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発明の名称 電子銃およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−260099
公開日 平成6年(1994)9月16日
出願番号 特願平5−44865
出願日 平成5年(1993)3月5日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】中村 純之助
発明者 黒葛原 守
要約 目的


構成
第1グリッド電極(G1)(あるいは第2グリッド電極)の電極基体(GS)の電子ビームが通過する貫通孔(TH)の内壁周囲に、Ba拡散吸収体(SA)を設けた構成。
特許請求の範囲
【請求項1】カソード電極、第1グリッド電極および第2グリッド電極を含んでなる電子銃において、上記第1グリッド電極、上記第2グリッド電極の少なくとも一方の電子ビームが通過する貫通孔の内壁周囲に、バリウムを拡散吸収する材料を設けたことを特徴とする電子銃。
【請求項2】第1グリッド電極または第2グリッド電極となる電極基体の所定の箇所に、電子ビームが通過する完成後の第2の貫通孔の内径より少し大きい第1の貫通孔をあける第1の工程と、上記第1の貫通孔内にバリウムを拡散吸収する材料を置く第2の工程と、上記材料を上記第1の貫通孔の内壁周囲に圧着する第3の工程と、上記材料のほぼ中央部に上記第2の貫通孔をあける第4の工程とを含んでなることを特徴とする電子銃の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陰極線管(CRT)、カラーピクチャーチューブ(CPT)、カラーディスプレイチューブ(CDT)、投写型陰極線管(PRT)等に備えられる電子銃およびその製造方法に係り、特に、電子銃の第1グリッド電極または第2グリッド電極からの不要な電子放出を抑制して、画質や耐電圧性能を改良することができる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、カラー映像表示に用いる陰極線管(以下カラー陰極線管という)は、映像スクリーンであるパネル部(フェースプレート)、電子銃を収容するネック部、およびパネル部とネック部を連結するファンネル部とから構成され、上記ファンネル部分には電子銃から発射された電子ビームをパネル内面に塗布形成された蛍光面上を走査させる偏向装置が装着される。
【0003】上記ネック部内に収容される電子銃は、カソード電極、制御電極、集束電極、加速電極等の各種の電極を備え、カソード電極からの電子ビームを制御電極に印加される信号で変調し、集束電極、加速電極を通して所要の断面形状とエネルギーを付与して、上記蛍光面に射突させる。電子ビームは、電子銃から蛍光面に達する途上において、ファンネル部に設けた前記偏向装置により、水平方向、垂直方向の偏向を受けることで、蛍光面上に映像を形成するものである(特開昭59−215640号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】陰極線管の熱電子を取り出すカソード電極(陰極)には、いわゆるオキサイド(酸化物)・カソード電極や含浸型カソード電極においてもバリウム(Ba)が用いられる。このBa成分は、熱電子を効率良く取り出すために必要不可欠であるが、陰極線管用の電子銃においても、カソード電極に近接して配置された第1グリッド電極(G1)および第2グリッド電極(G2)に蒸発、飛散して、それらの表面に付着してしまい、第1グリッド電極および第2グリッド電極の表面の仕事関数を下げてしまう。その結果、第1グリッド電極あるいは第2グリッド電極からも不要な電子(いわゆる、ストレー:浮遊電子)が生じ、特にカソード電極からの電子ビームが通過する第1グリッド電極あるいは第2グリッド電極の貫通孔の周縁部から生じ、放出されるストレーは、陰極線管の蛍光面にまで達して不良画像を招き、かつ、耐電圧性能も低下する。
【0005】この対策としては、文献:「電子管用金属材料」(編者:日本金属学会、発行:丸善株式会社)の第71頁にも示されているように、「酸化物陰極真空管におけるグリッドエミッション」の中でBaO、Baを拡散吸収する金属として金、銀、白金が挙げられている。また、これらの金属を用いる方法としては、めっきが挙げられている。例えば、第1グリッド電極あるいは第2グリッド電極へ金めっきにより金を被覆すると、ストレーは初期の段階では抑止することができるが、Baを吸収していくうちに、すぐに飽和してしまい、たとえその分被覆膜を厚くしても、被覆が剥がれてしまうため、寿命が短いという問題がある。また、めっきの代わりに蒸着などによっても金等を被覆することができるが、めっきよりも工業的に手間がかかってしまう。さらに、前述のように、第1グリッド電極あるいは第2グリッド電極の貫通孔の周縁部から発生するストレーが問題となるので、めっきや蒸着のように第1グリッド電極あるいは第2グリッド電極の全面に被覆する方法では、上記材料は高価なので、不経済であるとともに、省資源の点でも望ましくない。
【0006】本発明の目的は、生産性が良く、経済的で、省資源に貢献し、かつ、寿命の長い方法により、電子銃の第1グリッド電極や第2グリッド電極の電子ビームが通過する貫通孔の周縁部から発生するストレーを抑止できる電子銃およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明は、カソード電極、第1グリッド電極および第2グリッド電極を含んでなる電子銃において、上記第1グリッド電極、上記第2グリッド電極の少なくとも一方の電子ビームが通過する貫通孔の内壁周囲に、上記カソード電極から蒸発、飛散して上記第1グリッド電極あるいは上記第2グリッド電極に付着するバリウムを拡散吸収する金、銀、白金等の材料を設けた電子銃を提供する。
【0008】また、本発明は、第1グリッド電極または第2グリッド電極となる電極基体の所定の箇所に、電子ビームが通過する完成後の第2の貫通孔の内径より少し大きい第1の貫通孔をあける第1の工程と、上記第1の貫通孔内にバリウムを拡散吸収する材料を置く第2の工程と、上記材料を上記第1の貫通孔の内壁周囲に圧着する第3の工程と、上記材料のほぼ中央部に上記第2の貫通孔をあける第4の工程とを含んでなる電子銃の製造方法を提供する。
【0009】さらに、上記第1の工程において、上記第1の貫通孔の上部と下部にテーパを設ける電子銃の製造方法を提供する。
【0010】
【作用】本発明では、第1グリッド電極、第2グリッド電極の電子ビームが通過する貫通孔の内壁周囲に金、銀、白金等のBaを拡散吸収する材料を設けたので、カソード電極から飛び出たBaが貫通孔の内壁周囲に付着しても、そこに設けた上記材料によりBaが拡散吸収され、その部分の仕事関数が下がらないので、不良画像や耐電圧性能の低下を招く貫通孔の周縁部からのストレーの発生を抑止できる。また、前述のように、従来のめっきや蒸着により第1グリッド電極あるいは第2グリッド電極の全面を被覆する方法では、初期的にはBaの拡散吸収効果を奏するが、すぐに飽和してしまうし、たとえその分被覆膜を厚くしても、被覆膜の剥がれを招く。また、不良画像の原因となるのは、貫通孔の周縁部から発生するストレーであるので、このストレーを抑止する目的からも、無駄が多く、不経済である。その点、本発明では、貫通孔の内壁周囲のみに高価な上記材料を局部的に圧着して設けるので、厚い膜厚で要部に効率良く設けることができ、Baの拡散吸収効果も大きく、かつ、生産性が良く、経済的で、省資源に貢献し、寿命も長い。
【0011】さらに、第1の貫通孔の上部と下部にテーパを設けることにより、上記材料を貫通孔内に強固に固定でき、かつ、不良画像の原因となるストレーの発生源となる貫通孔の周縁部において上記材料の面積が拡大されるので、カソード電極からのBaの蒸発分をより広い範囲で受け止めることができ、貫通孔の周縁部からのストレーの発生を効率的に抑止できる。
【0012】
【実施例】以下、本発明が適用可能なカラー陰極線管について実施例によって具体的に説明する。
【0013】図3は本発明が適用可能なカラー陰極線管の概略構成図であって、1はパネル、2はファンネル、3はネック部、4は蛍光面(画面)、5はシャドウマスク、6は磁気シールド、7は偏向ヨーク、8はピュリティ調整マグネット、9はセンタービームスタティックコンバーゼンス調整マグネット、10はサイドビームスタティックコンバーゼンス調整マグネット、11は電子銃、またBcはセンタービーム、Bsはサイドビームである。
【0014】このようなカラー陰極線管のコンバーゼンス調整(スタティックコンバーゼンス)は、まず2本のサイドビームBs、Bsのコンバーゼンスを取った後、センタービームBcと上記サイドビームBsのコンバーゼンス点とを集中させるようにしている。
【0015】また、パネル1の外表面には、必要により反射、帯電を防止する例えばSnO2、In23等を含む薄膜が一層又は多層に形成されている。さらに図示しないがファンネル2、ネック3の内表面には黒鉛などからなる内装導電膜が被着されており、導電膜としてはアーク抑制を目的として黒鉛に加えて二酸化チタン等を含み抵抗値を制御している。なお、この導電膜は高圧端子(図示せず)と電子銃11とを電気的に接続している。
【0016】図4は本発明が適用可能な前記電子銃11の例を示すものであり、バイポテンシャル型主レンズを構成するG3、G4電極の水平方向、および垂直方向の断面図である。図において、111はG3電極の外周部、121はG4電極の外周部、13はカップ電極である。112はG3電極の外周部111の内部に設けられた、非点収差修正用の電極、122はG4電極の外周部121の内部に設けられた非点収差修正用の電極である。極板112には中央ビームの通過する開孔114と、外側ビームの通過する開孔113、113′が、極板122には中央ビームの通過する開孔124と、外側ビームの通過する開孔123、123′が一列に設けられている。本電子銃では、開孔113、113′、114、123、123′124は楕円形であり、また、G3側とG4側の互いに対応する開孔の形状と寸法は同一である。外側の開孔113、113′、123、123′と中央の開孔114、124とを同一形状、同一寸法にすると、外側に形成される主レンズの水平方向に対するレンズ集束作用が強くなるので、外側開孔の水平方向径を、中央開孔の水平方向内径よりも大きくし、水平、垂直両方向の集束作用の強度を等しくする。
【0017】図5は、第4図に示した電子銃において、外周部111、121の水平方向径h=20.0mm、その垂直方向径v=9.4mm、中央開孔114、124の垂直方向径a1=8.4mm、極板112の後退量d1=1.5mm、離心距離S=6.6mm、としたとき、中央開孔114、124の水平方向径b1に対する水平、垂直両方向のフォーカス距離の比を計算機シミュレーションによって求めたものである。
【0018】ここで、水平、あるいは垂直方向フォーカス距離とは、中心軸上の一点からある出射角度をもって出射し、中央開孔の水平あるいは垂直方向の対称軸を通過する電子ビームが主レンズにより集束され、再び中心軸を横切るまでの距離を、G3電極のG4電極側端面から測ったものである。同端面から蛍光スクリーンまでの距離を340mmとし、出射角が、この340mmという値に一致する出射点をそれぞれ求め、さらに、これらの出射点の中間の点から、同一出射角で電子ビームを出射させる。図5は、このときの水平、垂直両方向のフォーカス距離の比を示したものである。図から分るように、中央開孔の水平方向径b1≒5.5mmとすれば、垂直方向と水平方向のフォーカス距離が一致し、両方向の集束作用の強度が等しくなるので非点収差を取り除くことができる。
【0019】また、このときのレンズ集束作用は、1mmの間隔でつき合わされた、直径8mmの円筒のバイポテンシャルレンズと同等の強度をもつ。
【0020】これは、h=20.0mm、S=6.6mmとしたとき、L=h−2×S(L=開孔部径の限界値、h=開孔の水平方向の径、S=開孔部の離心距離)で制約される電極開孔部に対する限界値6.8mmよりも大きな値になっている。
【0021】図6は、図4に示した電子銃において、上記寸法と同一寸法としたとき、外側開孔113、113′、123、123′の水平方向径b1の値と、外側電子ビームの蛍光面上での水平方向スポット移動距離の関係を計算機シミュレーションによって求めたものである。G3電極には7kV、G4電極には25kVを印加し、G3電極のG4電極側端部から蛍光面までの距離を340mmとした。外側電子ビームと、中央電子とは、水平方向に6.6mm離れているので、STCをとるために必要な、スポット移動距離は6.6mmであるが、実際には、色純度調整の自由度を残すため、6.1mm程度に設計する場合が多い。この移動距離を確保するためには、b1の値は、5.8mmとなる。
【0022】図7は、本発明のカラーブラウン管の他の電子銃の要部断面図であり、G3電極の垂直方向の断面を示す図である。電極112に設けられた開孔41、41′、42は、2つの円弧の端点を平行な二直線で結んだ形状をしている。開孔が楕円であるものよりも蛍光面でのスポット形状は悪化するが、開孔が円弧と直線より成るため、容易に、また、精度良く工作できるという長所をもつ。本電子銃においても、開孔の水平方向径は垂直方向径よりも小さい。
【0023】図8及び図9は、さらに他の電子銃の要部断面図であり、それぞれG3電極、G4電極の垂直方向の断面を示す図である。中央の開孔52、62は垂直方向の対象軸をもつが外側の開孔51、51′、52、52′は垂直方向の対象軸をもたない。外側開孔51、51′、52、52′は長径が同一で、短径の異なる2つの楕円を組み合わせたものであり、G3電極の外側開孔51、51′は外側に組み合わされた楕円の短径よりも小さくなっている。G3電極の外側開孔をこの様な形状にすると、図4の113、113′の様に開孔が、1つの楕円の場合よりも、電子ビーム中央方向へ集中させる力が強くなるので、水平方向の径をより小さくしても、STCをとることができる。
【0024】逆に、G4電極では、図9の61、61′の様に、外側開孔を内側の楕円の短径が外側の楕円の短径よりも小さい2つの楕円を組み合わせて構成すると、電子ビームを中央方向へ集中させる力が強くなる。
【0025】この様に、外側の開孔を垂直方向に対して非対称にすると、電子ビームに対する集中力が増し、STCがとり易くなる。また、集中力が強すぎる場合は、図8の開孔をG4電極側に、図9の開孔をG3電極側に用いれば、集中力を弱めることもできる。
【0026】本発明によれば、電子銃外形を制約された中で、同一水平面に赤、緑、青3色に対応する主レンズを並列させる際に可能な、最大の径をもつ円筒電極をつき合わせた場合よりも、集束作用の弱い主レンズを構成することができるので、カラーブラウン管のフォーカス特性を格段に改善できる効果がある。
【0027】さらに、主レンズを構成するG3電極とG4電極に形成される外側開孔の中心軸を偏位させることなく、極板の後退量、及び該極板に形成される開孔形状を適正に選ぶことにより、STCをとることができるので、組立時に、G3電極、G4電極に対し、同径、同軸の治具を用いることができ、組立精度を向上させることができる。
【0028】図10は他の電子銃の一部破断斜視図である。極板133、143は、中央ビームに対しては図4の極板と同様に楕円の開孔135、145をそれぞれ有するが、両側のサイドビームに対しては楕円開孔は半分に切断され、左右両端で外周電極131、141と接する部分が取り除かれている。中央ビームの通路は、極板133、143にそれぞれ形成された開孔135、145によって取り囲まれているが、両側のサイドビームの通路は、極板133、143の端部によって部分的に取り囲まれ、残りの部分は外周電極131、141によって取り囲まれている。かかる構成により、サイドビーム用の主レンズ口径として最大限に大きくとることができ、しかも、極板の面積が小さいので、平面度を高くし易く、また、高い精度を要求される楕円開孔の成形部分が少ないので加工が容易になるという利点を有する。d3、d4は後退量を示し、同一又は異なる値のいずれすかが採用される。
【0029】図10の電子銃では、開孔形状を楕円としたが、開孔の垂直方向径が、水平方向径よりも大きければ他の形状でも非点収差を取り除くことができる。
【0030】また、図11に示したように極板133、143を湾曲させ、極板の後退量を連続的に変化させる構造によっても、非点収差の除去は可能である。このとき開孔135、145の垂直方向径を必ずしも水平方向径より大きい必要は無い。G3電極の極板133を図示のようにG4電極側に凸とすると、水平方向集束力を強くすることができ、また、逆にG4電極の極板をG3電極側に凸とすると垂直方向集束力を強くすることができる。
【0031】また、図12に示したように、開孔135、145の周辺に突出部137、147を設け、この突出部の突出量を調節することにより非点収差を補正することもできる。この場合も、開孔の垂直方向径が水平方向径より大きい必要は無い。
【0032】図11、図12の電子銃とも、開孔を真円としたままで非点収差を補正することが可能であり、この場合、部品加工、電極組み立てともに、非円形開孔の場合よりも容易になるという利点を有する。
【0033】この電子銃によれば、サイドビームの内側方向に発生するハローを除去し、電子銃主レンズの実効開孔径を十分に拡大することができ、カラー受像管のフォーカス特性を格段に改善できる効果がある。また主レンズの互いに対向する極板の面積が小さいため、加工時に平面度をとり易く、しかも加工の箇所が比較的に少ないため成形が容易であるという長所もある。
【0034】なお、本発明の電子銃は、上述したバイポテンシャル型、またはその他の形の主レンズにも適用できることは勿論である。また、上述の説明では、主レンズを構成する1対の電極の双方に、本発明を適用した例を述べたが、いずれか一方の電極にのみ適用しても同様の効果が得られる。
【0035】図13は、本発明が適用可能な第1〜6グリッドを有するほかの電子銃の正面図(a)、側面図(b)、背面図(c)及び平面図(d)を示す。図中、1111(G1)は第1グリッド、1112(G2)は第2グリッド、1113は第3グリッド、1114は第4グリッド、1115は第5グリッド、1116は第6グリッド、1119はカソードである。この電子銃は複数の主レンズを用い、良好なフォーカス特性が得られる。明るく高解像度の画像を得るためには、陽極電圧Ebの値を高くする必要があり、通常Ebは25〜35kVである。フォーカス電圧Ec3はEbの30%程度で、第2グリッド1112の印加電圧Ec2は400〜700V程度、第1グリッド1111は接地され、カソード1119には各絵素の明るさに対応した200V以下の信号用の電圧Ekが印加される。また、1127は第3グリッド給電線、1128は第5グリッド給電線で、第3グリッド給電線1127は図13(b)、(c)に示す様にその一端1127aを第3グリッド1113に固定すると共に中間部1127bの一部を管軸と直交する平面とほぼ平行に延びる折曲部1127cとし、この折曲部1127cを第3グリッド1113の管軸方向の全長l内でビードガラス1120の背面とネック管内壁面(図示せず)との中間を通過させ、かつ他端1127dは図示しないステムリードと接続している。これによりシールドワイヤと同様な作用を行わせる。一方第3グリッド11113と第5グリッド1115とを接続する第5グリッド給電線1128は、図13(a)、(b)に示す様に、一端1128aを第3グリッド1113と、また他端1128dを第5グリッド1115とそれぞれ固定すると共に中間部1128の一部を管軸と直交する平面とほぼ平行に延びる折曲部1128cとし、この折曲部128cを第3グリッド1113の管軸方向の全長l内でかつ前記折曲部1127cと管軸をはさんで管軸と直交する同一平面で対称的に配置してビードガラス120の背面とネック管内壁面(図示せず)との中間を通過させ、シールドワイヤと同様な作用を行わせる。すなわち、給電線1127C、1128Cを管軸をはさみ、かつ管軸と直交する同一平面内で対称的に配置したことから、片側のみにシールドワイヤを配置するものに比べ、ネック管内の全周に亘ってアーク放電抑制効果等を呈するという優れた特長を有するものである。
【0036】また、本電子銃のように第3グリッドの管軸方向の全長内でかつ管軸をはさんで対称的に両折曲部1127c、1128cを配置することにより、アーク放電発生回数を従来のものに比べ数分の一以下に低減できると共に、暗電流値を同じく数百分の一以下に低減することができる。すなわち、ビードガラスおよびネック管壁を陽極電圧からしゃへいするという点では陽極電圧が印加される電極に近い位置に折曲部を設けた方が良いが、給電線の折曲部要局部的電界集中をひき起し、却ってアーク放電が発生し易くなってしまうことも起り得る。一方フォーカス電圧印加用給電線の折曲部が第2グリッド電極側に近接し過ぎると、フォーカス電圧は陽極電圧につぐ高電圧なので、フォーカス電圧印加用給電線の折曲部と第2グリッド電極等の低電圧印加電極とアーク放電を発生する危険が大になる。
【0037】フォーカス電圧印加用給電線の上記折曲部の位置については、種々の実験を基にアーク放電発生抑制効果、暗電流抑制効果および電極組立作業性等の面から検討した結果折曲部は第3グリッドの管軸方向の全長l内で側面に対向する位置に設けることが最適である。
【0038】この電子銃によれば、給電線の両端が電極等に固定されているため、迷走電子の発生源となる恐れもなく、アーク放電発生防止、暗電流抑制の効果がある。
【0039】図1(a)は、本発明の一実施例の電子銃の第1グリッド電極の平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A切断線における断面図である。
【0040】G1は第1グリッド電極、GSは例えばステンレスやFe−Ni合金等からなる第1グリッド電極G1の略板状の電極基体、THは赤、青、緑の3原色の蛍光体(図14参照)に対応する3本の電子ビームが通過するための、電極基体GSに3個一列に並んであけられた貫通孔、SAは貫通孔THの内壁周囲に固着され、カソード電極(図13の符号1119参照)から蒸発、飛散して第1のグリッド電極G1に付着するBa(バリウム)を拡散吸収する材料、例えば金、銀、または白金等からなるBa拡散吸収体である。
【0041】なお、第2グリッド電極G2にも、図1(a)、(b)に示した第1グリッド電極G1と同様に、第2グリッド電極G2の各貫通孔の内壁周囲にBa拡散吸収体を設けた。
【0042】次に、図2を用いて、図1に示した第1グリッド電極G1(あるいは第2グリッド電極G2)の貫通孔THの内壁周囲にBa拡散吸収体SAを設ける方法について説明する。
【0043】まず、図2(a)に示すように、第1グリッド電極G1のステンレスまたはFe−Ni合金からなる電極基体GSに、あらかじめ電極基体GSの上面および下面にテーパ部TPを設けておいて、この後、完成後の貫通孔の内径(例えば、0.6〜0.7mm)の約1.1〜1.5倍の内径の第1の貫通孔TH′をあける。
【0044】次に、図2(b)に示すように、下パンチLPを有する下ガイドLG上に電極基体GSを載せた後、電極基体GSの第1の貫通孔TH′内に円柱状の金、銀、または白金のBa拡散吸収体SAを入れる。
【0045】次に、同軸上に組み合わせられた下ガイドLG、下パンチLPと上ガイドUG、上パンチUPを用いて、円柱状のBa拡散吸収体SAをプレスして、ほぼ電極基体GSの厚さtにまで押し潰す。このとき、円柱状のBa拡散吸収体SAが電極基体GSのテーパ部TPにまで完全に行きわたるように、電極基体GSの第1の貫通孔TH′の空間の体積よりも円柱状のBa拡散吸収体SAの体積が若干小さい関係にしておいて、上パンチUPが円柱状のBa拡散吸収体SAの途中まで食い込むようにする。なお、電極基体GSの貫通孔TH′の空間の体積より円柱状のBa拡散吸収体SAの体積が大きい場合には、ここでは図示しないが、下パンチLPがその分だけ下に沈むことによって調節することができる。
【0046】次いで、上パンチUPを引き続いて押し下げ、図2(d)に示すように、上部と下部にテーパ部TPを有する第1の貫通孔TH′に満たされたBa拡散吸収体SAのほぼ中央部を貫通して第2の貫通孔THをあける。
【0047】上記の図2(a)〜(d)の一連の工程により、第1のグリッドG1の各貫通孔THの内壁周囲のみにBa拡散吸収体SAが局部的に圧着(機械的に成形され、強固に嵌合)された構造が得られる。
【0048】なお、図2(d)の工程により生じる円柱状のBa拡散吸収体SAからの余剰部SA′は、その材料が金、銀、白金等の高価な材料なので回収する。また、以上のような加工では、Ba拡散吸収体SAの材料としては展性が特に優れている金が最も好適である。
【0049】以上の工程により得られた第1グリッド電極G1のBa拡散吸収体SAの所要量は、例えば、第1の貫通孔TH′の内径が完成後の第2の貫通孔THの内径の1.25倍の例の場合で試算すると、その全面に均等にめっきしたときの厚さが約0.16μmに相当し、効率の良い使い方であることが分かる。
【0050】しかも、本実施例におけるBa拡散吸収体SAは、貫通孔THの内壁周囲に機械的に圧着するという構造からも、電極基体GSに強固に固定することができる。また、さらに強い接着強度を得ようとする場合は、図2(d)の工程完了後に、水素などの還元雰囲気中で加熱処理することにより、電極基板GSとBa拡散吸収体SAとはその界面で強固に固着される。
【0051】また、電極基板GSの貫通孔THの上部と下部に設けたテーパ部TPは、Ba拡散吸収体SAを貫通孔TH内に強固に固定する機能を果たすだけでなく、不良画像の原因となるストレーが発生する貫通孔THの周縁部においてBa拡散吸収体SAの面積が拡大された構造になっているので、カソード電極からのBaの蒸発分をより広い範囲で受け止めることができ、問題となるストレーの発生を効率的に抑止できる。
【0052】以上説明したように、本実施例では、第1グリッド電極G1と第2グリッド電極G2の電子ビームが通過する各貫通孔THの内壁周囲に金、銀、白金等のBa拡散吸収体SAをその展性を利用して機械的に成形して嵌め込んで設けたので、カソード電極から蒸発、飛散したBaが各貫通孔THの内壁周囲に付着しても、そこに設けたBa拡散吸収体SAによりBaが拡散吸収され、その部分の仕事関数が下がらないので、各貫通孔THの周縁部からのストレーの発生を抑止でき、画質が向上し、かつ、耐電圧性能が向上する。また、従来のめっきや蒸着により第1グリッド電極G1あるいは第2グリッド電極G2の全面を被覆する方法では、初期的にはBaの拡散吸収効果を奏するが、すぐに飽和してしまうし、たとえその分被覆膜を厚くしても、被覆膜の剥がれを招く。また、不良画像の原因となるのは、各貫通孔THの周縁部から発生するストレーであるので、このストレーを抑止する目的からも、無駄が多く、不経済である。その点、本発明では、各貫通孔THの内壁周囲のみに高価な材料からなるBa拡散吸収体SAを局部的に圧着して設けるので、厚い膜厚で要部に効率良く設けることができ、Baの拡散吸収効果も大きく、生産性が良く、経済的で、省資源に貢献し、かつ、寿命が長い。
【0053】次に、図14は蛍光面4及びシャドウマスク5の一例の詳細を示すもので、パネル部の内面に形成された蛍光面4は垂直方向に切目なく延在する光吸収細条224を多数水平方向に並列し、これら光吸収細条224間に夫々発光色が異なり、かつ垂直方向全体に亘って切目なく延在する複数の蛍光体細条225R(赤)、225G(緑)、225B(青)を水平方向に一定順序に多数配列しており、また前記パネル内面に対応して曲面で前記蛍光面4に対応して配置され、前記垂直方向全体に亘って切目なく延在する蛍光体細条225に対応して垂直方向に細長く、かつ垂直方向にブリッジ部229を介して多数分離形成されたスロット状透孔228を水平方向に所定ピッチで列状に配列したシャドウマスク5を示す。
【0054】また蛍光面4の別の形状としては図15に示すようにドット状の蛍光体細点226R(赤)、226G(緑)、226B(青)と、そのまわりを埋める光吸収膜227とを有している。
【0055】また、前記シャドウマスク5としては、鋼板材と、熱膨張係数の小さなアンバー材等で形成されている。さらに、シャドウマスク5には、図示しないが熱膨張を抑制する例えばビスマス等が被覆される構成もある。また、スロット状透孔228に代えて丸孔の透孔も用いられる。
【0056】以上本発明を実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。例えば、上記実施例においては、図2(b)に示すように、円柱状のBa拡散吸収体SAを貫通孔TH′に挿入したが、展性の良い材料を用いるので、球状、粒状などでも良く、挿入前の形状は特に限定されない。また、貫通孔THの上部と下部にテーパ部TPを設ける方がBa拡散吸収体SAを強固に固定でき、かつ、貫通孔THの周縁部からのストレーの発生を抑止する点で好適であるが、必ずしもテーパ部TPを設けなくても良く、また、例えばカソード電極に対向する側にのみテーパ部TPを設けても良い。また、Ba拡散吸収体SAは、必ずしも電極基体GSの貫通孔TH内のみに設けることに限らず、電極基体GSの面上に少しはみ出して設けても良い。さらに、本発明の電子銃は、陰極線管(CRT)に限らず、カラーピクチャーチューブ(CPT)、カラーディスプレイチューブ(CDT)、投写型陰極線管(PRT)等、熱電子を放出するカソード電極を有する電子管に備えられる電子銃全般に適用可能である。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、電子銃の第1グリッド電極あるいは第2グリッド電極のストレー発生源となる電子ビームが通過する貫通孔の周縁部を含む貫通孔の内壁周囲にカソード電極から飛散するBaを拡散吸収する材料を局部的に設けたため、貫通孔の周縁部におけるストレーの発生を抑止できるので、画質が向上し、耐電圧性能も向上する。また、高価な上記材料を要部のみに設けるため、厚い膜厚で効率良く設けることができるので、Baの拡散吸収効果が大きく、かつ、生産性が良く、経済的で、省資源に貢献し、寿命も長い。




 

 


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