発明の名称 |
スピーカ用フレーム |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開平7−38992 |
公開日 |
平成7年(1995)2月7日 |
出願番号 |
特願平5−179621 |
出願日 |
平成5年(1993)7月21日 |
代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小鍜治 明 (外2名)
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発明者 |
西田 滋 |
要約 |
目的 各種スピーカに使用されるスピーカ用フレームに関し、スピーカに接続されるコードを固定する際に保護チューブが必要で、コード固定力が弱いという問題点を解決し、優れたスピーカ用フレームを提供することを目的とする。
構成 振動板の周縁を固着する固着面2と磁気回路を結合する結合面3とを連結する支持部4にスピーカに接続されるコードの幅よりも大きい幅と深さを有した凹部1を設けた構成とし、支持部4の凹部1にコードを挿入しホットメルト接着剤により固定することにより、コードに保護チューブをする必要がなくなると共にコード引き出しを自由に設定することができる。 |
特許請求の範囲
【請求項1】 内周部に磁気回路を結合する結合面を設け、外周部に振動板の周縁を固着する固着面を設け、上記結合面と固着面を連結する複数の支持部にスピーカに接続されるコードの幅よりも大きい幅と深さを有したコード埋設用の凹部を設けてなるスピーカ用フレーム。
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発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は各種音響機器に使用されるスピーカ用フレームに関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、スピーカは車載用に多用されるようになり、それに伴ってコード付のスピーカが利用されており、フレームの一部にコード固定部が設けられており、このような従来のスピーカ用フレームについて以下に図面を用いて説明する。 【0003】図4は従来のスピーカ用フレームの構成を示す斜視図、図5(a),(b)はその要部を拡大した斜視図と側面図であり、コード固定方法を示すものである。図4,図5において、8はコード固定用切り起こし部、9は振動板の周縁を貼り付ける固着面、10は磁気回路を結合する結合面、11は固着面9と結合面10を連結する支持部、12は支持部11間に形成されたスピーカ背圧用の窓穴、13はスピーカに接続されるコード、14はコード13に被覆される保護チューブである。 【0004】以上のように構成された従来のスピーカ用フレームは、図5(a)に示すようにコード13を塩化ビニールなどからなる保護チューブ14で保護して切り起こし部8と支持部11との隙間に挿入し、図5(b)に示すように切り起こし部8を強制的に変形させてコード13を固定するようにしていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の構成では、切り起こし部8に切断面があるためにコード13に保護チューブ14が必要であり、またコード引き出し方向も限定され、さらにコード13を固定する力が支持部11の幅に依存するものであり、固定力を上げようとするとスピーカの背圧の逃げである窓穴12が減少してしまい、相反する関係になるという問題点を有していた。 【0006】本発明は上記従来の問題点を解決するもので、切断面がなく引き出し方法も自由に設定でき、かつコード固定力を維持したまま窓穴を大きくとることができる優れたスピーカ用フレームを提供することを目的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】この課題を解決するために本発明のスピーカ用フレームは、振動板の周縁を固着する固着面と磁気回路を結合する結合面とを連結する支持部にスピーカに接続されるコードの幅よりも大きい幅と深さを有したコード埋設用の凹部を設けた構成としたものである。 【0008】 【作用】この構成によって、支持部に設けた凹部にスピーカに接続されるコードを挿入してホットメルト接着剤を注入することによりコードを容易に固定することができるようになり、従ってこの凹部には切断面がなく、コードに保護チューブを被覆する必要がない。又、コードを固定する凹部は各支持部に同一構造でそれぞれ設けているため、コード引き出しを自由に設定することができる。 【0009】 【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。 【0010】図1は同実施例におけるスピーカ用フレームを示すものであり、通常、材料は厚さ0.7mm程度の薄肉鉄板で構成されている。図1において1はコード固定用の凹部、2は振動板の周縁を固着する固着面、3は磁気回路を結合する結合面、4は固着面2と結合面3を連結する支持部、5は支持部4間に形成されたスピーカ背圧用の窓穴である。 【0011】図2(a),(b)は上記図1のコード固定用の凹部1の近傍を拡大して示した要部斜視図であり、図2(a),(b)において6はスピーカに接続されるコード、7はホットメルト接着剤を示し、図2(a)に示すように支持部4に設けたコード固定用の凹部1にスピーカに接続されるコード6を埋設し、図2(b)に示すようにホットメルト接着剤7をコード6の上から凹部1内に充填した後、ホットメルト接着剤7を硬化させることによって容易にコード6をスピーカ用フレームに固定することができる。 【0012】また、上記凹部1は支持部4を絞り成形した構成としているために鉄板の破断面が存在せず、この結果コード6に傷をつける心配がなくなり、従来のようにコード6を保護チューブで被覆することは不要となるばかりでなく、凹部1を各支持部4にそれぞれ設けることによってコード引き出し方向を自由に設定することができるものである。 【0013】さらに、凹部1の構造は支持部4の強度を向上させることができるものであり、このため支持部4の幅を狭くして窓穴5の面積を大きくし、スピーカの性能を向上させることが可能となるもので、これを具体的に示したのが図3であり、本実施例によるスピーカ用フレームの図中斜線で示す窓穴5の総面積は4.626mm2となり、図6に示す同じ大きさの従来のスピーカ用フレームの同面積が3.726mm2であることと比較すると約24%の面積向上を図っていることがわかり、スピーカの背圧による障害をなくして性能向上に寄与することがわかる。 【0014】 【発明の効果】以上のように本発明のスピーカ用フレームは振動板の周縁を固着する固着面と、磁気回路を結合する結合面とを連結する支持部にスピーカに接続されるコードを固定するための凹部を設けた構成とすることにより、コードをホットメルト接着剤で固定するだけでよく、コード固定用の特別の切り起こしが不要で、かつ固定部近傍に鉄板破断面がないため振動等によるコードの摩耗切断がなくなって対策用の保護チューブも必要がなくなり、コスト低減と品質向上を図ることができる。 【0015】又、コードを収納する凹部も各支持部にあり、引き出し方向の自由度が向上できる。 【0016】さらに、音質的に見ても支持部の幅を小さくすることができることから窓穴開口を大きくとれてスピーカ背圧障害を軽減でき、実用上きわめて有利なものである。
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