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発明の名称 ニッケル・チタン超弾性線複合プリプレグ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−196824
公開日 平成7年(1995)8月1日
出願番号 特願平5−352954
出願日 平成5年(1993)12月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 耕平 (外1名)
発明者 宮尾 巻治 / 竹澤 誠
要約 目的
プリプレグを使用してゴルフクラブシャフト等の繊維強化複合樹脂材料成形品を製造する際に、通常のプリプレグと併用して成形品を簡単に補強し、使用時にこれら成形品に折損が起こっても、折損した断片が分離して勢い良く飛んで行くのを防止し、周囲の安全性を高めることを可能とした複合プリプレグである。

構成
一方向に配列された2種以上の強化繊維と、これに含浸したマトリクス樹脂とからなり、その強化繊維のうちの1種を、伸び率が10〜60%のニッケル・チタン合金からなる超弾性線としたニッケル・チタン超弾性線複合プリプレグ。
特許請求の範囲
【請求項1】 一方向に配列された2種以上の強化繊維と、これに含浸したマトリクス樹脂とからなり、前記強化繊維の1種は、伸び率が10〜60%のニッケル・チタン超弾性線であることを特徴とするニッケル・チタン超弾性線複合プリプレグ。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴルフクラブシャフトやバドミントンラケット等の繊維強化複合樹脂材料成形品を強化して、使用時の折損による断片の分離を防止するのに好適なニッケル・チタン超弾性線複合プリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、炭素繊維その他各種の強化繊維を有するプリプレグを使用した繊維強化複合樹脂材料が種々の技術分野にて広く使用されており、例えばゴルフクラブシャフト、或いはバドミントンラケット、テニスラケットのラケットフレーム等においても、軽量で且つ機械的強度も高いと言う理由から、繊維強化複合樹脂材料成形品が多く使用されている。
【0003】このようなゴルフクラブシャフトは、複数層の炭素繊維強化複合樹脂材料層等から構成されるが、図3に示すように、所定の形状寸法に裁断した炭素繊維強化プリプレグ101を所定枚数だけ、型となるマンドレル100の周囲に巻き付け、プリプレグ101のマトリクス樹脂を硬化してプリプレグ101を炭素繊維強化複合樹脂材料とすることによって形成される。
【0004】このとき、捩り及び曲げ性能を向上させるために、炭素繊維強化プリプレグとしては、図4に示すように、炭素繊維がマンドレル100の軸線(ゴルフクラブシャフトの軸線でもある)に対して互に反対方向に角度(θ)、即ち時計方向に角度(±θ)(通常、θ=35°〜45°)だけ傾斜するように配列されたプリプレグ101(アングル層101′)と、図5に示されるように、炭素繊維がゴルフクラブシャフトの軸線に対して平行(θ=0°)に配列されたプリプレグ102(ストレート層102′)とが使用され、通常、図3に示されるように、ゴルフクラブシャフトの内側層にプリプレグ101(アングル層101′)が、外側層にプリプレグ102(ストレート層102′)が使用されることが多い。
【0005】普通、内側層のプリプレグ101(アングル層101′)は約4〜10層、外側層のプリプレグ102(ストレート層102′)は約2〜5層積層され、ゴルフクラブシャフトは、基本的に、内側の炭素繊維強化複合樹脂材料層4〜10層程度のアングル層101′と、外側の炭素繊維強化複合樹脂材料層2〜5層程度のストレート層102′とで構成される。
【0006】以上のような炭素繊維強化複合樹脂材料製のゴルフクラブシャフトは、軽量で且つ機械的強度が高く、概ね良好な結果を納めている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ゴルフクラブシャフトやバドミントンラケット等においては、これを勢い良く振って使用するので、折損した場合、折損した断片が分離して周囲に勢い良く飛んで行き、周囲が危険である問題があった。
【0008】このようなことから、ゴルフクラブシャフトやバドミントンラケット等の繊維強化複合材料製成形品を簡単に補強して、使用時にこれら成形品に折損が起こっても、その断片が分離して周囲に勢い良く飛んで行くのを防止し、周囲の安全性を高めることが望まれている。
【0009】従って本発明の目的は、プリプレグを使用してゴルフクラブシャフトやバドミントンラケット等の繊維強化複合樹脂材料成形品を製造するに際し、通常のプリプレグと併用して成形品を簡単に補強して、使用時にこれら成形品に折損が起こっても、折損した断片の分離をなくして、断片が周囲に勢い良く飛んで行くのを防止し、周囲の安全性を高めることを可能とした複合プリプレグを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係るニッケル・チタン超弾性線複合プリプレグにて達成される。要約すれば本発明は、一方向に配列された2種以上の強化繊維と、これに含浸したマトリクス樹脂とからなり、前記強化繊維の1種は、伸び率が10〜60%のニッケル・チタン超弾性線であることを特徴とするニッケル・チタン超弾性線複合プリプレグである。
【0011】
【実施例】図1は、本発明のニッケル・チタン超弾性線複合プリプレグの一実施例を示す図で、図1(a)は複合プリプレグの断面図、図1(b)はカバーフィルムを剥離した状態の複合プリプレグの平面図である。
【0012】本発明の複合プリプレグは、一方向に配列された2種以上の強化繊維を有するプリプレグとなっており、繊維強化複合樹脂材料成形品を製造する際に、炭素繊維等を用いた通常のプリプレグと併用して使用される。本発明では、その複合プリプレグの強化繊維の一部に高い伸びを持たせるために、2種以上の強化繊維のうちの1種にニッケル・チタン(Ni・Ti)超弾性線を用いたことが大きな特徴である。
【0013】本実施例によれば、複合プリプレグ1は、メインの強化繊維としての炭素繊維2と、Ni・Ti超弾性線3とを一方向に配列して、これら炭素繊維2及び超弾性線3にマトリクス樹脂4を含浸してなっている。複合プリプレグ1の全体は離型紙5上に支持され、プリプレグ1の離型紙5と反対側の表面上にはカバーフィルム6が被されている。複合プリプレグ1は、離型紙5及びカバーフィルム6を剥して使用される。
【0014】上記のNi・Ti超弾性線3は、高伸度のNi・Ti合金からなる。この高伸度のNi・Ti合金は形状記憶合金の1種で、熱処理により形状を記憶するようになっており、熱処理されたNi・Ti合金線は、引っ張った後に張力を取り去ると、元の寸法に復帰する性質を有する。このような高伸度のNi・Ti合金として、典型的には、伸度15.0%、組成比Ni/Ti≒50/50(重量比)があるが、組成比Ni/Tiの違いにより、一般に伸度10〜60%のものが知られている。
【0015】通常、強化繊維或いはメインの強化繊維に対し複合化する強化繊維の伸びは、炭素繊維:1〜1.5%、SUS繊維:1.7%、ボロン繊維:1.2%、ガラス繊維:4%、ケブラー繊維(有機繊維):2.4%程度と、いずれも小さい。又Ti繊維は比較的高い伸度を有するが、それでも伸度10%で変形歪みにより破断する。
【0016】これらの繊維の伸びに対し、上記のNi・Ti合金線の伸度10〜60%は著しく大きい。そこで、本発明では、複合プリプレグ1の強化繊維の一部に高い伸びを持たせるために、この伸度10〜60%のNi・Ti合金からなるNi・Ti超弾性線3を使用する。Ni・Ti超弾性線3の外径は、好ましくは50〜200μm程度である。
【0017】このようなNi・Ti超弾性線3を複合化した複合プリプレグ1を通常のプリプレグと併用して、ゴルフクラブシャフトやバドミントンラケット等の繊維強化複合樹脂材料成形品を製造すると、その成形品は、使用時に折損が起こっても、Ni・Ti超弾性線3が切断せずに大きく伸びて、折損した断片を繋ぎ止めておくので、断片が周囲に勢い良く飛んで行くのを防止することが可能になる。
【0018】Ni・Ti超弾性線3の炭素繊維4との複合化の態様は、Ni・Ti超弾性線3を間隔p=0.2〜2.0mmで一方向に配置し、その超弾性線3の周囲及び超弾性線3同士の間に炭素繊維4を一方向に配置した構造とすることが一例として挙げられる。
【0019】マトリクス樹脂4としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレ−ト樹脂、フェノ−ル樹脂などの熱硬化性マトリクス樹脂が使用可能である。又、更に、硬化温度が50〜200℃となるように硬化剤その他の付与剤、例えば可撓性付与剤などが適当に添加される。
【0020】好ましい一例を挙げれば、マトリクス樹脂としてはエポキシ樹脂が好ましく、使用可能のエポキシ樹脂としては、例えば、(1)グリシジルエ−テル系エポキシ樹脂(ビスフェノ−ルA、F、S系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノ−ルA系エポキシ樹脂);(2)環式脂肪族エポキシ樹脂;(3)グリシジルエステル系エポキシ樹脂;(4)グリシジルアミン系エポキシ樹脂;(5)複素環式エポキシ樹脂;その他種々のエポキシ樹脂から選択される1種又は複数種が使用され、特に、ビスフェノ−ルA、F、Sグリシジルアミン系エポキシ樹脂が好適に使用される。又、硬化剤としてはアミン系硬化剤、例えばジシアンジアミド(DICY)、ジアミノフェニルスルフォン(DDS)、ジアミノジフェニルメタン(DDM);酸無水物系、例えばヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルへキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA)などが使用されるが、特にアミン系硬化剤が好適に使用される。
【0021】強化繊維(炭素繊維2+超弾性線3)とマトリクス樹脂4との配合割合は任意に調製し得るが、一般に、重量%で強化繊維:マトリクス樹脂=30〜80:20〜70の範囲が良く、好ましくは40〜75:25〜60である。強化繊維の割合が30重量%未満では、マトリクス樹脂4を硬化して複合プリプレグ1を繊維強化複合樹脂材料としたときに、強化繊維での強化による複合樹脂材料の強度が不十分となり、逆に80重量%を超えるとマトリクス樹脂4が少なくなりすぎて、複合樹脂材料のマトリクス樹脂4による強度が十分とならない虞がある。
【0022】又メインの強化繊維として炭素繊維2を使用したが、炭素繊維以外にSUS繊維やチタン繊維等の金属繊維、ボロン繊維等の無機繊維、ガラス繊維、ケブラー繊維等の有機繊維等の1種又は2種以上を、メインの強化繊維として使用することができる。
【0023】複合プリプレグ1の全体の厚みは20〜300μmにすることが適当である。プリプレグ1の厚みが20μm未満では薄すぎて、プリプレグ1の製造が困難であるばかりか、繊維強化複合樹脂材料成形品を作成するのに使用するには実用的でない。又厚みが300μmを超えると厚すぎて、成形性良く繊維強化複合樹脂材料成形品を作成することが難しくなる。
【0024】本発明の複合プリプレグ1は、任意の方法にて製造し得るが、離型紙上にマトリクス樹脂を塗工した樹脂塗工を2枚使用し、その2枚の樹脂塗工紙の樹脂同士の間に炭素繊維及びNi・Ti超弾性線を配置して、これらを連続的にホットロールの間に供給し、ホットロールにより加熱及び加圧することにより、プリプレグ1を好適に製造することができる。しかし、これに限定されるものではない本複合プリプレグ1は、ゴルフクラブシャフトやバドミントンラケット等の繊維強化複合樹脂材料成形品の製造に際し、炭素繊維プリプレグ等の通常のプリプレグに組み合わせて使用される。
【0025】例えばゴルフクラブシャフトの場合、炭素繊維がマンドレル100の軸線(ゴルフクラブシャフトの軸線でもある)に対して互に反対方向に角度(θ)、即ち時計方向に角度(±θ)(通常、θ=35°〜45°)だけ傾斜するように配列されたプリプレグ101と、図4に示されるように、炭素繊維がゴルフクラブシャフトの軸線に対して平行(θ=0°)に配列されたプリプレグ102とが配設され、硬化することによって製造されるが、本発明の複合プリプレグ1を併用した場合、例えば図3に示すように、複合プリプレグ1を中間層に配設し、或いは最内層、最外層に配設して製造される。
【0026】つまり、本発明によると、プリプレグ101による内側層のアングル層101′と、プリプレグ102による外側層のストレート層102′と、複合プリプレグ1による中間層、最内層又は最外層の複合層1′とを備えたゴルフクラブシャフトが形成される。
【0027】普通、アングル層101′は約4〜10層、ストレート層102′は約2〜5層積層され、本発明による複合層1′は1〜2層とされる。アングル層101′を外側層とし、ストレート層102′を内側層とすることもできる。又ゴルフクラブシャフトの例えば先後端の強度不足を補うために、その箇所に図示しない補強層を加えることもできる。
【0028】勿論、アングル層101′及びストレート層102′は、強化繊維として、炭素繊維以外のガラス繊維などの他の繊維を使用した、当業者には周知の種々のプリプレグを使用して形成することも可能である。
【0029】このような複合プリプレグ1を組み合わせて製造された繊維強化複合樹脂材料成形品によれば、軽量であるばかりでなく、使用時に成形品の折損が起こっても、複合プリプレグ1のNi・Ti超弾性線3が切断せずに大きく伸びて、折損した断片を繋ぎ止めておくので、断片が周囲に勢い良く飛んで行くのを防止することができ、周囲の安全性を高めることができる。
【0030】本発明を具体例に基づき更に説明する。
【0031】実施例1本発明の複合プリプレグを炭素繊維プリプレグと併用して、繊維強化複合材料製のゴルフクラブシャフトを作成した。
【0032】先の図5に示すように、ゴルフクラブシャフトの型のマンドレル100上に、アングル層101′用のプリプレグ101として、厚さ120μm、樹脂量32%のPAN系炭素繊維プリプレグを+45°、−45°で合計8層巻き付け、その上に複合層1′用に本発明の複合プリプレグ1を2層巻き付け、次いでその上にストレート層103′用の炭素繊維プリプレグ103として、厚さ130μm、樹脂量35%のPAN系炭素繊維プリプレグを4層巻き付けた。そして表面研磨用に厚さ85μmのガラス繊維一方向プリプレグを1層巻き、最後に補強層としてT−ガラスのプリプレグを巻いて先端チップ部を補強した後、ポリプロピレンの延伸テープでテーピングをして加熱硬化し、その後、研磨等の所定の仕上げを行なって、ゴルフクラブシャフトを作成した。
【0033】複合プリプレグ1に使用したNi・Ti超弾性線3は、外径100μm、伸び50%のNi・Ti合金線で、これをp=1.0mmの間隔で一方向に配列した。複合プリプレグ1の炭素繊維2は、外径7μm、引張強度3.5GPa、引張弾性率240GPa、伸び1.5%の物性を有するPAN径炭素繊維で、これを繊維目付量150g/m2 で一方向に配列した。用いたマトリクス樹脂はエポキシ樹脂であった。 得られたゴルフクラブシャフトの寸法は、全長1075mm、先端(ヘッド側)の外径8.5mm、後端(グリップ側)の外径15.3mmであった。
【0034】このゴルフクラブシャフトの先端ヘッド側から150mmのところに、表面から1.0mmのノッチを入れ、後端グリップ側をゴルフの試打機にセットして、速度40mm/秒で複数回素振りさせ、シャフトを強制的に折損した。その結果、ゴルフクラブシャフトは、45回振った時点で、ノッチの箇所から折損したが、折損した先端側の断片は、中間の複合層1′のNi・Ti超弾性線により繋ぎ止められて分離せず、断片が周囲に勢い良く飛んで行くのを防止できた。
【0035】実施例2実施例1と同じ複合プリプレグ1を使用して複合層1′を形成したが、ゴルフクラブシャフトの最外層に形成した。それ以外は実施例1と同様にして、ゴルフクラブシャフトを作成した。
【0036】同様に、ゴルフクラブシャフトにノッチを入れて試打機により素振りさせ、シャフトを強制的に折損した。その結果、ゴルフクラブシャフトは、41回振った時点でノッチの箇所から折損し、その折損した先端側の断片が、最外層の複合層1′のNi・Ti超弾性線により分離されず、周囲に勢い良く飛んで行くのを防止できた。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のニッケル・チタン超弾性線複合プリプレグは、一方向に配列された2種以上の強化繊維と、これに含浸したマトリクス樹脂とからなり、その2種以上の強化繊維のうちの1種として、伸び率が10〜60%のニッケル・チタン合金からなる超弾性線を使用して、強化繊維の一部に高い伸びを付与した。従ってこれを炭素繊維等を用いた通常のプリプレグと併用してゴルフクラブシャフトやバドミントンラケット等の繊維強化複合樹脂材料成形品を製造すると、これら成形品の使用時に折損が生じても、折損した断片を分離させずに繋ぎ止めておくことができ、断片が周囲に勢いよく飛んで行くのを防止でき、周囲の安全性を高めることができる。更にニッケル・チタン超弾性線の有する超弾性性能により、打撃時の衝撃を良好に吸収し又強く反撥させることができ、ゴルフクラブシャフト等の成型品に優れた衝撃吸収性及び反撥性等を付与することができる。




 

 


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