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発明の名称 薄膜多層回路の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−216527
公開日 平成6年(1994)8月5日
出願番号 特願平5−7155
出願日 平成5年(1993)1月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 明夫 (外1名)
発明者 松崎 永二 / 池田 省二 / 櫻井 顕子 / 赤松 史郎 / 松山 治彦
要約 目的
特殊な工程増加を伴わずに、一般的な薄膜技術の組み合わせよって、上層電気配線と下層電気配線との接続信頼性にすぐれ、スルーホール部での表面凹凸を低減できる薄膜多層回路の製造方法を提供する。

構成
下層電気配線2と上層電気配線5とを接続する薄膜導体層3パターンを前記下層電気配線2上に形成し、薄膜導体層3パターンと下層電気配線2とを被覆するように層間絶縁層4を形成し、薄膜導体層3によって盛り上がった層間絶縁層の凸部4aを除去するように、薄膜導体層3パターンとほぼ同じ大きさのコンタクトスルーホールを設け、次いで、前記層間絶縁層4上に上層電気配線5を形成するという各工程からなる。下層電気配線2の清浄な面で薄膜導体層3との接続を行い、平坦化された表面で上層電気配線5と薄膜導体層3との接続を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】下地基板上に、下層電気配線,層間絶縁層,上層電気配線を形成し、前記下層電気配線,上層電気配線間を薄膜導体層にて接続する薄膜多層回路の製造方法において、前記下層電気配線と前記上層電気配線とを接続する薄膜導体層パターンを前記下層電気配線上に形成し、次いで、前記薄膜導体層パターンと前記下層電気配線とを被覆するように層間絶縁層を形成し、次いで、前記薄膜導体層パターンとほぼ同じ大きさのスルーホールを前記薄膜導体層パターンと重なるように前記層間絶縁層に設け、次いで、前記層間絶縁層上に上層電気配線を形成する、ことを特徴とする薄膜多層回路の製造方法。
【請求項2】 薄膜導体層パターンと下層電気配線とを被覆する層間絶縁層に、前記薄膜導体層パターンにより周囲より盛り上がった凸部を形成し、この凸部を除去してコンタクトスルーホールを設けることを特徴とする請求項1記載の薄膜多層回路の製造方法。
【請求項3】 層間絶縁層の膜厚を、下層電気配線と上層電気配線とを接続する薄膜導体層の膜厚を中心に、前記上層電気配線の膜厚の1/2の大きさだけ増減する範囲内に定めたことを特徴とする請求項1または2記載のいずれかの薄膜多層回路の製造方法。
【請求項4】 下層電気配線と上層電気配線とを接続する薄膜導体層パターンを形成し、次いで下層電気配線パターンを形成することを特徴とする請求項1ないし3記載のいずれかの薄膜多層回路の製造方法。
【請求項5】 下層電気配線と上層電気配線とを接続する薄膜導体層を、銅あるいは銅と他の導体材料とからなる多層構造としたことを特徴とする請求項1ないし4記載のいずれかの薄膜多層回路の製造方法。
【請求項6】 下層電気配線と上層電気配線とを接続する薄膜導体層における、前記上層電気回路と接触する面に銅を露出させ、当該薄膜導体層と前記上層電気配線との接続をなすことを特徴とする請求項5記載の薄膜多層回路の製造方法。
【請求項7】 下層電気配線を構成する薄膜材料を、銅あるいは銅と他の導体材料からなる多層構造としたとを特徴とする請求項1ないし6記載のいずれかの薄膜多層回路の製造方法。
【請求項8】 層間絶縁層を2層構造とし、下層電気配線の少なくとも周囲を当該下層電気配線に接触する下層絶縁層により被覆することを特徴とする請求項1ないし7記載のいずれかの薄膜多層回路の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜多層回路の製造方法に係り、特に、上層電気配線と下層電気配線とを接続するコンタクトするーホール部(ビアホール部)の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子計算機や通信機器の分野では、高速化,高集積化の要求が高まり、超高速の集積回路チップを直接搭載させるための多層配線基板の開発が進められている。この多層回路基板には、セラミック基板上に多層に導体パターンを高密度で設けた薄膜多層回路が形成されることが多くなっている。薄膜多層回路の従来技術を図8および図9を参照して説明する。まず、図8は、従来の薄膜多層回路基板の断面図である。
【0003】図8に示す薄膜多層回路基板の例では、下地基板1A上に下層電気配線2Aが形成され、この下層電気配線2A上に層間絶縁層4Aが形成され、層間絶縁層4A中に設けたスルーホール39を介して上層電気配線5Aと下層電気配線2Aとの電気的接続を行なっている。このような技術は、例えば、アイ・エス・エイチ・エム´89プロシーディング,1989(1989年)第256頁から261頁(ISHM´89 Proceedings 1989(1989)pp256−261)において論じられている。
【0004】薄膜多層回路の他の従来例を図9に示す。図9は、従来の薄膜多層回路基板の製造方法の各工程(a,b,c)を示す断面図である。この例はビアホール部の平坦化に留意したもので、基本的な製造工程は図9(a),(b),(c)に示す次の工程である。
(a)下地基板1A上に下層電気配線2を形成し、下層電気配線2上にビアスタッド3A(上層電気配線と下層電気配線とを接続する導体層)を形成する。
(b)次いで、ポリイミド樹脂等からなる層間絶縁層4を形成する。この場合、表面が平坦になるように、ポリイミド膜の膜厚を十分大きくする。
(c)ポリイミド樹脂等からなる層間絶縁層4を研磨によりエッチバックし、ビアスタッド3Aを表面に露出させる。
【0005】このような薄膜多層回路の平坦化技術の一般的な方法は、例えば、「応用物理」,54(1985年)第677頁から681頁において論じられている。また、具体的な製造方法については、例えば、特開平4−23390号公報記載の技術が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図8に示した従来例では、層間絶縁層4Aの中にスルーホール39を設けて上層電気配線5Aと下層電気配線2Aとの電気的接続をとるため、スルーホール39部での表面凹凸が発生する。また、下層電気配線2A上の絶縁物(層間絶縁層やレジスト)の除去が不完全であったり、上層電気配線5Aを構成する薄膜層のスルーホール39内部の被覆が不完全であったりすると、上層電気配線5Aと下層電気配線2Aとの間に大きな抵抗が発生したり、断線する危険性があった。
【0007】図9に示した従来例では、図8の従来例の場合に考えられる上記問題については考慮されており、特に、電気配線層,層間絶縁層の膜厚が大きい場合に有効であるといえる。しかし、表面平坦化のために採用される研磨工程で傷や薄膜層の破壊が発生し、ビアスタッド3Aを構成する導体材料が層間絶縁層4の中に入り込んでしまうなどの問題があった。その上、ビアスタッド3Aの表面と層間絶縁層4とを同時に研磨するため、ビアスタッド3Aの表面が汚れ、上層電気回路との接続に問題が発生する危険性もある。また、基本的に配線層や層間絶縁層の膜厚が大きい場合を対象とするため、製造工程数が増大し、製造時間が長くなるプロセスとなっている。これらは例えば、層間絶縁層の膜厚が20マイクロメートル以下で、配線層の膜厚が10マイクロメートル以下の薄膜多層回路基板を製造する上では必ずしも有利ではない。
【0008】以上述べてきたように、図8に示した従来技術では、一般的な薄膜技術を利用できるが、スルーホール39部での表面凹凸や配線の層間接続に問題が発生し、一方、図9に示した従来技術では、研磨工程などエッチバックするための特殊な工程が増加するという問題があった。
【0009】本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたもので、特殊な工程増加を伴わずに、一般的な薄膜技術の組み合わせよって、上層電気配線と下層電気配線との接続信頼性にすぐれ、スルーホール部での表面凹凸を低減できる薄膜多層回路の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る薄膜多層回路の製造方法の構成は、下地基板上に、下層電気配線,層間絶縁層,上層電気配線を形成し、前記下層電気配線,上層電気配線間を薄膜導体層にて接続する薄膜多層回路の製造方法において、前記下層電気配線と前記上層電気配線とを接続する薄膜導体層パターンを前記下層電気配線上に形成し(工程1)、次いで、前記薄膜導体層パターンと前記下層電気配線とを被覆するように層間絶縁層を形成し(工程2)、次いで、前記薄膜導体層パターンとほぼ同じ大きさのスルーホールを前記薄膜導体層パターンと重なるように前記層間絶縁層に設け(工程3)、次いで、前記層間絶縁層上に上層電気配線を形成する(工程4)ようにしたものである。
【0011】より詳しくは次のとおりである。薄膜導体層パターンと下層電気配線とを被覆する層間絶縁層に、前記薄膜導体層パターンにより周囲より盛り上がった凸部を形成し、この凸部を除去してコンタクトスルーホールを設けるようにしたものである。また、上記薄膜多層回路の製造方法において、層間絶縁層の膜厚を、下層電気配線と上層電気配線とを接続する薄膜導体層の膜厚を中心に、上層電気配線の膜厚の1/2の大きさだけ増減する範囲内に定めたものである。
【0012】さらに、薄膜多層回路の製造方法において、下層電気配線と上層電気配線とを接続する薄膜導体層を、銅あるいは銅と他の導体材料とからなる多層構造とし、当該薄膜導体層における前記上層電気回路と接触する面に銅を露出させ、当該薄膜導体層と前記上層電気配線との接続をなすようにしたものである。
【0013】さらに、下層電気配線を構成する薄膜材料を、銅あるいは銅と他の導体材料からなる多層構造としたものである。またさらに、層間絶縁層を2層構造とし、下層電気配線の少なくとも周囲を当該下層電気配線に接触する下層絶縁層により被覆するようにしたものである。
【0014】なお付記すれば、次のとおりである。上記目的を達成するためには、層間絶縁層の膜厚を前記薄膜導体層の膜厚と同等にすることが望ましいが、前記薄膜導体層と前記層間絶縁層との間にできる段差を上層電気配線を構成する薄膜層により確実に被覆できる範囲内に抑えれば良い。さらに、前記薄膜導体層より前記層間絶縁層が突起して段差が大きくなった場合、上記(工程3)のスルーホールを形成するためのエッチング時間を長くすることが有効である。また、平坦化効果の有するポリイミド樹脂等の有機絶縁膜を層間絶縁層に用いると、スルーホール開口後に発生する層間絶縁層との段差が小さくなる効果が得られる。
【0015】
【作用】図10を参照して本発明における薄膜多層回路の平坦化の原理を説明する。図10は、本発明に係る薄膜多層回路基板の製造方法の各工程(a,b,c)を示す断面図で、平坦化の原理を説明するものである。図10において、1は、下地基板に係る第1絶縁層、2は下層電気配線、3は、下層電気配線2と上層電気配線とを接続する薄膜導体層、4は層間絶縁層、101はフォトレジストパターン、200はエッチング面である。
【0016】前記(工程2)を終了した薄膜多層回路基板の断面の一部を図10(a)に示す。すなわち、図10(a)に示すように、層間絶縁層4は、前記薄膜導体層3のパターン上で盛り上がった断面形状となる。そこで、図10(b)に示すように、薄膜導体層3のパターン上の盛り上がった層間絶縁層4を除去するためのフォトレジストパターン101を層間絶縁層4上に形成する。次に、このフォトレジストパターン101のエッチング(ウェットエッチングでもドライエッチングでも差支えない)を行うと、エッチングはほぼ等方的に進み、エッチング面200は破線に示すようになる。
【0017】フォトレジストを除去すると図10(c)のようになる。すなわち、下層電気配線と上層電気配線とを接続するための前記薄膜導体層3パターン上の表面凹凸が低減され、平坦化されたことがわかる。また、層間絶縁層3のオーバーエッチング量を増加させるに従って層間絶縁層4は薄膜導体層3パターンに比べて低くなることが図から認められる。図10(c)では、薄膜導体層3パターンの周囲に凸状の部分が少し見られるが、この高さは薄膜導体層3のパターン上に存在していた層間絶縁層4の膜厚が小さいほど低くなる。
【0018】したがって、平坦化効果を有するポリイミド樹脂等の有機絶縁膜を層間絶縁層4に用いると、前記薄膜導体層3パターン上で層間絶縁層4の膜厚が小さくなり、スルーホール開口後に発生する薄膜導体層3パターンと層間絶縁層4との段差が小さくなる効果が得られる。また図10から分かるように、前記層間絶縁層4の膜厚を前記薄膜導体層3の膜厚に近い程度に平坦化効果を上げることができる。
【0019】以上述べてきたことからわかるように、本発明では、下層電気配線2と上層電気配線とを接続する薄膜導体層3の存在によって盛り上がった層間絶縁層4の部分を除去してスルーホールを設けることにより、層間絶縁層4に下層電気配線2と上層電気配線とのコンタクトスルーホールを設けた表面が平坦化された状態に形成される。
【0020】本発明では、層間絶縁層4を形成する以前の工程で、下層電気配線2と上層電気配線5とを接続する薄膜導体層3パターンを下層電気配線2上に直接形成するため、薄膜導体層3パターンと下層電気配線2との間で断線することはない。また、薄膜導体層3と下層電気配線2を構成する薄膜層との間の界面を清浄に保つことができるため、薄膜導体層3と下層電気配線2を構成する薄膜層との間の接触抵抗を低くすることができる。
【0021】一方、図10を見ても分かるように、前記(工程3)後の薄膜多層回路の表面凹凸は低減されている。したがって、薄膜導体層3の表面が周囲の層間絶縁層4より大きく凹んでいることはなくなり、薄膜導体層3の表面に対する各種処理による薄膜導体層3表面の清浄化が容易となる。そのため、上層電気配線を構成する薄膜層と薄膜導体層3との間の断線発生がなくなるとともに、接触抵抗を低く抑えることができる。このように、本発明による薄膜多層回路の製造方法によれば、下層電気配線と上層電気配線との断線をなくすことができるとともに、接続抵抗を低く抑えることが可能となる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の各実施例を図1ないし図7を参照して説明する。
〔実施例 1〕本発明の第1の実施例を図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例に係る薄膜多層回路基板の製造方法の各工程(a,b,c,d)を示す断面図、図2は、図1の薄膜多層回路基板における薄膜導体層パターンと下層電気配線パターンとの位置関係を示す平面図である。
【0023】図1,2において、1は、薄膜多層回路基板の一部に設けられた下地基板に係る第1絶縁層、2は下層電気配線、5は上層電気配線、3は、下層電気配線2と上層電気配線5とを接続する薄膜導体層(ビアスタッドに相当)、4は、下層電気配線2と上層電気配線5とを電気的に絶縁する層間絶縁層である。以下、本発明の特徴が現れる、下層配線層から上層配線層までの製造工程を図1(a),(b),(c),(d)に従って説明する。
【0024】(a)図1(a)に示すように、第1絶縁層1をすでに形成した薄膜多層回路基板上に、通常のスパッタリング法等の手法を用いて、少なくとも2種類以上の導電性薄膜を多層に形成する。次いで、周知のフォトエッチング法を繰り返し用いて所定のパターン形状に加工し、前記薄膜導体層3と下層電気配線2とを形成する。薄膜導体層3のパターンと下層電気配線2のパターンの位置関係を図2に示す。この図は薄膜導体層3のパターンが下層電気配線2のパターン上に完全に包含されるような位置関係にすることを示している。これは、薄膜導体層3と下層電気配線2との間の接触抵抗を低く抑え、薄膜導体層3パターンの周囲の段差の高さを一様にするために必要である。
【0025】また、この工程では、下層電気配線2を構成する薄膜層に対して損傷を与えることなく前記薄膜導体層3を加工できるように、下層電気配線2と薄膜導体層3とを構成する薄膜材料を選択する必要がある。例えば、薄膜導体層3を構成する薄膜材料としてアルミニウム(Al)を選択した場合、下層電気配線2を構成する薄膜層はAl膜のエッチングに用いる薬液によって犯されない薄膜材料を用いる必要がある。このような材料として、クロム(Cr)やタングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)等を上げることができる。ただし、表面をAl膜のエッチングに用いる薬液によって犯されない薄膜材料で被覆することによって、下層配線層2の導体材料としてAlを用いることができるようになる。
【0026】(b)液状のポリイミド樹脂を薄膜多層回路基板上に回転塗布し、所定のベーキングを行なって全面にポリイミド樹脂を被着し、図1(b)に示すように層間絶縁層4を形成する。下層電気配線2と上層電気配線5とを接続する薄膜導体層3パターンが存在する領域の盛り上がった層間絶縁層の凸部4aにスルーホールを開口させてスルーホール部の表面凹凸を低減させて平坦化効果を得るためには、層間絶縁層4とするポリイミド膜の熱硬化後の膜厚をできるだけ前記薄膜導体層3の高さに等しくなるようにする。
【0027】(c)次いで、周知のフォトエッチング法を用いて、前記薄膜導体層3パターンが存在する領域の盛り上がった層間絶縁層の凸部4aを加工し、前記薄膜導体層3上にスルーホールを開口させる。このスルーホールは、下層電気配線2と上層電気配線5とを薄膜導体層3を介して接続するための、所謂コンタクトスルーホールである。この場合、図1(c)に見られるように、薄膜導体層3パターンの周囲の層間絶縁層4に突起4bが発生しやすい。その対策としては層間絶縁層の凸部4aにスルーホールを開口させるためのエッチング時間を長くすればよい。ただし、エッチング時間が長すぎると薄膜導体層3周囲のポリイミド膜が除去されて段差が発生するため、エッチング条件の最適化を行う。また、層間絶縁層として感光性ポリイミドを用いた場合には、露光,現像工程の条件の最適化によってスルーホール部の表面凹凸を低減させる。
【0028】(d)通常のスパッタリング法等の手法を用いて、Al膜等からなる導電性薄膜を形成する。次いで、周知のフォトエッチング法を繰り返し用いて所定のパターン形状に加工し、図1(d)に示す上層電気配線5を形成する。この工程では、薄膜導体層3と上層電気配線5との電気的接触を確実にするため、上層電気配線5を構成する配線層の形成に先立って逆スパッタリングを行い、薄膜導体層3の表面の清浄化を行なうことが好ましい。
【0029】以上が図1に示した本実施例の薄膜多層回路の製造方法の各工程である。本実施例によれば、層間絶縁層4にスルーホールを設けた薄膜多層回路の表面が図1(c)に示すように平坦化された状態に形成される。また、本実施例の薄膜多層回路の製造方法では、平坦で清浄な薄膜表面上で下層電気配線2と薄膜導体層3との接続を行ない、清浄化処理の容易なほぼ平坦な表面で薄膜導体層3と上層電気配線5との接続を行なっているため、下層電気配線2と上層電気配線5との間の断線がなくなり、接続抵抗のばらつきも小さなものであった。
【0030】本実施例では、この平坦化効果をできるだけ大にするため、層間絶縁層4として用いるポリイミド膜の熱硬化後の膜厚をできるだけ前記薄膜導体層3の高さにほぼ等しくしている。しかし、本実施例より平坦化効果は弱くなるが、層間絶縁層4として用いるポリイミド膜の熱硬化後の膜厚が前記薄膜導体層3の高さと異なっても本発明の効果を得ることができる。薄膜導体層3と層間絶縁層4の間で作られる表面凹凸の大きさは、基本的に薄膜導体層3と層間絶縁層4との膜厚差によって生ずるからである。
【0031】そこで本発明では、薄膜導体層3と上層電気配線5との接続信頼性が保証される当該上層電気配線5を構成する薄膜層の膜厚に相当する大きさのばらつきを層間絶縁層4の膜厚ばらつきとして認めた。すなわち、薄膜導体層3の膜厚をa、上層電気配線5を構成する薄膜層の膜厚をbとしたとき、層間絶縁層4の膜厚cを次式の範囲内で設定することにした。
【数1】(a−b/2)≦c≦(a+b/2)
【0032】本実施例によれば、上層電気配線と下層電気配線との電気的接続の信頼性を上げ、スルーホール部での表面凹凸を低減できる薄膜多層回路の製造方法を、特殊な工程増加を伴わずに一般的な薄膜技術の組み合わせによって提供することができる。
【0033】〔実施例 2〕本発明の第2の実施例を図3および図4を参照して説明する。図3は、本発明の他の実施例に係る薄膜多層回路基板の製造方法の各工程(a,b,c)を示す断面図、図4は、図3の各工程(a,b,c)の平面図である。図中、図1と同一符号のものは先の実施例と同等部分であるから、その説明を省略する。図3,4において、20は下層電気配線を構成する薄膜層、30は、下層電気配線2と上層電気配線5とを接続する薄膜導体層3を構成する薄膜層、21,23はクロム(Cr)薄膜、22,31は銅(Cu)薄膜、32はチタン(Ti)薄膜を示す。本実施例は第1の実施例と基本的に同じであり、第2の実施例の特徴は第1の実施例の図1(a)の工程にある。以下、図に従って本実施例を説明する。
【0034】(a)図3(a)に示すように、第1絶縁層1を既に形成した薄膜多層回路基板上に、通常のスパッタリング法等の手法を用いてCr薄膜21と、Cu薄膜22、Cr薄膜23、Cu薄膜31、Ti薄膜32を順次形成する。前記Cr薄膜21と,Cu薄膜22,Cr薄膜23は薄膜層20を構成し、Cu薄膜31,Ti薄膜32は薄膜層30を構成する。
【0035】(b)次いで、図3(b)に示すように、周知のフォトエッチング法を用いて前記薄膜導体層3を構成する薄膜層30を加工し、下層電気配線2と上層電気配線5とを接続する薄膜導体層3のパターンを前記薄膜層20上に形成する。Ti薄膜32のエッチングには、例えば、ふっ酸と硝酸を含む水溶液を、Cu薄膜31のエッチングには、例えば、燐酸と硝酸,酢酸を含む水溶液を用いる。薄膜導体層3を構成する薄膜層30を加工するためのフォトレジストは、ポジ型のレジストであっても、ネガ型のレジストであっても差支えない。
【0036】(c)次いで、図3(c)に示すように、周知のフォトエッチング法により下層電気配線2を構成する薄膜層20を加工し、下層電気配線2のパターンを形成する。Cr薄膜21,23のエッチングには、例えば、赤血塩に水酸化カリウム(あるいは水酸化ナトリウム)を加えた水溶液を、Cu薄膜22のエッチングには、例えば、燐酸と硝酸,酢酸を含む水溶液を用いる。下層電気配線2を構成する薄膜層20を加工するためのフォトレジストとしては、エッチング液がアルカリであるため、ネガ型のレジストを用いる。フォトレジストパターンにより下層電気配線2と上層電気配線5とを接続する薄膜導体層3を被覆することにより、薄膜導体層3を構成する薄膜層と下層電気配線2を構成する薄膜層が同じであることも許容される。
【0037】以上の工程により、図1(a)に示すように、下層電気配線2と上層電気配線5とを接続する薄膜導体層3パターンを下層電気配線2上に形成する。これが本実施例における特徴的な製造工程である。図3,4に示した工程の後に図1(b)から図1(d)に示した工程を経ることによって、本実施例の薄膜多層回路基板が製造される。
【0038】本実施例の場合、導体層としてCr薄膜21,23、Ti薄膜32を用いているが、タングステン(W)薄膜、ニッケル(Ni)薄膜、タンタル(Ta)薄膜、モリブデン(Mo)薄膜、ニオブ(Nb)薄膜、Tiの窒化膜(TiN)膜等の中から適当に選んで用いても差支えない。また、導体層として銅(Cu)薄膜23,31を用いているが、Al膜を用いても差支えない。ただし導体層の材質を変更した場合には、それに応じて配線パターンを形成するするためのエッチング液を選択し直す必要がある。
【0039】本実施例によれば、先の第1の実施例と同様の効果が得られるほか、さらに、本実施例特有の次の効果を得ることができる。
(1)下層電気配線2を構成する薄膜層20と、薄膜導体層3を構成する薄膜層30とを連続形成するため、その界面状態を清浄に保つことができ、薄膜導体層3と下層電気配線2との間の断線を防止し、接触抵抗も低くできる。
(2)フォトレジストパターンにより薄膜導体層3を被覆しながら下層電気配線2パターンを形成するため、同じ薄膜材料を用いることが可能になるなど、薄膜導体層3と下層電気配線2を構成する薄膜層選択の自由度を大きくできる。
【0040】〔実施例 3〕本発明の第3の実施例を図5および図6を参照して説明する。図5は、本発明のさらに他の実施例に係る薄膜多層回路基板の製造方法の各工程(a,b,c,d)を示す断面図、図6は、図5の薄膜多層回路基板の製造方法の各工程(e,f,g)を示す断面図である。図中、図3と同一符号のものは、先の実施例と同等部分であるから、その説明を省略する。図6において、50は上層電気配線を構成する薄膜層、51,53はCr薄膜、52はCu薄膜を示す。以下、図の各工程に従って第3の実施例を説明する。
【0041】(a)図5(a)に示すように、第1絶縁層1を既に形成した薄膜多層回路基板上に、通常のスパッタリング法等の手法を用いてCr薄膜21とCu薄膜22、Cr薄膜23、Cu薄膜31、Ti薄膜32を順次形成する。
(b)次いで図5(b)に示すように、周知のフォトエッチング法を用いて薄膜導体層3を構成する薄膜層30を加工し、薄膜導体層3パターンを下層電気配線を構成する薄膜層20上に形成する。Ti膜32のエッチングには、例えば、ふっ酸と硝酸を含む水溶液を用い、Cu薄膜31のエッチングには、例えば、燐酸と硝酸,酢酸を含む水溶液を用いる。前記薄膜導体層3を構成する薄膜層30を加工するためのフォトレジストは、ポジ型のレジストであっても、ネガ型のレジストであっても差支えない。
【0042】(c)次いで図5(c)に示すように、周知のフォトエッチング法により下層電気配線2を構成する薄膜層20を加工し、下層電気配線2パターンを形成する。Cr薄膜21,23のエッチングには、例えば、赤血塩に水酸化カリウム(あるいは水酸化ナトリウム)を加えた水溶液を、Cu薄膜22のエッチングには、例えば、燐酸と硝酸,酢酸を含む水溶液を用いる。下層電気配線2を構成する薄膜層20を加工するためのフォトレジストとしては、エッチング液がアルカリであるため、ネガ型のレジストを用いる。フォトレジストパターンにより前記薄膜導体層3を被覆する。
【0043】(d)次いで図5(d)に示すように、液状のポリイミド樹脂を多層回路基板上に回転塗布し、所定のベーキングを行なって全面にポリイミド樹脂を被着し、層間絶縁層4とする。層間絶縁層4とするポリイミド膜の熱硬化後の膜厚をできるだけ前記薄膜導体層3の高さに等しくなるようにする。薄膜導体層3パターンが存在する領域には盛り上がった層間絶縁層の凸部4aが形成される。
【0044】(e)次いで図6(e)に示すように、周知のフォトエッチング法を用いて薄膜導体層3パターンが存在する領域の盛り上がった層間絶縁層の凸部4aを加工し、前記薄膜導体層3上にコンタクトスルーホールを開口させる。層間絶縁層4として感光性ポリイミドを用いた場合には、スルーホール部の表面凹凸が低減するように露光,現像工程の条件を最適化する。
【0045】(f)次いで図6(f)に示すように、薄膜多層基板をふっ酸と硝酸を含む水溶液に浸漬し、前記薄膜導体層3を構成する薄膜層30の最上層に存在するTi薄膜32を除去する。この工程が本実施例の特徴的な工程である。この工程は、薄膜導体層3を構成する薄膜層30の最上層に存在する薄膜層の清浄化が難しかったり、本質的に上層電気配線5を構成する配線層50との接触抵抗が大きい場合に用いられるものである。本実施例によれば、薄膜多層回路基板の表面凹凸が小さくなっているため、本工程の効果を十分に得ることができる。この工程により下層電気配線2と上層電気配線5との間の接続抵抗を低減できる。
【0046】(g)次いで図6(g)に示すように、通常のスパッタリング法等の手法を用いてCr薄膜51とCu薄膜52、Cr薄膜53を順次形成する。次いで、周知のフォトエッチング法を繰り返し用いて所定のパターン形状に加工し、上層電気配線5を形成する。この工程では、薄膜導体層3と上層電気配線5との電気的接触を確実にするため、上層電気配線5を構成する配線層の形成に先立って逆スパッタリングを行い、薄膜導体層3の表面の清浄化を行なっても差支えない。
【0047】以上が図5,6に示した本実施例の薄膜多層回路の製造方法の各工程である。本実施例によれば、先の第1の実施例,第2の実施例と同様の効果がを得られるほか、さらに本実施例では、上記(f)で説明したように、薄膜導体層3と上層電気配線5との接触抵抗を一層低減できる効果がある。
【0048】本実施例の場合、導体層としてとしてCr薄膜21,23,51,53、Ti薄膜32を用いているが、タングステン(W)薄膜、ニッケル(Ni)薄膜、タンタル(Ta)薄膜、モリブデン(Mo)薄膜、ニオブ(Nb)薄膜、Tiの窒化膜(TiN)等の中から適当に選んで用いても差支えない。また、導体層として銅(Cu)薄膜23,31,52を用いているが、Al膜を用いても差支えない。ただし導体層の材質を変更した場合には、それらの薄膜層を加工するためのエッチング液を選択し直す必要がある。
【0049】〔実施例 4〕本発明に係る第4の実施例を図7を参照して説明する。図7は、本発明のさらに他の実施例に係る薄膜多層回路基板の一部を示す断面図である。図中、図1と同一符号のものは先の実施例と同等部分であるから、その説明を省略する。図7において、41は、層間絶縁層4の第1絶縁層1と接触する側の下層層間絶縁層、42は、層間絶縁層4の上層電気配線5と接触する側の上層層間絶縁層であり、これら下層層間絶縁層41,上層層間絶縁層42をもって層間絶縁層4を構成する。以下、本発明の特徴が現れる、下層配線層から上層配線層までの製造工程を図7を参照して説明する。
【0050】(1)第1絶縁層1をすでに形成した薄膜多層回路基板上に、通常のスパッタリング法等の手法を用いて、少なくとも2種類以上の導電性薄膜を多層に形成する。次いで、周知のフォトエッチング法を繰り返し用いて所定のパターン形状に加工し、薄膜導体層3および下層電気配線2を形成する。薄膜導体層3パターンを下層電気配線2パターンに完全に包含されるように配置する。
【0051】(2)液状のポリイミド樹脂を薄膜多層回路基板上に回転塗布し、所定のベーキングを行なって全面にポリイミド樹脂を被着し、下層層間絶縁層41とする。次いで、周知のフォトエッチングを用いて下層層間絶縁層41を薄膜導体層3が完全に露出するように加工する。下層層間絶縁層41とするポリイミド膜の熱硬化後の膜厚をできるだけ下層電気配線2を構成する薄膜層の膜厚とほぼ同じになるように定める。また、前記ポリイミド樹脂として感光性ポリイミド膜を用いた場合、露光,現像工程により下層層間絶縁層41を薄膜導体層3が完全に露出するように加工する。
【0052】(3)次いで、液状のポリイミド樹脂を薄膜多層回路基板上に回転塗布し、所定のベーキングを行なって全面にポリイミド樹脂を被着し、上層層間絶縁層42を形成する。上層層間絶縁層42とするポリイミド膜の熱硬化後の膜厚をできるだけ前記薄膜導体層3の高さに等しくなるようにする。
【0053】(4)次いで、通常のスパッタリング法等の手法を用いて、導電性薄膜3を形成する。次いで、周知のフォトエッチング法を繰り返し用いて所定のパターン形状に加工し、上層電気配線5を形成する。この工程では、薄膜導体層3と上層電気配線5との電気的接触を確実にするため、上層電気配線5を構成する配線層の形成に先立って逆スパッタリングを行い、薄膜導体層3の表面の清浄化を行なっても差支えない。
【0054】以上が図7に示した実施例の薄膜多層回路の製造方法の工程である。本実施例によれば、先の第1の実施例と同様の効果が得られるほか、さらに、層間絶縁層4にスルーホールを設けた薄膜多層回路の表面が第1〜第3の実施例に比べて平坦化された状態に形成されるという本実施例特有の効果がある。
【0055】上記各実施例によれば、下層電気配線と上層電気配線とを接続する薄膜導体層によって層間絶縁層に周囲より盛り上がった凸部を設け、この凸部を除去してコンタクトスルーホールを形成するようにしたので、薄膜多層回路の表面が平坦化された状態で形成されるという効果がある。
【0056】また、前記薄膜導体層を下層電気配線を構成する薄膜層の清浄な面に形成すること、前記薄膜導体層と上層電気配線との接続を平坦化された表面で行われることから、上層電気配線と下層電気配線との接続抵抗を低く抑え、断線を防止できる効果がある。さらに各実施例は、従来の一般的な薄膜工程によって構成されており、平坦化をするための特別な設備や工程を必要としないという効果がある。
【0057】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、特殊な工程増加を伴わずに、一般的な薄膜技術の組み合わせよって、上層電気配線と下層電気配線との接続信頼性にすぐれ、スルーホール部での表面凹凸を低減できる薄膜多層回路の製造方法を提供することができる。




 

 


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