に引き渡すとともに、復号データパケット95’中の情報データ93’も併せて判定選択器24に引き渡す。判定選択器24は、ビット誤りの検出されなかった系統の情報データ93’のみを選択繋ぎ合わせて、受信装置20の最終出力の復号データとして出力する。
【0030】さて、いま、伝送路において図6に示す妨害波jが加わった場合を考える。図17に示した従来の装置によれば、妨害波jのエネルギーの大半が検波器で検波されるため、正常な受信が不可能となる。図1に示す本実施例の装置によれば、送信されるスペクトラム拡散信号aの部分的な帯域B1〜B3のみ通過させる帯域通過手段21A〜21Bを設けているので、図6の例では、帯域通過手段21A〜21Bの中の1つあるいは複数が通過帯域B1に設定されていれば、その系統の検波器の入力の中間信号bは妨害波jの影響を受けず、正常な受信が行なわれる。従って、他の系統は、受信が正常に行なわれず、当該誤り検出器がビット誤りを検出しても、上記のように、妨害波jの影響を避け得た系統が1つでもあれば、その系統の誤り検出器はビット誤りを検出せず、判定選択器24は、その系統の情報データ93’を選択し、復号データとして出力するので、正常な受信が継続される。
【0031】以上の説明においては、拡散変調信号qは疑似ランダム系列により生成される一定振幅の疑似ランダムパルス波形としたが、これに限るものではなく、他の雑音状信号や、図7に示すようなチャープ信号としても良い。なお、チャープ信号を用いた場合の検波過程における波形は、図14に示されている。
【0032】また、拡散変調信号qの周期は一次変調信号pのシンボル周期Tに等しいとしたが、一次変調信号pのシンボル周期Tのn分の1(nは自然数)としても良く、あるいは一次変調信号pのシンボル周期Tのn倍(nは自然数)とし、シンボル遅延器221としてシンボル周期Tのn倍の遅延時間を有するものを用いて遅延検波を行うものとしても良い。
【0033】また、帯域通過手段21A〜21Bは、図8に示す、帯域通過手段21のように、帯域通過フィルタ211および周波数混合器212および局部発振器213により構成してもよい。この場合、入力信号は、周波数混合器212によって、局部発振器213の出力である局部発振信号との差の周波数帯に変換された後、帯域通過フィルタ211で帯域制限され、周波数変換されたスペクトラム拡散信号aの一部の周波数成分のみ取り出されて、中間信号bとして出力される。局部発振器213は、通常、PLL(Phase Locked Loop)シンセサイザで構成され、シンボル速度1/Tの整数倍の周波数間隔で、局部発振信号の周波数を可変する、あるいは、各帯域通過手段21A〜21Bの局部発振器213は、この周波数間隔だけ異なる周波数の局部発振信号を生成するものある。等価的に、局部発振信号の周波数を変えることにより、元のスペクトラム拡散信号aの周波数成分の異なる部分の成分を中間信号bとして取り出すことができる。帯域通過手段21A〜21Bのそれぞれの中間信号の中心周波数を同一に選び、局部発振信号の周波数を違えて、異なる通過帯域を得るようにした場合、それぞれの帯域通過フィルタ211および検波器22A〜22Bは、同一のものを使用でき、検波器22A〜22Bは、通過帯域相当の比較的狭い周波数範囲での動作が保証されればよいので実現が容易になる長所がある。
【0034】いま、局部発振信号の周波数をfLとすると、(3)式は、 b(t) = Re[ δm・q'(t)・exp{2π(fc−fL)t} ] (3')となり、(4)式は、d(t)=b(t−T) =Re[δm-1q'(t)exp{2π(fc-fL)t}exp{-2π(fc-fL)T}] (4')となって、(5)式の代わりに、 exp{−2π(fc−fL)T}=1 (5')を満たすように、Tを正確に定めるか、あるいは、シンボル遅延器221の出力信号の位相を調整することにより、結局、遅延中間信号bdを表わす(6)式はd(t)=Re[δm-1q'(t)exp{2π(fc-fL)t}] (6')となる。同様に、乗算器222の内、低域通過フィルタ223で取り出される、低域周波数成分、すなわち、検波信号cは、式(3')と式(6')の乗算を実行し、高調波成分であるexp{4π(fc-fL)t}の成分の項を除き、式(1)を用いることにより、(7)式の結果が得られ、同様に、検波信号cの極性を判定することにより、判定データが得られることが分かる。なお、式(5')を変形することにより、kを整数として、L = fc − k×(1/T) (8)の結果が得られ、局部発振信号の周波数としては、シンボル速度1/Tの整数倍の周波数間隔でなければならない。
【0035】図9は、本発明の第2の実施例の送受信装置のブロック図を示すものである。本実施例において、送信装置10は図1に示した第1の実施例の送信装置10と同様である。また、受信装置201の各部の構成および動作も、第1の実施例の受信装置20とほぼ同様ではあるが、第1の実施例と異なるのは、図9において受信装置201は、誤り検出器29A〜29Bがビット誤りを検出した場合、対応する帯域通過手段21A〜21Bの通過帯域を変更するか、あるいは、通過帯域幅を狭小変化させるか、あるいは、通過帯域を変更すると同時に通過帯域幅を狭小変化させるところが異なる。
【0036】帯域通過手段21A〜21Bの各々の通過帯域を合わせた全体の帯域が伝送信号であるスペクトラム拡散信号aの帯域の一部である場合、誤り検出器29A〜29Bによって妨害の有無を判定し、ビット誤りの検出をもって妨害を検出した場合、その対応する帯域通過手段の通過帯域を、受信に使用されていない帯域に変更することによって、効率的な妨害回避が可能となる。例えば、通過帯域は多数(3以上)で、帯域通過手段21A〜21Bから誤り検出器29A〜29Bまでの受信系統がこれらの通過帯域の中の2つに割り当てられた2系統のみであっても、これら2系統が同時に妨害を受ける確率は低く、また、どちらか一方が妨害を受けた時点で、受けた系統を未使用帯域に割り当てることにより、ハード規模がさほど大きくなく、効率的な妨害回避が実現できる。なお、図9に示した帯域通過手段21Aから21Bの通過帯域の変更は、例えば、それぞれが複数の帯域通過フィルタを切り替え選択し実現する。その場合、それぞれの帯域通過手段21A〜21Bが複数の帯域通過フィルタを切り替え選択する場合、一部あるいはすべての帯域通過フィルタを、一部あるいはすべての帯域通過手段で共有する構造となっていてもよい。また、帯域通過手段21A〜21Bを図8に示したように等価的に実現している場合、局部発振器213を、通常、PLL(Phase Locked Loop)シンセサイザで構成し、式(8)の条件により、シンボル速度1/Tの整数倍の周波数間隔で周波数を可変して実現してもよい。
【0037】一方、帯域通過手段21A〜21Bの通過帯域幅は、大なるほど、伝送信号であるスペクトラム拡散信号aのより大きな部分帯域を用いることができて、受信感度が向上する。しかし、一方では、通過帯域幅が、大なるほど、妨害を受ける頻度は高くなる。本実施例のように、誤り検出器29A〜29Bによって妨害の有無を判定し、ビット誤りの検出をもって妨害を検出した場合、その対応する帯域通過手段の通過帯域幅を狭小変化させれば、妨害が無い時は感度を優先し、妨害がある時は、耐妨害性を優先し、総合的にバランスに優れた受信特性を実現することができる。なお、一度狭小化された通過帯域幅を元に戻すのは、例えば、一定の時間ビット誤りが検出されないことにより、妨害源が消失したものとして判断し、通過帯域幅を元に戻す。また、図9に示した帯域通過手段21Aから21Bの通過帯域の変更は、例えば、それぞれが通過帯域幅の異なる複数の帯域通過フィルタを切り替え選択し実現する。その場合、それぞれの帯域通過手段21A〜21Bが複数の帯域通過フィルタを切り替え選択する場合、一部あるいはすべての帯域通過フィルタを、一部あるいはすべての帯域通過手段で共有する構造となっていてもよい。また、帯域通過手段21A〜21Bを図8に示したように等価的に実現している場合、帯域通過フィルタ211の通過帯域を同様に複数の帯域通過フィルタを切り替え選択し実現する。
【0038】図10は、本発明の第3の実施例の送受信装置のブロック図を示すものである。本実施例において、送信装置10は図1に示した第1あるいは第2の実施例の送信装置10と同様である。また、受信装置202の各部の構成および動作も、第1の実施例の受信装置20あるいは第2の実施例の受信装置201とほぼ同様ではあるが、第1あるいは第2の実施例と異なるのは、図10において受信装置202は、フレームエラー検出器28A〜28Bが追加され、その出力であるフレームエラー信号によって、対応する帯域通過手段21A〜21Bの通過帯域を変更するか、あるいは、通過帯域幅を狭小変化させるか、あるいは、通過帯域を変更すると同時に通過帯域幅を狭小変化させるところが異なる。
【0039】以下、図10に一例を示した本実施例について、その受信装置202の動作を図11を用いて説明する。図10において、それぞれのフレームエラー検出器28A〜28Bには、ユニークワード検出器26A〜26Bの出力であるフレーム信号がすべて入力され、それぞれの系統のユニークワード検出失敗を判定し、フレームエラー信号を出力する。図11はその動作の一例を説明したもので、図11において、再生クロックAおよびBは各々クロック再生器25Aおよび25B、判定データ列AおよびBは各々復号器23Aおよび23B、フレーム信号AおよびBは各々ユニークワード検出器26Aおよび26B、フレームエラー信号Bはフレームエラー検出器28Bのそれぞれ出力である。
【0040】図11に示すように、ある時点で、ユニークワード検出器26Aが、ユニークワード92’の終了を見いだし、フレーム信号Aを出力したとすると、それから所定の時間を観測期間として、他の系統のフレーム信号が出力されるかどうかを観測する。図11の場合、この期間にフレーム信号Bが出力されれば(点線の場合)、フレームエラー信号Bは出力されないが、もし、この期間にフレーム信号Bが出力されなければ(実線の場合)、観測期間の終わりにて、フレームエラー信号Bが出力される。なお、観測期間は、伝搬路/信号処理の遅延特性や再生クロックのジッター等による誤判定を避けるためのものであり、少なくとも、約1シンボル長程度以上が必要である。また、図10および図11は、受信系統が2系統の場合について示しているが、3系統以上ある時も全く同様であり、その時の観測期間は、他の系統で最も早く出力されたフレーム信号のタイミングを起点とする。
【0041】以上のように、もし、フレームエラーが検出された場合、そのフレームエラー信号により、対応する帯域制限手段は、第2の実施例に述べたと同様の手段をもって、その通過帯域を変更するか、あるいは、通過帯域幅を狭小変化させるか、あるいは、通過帯域を変更すると同時に通過帯域幅を狭小変化させる。妨害を受けた場合、ユニークワードの検出に失敗し、フレームエラーが発生するので、第2の実施例と同様、ハード規模がさほど大きくなく、効率的な妨害回避が実現できる、あるいは、感度と耐妨害性とを両立させた受信特性が得られる。しかも、第2の実施例の場合は、復号データパケットの終了してからでないと、誤り検出器29A〜29Bはビット誤りを検出できず、それから、通過帯域あるいは通過帯域幅の変更に取りかかるため、次の復号データパケットをも取り損なう可能性があるが、本実施例の場合、復号データパケットのかなり早期に判定が終了するため(図5参照)、このような支障を生じない長所を有する。
【0042】図12は、本発明の第4の実施例の送受信装置のブロック図を示すものである。本実施例において、送信装置10は図1に示した第1の実施例の送信装置10と同様である。また、受信装置203の各部の構成および動作も、第3の実施例の受信装置202とほぼ同様ではあるが、第3の実施例と異なるのは、図12において、パケット抽出器27A’〜27B’は、もし、自系統のユニークワード検出器がユニークワード検出に失敗し、それからのフレーム信号を受け取らなかった場合、フレームエラー検出器28A〜28Bの出力を参照することにより、他系統のフレーム信号のタイミングを基に、復号データパケットを抽出する所が異なる。
【0043】以下、図12に一例を示した本実施例について、その動作を図13を用いて説明する。図12において、それぞれのフレームエラー検出器28A〜28Bの出力であるフレームエラー信号は、それぞれ対応するパケット抽出器27A’〜27B’に入力される。図13において、フレームエラー検出器28A〜28Bに関する動作は、第3の実施例における図11の説明と全く同様なので省略する。第3の実施例の場合と異なっているのは、当該系統(図13の場合はB系統)のフレーム信号Bが出力されなかった場合、その代わりに、フレームエラー信号Bを用い、所定の補正遅延量を与えた遅延判定データ列Bと、それに対応してタイミングを調整された再生クロックB’に対して同等の処理を行なうことにより、復号データパケットを抽出する機能がパケット抽出器27A’〜27B’に付加されていることである。
【0044】ユニークワードはそのワード長を十分長く設定した場合、誤捕捉する確率は極めて小さいが、見逃し確率はかなり大きくなる。特に、本実施例の場合のように、バースト伝送を行なう場合、図2に示すように、情報データや誤り検出ビットにはビット誤りを生じていないのに、ユニークワードはバーストの前方にあるため、AGC系や各種同期系の追従不良によるビット誤りがユニークワードの見逃しにつながり、復号パケットを抽出できず、情報データが失われるケースが増加する。一方、受信各系統の判定データ列のタイミングは、伝搬遅延差や信号処理時間差や再生クロックジッター相当の相互時間差が存在するが、これらは一般に、0.5シンボル長程度以下で十分小さく、ユニークワードを見逃したとしても、他系統の検出タイミングを用いて、復号パケットを抽出することにより、上記のようなケースの情報データをも復号することができ、受信品質を改善できる。図13から明かなように、フレームエラー信号Bはそもそもユニークワードを検出できた系統のフレーム信号Aから観測時間だけ遅延した信号であるので、補正遅延量をこの観測時間相当に設定することで、ユニークワードを見逃したとしても、他系統の検出タイミングを用いて、復号パケットを抽出することができ、受信品質を改善できる。なお、補正遅延量を判定データ列Bに与える(遅延判定データ列B)と同時に、再生クロックBにも同量の遅延を与えてもよいが(再生クロックB’)、再生クロックは繰り返し波形であることに留意して、繰り返し周期の整数倍と、補正遅延量との差の分だけ、タイミングを調整してもよい。なお、図13の例では、観測期間、補正遅延量ともに、再生クロック1周期となっているので、再生クロックBへの遅延は不要である。
【0045】なお、図12は受信系統が2系統の場合について示しているが、3系統以上ある時も第3の実施例の場合と同様、そのまま拡張でき、以上の説明は同様に適用される。
【0046】また、4相系以上の多値伝送の時、第1の実施例の説明したように、復号器23A〜23Bの中にパラレル・シリアル変換器を有し、それらは、ビット列である判定データ列A〜Bと、対応する再生ビットクロックA〜Bを出力するもので(この時、ユニークワード検出器26A〜26Bは、ビット列として比較照合を行なう)、図13の各再生クロックおよび各判定データは、ビットクロックおよび判定ビットデータとして考えてよい(2相の場合は、ビット列とシンボル列は一致する)。しかしながら、受信各系統間の相互時間差(上記のように最大0.5シンボル長程度)が存在すると、周期がシンボルクロックより、1/2(4相系の場合)あるいは1/3(8相系の場合)と短いビットクロックを基本に、他系統のタイミングを用いて自系統のタイミングを推定すると、ビットずれを生じ、復号データパケットの抽出に失敗する頻度が増大する欠点がある。従って、本実施例では、4相系以上の多値伝送の時、復号器23A〜23Bは、シンボル列である判定データ列A〜Bと、対応する再生シンボルクロックA〜Bを出力するもので(この時、ユニークワード検出器26A〜26Bは、シンボル列として比較照合を行なう)、図13の各再生クロックおよび各判定データは、シンボルクロックおよび判定シンボルデータを表わし、パケット抽出器27A’〜27B’の復号データパケットの出力の直前か、誤り検出器29A〜29Bにパラレル・シリアル変換器を有しシンボル列からビット列への変換を行なうか、あるいは、最終の復号データがシンボル列を出力するものである方が好ましい。
【0047】ところで、図7に示したように、拡散変調信号qがチャープ波形等の場合、上記の補正遅延量は、以下のように、帯域通過手段21A〜21Bの通過帯域特性と、拡散変調信号qの特性により決まるタイミング補正をさらに加味することが好ましい。図14は、このタイミング補正を説明するもので、図4と同様に、拡散変調信号qがチャープ波形の場合の検波過程を示した波形図である。図14には、帯域通過手段21A〜21Bの通過帯域B1〜B3、それぞれに対応して、検波過程に従って、中間信号b1〜b3、検波信号c1〜c2が示されている。スペクトラム拡散信号aのシンボル内波形はチャープ波形であり、図14の例では、各シンボル区間の最初の部分は低い周波数成分より成っており、各シンボル区間の後ろの方へ行くほど高い周波数成分で構成される。中間信号b1は、元のスペクトラム拡散信号aのうち低い周波数の成分を抜きだしたものであるため、シンボル区間の前半では振幅が大きいが後半では振幅が小さくなる。逆に、中間信号b3は、元のスペクトラム拡散信号aのうち高い周波数の成分を抜きだしたものであるため、シンボル区間の前半では振幅が小さく、後半では振幅が大きい。また、中間信号2は、シンボル区間の中央部では振幅が大きく、両端部で振幅が小さい。検波信号c1〜c3は、この振幅変化に応じたパルス列となり、そのパルスのピークが、それぞれシンボル区間の前半、中央、および後半に位置する形状となる。このピーク位置は、拡散変調信号qの周波数掃引のパラメータと各々の帯域通過手段の特性により決定される。従って、本実施例のように、他系統のフレーム信号のタイミングを用いて復号パケットの抽出を行なう場合、上記のピーク位置のずれに相当するタイミング補正(図14におけるt23、t13等)を行なうことが好ましい。具体的には、図13の補正遅延量を、観測期間とこのタイミング補正量(フレーム信号参照系統から見た当該系統の遅延量)とを合わせたものとするのがよい。例えば、c3の検波信号の系統のフレーム信号からc1の検波信号の系統の復号パケットの抽出を行なう場合、補正遅延量は、観測期間長とt13(負であるので、実際には減じることになる)とを合わせたものとなる。
【0048】図15は、本発明の第5の実施例の送受信装置のブロック図を示すものである。本実施例において、送信装置10は図1に示した第1の実施例の送信装置10と同様である。また、受信装置204の各部の構成も、第4の実施例の受信装置203とほぼ同様ではあるが、第4の実施例と異なるのは、フレームエラー検出器28A〜28Bの出力で制御される切替え器251A〜251Bと、再生クロックのタイミングを調整する調整器252A〜252Bと、調整器252A〜252Bを通して他系統の再生クロックを参照して判別データ列を出力する復号器23A’〜23B’が付加され、もし、自系統のユニークワード検出器がユニークワード検出に失敗し、フレームエラー検出器がフレームエラー信号を出力した場合、他系統のクロック再生器の出力である再生クロックを用いて復号した判定データ列から復号パケットの抽出を行なう所が異なる。
【0049】以下、図15に一例を示した本実施例について、その動作を図16を用いて説明する。図15において、追加された復号器23A’〜23B’は、それぞれ他系統のクロック再生器25A〜25Bの出力する再生クロックA〜Bを調整器252A〜252Bでタイミング調整した再生クロックA’〜B’を基に、判定データ列A’〜B’を出力する。切替え器251A〜251Bは、対応するフレームエラー検出器28A〜28Bからのフレームエラー信号を受けると、それぞれ接点を切替えて、第1の実施例で説明した、通常の復号器23Aあるいは23Bの出力である判別データ列AあるいはBから、上記の判定データ列A’あるいはB’に切り替える。ユニークワード検出失敗には、種々の理由が考えられるが、再生クロック追従不良によるものならば、第4の実施例のように、他系統からユニークワードのタイミングを与えても、抽出した復号データ中にも、ビット誤りを含む可能性が高い。本実施例では、このような場合、同時に、再生クロックについても、他系統から供給するため、受信品質の向上が望める。
【0050】図16は、Bの系統でユニークワード検出に失敗した時の動作を示している。つまり、検波器22Bの出力する検波信号Bに対して、自系統のクロック再生器25Bの出力する再生クロックBは、追従不良のため、アイパターン(検波信号B内部の菱形部)の端部の部分のタイミングを示しており、復号器23Bの出力する判定データ列Bにはビット誤りが含まれる可能性が高い。一方、他系統のクロック再生器25Aの出力する再生クロックAから調整器252Aを通して得た再生クロックA’を用いて復号器23B’が出力する判定データ列B’には、ビット誤りが少ない可能性がある。いま、判定データ列Bにビット誤りが含まれ、ユニークワードが検出されず、第3の実施例で説明したのと同様、フレームエラー信号Bが出力されると、切替え器251Bは、判定データ列B’の方をパケット抽出器27B’に供給し、同時に、パケット抽出器27B’は、第4の実施例と同様、フレームエラー信号Bをフレーム信号の代替として復号データパケットの抽出動作を開始する。このようにして、品質の良い可能性が高い判定データ列B’を選択することになるので、さらに、受信品質の向上が望める。
【0051】なお、調整器252A〜252Bによる、調整時間は、通常は信号処理遅延相当分、あるいは、無くしてもよいが、第4の実施例と同様、スペクトラム拡散信号aのシンボル内波形がチャープ波形である場合は、図14のt23〜t13に例示したような、拡散変調信号qの周波数掃引のパラメータと各々の帯域通過手段の特性により決定される遅延量を加える必要がある。一方、補正遅延量に関しては、観測期間相当分を再生クロック繰り返し周期単位で遅延させればよい。ただ、第4の実施例と異なるのは、この補正遅延量は、パケット抽出器27A’〜27B’の入力側ではなく、復号器23A’〜23B’の入力側の検波信号cを遅延させるか、あるいは、出力側の判定データ列を遅延させて行なう。
【0052】なお、本実施例においても、第4の実施例と同様、図15は受信系統が2系統の場合について示しているが、3系統以上ある時も、そのまま拡張できるので以上の説明は同様に適用される。
【0053】また、4相系以上の多値伝送の時、第4の実施例と同様、復号器23A〜23Bおよび23A’〜23B’の出力は、内部にパラレル・シリアル変換器を有し、ビットクロックおよび判定ビットデータであってもよいが、ビットずれによる復号データパケットの抽出失敗の頻度を減ずるため、シンボルクロックおよび判定シンボルデータであるものの方が好ましい。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明は、スペクトラム拡散信号を入力しその信号の帯域内の部分的な、複数帯域の信号成分のみを取り出して得られる中間信号を検波し、常に良好な受信状態にある方の検波出力から復号データを得るので、強力な妨害波や周波数選択性ひずみによる誤り率の劣化を軽減することができる。




 

 


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