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発明の名称 薄膜配線回路基板とその製造方法及びそれを用いた電子回路
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−260751
公開日 平成6年(1994)9月16日
出願番号 特願平5−156559
出願日 平成5年(1993)6月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 薮下 明 / 伊藤 光子 / 安藤 昭博 / 志儀 英孝 / 松山 治彦
要約 目的
薄膜配線回路基板における電子部品接続用はんだ接続電極の膜厚を薄くしても、はんだバリア性が著しく向上し、多数回のリペアにも耐え、接続信頼性の高い接続電極を実現する。

構成
薄膜配線回路基板5における、はんだ接続を行う接続電極(端子)3のメタライズ構造のはんだ拡散防止用金属32として、はんだ接続時にはんだを構成する金属と容易に濡れ、かつ容易に合金化もしくは化合物を形成する例えばNiの如き第1の金属と前記はんだと容易に濡れず、化合物の形成がない例えばWの如き第2の金属との合金、及びこれら両金属の酸化物を含む合金膜を用いる。また、好ましくはこのはんだ拡散防止用金属32の表面を例えばAuの如き酸化防止保護膜で被覆することによってはんだ濡れ性の改善、酸化防止を図り、さらに下層の配線導体4との間に接着用金属31として例えばCr,Tiのうちいずれかを介在させる。
特許請求の範囲
【請求項1】高密度な配線回路パタ−ンを有し、外部にはんだ接続によって電子部品を接続、実装する接続電極が設けられた薄膜配線回路基板において、前記接続電極が、はんだ接続時にはんだを構成する金属と容易に濡れ、かつ容易に合金化もしくは化合物を形成する第1の金属と前記はんだに容易に濡れず、化合物の形成がない第2の金属との合金、及びこれら両金属の酸化物とから構成されて成る薄膜配線回路基板。
【請求項2】上記接続電極を構成する第1の金属がニッケル、銅、チタン、タンタル、ジルコニウムの少なくとも1種、第2の金属がタングステン、クロム、モリブデンの少なくとも1種から成る請求項1記載の薄膜配線回路基板。
【請求項3】上記接続電極が第1の金属を構成するニッケルと、第2の金属を構成するタングステンと、酸素との3元系合金から成る請求項1記載の薄膜配線回路基板。
【請求項4】上記接続電極を構成する3元系合金が、1〜15原子%のタングステンを含むニッケル−タングステン合金と、前記合金の2.0〜10原子%と化合した酸素成分とからなる請求項3記載の薄膜配線回路基板。
【請求項5】上記接続電極を構成する3元系合金が、1〜15原子%のタングステンを含むニッケル−タングステン合金と、前記合金の2.0〜10原子%と化合した酸素成分とからなり、この3元合金膜の結晶配向性はX線回折法で得られる回折ピ−クの回折角(2θ)が44°、51°でそれぞれの積分強度の比(Xとして、X=51°/44°)が0.1〜2.0の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜配線回路基板。
【請求項6】上記接続電極を、下層に形成されたチタン及びクロムの中から選ばれた少なくとも一つの金属からなる接着金属層と、上記3元系合金から成るはんだを構成する金属の拡散防止層と、上層に形成された酸化防止金属層との3層構造として成る請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜配線回路基板。
【請求項7】上記薄膜配線回路基板が、高密度な回路パタ−ンが層間絶縁膜のスル−ホ−ルを介して複数層積層された多層配線構造体を成し、外部にはんだ接続によって電子部品が接続される接続電極が最上層に形成されて成る請求項1〜6のいずれか1項に記載の薄膜配線回路基板。
【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項に記載の薄膜配線回路基板の接続電極に電子部品をはんだ接続にて搭載、実装して成る電子回路装置。
【請求項9】請求項1〜7のいずれか1項に記載の薄膜配線回路基板の接続電極に少なくとも半導体素子の接続端子をはんだ接続して搭載、実装して成る電子回路装置。
【請求項10】少なくとも表面に配線導体層が形成された高抵抗基板上に、層間絶縁膜を介して多層配線を積層形成する工程と、前記配線層の最上層に電子部品をはんだ接続する接続電極を形成する工程とを有する薄膜配線回路基板の製造方法であって、前記接続電極を形成する工程が、はんだ接続時にはんだを構成する金属と容易に濡れ、かつ容易に合金化もしくは化合物を形成する第1の金属と前記はんだと容易に濡れず、化合物に形成がない第2の金属との合金、及びこれら両金属の酸化物とから構成される、はんだ拡散防止用金属層パタ−ンを形成する工程を有して成る薄膜配線回路基板の製造方法。
【請求項11】上記接続電極を形成する工程が、下地の接着金属層を形成する工程と、その上に、はんだ拡散防止用金属層を形成する工程としてニッケル−タングステン−酸素の3元合金膜を形成する工程と、さらにその上に酸化防止保護膜とから成る金属層を形成する工程と、前記それぞれの金属層をパタ−ン化する工程とを有して成る請求項10記載の薄膜配線回路基板の製造方法。
【請求項12】上記ニッケル−タングステン−酸素の3元合金膜を形成する工程が、タングステンを1〜15原子%含むニッケル−タングステンの2元合金をタ−ゲットとするスパッタリング工程で行われると共に、前記スパッタリング工程の雰囲気を前記合金の2.0〜10原子%を酸化するに足る酸素ガス含有雰囲気中で行われる工程として成る請求項11記載の薄膜配線回路基板の製造方法。
【請求項13】上記ニッケル−タングステン−酸素の3元合金膜を形成する工程が、タングステンを1〜15原子%含むニッケル−タングステン合金で、かつ前記合金の2.0〜10原子%を酸化した酸素成分を含むニッケル−タングステン−酸素の3元合金をタ−ゲットとするスパッタリング工程で構成されて成る請求項11記載の薄膜配線回路基板の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜で構成された配線回路基板に係り、特にマイクロソルダリングと呼ばれる微小電極のはんだ付けに好適な接続電極を備えた薄膜配線回路基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の一般的な薄膜技術によって作られた配線回路基板において、基板上に半導体素子などの電子部品をはんだ溶融接続法によって実装するための接続電極の構成は、図1、図2に示した通りである。
【0003】すなわち、図1は、はんだ接続電極を具備した薄膜多層配線基板の主要断面構造図を、図2は図1のA部を拡大した詳細な断面構造図を示している。この例は従来の典型的な配線回路基板を示しており、アルミナ、ムライトなどの高抵抗基材1上に、ポリイミド系樹脂などの有機材料を層間絶縁膜2として積層した多層構造を有する薄膜配線回路の例で、最上層には外部に半導体素子などの電子部品をはんだ接続するための接続電極3が設けられている。
【0004】ここで接続電極3の構成は、図2に詳しく示すように下地層(配線導体層4)上から接着用金属31(主としてCr,Tiなど)、はんだの接続金属と成る拡散防止用金属32、を順次積層した構成で、場合によってははんだの濡れ性を改善する目的と同時に酸化防止の保護膜層33としてAuなどを積層したメタライズ構造が一般的である。
【0005】従来から広く使用されているCuをはんだの接続金属とし、はんだ金属として一般的なSn/Pb系共晶はんだ(Sn:Pb=63:37、融点:183℃、処理温度:200〜220℃)を用いた場合には、1回のはんだ溶融接続で約1μm程度のCuがはんだ中に溶融、拡散して消失(消耗)することが知られている。ここで回路基板上に接続実装された例えば半導体素子の如き電子部品が、その後のテスティングによって不良と判別された場合には、それを正常なものと交換する必要がある。この部品交換のことを通常、リペアと呼んでいる。部品を交換する工程は、『1回目の接続→取外し→レベリング(余分なはんだの除去)→2回目の素子の接続』と1回の交換においてはんだは4回溶融することになる。場合によっては不良部品の交換が2〜3回と複数回にわたる場合には、拡散防止用金属32の膜厚として5μm以上の厚い膜厚の形成が必要となる。厚い膜厚の形成は、これが原因となって接続端子自身の割れや、熱膨張の違いに基く応力によって基板の破壊などが生じ易い。また、材料コストの問題、厚い膜厚を精度良く加工するパタ−ン化の点でも困難となり、これより薄い膜厚ではリペア時にはんだ濡れ不良による接続不良を生じてしまう。
【0006】このような問題を改善するためには、Cuよりはんだの拡散に対してバリア性の高い材料を拡散防止用金属として適用すれば良いわけで、例えばNiの場合には本発明者等の検討では、拡散速度が約1桁程度遅くなることが確認されており、この場合には必要な膜厚を薄く形成することができる。しかし、Niは表面に強固な酸化膜を形成し易く、また、強磁性体のため薄膜形成装置として多用されるマグネトロンスパッタ法による成膜に対しても容易でないという課題がある。
【0007】さらに、複雑な実装構造を有する回路基板、例えば計算機用モジュ−ル基板などでは融点の異なる各種のはんだを用いた多階層の接続を採用する形態が多く見られ、特に、接続端子金属の拡散消費がはんだ金属の主成分であるSnの拡散によって支配されている点を考慮すれば、例えばSn成分の大きいSn/Ag系(Sn:Ag=97:3、融点:221℃、処理温度:約250℃)などのはんだを使用する場合は、拡散速度は上記のSn/Pb系共晶はんだに比べて1桁以上速くなり上記のCu,Niなどは多数回のリペアには適用の可能性はなく、単一の金属では対応できないのが現状であった。
【0008】上記の課題を改善する目的で、CuとNiの両者の性質を併せ持つような材料としてCu−Ni合金膜を適用した例が、シャ−プ技報第33号(1985年)第50頁〜第60頁に、また、CuとMoの合金膜を適用した例が特開昭63−10477号公報に記載されている。前者の例ではSn/Pb系共晶はんだを用いて、Cu−Ni合金層1μmで2回程度のリペアが限度と述べられており、例えばリペア10回以上(はんだの溶融回数は30回)の多数回の接続を要求されるような場合には前記の課題が問題となってくる。また、後者の例では、はんだ金属の主成分であるSnと合金を作らない元素といわれているMoを混ぜた合金とすることで、その添加金属がはんだの拡散を障害物として抑制し実効的に拡散速度が遅くなるためはんだ耐性が向上する。また、この材料系は固溶範囲を持たないために膜比抵抗が低く配線材料としても有用であると述べられている。しかし、はんだ接続性についてははんだ金属の主成分であるSnとの拡散反応はCuが律速であり、過度のMoの添加ははんだ濡れ性を阻害しリペア性については問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来技術は、半導体素子などの電子部品を多数回付替えるリペアに対して電極端子を厚くして対処する必要があった。膜厚の増加はパタ−ンの形成においても加工精度を低下させるという問題、また、応力集中に伴う端子の破壊など様々な問題があった。
【0010】したがって、本発明の目的は、はんだバリア性(はんだの拡散を防ぐことができる)が高く、適度な膜厚でかつ製造が容易である材料を拡散防止用金属として適用することにより、上記問題点を解決し、膜厚が薄くても繰返しリペア作業などのはんだ付けに充分に耐えるはんだ接続電極を有する薄膜配線回路基板及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】はんだバリア性を向上するためには、はんだ金属の主成分であるSnの適度な濡れ性、また、拡散速度が遅いというあい矛盾する条件を満たす材料の選択が必要である。はんだ接続を大きく左右するSnに対する各種金属の平衡状態図を図5に示すとCu,Ni,Zr,Taの順序ではんだに対する溶解速度が遅くなることが判る。この図は各種金属とSnの平衡状態図におけるSn側の液相線の立上りを示しており、液相線が高く傾きが急俊な金属ほど反応温度が高いことを反映しており、溶融はんだに対する耐性が向上することになる。
【0012】しかし、同図から明らかなように横軸の同一Sn含有量上における縦軸の温度を比較してみると、Ta,Zrについては、液相線の現れるのがNi,Cuよりも高温域であり、通常のはんだ接続を行なう温度域:約200〜400℃、1工程の処理時間:約1分では拡散反応による接続が不十分である。そこで、本発明者等はリペア回数と接続電極組成について実験検討したところ、以下に示すような有効な知見を得た。
【0013】すなわち、Cu,Niの中からより液相線が高く、傾きが急俊な金属はNiであり、さらにSnと容易に合金を作らない元素といわれているCr,Mo,Wの中から、密度が大きく、高融点金属であるWを添加したNi−W合金を主金属として、さらにこれら主金属の酸化物(NiO,WOなど)を混在させた合金膜をはんだ接続電極の拡散防止用金属として適用とすることが特に有効であるという知見を得た。そしてさらに詳しくは、ニッケル(Ni)とタングステン(W)合金の好ましい組成割合が、85〜99at%(原子%の略、以下同じ)Ni:15〜1at%Wの組成範囲で、酸素(O)の割合が全体の2.0〜10at%の範囲のものが有効であることが判った。
【0014】また、このNi−W合金とその酸化物の3元合金薄膜の結晶配向性は、例えばX線回折法で得られる特定な回折ピ−クの検出では、回折角(2θ)44°、51°にこのNi−W合金とその酸化物の3元合金薄膜に関連した回折ピ−クが検出され、特に、この回折ピ−クの積分強度の比(Xとして、X=51°の積分強度/44°の積分強度)が好ましくは、X=0.1〜2.0の範囲となるような膜物性を有するものが同様に有効であることが判った。
【0015】本発明はかかる知見に基づいて為されたものであり、上記目的を達成することのできる技術思想を総括的に表現すると、本発明の薄膜配線回路基板は、(1)高密度な配線回路パタ−ンを有し、外部にはんだ接続によって電子部品を接続、実装する接続電極が設けられた薄膜配線回路基板において、前記接続電極が、はんだ接続時にはんだを構成する金属と容易に濡れ、かつ容易に合金化もしくは化合物を形成する第1の金属と前記はんだに容易に濡れず、化合物の形成がない第2の金属との合金、及びこれら両金属の酸化物から構成される。
【0016】そして、上記目的はさらに次の具体的解決手段によって達成される。
【0017】(2)上記接続電極を構成する第1の金属がニッケル、銅、チタン、タンタル、ジルコニウムの少なくとも1種、第2の金属がタングステン、クロム、モリブデンの少なくとも1種から成る上記(1)記載の薄膜配線回路基板によっても、(3)上記接続電極が第1の金属を構成するニッケルと、第2の金属を構成するタングステンと、酸素との3元系合金から成る上記(1)記載の薄膜配線回路基板によっても、(4)上記接続電極を構成する3元系合金が、1〜15原子%のタングステンを含むニッケル−タングステン合金と、前記合金の2.0〜10原子%と化合した酸素成分とからなる上記(3)記載の薄膜配線回路基板によっても、(5)上記接続電極を構成する3元系合金が、1〜15原子%のタングステンを含むニッケル−タングステン合金と、前記合金の2.0〜10原子%と化合した酸素成分とからなり、この3元合金膜の結晶配向性はX線回折法で得られる回折ピ−クが回折角(2θ)が44°、51°でそれぞれの積分強度の比(Xとして、X=51°/44°)が0.1〜2.0の範囲であることを特徴とする上記(1)及至(4)記載の薄膜配線回路基板によっても、(6)上記接続電極を、下層に形成されたチタン及びクロムの中から選ばれた少なくとも一つの金属からなる接着金属層と、上記3元系合金から成るはんだを構成する金属の拡散防止層と、上層に形成された酸化防止金属層との3層構造として成る上記(1)及至(5)何れか記載の薄膜配線回路基板によっても、さらに、(7)上記薄膜配線回路基板が、高密度な回路パタ−ンが層間絶縁膜のスル−ホ−ルを介して複数層積層された多層配線構造体を成し、外部にはんだ接続によって電子部品が接続される接続電極が最上層に形成されて成る上記(1)及至(6)何れか記載の薄膜配線回路基板によっても、達成される。
【0018】(8)また、上記目的は上記(1)及至(7)何れか記載の薄膜配線回路基板の接続電極に電子部品をはんだ接続にて搭載、実装して成る電子回路装置によっても、(9)さらに上記(1)及至(7)何れか記載の薄膜配線回路基板の接続電極に少なくとも半導体素子の接続端子をはんだ接続して搭載、実装して成る電子回路装置によっても、達成される。
【0019】また、上記目的は、以下に述べる薄膜配線回路基板の製造方法によっても、達成される。
【0020】(10)少なくとも表面に配線導体層が形成された高抵抗基板上に、層間絶縁膜を介して多層配線を積層形成する工程と、前記配線層の最上層に電子部品をはんだ接続する接続電極を形成する工程とを有する薄膜配線回路基板の製造方法であって、前記接続電極を形成する工程が、はんだ接続時にはんだを構成する金属と容易に濡れ、かつ容易に合金化もしくは化合物を形成する第1の金属と前記はんだと容易に濡れず、化合物に形成がない第2の金属との合金、及びこれら両金属の酸化物とから構成される、はんだ拡散防止用金属層パタ−ンを形成する工程を有して成る薄膜配線回路基板の製造方法。
【0021】(11)上記接続電極を形成する工程が、下地の接着金属層を形成する工程と、その上に、はんだ拡散防止用金属層を形成する工程として例えばニッケル−タングステン−酸素の3元合金膜を形成する工程と、さらにその上に例えば金の如き酸化防止保護膜となる金属層を形成する工程と、前記それぞれの金属層を接続電極と成るようにパタ−ン化する工程とを有して成る上記(10)記載の薄膜配線回路基板の製造方法。
【0022】(12)上記ニッケル−タングステン−酸素の3元合金膜を形成する工程が、タングステンを1〜15原子%含むニッケル−タングステンの2元合金をタ−ゲットとするスパッタリング工程で行われると共に、前記スパッタリング工程の雰囲気を前記合金の2.0〜10原子%を酸化するに足る酸素ガス含有雰囲気中で行われる工程として成る上記(11)記載の薄膜配線回路基板の製造方法。
【0023】(13)上記ニッケル−タングステン−酸素の3元合金膜を形成する工程が、タングステンを1〜15原子%含むニッケル−タングステン合金で、かつ前記合金の2.0〜10原子%を酸化した酸素成分を含むニッケル−タングステン−酸素の3元合金をタ−ゲットとするスパッタリング工程で構成されて成る上記(11)記載の薄膜配線回路基板の製造方法。
【0024】なお、スパッタリングの代わりに複数の金属が同時に成膜できる多元蒸着法を用いることも可能である。
【0025】
【作用】以下、最も好ましい組成であるNi−W合金とその酸化物の3元系合金からなる接続電極を代表例として本発明の作用を説明する。
【0026】多数回のリペア工程に耐えるNi−W合金の最適な組成は、適度なはんだ濡れ性とバリア性が共に満足できる条件を満たすことが必要であり、本発明者等の検討結果では、W比率が1at%〜15at%の領域で安定な濡れ性が得られ、この組成範囲を外れた比率では濡れ性は著しく低下している。このNi−W合金に添加された酸素(O)は、それぞれの金属と反応し酸化物(NiO,WOなど)を形成する。この酸化物は溶融はんだに濡れ難く、はんだをはじいてしまう働きがあり、このような酸化物が適量Ni−W合金中に存在することにより、Ni−W合金中へのはんだの拡散をより抑制し、それにより、はんだバリア性を向上させて電子部品交換のリペア回数が増加するという好ましい結果が得られる。したがって、膜中に混在する酸化物の比率も重要な検討因子になる。
【0027】合金薄膜の形成と、この膜中に酸化物を形成する方法としては、複数の金属が同時に成膜できる多元蒸着、スパッタリング法などの真空成膜が一般的で簡便に形成が可能である。例えばスパッタリングの場合には、以下に述べる二つの方法がある。その一つは、予め準備された好ましい組成のNi−W合金タ−ゲットの中に所望のNi,Wの酸化物を添加したタ−ゲット構造としてスパッタする方法であり、他の方法は、同様にNi−W合金タ−ゲットを用いて成膜用ガスとして導入する例えばArガス中に酸素ガス(O2)を適量添加した雰囲気中でNi−Wの反応性スパッタリングをすることによって膜中にNi,Wの酸化物を形成する方法であり、両者いずれの方法でも同様の効果が得られる。
【0028】また、上記はんだの接続電極を構成する拡散防止用金属を回路基板上に形成するに際し、かかる金属層が基板または下地層との接着力が弱い場合は、はんだ接続時または回路基板の使用中に基板から剥がれてしまうので、これを防ぐために予め下地層としてTi,Crなどからなる接着金属層を形成することが有効である。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて具体的に説明する。
【0030】(実施例1)図1は、はんだ接続電極を具備した薄膜多層配線基板の主要断面構造図、及び図2は図1(A)部の拡大断面構造を示している。ここに図示した薄膜多層配線回路基板5の構造自体は、従来技術と同様な回路構成で、アルミナ、ムライトなどの高抵抗基材上1(内部に厚膜回路が形成されている場合もある)に、ポリイミド樹脂などの有機材料からなる層間絶縁膜2を複層数積層した構成で、各層は層間絶縁膜2に形成された接続用スル−ホ−ルを界して、Al,Cuなどの導体4で回路が形成されている。また、基板5の最上層(表面層)には外部に半導体素子(図示せず)などの電子部品をはんだ接続するための接続電極3(端子)が設けられている。
【0031】このはんだ接続電極3の構造は、図2に詳しく示すように下層からポリイミド膜などとの接着性を保証するための接着用金属31としてCr膜、はんだの拡散防止用金属32としてNi−W−O合金膜(Ni,Wおよびこれらの酸化物で構成された合金膜を略記したもの、以下同じ)、最上層にはんだの濡れ性改善、酸化防止用金属33としてAuを積層した構造である。この時、それぞれの膜厚は、Cr膜31=0.1μm、Ni−W−O合金膜32=1.0μm、Au膜33=0.05μmである。
【0032】図3に回路パタ−ンの製造工程の詳細を示している。基板として適用するアルミナ、ムライトなどの高抵抗材料から成る厚膜回路基板1には内部に印刷などの手法によって形成された導体回路11が形成されている。この基板上に微細な薄膜配線回路が形成される。その形成工程は、まず第1層配線回路を構成する導体として、Alをスパッタ成膜(膜厚:4μm)し、ホトリソグラフィ/エッチング工程により所望の配線回路をパタ−ン化する。この時、Al導体の加工には、リン酸/硝酸系の混合液を適用してエッチングする。次に、多層回路を構成するための第1の層間絶縁膜2としてポリイミド樹脂を基板1上にスピン塗布法で形成し、350℃で熱処理を行なう。膜厚は約10μmである。このポリイミド膜のスル−ホ−ル加工には同様に所望のレジストパタ−ンを形成して、ヒドラジン/エチレンジアミン系の混合液でウエットエッチングによって開口する。さらに、この工程を繰り返すことによって、n層(図示した例は3層回路の構成を示している。)の多層配線回路が形成される。ここで、各層に形成するAl導体のスパッタ成膜に当たってはスル−ホ−ルの接続を良好に(接触抵抗を小さくする)保つために、同一真空室内で逆スパッタ処理(スパッタエッチング)を行ない、その後引き続いてAl膜を成膜した。これにより、例えばスル−ホ−ル径:60μmφ/1穴でコンタクト抵抗5mΩ以下を実現している。
【0033】最上層(表面層)に形成するはんだ接続電極3のメタライズ構成は上記の通りで、下層から Cr/Ni−W−O/Au を連続でスパッタ成膜する。Ni−W−O合金膜の形成条件はArとO2ガスを同時に導入した混合雰囲気中で、全体のスパッタガス圧力を0.2Paに設定した状態で、O2ガスの流量を適宜変化させて各種O2分圧の条件で合金膜を形成する。端子パタ−ンの形成は同様に所望のレジストパタ−ンを形成して、Au層33をヨウ素/ヨウ化アンモン系の混合液で、Ni−W−O合金膜32を弗酸/硝酸系の混合液で、Cr層31はフェリシアン化カリウム系あるいは塩酸系のエッチング液でパタ−ン化する。
【0034】この例で、下地との接着金属層31をCrからTiに変えても同様の工程でパタ−ン化が可能である。
【0035】以上の工程で作製した回路基板5を使用して、はんだリペア実験を行なった結果を図4に示した。使用したNi−W合金のタ−ゲット組成=93:7at%,膜厚:1μm、はんだ金属の組成はSn−3%Ag(融点:221℃)、リペア工程は処理温度:250℃に保持したホットプレ−ト上で、各工程(接続、取外し、レベリング、2回目の接続)の処理時間:60秒の繰り返しである。結果はNi−W−O膜のスパッタ中の全ガス圧力に対する酸素ガス分圧比とリペア回数の関係で整理している。リペア回数の定義は、リペアを繰り返した後、新たに供給したはんだ金属が端子面に安定に濡れ広がらず、端子周辺に引け現象が見られる状態で接続不良として判定している。結果のように、リペア特性は酸素無添加(0%)のNi−W合金膜に対して4〜5倍リペア耐性が向上している。結果から、適正な酸素分圧の領域が存在し、全体の動作ガス圧力(0.2Pa)に対して、5ないし6〜20%の範囲で酸素無添加(0%)のNi−W合金膜よりリペア耐性が著しく向上している。この時、形成されたNi−W−O合金膜の膜中に含まれる酸素量(O)は全体の2.0〜10at%であることを分析で検証した。
【0036】また、このリペア特性の良好な結果が得られた5ないし6〜20%の範囲のNi−W−O合金膜について、膜の結晶性をX線回折法で分析した結果を図5に示した。測定した試料の酸素分圧は、0,5,10,15(%)の4条件でそれぞれの測定結果を重ね書きして図5に示している。この結果、回折ピ−クの検出位置(回折角(2θ))は、何れの試料も位置に差が無く化合物の結晶構造(格子定数)にも差が無いことが分かる。それぞれの回折ピ−クの検出位置は回折角(2θ)=44°、51°である。ここで、試料間の回折ピ−クの強度比についてそれぞれのピ−クの積分強度を求め、その強度比(X)をX=(51°の積分強度)/(44°の積分強度)の値で整理すると、酸素分圧 0%=0.003、5%=0.1、15%=0.26、10%=1.4が得られる。この強度比の傾向は図4に示したリペア特性の結果で、リペア回数に優れた結果が得られた酸素分圧の傾向と一致しており、はんだリペア耐性に優れるNi−W−O合金膜の回折ピ−クの強度比として、この値がX=0.1〜2.0となるような酸素分圧の条件を設定することで、酸素を添加しないNi−W合金より著しく良好な膜特性が得られた。
【0037】上記のように、接続電極3のはんだ拡散防止用金属膜32中に酸化物を混在させた合金系とすることによって、はんだ金属の主成分であるSnの拡散をより抑制することが可能となり、接続を繰り返すリペア工程などに対して著しく特性改善に効果があることを見出した。これにより、はんだ拡散防止用金属32の膜厚を必要に応じてさらに薄く形成することが可能となり、接続電極(端子)3の信頼性向上、また材料コストの低減にも効果が得られる。
【0038】(実施例2)実施例1のはんだ拡散防止用金属膜32を形成するスパッタリング成膜工程においては、所定分圧の酸素を含むAr雰囲気中でNi−Wの2元合金タ−ゲットを用いて成膜したが、本実施例では酸素を含まぬAr雰囲気中で行い、酸素成分は予めタ−ゲット中にNi,Wの酸化物として所定量導入し、Ni−W−Oの3元系合金を形成したものを使用した。これら各元素の成分比は、実施例1と同様にNi:Wの組成比=93:7at%,酸素量(O)は全体の2.0〜10at%とした。その結果、はんだ濡れ性、リペア耐性及び接続信頼性などいずれも実施例1の場合と同様の改善効果が得られた。
【0039】(実施例3)図7は、本発明の電子回路装置の一例を示したものであり、実施例1で得られた薄膜多層配線基板5に電子部品としての半導体素子(LSI)6を搭載し、電極(図示せず)を接続電極3上にはんだ7で接続した一部破断要部断面図を示したものである。はんだ濡れ性、リペア耐性及び接続信頼性のいずれも十分に満足できる特性を有する電子回路装置を実現できることができた。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、Ni−W−O合金膜に代表される本発明によるはんだ接続電極の拡散防止用金属とした少量の酸素成分を含む合金膜を適用したメタライズ構造にすることで、繰り返しはんだ接続を行なうリペア作業などの多数回の接続においても、必要な膜厚を1μm程度に薄くでき、これによって膜応力に起因した端子破壊などの低減による接続信頼性の向上、また、成膜時間の短縮による材料コストの大幅な低減など特性の改善効果が得られる。




 

 


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