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発明の名称 有孔コンクリート打設管
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−133666
公開日 平成7年(1995)5月23日
出願番号 特願平5−304792
出願日 平成5年(1993)11月9日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】砂場 哲郎
発明者 堀江 洋一
要約 目的
階高のある垂直部材のコンクリートを材料分離させずに効率よく打設する。

構成
鋼管10の下端からの有孔区間に複数の長孔状のコンクリート吐出口20を管長手方向に所定間隔をあけて形成する。この鋼管10を型枠内の所定深さまで吊持しながら挿入してコンクリート吐出口20からコンクリートを打設する。
特許請求の範囲
【請求項1】管の下端からの有孔区間に複数の長孔状のコンクリート吐出口が管長手方向に所定間隔をあけて形成され、該管を型枠内の所定深さまで吊持しながら挿入して前記コンクリート吐出口からコンクリートを打設するようにしたことを特徴とする有孔コンクリート打設管。
【請求項2】前記コンクリート吐出口は1対の同形の長孔が対向位置に形成されるとともに、該1対の同形の長孔が前記管の長手方向に千鳥状に配置され、前記長孔が前記型枠内で四方を向くようにしたことを特徴とする請求項1記載の有孔コンクリート打設管。
【請求項3】前記管は下端が略円錐台形状に尖った先細り形状であることを特徴とする請求項1記載の有孔コンクリート打設管。
【請求項4】前記管は上端位置に点検口が形成されたことを特徴とする請求項1記載の有孔コンクリート打設管。
【請求項5】前記管の有孔区間は1層のコンクリート打設高にほぼ等しくなるように設定されたことを特徴とする請求項1記載の有孔コンクリート打設管。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有孔コンクリート打設管に係り、特に階高の高い場合の躯体コンクリートを分離させずに効率よく打設できる有孔コンクリート打設管に関する。
【0002】
【従来の技術】一般のRC造の建物は階高が3〜4mであるため、上層階フロアから1度に1層(1階)分のコンクリートを打設することが多い。これに対して倉庫や工場等の建物では階高が5〜6m程度あるものも多く、このような場合にも壁や柱等の垂直部材のコンクリートを最上部から1度に打設すると、コンクリートの自由落下高さが大きくなりすぎてコンクリートの材料分離が生じ、落下位置のコンクリートに豆板やジャンカ等のコンクリート欠陥が生じてしまうという問題がある。そこで、従来はゴム製や樹脂製のフレキシブルホースを型枠内の階高の途中位置まで挿入し、コンクリートの自由落下高さを小さくしてコンクリートを打設する方法等がとられていた。また、壁厚が薄くフレキシブルホースが挿入できないような部分では自由落下高さが大きくならないような箇所にコンクリートを打設し、その後打設されたコンクリートを振動バイブレータ等により締め固めていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のような打設方法では構造物の寸法や形状によってはフレキシブルホースの下端をコンクリートの材料分離が生じない自由落下高さの範囲まで降ろすことができず、挿入できる位置からコンクリートを型枠内に落下させざるを得ない場合が多い。このような場合には依然として豆板やジャンカが発生し、コンクリートの品質が部分的に悪くなるという問題がある。
【0004】また、所定位置からコンクリートを自由落下させるので、骨材やセメントペーストが鉄筋にぶつかって飛び散り、飛び散った細かいセメントペーストが型枠面に付着して硬化してしまうことがある。この型枠面に付着したコンクリートはドライアウトになりやすく、強度も低下した状態になる。この状態で上層部分のコンクリートが打設されると、型枠を脱型したときにコンクリート表面に細かい凹凸ができたり、コンクリート表面が薄皮状に剥離するなどの欠陥が生じ、コンクリート表面の手直し作業をしなければならない。また脱型した型枠表面に付着して硬化したコンクリートを取り除くという手間のかかる作業が発生するという問題もある。なお、ドライアウトとは型枠表面に付着したコンクリートが吸水、乾燥が早すぎてコンクリート硬化に必要な結晶水が得られない状態をさす。
【0005】そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、コンクリート打設管を所定位置まで挿入してコンクリートを自由落下させずに打設できるようにした有孔コンクリート打設管を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は管の下端からの有孔区間に複数の長孔状のコンクリート吐出口が管長手方向に所定間隔をあけて形成され、該管を型枠内の所定深さまで吊持しながら挿入して前記コンクリート吐出口からコンクリートを打設するようにしたことを特徴とするものである。このとき前記コンクリート吐出口は1対の同形の長孔が対向位置に形成されるとともに、該1対の同形の長孔が前記管の長手方向に千鳥状に配置され、前記長孔が前記型枠内で四方を向くようにすることが好ましい。また、前記管は下端が略円錐台形状に尖った先細り形状にしたり、上端位置に点検口を形成することが好ましい。さらに前記管の有孔区間は1層のコンクリート打設高にほぼ等しくなるように設定することが好ましい。
【0007】
【作用】本発明によれば、管の下端からの有孔区間に複数の長孔状のコンクリート吐出口が管長手方向に所定間隔をあけて形成され、該管を型枠内の所定深さまで吊持しながら挿入して前記コンクリート吐出口からコンクリートを打設するようにしたので、階高のある垂直部材にコンクリートを打設する際にコンクリートを型枠内で自由落下させずに連続的に打設できるとともに、効率よく打設作業を行うことができる。
【0008】
【実施例】以下本発明による有孔コンクリート打設管の一実施例を添付図面を参照して説明する。図1は有孔コンクリート打設管の全体を示した全体図である。この有孔コンクリート打設管10は下端から所定の範囲(以下、有孔区間と記す。)にわたって複数の長孔状のコンクリート吐出口(以下、長孔と記す。)が形成された縦使いコンクリート打設管である。本実施例では有孔コンクリート打設管10の全長は、コンクリートを打設する建物の階高より50cm程度長くなるように設定され、使用鋼管の材質は配管用炭素鋼鋼管(SGP管)で、管径が呼び径100A(外径114.3mm)のものが使用されている。
【0009】ここで有孔コンクリート打設管10の形状について説明する。有孔コンクリート打設管10の上端には所定曲げ半径のエルボ11が形成されており、エルボ11の端面位置には管接合用のフランジ12が溶接されている。このフランジ12により図示しないコンクリートポンプから延設されたコンクリート圧送管13の端部のフランジとをコンクリート圧送管ジョイント金具14で接合できるようになっている。
【0010】また、直管部の上端位置には有孔コンクリート打設管10を吊持可能な吊りフック15が固着されている。この吊りフック15にはクレーン等の揚重機のワイヤ16を定着することができる。この吊り点で有孔コンクリート打設管10を吊持することによりコンクリート打設中に有孔コンクリート打設管10をほぼ垂直な状態に保持できるとともに、左右の吊りフック15にチェーン(図示せず)を通し、型枠上端等にチェーンの端部をそれぞれ定着してコンクリート打設中の有孔コンクリート打設管10の位置を保持しておくことが好ましい。コンクリート打設後は打設管10を吊り上げて型枠内の他の打設位置に容易に移動させることができる。
【0011】また、有孔コンクリート打設管10の上端付近にはコンクリート打設点検口21が形成されている。このコンクリート打設点検口21は階高分のコンクリートの打設状況と打設管内のコンクリートの閉塞状況を確認するために利用されるようになっている。
【0012】一方、有孔コンクリート打設管10の下端にはコンクリート吐出口17を有する略円錐台状をなす先端カバー18が固着されている。この先端カバー18により打設管の先端を細く尖った形状にでき、薄い壁内に有孔コンクリート打設管10を挿入した場合にも型枠内の鉄筋やセパレータと競ることなく、有孔コンクリート打設管10を確実に早く打設位置まで挿入させることができる。また、打設間隔があいて旧コンクリートの表面に打継ぎ面が形成されても先端カバー18を旧コンクリートの打継ぎ面に再貫入させて新旧コンクリートを一体化させることができるという利点もある。
【0013】さらに有孔コンクリート打設管10の下端からの有孔区間において、所定間隔をあけて複数の長孔20が形成されている。この有孔区間はこの有孔コンクリート打設管10により1度にコンクリートを打設する高さの範囲にほぼ等しい範囲に設定されている。有孔コンクリート打設管10の周面には図1(a)、(b)に示したように同じ高さで1対の同形の長孔20が対向するように形成され、さらに管長手方向に対して上下で隣接する長孔20が互いに90°をなすように千鳥状に配置されている。これにより有孔コンクリート打設管10内を圧送されてきたコンクリートは長孔20から型枠内の四方に吐出され、型枠内に万遍なく行き渡る。また、同じ高さで1対の同形の長孔20が対向するように配置されているので、圧送されてきたコンクリートは図1(c)に示したように両側の長孔20から同時に吐出される。このとき打設管10はコンクリートが吐出する勢いで振れようとするが、その振れは反対方向に作用するので、打設管10全体の振れを防止することができる。このため打設時に吐出するコンクリートで打設管が型枠内の鉄筋等にぶつかったりするのを防止することができる。なお、本実施例で打設管に形成された長孔20は長径が約40cm、短径が約13cmの長円形(本明細書では両端が略半円形をなし、平行な長辺部を有するものをさして長円形という。)で開孔間隔は長手方向に約45cmに設定されている。この長孔20の形状としては長円形以外にも、略楕円形や長方形にくり抜いたものでも良い。
【0014】次に、この有孔コンクリート打設管を使用して壁高さが約6mある壁コンクリートの打設作業を例に、その打設手順について図2を参照して説明する。同図(a)は壁コンクリートWの打設状況を示した施工状況図である。同図に示したように作業員30は上層階の型枠スラブ31上で打設作業を行うようになっている。このとき有孔コンクリート打設管10はクレーン(図示せず)により壁型枠32内の所定位置に吊り込まれ、下端は下層スラブ33上に到達するまで挿入されている。この状態でコンクリートポンプ(図示せず)からコンクリートが圧送される。このとき有孔コンクリート打設管10は下層のコンクリート打設が所定高さまで達するまでは引き抜き抜かずに、一度に打設高約3mの第1層コンクリートW1を打設する。コンクリート天端所定高さまで達するまでこのとき有孔コンクリート打設管10の長孔20の形成される有孔区間はこの1層のコンクリート打設高さとほぼ等しく設定しておくことが好ましい。
【0015】同図(b)は2本の有孔コンクリート打設管10A、10B(以下、両者を区別しない場合には符号10で代表して記す。)を使用して壁コンクリートWを打設状況を示しており、第1層コンクリートW1打設では有孔コンクリート打設管10AをA1位置に、打設管10BをB1位置にセットし、A1位置から打設を開始し、所定高さまで打設したらB1位置の打設を開始する。このときA1位置に打設管10AをA2位置に移動しておき、B1位置で所定高さまで打設が行われたらA2位置での打設を開始する。このときB1位置の打設管10BはB2位置に移動しておき、A2位置での打設が所定高さに達したらB2位置の打設を開始する。以上の手順を繰り返して行うことにより効率の良いコンクリート打設が可能になる。このときの打設管10の据え付け間隔Lは壁厚が20〜35cmの場合にはL=2.5m程度に設定することが好ましい。この程度の据え付け間隔でコンクリートを打設することによりコンクリート打設が「片押し打ち」となるのを防止でき、材料分離の生じない品質の良いコンクリートが得られる。また、打設後の打設管10の引き抜きも容易に行えるので、有孔コンクリート打設管10を移設する作業も迅速に行える。
【0016】次いで打継ぎ間隔があかないように第2層コンクリートW2を打設する。この第2層コンクリートW2の打設高は約3mとなるが、有孔コンクリート打設管10の先端を第1層コンクリートW1の表面に貫入させるようにして据え付け、打継ぎ目が生じないようにコンクリート打設を行う。なお、各打設位置に有孔コンクリート打設管をセットする場合には図1(c)に示したような方向に長孔20を配置することでコンクリートの吐出をスムーズに行うことができる。このとき有孔コンクリート打設管10の吊り込み、据え付け、引き抜き及び移動はクレーン35を利用することが好ましい。
【0017】図3は有孔コンクリート打設管10の変形例を示した全体図である。同図(a)は壁厚が20〜22cm程度の薄い壁や断面寸法の小さい独立柱等を施工する場合に適した有孔コンクリート打設管10の一例を示したものである。この有孔コンクリート打設管10には管径が呼び径80A(外径89.1mm)のSGP管が使用されており、エルボ11とコンクリート圧送管13との接合部との間にはレジューサ(絞り径管)22が設けられている。これによりコンクリート圧送管13の管径と有孔コンクリート打設管10とのすり合わせが確実に行われる。その他、長孔20の寸法等は従来のものと同等でも良く、またコンクリートの吐出性能を低下させない範囲で小さくしても良い。なお、コンクリート圧送能力としては毎時36m3程度は十分に打設可能であり、使用するコンクリートのスランプや骨材の種類等によりコンクリート供給量を適正に設定することが好ましい。
【0018】同図(b)はコンクリートポンプによるコンクリート打設でなく、バケット打設を行うような場合に使用される有孔コンクリート打設管10の一例を示した全体図である。本変形例の場合には上端に形成されるエルボの代わりにホッパ23を設けてバケット(図示せず)から投下されたコンクリートをこのホッパ23を介して有孔コンクリート打設管10内に集め、所定の打設位置にコンクリートを打設するようになっている。
【0019】なお、本実施例による有孔コンクリート打設管10は安価な鋼管加工品である。このため地下工事等において、地中梁が壁の上方に設けられたりしてコンクリート打設後に打設管の引き抜きが困難であるような場合には打設管をコンクリート内に埋殺しにしても良い。このとき有孔コンクリート打設管10の上端部分は切断して回収することができるので、転用して使用することも可能である。
【0020】次に、変形例として壁厚が厚い場合で階高がさらに高い場合の好ましいコンクリート打設管の構成について図4を参照して説明する。図4に示した有孔コンクリート打設管10は長孔20が前述のように形成された有孔区間のみからなる打設管P2と、所定本数を連結可能なジョイント管P1と、上端に点検口21を有するジョイント管P2とから構成されている。ジョイント管P0、P1は無孔区間に相当し、同図(b)に示したように打設高さによりジョイント管P1の本数を調整して打設管P2の位置を適正位置に設定するようになっている。本変形例では各管は管端部に形成されたネジ部によるネジ接合で接続されているが、エルボ管Eとの接続のようにフランジ接合としても良い。このときフランジ幅は配筋された鉄筋の離れを考慮して管設置時に打設管が鉄筋に干渉しない程度の寸法にすることが好ましい。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば階高の高い壁や柱のコンクリートを打設する際に材料を分離させずに良好な品質のコンクリートを打設することができるという効果を奏する。また、迅速なコンクリート打設により打継ぎ目の発生を防止できるという効果も期待できる。


 

 


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