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発明の名称 弾性表面波共振子及び弾性表面波フィルタ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−232682
公開日 平成6年(1994)8月19日
出願番号 特願平5−20017
出願日 平成5年(1993)2月8日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】沼形 義彰 (外1名)
発明者 渡辺 一志 / 保坂 憲生 / 大貫 秀男
要約 目的
SAW共振子の共振周波数と反共振周波数との間でのモ−ド結合と見られる不要スプリアスがないSAW共振子およびSAW共振子を組み合わせた共振子型フィルタならびに通過域特性の良好なSAWフィルタを提供する。

構成
圧電性基板1上に金属膜からなるすだれ状電極2,3,4を有する弾性表面波共振子もしくは圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子を複数個バスバ−により直列に接続した多段型弾性表面波共振子において、前記共振子の開口長W1と共振子を構成するすだれ状電極の電極指非交差部W2の比を14以上(W1/W2≧14)とした。
特許請求の範囲
【請求項1】 圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子、もしくは、圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子を複数個バスバ−により直列に接続した多段型弾性表面波共振子において、前記共振子の開口長W1と共振子を構成するすだれ状電極の電極指非交差部W2の比を14以上(W1/W2≧14)としたことを特徴とする弾性表面波共振子。
【請求項2】 金属膜からなるすだれ状電極を有する圧電性基板が、バルク波(Surface Skimming Bulk Wave;SSBW)もしくは疑似弾性表面波(Leaky Surface Acoustic ;WaveLSAW)を励振するタンタル酸リチウム単結晶基板(LiTaO3)またはニオブ酸リチウム単結晶基板(LiNbO3)を用いたものである、請求項1に記載の弾性表面波共振子。
【請求項3】 圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子、もしくは、圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子を複数個バスバーにより直列に接続した多段型弾性表面波共振子において、前記共振子を構成するすだれ状電極の電極指非交差部とバスバー部分を吸音材で塗布したことを特徴とする弾性表面波共振子。
【請求項4】 金属膜からなるすだれ状電極を有する圧電性基板が、バルク波(Surface Skimming Bulk Wave;SSBW)もしくは疑似弾性表面波(Leaky Surface Acoustic ;WaveLSAW)を励振するタンタル酸リチウム単結晶基板(LiTaO3)またはニオブ酸リチウム単結晶基板(LiNbO3)を用いたものである、請求項3に記載の弾性表面波共振子。
【請求項5】 圧電性基板上に金属膜からなる互いに弾性表面波を送受する1個以上の入力すだれ状電極と出力すだれ状電極を同一伝搬路上に配設した弾性表面波フィルタまたは多電極型弾性表面波フィルタにおいて、該弾性表面波フィルタまたは該多電極型弾性表面波フィルタの入力すだれ状電極および出力すだれ状電極の開口長W1と入力すだれ状電極および出力すだれ状電極の電極指非交差部W2の比を14以上(W1/W2≧14)としたことを特徴とする弾性表面波フィルタまたは多電極型弾性表面波フィルタ。
【請求項6】 金属膜からなるすだれ状電極を有する圧電性基板が、バルク波(Surface Skimming Bulk Wave;SSBW)もしくは疑似弾性表面波(Leaky Surface Acoustic Wave;LSAW)を励振するタンタル酸リチウム単結晶基板(LiTaO3)またはニオブ酸リチウム単結晶基板(LiNbO3)を用いたものである、請求項5に記載の弾性表面波共振子型フィルタ。
【請求項7】 圧電性基板上に金属膜からなる互いに弾性表面波を送受する1個以上の入力すだれ状電極と出力すだれ状電極を同一伝搬路上に配設した弾性表面波フィルタまたは多電極型弾性表面波フィルタにおいて、該弾性表面波フィルタまたは該多電極型弾性表面波フィルタの入力すだれ状電極および出力すだれ状電極の電極指非交差部とバスバー部分を吸音材で塗布したことを特徴とする弾性表面波フィルタ、または多電極型弾性表面波フィルタ。
【請求項8】 金属膜からなるすだれ状電極を有する圧電性基板が、バルク波(Surface Skimming Bulk Wave;SSBW)もしくは疑似弾性表面波(Leaky Surface Acoustic Wave;LSAW)を励振するタンタル酸リチウム単結晶基板(LiTaO3)またはニオブ酸リチウム単結晶基板(LiNbO3)を用いたものである、請求項7に記載の弾性表面波共振子型フィルタ。
【請求項9】 圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子、もしくは、圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子を複数個バスバーにより直列に接続した多段型弾性表面波共振子であって、前記共振子の開口長W1と共振子を構成するすだれ状電極の電極指非交差部W2の比を14以上(W1/W2≧14)とした弾性表面波共振子を用い、共振周波数の違う共振子を、それぞれインダクタを介して接続したことを特徴とした弾性表面波共振子型フィルタ。
【請求項10】 金属膜からなるすだれ状電極を有する圧電性基板が、バルク波(Surface Skimming Bulk Wave;SSBW)もしくは疑似弾性表面波(Leaky Surface Acoustic Wave;LSAW)を励振するタンタル酸リチウム単結晶基板(LiTaO3)またはニオブ酸リチウム単結晶基板(LiNbO3)を用いたものである、請求項9に記載の弾性表面波共振子型フィルタ。
【請求項11】 圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子、もしくは、圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子を複数個バスバーにより直列に接続した多段型弾性表面波共振子であって、前記共振子を構成するすだれ状電極の電極指非交差部とバスバー部分を吸音材で塗布した弾性表面波共振子を用い、共振周波数の違う共振子を、それぞれインダクタを介して接続したことを特徴とした弾性表面波共振子型フィルタ。
【請求項12】 金属膜からなるすだれ状電極を有する圧電性基板が、バルク波(Surface Skimming Bulk Wave;SSBW)もしくは疑似弾性表面波(Leaky Surface Acoustic Wave;LSAW)を励振するタンタル酸リチウム単結晶基板(LiTaO3)またはニオブ酸リチウム単結晶基板(LiNbO3)を用いたものである、請求項11に記載の弾性表面波共振子型フィルタ。
【請求項13】 圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子、もしくは、圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子を複数個バスバーにより直列に接続した多段型弾性表面波共振子であって、前記共振子の開口長W1と共振子を構成するすだれ状電極の電極指非交差部W2の比を14以上(W1/W2≧14)とした弾性表面波共振子を移動無線機の中間周波フィルタとして用いたことを特徴とする移動無線機システム。
【請求項14】 圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子、もしくは、圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子を複数個バスバーにより直列に接続した多段型弾性表面波共振子であって、前記共振子を構成するすだれ状電極の電極指非交差部とバスバー部分を吸音材で塗布した弾性表面波共振子を移動無線機の中間周波フィルタとして用いたことを特徴とする移動無線機システム。
【請求項15】 圧電性基板上に金属膜からなる互いに弾性表面波を送受する1個以上の入力すだれ状電極と出力すだれ状電極を同一伝搬路上に配設した弾性表面波フィルタまたは多電極型弾性表面波フィルタであって、該弾性表面波フィルタまたは該多電極型弾性表面波フィルタの入力すだれ状電極および出力すだれ状電極の開口長W1と入力すだれ状電極および出力すだれ状電極の電極指非交差部W2の比を14以上(W1/W2≧14)とした弾性表面波フィルタまたは多電極型弾性表面波フィルタを移動無線機の中間周波フィルタとして用いたことを特徴とする移動無線機システム。
【請求項16】 圧電性基板上に金属膜からなる互いに弾性表面波を送受する1個以上の入力すだれ状電極と出力すだれ状電極を同一伝搬路上に配設した弾性表面波フィルタまたは多電極型弾性表面波フィルタであって、該弾性表面波フィルタまたは該多電極型弾性表面波フィルタの入力すだれ状電極および出力すだれ状電極の電極指非交差部とバスバー部分を吸音材で塗布した弾性表面波フィルタまたは多電極型弾性表面波フィルタを移動無線機の中間周波フィルタとして用いたことを特徴とする移動無線機システム。
【請求項17】 圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子、もしくは、圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子を複数個バスバーにより直列に接続した多段型弾性表面波共振子であって、前記共振子の開口長W1と共振子を構成するすだれ状電極の電極指非交差部W2の比を14以上(W1/W2≧14)とした弾性表面波共振子を用い、共振周波数の違う共振子を、それぞれインダクタを介して接続したことを特徴とした弾性表面波共振子型フィルタを移動無線機の中間周波フィルタとして用いたことを特徴とする移動無線機システム。
【請求項18】 圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子、もしくは、圧電性基板上に金属膜からなるすだれ状電極を有する弾性表面波共振子を複数個バスバーにより直列に接続した多段型弾性表面波共振子であって、前記共振子を構成するすだれ状電極の電極指非交差部とバスバー部分を吸音材で塗布した弾性表面波共振子を用い、共振周波数の違う共振子を、それぞれインダクタを介して接続したことを特徴とした弾性表面波共振子型フィルタを移動無線機の中間周波フィルタとして用いたことを特徴とする移動無線機システム。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伝搬波動のモード結合によるスプリアスを低減した弾性表面波共振子、または、弾性表面波フィルタ、ならびに、弾性表面波共振子型フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波共振子は、UHF、VHF帯での水晶振動子に比べ、基本発振が可能で、小型化、高Qを実現できることから、各種通信装置、家電製品に適用されている。弾性表面波共振子の基本的な構成は大きく分けると、入出力用すだれ状電極(以下、IDTという)の両側に反射器を設けたキャビティ型、反射器を設けないIDT型の2つがある。またこの弾性表面波共振子の基板材料として、水晶基板が、温度特性の点から数多く用いられている。特開平2−75215号公報には、近接して配置した2つの弾性表面波共振子を弾性的に結合させた場合、対称モードと反対称モードの2つの振動モードが生じること、この対称モードの共振周波数と反対称モードの反共振周波数を一致させ所望の特性の多重モード共振器型弾性表面波フィルタを得ることについて述べられており、IDTの端部に、弾性表面波の伝搬方向に直角方向に伸びる導体パタ−ン設けたものである。この導体パタ−ンを設けることにより、IDT端部での不要な振動モードの発生、および不要なモード結合を防ぐ効果がある。図10は、開口長W1と電極指非交差開口部W2の比が8の、従来の弾性表面波共振子のインピーダンス特性を示したものであり、共振周波数Frと、反共振周波数Faの間(950MHzから955MHz付近)で不要なスプリアスが発生していることがわかる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】圧電性基板上に形成したIDTに励振する波のモードは、圧電性基板の種類、基板のカット角、基板表面伝搬路の電気的状態により違ってくる。タンタル酸リチウム単結晶基板(LiTaO3)、または、ニオブ酸リチウム単結晶基板(LiNb3)においては、基板のカット角によって、擬似弾性表面波(Leaky Surface Acoustic Wave;以下、LSAWという)、もしくは、バルク波(Surface Skimming Bulk Wave;以下、SSBWという)が主伝搬波動となり、結合係数が通常のレ−リ−モードの弾性表面波より大きくなる特徴がある。特に、LitaO336度回転Y板X軸伝搬では、伝搬路が自由表面ではSSBWが主伝搬波動となり、他方、伝搬路が短絡表面、すなわち、金属電極下では、LSAWが主伝搬波動となることが知られている。また、上記従来例の水晶基板においては、レ−リ−モードのいわゆる表面波(Surface Acoustic Wave)が主伝搬波動となる。但し、上記従来例の水晶基板は、温度特性には優れるが、結合係数が小さく、共振子を組み合わせたフィルタとして応用する場合、共振周波数と反共振周波数間の周波数幅が取れないので、広帯域のフィルタには不都合である。この広帯域フィルタには、LiTaO3基板またはLiNbO3が適している。中でも、結合係数の大きなLSAWを生ずるカット角の基板が適している。しかし発明者らは、これ等の基板を用いた場合に、上記説明したLSAWおよびSSBWの2つの波が発生し、特有のスプリアスピ−クを生ずる問題点を見出した。特に弾性表面波共振子のインピーダンス特性においては、弾性表面波共振子の共振周波数と反共振周波数との間で、LSAWとSSBWの結合と見られる不要スプリアスが発生する。このため、弾性表面波共振子を組み合わせた弾性表面波共振子型フィルタでは、帯域内で、不要なリップルが発生する不具合を生じる。発明者らは、この不要スプリアスがLSAWとSSBWとの結合が関与していることを明らかにした。本発明は、上記知見に基づき、従来の問題点を解決し、弾性表面波共振子の共振周波数と反共振周波数との間でのモード結合と見られる不要スプリアスがない弾性表面波共振子、および、弾性表面波共振子を組み合わせた弾性表面波共振子型フィルタ、ならびに、弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、圧電性基板上に形成した弾性表面波共振子または弾性表面波フィルタの、共振子の開口長W1と弾性表面波共振子または弾性表面波フィルタを構成するIDTの電極指非交差部W2の比を14以上(W1/W2≧14)と規定するか、または、IDTの電極指非交差部とバスバー部分を吸音材で塗布した構成により解決される。
【0005】
【作用】上記のような手段をとることにより、弾性表面波共振子のインピーダンス特性において、不要スプリアスの発生を低減できる。すなわち、LiTaO3基板上に形成されたIDTは、金属電極下すなわちIDT交差部分ではLSAWが主伝搬波動となり、自由表面すなわちIDTの電極指非交差部分ではSSBWが主伝搬波動となる。このため、弾性表面波共振子の開口長W1と共振子を構成するIDTの電極指非交差部W2の比を14以上(W1/W2≧14)と規定する、またはIDTの電極指非交差部とバスバー部分を吸音材で塗布することで、電極指非交差部分で発生するLSAWを減衰させ、このLSAWにより発生するSSBWの波の強度レベルを低減し、IDT交差部分へのSSBWの侵入を低減できる。このため、SSBWとLSAWの波のモード結合を低減することができる。また、弾性表面波フィルタにおいても、同様の作用がある。
【0006】
【実施例】以下、本発明を図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施例を示すもので、1段のすだれ状電極(IDT)型弾性表面波共振子に関するものである。このIDT型弾性表面波共振子は、36度回転Y軸切断X軸伝搬のタンタル酸リチウム(LiTaO3)からなる圧電性基板1の上に、ワイヤリング用のボンディングパッド2を有するとともにIDTを構成する電極指3とこの電極指を電気的に接続するバスバー4からなる一対の電極が形成されて構成されている。第1の実施例は、この電極指3の対数が300本であるが、図1では省略して模式的に図示している。また、このIDTの共振子の開口長W1は70μmに設定されており、電極指3が交差しない電極指非交差開口部W2は5μmに設定されており、開口長W1と電極指非交差開口部W2の比は14に設定されている。また、電極指3の電極線幅と、スペース部分の幅は共に1.2μmである。この弾性表面波共振子の電極指材料は、アルミニウム−チタン合金(Al−Ti合金)を用いてDCマグネトロンスパッタ法により電極膜厚100nmに成膜して構成されている。
【0007】図2は、第1の実施例の1段のIDT型弾性表面波共振子の周波数−インピーダンス特性を示す図であり、共振周波数Frは935MHz、反共振周波数Faは965MHzである。この共振周波数Frと反共振周波数Faとの間隔は、近似的には、【数1】

で表わされ、この間隔が、フィルタの帯域幅や肩特性に関係する。IDT型弾性表面波共振子の集中定数等価回路は、共振抵抗をR,制動容量をCdとし、共振のL,Cから、共振周波数Frと、反共振周波数Faは、【数2】

【数3】

で表わされる。ここで、制動容量Cdは、【数4】

で表わされる。
【0008】この図からわかるように、共振子の開口長と電極指非交差開口部の比(W1/W2)を14と大きく規定することで、電極指交差部W3での主伝搬波動であるLSAWと、電極指非交差開口部での主伝搬波動であるSSBWとの不要波の結合が低減され、従来の弾性表面波共振子で発生した、共振子の共振周波数と反共振周波数との間で発生する不要スプリアスが低減される。尚、この不要スプリアスは、共振子の開口長と電極指非交差開口部の比(W1/W2)が14以上では発生しないことが、実験からわかった。また、同じ電極構成で、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)基板上に作成した共振子では、上記不要スプリアスは発生せず、タンタル酸リチウム基板にのみ発生するSSBWに特有な現象であることがわかった。
【0009】図3は、本発明の第2の実施例の2段IDT型弾性表面波共振子の平面図である。この弾性表面波共振子は、第1の実施例の弾性表面波共振子をバスバー4を会して2つ直列に接続した2段IDT型弾性表面波共振子である。また、図3は、図1の第1の実施例のインピーダンス特性を示している。図3からわかるように、W1/W2の比を大きく規定することで、電極指交差部W3での主伝搬波動であるLSAWと、電極指非交差開口部での主伝搬波動であるSSBWとの不要波の結合が低減され、図10の従来SAW共振子で発生した、共振子の共振周波数と反共振周波数との間で発生する不要スプリアスが低減される。尚、この不要スプリアスは、W1/W2の比が14以上では発生しないことが、実験からわかった。また図2に示す弾性表面波共振子でも、同様の結果が得られた。また、同じ電極構成で、LiNbO3基板上に作成した共振子では、上記不要スプリアスは発生せず、SSBW特有な現象であることがわかった。
【0010】図4は、本発明の第3の実施例の2段IDT型弾性表面波共振子の平面図であり、この弾性表面波共振子は、第2の実施例の2段IDT型弾性表面波共振子の電極指非交差開口部W2とバスバー部分4との間に、吸音剤5を塗布したものである。この実施例によれば、電極指非交差開口部に発生するSSBWを吸音剤によって吸収することができるので、第1の実施例および第2の実施例と同様に、LSAWとSSBWとの不要波の結合を低減させることができ、同等の効果が得られた。
【0011】図5、6は、本発明の第4の実施例であり、実施例1および実施例2の弾性表面波共振子を組み合わせた弾性表面波共振子型フィルタについて示したものである。図5は、この弾性表面波共振子型フィルタの回路構成図であり、共振周波数のそれぞれ違う弾性表面波共振子6、7、8、9、10、11と、この共振子を調整するインダクタパターンL1、L2、L3、L4、L5で構成されている。図に示すように、インダクタパターンL1,L2および弾性表面波共振子4,9,11ならびにインダクタパターンL5が直列に接続され、インダクタパターンL1とインダクタパタ−ンL2の接続点に、弾性表面波共振子4が、弾性表面波共振子4と弾性表面波共振子9の接続点および弾性表面波共振子9と弾性表面波共振子11の接続点に、それぞれ弾性表面波共振子8とインダクタパターンL3の直列回路および弾性表面波共振子10とインダクタパターンL4の直列回路が並列に接続されて、弾性表面波共振子型フィルタを構成している。インダクタパターンは、アルミナ基板上に銅でスパイラル状に形成されたものであり、弾性表面波共振子と25μφのアルミニウムワイヤーで接続されている。尚、このワイヤーは、材料としてアルミニウム(Al)を使用したが、アルミニウムのほか金(Au)等であっても構わない。
【0012】図6は、図5の回路構成に基づいた弾性表面波共振子型フィルタの周波数特性を示したものである。実線で示した周波数曲線は本発明の弾性表面波共振子を組み合わせたフィルタに関する特性を示し、破線で示した周波数特性は、従来の弾性表面波共振子を組み合わせたフィルタに関する特性を示す。従来例では、弾性表面波共振子単体特性で、共振周波数と反共振周波数との間で不要スプリアスが発生するため、フィルタ特性においても、通過域で不要スプリアスが生じ、損失を大きく劣化させている。しかしながら実線で示した、電極指の開口長W1と電極指非交差開口部W2の比を14以上(W1/W2≧14)に規定した、本発明の弾性表面波共振子を組み合わせることで、フィルタ特性の通過域の不要スプリアスが発生せず、良好なフィルタの周波数特性が実現可能となった。
【0013】図7および図8は、本発明の第5の実施例を示し、図7は、第5の実施例の弾性表面波フィルタの平面図を示したものである。本実施例では、36度回転Y軸切断X軸伝搬のタンタル酸リチウム(LiTaO3)からなる圧電性基板1の上に、入力すだれ状電極(IDT)12と出力IDT13が交互に配置されており、入出力IDT12、13の個数は、入力IDT12は2個、出力IDT13は3個の多電極型構成となっている。入力IDT12、および出力IDT13はそれぞれ、電極指3から構成される。伝搬路上に形成されたこの電極指3とスペース部分は、共に等しくなっている。また、入、出力IDT12、13の間は、接地用電極パターン14が形成され、電極指3の形成周期と同間隔で、しかも電極指3より大きな幅で隣接して形成されている。この多電極型弾性表面波フィルタの中心周波数は880MHzであり、入出力IDT12,13の開口長W1は100μmであり、電極指3の電極指非交差開口部W2は5μmに設定され、電極指の開口長W1と電極指非交差開口部W2の比(W1/W2)を20としている。また電極指3の電極線幅およびスペース部分の幅は共に1.2μmとされ、接地用電極パターン14の幅は5μmに設定されている。さらに、電極材料には、アルミニウム−チタン合金(Al−Ti合金)を用いてDCマグネトロンスパッタ法により電極膜厚を100nmに成膜している。
【0014】図8は、図7の多電極型弾性表面波フィルタの周波数特性を示したものであり、実線は本発明のフィルタの曲線を示し、破線は従来のフィルタの曲線を示す。本発明においては、LSAWと、SSBWとの不要波の結合を低減させるため、入出力IDT12、13の開口長W1と電極指非交差開口部W2の比(W1/W2)を14以上となるように考慮することで、従来技術の周波数特性に比べ、過域での不要なうねりが緩和される。
【0015】また、図4の本発明第3の実施例と同様に、電極指非交差開口部W2とバスバー部分4との間に吸音剤5を塗布した構成としても、本発明の第5の実施例と同様に、LSAWと、SSBWとの不要波の結合を低減でき、同等の効果が得られた。
【0016】上述のように、本発明においては、圧電性基板はLSAWとSSBWが主伝搬波動となるタンタル酸リチウム(LiTaO3)を用いたが、タンタル酸リチウムに限らず、電極指の開口部と電極指非交差開口部で、違うモ−ドの発生する可能性のあるニオブ酸リチウム(LiNbO3)、あるいは水晶基板であっても良い。さらに、電極材料はアルミニウム−チタン合金(Al−Ti合金)に限らず、他のアルミニウム系合金であっても良い。
【0017】一般に、弾性表面波共振子を含む弾性表面波フィルタは、電圧を印加して基板に機械的振動を生じさせるので、余分な慣性的負荷が加わるのは好ましくない。このため、導電性良好で軽い材料、たとえばアルミニウムあるいはアルミニウム合金で電極を形成することが好ましい。さらに、機械振動を生じる電極指3は、耐マイグレーション性が重要であるので、導電性は多少低いが、耐マイグレーション性の良好なアルミニウム−チタン合金(Al−Ti合金)を選定した。また、電極指3の形成には、電極幅に高い寸法精度が要求されるので、湿式化学エッチングに代わり、塩化硼素(BCl3)、CF4ガスを用いた反応性ドライエッチング(RIE)技術を用いた。
【0018】図9は、本発明の弾性表面波共振子型フィルタを用いて構成した、移動無線機システムのアンテナ分波器の構成を示す図である。この分波器の送信フィルタ15および受信フィルタ16に、弾性表面波共振子型フィルタを用いた。送信フィルタ15および受信フィルタ16は、それぞれ分岐回路17を介してアンテナ18と接続されている。移動無線機システムに用いる送信フィルタ15および受信フィルタ16は、耐電力性を必要とするだけでなく、800〜900MHzと高周波であるので弾性表面波共振子型フィルタを構成する入出力IDTの電極指が1μm程度と微細となる。又、フィルタ特性として非常に低損失かつ急峻なフィルタの肩特性を必要とし、組み合わせる共振子のインピーダンス特性が非常に重要である。本発明の弾性表面波共振子を用いることで、弾性表面波共振子のインピーダンス特性において、反共振周波数と共振周波数の間での不要スプリアスが低減でき、良好なフィルタ特性が提供できる。また、入出力IDTを持つ弾性表面波フィルタでも、不要な伝搬波動の結合が低減でき通過域特性の良好な弾性表面波フィルタが提供できる。
【0019】尚、本発明は、移動無線機システムに限らず、VTRまたはCATV用コンバ−タならびに衛星放送用受信機システム等に用いる弾性表面波共振子や弾性表面波共振子型フィルタ、さらに一般の弾性表面波フィルタにおいても有効な手段であることはいうまでもない。
【0020】更に、本発明は、共振子の電極構成として、1ポートのIDT型弾性表面波共振子を取り上げたが、IDTの外側に、反射電極を形成したキャビティ構成のIDT型弾性表面波共振子、1チップ内に電気的に独立した2つの弾性表面波共振子を形成した多重モード構成のIDT型弾性表面波共振子、入出力IDTを2つ持つ2ポート型構成のIDT型弾性表面波共振子等全ての弾性表面波共振子構成においても有効な手段であることは、いうまでもない。本発明においては、電極指の開口長W1とIDT電極の電極指非交差部W2の比を14以上(W1/W2≧14)とするほど、つまり電極指非交差部W2が小さいほど、電極指非交差部分で発生するSSBWの波の強度レベルを低減し、モ−ド結合と見られる不要スプリアスを低減できる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、圧電性基板上に形成された弾性表面波共振子および弾性表面波共振子を組み合わせた弾性表面波共振子型フィルタならびに入出力IDTを持つ弾性表面波フィルタにおいて、IDTの開口長W1と、電極指非交差部W2の比を14以上と規定すること、またはIDTの電極指非交差部とバスバー部分を、吸音材で塗布することで、インピーダンス−周波数特性の良好な弾性表面波共振子および弾性表面波共振子型フィルタならびに弾性表面波フィルタを提供できる。




 

 


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