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情報記録媒体 - 松下電器産業株式会社
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発明の名称 情報記録媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−44923
公開日 平成7年(1995)2月14日
出願番号 特願平5−186013
出願日 平成5年(1993)7月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小鍜治 明 (外2名)
発明者 牛込 恒 / 大嶋 光昭
要約 目的
情報記録媒体の磁気記録層の各層の透明性や隠蔽性を満たしつつ、低電気抵抗性を実現した情報記録媒体を作製すること。

構成
光記録層を持つ円盤状の記録媒体の反対面に磁気記録層を設け、この磁気記録層が非磁性支持体4上に磁性層5、隠蔽層6、印刷層8、印刷保護層9を順に塗布してなる磁気記録層であり、前記の各層の内少なくとも1層以上に導電性物質を含有する。
特許請求の範囲
【請求項1】光記録層または光磁気記録層を持つ円盤状の記録媒体の反対面に磁気記録層を設ける情報記録媒体において、この磁気記録層が非磁性支持体上に磁性層、隠蔽層、印刷層、および印刷保護層を順に塗布してなる磁気記録層であり、前記の各層の内少なくとも1層以上に導電性物質を含有することを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】導電性物質を含有する層が磁性層であることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
【請求項3】導電性物質を含有する層が隠蔽層であることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
【請求項4】導電性物質を含有する層が印刷層であることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
【請求項5】導電性物質を含有する層が印刷保護層であることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
【請求項6】導電性物質が導電性粉体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の情報記録媒体。
【請求項7】導電性物質が導電性高分子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の情報記録媒体。
【請求項8】導電性物質が導電性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の情報記録媒体。
【請求項9】導電性粉体が導電性酸化錫であることを特徴とする請求項6記載の情報記録媒体。
【請求項10】導電性粉体が導電性酸化チタンであり、かつ印刷保護層以外の層に含有されることを特徴とする請求項6記載の情報記録媒体。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は情報記録媒体に関するものであり、CDやMDにおいて磁気記録の録再が可能となるような磁気記録層を付与した情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、CDやMDの発展は長足の進歩を遂げ、益々の高性能化が求められている。また、再生機能だけのCDやMDに対して、磁気記録の録再機能を付与した媒体の開発が求められてきている。これらの媒体では、磁性層とその上のレ−ベル印刷のための下地層としての隠蔽層、更にその上に印刷層、および印刷保護層を形成させることになる(図1参照)。ここで各層が充分に低い電気抵抗値を持つことが必要であることは言うまでもない。即ち、例えば隠蔽層の電気抵抗値が高いと、印刷層および印刷保護層の印刷時には隠蔽層の表面は帯電し易いので、空気中の塵埃を付着しやすくなり印刷適性は悪くなる。また、印刷保護層の電気抵抗値も低くなければ同じく塵埃を付着しやすく、付着した塵埃はこれらの媒体の実用上の信頼性の低下を招来し問題となる。特に、この新しい情報記録媒体ではカセットケ−スは無く、磁気記録層が剥き出しの状態で使用されるために、日常生活での使用環境下の空気中の塵埃に対する対策は重要である。
【0003】ところで、印刷保護層では電気抵抗値の低下のほかに、印刷保護層の透明性も要求されかつ低ヘッド磨耗性も要求されるなどの困難な問題があった。従来の技術では、可視光線に対して優れた透明性を確保しかつ電気抵抗値を充分に低くし、低ヘッド磨耗性を実現するような技術報告はなかった。開示された関連特許としては特開平4−64938号公報しかなく、この特許内容は光磁気記録層の上に保護層を形成する構成で、保護層は粒子径が0.1〜0.3μmの導電性酸化錫を含有した硬化型樹脂となっているが、本発明の内容とは相違している。
【0004】次に、隠蔽層の電気抵抗値を低下させるには、従来のようなカ−ボンブラックを含有させる手法は不適切であった。なぜなら、レ−ベル印刷がフルカラ−の場合には、印刷の下地層としての隠蔽層は白色であることが必要であり、隠蔽層にカ−ボンブラックを含有させることは隠蔽層の色を黒化(または灰色化)させてしまうからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本情報記録媒体において、磁気記録層の各層の透明性や隠蔽性を満たしつつ、低電気抵抗性を実現することが本発明の解決すべき課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために本発明は、光記録層または光磁気記録層を持つ円盤状の記録媒体の反対面に磁気記録層を設ける情報記録媒体において、この磁気記録層が非磁性支持体上に磁性層、隠蔽層、印刷層、および印刷保護層を順に塗布してなる磁気記録層であり、前記の各層の内少なくとも1層以上に導電性物質を含有する構成としている。
【0007】
【作用】導電性物質としては導電性粉体、導電性高分子、および導電性樹脂がある。導電性粉体としては透明性の導電性酸化錫、白色性の導電性酸化チタンなどがある。導電性酸化錫はSbをド−プしたSnO2 の組成であり、1〜2Ωcm(100kg/cm3 圧粉体)の比抵抗値を持ち透明性である。導電性酸化チタンは、二酸化チタン(TiO2 )を二酸化スズ(SnO2 )で被覆し、Sbをド−プした構造になっている。このため、基材としてのTiO2 が白色顔料であることから導電性酸化チタンを含有する隠蔽層は白色となり、SnO2 (Sb)の働きで隠蔽層は導電性になる。導電性高分子としてはポリアニリン、ポリピロ−ル、ポリチオフェンなどがある。導電性樹脂としては導電性粉体と非導電性高分子(塩ビ系共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂など)との複合体がある。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0009】導電性酸化錫を印刷保護層に含有する場合を実施例1〜3、含有しない場合(即ち、無添加)を比較例1として記述する。
【0010】下記の材料を(表1)に示す配合で混合分散し、印刷保護層用塗料として調製する。
導電性酸化錫(石原産業(株)製、品番;SN−100 、粒子径は0.1μm以下)・・・・・表1に記載塩ビ系共重合体樹脂(日本ゼオン(株)製、品番;MR−110)・50重量部ポリウレタン樹脂(東洋紡(株)製、品番;UR−8530)・・・50重量部硬化剤(日本ポリウレタン(株)製、品番;H−101)・・・・・20重量部混合有機溶剤(MEK/トルエン/シクロヘキサノン)=3/3/1(重量比)は、最終塗料がNV(不揮発成分の重量%)=57%になるように調整して添加する。この印刷保護層用塗料は、サンドミルで充分に分散調製した。
【0011】印刷保護層の単独膜自身での電気抵抗値を測定するために、この塗料を62μm厚のPETベ−ス上に汎用の塗工機を用いて塗布して、5μm厚の塗膜を形成した。
【0012】この試料塗膜について、まず電気抵抗値の測定を以下のようにして測定した。高電気抵抗測定機(YHP 製、機種:4329A)を用いて、測定電圧=100V、試料巾=1.5cm、端子間距離=5.0cmとし、読み取りの実測値(単位;Ω)をAとし、表面電気抵抗値=1.5×2×A/5=0.6×A(単位;Ω/□)に換算した。この結果を(表1)に記載する。
【0013】
【表1】

【0014】(表1)の結果より、実施例では電気抵抗値が低下していることが明らかである。尚、試料塗膜は実施例、比較例でも透明である。
【0015】次に、導電性酸化チタンを隠蔽層用塗料に使用する場合を実施例4〜6、使用しない場合(即ち、無添加)を比較例2として記述する。
【0016】下記の材料を(表2)に示す配合で混合分散し、隠蔽層用塗料として調製する。
非導電性の酸化チタン(石原産業(株)製、品番;R−580)・・表2に記載導電性酸化チタン(石原産業(株)製、品番;ET−500W)・・表2に記載塩ビ系共重合体樹脂(日本ゼオン(株)、品番;MR−110)・・10重量部ポリウレタン樹脂(東洋紡(株)、品番;UR−8530)・・・・10重量部混合有機溶剤(MEK/トルエン/シクロヘキサノン)=3/3/1(重量比)は、塗料がNV=57%になるように調整して添加する。
【0017】同様に、下記の材料を混合分散し、磁性層用塗料として調製する。
Baフェライト磁性粉(東芝(株)製、品番;BFG−30V8)100重量部塩ビ系共重合体樹脂(日本ゼオン(株)製、品番;MR−110)・13重量部ポリウレタン樹脂(東洋紡(株)製、品番;UR−8530)・・・・6重量部混合有機溶剤(MEK/トルエン/シクロヘキサノン)=3/3/1(重量比)は、塗料がNV=32%になるように調整して添加する。
【0018】隠蔽層用塗料、磁性層用塗料はいずれも、サンドミルで充分に分散調製した。次に、まず磁性層用塗料を62μm厚のPETベ−ス上に汎用の塗工機を用いて塗布して磁性層(5μm厚み)を形成し、その上に隠蔽層用塗料を同様に塗布して隠蔽層(3μm厚み)を形成して2層膜とし、90℃−300kg/cmでカレンダ−処理を施した。この試料塗膜について、上述と同様の測定により、電気抵抗値を測定した。
【0019】この結果を(表2)に記載する。
【0020】
【表2】

【0021】(表2)の結果に示すように、導電性酸化チタンの含有率が多くなると電気抵抗値は著しく低下する。
【0022】次に、隠蔽性の評価を目視判定で5段階評価とした。以下に、評価の基準を示す。
隠蔽性が完全なもの・・・・・指数=5隠蔽性がほぼ完全なもの・・・指数=4隠蔽性が中程度なもの・・・・指数=3隠蔽性がかなり不十分なもの・指数=2隠蔽性が全く不充分なもの・・指数=1上記の基準に基づいて、各試料の判定を行った結果を(表3)に示す。
【0023】
【表3】

【0024】(表3)の結果に示すように、隠蔽性はいずれの試料でも良好である。更に、印刷層および印刷保護層を形成させた。印刷層および印刷保護層はUV樹脂を使用し、印刷液もUV樹脂インキである。両層の合計の膜厚は約3μmである。この試料についても同様に、上述の方法で電気抵抗値を測定した。この結果を(表4)に示す。
【0025】
【表4】

【0026】以上の結果から、隠蔽層中に導電性酸化チタンを含有させることにより、隠蔽層の高い白色隠蔽性と低い電気抵抗性を同時に実現できる。このことにより、光記録層および光磁気記録層を持つ円盤状の記録媒体の反対面に磁気記録層を設ける情報記録媒体において、磁気記録層の印刷適性の向上や実用上の信頼性の向上を確保することができる。
【0027】
【発明の効果】以上の結果から明らかなように、各層に導電性物質を含有させればその層の電気抵抗値は著しく低下する。また、そのすぐ上の層の電気抵抗値も影響を受けて低下することになる。印刷保護層の電気抵抗値を低下させるには、下層の印刷層を隠蔽しないようにするために印刷保護層は透明性でなければならない。このためには、印刷保護層に含有する導電性物質は導電性酸化錫が有用である。逆に、隠蔽層は被印刷層でもあり、下層の磁性層を完全に隠蔽する必要があるので、隠蔽層は白色でなければならない。このために隠蔽層に含有する導電性物質は、導電性酸化チタンが有用である。
【0028】尚、多くの場合に有色である導電性高分子でも、その隠蔽性の色として白色にこだわらなければ有用である。実際に導電性高分子としてのポリアニリンは淡い若草色であり、当然ながら導電性もあり、被印刷層の樹脂としての使い方も可能である。
【0029】更に、導電性粉体と樹脂(非導電性)の複合体としての導電性樹脂も有用である。導電性粉体が導電性酸化錫なら透明に近い導電性樹脂となり、導電性粉体が導電性酸化チタンならば白色の導電性樹脂となる。
【0030】以上の導電性粉体、導電性高分子、導電性樹脂は目的と用途によって自由に使用でき、いずれも各層に必要以上の含有率で含有させれば、印刷適性の向上と最終の情報記録媒体の実用上の品質特性が向上する。




 

 


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