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発明の名称 全自動洗濯機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−8671
公開日 平成7年(1995)1月13日
出願番号 特願平5−153221
出願日 平成5年(1993)6月24日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小鍜治 明 (外2名)
発明者 見城 好豊 / 太田 文夫 / 藤井 裕幸 / 足立 一利 / 中村 健
要約 目的
洗濯液を洗濯兼脱水槽の上部より下部に向けて循環させて衣類を洗濯する全自動洗濯機において、洗濯液の循環流量を増加して早期に洗剤の溶解し洗浄効率を向上する。

構成
洗濯兼脱水槽3の底面にパルセーター2を回転自在に配設し、パルセーター2の下側羽根8の外周に形成したポンプ室9から洗濯兼脱水槽3の上部まで独立した複数の循環水路7を形成する。これら複数の循環水路7の上部を洗濯兼脱水槽3の内部に向けて開口した開口部10を形成し、この開口部10にそれぞれシャワーノズル11またはリントフィルター12を設ける。パルセーター2を断続反転駆動し、反転駆動の初期の所定時間パルセーター2の回転数を通常の回転数より高く制御して駆動する。
特許請求の範囲
【請求項1】 洗濯兼脱水槽底面にパルセーターを回転自在に配設し、前記パルセーターの下側羽根の外周に形成したポンプ室から前記洗濯兼脱水槽の上部まで独立した複数の循環水路を形成し、前記複数の循環水路の上部を前記洗濯兼脱水槽の内部に向けて開口した開口部を形成し、前記開口部にそれぞれシャワーノズルまたはシャワーノズルとリントフィルターを設け、前記パルセーターを断続反転駆動し、反転駆動の初期の所定時間前記パルセーターの回転数を通常の回転数より高く制御して駆動するようにした全自動洗濯機。
【請求項2】 洗濯兼脱水槽底面にパルセーターを回転自在に配設し、前記パルセーターの下側羽根の外周に形成したポンプ室から前記洗濯兼脱水槽の上部まで独立した複数の循環水路を形成し、前記複数の循環水路の上部を前記洗濯兼脱水槽の内部に向けて開口した開口部を形成し、前記開口部にそれぞれシャワーノズルまたはシャワーノズルとリントフィルターを設け、前記パルセーターを断続反転駆動し、洗濯行程の初期の所定時間前記パルセーターの駆動時間のデューティ比を高く制御して駆動するようにした全自動洗濯機。
【請求項3】 洗濯行程の初期の所定時間の反転時限を長くして駆動するようにした請求項2記載の全自動洗濯機。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、洗濯液を洗濯兼脱水槽の上部より下部に向けて循環させて衣類を洗濯する全自動洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護が大変重要な課題となってきた。省資源もその中で重要なテーマであり、洗濯機においては、節水、節洗剤が強く望まれている。
【0003】従来、全自動洗濯機の節水、節洗剤については、色々な方法が提案されている。たとえば、特開平1ー146584号公報に示されているように、洗濯槽の内壁の一部に水路形成用カバーを設けて洗濯槽との間に水路を形成し、パルセーターの下側の羽根によるポンプ作用で、洗濯槽の下側の洗濯液を水路を通して洗濯槽の上部に導き、環状リングの複数の吐出孔から洗濯液を吐出し、洗濯物の上に注ぐものがある。このものでは、洗濯物に常に洗濯液が注がれれば、洗濯時の水位が少々低くても洗浄できるので、節水、節洗剤が可能となる。
【0004】しかしながら、特開平−146584号公報に記載されているものでは、吐出孔から吐出される洗濯液が洗濯物にまんべんなく注ぐことができないという問題を有していた。
【0005】発明者らは、この対策として、パルセーターの下側羽根の外周に形成したポンプ室から洗濯兼脱水槽の上部まで独立した複数の循環水路を形成し、前記複数の循環水路の上部を洗濯兼脱水槽の内部に向けて開口した開口部を形成し、開口部にそれぞれシャワーノズルを設け、パルセーターを断続反転駆動してシャワーノズルより洗濯液を吐出させ、洗濯物に注ぐようにしたものを検討した。
【0006】図7(A)は、パルセーターを駆動するモータの制御方法を示すもので、縦軸はモータにより駆動されるパルセーターの回転数と方向を示し、上方向は右回転、中央は停止、下方向は左回転を示しており、横軸は時間を示している。図7(B)はシャワーノズルより吐出するシャワー吐出量を表している。すなわち、モータは時間T1に右回転、時間T2に停止、時間T3に左回転、時間T4に停止のサイクルを繰り返して駆動され、それに伴って図7(B)の期間T6にシャワーが吐出され、シャワーノズルから吐出される洗濯液を洗濯物にまんべんなく注ぐことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の全自動洗濯機では、シャワーノズルから吐出されるシャワーは、モータによってパルセーターおよび下側羽根が駆動されてもすぐには吐出せず、時間T5だけ遅れて吐出される。すなわち、下側羽根が回転して、循環水路の中の水圧(水頭)が所定値まで高まるのを待って吐出する。それゆえ、時間T1の間下側羽根が駆動されているにもかかわらず、時間T5の間シャワーが吐出されず、循環流量が低下するという問題があった。循環流量を増すためには、モータのオン時間を長くするか、回転数を高くすればよいが、洗浄性能、布傷み性能、布がらみ性能などから大幅には変えることができないという問題を有していた。
【0008】また、洗濯液の循環流量を多くすることは、洗剤の溶解を早めるのに有効であり、洗濯の初期に循環流量を多くして洗剤を早く溶解させれば、投入した洗剤の大部分を洗濯の初期から有効に活用することができ、洗浄効率を上げることができる。しかしながら、従来の全自動洗濯機は洗濯初期に洗剤を早く溶解する機能を持っていない。
【0009】本発明は上記問題を解決するもので、洗濯液の循環流量を増加して、早期に洗剤の溶解し洗浄効率を向上することを第1の目的としている。
【0010】また、洗濯初期の洗剤が溶解する間、洗濯液の循環量を増して早期に洗剤を溶解し、洗浄効率を向上することを第2の目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記第1の目的を達成するために、洗濯兼脱水槽底面にパルセーターを回転自在に配設し、前記パルセーターの下側羽根の外周に形成したポンプ室から前記洗濯兼脱水槽の上部まで独立した複数の循環水路を形成し、前記複数の循環水路の上部を前記洗濯兼脱水槽の内部に向けて開口した開口部を形成し、前記開口部にそれぞれシャワーノズルまたはシャワーノズルとリントフィルターを設け、前記パルセーターを断続反転駆動し、反転駆動の初期の所定時間前記パルセーターの回転数を通常の回転数より高く制御して駆動するようにしたことを第1の課題解決手段としている。
【0012】また、第2の目的を達成するために、パルセーターを断続反転駆動し、洗濯行程の初期の所定時間前記パルセーターの駆動時間のデューティ比を高く制御して駆動するようにしたことを第2の課題解決手段としている。
【0013】さらに、洗濯行程の初期の所定時間の反転時限を長くして駆動するようにしたことを第3の課題解決手段としている。
【0014】
【作用】本発明は上記した第1の課題解決手段により、パルセーターの回転数を反転駆動の初期の所定時間通常の回転数より高くすることによって、循環水路中の水圧を急速に高めることができて、パルセーターの反転開始時のシャワー吐出の遅れ時間を短くでき、洗濯液の循環流量を増すことができ、洗剤を早く溶解させることができる。
【0015】また、第2の課題解決手段により、洗濯行程の初期の洗剤が溶解する間の所定時間、洗濯液の循環流量を多くして洗剤を早く溶解させることができ、投入した洗剤の大部分を洗濯初期から有効に活用することができ、洗浄効率を上げることができて、洗濯時間を短縮したり、洗剤を節約したりすることができる。
【0016】さらに、第3の課題解決手段により、洗濯行程の初期に一層早く洗剤を溶解させることができ、洗浄効率を上げることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例を図1を参照しながら説明する。
【0018】図に示すように、水受け槽1は、底部にパルセーター2を回転自在に配設した洗濯兼脱水槽(以下、洗濯槽という)3を内包し、吊り棒4により洗濯機外枠5に吊り下げている。循環水路カバー6は、洗濯槽3の内面に複数個取着し、洗濯槽3との間に独立した複数の循環水路7を形成している。パルセーター2の裏面に下側羽根8を一体に設け、下側羽根8の外周に形成したポンプ室9を複数の循環水路7に連通している。複数の循環水路7の上部を洗濯槽3の内部に向けて開口した開口部10を形成し、この開口部10にそれぞれシャワーノズル11を設けている。また、開口部10の一部にはリントフィルター12を設けている。13はモータで、Vベルト14および減速機構15を介してパルセーター2を駆動する。制御装置16は、洗濯、すすぎ、脱水の各行程に応じてモータ13、給水弁17、排水弁18などを逐次制御するものである。19は蓋、20は脱水時の振動を低減させるための流体バランサーである。
【0019】制御装置16は、洗濯行程およびすすぎ行程においてモータ13を断続反転駆動して、パルセーター2を断続反転駆動し、洗濯行程において、図2(A)に示すように、右回転T1(1秒)、休止T2(1秒)、左回転T3(1秒)、休止T4(1秒)の断続反転駆動を行い、この断続反転駆動の初期の所定時間T7(0.15〜0.3秒)の間パルセーター2の回転数を通常の回転数(140rpm)より高い回転数(160〜200rpm)で駆動するようにしている。
【0020】上記構成において動作を説明すると、洗濯物21を洗濯槽3の中に投入し、スタートスイッチ(図示せず)をオンすると、制御装置16により、給水弁17を制御して所定水位まで給水し、洗濯行程に入る。洗濯行程に入ると、モータ13は洗濯水流に応じて右回転・休止・左回転・休止と制御装置16によって断続反転駆動される。この制御されたモータ13の回転はVベルト14、減速機構15を介してパルセーター2に伝えられる。したがって、モータ13のの回転に応じてパルセーター2およびパルセーター2の下側羽根8が回転し、洗濯槽3の中の洗濯物21と洗濯液が撹拌され、洗濯物21が洗浄される。一方、パルセーター2の下側羽根8と循環水路カバー6との間の洗濯液は、パルセーター2の回転に応じて下側羽根8の回転により遠心力で外側に押し出され、循環水路7を通ってシャワーノズル11およびリントフィルター12から洗濯槽3内に間欠的に注がれる。なお、パルセーター2の下側羽根8によって循環水路7に押し出された洗濯液のあとには、パルセーター2の下側羽根8の中央部下から新しい洗濯液が供給される。すなわち、水受け槽1と洗濯槽3の間の洗濯液が供給されることになり、水受け槽1と洗濯槽3の間の液面は、洗濯槽3内の洗濯液水位より低くなる。ただし、洗濯槽3の脱水用の穴(図示せず)および洗濯槽3とパルセーター2の間の隙間から、洗濯液が水受け槽1に流れるので、液面の差はある値でバランスし、一定となる。
【0021】ここで、パルセーター2は、断続反転駆動の初期の所定時間T7(0.15〜0.3秒)の間、回転数を通常の回転数(140rpm)より高い回転数(160〜200rpm)で駆動するので、シャワーノズル11より吐出されるシャワー吐出量は図2(B)に示すようになる。すなわち、断続反転駆動の初期に下側羽根8の回転数が高くなり、循環水路7の中の水圧(水頭)が急激に高まり、所定値になるまでの時間が短縮されて、シャワーが吐出するまでの時間T8は、図7(B)に示した時間T5に比べて約半分に短縮することができる。このようにすることで、布傷み性能などに影響を与えることなく、循環流量を増し、洗浄効率などを向上できる。
【0022】つぎに、本発明の第2の実施例について説明する。図1における制御手段16は、洗濯行程およびすすぎ行程においてモータ13を断続反転駆動して、パルセーター2を断続反転駆動し、図3(A)に示すように、洗濯行程の初期の所定時間T10(約2分間)の間、パルセーター2の駆動時間のデューティ比T11/T12を高く(65%以上)し、その後の洗濯時間T14では、パルセーターの駆動時間のデューティ比T15/T16を通常のデューティ比に下げて駆動するようにしている。他の構成は上記第1の実施例と同じである。
【0023】上記構成において動作を説明すると、図4は全自動洗濯機において、循環流量の大小による洗剤(界面活性剤)の溶解特性を示したものである。aは循環流量が多い場合、bは循環流量が少ない場合である。図4から明らかなように、循環流量が多い場合は、3分で投入した洗剤の85%まで溶解するが、循環流量が少ない場合は、投入した洗剤の85%まで溶解するのに12分要する。したがって、循環流量が多い場合は3分で85%の洗剤が洗浄に寄与するが、循環流量が少ない場合は12分経過してやっと85%の洗剤が洗浄に寄与するようになる。これが洗浄に与える影響を図5に示している。図5において、aは循環流量が多い場合、bは循環流量が少ない場合を示している。図5から明かなように、洗浄効率を上げるためには、早期に洗剤を溶解させることが重要である。
【0024】第2の実施例では、洗濯行程の初期の所定時間T10の間、パルセーター2の駆動時間のデューティ比を高く制御して駆動することによって、シャワーノズル11より吐出されるシャワー吐出量は図3(B)に示すようになる。これにより、洗濯初期の所定時間T10は、通常の約2倍の循環流量(T11−T13)/(T15−T17)}で、洗剤を所定時間T10で85%以上溶解する。一般に、デューティ比を大きくとると水流が強くなり、布傷み、布絡みが悪くなるが、洗濯初期は布回りが良くないことと時間が短いことから、実質上問題にならず洗剤のみを早く溶解することができる。
【0025】つぎに、本発明の第3の実施例について説明する。図1における制御手段16は、洗濯行程およびすすぎ行程においてモータ13を断続反転駆動して、パルセーター2を断続反転駆動し、図6(A)に示すように、洗濯行程の初期の所定時間T10(約2分間)の間、パルセーター2の反転時限T19を長く(2秒以上)し、駆動時間のデューティ比T18/T19を高くし、その後の洗濯時間T14では、パルセーター2の反転時限T16を通常の時間にし、駆動時間のデューティ比T15/T16を通常のデューティ比に下げて駆動するようにしている。すなわち、T18/T19>T15/T16で、かつT19>T16としている。他の構成は上記第2の実施例と同じである。
【0026】上記構成において動作を説明すると、シャワーノズル11より吐出されるシャワー吐出量は、図6(B)に示すように、洗濯初期の所定時間T10は、その後の洗濯時間T14に比べて、デューティ比および反転時限を大きくしているため、モータ13が回転し始めてからシャワーが吐出するまでの時間T13およびT17は、デューティ比や反転時限によって変わらないから、反転時限が長くなったことにより、シャワー吐出量が増加する。このことにより、洗濯開始から所定時間T10(約2分間)でほとんどの洗剤を溶解することができ、格段に洗浄能力を上げることができる。
【0027】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように本発明によれば、洗濯兼脱水槽底面にパルセーターを回転自在に配設し、前記パルセーターの下側羽根の外周に形成したポンプ室から前記洗濯兼脱水槽の上部まで独立した複数の循環水路を形成し、前記複数の循環水路の上部を前記洗濯兼脱水槽の内部に向けて開口した開口部を形成し、前記開口部にそれぞれシャワーノズルまたはシャワーノズルとリントフィルターを設け、前記パルセーターを断続反転駆動し、反転駆動の初期の所定時間前記パルセーターの回転数を通常の回転数より高く制御して駆動するようにしたから、パルセーターの反転開始時のシャワー吐出の遅れ時間を短くできて、洗濯液の循環流量を増すことができ、早期に洗剤の溶解し洗浄効率を向上することができる。
【0028】また、パルセーターを断続反転駆動し、洗濯行程の初期の所定時間前記パルセーターの駆動時間のデューティ比を高く制御して駆動するようにしたから、洗濯の初期に洗濯液の循環流量を多くできて、洗濯開始から所定時間でほとんどの洗剤を溶解させることができ、投入した洗剤の大部分を洗濯初期から有効に活用することができ、洗浄効率を上げることができる。したがって、これを洗濯時間の短縮や、洗剤の節約に活用できる。
【0029】さらに、洗濯行程の初期の所定時間の反転時限を長くして駆動するようにしたから、洗濯行程の初期に一層早く洗剤を溶解させることができ、洗浄効率を上げることができる。




 

 


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