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発明の名称 X線分析方法および装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−267487
公開日 平成6年(1994)9月22日
出願番号 特願平5−56992
出願日 平成5年(1993)3月17日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】薄田 利幸
発明者 二宮 健 / 久▲禮▼ 得男 / 黒田 勝広 / 須藤 敬己
要約 目的
分析すべき試料表面にコンタミネーションを生じることなく、かつウエハ等の試料を割ることなくして、起伏の大きな個所でも残留物の定性、定量分析が可能なX線分析方法および装置を提供すること。

構成
X線検出器8の中央部に設けた穴9を通過した電子線1が、試料3表面に照射される。光源5からの光をレンズ4により集光して、電子線1の照射領域を含む領域を局所的に加熱する。電子線照射領域から発生する蛍光X線2を、蛍光X線のエネルギー分析が可能な同軸型のX線検出器8を用いて電子線の近軸方向から観測する。
特許請求の範囲
【請求項1】試料表面に加速,収束された電子線を照射して発生する蛍光X線を観測することによって上記試料の表面分析を行なうX線分析方法において、上記電子線の照射領域を含む領域を局所的に加熱して、上記蛍光X線を上記電子線の中心軸から角度20度の範囲内で観測することを特徴とするX線分析方法。
【請求項2】試料表面に存在する微細孔内に加速,収束された電子線を照射して発生する蛍光X線を観測することによって上記微細孔内の表面分析を行なうX線分析方法において、上記微細孔の直径を2a 深さをdとして tanα=(a/d)で表される角度αを規定したとき、上記電子線の照射領域を含む領域を局所的に加熱して、上記蛍光X線を上記電子線の中心軸から上記の角度αの範囲内で観測することを特徴とするX線分析方法。
【請求項3】上記した試料の局所的な加熱は、上記した電子線の照射とは独立に行なわれることを特徴とする請求項1または2に記載のX線分析方法。
【請求項4】上記した電子線の照射領域の加熱温度は、200℃以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のX線分析方法。
【請求項5】上記した試料の局所的な加熱は、可視光もしくは赤外光を上記電子線の照射領域に集光することによって行なわれることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のX線分析方法。
【請求項6】上記した可視光もしくは赤外光の集光が、レンズ、反射鏡、あるいは光学材料で形成されたロッドもしくはファイバを用いて行なわれることを特徴とする請求項5に記載のX線分析方法。
【請求項7】上記した試料の局所的な加熱は、可視レーザ光もしくは赤外レーザ光を上記電子線の照射領域に集光することによって行なわれることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のX線分析方法。
【請求項8】上記した可視レーザ光もしくは赤外レーザ光の集光が、レンズ、反射鏡、あるいは光学材料で形成されたロッドもしくはファイバを用いて行なわれることを特徴とする請求項7に記載のX線分析方法。
【請求項9】上記した試料の局所的な加熱は、上記試料の裏面からのヒータを用いた加熱であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のX線分析方法。
【請求項10】上記した試料の局所的な加熱は、上記試料の裏面からの加速電子線を用いた加熱であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のX線分析方法。
【請求項11】試料表面に加速,収束された電子線を照射して発生する蛍光X線を観測することによって上記試料の表面分析を行なうX線分析方法において、上記試料の表面近傍に化学的に活性な粒子を導入しながら、上記蛍光X線を上記電子線の中心軸から角度20度の範囲内で観測することを特徴とするX線分析方法。
【請求項12】上記した蛍光X線の観測は、上記電子線の中心軸と同軸に配置されたX線検出器を用いて上記蛍光X線を分光、検出することによって行なわれることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のX線分析方法。
【請求項13】上記した蛍光X線の観測は、多層膜を形成したX線反射鏡を用いて上記蛍光X線を分光し、分光後の蛍光X線をX線検出器で検出することによって行なわれることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のX線分析方法。
【請求項14】上記した蛍光X線の観測は、多層膜を形成したX線反射鏡をその中心軸の回りに回転させることによって上記蛍光X線を分光し、分光後の上記蛍光X線を上記X線反射鏡の回転と同期して移動するX線検出器で検出することによって行なわれることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のX線分析方法。
【請求項15】電子線を加速,収束して試料表面上に照射する電子線照射手段と、上記電子線の照射領域を含む領域を上記電子線の照射とは独立に加熱する加熱手段と、上記電子線の照射によって上記試料表面から発生する蛍光X線を上記電子線の中心軸から20度の範囲内で観測する蛍光X線観測手段とを備えてなることを特徴とするX線分析装置。
【請求項16】電子線の加速,収束して試料表面上に存在する微細孔内に照射する電子線照射手段と、上記電子線の照射領域を含む領域を上記電子線の照射とは独立に加熱する加熱手段と、上記微細孔の直径を2a 深さをdとして tanα=(a/d)で表される角度αを規定したとき、上記電子線の照射により上記微細孔内から発生する蛍光X線を上記電子線の中心軸から上記の角度αの範囲内で観測する蛍光X線観測手段とを備えてなることを特徴とするX線分析装置。
【請求項17】上記加熱手段による上記電子線照射領域の加熱温度が200℃以下であることを特徴とする請求項15または16に記載のX線分析装置。
【請求項18】上記加熱手段が、可視光もしくは赤外光を上記電子線の照射領域に集光する集光手段であることを特徴とする請求項15から17のいずれかに記載のX線分析装置。
【請求項19】上記可視光もしくは赤外光の集光手段が、レンズ、反射鏡、あるいは光学材料で形成されたロッドもしくはファイバを用いた集光手段であることを特徴とする請求項18に記載のX線分析装置。
【請求項20】上記加熱手段が、可視レーザ光もしくは赤外レーザ光を上記電子線の照射領域に集光する集光手段であることを特徴とする請求項15から17のいずれかに記載のX線分析装置。
【請求項21】上記可視レーザ光もしくは赤外レーザ光の集光手段が、レンズ、反射鏡、あるいは光学材料で形成されたロッドもしくはファイバを用いた集光手段であることを特徴とする請求項20に記載のX線分析装置。
【請求項22】上記加熱手段が、上記試料の裏面からのヒータを用いた加熱手段であることを特徴とする請求項15から17ののいずれかに記載のX線分析装置。
【請求項23】上記加熱手段が、上記試料の裏面からの加速電子線を用いた加熱手段であることを特徴とする請求項15から17のいずれかに記載のX線分析装置。
【請求項24】電子線を加速,収束して試料表面に照射する電子線照射手段と、化学的に活性な粒子を上記試料表面の近傍に導入する活性粒子導入手段と、上記電子線の照射によって上記試料表面から発生する蛍光X線を上記電子線の中心軸から20度の範囲内で観測する蛍光X線観測手段とを備えてなることを特徴とするX線分析装置。
【請求項25】上記の蛍光X線観測手段が、上記電子線の中心軸と同軸に配置されたエネルギー分析可能なX線検出器であることを特徴とする請求項15から24のいずれかに記載のX線分析装置。
【請求項26】上記の蛍光X線観測手段が、多層膜を形成したX線反射鏡およびX線検出器からなっていることを特徴とする請求項15から24のいずれかに記載のX線分析装置。
【請求項27】上記の蛍光X線観測手段が、その中心軸の回りに回転可能な多層膜を形成したX線反射鏡および該X線反射鏡の回転と同期して移動するX線検出器からなっていることを特徴とする請求項15から24のいずれかに記載のX線分析装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面分析技術に係り、特に、ウエハ表面上の残留物をコンタミネーションの影響なく分析可能なX線分析方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子の高集積化を推進するためには、ディープサブμm以下のレベルでの微細加工技術を確立しなければならない。例えば、256MbDRAMの製作に際しては、直径0.2μm、深さ2μmのコンタクトホールの加工が要求されている。このような高精度加工技術を確立するためには、微細加工の正確さを計測、検査する技術が必要である。これら技術のうち、ドライエッチング後の残留物(残膜)の種類と量を分析可能な技術が特に必要とされている。この残留物分析において留意すべき点は、(1)残留物の量が極めて微量な場合があること、および(2)ウエハ表面は必ずしも平坦ではなく、先のコンタクトホールの例に象徴されるように、起伏が大きい個所での分析も必要になることである。
【0003】従来、起伏の大きな個所における残留物分析は、加工後のウエハを割り、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより行われていた。また、断面に電子線を照射して発生するオージェ電子を観測することで、残留物の種類を同定していた(AES分析)。しかし、これら従来方法には、観察中に生じる試料のコンタミネーションを防止するための対策が講じられていないという問題点があった。先に述べたように、残留物の量が極めて微量な場合には、このコンタミネーションの影響は深刻である。例えば試料に電子線を照射すると、炭素化合物等のコンタミネーション物質が照射領域に付着する。一方、分析すべき残留物がフォトレジスト等の炭素原子を含む化合物である場合には、炭素原子からの信号をもとに残留物の種類と量を分析する。従って、分析中にコンタミネーション物質が付着した場合、該コンタミネーション物質に含まれる炭素原子と残留物中の炭素原子との区別が不可能になり、微量な残留物の種類と量を正確に把握することができないという問題がある。さらに、試料(ウエハ)を割って観察(分析)するため、観察(分析)後のウエハを再び製造プロセス中に戻してやることができず、従って製造歩留まりが悪くなるという問題点もあった。
【0004】ウエハを割ることなく分析可能な分析法として蛍光X線分析法がある。この分析法による分析装置の一例として、例えば、特開昭63−243855号公報に開示された荷電粒子分析装置がある。この分析装置では、試料に電子線を照射して、発生する蛍光X線を観測する。しかし、この装置にも、コンタミネーション防止の対策が施されておらず、正確な分析は期待できない。さらに、照射電子線の中心軸と22度の角度をもって配置された分光結晶を蛍光X線の観測に用いているため、試料上の起伏の大きな個所にある残留物の分析も不可能である(詳細な理由に関しては、後述する)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従来の分析方法には、コンタミネーション防止対策が施されていため、分析精度が低い,ウエハを割るため歩留まりが悪い,起伏の大きな個所にある残留物の分析ができない等の問題点があった。従って、これら従来の分析方法では、今後の半導体素子の主流である4Mb以降のDRAMの製作過程等における残留物の定性、定量分析を行なうは不可能である。
【0006】従って、本発明の目的は、コンタミネーションの影響がなく、かつウエハ等の試料を割ることなくして、起伏の大きな個所でも残留物の定性、定量分析が可能なX線分析方法および装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明においては、試料表面に加速,収束された電子線を照射して発生する蛍光X線を観測することにより試料表面の分析を行なう表面分析方法において、上記の電子線照射に伴う試料表面のコンタミネーションを防止する対策を講じると共に、試料表面からの蛍光X線を照射電子線軸と近軸の方向から観測するようにしたことを特徴としている。
【0008】
【作用】物質に電子線を照射すると、蛍光X線が発生する。この蛍光X線のエネルギー(波長)はその物質の構成元素に固有であるため、上記蛍光X線のエネルギー分析を行なうことにより、上記構成元素の同定、従って上記物質の同定を行うことができる(定性分析)。また、上記蛍光X線の発生強度から上記物質の量を把握することができる(定量分析)。
【0009】本発明においては、ウエハ(試料)表面上の残留物に細く収束された電子線を照射する。この電子線照射により、ウエハを収容している真空チャンバ内の残留ガスに含まれる炭素原子等が、電子線の照射領域内に付着する(コンタミネーション)。このコンタミネーションの防止手段として、本発明では、電子線照射領域を含む領域(数10μmφ〜数mmφ)を局所的に加熱する方式を採用している。試料の加熱温度は、100〜200℃程度で十分にコンタミネーションを防止できることがわかった。この局所加熱方式では、加熱に必要なエネルギー量が少なく効率的であることに加え、加熱によるガス発生量も最小限に抑えることができ、真空排気系に対する負荷も小さくできる。
【0010】試料加熱手段としては、蛍光X線観測のための電子線照射に先立って予め試料を加熱するなど、観測用電子線の照射とは独立に試料を加熱できるものとするのが都合がよい。蛍光X線観測用の検出器が高感度である場合、蛍光X線の観察中に試料加熱手段を動作させると、検出器が誤動作する場合がある。例えば、レーザ光等の光を用いて試料加熱を行なう場合、試料表面で散乱した光がX線検出器に到達して、X線検出器のノイズが大きくなり、分析精度の低下を招く可能性がある。これに対し、観測用電子線の照射とは独立に試料加熱手段を動作させる場合には、そのような問題は生じない。
【0011】ウエハを割ることなく起伏の大きな個所でも残留物の分析を可能にするためには、以下に述べるように、蛍光X線の観測方法が重要である。ウエハ表面上の主要な残留物は、酸化膜やフォトレジストである。これらを同定するためには、炭素(C)、酸素(O)等の軽元素を検出しなければならない。電子線照射により発生する蛍光X線(CKα線やOKα線)はエネルギーが小さいため、これら蛍光X線の発生位置と蛍光X線観測手段との間に障害物があると、蛍光X線がこの障害物を透過できず、従って蛍光X線の観測は不可能である。最も観測条件の厳しい微細孔内部の観測の場合を例にとり、以下に、この様子をさらに詳しく説明する。
【0012】図2に示すように、微細孔11内に電子線1を入射させて、孔内底部に存在する残留物12の分析を行なう場合を考える。先に述べたように、残留物12から放射されるCKα線やOKα線などの蛍光X線2はエネルギーが小さいため、蛍光X線2の発生位置と観測位置との間に障害物があると、蛍光X線2はその障害物中を透過できず、従って蛍光X線の観測は不可能である。すなわち、図2においてAで示した領域(以下では、電子線軸と近軸の方向と呼ぶ)から蛍光X線を観測することが必要である。ここで、角度αは微細孔の直径2aと深さdを用いて、tanα=(a/d)により定義される角度である。なお、微細孔の断面形状が正方形や長方形等の角形の場合には、上記の直径2aの代りに、一辺の長さ(短辺の長さ)が用いられるものとする。
【0013】上記微細孔の代表例としてDRAMのコンタクトホールを例にとり、その微細化に伴う上記角度αの推移を該微細孔のアスペクト比Ra=(d/2a)の推移と共に図3に示した。図3から明らかなように、今後の半導体素子の主流である4Mb以降のDRAMの微細孔内観察に当たっては、角度αが20度以内の近軸領域内で蛍光X線を観測することが必要である。先に述べたように、特開昭63−243855号公報に開示された荷電粒子分析装置では、分光結晶が照射電子線の中心軸と22度の角度で配置されているため、4Mb以降のDRAMへの適用は不可能である。これに対し、本発明で採用されている蛍光X線の観測手段に関しては、X線検出器の受光面の一部もしくは全部、あるいはX線検出器へ蛍光X線を導くための光学素子の一部もしくは全部が、この角度αで定義される近軸領域内(すなわち、図2の領域A内)に設置されるように留意している。このような条件を満足させるための観測手段としては様々な方式が考えられるが、詳細については実施例の項で説明する。このような観測手段を用いることにより、表面起伏の小さな試料はもとより、アスペクト比の高い微細孔等を有する表面起伏の大きな試料についても、残留物の定性、定量分析が可能になる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例につき図面を参照して具体的に説明する。
【0015】<実施例1>本発明の最も基本的な実施例を図1に示した。図では、加速された電子線1がX線検出器8の中央部に設けられた穴9を通過して、試料3(例えば、ウエハ)の表面に垂直に照射される。電子線1の集束は、電子レンズ7および6によって行なわれる。なお、X線検出器8に設けられる穴9の直径は、1〜2mm程度でよい。
【0016】先に述べたように、試料3に電子線1を照射すると、試料3の表面上に炭素原子等(コンタミネーション)が付着する。本実施例では、試料3表面を局所加熱することにより、このコンタミネーションを防止している。この試料表面の局所加熱は、光源5からの光をレンズ4を用いて試料3表面上に集光することにより行なわれる。局所加熱する領域は、電子線1の照射領域(照射スポット)を含む数10μmφ〜1mmφ程度の領域でよい。すなわち、試料3の全表面を加熱する必要はない。むしろ、試料の全表面を加熱した場合には、試料表面から大量のガスが放出され、試料を収納する真空チャンバ内の真空度が低下するので、好ましくない。なお、局所加熱の温度は、100〜200℃程度で十分である。この程度の局所加熱ならば、市販の通常光源からの光をレンズ4で集光することにより容易に実現できる。光源5としては、通常の可視光源または赤外光源でもよいし、さらには可視領域または赤外領域のレーザ光源であってもよい。
【0017】試料3表面の加熱(すなわち、試料3表面への光照射)は、螢光X線観測のための電子線1の照射とは独立して行なわれる(例えば、電子線1の照射前に試料3表面の加熱のための光照射を行ない、予め試料3表面を加熱しておく)。このため、試料3表面の分析中に、試料3表面で散乱した試料表面加熱用の光(光源5からの光)によってX線検出器8や2次電子検出器10が誤動作(誤検出)するおそれはない。なお、本実施例では、光源5からの試料表面加熱用の光の集光にレンズ4を用いたが、他の集光用光学素子の使用ももちろん可能である。例えば、全反射鏡を用いて加熱用の光を集光すれば、色収差なく集光することができるので、本実施例におけるような微小部の局所加熱には特に便利である。
【0018】試料3表面への電子線1の照射により、試料3表面の被照射領域から蛍光X線2が放射される。この蛍光X線2は、照射電子線1と同軸に設けられたX線検出器8により検出される。このX線検出器8は、例えば固体X線検出器(SSD)等によって代表されるような、入射X線のエネルギー分析機能を有するX線検出器である。なお、このX線検出器8の設置位置に関しては任意である。図1に示されているように電子レンズ6と7との中間位置でもよいし、あるいはまた電子レンズ6または7の内部空間内に設置してもよい。
【0019】X線検出器8の設置位置に関して特に重要な点は、試料表面からの蛍光X線2を受光するX線受光面の全部もしくは一部が、図2に示した領域A(すなわち、照射電子線の中心軸から角度α内の領域)内に収まるように、検出器8を設置することである。このX線検出器8により、試料1表面から放射される蛍光X線2のエネルギーおよび強度を測定することにより、試料1表面上の残留物の定性、定量分析ができる。
【0020】電子線1の照射により、試料3表面からは2次電子も放出される。図中の検出器10は、この2次電子を検出するための2次電子検出器である。ここで、電子線1を試料3表面上に走査しながら照射して、この照射電子線の走査に伴なう試料表面からの放出2次電子を検出することによって、試料3表面の2次電子像が得られる。この2次電子像を用いると、試料3表面上の分析すべき残留物が存在する位置を容易に把握でき、それにより、試料3表面上の分析すべき領域の設定が容易にできる。
【0021】本実施例によれば、試料表面のコンタミネーションを防止でき、かつ、発生した蛍光X線を電子線軸と近軸の方向から観測できる。この結果、ウエハ表面上の残留物を、コンタミネーションの影響なく高精度に分析可能である。また、ウエハを割ることなく分析できるため、分析後のウエハを再び製造プロセスに戻すことが可能である。
【0022】<実施例2>図4に示した実施例も、光を用いて試料3表面を加熱して残留物の分析を行なう方法の一例である。図では、楕円面鏡14の一方の焦点位置に光源15が設置されている。光源15は、例えば通常の可視光ランプでよい。楕円面鏡14のもう一方の焦点位置には、石英もしくはサファイヤ製の導入ロッド13の一端が設置されている。光源15から放射された光は、楕円面鏡14によって反射、集光されて、導入ロッド13内に入射する。この導入ロッド13の形状はテーパ状であり、試料3に近づく程その径が小さくなっている。このような形状を採用することにより、導入ロッド13に集光作用を持たせることができる。また、導入ロッド13の先端部(試料側端部)をレンズ状に加工することにより、さらに微小な領域への集光が可能である。なお、本実施例で採用した導入ロッド13の形状はあくまでも一例であり、この形状に関しては、必要に応じて任意に選択できるものとする。また、導入ロッド13の材質に関しても、同様に必要に応じて任意に選択できるものとする。その他の部分の構成に関しては、実施例1の場合と同様である。
【0023】本実施例によれば、試料表面局所加熱用の光を楕円面鏡14を用いて導入ロッド13内に導く構成としているため、強い光で試料3表面を加熱できる。この結果、試料3表面の局所加熱が容易になる。その他の効果については、実施例1の場合と同様である。
【0024】<実施例3>実施例1,2では、光を用いて試料3の表面を加熱していた。しかし、試料3表面の加熱は他の方法を用いても可能である。本実施例は、超小型のヒータを用いて試料表面の局所加熱を行なう方法についてのものである。図5にその具体的な装置構成を示した。電子線1の照射により試料表面から発生した蛍光X線2は回折格子17に入射して分光され、X線検出器18でもって検出される。X線検出器18は2次元検出器であり、多波長のスペクトル観測を同時に行うことができる。試料3の加熱は、超小型のヒータ16を用いて試料(ウエハ)の裏面から行なわれる。ヒータ16の加熱面の大きさは1mmφ程度であるため、試料3の局所領域のみを加熱することができる。
【0025】本実施例を用いても、実施例1および2と同等の効果が得られる。
【0026】<実施例4>本実施例も、試料3の裏面から加熱を行う方式についてのものである。具体的な装置構成を図6に示した。本実施例では、試料3の局所加熱に電子線照射を用いている。電子源20から放出された電子は、電子レンズ19を用いて試料3の裏面上に加速、集束される。この電子線の加速エネルギーは1〜5keV程度でよい。試料裏面上での電子線の照射領域の大きさは、数10μmφ〜1mmφである。この程度のビーム径を有する電子線を用いて加熱してもよいし、さらに小さなビーム径を持つ電子線を試料裏面上で走査して加熱するようにしてもよい。
【0027】次に、蛍光X線の検出手段について説明する。本実施例では、蛍光X線の分光に、表面上にX線用多層膜を形成した反射鏡21を用いている。電子線1の照射により試料面から発生した蛍光X線2は反射鏡21に入射する。反射鏡21は電子線照射の妨げにならないよう、電子線1の中心軸から若干(1〜2mm)離れて設置されている。反射鏡21は紙面に垂直な中心軸22の回りに回転可能である。この回転は(図には示されていないが)パルスモータ等を用いた回転機構により制御される。
【0028】上記した多層膜反射鏡21は、2種類の異なる物質(例えば、MoとSi)を薄膜状にして、基板上に交互に周期的に積み重ねてなる反射鏡である。その積み重ねの1周期分の厚みをD、蛍光X線2の反射鏡21への入射角をθとすると、2Dsinθ=λなる関係式を満たす波長λを持った蛍光X線のみが、この反射鏡21によって反射される。従って、周期長Dが既知である多層膜反射鏡を用いて入射角θを変化させることができれば、反射鏡21に入射するX線の分光(エネルギー分析)が可能になる。
【0029】本実施例では、上記の分光原理を採用している。すなわち、反射鏡21をその中心軸22の回りに回転させることにより、蛍光X線2の反射鏡21への入射角θを変化させている。さらに、この回転に伴って検出器23の位置を移動させることにより、反射された蛍光X線を検知するようにしている。検出器23の移動は、検出器23が設置されたステージ25をガイド26に沿って移動することにより行なわれる。このステージ25の移動は、蛍光X線の反射方向を表す角度φと上記の入射角θとの間にφ=2θの関係が常に成立するように、反射鏡21の回転と同期して、パルスモータ等を用いた移動機構により制御されている。コリメータ24は、不要なX線が検出器23に到達するのを防止するためのものである。
【0030】反射鏡21の表面に若干の曲率を設け、反射鏡21に集光作用を持たせてもよい。どのような形状の反射鏡を用いるか、および反射鏡21の設置位置に関しては、必要に応じて任意に選択できるものとする。
【0031】本実施例においても他の実施例と同等の効果を得ることができる。特に、試料3の加熱に裏面からの電子線照射を用いているため、試料3に損傷を与えることなく、コンタミネーションの影響のない迅速な残留物の分析が可能である。
【0032】<実施例5>図7に示した実施例は、光照射により試料3表面を加熱して残留物の分析を行なう方法についてのものである。試料表面加熱用の光源は、レーザ光源28である。試料表面を迅速に加熱するためには炭酸ガスレーザを用いるのが都合がよいが、200℃程度までの加熱であれば半導体レーザを用いてもよい。レーザ光源28からのレーザ光は、集光光学系27により試料3表面上に集光される。電子線1の照射により発生した蛍光X線2は、電子線1のビーム軸近傍に設置されたエネルギー分析機能を有するX線検出器29により検出される。
【0033】本実施例では、試料表面の加熱にレーザ光を用いているため、試料3表面上への集光が容易であり、試料加熱を簡単に行うことができる。この結果、試料表面上の残留物を迅速かつ正確に分析できる。
【0034】<実施例6>これまで述べた実施例では、試料3を局所加熱することでコンタミネーションを防止した。しかし、局所加熱以外の方法でも、試料3表面上へのコンタミネーションを防ぎながら残留物の分析が可能である。図8に、このような場合の一実施例を示した。図では、ラジカル源31からのラジカル(化学的に活性な粒子)をパイプ30を用いて試料3の表面近傍に導いている。ラジカルとしては、酸素原子やハロゲン原子、あるいはオゾン分子等が有効である。ラジカルの生成手段としては、加熱や光照射、あるいは放電等による励起方式のものを使用する。試料3表面に電子線1を照射している状態でこれらのラジカルを導入すると、電子線1の照射領域内で化学反応が促進される。例えば、試料表面に炭素原子が吸着している場合、そこに酸素原子あるいはオゾン分子を導入すると、炭素原子は二酸化炭素や一酸化炭素になり、試料3表面から離脱する。このため、試料3表面への炭素原子の付着(コンタミネーション)を防止できる。ハロゲン原子を導入した場合にも、上記と同等の防止効果が期待できる。その他の構成、効果に関しては、実施例1の場合と同様である。
【0035】本実施例によれば、ラジカルとの化学反応を用いてコンタミネーションの付着を防止できる。従って、加熱すると損傷を生じ易いような試料に対しても、表面残留物の分析が可能である。
【0036】<実施例7>図9に、光ファイバを用いて試料加熱用の光を導入する一実施例を示した。本実施例では、光源34からの光をレンズ33を用いて光ファイバ32内に導入する。光ファイバ32は電子レンズ6に設けられた導入孔35を通り、その先端が電子線1の照射領域の近くに設置されている。光ファイバ32を通過した光は、試料3表面上に集光され、この結果、試料3表面の局所加熱が可能である。光源34は、可視光源でも赤外光源でもよい。また、レーザ光源を用いることもできる。その他の部分に関しては、実施例1の場合と同様である。
【0037】ファイバ32を用いると、光の進路を自由に曲げることができる。従って、電子レンズ6が試料3に接近している場合でも、試料加熱用の光の導入が簡単にできる。この結果、装置構成が容易になるという利点がある。
【0038】以上、いくつかの実施例を用いて本発明を説明した。発生した蛍光X線を観測するために、様々な光学素子やX線検出器を用いた。より効果的に蛍光X線を検出するためには、光学素子や検出器の位置を微調整する手段が必要である。これらの調整手段は図示されていないが、必要に応じて位置調整用微動機構を取付けることができるものとする。ここで述べた実施例の組合せも本発明に含まれることは云うまでもない。さらに、個々の実施例では述べなかったが、蛍光X線の発生および検出に必要な手段の大部分は真空中に設置されている。大気中では、電子線1の生成が不可能であり、大気中の粒子により蛍光X線も吸収されるからである。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、収束した電子線を試料に照射し、電子線照射により残留物から発生する蛍光X線を、電子線の近軸方向から観測できる。さらに、試料の局所加熱やラジカルの導入により、試料表面上へのコンタミネーションの付着を防止できる。このため、ウエハ表面上の残留物をコンタミネーションの影響なくして定性、定量分析することができ、分析後のウエハを製造プロセスに戻すことができる。




 

 


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