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発明の名称 可逆感熱記録材料およびその記録方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−25144
公開日 平成7年(1995)1月27日
出願番号 特願平5−153322
出願日 平成5年(1993)6月24日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】池内 寛幸 (外1名)
発明者 鈴木 正明 / 上野 貴由 / 岸本 良雄
要約 目的
有機結晶粒子としてジチオ脂肪族ジカルボン酸を用いて、加熱により可逆的に記録、消去が可能な可逆感熱記録材料を構成し、広範な記録・消去温度特性を有し記録安定性に優れた記録媒体を提供する。

構成
有機結晶粒子5としてジチオジプロピオン酸(融点157℃)1gを用い、マトリクスポリマ6として塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂3gとを、テトラヒドロフラン15gに溶解して塗料を作製して、アルミ蒸着層2を形成した高分子シート1上に、可逆感熱記録層3を12μmの厚さで形成した。その上にさらに紫外線硬化形アクリル樹脂の表面保護層4を作製して可逆感熱記録媒体を得た。この可逆感熱記録媒体は、有機結晶粒子5の融点以下の約110〜155℃で不透明化記録でき、感熱ヘッドによって約157℃以上の熱エネルギーを与えて透明印字パターンとして表示することができた。
特許請求の範囲
【請求項1】 有機結晶粒子がマトリクスポリマ中に分散された高分子組成物よりなる記録材料であって、前記有機結晶粒子がジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも1種類含むことを特徴とする可逆感熱記録材料。
【請求項2】 ジチオ脂肪族ジカルボン酸がジチオジプロピオン酸である請求項1に記載の可逆感熱記録材料。
【請求項3】 有機結晶粒子がマトリクスポリマ中に分散された高分子組成物よりなる記録材料であって、前記有機結晶粒子がジチオ脂肪族ジカルボン酸(D)と脂肪酸(F)とからなり、その重量割合が、D/(D+F)<0.8であることを特徴とする可逆感熱記録材料。
【請求項4】 ジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも1種類含む有機結晶粒子が、マトリクスポリマ中に分散された高分子組成物よりなる可逆感熱記録材料を用いた記録方法であって、前記有機結晶粒子の融点以上の記録エネルギーで透明記録し、前記有機結晶粒子の融点から融点以下50℃の範囲内の記録エネルギーで不透明記録することを特徴とする可逆感熱記録材料の記録方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱により可逆的に記録、消去が可能な可逆感熱記録材料に関するものである。さらに詳しくは、例えば定期券、切符、回数券などプリペイドカードなどとして用いられる書換え可能な表示機能付きメモリーカードや、ICカード、ファクシミリ用記録紙などに有用な可逆感熱記録材料およびその記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マトリクスポリマ中の有機結晶粒子の融解・凝固挙動を利用して、その凝固条件によって記録材料の透明性が変化することを利用する可逆感熱記録材料は知られている。この可逆感熱記録材料は、熱によって微粒子を融解させ再び固化しその条件によって凝固形態(多結晶状態、単結晶状態、無定形状態、非晶質状態など)の透明性に違いを生じさせて、透明−不透明の記録を行うものである。この感熱記録材料は、特開昭54−119377号公報に提案されているように、マトリクスポリマと次のような有機分子との組合せにより、きわめて多様な記録材料を構成できる。ここに提案された有機分子としては、脂肪族、芳香族のアルコール、カルボン酸、アミン、アミドおよび、これらのハロゲン化物、硫化物などがある。また一方、マトリクスポリマとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル酸、スチロール、シリコーン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の一般的なポリマが提案されている。また、記録性能を向上するための材料構成が検討され、特開昭57−82087号公報、特開昭57−82088号公報、特開平2−155786号公報、特開平3−2089号公報などに提案されている。
【0003】可逆感熱記録材料に要請される要素としては、可逆感熱記録性および記録特性の有無が挙げられ、この材料を応用した可逆感熱記録媒体としては、保存安定性、繰返し特性及びコントラスト等が挙げられる。従って、可逆感熱記録材料としてもこれら全ての要素を満足する必要があり、これらの要求特性を満足させるため、可逆感熱記録材料の有機結晶粒子として多くの有機化合物が検討され、可逆記録性および記録特性の有無、その性能あるいはコントラストに関して、有機結晶粒子の融点および、有機結晶粒子の構成化合物とマトリクスポリマとの間に生じる水素結合性相互作用の強さが重要であることが、特開平4−299177号公報、特開平4−299178号公報などに提案されている。
【0004】このような可逆感熱記録材料は、一般的には、有機結晶粒子の融点とマトリクスポリマのガラス転移温度で決定される透明記録温度領域に加熱することによって透明化され、それ以上の温度に加熱されることによって不透明化した情報を記録する。すなわち、高温モードで不透明記録を行い、低温モードで透明記録して消去を行うことができる。それぞれのモードの加熱の繰り返しによって記録、消去を繰り返して行うことができる。
【0005】また、前述の記録方式とは逆パターンの記録方式が特開平3−169590号公報に提案されており、有機結晶粒子として飽和脂肪酸を用い、マトリクスポリマとしてスチレン・ブタジエン共重合体が用いられている。この場合には、有機結晶粒子の融点温度以下の温度領域の加熱によって不透明化され、それ以上の温度で加熱されることによって透明化した情報を記録することができる。すなわち、高温モードで透明記録を行い、低温モードで不透明記録して消去を行うことができる。他に、この方式で記録できる材料構成としては、マトリクスポリマにポリビニルブチラールを用いた記録材料が特開平4−363294号公報に提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来多くの有機結晶粒子が提案されているが、それらを用いて作られた記録材料は透明化温度が数十℃であるため記録の保存安定性に劣り、かつその透明化温度範囲は数℃と狭いため記録条件に余裕度がないという問題があった。また、この記録特性を向上させるために、脂肪族飽和ジカルボン酸を用いた混合有機結晶粒子の使用が特開平3−2089号公報に提案されているが、炭素数の大きな化合物を用いているために溶剤への溶解性が悪く塗料の安定性が悪いなどの問題があった。
【0007】さらに、逆パターンの記録方式についても、特開平3−169590号公報に提案されているステアリン酸(融点70℃)とスチレン・ブタジエン共重合樹脂からなる可逆感熱記録材料において、不透明化温度領域が約55℃〜70℃でその温度幅が約15℃であり、比較的記録余裕度はあるが不透明記録温度が低いために安定な記録や保存を行いにくいという問題があった。
【0008】本発明は、前記従来の問題を解決するため、記録温度が高く安定な記録ができると共に逆パターンの記録可能な新規な可逆感熱記録材料およびその記録方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明の第一の可逆感熱記録材料は、有機結晶粒子がマトリクスポリマ中に分散された高分子組成物よりなる記録材料であって、前記有機結晶粒子がジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも1種類含むことを特徴とする。
【0010】前記可逆感熱記録材料においては、前記ジチオ脂肪族ジカルボン酸がジチオジプロピオン酸であることが好ましい。また、本発明の第二の可逆感熱記録材料は、有機結晶粒子がマトリクスポリマ中に分散された高分子組成物よりなる記録材料であって、前記有機結晶粒子がジチオ脂肪族ジカルボン酸(D)と脂肪酸(F)とからなり、その重量割合が、D/(D+F)<0.8であることを特徴とする。
【0011】また、本発明の可逆感熱記録材料の記録方法は、ジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも1種類含む有機結晶粒子が、マトリクスポリマ中に分散された高分子組成物よりなる可逆感熱記録材料を用いた記録方法であって、前記有機結晶粒子の融点以上の記録エネルギーで透明記録し、前記有機結晶粒子の融点から融点以下50℃の範囲内の記録エネルギーで不透明記録することを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明の第一の可逆感熱記録材料の構成によれば、有機結晶粒子が一般式(化1)で示されるジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも1種類含むので、有機溶媒への溶解性が向上している。
【0013】
【化1】

【0014】この化合物は、優れた溶剤への溶解性と適度なマトリクスポリマとの相互作用、また混合有機結晶粒子としては他の化合物との適度な相溶性を有している。そのため、良好な記録特性を示すと考えられる。そして、記録層を形成する際に溶媒への溶解性が良好であるため、優れた塗料安定性が得られ、良好な記録品質を得られることが判明した。特に、(化1)式中のn=1〜3の化合物である、それぞれジチオジグリコール酸(融点107℃)、ジチオジプロピオン酸(融点157℃)、ジチオジ酪酸(融点108℃)は優れた特性が得られた。
【0015】また、前記ジチオ脂肪族ジカルボン酸が、n=2のジチオジプロピオン酸であるという本発明の好ましい構成によれば、優れた記録性能が得られる。また、本発明の第二の可逆感熱記録材料の構成によれば、有機結晶粒子がジチオ脂肪族ジカルボン酸(D)と脂肪酸(F)とからなり、その重量割合が、D/(D+F)<0.8であることにより、有機結晶粒子の融点以上の記録熱エネルギーで不透明記録し、マトリクスポリマのガラス転移温度から有機結晶粒子の融点までの温度範囲内の記録熱エネルギーで透明記録することができる。
【0016】また、本発明の可逆感熱記録材料の記録方法は、ジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも1種類含む有機結晶粒子が、マトリクスポリマ中に分散された高分子組成物よりなる可逆感熱記録材料を用い、前記有機結晶粒子の融点以上の記録エネルギーで透明記録し、前記有機結晶粒子の融点から融点以下50℃の範囲内の記録エネルギーで不透明記録することにより、従来とは逆パターン記録で安定な記録を行うことができる。
【0017】本発明では、有機結晶粒子の構成によって2つの異なる記録方式を用いることができる。第1の記録方式は、有機結晶粒子をジチオ脂肪族ジカルボン酸のみで構成した場合、またはジチオ脂肪族ジカルボン酸(D)と他の脂肪族化合物(F)の混合重量比がD/(D+F)≧0.8でジチオ脂肪族ジカルボン酸の割合を多く構成した場合であり、有機結晶粒子の融点以上の記録熱エネルギーで透明記録し、有機結晶粒子の融点から融点以下50℃の範囲内の記録熱エネルギーで不透明記録することができる。すなわち、(図2)で示すように高温モードで透明記録、低温モードで不透明記録を行い、不透明の白濁した状態に透明の情報を表示することができる。
【0018】第2の記録方式は、有機結晶粒子をジチオ脂肪族ジカルボン酸(D)と他の脂肪族化合物(F)の混合重量比がD/(D+F)<0.8の場合であり、有機結晶粒子の融点以上の記録熱エネルギーで不透明記録し、マトリクスポリマのガラス転移温度から有機結晶粒子の融点までの温度範囲内の記録熱エネルギーで透明記録することができる。すなわち、(図3)に示すように高温モードで不透明記録、低温モードで透明記録を行い、透明な状態に不透明の白濁した情報を表示することができる。
【0019】このように2つの記録方式をとる機構としては、次のように考えられる。第1のジチオ脂肪族ジカルボン酸の含有量が多い場合には、有機結晶粒子の結晶状態が融点以上の加熱で溶解した後の冷却によって非晶質状態になり透明化する(高温モード)。また、融点から融点以下50℃の範囲で加熱するとアニール効果によって結晶化が進んで、マトリクスポリマ中で光を散乱して白濁化、不透明になる(低温モード)と考えられる。第2の場合には、有機結晶粒子の融点以上の加熱によって溶解した後の冷却によって、過冷却状態から結晶化が進んで多結晶状態となりポリマ中で光散乱し、白濁、不透明となる(高温モード)。また、マトリクスポリマのガラス転移温度から有機結晶粒子の融点までの温度範囲の加熱によって、マトリクスポリマの軟化に伴った両者の相互作用が生じて結晶粒界の隙間がなくなるなどの現象によって有機結晶粒子が結晶状態のまま透明になる(低温モード)と考えられる。
【0020】本発明の可逆感熱記録材料の材料構成における特長は、第1の記録方式の場合には、融点温度の比較的高いジチオ脂肪族ジカルボン酸を用いることによって高い温度で記録消去の制御を行うことができるため、サーマルヘッドなどの記録機構との整合性が取り易く、記録の制御性が向上して安定な記録を行うことができることである。
【0021】また、第2の記録方式の場合は、有機結晶粒子に融点の高いジチオ脂肪族ジカルボン酸を混合することによって、脂肪酸など他の脂肪族化合物単体の場合に比べて透明記録温度領域が拡大するため、サーマルヘッドなどの記録機構との整合性が取り易くなり、記録の制御性が向上し、安定な記録を行うことができることである。さらにジチオ脂肪族ジカルボン酸の有機溶剤への溶解性は良好なために、従来のジカルボン酸等の混合化合物と比較して、安定な塗料を得ることができる。
【0022】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を説明する。図1は、本発明の可逆感熱記録を用いた記録媒体の一例の断面概略図であり、アルミ蒸着反射層2を形成した高分子シート1上に、本発明の可逆感熱記録層3を形成している。その記録層3の上にさらに熱硬化性もしくはエネルギー線照射硬化性樹脂からなる表面保護層4が形成されている。可逆感熱記録層3はマトリクスポリマ6と有機結晶粒子5より構成され、加熱温度の違いによる高温モード、低温モードによって、記録層は透明な状態と不透明な状態(光散乱状態)の記録状態をとる。記録については前述のように有機結晶粒子の構成によって2つの異なった記録方式を得られる。
【0023】本発明の有機結晶粒子5は、(化1)の一般式で示されるジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも1種類含んで構成されており、ジチオ脂肪族ジカルボン酸の単独、あるいは少なくとも1種の他の脂肪族化合物との混合物として構成される。ジチオ脂肪族ジカルボン酸(D)と他の脂肪族化合物(F)の重量割合は、好ましくは0.3≦D/(D+F)である。他の脂肪族化合物の割合が多くなり過ぎるとその脂肪族化合物の特性に近づき、透明化温度領域が狭く記録余裕度がなくなるため好ましくない。なお、混合する脂肪族化合物としては、炭素数10以上の炭化水素鎖を有する化合物であり、高級アルコール、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪族ウレア、アルキルアミン、オキシカルボン酸、ジカルボン酸、アルキレンジアミン、アルキレングリコールなどを用いることができ、これらの混合物を用いてもよい。
【0024】一方、本発明のマトリクスポリマ6としては有機結晶粒子5を均一に分散して保持するとともに、高い透明度を有する必要がある。そのため、製膜性が良好で、機械的特性に優れ、光学的に透明な性質のものが好ましい。このような樹脂として、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルエタノールアミン共重合樹脂、塩化ビニル/アクリレート共重合樹脂、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合樹脂、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合樹脂、酢酸セルロース、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、アクリル/メタクリル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどが適用できる。中でも、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/部分ケン化酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルエタノールアミン共重合樹脂、OH基含有ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂などは水素結合基を有し、同じく水素結合基を有する有機結晶粒子との相溶性が高く本発明に適している。これらの樹脂は単独あるいは2種以上混合して使用される。
【0025】マトリクスポリマ6と有機結晶粒子5との組成割合は、重量比で0. 1:1〜20:1が望ましい。さらに好ましくは、0. 3:1〜5:1である。マトリクスポリマ6の比率がこれ以下になると、有機結晶粒子5の化合物分量が多くなりすぎるために記録層の均質な塗布が困難になる。逆にマトリクスポリマ6の比率が高くなると、有機結晶粒子5の量が少なくなるために不透明化が難しくなり、情報のコントラストが悪くなる。
【0026】本発明では、可逆感熱記録層3上に表面保護層4を形成することで、記録時の機械的接触などによる保護の役割を持ち、記録の繰返しにおける耐久性を向上させることができる。また、高温モードで透明記録、低温モードで不透明記録する第1の記録方式では、表面保護層4の存在によって熱の伝達が平均的になり均質な記録状態を得ることができる。
【0027】本発明の可逆感熱記録媒体の表面保護層4の樹脂成分としては、例えばアクリル系樹脂,エポキシ系樹脂,不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が硬度が高いハードコート効果が得られるため好ましい。また、表面保護層4には酸化物超微粒子を含有させることができ、たとえばポリエステル樹脂,ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂であっても適応できる。特に、アクリル系エネルギー線照射硬化性樹脂を用いると、塗布後エネルギー線を照射すると簡単に硬化できるため生産性に富み、また透明性にも優れるため好ましい。アクリル系エネルギー線照射硬化性樹脂としては、アクリロイル基やメタアクリル基を有する透明なものが適しており、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、オリゴエステルアクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂、アクリル酸樹脂などが単体または複数の樹脂の混合系で用いられる。また、エネルギー線照射硬化方法は紫外線照射、電子線照射など通常の手法が用いられる。
【0028】また、基材の高分子シート1に形成しているアルミ蒸着反射層2は必ずしも必要ではなく視認性の向上のために設けており、高分子シート1も高分子樹脂だけではなく金属、ガラス、紙など可逆感熱記録層3を支持できるものであれば使用できる。従って、基材の高分子シート1として透明なプラスチックシートを用いれば透過型の記録媒体を形成することができ、着色した基材を用いれば情報をカラーで表示することも可能である。
【0029】次に、具体的な実施例を用いて本発明を説明し、(表1)に実施例と比較例の記録特性の結果をまとめて示す。
(実施例1)有機結晶粒子5として一般式(化1)においてn=2のジチオジプロピオン酸(融点157℃)1gを用い、マトリクスポリマ6として塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂(共重合比率、塩化ビニル/酢酸ビニル=87/13)3gとを、テトラヒドロフラン15gに溶解し、アルミ蒸着層2を形成した0.2mmのポリエステル高分子シート1上に、可逆感熱記録層3として12μmの厚さで形成した。その記録層3の上にさらに表面保護層4として紫外線硬化形アクリル樹脂のプレポリマを5μmコーティング後、紫外線照射して硬化させて、(図1)に示す可逆感熱記録媒体を得た。
【0030】この可逆感熱記録媒体は、高温モードで透明、低温モードで不透明の記録(前述の第1の記録方式)ができた。この記録媒体の不透明記録温度領域は、有機結晶粒子5の融点以下の約110〜155℃であり、その温度幅は約45℃であった。この温度条件で熱板ヘッドによって白濁(低温モード)した後に、感熱ヘッドによって有機結晶粒子5の融点157℃以上の約165℃の熱エネルギーを与えて記録(高温モード)を行った。記録は、不透明状態のベースに、透明で反射層の現われた印字パターンとして表示された。再び低温モードで不透明記録を行うと、透明化した印字部分が消去され初期状態に戻った。高温モード、低温モードともに記録温度が高く、記録温度幅が広いために、記録制御を行い易く、安定な繰り返し記録を行うことができた。
【0031】(比較例1)有機結晶粒子5として炭素数22の脂肪酸であるベヘン酸(融点80℃)を用いたほかは、実施例1と同様に記録媒体を形成した。この可逆感熱記録媒体は、高温モードで不透明、低温モードで透明の記録(前述の第2の記録方式)ができた。この記録媒体の透明記録温度領域は、ベヘン酸の融点以下の約68〜74℃であり、その温度幅は約6℃であった。この温度条件で熱板ヘッドによって透明(低温モード)にした後に、感熱ヘッドによってベヘン酸の融点80℃以上の約95℃の熱エネルギーを与えて記録(高温モード)を行った。記録は、透明状態の反射層表面に、不透明の白濁印字パターンとして表示した。再び低温モードで透明にすると、不透明化した印字部分が消去され初期状態に戻った。しかし、低温モードの透明化温度領域が低くてその温度幅が狭いために、温度制御が難しく、安定な記録を繰り返し行うことが困難であった。
【0032】(実施例2)有機結晶粒子5として一般式(化1)においてn=3のジチオジ酪酸(融点108℃)0. 5gとベヘン酸(融点80℃)0. 5gの混合結晶粒子を用い、マトリクスポリマ6として塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合樹脂(共重合比率、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸=86/13/1)4gとを、テトラヒドロフラン15gに溶解し、アルミ蒸着層2を形成した0. 2mmのポリエステル高分子シート1上に、可逆感熱記録層3として10μmの厚さで形成した。その記録層3の上にさらに表面保護層4として紫外線硬化形アクリル樹脂のプレポリマを5μmコーティング後、紫外線照射して硬化させて、(図1)に示す可逆感熱記録媒体を得た。
【0033】この可逆感熱記録媒体は、高温モードで不透明、低温モードで透明の記録(前述の第2の記録方式)ができた。この記録媒体の透明記録温度領域は、有機結晶粒子5の融点以下の約70〜105℃であり、その温度幅は約35℃であった。この温度範囲の約90℃の熱板ヘッドによって透明化した後に、感熱ヘッドによって有機結晶粒子5の融点以上の約120℃の熱エネルギーを与えて記録を行った。記録は、透明状態の反射層のベース上に、不透明で白濁した印字パターンが表示できた。再び低温モードで透明記録を行うと、印字部分が消去され初期状態に戻った。高温モード、低温モードともに記録温度が高く、記録温度幅が広いために、記録制御を行い易く、安定な繰り返し記録を行うことができた。
【0034】さらに記録層の塗料は、作製後2日経過してもテトラヒドロフランに溶解している有機結晶粒子の化合物は析出せずに安定に保存することができた。
(比較例2)有機結晶粒子5としてベヘン酸(融点80℃)とエイコサン2酸(融点127℃)の1対1の混合結晶粒子を用いたほかは、実施例2と同様に記録媒体を形成した。この可逆感熱記録媒体も実施例2と同様に、高温モードで不透明、低温モードで透明の記録(前述の第2の記録方式)ができた。この記録媒体の透明記録温度領域は、約65〜90℃であり、その温度幅は約25℃であった。この温度範囲の約85℃の熱板ヘッドによって透明化した後に、感熱ヘッドによって有機結晶粒子5の融点以上の約110℃の熱エネルギーを与えて白濁印字記録を行い、安定な繰り返し記録を行うことができた。しかし、記録層の塗料は、塗料温度の減少による作製後半日経過後テトラヒドロフランに溶解している有機結晶粒子が析出し、安定に保存することが困難であった。
【0035】(比較例3)有機結晶粒子5としてステアリン酸(融点70℃)、マトリクスポリマ6としてスチレン・ブタジエン共重合樹脂、有機溶剤としてトルエンを用いたほかは、実施例1と同様に記録媒体を形成した。この可逆感熱記録媒体も実施例1と同様に、高温モードで透明、低温モードで不透明の記録(前述の第1の記録方式)ができた。この記録媒体の不透明記録温度領域は、約55〜70℃であり、その温度幅は約15℃であった。この温度範囲の約65℃の熱板ヘッドによって不透明、白濁化した後に、感熱ヘッドによって約100℃の熱エネルギーを与えて透明印字記録を行い、繰り返し記録を行うことができた。しかし、不透明記録温度が低く、安定な記録を繰り返し行うことが困難であった。
【0036】
【表1】

【0037】
【発明の効果】以上のように本発明は、有機結晶粒子とマトリクスポリマよりなる可逆感熱記録材料の有機結晶粒子として、ジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも1種類含む化合物を用いることによって、記録温度範囲が高くて広く記録制御を行い易い可逆感熱記録材料を得ることができると共に、その組成調整によって2種類の記録方法が可能な可逆感熱記録材料を提供するものである。また、本発明の可逆感熱記録材料を構成する有機結晶粒子の溶剤への溶解性が高いために、塗料の安定性に優れた製造を行うことができる。このように本発明は工業的価値の大なるものである。




 

 


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