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発明の名称 試料処理装置および試料処理方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−232238
公開日 平成6年(1994)8月19日
出願番号 特願平5−18419
出願日 平成5年(1993)2月5日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 高口 雅成 / 柿林 博司 / 富田 正弘 / 藤田 実 / 内田 史彦 / 鈴木 勲 / 三友 勇 / 三井 ▲泰▼裕 / 金友 正文
要約 目的
CVD、MBE、スパッタ等の各種のプロセス装置や、透過電子顕微鏡、2次イオン質量分析装置、光電子分光装置等の各種の評価装置を初め、各種処理装置間で試料を環境制御しながら搬送し、例えば結晶構造、元素組成、結合状態等を、作製直後の状態を保ったまま、或いは変化を動的に処理する。

構成
トランスファロッド9の先端に着脱可能な試料ホルダ本体1を格納し、成膜装置と評価装置間を真空状態あるいはガスパージ状態で試料温度を制御しながら搬送するためのトランスファチャンバ23、各種成膜装置および薄膜装置との連結部、試料加熱および試料傾斜機構、バッテリー式可搬型イオンポンプ24等から構成される。
特許請求の範囲
【請求項1】環境制御手段付き搬送装置により、外部環境と遮断された状態で少なくとも連続的に環境制御を行ないながら試料を処理装置間で搬送する工程、該処理装置において処理する工程と、該搬送装置と処理装置を着脱する工程から成ることを特徴とした試料処理方法。
【請求項2】環境制御手段付き搬送装置と、試料を保持する試料ホルダと、該搬送装置からの試料ホルダを処理装置へ受け渡しする受け渡し手段と、該搬送装置と処理装置が着脱するための着脱手段と、該搬送装置を移動する移動手段から成ることを特徴とした試料処理装置。
【請求項3】請求項2記載の処理装置は、デバイスプロセス装置、試料作製装置、試料清浄化装置、試料加工装置、試料保管装置、試料評価装置のいずれかからなることを特徴とした試料処理装置。
【請求項4】請求項2記載の環境制御手段は、試料温度制御手段、真空度制御手段、雰囲気ガス導入制御手段、不純物吸脱着制御手段、電磁場制御手段、放射線量制御手段、振動制御手段のいずれかからなることを特徴とした試料処理装置。
【請求項5】請求項2記載の受け渡し手段は、該環境制御手段付き搬送装置から試料ホルダを出し入れするための試料搬送棒から成ることを特徴とした試料処理装置。
【請求項6】請求項1記載の試料処理方法において、該処理する工程として、試料ホルダを試料搬送棒により試料作製装置内に挿入する工程と、試料作製装置内で該試料ホルダ上にあらかじめ固定しておいた基板を加熱もしくは冷却する工程と、該基板上に直接試料を成長させる工程から成ることを特徴とした試料処理方法。
【請求項7】請求項5記載の試料処理装置において、試料を処理装置内外で処理するための試料ホルダを具備し、更に該試料ホルダ内の試料台に設置する試料加熱用ヒータとして、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)等により基板上にヒータ配線を作製した薄型ヒータを備えた試料加熱ホルダを用いることを特徴とした試料処理装置。
【請求項8】請求項5記載の試料ホルダにペルティエ素子もしくはシュラウドを備えた試料冷却ホルダを用いることを特徴とした試料処理装置。
【請求項9】請求項7記載の試料加熱ホルダにおいて、該試料加熱ホルダの厚さが透過電子顕微鏡の高分解能像観察用対物レンズの上極と下極のギャップに挿入し、更に該ギャップ内で試料台が傾斜可能であることを特徴とした試料処理装置。
【請求項10】請求項7記載の試料台において、ヒータで発生した熱の該試料台外への伝導を遮断するため、該試料台上のヒータ設置部と周辺部との間に溝を設けることを特徴とした試料処理装置。
【請求項11】請求項7記載の試料台を傾斜するための弾性力を与える傾斜用バネを、該試料台より離れた位置に設置することを特徴とした試料処理装置。
【請求項12】請求項7記載の試料台を傾斜するための手段の一部が、傾斜用バネと組み合わせた試料台押さえから成ることを特徴とした試料処理装置。
【請求項13】請求項12記載の傾斜用バネと試料台押さえを、試料温度制御手段のための電流導入手段と兼用することを特徴とした試料処理装置。
【請求項14】請求項13記載の電流導入手段において、該電流導入手段の一方の電極を接地電位である試料ホルダ本体と接触させ、もう一方は請求項11記載の試料台押さえと接触させ、更に該試料台押さえを傾斜用バネを介して試料ホルダ本体とは絶縁された電流導入端子と接触させ、該電流導入端子に外部から通電させることを特徴とした試料処理装置。
【請求項15】請求項5記載の試料搬送棒において、該試料搬送棒の先端には試料ホルダとの物理的な着脱を可能とするチャックを設けることを特徴とした試料処理装置。
【請求項16】請求項15記載のチャックにおいて、電流導入端子と接続するための単芯コネクタを、該試料ホルダの回転軸上にチャックと絶縁して設置することを特徴とした試料処理装置。
【請求項17】請求項15記載の試料搬送棒において、該試料搬送棒の先端には単芯コネクタと電流導入端子との電気的な着脱を可能とするのチャックを設けることを特徴とした試料処理装置。
【請求項18】請求項4記載の真空度制御手段として、可般型真空排気ポンプを用いることを特徴とした試料処理装置。
【請求項19】請求項7記載の試料加熱用ヒータとして、該試料加熱用ヒータの抵抗値を温度に変換して読み取る回路を接続し、温度計測および温度制御する工程を含むことを特徴とした試料処理装置。
【請求項20】請求項4記載の雰囲気ガス導入制御手段として、パージガス高純度化装置を備えることを特徴とした試料処理装置。
【請求項21】請求項5記載の搬送装置移動手段として、環境制御手段付き搬送装置を上下、左右方向に微動可能な手段と除震装置を備える架台からなることを特徴とした試料処理装置。
【請求項22】請求項4記載の振動制御手段として、除震手段を備えた台車からなることを特徴とした試料処理装置。
【請求項23】請求項1記載の試料処理方法において、上記処理する工程として、試料加熱ホルダを用い試料を加熱する工程と、加熱による試料状態の変化を処理装置によりその場動的観察する工程を含むことを特徴とした試料処理方法。
【請求項24】請求項1記載の試料処理方法において、上記処理する工程として、試料加熱ホルダを用い加熱により基板または試料のクリーニングを行なう工程を含むことを特徴とした試料処理方法。
【請求項25】請求項1記載の試料処理方法において、上記処理する工程として、試料加熱ホルダを用い基板を加熱し、該基板表面の非晶質層を再結晶化し、該基板上に成膜する際の基板表面状態を制御する工程を含むことを特徴とした試料処理方法。
【請求項26】請求項1記載の試料処理方法において、試料加工装置を用い、試料劈開、イオンシニング等を施し、他の処理装置における処理に適した形状に加工する工程を含むことを特徴とした試料処理方法。
【請求項27】請求項1記載の試料を処理装置間で搬送する工程において、パージガス高純度化装置を用い、搬送装置に該パージガス高純度化装置から導いたガスを密封もしくはフローさせる工程を含むことを特徴とした試料処理方法。
【請求項28】請求項27記載の試料処理方法において、パージガス高純度化装置および環境制御手段付き搬送装置、処理装置を電解研磨処理、酸化不動態処理したステンレスやアルミニウムで作製することにより、パージガスをpptオーダに超高純度化する工程を含むことを特徴とした試料処理方法。
【請求項29】請求項4記載の雰囲気ガス導入制御手段として、大気圧質量分析計を用いることを特徴とした試料処理装置。
【請求項30】請求項7記載の試料加熱ホルダにおいて、上記試料加熱用ヒータ用の電源として定電流電源を用い、電流経路上の抵抗値揺らぎに関係なく時間変動のない電力を該試料加熱用ヒータに供給できることを特徴とした試料処理装置。
【請求項31】請求項1記載の環境制御手段付き搬送装置を用い、半導体、磁性体、超電導体材料などの極薄膜構造から成る微細構造デバイスの、各作製工程における表面状態、結晶構造、元素組成などを、その場動的にあるいは工程直後の状態を正確に保ったまま、任意方向より原子レベルで多角的に評価する工程を含むことを特徴とした試料処理方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体、磁性体、超電導体材料などの極薄膜構造から成る製品デバイスを初めとする各種試料を、各作製工程における処理直後の状態を正確に保ったまま、もしくは自由な環境下において複数の処理装置間で搬送し、その場動的に任意方向より原子レベルで多角的にかつ迅速にオンライン検査を初めとする処理装置における各種処理を行なうための試料処理装置および試料処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】処理装置間で試料を搬送する従来の試料処理方法として、特開平4-206547記載の装置間搬送方法がある。この方法は、製造、分析装置に接続可能な搬送装置内を真空もしくは不活性ガス密閉状態とし、試料を装置間搬送するものである。搬送装置内の真空度や雰囲気ガス(分圧を含む)において圧力を、ガス供給口、排気口の両方にバルブを設けることで圧力を制御可能としていた。
【0003】処理装置間で試料を搬送する従来の試料処理装置として、特開平3-163736記載の電子顕微鏡(以下TEMと略す)または類似装置がある。この装置は試料処理室、試料移送室とTEMから構成される。試料処理室は、バルブ1を介して試料移送室と接続され、さらに該試料移送室はバルブ2を介してTEMの試料室と接続されている。試料は試料ホルダ上に固定された支持膜上に、試料処理室内で蒸着して作製する。支持膜温度は試料ホルダ加熱用ヒータによって制御できるが、該試料ホルダ加熱用ヒータは、構造上試料処理室外で用いることはできない。試料作製後、試料ホルダを試料処理室を経てTEMの試料室まで移動する。こうして試料を大気に曝すことなく搬送、観察可能となる。
【0004】また実開平3-48851には電子顕微鏡用試料加熱ホールダが示されている。本発明の試料ホルダでは、金属ワイヤをコイル状に巻いた厚さ5mm程度のマントル型ヒータが試料台に埋め込まれている。試料ホルダ上の2軸傾斜には試料台を傾斜させるための板バネが用いられている。該板バネはヒータが埋め込まれ、高温となる試料台に接している。ヒータにはヒータ加熱用の2本の電流導入線と熱電対が接続されており、それらはホルダの軸を通って外部電源もしくは熱電温度計に配線されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の試料処理装置及び試料処理方法について、以下に述べる問題点が指摘できる。特開平4-206547記載の装置間搬送方法において、試料搬送中に搬送室は真空状態、もしくは雰囲気ガス充填状態となるが、これをモニタし、排気系もしくはガス供給系にフィードバックする手段がなく、搬送中の環境を自由に制御することは不可能である。
【0006】次に特開平3-163736記載の電子顕微鏡(以下TEMと略す)または類似装置において、試料ホルダは、成膜後試料処理室から試料移送室を介して評価室(ここではTEM試料室)に搬送されるが、試料ホルダ自体が加熱機構を持たないため、試料ホルダを試料処理室から取り出すと試料加熱が不可能となった。従って、例えば試料基板を成膜から評価段階まで連続的に高温に保ったまま搬送することができず、搬送時の環境制御が不可能であった。また試料加熱が特定の試料処理室内のヒータを用いた時のみ可能であるため、半導体デバイスや磁気デバイス等の製造プロセスで用いられているスパッタ装置、化学気相成長装置(CVD)、分子線成長装置(MBE)等に代表される成膜装置や、透過電子顕微鏡(TEM)、光電子分光装置(ESCA)、オージェ電子分光装置(AES)、二次イオン質量計(SIMS)等の評価装置に適用する汎用性が無かった。更に温度以外の搬送環境、例えば真空度、雰囲気ガス、試料周囲の電磁場などを複数の処理装置間で一貫して連続的に、かつ自由に制御する必要が試料によって生じるが、従来装置ではこうした制御は不可能であった。
【0007】上記課題を解決するためには、その手段としてTEM用試料加熱ホルダがその構造の複雑さ等から大きなポイントとなっていた。従来加熱ホルダの問題点として、マントル型ヒータを用いているためにヒータ部が厚くなることが挙げられる。TEM対物レンズのギャップは像分解能が高くなるほど狭くなるが、マントル型ヒータを用いた試料ホルダはこの高分解能対応対物レンズ内に挿入不可能であった。また、加熱ホルダは主としてホルダ支持用トランスファロッドを備えたサイドエントリー型であるため、該ロッドを媒体として外部の振動が試料まで伝播し、分解能を低下させる要因となっていた。従来のTEM用試料加熱ホルダに用いられているバネ材の耐熱温度は低い(通常約300℃)ために、試料傾斜(通常2軸傾斜)と高温加熱(通常1000℃以上)を両立する試料ホルダを構成することは困難であった。また、従来はヒータの温度測定に熱電対を用いているため、これを媒体とした熱伝導によるヒータ温度の低下を避けられなかった。さらに、熱電対は試料台に直接接続されるため、特に2軸傾斜ホルダの場合、試料台のスムーズな傾斜動作に対し支障をもたらすものであった。同様の影響は、ヒータ通電加熱用の2本の電流導入線によってももたらされていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の問題点を解決するために、複数の処理装置に接続可能な試料搬送室に、様々な環境制御手段を設けた。例えば試料温度制御については、評価装置内で傾斜可能な試料ホルダ自身に加熱、冷却機構を設けた。さらに複数の処理装置間での使用を可能とするため、試料ホルダをホルダ支持用トランスファロッド(試料搬送棒)と物理的かつ電気的に着脱できる形状にした。また、真空度、雰囲気ガス制御については、試料搬送室に可搬型真空排気ポンプとパージガス用高純度化装置を設けた。
【0009】TEMに挿入可能な極めて薄型の2軸傾斜試料ホルダ用加熱ヒータとしては、CVDで作製した薄型ヒータを用いた。またヒータを載せる試料台および試料傾斜機構の形状を熱伝導を最小限に抑えたものとし、かつヒータ通電加熱用電流導入線と試料傾斜機構を兼用する構造にした。
【0010】
【作用】試料搬送装置に各種環境制御手段を設け、例えば試料ホルダ上に加熱ヒータ、冷却素子、コイル、等を設置し、搬送中に通電可能な形状とすることなどにより、処理装置間で連続的に自由に環境制御しながら試料搬送可能となる。試料ホルダ自身に加熱、冷却機構を備えていることにより、試料搬送用チャンバを複数の成膜装置、評価装置等の処理装置と連結した時にも試料の加熱成長および熱処理が可能となるばかりでなく、成膜、搬送、評価、加工、保管等の全ての工程に渡り、様々な処理装置において温度制御を連続的に行なうことが可能となり、ヒートサイクルによる試料の変質を抑えることが可能となる。また試料搬送用チャンバの真空排気系としてバッテリー式のイオンポンプを備えることにより、超高真空環境を処理装置間で維持することが可能となり、かつ数時間以上の長距離搬送に対応できる。またパージガス用高純度化装置を備えることにより、試料搬送用チャンバに導入する不活性ガス中の不純物濃度をpptオーダ以下に低減可能となる。
【0011】次に特にTEM用試料ホルダの本発明による作用を示す。試料加熱ヒータとしてCVDヒータを使用することにより、高分解能像観察対応の対物レンズの上極と下極のギャップに挿入、かつ傾斜可能な形状に薄くできる。試料台と試料傾斜機構の構造は、試料加熱時のバネ材の温度を耐熱温度以下に抑える効果を持ち、試料傾斜と高温試料加熱の両立を可能にする。
【0012】試料傾斜機構と兼用したヒータ通電加熱用電流導入機構とヒータ抵抗値を用いた温度制御回路は、従来の試料加熱ホルダで用いられていたヒータ通電用電流導入線と熱電対を不要とするため、ヒータを載せた試料台周辺の配線を大幅に減少でき、熱伝導によるヒータ温度低下の防止とスムーズな2軸傾斜動作と試料ホルダとホルダ支持用トランスファロッドの着脱を可能とする。試料ホルダとホルダ支持用トランスファロッドの物理的、電気的着脱を可能にしたことは、外部振動の伝播によるTEM像分解能の低下を防止するばかりでなく、TEM以外の処理装置の試料ホルダとの互換性を確保する。
【0013】
【実施例】(実施例1)以下、本発明の実施例を説明する。図1は本発明の一実施例を示す試料搬送装置の基本構成図である。本実施例においては処理装置として成膜装置(スパッタ装置)と評価装置(TEM)を取り上げた。また制御する環境としては試料温度を取り上げた。試料搬送装置は、試料ホルダ本体1、トランスファロッド9、チャック10、トランスファチャンバ23、バッテリー、または太陽電池駆動の可搬型イオンポンプ24、液体窒素シュラウド(shroud)25、チャンバ電流導入端子26、リード線27、リード線を巻き取るためのリール28、中間排気室30、ゲートバルブ31から構成されている。前記構成部品は図8に示す台車53および架台54に搭載される。トランスファチャンバ23と成膜装置29あるいは評価装置は、成膜装置29あるいは評価装置側のゲートバルブ32と中間排気室30の間で連結される。中間排気室30は連結部にコンフラットフランジを備えており、該フランジ径はゲートバルブ32の径に合わせて変換される。中間排気室30は高速排気を可能とするためできる限り小体積なものとし、ここにターボ分子ポンプ等の排気容量の大きい粗引きポンプを接続する。トランスファロッド9により試料ホルダ本体1をトランスファチャンバ23と成膜装置29あるいは評価装置との間で移動させる。またトランスファロッド9の先端にあるチャック10により、試料ホルダ本体1とトランスファロッド9との物理的かつ電気的着脱を行なう。チャンバ電流導入端子26は外部温度制御回路と接続され、試料ホルダ本体1に設置される試料加熱用ヒータ或いは冷却用素子に通電される。バッテリー駆動の可搬型イオンポンプ24と液体窒素シュラウド25は、試料搬送装置を成膜装置29あるいは評価装置と連結している時、および成膜装置29と評価装置間で移動している時のトランスファチャンバ23内の真空排気を行なう。
【0014】試料ホルダ及びトランスファロッドとの接続部の詳細を、図2と図3にそれぞれ断面図と平面図で示す。試料は試料台6上に固定される。この試料ホルダは2軸傾斜機構および試料温度制御手段を持つ。2軸傾斜機構では、試料台6が試料台軸周りと、それに直交する軸周りに回転することによって2軸傾斜が成される。先ず、試料台軸周りの傾斜動作を以下に示す。試料ホルダ本体1には、軸2とそれに連動したバネ3及び傾斜板4が付けられており、軸受け5を矢印A方向に押すと、軸2と傾斜板4が軸受け5に押され、バネ3が伸びる。試料およびヒータを載せる試料台6が傾斜板4と接触する部分は曲率を持っており、傾斜板4が軸2と共に矢印Aの方向に押されると試料台6は矢印B方向に回転し傾斜する。この時試料台6は、傾斜用バネ7の弾性力を受けている試料台押さえ8によって下側から矢印Bの逆方向への復元力を受ける。そこで、軸受け5を試料ホルダ本体1から離すと、つまり矢印Aの逆方向に動かすと、バネ3により傾斜板4が矢印Aの逆方向に引っ張られ、試料台押さえ8により試料台6の傾斜が元に戻る。もう1つの前記とは直交する軸方向の傾斜は、ピン11を図3の紙面に垂直方向に押して試料ホルダ本体1を回転することにより成される。前記2軸傾斜機構のうち、試料台6、傾斜用バネ7、試料台押さえ8は、後述のように試料台6上に固定されるヒータへの温度制御用電流導入機構と兼用されるので、従来の試料加熱ホルダで用いられたような電流導入線は無い。従って、試料台6のスムーズな傾斜動作が可能である。
【0015】試料ホルダ本体1とトランスファロッド9の着脱は以下のように成される。装着時は、トランスファロッド9の先端に付けられたチャック10を試料ホルダ本体1に、溝12とピン11を合わせるように挿入し、次にトランスファロッド9を矢印C方向に回転させてピン11を溝12のL字部分に噛ませる。脱離時は、前記とは逆の操作を行なう。この着脱操作によって試料ホルダを種々の評価装置あるいは成膜装置の試料室への出し入れする。従来のTEM用サイドエントリー型の試料加熱ホルダとは異なり、試料ホルダをトランスファロッド9から切り離して試料室に置いてくることができる。これによって、特に評価装置がTEMである場合に、トランスファロッド9を媒体として外部から伝播する振動を防ぐことができるので、原子レベルでの高分解能像観察が可能となる。振動が問題とならない評価装置あるいは成膜装置の場合は、上記操作なしに、試料ホルダ本体1とトランスファロッド9を接続したまま評価および成膜に供することもできる。特に成膜、評価プロセスで一貫して試料の温度制御を行なう際は、試料ホルダ本体1とトランスファロッド9を接続したまま試料温度制御手段を用いる。
【0016】図4に加熱ヒータによる試料温度制御を行なう場合の試料ホルダ本体1内に設置する試料台6の詳細を示す。外形が5mm角程度の大きさで、中央に約1mm径の穴があり、さらに溝13が切られている。該溝13は加熱ヒータ台14から試料台6への熱伝導を抑え、ヒータの温度低下および傾斜用バネ7の温度上昇を低減する。これによって、1000℃以上の試料高温加熱と、バネ材を耐熱温度(〜300℃)以下に抑えることが同時に可能となる。図5に加熱ヒータ15の構造を示す。外径約3mmで、中心には評価用のプローブ例えば電子線を通過させるための約1mm径の穴があいている。加熱ヒータ15を加熱ヒータ台14上に固定するときは、この穴と試料台6の穴を合わせる。ヒータの構成は、例えばPBN(パイロリティックボロンナイトライド)のヒータ基板16上に数十μm厚さのPG(パイロリティックグラファイト)のヒータ線17をCVD(Chemical Vapor Deposition)で形成し、さらにその上を数十μm厚さのPBNのCVD膜で覆ったものとする。但し、ヒータ線の終端部18,19はPGを露出させておき、電極として用いる。ヒータ線17の形は、ここを流れる電流によって磁場を発生しないように(評価用プローブに対する磁場の影響が無いように)無誘導巻きにする。ヒータ自身は2000℃以上の加熱が可能である。ヒータ基板16の材料としては絶縁性、耐熱性、低熱膨張性が、ヒータ線17の材料としては高融点性、低抵抗性、低熱膨張性が満足される他の材料でも良いが、ヒータ厚さを薄くできることが重要である。上記の例の場合は、ヒータ厚さを0.4mm以下にできるので、該ヒータを試料台6に載せ更にカバーを被せたとしても、全体厚さを2mm以下にできる。これによって、試料ホルダがTEM観察に供される場合でも、高分解能用対物レンズのギャップに挿入でき、かつ数十度の試料傾斜が可能である。
【0017】試料台6は、この上に冷却用素子、例えばペルティエ素子を設置する際も同型のものが使用可能である。この場合は溝13により、試料台6から加熱ヒータ台14への熱伝導が抑さえられ、冷却用素子の温度上昇を防ぐことが可能となる。
【0018】次に、上記加熱ホルダ用ヒータへの加熱用電流導入法について図1、2、3、および6により説明する。図6は、加熱ヒータ15が加熱ヒータ台14上に固定され、さらに試料台押さえ8がヒータの終端部19と接している状態を示す。ヒータへの通電は、電極となる終端部18、19から行なうが、それらへの通電は以下に示す電流導入機構により行なう。先ず、終端部18をリード線あるいはヒータを覆う金属性カバーを用いて試料台6と電気的に導通させる。試料台6は試料ホルダ本体1、チャック10、トランスファロッド9を介して接地されている。もう片方の終端部19は試料台6と電気的に絶縁されており、試料台押さえ8とのみ導通している。さらに該試料台押さえ8は図2に示すように、軸22を介して傾斜用バネ7と導通しており、該傾斜用バネ7はホルダ電流導入端子21と導通している。軸22とホルダ電流導入端子21は試料ホルダ本体1と絶縁されている。上述したように、これらの電流導入機構は2軸傾斜機構と兼用されている。ホルダ電流導入端子21はチャック10内に絶縁して固定されている単芯コネクタ20と接続され、該単芯コネクタ20は図1に示すようにリード線27によってチャンバ電流導入端子26と導通している。結果として、終端部18はトランスファチャンバ23のアースと、終端部19はチャンバ電流導入端子26と導通している。従って、ヒータの温度制御回路はアースとチャンバ電流導入端子26に接続される。上記電流導入機構は、ヒータへの外部からの配線を従来の2本から1本に削減し、試料ホルダとトランスファロッドの電気的着脱を単芯コネクタ20の1本で可能にしている。これは上述の試料ホルダとトランスファロッドの物理的着脱操作で示した図3の矢印C方向の回転操作を可能にする効果もある。
【0019】試料冷却用ホルダでも同様の機構が使用可能であり、図5に示したヒータの代わりにペルティエ素子を加熱ヒータ台14上に固定する。この場合も素子への通電は傾斜機構と兼用した単芯電流導入機構により行なう。
【0020】次に、ヒータ温度の計測と制御法を説明する。図7にヒータ温度制御回路の構成図を示す。端子34の間は前記電流導入機構によって接続されている。加熱ヒータ33には電源35から電流を供給し加熱する。この時電流計36、及び電圧計37によって加熱ヒータ33に印加されている電流値と電圧値をディジタルで読みだし、演算回路38により電圧値を電流値で除算してヒータ抵抗値に変換する。ヒータの抵抗値は温度依存性を持つので、あらかじめヒータの抵抗値と温度の関係を調べておけば、上記ヒータ抵抗の測定値からヒータ温度を知ることができる。演算器39には上記ヒータの抵抗値と温度の関係がデータとして記録されており、該データと演算回路38から得られるヒータ抵抗値を比較して、その時のヒータ温度を表示する。さらに演算器39はヒータ温度を所望の値に制御する機能を持ち、該制御は以下のように行なわれる。演算器39には所望のヒータ設定温度が入力されており、上記の方法で得られた測定温度と比較して不足ならばヒータ電流の増加を、過剰ならば減少を指示する信号を電源35に与える。電源35は該信号に応じた電流を出力する。この操作は、設定温度と測定温度が等しくなるまで繰り返される。上記のヒータ温度計測および制御法に依れば、従来用いられていた熱電対を試料台上のヒータに設置する必要が無くなるため、熱電対を媒体とした熱伝導によるヒータ温度の低下、および試料台のスムーズな2軸傾斜動作に対する支障を解消できる。
【0021】以上の試料ホルダ構造によって、評価装置あるいは成膜装置等種々の処理装置への挿入、および1000℃以上の試料高温加熱、-50℃以下の試料冷却と数十度の2軸傾斜の両立が可能となり、成膜時だけでなく、搬送、評価に至る工程全般の連続的な試料温度制御を行ないながら、その多角的かつ任意方向からの評価を行なうことが可能となる。
【0022】以下に本発明の試料搬送装置を用いた薄膜試料の作製と該試料の微細構造をTEM観察する手順を図1を用いて説明する。試料ホルダ本体1の試料台上には、あらかじめ電子線が十分に透過する厚さの薄い基板または支持膜を固定した後にトランスファチャンバ23内に格納し、ゲートバルブ31を閉じた状態で可搬型イオンポンプ24により10-8Paオーダー以上のの超高真空状態にしておく。ここで、試料ホルダの加熱ヒータを用いた熱処理により、基板または支持膜の表面をクリーニングすることや、非晶質化している表面を再結晶化することなどの表面状態の制御を必要に応じて行なう。こうした準備の後、試料搬送装置と成膜装置29を連結する。この際に、中間排気室30のコンフラットフランジ径を成膜装置29のゲートバルブ32の径と合うように変換しておく。連結後、中間排気室30を排気容量の大きなターボ分子ポンプ等で高速排気し、成膜装置29あるいはトランスファチャンバ23の真空度との差が一桁以下になったら、ゲートバルブ31、32を開け、試料ホルダ本体1をトランスファロッド9により成膜装置29の試料室に挿入する。この時、リール28に巻き取られていたリード線27が一緒に延びていく。成膜装置29内では、試料ホルダ上の試料基板、又は支持膜上に直接成膜する。図1では成膜装置29がスパッタ装置である場合の例を示してあり、Arイオンビームでスパッタされたターゲット材の薄膜試料が成長する。試料を加熱成長するときには、ヒータ温度制御回路によって試料ホルダのヒータ温度を成長温度に設定しておく。成膜終了後は直ちに試料ホルダ本体1をトランスファチャンバ23内に格納し、ゲートバルブ31、32を閉じ、中間排気室30を真空リークして試料搬送装置と成膜装置29を切り離す。そしてトランスファチャンバ23内をバッテリー式の可搬型イオンポンプ24で真空排気しながら評価装置であるTEMまで台車により搬送する。
【0023】試料搬送装置とTEMとの連結は上記成膜装置の場合と同様に、TEMの試料室に設けられたゲートバルブと中間排気室30のコンフラットフランジ間で行なう。中間排気室30を高速排気した後、トランスファロッド9により試料ホルダをTEM試料室に挿入する。ここで、試料の高分解能TEM像を観察するときは試料ホルダとトランスファロッド9を切り離すが、外部振動の伝達が問題とならない像観察の場合は切り離さなくとも良い。後者の場合には、TEM像を観察しながら試料加熱できるので、加熱による試料構造の変化たえば結晶粒子成長、表面原子のマイグレーション(migration)、結晶欠陥の生成消滅などをその場動的観察できる。また低温成長させる試料については、成長後常温に戻すと欠陥の生成、蒸発などを伴うことがある。この場合、試料ホルダ上の試料冷却機構を用い、成膜から評価まで連続的に低温状態を保持することにより、初めて作製時のままの状態で試料観察が可能となる。
【0024】試料を傾斜して観察する場合、例えば種々の結晶方位から観察して転位のバーガースベクトルを決定したり、ステレオ像を観察する際には、試料ホルダの2軸傾斜機構とTEM試料室の試料ステージに組み込まれた傾斜駆動機構により試料を傾斜して、試料に対する電子線の入射方向を変える。
【0025】上記の方法により、成膜装置29で作製した試料を大気に曝すことなく、汚染や酸化などの変質をさせずにTEMまで搬送し、原子レベルの観察に供することができる。さらにTEMの分析機能であるエネルギー分散型X線分光法や電子エネルギー損失分光法を用いれば、元素組成や結合状態の評価も可能である。
【0026】(実施例2)本発明を用いた試料搬送の他の実施例を以下に示す。ここでは真空度制御手段、雰囲気ガス導入手段、不純物吸脱着制御手段を用いた環境制御を行なうこととする。実施例1では試料搬送を真空状態で行なうことにより試料の汚染や変質を防いだが、本実施例では、超高純度の不活性ガス雰囲気で搬送することにより、同様の効果を得る。図10に本実施例で用いるガスパージ方式の試料搬送装置を示す。実施例1のトランスファチャンバと同様、中間室排気室30のコンフラットフランジ部で成膜装置側のゲートバルブ32と連結される。また、図には示されていないが2軸傾斜機構および試料加熱機構付きの試料ホルダがトランスファロッド9の先端において着脱される。
【0027】パージガスで10-8Pa台の超高真空に匹敵する不純物分圧の状態を達成するためには、pptオーダのガスを準備する必要がある。そのためのガス導入系とその動作について以下に説明する。パージ用トランスファチャンバ55には、アルゴン、ヘリウム、フッ素など搬送する試料に適した雰囲気ガスのガスボンベ57を接続し、ゲートバルブ56の開閉によりガスを導入する。ここでガス中に含まれる水や炭酸ガスなどの多量の不純物を前段吸着機構58、例えばモレキュラーシーブで吸収し、更にここで吸収できないメタン等の少量の不純物を後段吸着機構59、例えばチタン合金ゲッタやケミカルフィルタで吸収する。この工程により不純物吸脱着量を制御し、pptオーダの超高純度パージガスを作製することができる。これをパージ用トランスファチャンバ55に導入する。さらにゲートバルブ56をバリアブルリークバルブのような流量調節可能なバルブを用いることで、パージ用トランスファチャンバ55内のパージガス分圧を制御することが可能である。
【0028】パージ用トランスファチャンバ55や配管等の材質および内面処理にも超高純度パージガスを得るための以下のような配慮をする。例えば電解研磨処理したSUS316L−EPやアルミニウムは脱ガスも極めて少なく、材質として適当である。またSUS316を酸化不動態処理(パッシベーション処理)する方法も脱ガスの抑制、吸着分子の低減のために極めて有効である。アルミニウム製のチャンバでは、チャンバ内にヒータ60を設置することで、チャンバ全体が均一な温度でベーキングすることができ、脱ガスでチャンバの真空度が劣化した際に有効である。チャンバベーキングには、排気しながら行なう方法と、不活性ガスを流しながら行なう方法とが考えられ、チャンバの形状や吸着したガスの種類により使い分けられる。更にゲートバルブ31、32、56はダイアフラムバルブのような真空内部の表面積の小さく、脱ガスの少ないバルブを用いるか、ベーキング可能なオールメタルバルブを用いる。また、パージ用トランスファチャンバ55を搬送後成膜装置や評価装置に接続する際、中間排気室30をターボ分子ポンプ61やロータリーポンプ62で排気するが、これらポンプにはオイルが使用されており、ゲートバルブ31を開いたとき、このオイルが逆流してパージ用トランスファチャンバ55内が汚染される恐れがある。従って中間排気室30とターボ分子ポンプ61の間にもモレキュラーシーブ等のトラップ63を備える。
【0029】チャンバに導入したガスの純度をモニタするために、中間排気室30に高感度不純物検出器64を設置する。特にpptオーダの微量ガス定量分析のためには大気圧質量分析計(API−MS)が極めて有効である。このような高感度のモニタを備え、このデータに基づいて排気、ガス流量調節バルブにフィードバックをかけることにより、真空度、パージガス分圧を制御し、初めて内部環境を自由に制御可能となるということができる。
【0030】(実施例3)以下に本発明において電磁場制御手段を用いた環境制御例を示す。パーマロイ薄膜に代表される磁性体において、成膜時に数十ガウスの磁場を印加することにより、薄膜に磁気異方性を持たせる。この磁気異方性はその後の試料に対する処理、特に高温処理により次第に失われていく。薄膜の磁気情報を評価する装置として、例えばスピン偏極走査電子顕微鏡があるが、従来の試料処理方法では正しい評価が不可能であった。従って試料ホルダ上に微小なコイルを設置し、各種処理工程中絶えず薄膜に作製時と同様の磁場を印化しつづけるようにする。図11にその1例としてスピン偏極走査電子顕微鏡用試料ホルダ構成を示す。このホルダは、図3に示したTEM用ホルダの試料台6周りを変更したものである。従って試料の2軸傾斜観察が可能である。試料は試料設置台66に固定する。そしてこの両側にコイル65を設置し、試料に磁場を印化する。本ホルダを用いることで成膜時のままの磁気情報を保存したまま試料を搬送可能となる。
【0031】(実施例4)以下に本発明において放射線量制御手段を用いた環境制御例を示す。硝酸銀に代表される感光材試料の化学分析を行なう際は、試料作製後遮光だけでなく、宇宙線を初め自然放射線に対するシールドをする必要がある。また遺伝子などに代表される生体試料は同様に自然放射線によりその構造が変化してしまうためシールドが必要となる。このため試料ホルダを鉛や透磁率の大きい金属等で囲み、試料搬送を行なう。図12に実施例を示す。ここでは図1に示したトランスファチャンバ23の後段に、厚い鉛で囲んだシールドチャンバ67を接続してある。試料搬送時はトランスファロッド9により試料ホルダをシールドチャンバ67内に格納する。この試料の場合は試料作製装置、評価装置共に同様のシールドが必要である。また試料作製装置、評価装置、搬送装置間での試料の移動時間が十分に短い場合は必要ないが、そうでない場合や、微小な試料構造変化さえ許されない高精度な実験を行なう際は、トランスファチャンバ23やゲートバルブ31を初め、試料の通過する配管部などはすべて高透磁率材料等で作製するものとする。
【0032】(実施例5)本発明を複数の成膜装置および評価装置との間の環境制御、試料搬送に用いた場合の実施例を以下に示す。実施例1で示したスパッタ装置以外の成膜装置およびTEM以外の評価装置にも本発明を適用することにより、種々の成膜法で作製した多層構造試料に対し多角的な評価が可能となる。例えば図8に示したようにスパッタ装置41、MOCVD装置42、MBE装置43で作製した多層構造試料を、試料搬送装置40により搬送する。該試料搬送装置40には試料搬送装置本体を移動するための台車53および前記試料搬送装置本体を上下及び左右方向に微動可能な架台54を備えている。台車53には振動を押さえるために振動制御手段、例えば空気入りタイヤを備えることにより、試料搬送中における試料の破壊を防ぐ。また作製した試料が固化しやすい場合は、撹拌装置を振動制御手段として用い、作製時にままの試料状態を工程全般に渡り維持することが可能である。
【0033】また、微動可能な架台54により、試料搬送装置本体の連結部を種々の成膜装置および評価装置の試料室ゲートバルブの位置に合わせることができるので、連結操作を容易にかつ短時間で実行できる。
【0034】試料を評価装置まで搬送し、先ず結晶構造をTEM44で調べた後、他評価装置45例えば2次イオン質量分析装置やオージェ電子分光装置に搬送し、同一試料の組成分析や状態分析を行なう。上記の搬送工程は超高真空あるいは超高純度ガスパージ状態で行なわれるため、例えば従来の大気中で試料を搬送する方法では表面層の変質により不可能だった数オングストローム深さの極表面の不純物分析や状態分析が可能となる。また、実施例1で示した試料加熱ホルダを用いて試料加熱しながら上記分析を行なうことにより、不純物元素の熱拡散、熱酸化膜形成等をその場動的観察することも可能である。
【0035】(実施例6)本発明をSi-ULSI等の真空一貫プロセスラインに適用した場合の実施例を図9を用いて以下に示す。試料であるSiウエハは、ウエハテスト室46、ウエハ前処理室47、薄膜形成室48、不純物導入室49、パターン形成室50から成る真空一貫プロセスラインで各プロセスを受けることにより、DRAM、BiCMOS等のデバイスの形態に加工される。前記各プロセス室におけるプロセス条件の仕様からのずれ、あるいはプロセス不良発生の有無をチェックすることは、最終的なデバイス形態での不良を未然に防ぐために必要不可欠である。各プロセスにおけるウエハ状態を正確に評価するために、本発明の試料搬送装置を以下のように用いる。各プロセス室には試料搬送装置40が接続する共通ポートを設けておき、該ポートからウエハを抜き取る。この時、試料搬送装置のトランスファロッドの先端には、実施例1で用いた2軸傾斜試料加熱ホルダではなく、Siウエハ対応の試料ホルダを設置しておく。次に、試料搬送装置で評価装置52へ搬送する。場合によっては試料をウエハ加工装置51に搬送し、劈開やイオンシニング等によってウエハを評価可能な形状に加工できるものとする。これは装置によっては規格の大きさのウエハを挿入することができないことがあるからである。またTEMでは、ウエハ状態では厚すぎて観察できないのでイオンシニングによって薄膜化する必要があることもある。また試料薄膜の積層構造を走査電子顕微鏡(SEM)やオージェ電子分光装置で分析する場合には、ウエハの断面を劈開により作り、観察する。評価装置がTEMである場合には、ウエハ加工装置51内に備えられたマニピュレータによって、加工された試料をSiウエハ対応の試料ホルダから実施例1で用いた2軸傾斜試料加熱ホルダに載せ替える。但しこうしたウエハ加工工程を経ることにより、一部の環境を連続的に維持することができなくなることもあり得るが、なお他の環境は維持可能である。上記加工や試料の載せ替えが不要な場合は、ウエハ加工装置51を経由せず直接評価装置52へ搬送する。
【0036】上記の一連の処理装置における処理を終了した後、ウエハを試料保管装置としてのウエハ保管装置68に格納し、搬送時の環境制御を引き続き継続し保管する。従ってウエハ保管装置68には、ヒータや排気装置、シールド等を必要に応じて具備させることにする。
【0037】上記の試料搬送により、例えばウエハテストおよびウエハ前処理プロセスにおけるウエハ表面汚染の光電子分光分析、薄膜形成およびパターン形成プロセスにおける膜厚、パターン寸法、結晶構造のTEM観察、不純物導入プロセスにおける不純物元素深さ方向分布の2次イオン質量分析等の各プロセスにおけるオンライン評価が可能となる。ここでのオンラインとは、試料を作製時のままの状態で極めて迅速に評価するという意味に他ならない。これは本発明の環境制御手段をもった試料搬送装置によって初めて得られるものである。
【0038】また、図9に示した真空一貫プロセスラインが複数個独立に配列した大規模ラインにおいては、本発明を各プロセスライン間の環境制御ウエハ搬送装置として用いることもできる。
【0039】
【発明の効果】本発明を用いることにより、真空度、温度等の環境を制御しながら目的の試料を複数の処理装置間で搬送可能となる。更に例えばスパッタ、CVD、MBE等の各種の成膜装置で作製した試料における、結晶構造、元素組成、結合状態などを作製直後の状態を保ったまま、その場動的に透過電子顕微鏡、2次イオン質量分析装置、光電子分光装置等の各種の評価装置により多角的に分析することができる。さらに、本発明は各種のプロセス装置および評価装置にフレキシブルに連結可能なので、Si-ULSIを始めとする製品デバイスの作製プロセスラインにおけるプロセス条件のオンライン検査に用いることもできる。




 

 


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