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発明の名称 ウェハ冷却装置及び半導体処理装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−252080
公開日 平成6年(1994)9月9日
出願番号 特願平5−40070
出願日 平成5年(1993)3月1日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
発明者 宇佐見 康継 / 小池 英巳
要約 目的
イオン打込装置などの半導体処理装置において、ウェハ位置による冷却能力の差や加熱条件の差に係わらずウェハ面内の温度分布を一様にし均一な温度面を得る。

構成
遠心力でウェハ1を回転円板2上の冷却面となるヒートシンク層8に保持密着させ、ビーム20又は回転円板2を半径方向に走査させることで均一にイオンを打込む。遠心力により生じるウェハ温度分布及びイオンビームの入射周期により生じるウェハ温度分布を一様にするため、ウェハ1に投入された熱量とヒートシンク層8へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置で同一となるように、例えばヒートシンク層8の半径位置によって隙間21のピッチを変えることで熱抵抗を補正する。
特許請求の範囲
【請求項1】 ウェハが接触配置されるヒートシンク層を有し、そのウェハを真空中で処理する際に投入された熱量を前記ヒートシンク層に逃がすことによりウェハを冷却する半導体処理装置のウェハ冷却装置において、前記ウェハに投入された熱量と前記ヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置でほぼ同一となるようにヒートシンク層の位置によってヒートシンク層の熱伝達構造を変えウェハとヒートシンク層との熱抵抗値を補正したことを特徴とするウェハ冷却装置。
【請求項2】 請求項1記載のウェハ冷却装置において、前記ヒートシンク層の位置によって前記ウェハとヒートシンク層との接触面積を変えることにより前記ヒートシンク層の熱伝達構造を変え熱抵抗値を補正したことを特徴とするウェハ冷却装置。
【請求項3】 請求項2記載のウェハ冷却装置において、前記ヒートシンク層に複数の隙間を設け、ヒートシンク層の位置によってその隙間のピッチを変えることにより前記接触面積を変えたことを特徴とするウェハ冷却装置。
【請求項4】 請求項2記載のウェハ冷却装置において、前記ヒートシンク層の位置によってヒートシンク層の表面粗さを変えることにより前記接触面積を変えたことを特徴とするウェハ冷却装置。
【請求項5】 請求項1記載のウェハ冷却装置において、前記ヒートシンク層の位置によってヒートシンク層の材質を変えることにより前記ヒートシンク層の熱伝達構造を変え熱抵抗値を補正したことを特徴とするウェハ冷却装置。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載のウェハ冷却装置を備えた半導体処理装置。
【請求項7】 円周方向に配列され遠心力でウェハを保持する複数のウェハ保持領域を有する回転円板と、真空中で前記ウェハにビームを入射し熱量の投入の伴う処理を行うビーム入射手段と、前記複数のウェハ保持領域に設けられ、前記ウェハが接触配置されるヒートシンク層とを有し、前記ウェハを遠心力で前記ヒートシンク層に密着させウェハに投入された熱量を前記ヒートシンク層に逃がすことによりウェハを冷却する半導体処理装置において、前記遠心力に係わらず前記ウェハに投入された熱量と前記ヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置で同一となるように前記回転円板の半径方向にヒートシンク層の熱伝達構造を変えウェハとヒートシンク層との熱抵抗値を補正したことを特徴とする半導体処理装置。
【請求項8】 請求項7記載の半導体処理装置において、前記回転円板と前記ビームとを相対的に移動させ前記ビームを前記ウェハに周期的に入射させる手段をさらに有し、前記ヒートシンク層の熱伝達構造は、前記遠心力と前記ビームの入射周期に係わらず前記ウェハに投入された熱量とヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置で同一となるように前記回転円板の半径方向に変えられ、前記熱抵抗値が補正されていることを特徴とする半導体処理装置。
【請求項9】 請求項7又は8記載の半導体処理装置において、前記回転円板の半径方向に前記ウェハとヒートシンク層との接触面積を変えることにより前記ヒートシンク層の熱伝達構造を変え前記熱抵抗値を補正したことを特徴とする半導体処理装置。
【請求項10】 請求項9記載の半導体処理装置において、前記ヒートシンク層に複数の隙間を設け、前記回転円板の半径方向にその隙間のピッチを変えることにより前記接触面積を変えたことを特徴とする半導体処理装置。
【請求項11】 請求項9記載の半導体処理装置において、前記回転円板の半径方向にヒートシンク層の表面粗さを変えることにより前記接触面積を変えたことを特徴とする半導体処理装置。
【請求項12】 請求項7又は8記載の半導体処理装置において、前記回転円板の半径方向にヒートシンク層の材質を変えることにより前記ヒートシンク層の熱伝達構造を変え前記熱抵抗値を補正したことを特徴とする半導体処理装置。
【請求項13】 円周方向に配列されウェハを保持する複数のウェハ保持領域を有する回転円板と、真空中で前記ウェハにビームを入射し熱量の投入の伴う処理を行うビーム入射手段と、前記回転円板と前記ビームとを相対的に移動させ前記ビームを前記ウェハに周期的に入射させる手段と、前記複数のウェハ保持領域に設けられ、前記ウェハが接触配置されるヒートシンク層とを有し、前記ウェハに投入された熱量をヒートシンク層に逃がすことによりウェハを冷却する半導体処理装置において、前記ビームの入射周期に係わらず前記ウェハに投入された熱量と前記ヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置で同一となるように前記回転円板の半径方向にヒートシンク層の熱伝達構造を変えウェハとヒートシンク層との熱抵抗値を補正したことを特徴とする半導体処理装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオン打込装置、イオンエッチング装置、イオンミリング装置等などの真空中でウェハに熱量の投入の伴う処理を行う半導体処理装置のウェハ冷却装置及びその半導体処理装置に係わり、特に、回転円板にウェハを遠心力で押付けて保持したり、回転円板とイオンビームとを回転円板の半径方向に周期的に走査させる場合のように、ウェハ面内に温度分布が生じるような状況でウェハの処理を行う半導体処理装置のウェハ冷却装置及びその半導体処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ウェハの電気的特性を変える手段として例えばイオン打込装置がLSI製造工程で用いられている。このイオン打込装置では、イオンを真空中で加速しウェハに打込むため、ウェハに多大なエネルギーが投入され、ウェハ自身が加熱される。その結果、ウェハの温度上昇による問題が発生してきた。特に、ウェハ表面にレジスト膜が塗布されている場合にウェハの温度が100℃以上に上昇すると、耐熱性の問題によりレジスト膜の損傷が発生していた。また近年、イオン打込時の温度がデバイス歩留まり上大きな問題となり、室温以下での注入が求められている。
【0003】しかし、真空雰囲気中での処理プロセスでは、ウェハ表面(イオンを打込む側)からの放熱は期待できず、例えば特開昭62−229948号公報、特開昭63−193450号公報等に記載のように、ウェハ裏面に冷却面であるヒートシンク材を配置しウェハ裏面からの熱伝導により冷却する方式が用いられている。
【0004】また、イオン打込装置の中でもバッチ処理式のものでは、上記特開昭62−229948号公報に記載のように、回転円板の冷却面上に多数のウェハを円周状に並べ、回転円板を回転させながらイオンビームを照射している。またバッチ処理式では、一般に、回転円板又はイオンビームを回転円板の半径方向に走査させ、ウェハ全面に均一にイオンを打込むようにしている。
【0005】一方、回転円板にウェハを取付ける方法としては、一般には上記特開昭62−229948号公報、特開昭63−193450号公報等に記載のようにウェハの周辺部を固定リングで押付ける方式が用いられているが、回転円板の外周部分を円錐状に傾斜させ、ウェハに作用する遠心力でウェハを回転円板の冷却面に押付ける方式もある。この方式は、例えば「電子材料」(1985年12月)の132頁〜138頁に記載されている。このような遠心力でウェハを取付ける方式は、冷却面に押付けようとする力がウェハ全面に作用し回転円板の冷却面との接触状態が良好となるため、冷却性能上有利であるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術には次のような問題がある。遠心力でウェハを回転円板の冷却面に取付ける場合は、ウェハと冷却面であるヒートシンク材の密着性は遠心力に依存し、回転軸からの距離に依存しているので、回転円板の外周部では密着性が高く、逆に内部では密着性が低下する。このため、回転円板の半径方向にヒートシンク材による冷却能力に差が生じ、イオンビームの打込時にウェハ面内に温度分布が生じる。
【0007】また、回転円板又はイオンビームを回転円板の半径方向に走査させ、ウェハ全面に均一にイオンを打込む場合は、ウェハの位置によってビーム入射周期が異なりウェハ面内でのビーム入射周期に依存した加熱条件が存在するため、同様にウェハ面内で温度分布が生じる。
【0008】上記特開昭62−229948号公報、特開昭63−193450号公報等に記載の従来技術では、いずれも冷却能力の向上を目的として種々の工夫をしているが、ウェハ位置による冷却能力の差や加熱条件の差による温度分布の発生については配慮がされておらず、ウェハ面内の温度分布を一様にしウェハ温度をウェハ面内で均一にすることができない。
【0009】特に、近年、ウェハの大口径化により8inch等のウェハが使用されるようになり、ウェハ面内の温度分布は広がる傾向にあるので、ウェハ面内の温度分布の発生は今後プロセス上でも重要な問題となることが予想される。
【0010】本発明の目的は、ウェハ位置による冷却能力の差や加熱条件の差に係わらずウェハ面内の温度分布を一様にし均一な温度面を実現することのできる半導体処理装置のウェハ冷却装置及びその半導体処理装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、ウェハが接触配置されるヒートシンク層を有し、そのウェハを真空中で処理する際に投入された熱量を前記ヒートシンク層に逃がすことによりウェハを冷却する半導体処理装置のウェハ冷却装置において、前記ウェハに投入された熱量と前記ヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置でほぼ同一となるようにヒートシンク層の位置によってヒートシンク層の熱伝達構造を変えウェハとヒートシンク層との熱抵抗値を補正するものである。
【0012】上記ウェハ冷却装置において、前記ヒートシンク層の熱伝達構造は、前記ヒートシンク層の位置によって前記ウェハとヒートシンク層との接触面積を変えることにより変え、前記熱抵抗値を補正してもよい。この場合、その接触面積は、例えば前記ヒートシンク層に複数の隙間を設け、ヒートシンク層の位置によってその隙間のピッチを変えることにより変えることができる。また、前記ヒートシンク層の位置によってヒートシンク層の表面粗さを変えることにより前記接触面積を変えてもよい。
【0013】また、上記ウェハ冷却装置において、前記ヒートシンク層の熱伝達構造は、前記ヒートシンク層の位置によってヒートシンク層の材質を変えることにより変え、前記熱抵抗値を補正してもよい。
【0014】また、上記目的を達成するために、本発明は、円周方向に配列され遠心力でウェハを保持する複数のウェハ保持領域を有する回転円板と、真空中で前記ウェハにビームを入射し熱量の投入の伴う処理を行うビーム入射手段と、前記複数のウェハ保持領域に設けられ、前記ウェハが接触配置されるヒートシンク層とを有し、前記ウェハを遠心力で前記ヒートシンク層に密着させウェハに投入された熱量を前記ヒートシンク層に逃がすことによりウェハを冷却する半導体処理装置において、前記遠心力に係わらず前記ウェハに投入された熱量と前記ヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置で同一となるように前記回転円板の半径方向にヒートシンク層の熱伝達構造を変えウェハとヒートシンク層との熱抵抗値を補正するものである。
【0015】上記半導体処理装置において、好ましくは、前記回転円板と前記ビームとを相対的に移動させ前記ビームを前記ウェハに周期的に入射させる手段をさらに有し、前記ヒートシンク層の熱伝達構造は、前記遠心力と前記ビームの入射周期に係わらず前記ウェハに投入された熱量とヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置で同一となるように前記回転円板の半径方向に変えられ、前記熱抵抗値が補正されている。
【0016】さらに、上記目的を達成するために、本発明は、円周方向に配列されウェハを保持する複数のウェハ保持領域を有する回転円板と、真空中で前記ウェハにビームを入射し熱量の投入の伴う処理を行うビーム入射手段と、前記回転円板と前記ビームとを相対的に移動させ前記ビームを前記ウェハに周期的に入射させる手段と、前記複数のウェハ保持領域に設けられ、前記ウェハが接触配置されるヒートシンク層とを有し、前記ウェハに投入された熱量をヒートシンク層に逃がすことによりウェハを冷却する半導体処理装置において、前記ビームの入射周期に係わらず前記ウェハに投入された熱量と前記ヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置で同一となるように前記回転円板の半径方向にヒートシンク層の熱伝達構造を変えウェハとヒートシンク層との熱抵抗値を補正するものである。
【0017】
【作用】以上のように構成した本発明においては、ウェハに投入された熱量とヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置でほぼ同一となるようにヒートシンク層の位置によってヒートシンク層の熱伝達構造を変え熱抵抗値を補正することにより、ウェハ面内の温度分布が一様となり均一な温度面が得られる。
【0018】ウェハとヒートシンク層との熱抵抗値はウェハとヒートシンク層との接触面積に反比例する。したがって、ウェハとヒートシンク層との接触面積を変えることによりヒートシンク層の熱伝達構造が変えられ、熱抵抗値が補正される。また、ヒートシンク層に複数の隙間を設ける場合、上記接触面積の大きさはその隙間のピッチに反比例する。したがって、その隙間ピッチを変えることにより当該接触面積が変えられる。また、その接触面積の大きさはヒートシンク層の表面粗さに反比例する。したがって、ヒートシンク層の表面粗さを変えることにより当該接触面積が変えられる。
【0019】次に、以上の概念を基本とし、本発明を遠心力でウェハを保持する方式や、イオンビーム又は回転円板を円板の半径方向に走査させ、ウェハ全面に均一にイオンを打込む方式の半導体処理装置に適用する場合について説明する。
【0020】遠心力でウェハを保持する方式では、回転円板上のウェハは、回転の中心軸と垂直な平面からθの角度で保持されるので、ウェハは遠心力F=mrω2 の余除成分であるFsinθ=mrω2 sinθの分力でヒートシンク層に密着される。打込時のウェハは、イオンビームのパワーWにより加熱される一方でヒートシンク層との熱伝導により冷却される。この時のウェハ温度TW は、ウェハ熱容量をC、ウェハとヒートシンク層との熱抵抗をRとすると、C*dTW /dt=W−(1/R)(TW −TD
で示される。ここで、ビーム入射状態が一定としたときには定常状態dT/dt=0であるのでW=1/R(TW −TD )となり、ウェハの温度TW は、TW =WR+TDとなる。
【0021】上式の熱抵抗Rは、真空中の場合、ヒートシンク層の密着性により支配される。したがって密着性は、ヒートシンク層の材質と遠心力に依存するため、一様な材質の場合は、回転中心からの距離rに依存し、TW =W/αmrω2 +TDとなる。したがって、ウェハ上の各位置でαの値として、1/rに比例した材質構造及び接触面積を確保するようにヒートシンク層の熱伝達構造を変え、熱抵抗Rを補正することにより、ウェハ面内の温度分布を一様にし均一な温度面を実現することが可能である。
【0022】また、イオンビーム又は回転円板を円板の半径方向に走査させ、ウェハ全面に均一にイオンを打込む方式では、ウェハ面内でのビーム入射周期に依存した加熱条件が存在するため、ウェハ面内で温度分布を非定常状態として考慮する必要がある。ウェハが十分に薄いとして横方向の伝熱を無視すると、ウェハ上の各位置において上記のC*dTW /dt=W−(1/R)(TW −TD )を計算することにより近似解が得られる。
【0023】上式を加熱時(ビーム入射時)t=0、TW =Tcとして解くと、TW =WR{1−exp(−1/RC*t)}+Tcとなり、ビーム入射時のウェハ上の各位置での温度上昇が分かる。一方、ビームがウェハを通過した後の冷却時にはW=0となるので、ウェハ上の各位置での温度はその位置での最高温度をThとすると、TW =Th*exp(−1/RC*t)
で減衰することが分かる。ビーム又は回転円板を円板の半径方向に走査させる走査時間により、ビーム入射周期に依存した加熱条件からTc/Th(又はTcとThの温度差)に違いが生じ温度分布が発生する。
【0024】Tc/Thはビーム入射周期に依存して変化し、入射周期の短い、走査方向のウェハ両端でTc/Thは高くなりTcとThの温度差が大きくなるので、具体的には横方向の伝熱を考慮し計算することにより求めた加熱条件からTcとThの温度差を小さくするようにヒートシンク層の熱伝達構造を変え、熱抵抗値Rを補正することにより、ウェハ面内の温度分布を一様とし均一な温度面を実現することが可能である。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明する。これらの実施例は本発明をイオン打込装置に適用したものである。まず、本発明の第1の実施例によるイオン打込装置を図1〜図10により説明する。図2は本実施例のイオン打込装置の全体構成を示すもので、イオン打込装置はイオンビームを発生するイオン発生源50、装置内部を真空に引くための真空排気系51、イオン打込室52、イオン打込室52内に配置されウェハ1が取付けられる回転円板2、加速電圧53及び質量分離磁石54を備えている。イオン発生源50で発生したイオンは加速電極53により高電圧の電界で加速され、質量分離磁石54によって特定のイオンだけを分離されて、イオン打込室52で回転円板2上のウェハ1に打込まれる。イオンビームの照射による投入される熱量は、加速のための電圧と打込まれるイオンビーム21の電流によって決まる。
【0026】図3〜図6にイオン打込室52及び回転円板2の詳細を示す。イオン打込室52は真空に保持されるので、回転円板2は真空シール3を介して可動支持板4に取付けられた回転軸5に連結されている。回転軸5はイオン打込室52の外側でモータ6と接続されており、高速に回転する。このときの回転数は数百rpm〜数千rpmである。高速に回転する回転円板2上の外周部分にはウェハ保持領域7が設けられている。ウェハ保持領域7は、ウェハ1を遠心力で保持密着させるため数度の角度をもってコーン状に形成されている。回転円板2が高速に回転することにより、コーン状のウェハ保持領域7にはウェハ1を回転円板2に押えつける方向の遠心力が働く。回転円板2は良熱伝導性の材料、例えばアルミニウム合金でできている。
【0027】回転軸5は中空のパイプであり、回転軸5内には図6に示すように冷却水の導入管9が同軸的に挿入され、回転軸5は冷却水の導出管を兼ねている。回転円板2内には、図5に示すように、冷却水の導入管9に連通する半径方向の冷却水路10とヒートシンク材8の真下に位置する円周方向の冷却水路11とが形成され、冷却水路11の一端は半径方向の冷却水路10につながり、他端は出口ポート12を介して回転円板2の裏面に反径方向に取付けられた連絡管13の一端に連通している。連絡管13の他端は冷却水の導出管としての回転軸5に接続され、内部の冷却水路に連通している。冷却水の導出管としての回転軸5及び冷却水の導入管9には図4に示すように冷却水導入・導出用の回転継手14に接続され、回転継手14はさらに冷却水の導入管15及び導出管16に接続されている。
【0028】可動支持板4はイオン打込室52のハウジングの裏側にOリング17,18を介して回転円板2の半径方向に移動可能に取付けられている。また、可動支持板4にはイオン打込室52の外側の上記回転軸5、モータ6、回転継手14等が収納される可動ハウジング19が取付けられ、可動ハウジング19は図示しない走査機構により回転円板2の半径方向に周期的に走査され、これにより図3に示すように、回転円板2自身がイオンビーム20に対して半径方向に周期的に走査され、ウェハ全面に均一にイオンが打込まれる。
【0029】ウェハ1は回転円板2上のウェハ保持領域7に等間隔で配置されるが、このとき、回転円板2に効率良く熱を伝えるために、良熱伝導性の材料、例えばシリコン系ゴムからなるヒートシンク層8がウェハ保持領域7に設置されている。
【0030】ヒートシンク層8は、図1に拡大して示すように、回転円板2の半径方向にウェハ1との接触面積が異なるように一定幅の隙間21をあけて並べられた複数のヒートシンク材8a,8b,8c,8d,8eからなり、回転円板2の半径方向に熱伝達構造が変えられている。複数のヒートシンク材8a〜8eの半径方向の寸法及び間隔21のピッチは以下のことを考慮して決められる。
【0031】本実施例では、ウェハ1は上記のように遠心力で回転円板2の冷却面であるヒートシンク層8に保持される。この場合は、作用の項で説明したように、ウェハ1とヒートシンク層8の密着性は遠心力に依存し、回転中心からの距離rに依存しているので、回転円板2の外周部では密着性が高く、逆に内周部では密着性が低下する。このため、均一な熱伝達構造を持つヒートシンク材を用いた場合は、回転円板2の半径方向にヒートシンク層の冷却能力に差が生じ、イオンビームの打込時にウェハ面内の半径方向に温度分布が生じる。
【0032】また、本実施例では、ウェハ全面に均一にイオンを打込むため、回転円板2をイオンビーム20に対し回転円板2の半径方向に走査させている。この場合は、作用の項で説明したように、イオンビームの入射周期に依存した加熱条件があるため、ウェハ面内の走査方向(半径方向)に温度分布が生じる。この様子を図7に示す。図7において、ウェハ1の中央位置にあるA点と外周位置にあるB点とではイオンビーム20の入射周期が異なり、均一な面圧及び均一な熱伝達構造を持つヒートシンク材を用いた場合は、ウェハ面内の走査方向(半径方向)に最高温度の温度分布が生じる。
【0033】すなわち、図7において、中央位置にあるA点ではイオンビームの入射周期が一定しており、熱投入量とウェハ温度も一定の周期で変化する。これに対し、外周位置にあるB点ではイオンビームの入射周期が一定でなく長い周期と短い周期が交互に現れ、熱投入量とウェハ温度も同様の周期で変化する。このため、B点での最高温度Th(B)及び最低温度Tc(B)はA点での最高温度Th(A)及び最低温度Tc(A)に対して、Th(B)>Th(A)
Tc(B)<Tc(A)
となり、ウェハ面内で走査方向(半径方向)に最高温度の不均一な温度分布が生じる。
【0034】図8に上記遠心力によるウェハ面内での温度分布とイオンビームの入射周期によるウェハ面内での温度分布をそれぞれ曲線25,26で示す。ウェハ面内ではこの2つの温度分布が合成して現れる。この2つの温度分布を合成したものが曲線27である。この合成温度分布を一様にするためには、ウェハ1とヒートシンク層8との熱抵抗値を合成温度分布27と逆の関係にある曲線28で示すように補正すれば良い。
【0035】ところで、ウェハ1とヒートシンク層8との熱抵抗値はウェハ1とヒートシンク層8との接触面積に反比例し、ヒートシンク層8に一定幅の隙間を設ける場合その接触面積は隙間ピッチに比例する。したがって、熱抵抗値を大きくするためには隙間ピッチを小さくすれば良いし、熱抵抗値を小さくするためには隙間ピッチを大きくすれば良い。
【0036】本実施例において、複数のヒートシンク材8a〜8eの半径方向の寸法及び隙間21のピッチは、回転中心からの距離rに依存して曲線28で示す熱抵抗値が得られるように設定されている。このようにヒートシンク材8a〜8eの寸法及び隙間ピッチを設定することにより、回転円板2の半径方向における冷却能力の差や加熱条件の差に係わらず、ウェハ1に投入された熱量とヒートシンク層8へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置でほぼ同一となり、ウェハ面内の温度分布を一様として均一な温度面を得ることができる。
【0037】したがって、本実施例によれば、イオン打込時のウェーハ温度をウェハ面内で均一に制御することができるので、デバイスの微細化にともなう新たなプロセスニーズにも対応することができ、イオン打込時の生産歩留まりを向上させることができる。
【0038】上記第1の実施例の変形例を図9及び図10により説明する。第1の実施例では、ウェハ1とヒートシンク層8との接触面積を変えるのにヒートシンク材8a〜8eの半径方向の寸法及び隙間21のピッチを変えたが、それ以外の方法で接触面積を変えてもよい。図9はその一例を示すもので、ヒートシンク層25は半径方向に並べられた表面粗さの異なる複数のヒートシンク材25a,25b,25c,25dからなり、ヒートシンク材25a〜25cの表面粗さを変えることでウェハ1との接触面積を変えている。ウェハ1とヒートシンク材との接触面積とヒートシンク層の表面粗さとは反比例の関係にあり、表面粗さが大きくなれば接触面積は小さくなり、表面粗さが小さくなれば接触面積は大きくなる。図9においては、ヒートシンク材25a〜25dの表面粗さをそれぞれS1〜S4とすると、図8の曲線28で示す熱抵抗値を得るため、S1<S2<S4<S3となるように調整されている。このように表面粗さを変えることによっても、ウェハ1とヒートシンク層との熱抵抗値が補正され、ウェハ面内の温度分布を一様にし均一な温度面を得ることができる。
【0039】また、以上の実施例では、ウェハ1とヒートシンク層との熱抵抗値を補正するのにウェハ1とヒートシンク層8との接触面積を変えた。しかし、ウェハ1とヒートシンク層との熱抵抗値はそれ以外の方法によっても補正することができる。図10はその一例を示すもので、ヒートシンク層26は半径方向に並べられた複数のヒートシンク材26a,26b,26c,26dからなり、ヒートシンク材26a〜26cを熱伝達係数の異なる材質で作ることでウェハ1とヒートシンク層との熱抵抗値を変えている。ヒートシンク材の熱伝達係数と当該熱抵抗値とは反比例の関係にあり、熱伝達係数が大きくなれば熱抵抗値は小さくなり、熱伝達係数が小さくなれば熱抵抗値は大きくなる。図10においては、ヒートシンク材26a〜26dの熱伝達係数をそれぞれT1〜T4とすると、図8の曲線28で示す熱抵抗値を得るため、T1>T2>T4>T3となるように調整されている。このような異なる熱伝達係数はシリコン系ゴムの組成を変えることによって実現することができる。このように熱伝達係数を変えることによっても、ウェハ1とヒートシンク層との熱抵抗値が補正され、ウェハ面内の温度分布を一様にし均一な温度面を得ることができる。
【0040】本発明の第2の実施例を図11により説明する。本実施例は、ウェハ1を遠心力で回転円板2に保持する方式で、回転円板2をイオンビーム20に対し回転円板2の半径方向に走査させない方式のイオン打込装置に本発明を適用したものである。
【0041】ウェハ1を遠心力で回転円板2の冷却面であるヒートシンク層に保持する方式では、前述したようにウェハ1とヒートシンク層の密着性は遠心力に依存し、均一な熱伝達構造を持つヒートシンク材を用いた場合は、回転円板2の半径方向にヒートシンク層の冷却能力に差が生じ、イオンビームの打込時に図11(A)に曲線25で示すようにウェハ面内に温度分布が生じる。この温度分布を一様にするためには、図11(B)に曲線30で示すように、ウェハ1とヒートシンク層との熱抵抗値を温度分布25と逆の関係になるように補正すればよい。
【0042】本実施例において、ヒートシンク層31は、回転円板の半径方向にウェハ1との接触面積が異なるように隙間32をあけて並べられた複数のヒートシンク材31a,31b,31c,31d,31e,31f,31gからなっている。複数のヒートシンク材31a〜31gの半径方向の寸法及び間隔32のピッチは、回転中心からの距離rに依存して曲線30で示す熱抵抗値が得られるように設定されている。このようにヒートシンク材の寸法及び隙間ピッチを設定することにより、回転円板の半径方向における冷却能力の差に係わらず、ウェハ1に投入された熱量とヒートシンク層31へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置でほぼ同一となり、ウェハ面内の温度分布を一様とし均一な温度面を得ることができる。
【0043】本発明の第3の実施例を図12及び図13により説明する。本実施例は回転円板2をイオンビーム20に対し回転円板2の半径方向に走査させる方式で、ウェハ1を遠心力以外の手段で回転円板2に保持する方式のイオン打込装置に本発明を適用したものである。
【0044】図12において、回転円板40は平板状であり、外周部分にはウェハ保持領域41が設けられている。ウェハ1はウェハ保持領域41に等間隔で配置され、図示しないクランプ装置により保持されるが、このとき、回転円板2に効率良く熱を伝えるために、ウェハ保持領域41には良熱伝導性の材料、例えばシリコン系ゴムで作られたヒートシンク層42(図13参照)が設置されている。
【0045】回転円板40は回転軸5に連結され、回転軸5は可動ハウジング19内のモータにより駆動され、高速に回転する。可動ハウジング19には回転円板40の半径方向に伸びる走査軸43が取付けられ、この走査軸43を図示しない走査機構により周期的に走査することにより、回転円板40はイオンビーム20に対して半径方向に周期的に走査され、ウェハ全面に均一にイオンが打込まれる。
【0046】回転円板40をイオンビーム20に対して半径方向に周期的に走査する方式では、前述したように、図13(A)に示すウェハ1の中央位置にあるA点と外周位置にあるB点とではウェハ面内でのビーム入射周期に依存した加熱条件が存在するため、均一な面圧及び均一な熱伝達構造を持つヒートシンク材を用いた場合は、走査方向(半径方向)に曲線26で示すような最高温度の温度分布が生じる。この温度分布を一様にするためには、図13(B)に曲線44で示すように、ウェハ1とヒートシンク層との熱抵抗値を温度分布25と逆の関係となるように補正すればよい。
【0047】本実施例において、ヒートシンク層42は、回転円板の半径方向(走査方向)にウェハ1との接触面積が異なるように隙間45をあけて並べられた複数のヒートシンク材4a〜42fからなっている。複数のヒートシンク材41a〜42fの半径方向の寸法及び間隔45のピッチは、回転中心からの距離rに依存して曲線44で示す熱抵抗値が得られるように設定されている。このようにヒートシンク材の寸法及び隙間ピッチを設定することにより、回転円板の半径方向(走査方向)における加熱条件の差に係わらず、ウェハ1に投入された熱量とヒートシンク層42へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置でほぼ同一となり、ウェハ面内の温度分布を一様として均一な温度面を得ることができる。
【0048】なお、上記第2及び第3の実施例においても、図9及び図10で説明したのと同様に、ヒートシンク層の表面粗さを変えることにより接触面積を変え、ウェハ1とヒートシンク層との熱抵抗値を補正してもよいし、ヒートシンク層の材質を変え、ウェハ1とヒートシンク層との熱抵抗値を補正しても良い。
【0049】また、上記実施例は本発明をイオン打込装置に適用した場合について説明したが、イオンエッチング装置、イオンミリング装置、スパッタリング装置など、同様の問題を生じるそれ以外の半導体処理装置に本発明を適用しても同様の効果が得られる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、イオン打込時のウェーハ温度をウェハ面内で均一に制御することができるので、デバイスの微細化にともなう新たなプロセスニーズにも対応することができ、イオン打込時の生産歩留まりを向上させることができる。




 

 


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