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発明の名称 光閉込め構造及びそれを用いた受光素子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−244444
公開日 平成6年(1994)9月2日
出願番号 特願平5−29092
出願日 平成5年(1993)2月18日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】薄田 利幸
発明者 上松 強志 / 蕨迫 光紀 / 大塚 寛之 / 永田 寧
要約 目的
表面反射を低減し、光閉じ込めを有効に行なうことができる光閉込め構造を提供すること。

構成
基板3の表面に、凹凸を有する遷移層2を設け、この凹凸の繰り返し幅7を光閉じ込めを行なう主な光4の波長以下とする。基板3の裏面に凹凸8、9を設けることが好ましい。遷移層2の屈折率は、基板側と逆の側から基板側に向かって、基板の屈折率に近づくように変化させる。
特許請求の範囲
【請求項1】基板及び該基板表面に設けられた、凹凸を有する遷移層からなり、該凹凸の繰り返し幅は、光閉じ込めを行なう主な光の波長以下であることを特徴とする光閉込め構造。
【請求項2】請求項1記載の光閉込め構造において、上記遷移層の屈折率は、基板側と逆の側から基板側に向かって、基板の屈折率に近づくように変化することを特徴とする光閉込め構造。
【請求項3】請求項1記載の光閉込め構造において、上記遷移層は、基板側に配置された凹凸を有する第1の材質の部分と、これに対応する逆向きの凹凸を有し、基板と逆の側に配置された第2の材質の部分とよりなり、該第1の材質の屈折率は、基板の屈折率と同じか又は該第2の材質の屈折率よりも基板の屈折率に近いことを特徴とする光閉込め構造。
【請求項4】請求項3記載の光閉込め構造において、上記凹凸の形状を、上記第2の材質の部分の平面上に占める面積が上記遷移層の表面から基板の方向に向かって減少するように構成することを特徴とする光閉込め構造。
【請求項5】請求項4記載の光閉込め構造において、上記凹凸の形状を、上記第2の材質の部分の平面上に占める面積の上記遷移層の表面から基板の方向に向かって減少する割合が遷移層の裏面付近より表面付近で大きいように構成することを特徴とする光閉込め構造。
【請求項6】請求項1記載の光閉込め構造において、上記凹凸は、その断面形状が実質的に三角であることを特徴とする光閉込め構造。
【請求項7】請求項1から6のいずれか一に記載の光閉込め構造において、上記光閉じ込めを行なう主な光は、可視光であり、上記凹凸の繰り返し幅は、1μm以下であることを特徴とする光閉込め構造。
【請求項8】請求項1から7のいずれか一に記載の光閉込め構造において、上記基板は、その裏面に光閉じ込めを行なう主な光の波長より大きな繰返し幅を持つ第2の凹凸を有することを特徴とする光閉込め構造。
【請求項9】請求項1から8のいずれか一に記載の光閉込め構造において、上記基板は、その裏面に光反射層を有することを特徴とする光閉込め構造。
【請求項10】請求項1から7のいずれか一に記載の光閉込め構造を用いた受光素子であって、上記基板は第1導電型であり、上記基板に設けられた第2導電型領域及びこれと接続する電極を有することを特徴とする受光素子。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光センサー、光電変換装置等の受光装置や光励起レーザー等の光−光変換装置等に用いる光閉込め構造及びそれを用いた受光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】光を基板に入射し、これを用いて光−光変換、光−電気変換等を行なう場合、基板内に光を効果的に取り込み、この光を基板外に逃すことなく、基板内に閉じ込めることにより、上記の各変換の効率を高くすることができる。これを行なうためには、基板表面での光の反射率の低減及び基板内に入射した光の閉じ込めが重要である。
【0003】従来、基板表面での入射光の反射率の低減は、反射防止膜や数十μmの大きさの表面凹凸等を用いて行なわれていた。また、エス アイ ディー 89 ダイジェスト 270頁(1989)(SID 89 DIGEST p270(1989))や特願平3−54371に述べられているように、微細なSiO2、MgF2粒を用いた表面微細凹凸による反射防止膜を用いることが行なわれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の反射防止膜を用いる方法は、入射光の波長が広範囲に及んだり、光の入射角が大きく変化する場合には充分に反射率を下げることが出来ないという問題があった。また、数十μmの大きさの表面凹凸を用いる方法は、光が基板に入射したときに屈折で光路が大きく曲げられるため、裏面に形成された凹凸を用て光閉じ込めを行なうことは難しいという問題があった。また、微細なSiO2粒等を用いた表面微細凹凸による反射防止膜を用いた場合は、基板の屈折率や表面微細凹凸形状について考慮していないため、反射率を非常に低くすることは困難であるという問題があった。
【0005】本発明の目的は、表面反射を低減し、光閉じ込めを有効に行なうことができる光閉込め構造及びそれを用いた受光素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の光閉込め構造は、基板及び基板表面に設けられた、凹凸を有する遷移層からなり、この凹凸の繰り返し幅を光閉じ込めを行なう主な光の波長以下とするように構成する。
【0007】この遷移層の屈折率は、基板側と逆の側から基板側に向かって、基板の屈折率に近づくように変化することが好ましい。このように屈折率が基板外部から、基板方向に連続的に変化することにより、数層で形成された干渉薄膜による反射防止膜に比べはるかに低い反射率を、波長の広い範囲に渡って得ることが出来る。
【0008】また、この遷移層は、基板側に配置された凹凸を有する第1の材質の部分と、これに対応する逆向きの凹凸を有し、基板と逆の側に配置された第2の材質の部分とより構成し、第1の材質の屈折率を基板の屈折率と同じか又は第2の材質の屈折率よりも基板の屈折率に近くすることが好ましい。第1の材質の部分は、基板そのものを用いて形成されたもの、例えば、基板表面に凹凸を形成したものでもよく、基板表面に他の材質のものを付けたものでもよい。第2の材質の部分は、空気であってもよく、他の材質のもので基板表面の凹凸の間を埋めた構造であってもよい。
【0009】この凹凸の形状は、第2の材質の部分の平面上に占める面積が遷移層の表面から基板の方向に向かって減少するように構成することが好ましい。凹凸の繰り返し幅は、光閉じ込めを行なう主な光が可視光であるとき、1μm以下とすることが好ましい。
【0010】また、本発明の光閉込め構造は、基板の裏面に光閉じ込めを行なう主な光の波長より大きな繰返し幅を持つ第2の凹凸を設けることが出来る。さらに、基板の裏面に光反射層を設けることが出来る。
【0011】さらに本発明の受光素子は、上記の光閉込め構造を用い、基板を第1導電型とするとき、第1導電型と逆の導電型の第2導電型領域を基板に設け、望ましくはさらに高濃度の第1導電型領域を基板に設け、これらと接続する電極を設けて構成される。
【0012】
【作用】図1〜6を用いて本発明の作用を説明する。図1(a)、(b)は、基板表面近傍の部分斜視図及びその断面図である。基板3に外部媒質1から光4が入射する場合、基板表面の凹凸の繰り返し幅7が光の波長より小さいと、光学的には、遷移層2の屈折率が表面から基板に向って連続的に変化した場合と同様に作用する。つまり、図のように第2の媒質5と第1の媒質6の割合が基板に向って次第に変化する場合に、第2の媒質5の持つ屈折率から第1の媒質6の持つ屈折率に、屈折率が直線的に変化する膜と等価な遷移層2が形成される。
【0013】屈折率の遷移層内での変化の様子は、第1の媒質と第2の媒質の混ざり方で決定される。2種類の媒質で構成される膜ではその実効的な屈折率は各々の媒質の平均値で表される。図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)に示すように、それぞれ第1の媒質6が、矩形、三角溝、ピラミッド、半球、球、逆ピラミッド等の形状を持つ場合には、第2の媒質5の屈折率を1.0、第1の媒質6の屈折率を3.5とすると、図3に示す様な実効的な屈折率を持つことになる。
【0014】また、ピラミッドと球の形状について外部媒質1の屈折率1.0、第2の媒質5の屈折率を1.0、第1の媒質6の屈折率を3.5、基板3の屈折率を3.5とした場合の反射率の計算値を図4に示す。図4(a)、(b)はピラミッド形状のときの反射率を、図4(c)、(d)は球形状のときの反射率をそれぞれリニアースケールとログスケールで示したものである。ピラミッド形状では遷移層膜厚が40nmではやや高い反射率を示すが、これより厚い膜厚では非常に低い反射率を示している。球形では、いずれの膜厚においても平均で10%を越える反射率になっており、ピラミッド形状に比べると若干高い反射率を示している。
【0015】図5に、ピラミッド形状での吸収光量と遷移層膜厚との関係を示す。外部媒質1の屈折率1.0、第1の媒質6の屈折率を3.5、基板3の屈折率を3.5とし第2の媒質5の屈折率が1.0、1.5の場合について計算した結果を示す。いずれの場合も、遷移層の膜厚が数百nm前後で吸収光量が大きくなりこれより厚い膜厚ではほぼ100%吸収する。
【0016】図6に、各形状での吸収光量と遷移膜厚との関係を示す。外部媒質1の屈折率1.0、第2の媒質5の屈折率を1.0、第1の媒質6の屈折率を3.5、基板3の屈折率を3.5とした場合について計算した結果を示す。各膜厚での光吸収量はピラミッド形状で一番高く、逆ピラミッドまではそれぞれ高い吸収量を示している。しかし、矩形と球形では遷移層膜厚を厚くしてもあまり光吸収量は大きくならない。この結果は、第1の媒質の形状が、図3で右上がりである様な形状をしているものが光吸収量が大きい事を示している。また、特に図3で右上がりで下に凸の曲線を持つピラミッド形状がよい結果を示す事から、本遷移層の第1の媒質6の形状はピラミッド形状、多角錐、円錐や下に凸の線分を回転して得られる形状の様に、遷移層2表面付近での第2の媒質5の基板方向への面積の減少の割合が遷移層2裏面付近でのその減少の割合より大きい形状が好ましいことが分かった。
【0017】具体的な基板形状を、図7を用いて説明する。図7(a)に示すように、基板上に繰り返し幅7が小さい凹凸から成る遷移層2を設ける。これにより、遷移層2の屈折率は上から下に向って外気の屈折率から基板3の屈折率まで連続的に変化する。この遷移層により基板3に入射する光4は、基板表面でほとんど反射することなく基板内へ入射する。また、繰り返し幅7が入射光の波長より小さいため、入射した光は基板表面の凹凸により形成される斜面で斜めに反射されることなく入射した角度で基板裏面まで直進する。
【0018】この基板に、図7(b)のような周期的で、入射光の波長より大きい繰り返し幅を持つ凹凸8を形成することにより、裏面で反射された光が斜めに基板内を進み、基板表面へ達する。このときの入射角度が臨界角より大きい場合、光は全反射されて再び基板内を進む。このようにして、一度入射した光は基板3に効率よく閉じ込められる。また、図7(c)のように裏面に入射光の波長より大きい繰り返し幅を持つ不規則な凹凸9を形成することにより、裏面で光が散乱反射され、大部分の光が基板表面に達したときに臨界角より大きい入射角を持つため、基板内へ再び反射されて、入射した光が基板3に効率よく閉じ込められる。これらの構成では、裏面に反射鏡を形成することで、より確実に裏面で光を反射することができる。
【0019】
【実施例】〈実施例1〉図8を用いて本発明の一実施例を説明する。本実施例では、表面が(100)面シリコン基板3の上に、遷移層を構成する、規則的な幅、大きさのピラミッド11を形成した。このピラミッドは、裏面をマスクして、表面だけをアルカリ性のエッチング液で加工することにより容易に形成することができる。また、アンモニヤやヒドラジンを主成分とする加熱した水溶液をエッチング液として用いて、加工を行なうことにより1μm以下の微小なピラミッド11を容易に形成することが出来る。
【0020】このようにして得られたシリコン基板3の表面のピラミッド11の平均のサイズは、SEM(走査型電子顕微鏡)による測定では約0.3μmであった。このシリコン基板の表面反射率を測定したところ、0.4〜1.1μmの波長範囲で表面反射率が著しく低下した。また、シリコン基板3表面に薄い酸化膜による皮膜を設けたところ、遷移層2内の屈折率の変化が急峻になり、さらに表面反射率が低下した。
【0021】〈実施例2〉図9を用いて本発明の他の実施例を説明する。本実施例ではシリコン基板3の上に断面が主に三角形をした、不規則な大きさの微小凹凸11’を形成した。微小凹凸11’はCVD(化学気相成長)法を用いた堆積膜により形成した。膜の材質は、ITO、ZnO2等の透明で比較的屈折率の高い材料を用いた。微小凹凸11’のサイズは堆積速度や温度、ガス圧等により平均で約0.5μmにすることが出来た。また、表面保護を兼ねて充填材(図示せず)で微小凹凸11’の間を埋めた。この充填材にはSiO2等の屈折率の比較的小さい材料をスピン塗布法やCVD法等で形成した。このシリコン基板の表面反射率も0.4〜1.1μmの波長範囲で著しく低下した。
【0022】〈実施例3〉図10を用いて本発明のさらに他の実施例を説明する。本実施例では、実施例2で述べたシリコン基板3の裏面に繰り返し幅が2μmのV溝13を形成した。これにより、表面から入射した光は、裏面で反射され、再び表面に達すると全反射され、シリコン基板内に閉じ込められる。V溝13は通常のホトレジストを用いたエッチングマスクを用いて容易に形成することが出来た。この場合、ホトレジストでなく印刷レジストでもよい。また、裏面形状はV溝のみならず逆ピラミッドや半円等の形状でもよく、その繰り返し幅が入射光の波長より大きいサイズであればよい。また、裏面での反射率を高めるために裏面反射鏡14を形成した。
【0023】〈実施例4〉図11を用いて本発明のさらに他の実施例を説明する。本実施例では、シリコン基板3の裏面にピラミッド状の凹凸15を形成した。この凹凸15の材質には透明なガラスを用い、シリコン基板3に接着した。これにより、シリコン基板3を加工することなく容易に光トラップ構造を形成する事が出来た。また、実施例3と同じように、裏面反射鏡(図示せず)を形成した。
【0024】〈実施例5〉図12を用いて本発明の受光素子の一実施例を説明する。実施例3と同様に、p型シリコン基板21の上に、断面が主に三角形をした、不規則な大きさの微小凹凸11’を、裏面に繰り返し幅が2μmのV溝を形成した(実施例3に示した裏面反射鏡は形成しない)。次に、高濃度p型層19、高濃度n型層20を熱拡散法で形成し、p型シリコン基板21の表面及び裏面にパッシベーシヨン酸化膜18(表面の酸化膜は図示せず)を設け、所定の位置の酸化膜18に穴開けして、電極16、17を真空蒸着法により形成し、受光素子を形成した。この受光素子は、微小凹凸11’からなる遷移層を設けない従来の受光素子よりも光電変換効率が向上した。
【0025】なお、上記以外の形状の微小凹凸、すなわち、三角溝、球、半球、逆ピラミッド、矩形を有する遷移層を持つp型シリコン基板を用いて、同様に受光素子を形成したが、いずれも従来の受光素子よりも光電変換効率が向上した。
【0026】以上の実施例で基板としてシリコンを用いたが、シリコンの他に、ガリウムヒソ、インジュウムリン、CuInS、CdS等の単結晶、多結晶、非晶質の単原子、多元系等の半導体や、ガラス、プラスチック等の絶縁性のもの等、どのような材質のものであってもよいことは言うまでもない。また、表面凹凸、裏面凹凸の構造は上記で説明した構造のいずれかの組み合わせであってもよく、凹凸の断面形状も、図2で説明した形状や、それに類似した規則的、不規則ないかなる形状であってもよいことは言うまでもない。
【0027】
【発明の効果】本発明の構造を用いることにより、光センサー、受電変換装置等の受光装置や光励起レーザー等の光−光変換装置等において光を有効に閉じ込める必要がある場合に、有効に光閉じ込めを行なうことが出来た。また、このような光閉込め構造を用いた本発明の受光素子は、光電変換効率を向上させることが出来た。




 

 


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