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発明の名称 集束イオンビーム加工方法及びその加工装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−252233
公開日 平成6年(1994)9月9日
出願番号 特願平5−35067
出願日 平成5年(1993)2月24日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 間所 祐一 / 梅村 馨 / 川浪 義実
要約 目的
接続孔埋込みの断線,高抵抗化の防止。断面加工用表面平坦化のための凹凸部の完全埋込み。

構成
イオンビーム加工により穴形状を変え、あるいは走査条件を変え最適化することで穴の内面のガス吸着量を制御、一様性を実現する。
特許請求の範囲
【請求項1】集束イオンビーム誘起デポジションを用いた接続孔埋込み及び断面観察用試料表面平坦化において、凹部の側壁の少なくともその一部を、あらかじめイオンビーム加工により除去することを特徴とするイオンビーム加工方法。
【請求項2】集束イオンビーム誘起デポジションを用いた接続孔埋込み及び断面観察用試料表面平坦化に用いる集束イオンビーム加工装置において、ガスノズル方向を試料表面垂線方向に対して20度以内に設定したことを特徴とする集束イオンビーム加工装置。
【請求項3】集束イオンビーム誘起デポジションを用いた接続孔埋込み及び断面観察用試料表面平坦化に用いる集束イオンビーム加工装置において、膜形成を行おうとする接続孔底部におけるガス流束に対応したパターン当りの描画時間,ビーム滞在時間を設定する機能を備えた事を特徴とする集束イオンビーム加工装置。
【請求項4】集束イオンビーム誘起デポジションを用いた接続孔埋込み及び断面観察用試料表面平坦化において、複数の膜形成個所に対して、膜形成を同時に並行して行う事により、各加工個所においてガス流束に対応した長さのパターン当り描画時間を設定する事を特徴とする集束イオンビーム加工方法。
【請求項5】集束イオンビーム誘起デポジションを用いた接続孔埋込み及び断面観察用試料表面平坦化において、電子ビーム誘起デポジションによりあらかじめ薄膜を堆積し、しかる後に集束イオンビームによる膜堆積を行う事を特徴とするイオンビーム加工方法。
【請求項6】集束イオンビーム誘起デポジションを用いた接続孔埋込みにおいて、イオンビームの走査を接続孔内部側壁及び接続孔の外に限定し、穴底部へのビーム直接照射を行わないことを特徴とするイオンビーム加工方法。
【請求項7】集束イオンビーム誘起堆積による接続孔埋込み及び断面観察用試料表面平坦化において、試料温度を下げ、凹凸部が平坦化される程度に吸着ガスが一様に付着,凝縮した状態をあらかじめ生じさせ、そこにイオンビーム照射,膜形成を行うことを特徴とするイオンビーム加工方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は大規模集積回路の開発,製造,不良解析,回路修正に係り、特に、集積回路の開発中の論理修正,検査配線形成及び、プロセス検査用の試料の断面加工時に用いられる集束イオンビーム加工プロセス及び、集束イオンビーム加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大規模集積回路、特に大型電子計算機の演算回路などの論理回路では、その開発において、多くの論理修正を要する。通常、これは再設計,マスク修正,製造の工程を繰り返して行われるが、回路を基板上で変更して、直接、論理修正を行っての動作検査も行われる。この場合に、配線の切断,接続にレーザビーム誘起反応と並んで、集束イオンビーム加工が用いられることが多い。これには、イオンビームスパッタリングによる切断と、イオンビーム誘起反応を利用した膜堆積を利用した接続が使われている。一般にイオンビーム誘起堆積は膜形成速度が遅いため、上層配線間の接続には用いられず、下層配線から基板表面に電気信号を引出すのに用いられている。
【0003】この配線接続に関しては、例えば、'91 マイクロプロセス カンファレンスプロシーディングズ(MicroProcess Conferrence Proceedings)pp.321―324に述べられている。ここでは、主として配線接続個所と側壁の短絡防止について述べている。また、一般的な集束イオンビーム堆積の凹部への適用については、ジャーナル オブ バキューム サイエンス テクロノジー(Journal ofVacuum Science and Technology)B9 pp.2670―2674に述べられている。ここでは、穴内部での堆積速度が平面上に較べて大きく平坦化が高速にできる事を述べている。しかし、接続形成の抵抗値、或いは歩留まり、また、埋込みを行った場合の空洞の除去法に関しては、どちらの文献にも述べられていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題は目的によって異なるため、以下に接続孔埋込み、及び試料表面平坦化についてそれぞれ分けて述べる。
【0005】まず最初に、接続孔埋込みでは下層配線と上層の配線、または下層配線と検査用配線の間をタングステンなどの堆積導電物質で接続するが、従来技術では、デポジションガスが入りにくい接続孔の内部で断線が生じやすく、また、接続できても膜厚が薄く、高抵抗の接続になる場合があり、歩留まりが低くなる問題点があった。本発明が接続孔埋込みに関して解決しようとする課題は、低抵抗かつ高歩留りで接続を達成することにある。
【0006】次に、断面観察加工用の表面平坦化について述べるが、ここでは平坦化の目的が断面加工時の加工面の平坦化であるため、試料表面の平坦化ばかりでなく、埋込みした溝の内部にも空洞が生じてはならない。これは集束イオンビームを用いて断面加工した場合に空洞が断面の凹凸を生じさせ、断面形状,構造を観察する際の妨げになるためである。従って、表面平坦化の場合は、堆積膜が溝の底から完全に充填されていることが必要である。このため、溝の底と、開口部近傍での膜堆積速度がほぼ同じでなければならない。
【0007】通常、単位面積単位時間当りの反応ガスの入射量は、溝の底部では小さく、逆に溝の開口部,表面では大きい。集束イオンビーム誘起デポジションのような反応ガス供給律速のプロセスでは、膜堆積速度は反応ガスの流束でほぼ決まるため、溝の開口部の近傍で大きく、底部では小さい。従って、表面での堆積速度を最適化した条件でプロセスを行った場合、溝の開口部近傍での膜堆積速度に較べ、底付近の膜堆積速度が小さいため、側壁でのオーバーハングを生じる。
【0008】オーバーハングが生じると、その陰にはイオンビームが照射されないため、膜の堆積が起らず、底部近傍は空洞化する。これは埋込みプロセスの初期ばかりでなく埋込みが達成される直前にも起り得る。これは側壁の堆積速度が大きいため、溝のアスペクト比(溝の深さの開口径に対する比)がプロセスが進むにつれて大きくなってくるためである。
【0009】本発明が解決しようとする課題は、溝のアスペクト比が高い場合にも、なお堆積膜が溝の底から完全に充填するようなプロセス条件を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の手段は、接続孔,溝の構造を変え、ガスが底近傍まで入りやすくすることである。接続孔の場合、近接する配線に接触してはならないため、その形状,大きさが制限されるが、ガスが入り込みやすくする切欠きを形成することにより接続孔内部のガス流束を高めることができる。この切欠きはノズル方向に向いていた方が効率が高いことはもちろんである。また、断面観察試料の場合は観察したい断面を含まない個所は破壊してもよいため、切欠きを形成して同様の効果を生じる。
【0011】目的は同じであるが、第2の手段として、電子ビーム誘起堆積を用いてあらかじめ前処理の埋込みを行い、穴の深さを浅くしてから、イオンビーム誘起堆積により埋込み、平坦化を行う方法がある。電子ビームの場合、スパッタリングを生じないため、ガス吸着量が少なくても堆積は進行する。これを用いて底部の埋込みを行いアスペクト比を下げることにより穴の中までガスが入り込みやすくなり、イオンビーム誘起堆積の底部での堆積速度が向上、穴埋めが達成できる。同様の目的で電子ビームの代りに低電流密度のイオンビームを用いることも可能である。この場合、光学系の設定の変更により同じ装置で前処理と埋込みが可能になる。
【0012】また、第3の手段として、ガスを吹き付けるガスノズルの向きを変えても上記の加工とほぼ同様の効果が得られる。通常の集束イオンビーム加工装置ではノズルの方向の設定は、平面へのデポジションを仮定して、試料表面の垂線に対して45度、或いはそれ以上の角度に設定してあるが、試料表面の垂線に対して10〜20度の角度でガスを入射させることで凹凸の大きい試料に対してもガス流束が均一な堆積を実現できる。
【0013】第4の手段は接続孔、または溝の底で堆積速度が大きくなるようにビーム走査条件を変える方法である。集束イオンビーム誘起堆積の場合、通常の条件下ではガス吸着が律速過程になっている。特に電流密度の比較的高い1A/cm2 以上のビームで加工を行う際にはビーム走査を速く行い、吸着ガスの大部分が反応した状態でビーム照射が終り、ガス吸着が始まるようにタイミングを調節することで堆積速度を最適化している。しかし、試料表面に凹凸がある場合には、ノズル方向に向いた面には多くのガス分子が入射し、逆に陰になる穴(溝)の内面にはガスがあまり入らない。このため、穴(溝)の内面では吸着ガス分子密度が低く、膜が堆積しにくい状態になっており、他の部分と較べて堆積が遅い。これを、避けるためにはガス供給量の多い表面に対して堆積条件を最適化するのではなく、穴(溝)の内面に対して堆積条件を最適化しなければならない。このようにして、ガス流束が低い部分に対してビーム走査を最適化し、ガス吸着時間を長く設定しても、ガス流束が大きい部分に対してはガス吸着が飽和する傾向があるため、穴(溝)の内部と外部でのガス吸着密度はあまり変わらない。これにより、膜堆積速度は均一化される。
【0014】第5の手段は側壁での堆積速度が速いことを利用し、側壁からのスパッタ粒子を利用して底部へのデポジションを行うものである。ビームの入射角度が大きい側壁部では、一般に単位面積当りのイオンの入射密度が低いのでガス吸着律速になりにくく、また、基板内部に入射したイオンのエネルギーが表面に伝わりやすく、入射イオンが表面の吸着ガス分子を分解する確率が高いため堆積速度が速い。底面ではスパッタの効果も大きいため堆積速度が小さく、側壁の堆積速度は多くの場合10倍前後大きい。従って、この堆積物を底面に移動できれば穴の内壁に均一に膜堆積が起る。一般に穴内部のスパッタ粒子の付着確率は底部の方が大きいため、側壁をスパッタしてやれば底部での堆積が起り、側壁の堆積とスパッタを繰り返せば、底面では膜堆積が生じることになる。底面にビーム照射を行わなければ、スパッタリングが生じないため、接続孔埋込みの際、下層の配線を切断したり、接続する危険も回避できる。
【0015】最後に第6の手段は表面への反応ガスの供給を、あらかじめ試料を低温に冷却することにより凝固、ないし液化した状態で大量に付着させる事で行い、その後にビーム照射により反応させるものである。凹凸がある試料にガスノズルからの直接噴射でガスを吸着させた場合、ノズルに向いている面、陰になっている面があるためにガス吸着量の不均一が生じる。しかし、このように冷却により大量のガス吸着層を形成すれば、流動,拡散により表面での均一性は良くなる。試料をガスの蒸気圧が十分低くなるまで冷却し、ガスを試料上に導入することによりこれは達成できる。
【0016】
【作用】第1,第2,第3の解決手段、即ち、接続孔,溝、またはガスノズルの構造,方向を変えガスが底近傍まで入りやすくすることにより、底部での堆積速度を向上でき、接続孔底部での断線,埋込み溝内部での空洞形成を防ぐことができる。
【0017】第4の方法、即ち、ビーム走査条件を変え、吸着時間を長くすることにより、流束の大きい穴,溝の外部と底部のガス吸着量をほぼ均一にすることができ、この結果、堆積速度を均一化,接続孔内部での膜厚を一定にし抵抗のばらつきを低減でき、また、平坦化の場合の空洞の形成を防ぐことができる。
【0018】そして、第5の方法、即ち側壁からのスパッタを利用して底部へのデポジションを行うことにより、直接、底部へビーム照射が行われないため、スパッタによる接続孔内部での断線を防止できる。
【0019】最後に第6の方法、即ち、試料冷却によりガスを大量に付着させ、ビーム照射により反応させることにより均一な形状の膜が形成され、抵抗のばらつき,空洞形成を防ぐことができる。
【0020】
【実施例】〈実施例1〉本実施例は請求項1で述べた接続孔の加工を示したものである。ノズルの方向に図1に示したような切欠きを形成し穴内面へのガスの入射を助長する。これにより穴内面へのガス吸着が増え、形成膜厚の均一化が達成される。ここでは、加速エネルギ30keVのガリウムイオンを直径0.2 ミクロンのビームに集束し、スパッタ加工により接続孔2を形成し、次いでタングステンカルボニルをノズル4により反応ガスとして導入、同じビームで集束イオンビーム誘起堆積法により接続孔埋込みを行った。ビーム電流は300pA(電流密度は約1A/cm2)、ピクセル間隔は0.15 ミクロン、各ピクセルでのビーム滞在時間は1μsであった。切欠き加工は同じ集束イオンビームで行い、図1の1の斜線部で示した形状にした。
【0021】切欠きの有無による埋込部の形状の差異を図2に示した。(a)は切欠きのある場合、(b)は切欠きの無い場合である。(b)の場合にはガス導入が不十分なため、底面でスパッタ6が生じていることがわかる。切欠きによりガスが導入されている(a)の場合には、底面のスパッタは生じない。図3は溝形状の埋込み平坦化を行った例である。この場合にも切欠きを形成した試料(a)では均一な埋込みができたのに対して、最初の形状からそのまま埋込みを行った場合(b)には埋込タングステン5の内部に空洞7が生じている。これらを集束イオンビームにより断面加工した場合の形状については図4に示した。空洞7の下側にはイオンビームスパッタにより生じた溝8が形成され、基板3中に形成された凹部の形状観察を困難にしている。
【0022】〈実施例2〉本実施例は請求項2の具体例としてノズル形状を示したものである。本実施例(図5)では、陰になる部分をより生じにくくするためにビーム9に対して軸対称になるようにスリット型のノズル10を配置した。この場合の試料11に対する入射角は80度である。通常の円筒型ノズルでも試料に対する入射角度を同様に大きくすることでほぼ同じ効果が得られるが、より対称性が高い形状の方がノズルに対して陰ができにくいため、汎用性が高い。
【0023】このノズルを用いてアスペクト比5の穴を埋め込んだ場合の形状を図6(a)に示す。図6(b)は通常の内径300ミクロン、入射角45度の円筒型ノズルを用いて行った同じ試料の断面形状である。ノズルの向きは図中に示した。埋込みの際のビーム,ガス圧,ビーム走査などの条件は(a),(b)ともに同じである。(b)の場合、ノズルによるガス供給が不充分なために空洞7が生じている以外にも、ガスが一方向から入射してくることから生じる堆積形状の片寄りも見られる。(a)では堆積は一様に起っており、空洞は見られなかった。
【0024】〈実施例3〉図7は本発明の請求項3に対応してガス流束に対応したビーム走査を行う場合の装置構成を示したものである。液体金属イオン源13から引出されたイオンは集束系14で集束され、偏向器15を通過してステージ12上の試料11に照射される。ステージにはガス圧測定器16を設け、ノズル4から供給される反応ガスの圧力をステージ上で測定する。ビーム走査は接続孔、或いは溝の底面でのガス流束に対応したガス吸着時間を設定することで行われる。このためには穴(溝)底面でのガス流束がわからなければならない。演算装置17は入力装置18から入力される穴形状データ、及びガス圧測定器16からの試料表面(ステージ)でのガス流束データから穴底部でのガス流束を計算し、ビーム偏向条件を最適化、偏向器15を制御するものである。この際、走査条件と堆積速度の関係が必要になるがこれはあらかじめ、求めておく必要がある。
【0025】あるガス圧,ビーム電流密度における、走査条件と堆積速度の関係は図8,図9に示した様になっている。これに基づき、例えば、次のようにして走査条件を決めれば良い。図8でフレーム時間(パターンを1回描画する時間)が長い場合、堆積速度はフレーム時間に対して反比例の関係になっているがこれは吸着量が飽和していることに対応している。従って、十分にガス吸着が飽和した条件で堆積を行う為には反比例の依存性が見え始める最低のフレーム時間(図中に矢印で示したTf)が必要である。
【0026】穴底でのガス圧が、図8の関係を求めたガス圧の例えば10分の1であれば、図8から求められるフレーム時間のさらに10倍のフレーム時間を設定しなければならない。ピクセル当りのビーム滞在時間は、通常、図9から堆積速度の最大になるビーム滞在時間Tdを設定すれば良い。しかし、最初に設定したフレーム時間が、ピクセル当りのビーム滞在時間に所望パターン内のピクセル数をかけたビーム照射時間よりも短ければ、さらにフレーム時間を長く設定し、この条件を満たすようにする必要がある。
【0027】穴形状がプロセス以前にわかっている場合には、以上に述べたように求めた走査条件でビーム走査を行うことで穴埋めを自動的に行うことができる。穴形状が全くわからない試料の場合には、あらかじめ断面観察を行う、或いはフレーム時間を適当に設定してプロセスを行い、埋込み層の断面観察からさらにビーム走査条件を最適化していくことが必要である。
【0028】〈実施例4〉図10は、複数の穴埋め平坦化(或いは接続孔)個所がある場合の処理法を示したものである。実施例3で述べたように、穴埋めプロセスではビーム走査の中に適当なガス吸着時間を設定することで膜形状を最適化することができる。しかし、このためにプロセス時間は非常に長くなるのが普通である。従って、複数の接続孔(平坦化個所)を同時に処理する場合、1ヵ所のガス吸着時間の間に他の個所をビーム走査すれば全体としてのプロセス時間を短縮することが可能である。
【0029】図10(a)には1ヵ所だけの処理を行った場合、(b)には10ヵ所を並行して処理した場合のプロセスの時間割を示した。各接続孔でのビーム走査条件は同じであり、ピクセル数144、各ピクセルでのビーム停止時間は1μsである。ここではノズルによるガス供給はほぼ均一であるため、各接続孔でのフレーム時間は等しく10msとした。この場合、ビーム走査に要する時間は1個所当り144μsであるが1フレームでは10ms必要である。このため、1ヵ所ずつ膜形成を行うと10msに必要なフレーム数Nをかけたものをさらに10倍しただけの時間、即ち、100×Nmsかかる。しかし、同時に10ヵ所の処理を行えば、1フレームの処理時間はビーム走査に要する時間が1440μs=1.44msで、ガス吸着時間は8.56ms をとり、単純に10msのフレーム数倍、即ち10×Nmsですむ。全部の処理時間は10分の1ですむわけである。
【0030】一般に穴埋めの場合フレーム時間をビーム走査時間に較べて非常に長く設定しなければならないため、並行に処理することでスループットは数倍から数十倍に向上する。各穴埋め部での条件(ガス圧,穴の深さなど)が異なる場合でも、この処理法は有効である。
【0031】〈実施例5〉イオンビームアシストエッチングに関しても誘起堆積法と同様にガス吸着密度に比例したエッチング速度の関係がある。アシストエッチングの場合、ガス吸着が不充分でもイオンによるスパッタリングが進行するが、エッチ速度が10分の1程度まで低下し、物質に対する選択性が無くなる。接続孔のような構造では穴の中のガス吸着量は誘起堆積の場合と同様小さいため、エッチ速度,選択性とも低下する傾向がある。アシストエッチングで接続孔を形成する場合、配線であるアルミニウム,タングステンなどの上でエッチングが停止するような選択性が必要であり、ガス吸着量が少ない場合、これが達成されず、穴の深さ調節に失敗する可能性は高くなる。
【0032】図11は集束イオンビームアシストエッチングを用いて接続孔生成を行った場合の加工形状を示したものである。(a)はガス吸着が不充分なフレーム時間の短い場合、(b)はフレーム時間を十分とった場合の断面形状である。(a)の場合、底面でのガス吸着密度が低く、側壁部でのガス吸着密度は底面に比較して高いため、側壁のエッチングが速くなり、ビーム径と比較して大きな穴が形成されることになる。しかし、(b)の場合のように吸着が十分であれば、アスペクト比の高い急峻な構造を形成できる。
【0033】〈実施例6〉本実施例は本発明の一例として電子ビーム誘起堆積と集束イオンビーム誘起堆積法を併用して接続孔埋込みを行った例である。電子ビームを使った場合、スパッタリングが無いため、吸着ガス密度が低い状態でも膜堆積が進行するという利点がある。しかし、1電子当りの堆積原子数はイオンの場合の100分の1程度であり、通常の応用に対しては堆積速度が小さすぎる。しかし、凹部埋込みでは穴底付近のガス吸着密度が低いため、電子ビームを用いてある程度埋込みを行い、ガス圧が問題無い程度にアスペクト比を下げてからイオンビームを用いて堆積を行う方法が有効である。接続孔埋込みではスパッタが起らないため、穴底の絶縁膜を破壊しないという利点もある。また、断面観察用試料などで表面状態を保存したいものに関しては、スパッタが起らない電子ビームで保護のための堆積を行い、次いで集束イオンビーム誘起堆積を行い、平坦化することで完全に表面を保存できる。
【0034】図12は一例として穴埋め平坦化を行う手法を示したものである。まず、電子ビームを穴の内部に限定して走査し、穴底中心に埋込みを行う。この際、穴の外側まで走査すると埋込を行う形状が変化しないため、メリットが無い。次にイオンビームで高速の埋込を行うが、電子ビーム堆積膜19により穴の形状が変化しているため、ガス吸着時間を初期形状から埋め込む場合よりも短く設定でき、プロセス時間を短縮できる。
【0035】〈実施例7〉図13は集束イオンビーム誘起堆積を用いた接続孔埋込みでビーム走査領域を穴底を含まない部分に限定した手法を示した例である。穴底のガス吸着密度はガスが入射しにくいため小さく、また底面はビームが垂直に入射し、入射密度が高いため、堆積よりもスパッタが起りやすい。このため、特に接続孔埋込みで接続する配線の下にさらに配線がある場合、絶縁膜をスパッタにより突き抜けて下の配線に接続してしまう危険性がある。
【0036】このような場合は図13に示したように孔底を避けてビーム走査を行い、側壁堆積膜からのリデポジションを用いて底面の埋込みを行えば良い。リデポジションはイオンによりスパッタされた粒子が表面に再付着,堆積が起る現象である。スパッタ粒子のエネルギは小さいため、再度のスパッタは起らない。接続孔のような高いアスペクト比の凹型形状ではリデポジションは起りやすく堆積速度は速い。一般にリデポジションは被スパッタ点からの距離が小さいほど速いため、側壁のデポジションが進行に伴い、図13(b),(c)に示したようにビーム走査領域を変えていくことにより、堆積速度を高く保つことができる。
【0037】〈実施例8〉集束イオンビーム誘起堆積では、ガス吸着はビーム非照射時間(フレーム走査の間の時間)に主に起っており、ビーム照射の間吸着ガス分子はビーム誘起反応により消費され、吸着密度は急激に減少する。これは、ノズルによるガス吹き付けで実現できるガス流束が、集束イオンビームのイオン密度と比較して小さいため、ガス吸着はビーム照射状態では起りにくいためである。このため、反応はビーム照射開始時に表面に吸着しているガス分子が反応しつくすまで進み、その後はスパッタリングが支配的になる。堆積を進ませるためには適当に反応時間とガス吸着時間を設定しなければならないが、例えば、W(CO)6の場合、毎秒1017/cm2 のガス流束では1msオーダの吸着時間が必要になる。これに対してビーム照射自体は1μsのオーダでほとんど終るため、プロセス時間は、ほぼガス吸着時間によって決まるといっても良い。特に接続孔,溝などの埋込みではガス流束が内部で小さいため、さらに長く10msまたはそれ以上のガス吸着時間を要する場合がある。
【0038】これを避けるためには最初のガス吸着量を多くできれば良い。通常のガスでは第1層までは容易に吸着するがそれ以上は吸着速度が遅くなり、吸着密度としては頭打ちになってくる。しかし、基板温度を下げてやることによりこれを避けることができる。即ち、基板温度を下げることにより吸着ガス分子の表面での滞在時間が長くなり表面に蓄積されるガス分子の密度を飛躍的に向上できる。
【0039】図14は、このプロセスを模式的に示したものである。最初に基板冷却によりガス吸着層20を基板3上に形成する。大量に形成した場合、その表面の形状はほぼ平坦である。これにビームを照射して反応を起すことでほぼ一様な膜5を形成できる。膜厚が不充分な場合には吸着とビーム照射を繰り返せば良い。
【0040】〈実施例9〉図15に断面観察試料を作製する場合のプロセスを詳しく示した。22は形状観察を行いたい溝である。しかし、このまま集束イオンビーム加工を行うと前述のように表面の凹凸に対応した断面の荒れが生じるため、一度平坦化を行う。完全な穴埋めを行うために、まず21のガス導入切り欠きを形成する。これは集束イオンビームをドーズ量を変えて走査することにより形成できる。この際、対向面にスパッタ粒子が付着するため、24の付着膜が生じる。次にイオンビーム誘起堆積を行い完全に埋め込みを行う。さらに観察を行いたい面を基板の一部25のスパッタ除去により出す。この際、付着膜24は基板の一部25と共に除去されてしまう。このようにして、断面が観察可能になる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、集束イオンビームによる接続孔埋込みの歩留まりを向上し、溝平坦化プロセスにおいて溝のアスペクト比が高い場合においても、堆積膜が溝の底から完全に充填できる。このことにより、集積回路の開発期間の短縮が可能になり、開発コストを低減できる。




 

 


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