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発明の名称 超電導量子干渉素子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−209125
公開日 平成6年(1994)7月26日
出願番号 特願平5−1590
出願日 平成5年(1993)1月8日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 武田 栄里子 / 西野 壽一
要約 目的
高感度な磁束計用SQUIDを提供する。

構成
SQUIDの周囲に超電導ループを構成しないようにグランドプレーンを配し、そのグランドプレーンとワッシャコイルとの磁気結号によりSQUIDのインダクタンスが低下するように配置する。
特許請求の範囲
【請求項1】少なくとも、1つ以上のジョセフソン接合と、前記ジョセフソン接合を含んで閉ループを構成した超電導体より成るインダクタンス部分と、前記インダクタンス部分に磁束を結合させるための超電導体より成る入力コイル、からなる超電導量子干渉素子において、前記インダクタンス部分を構成する超電導体の周囲に、他の超電導体をそれ自身が超電導ループを形成しないように配置したグランドプレーンを設け、かつ、前記超電導量子干渉素子の下部には他の超電導体が存在しないことを特徴とする超電導量子干渉素子。
【請求項2】前記インダクタンス部分の少なくとも一部分を前記グランドプレーンが覆っていることを特徴とする請求項1に記載の超電導量子干渉素子。
【請求項3】前記インダクタンス部分と前記グランドプレーンは磁気結合係数が0.1以上で磁気結合していることを特徴とする請求項1ないし2に記載の超電導量子干渉素子。
【請求項4】前記インダクタンス部分と前記グランドプレーン間の距離は、前記インダクタンス部分の構成する閉ループの径の2倍以下であることを特徴とする請求項1ないし3に記載の超電導量子干渉素子。
【請求項5】前記超電導量子干渉素子を構成する前記インダクタンス部分が少なくとも2つ以上の主要なインダクタンス部分に分けて構成されており、前記それぞれのインダクタンス部分の中央を基準として、線対称、または点対称となるように前記グランドプレーンを配置したことを特徴とする請求項1ないし4に記載の超電導量子干渉素子。
【請求項6】前記グランドプレーンは前記超電導量子干渉素子の駆動用の電流を供給するための配線のアース面となるよう配置されており、前記配線はマイクロストリップラインの形状を有することを特徴とする請求項1ないし5の超電導量子干渉素子。
【請求項7】前記超電導量子干渉素子と前記グランドプレーンは1対1対応となるように組み合わせて構成され、さらにその周囲に複数の前記超電導量子干渉素子を並べて配置したことを特徴とする請求項1ないし6の超電導量子干渉素子。
【請求項8】前記グランドプレーンは接地することができることを特徴とする請求項1ないし7の超電導量子干渉素子。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微小な磁束を検出する超電導量子干渉素子(以下SQUIDと称する)の高感度化に関する。
【0002】
【従来の技術】SQUIDは超電導の性質を利用して、微小な磁束を検出することのできる素子である。一般的なSQUIDの構造の中でSQUIDの周囲に超電導体が存在しない素子構造については、例えば、アイ イー イー イー トランザクションズ オン マグネティクス、第17巻、400頁−403頁、1981年(IEEE Transactions on Magnetics、Mag.17、pp.400-403(1981))に示されている。また、SQUIDの周囲に超電導ループを配置した素子構造については、第2回高温超電導デバイスに関するワークショップ予稿集(新機能素子研究開発協会、6月7−9日、1989年、北海道、219頁−222頁)(2nd Workshop on High Temperature Superconducting Electronics R&D Association for Future Electron Devices, June 7-9, 1989,in Shikabe, Hokkaido, Japan , pp.219-222)に示されている。図8および図9に従来技術におけるSQUIDの上面図を示す。従来技術においては、図9に示したように、ジョセフソン素子6、および、抵抗体7を含む超電導体で構成されたインダクタンス部分、すなわち、ワッシャコイル1の上部に、図には示されてはいないが絶縁膜を介してインプットコイル3、4およびフィードバックコイル2、5が配置されていた。SQUIDの周囲には図9に示すごとく、他の超電導体が配置されていないか、もしくは図8に示すごとく線幅が5μm程度の細い超電導ループ8が配置されていた。この超電導ループ8は外部の磁場を排除するためのガードリングとして使用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】SQUIDを高感度化するためには、雑音に対する信号の割合(以下S/N比と記す)を向上させる必要がある。一般的なSQUIDはピックアップコイルで検出した磁束を薄膜トランスでSQUIDに伝達し、それを電圧信号に変換して出力する。従って、S/N比を向上させるためには、ピックアップコイルからSQUIDまでの磁束の伝達率を向上させること、および、磁束を電圧に変換する割合(磁束電圧変換効率)を向上させることが必要である。SQUIDの磁束伝達率を向上させるためには、薄膜トランスを形成するインプットコイルとSQUIDのワッシャコイルとの相互インダクタンスを大きくする必要がある。ワッシャコイルの周囲に何も存在しない場合には、ワッシャコイルの自己インダクタンスは、ワッシャコイルの開口部の一辺の寸法によって決まる値に、さらに寄生インダクタンスを付加したものになる。また、ワッシャコイルの上部に螺旋上にインプットコイルを形成した場合は両者の相互インダクタンスは上述のワッシャコイルのインダクタンスとインプットコイルの巻数の積に比例する。従って、相互インダクタンスを大きくして磁束伝達率を向上させるには、ワッシャコイルのインダクタンスを大きくするか、もしくは、インプットコイルの巻数を多くする必要がある。しかし、ワッシャコイルのインダクタンスを大きくすると、磁束の変化に対するSQUIDの臨界電流値の変化量が低下し、その結果、磁束電圧変換効率が低下するという問題を引き起こす。また、インプットコイルの巻数を増やした場合は、ワッシャコイルの面積も大きくなり、それに伴って寄生インダクタンスの値が増加するため、結局ワッシャコイルのインダクタンスが大きくなり、磁束電圧変換効率が低下するという問題を引き起こす。従って、従来構造のSQUIDでは、磁束伝達率と磁束電圧変換効率を同時に向上させてSQUIDを高感度化することが困難であった。
【0004】また、SQUIDの周囲に電位の安定した導体が存在しないために、多チャンネル化やデジタル化に適していなかった。また、配線にグランドプレーンを設けていないので、配線のインダクタンスを低下させることができず、配線に電流が流れることにより発生した磁界がワッシャコイルに影響を及ぼすという恐れがあった。
【0005】一方、図8に示したごとくSQUIDの周囲に超電導ループが存在する場合は、SQUIDを常伝導状態から超電導状態に冷却した際に超電導ループとSQUIDの間に磁束が凝集される恐れがある。その結果、それらのトラップした磁束によりSQUIDの特性が変化し安定動作しにくいという問題があった。
【0006】上述のごとく、従来技術においては高感度で、かつ、安定動作するSQUIDを実現するための十分な配慮がなされていたとはいえない。
【0007】従って、本発明では上記従来技術の持つ問題点を解決して、第一に磁束伝達率と磁束電圧変換効率を同時に向上させて高感度なSQUIDを提供すること、第二に磁束トラップが少なく安定動作するSQUIDを提供すること、第三に配線のインダクタンスを低下させること、および、第四に多チャンネル化やデジタル化に適したSQUIDを提供すること、を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】磁束伝達率と磁束電圧変換効率を同時に向上させた高感度なSQUIDを提供するという本発明の第一の課題、および、磁束トラップが少なく安定動作するSQUIDを提供するという第二の課題、および、配線のインダクタンスを低下させるという第三の課題は、少なくとも、1つ以上のジョセフソン接合と、前記ジョセフソン接合を含んで閉ループを構成した超電導体より成るインダクタンス部分と、前記インダクタンス部分に磁束を結合させるための超電導体より成る入力コイル、からなる超電導量子干渉素子において、前記インダクタンス部分を構成する超電導体の周囲に、他の超電導体をそれ自身が超電導ループを形成しないように配置したグランドプレーンを設け、かつ、前記超電導量子干渉素子の下部には他の超電導体が存在しない構造とすることによって達成できる。
【0009】また、本発明の第四の課題は上記構成に加えて、前記グランドプレーンを接地することによって達成することができる。
【0010】
【作用】本発明によるSQUIDは、SQUIDの周囲に超電導ループを形成しないようにグランドプレーンを配置している。そのグランドプレーンが、SQUIDのワッシャコイルと磁気結合をすれば、グランドプレーンにミラー電流が流れ、それによって発生した磁束はワッシャコイルによる磁束をキャンセルするように働く。その結果、ワッシャコイルの自己インダクタンスは低下する。一方、インプットコイルはワッシャコイルが実効的にミラー電流を作るので磁束の広がりが制御されるため周囲のグランドプレーンとは磁気結合しない。従って、ワッシャコイルとインプットコイルの相互インダクタンスは、ワッシャコイルの自己インダクタンスの低下に影響を受けない。従って、磁束伝達率を一定に保ったまま、ワッシャコイルの自己インダクタンスのみを低下させることができるので、従来のSQUIDに比べて磁束の変化に対するSQUIDの臨界電流値の変化量を大きくすることができ、磁束電圧変換効率を向上させることができる。従って、磁束伝達率と磁束電圧変換効率を同時に向上させて高感度なSQUIDを実現することができる。
【0011】また、ワッシャコイルのインダクタンスが低下する割合は、ワッシャコイルとグランドプレーンの磁気結合の程度による。ワッシャコイルとグランドプレーンの磁気結合度は、ワッシャコイルの幅、ワッシャコイルの開口部、グランドプレーンとワッシャコイルの間の距離、グランドプレーンの大きさなどによって決まる。従って、これらの値を変化させることによって、ワッシャコイルのインダクタンスの値を任意に設定することができる。例えば、ワッシャコイルの開口部が50μmで幅が200μmであり、周囲のグランドプレーンの幅が200μmの場合の、ワッシャコイルとグランドプレーンの間の距離とSQUIDのインダクタンスの低下割合の関係を図7に示す。例えば、従来構造のSQUIDのインダクタンスに対して90%以下に低下させたければ、ワッシャコイルとグランドプレーンの間の距離をワッシャコイルの開口部の寸法の約2倍以下にすれば良い。また、75%に低下させたければ、ワッシャコイルとグランドプレーンの間の距離をワッシャコイルの開口部の寸法の約0.3倍以下にすれば良い。図7に示した関係はインダクタンスの低下の割合として考えればここに示した特定の値に限らず一般的に成りたつことが確認できた。通常SQUIDのインダクタンスの設計精度は±5%程度であり、本発明の目的を達成するためにはインダクタンスを10%以上の割合で低下させるように設計する必要がある。このためにはワッシャコイルとグランドプレーンの間の距離をワッシャコイルの開口部の寸法の約2倍以下にすれば良い。
【0012】また、ワッシャコイルの少なくとも一部分をグランドプレーンが覆う場合であっても、両者の磁気結合係数が0.1以上になるようにすれば、同じ効果が得られ、10%以上の割合でインダクタンスを低下させることができる。従って、一般的な場合でも、ワッシャコイルとグランドプレーンの磁気結合係数が0.1以上になるようにすれば、本発明の目的を達成することができる。
【0013】このように、ワッシャコイルとグランドプレーンの間の距離を小さくすることによって、ワッシャコイルはそれ自身の対向部分との磁気結合に比べて、グランドプレーンと強く磁気結合するようになるので、SQUIDのインダクタンスは低下する。ワッシャコイルとグランドプレーンの間の磁気結合の強さは主としてワッシャコイルとグランドプレーンの間の距離とワッシャコイルの開口部の寸法の比に依存するが、ミラー電流の効果がインダクタンスの低下量を10%より大きくするために十分であるためには、グランドプレーンを構成する超電導体の幅が、ワッシャコイルの幅の1/4以上、より望ましくは1/3以上であることが必要である。これはミラー電流のリターン成分の作る磁束が十分に小さくなるための条件である。この条件は、ワッシャコイルの寸法の具体的な値によらず成り立つ。このため、例えばワッシャコイルの幅が200μmのSQUIDでは、グランドプレーンの幅は50μm以上に選ぶことが望ましい。
【0014】また、本発明によるSQUIDでは、周囲に設けたグランドプレーンは超電導ループを形成していない。従って、SQUIDを常伝導状態から超電導状態に冷却した際にグランドプレーンとSQUIDの間に磁束がトラップされることがないため、SQUIDの周囲に超電導ループが存在する従来のSQUIDに比較して磁束トラップの影響が少なく安定動作させることができる。
【0015】また、本発明によるSQUIDでは、SQUIDの周囲に存在するグランドプレーンの上部にSQUIDの駆動に必要な配線を配置しているため、配線のインダクタンスを低減することができる。
【0016】またSQUIDを多チャンネル化したりデジタル化する場合には、SQUIDの周囲の電位を安定させることが必要であるが、本発明のSQUIDでは、SQUIDの周囲のグランドプレーンを接地することにより、SQUIDの周囲に安定した電位を供給することができる。従って、本発明のSQUIDは多チャンネル化やデジタル化に適した構造である。また、周囲のグランドプレーンとSQUIDを1対1対応とすることにより、SQUIDの相互干渉を防止することができるため、隣接して複数のSQUIDを配置することができ、高集積化することができる。SQUIDを高集積化できることは多チャンネル化やデジタル化するために有効である。
【0017】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0018】図1を用いて本発明の第1の実施例を説明する。図1は本発明の第1の実施例によるSQUIDの構造を示す上面図である。この実施例では従来技術におけるSQUIDの構成に加えて、その周囲に超電導体の薄膜によって構成したグランドプレーン11を設けたことに特徴がある。このグランドプレーン11は、厚さ約300nmで幅が約200μmのNb薄膜から構成してある。このグランドプレーン11は、切り込み10を設けてあるので超電導の閉ループを構成しない。
【0019】本実施例においてはジョセフソン素子6はNb/Al酸化物/Nbのサンドイッチ型であり、この素子はこれらの3つの材料をスパッタリング法によって積層後にホトレジストをマスクとしたドライエッチングによって加工して形成した。ジョセフソン素子を含む超電導の閉ループを構成するワッシャコイル1には、スパッタリング法によって形成し、ホトレジストをマスクとしたドライエッチングによって加工して形成した厚さ約300nmのNb薄膜を用いた。ワッシャコイル1の幅は約200μmであり、中央の開口部分の一辺の長さは約50μmとした。ワッシャコイル1の縁とグランドプレーン11の縁とが近接する部分の間隔は約50μmとした。
【0020】フィードバックコイル2、5は、超電導体であるNb薄膜を用いて形成してあり、その厚さは約300nmである。Moの薄膜よりなる抵抗体7はジョセフソン素子をシャントする目的で設けられている。実際のSQUIDのチップではこの他にSiO蒸着膜よりなる層間絶縁膜が設けられているが、図には明示していない。入力信号をSQUIDに伝達するために使用するインプットコイル3、4は、やはりスパッタリング法によって形成し、ホトレジストをマスクとしたドライエッチングによって加工して形成した厚さ約300nmのNb薄膜を用いた。
【0021】このようにして作製したSQUIDを、液体ヘリウムを用いて徐々に冷却したところ、グランドプレーン11から掃き出された磁束は切り込み10からグランドプレーン11の外側に確実に排除される。このため、グランドプレーンの内部に磁束がトラップされることがない。
【0022】このSQUIDの自己インダクタンスは、周囲にグランドプレーン11を設けたために、周囲にグランドプレーン11が無い場合に比べて約85%に減少した。その結果として磁束を印加した場合の電流−電圧特性の変調度は、周囲にグランドプレーン11が無い場合に比べて約5%増加した。これによって、SQUIDの出力電圧も50%以上改善された。本発明のSQUIDでは、SQUID自体の雑音の大きさは周囲にグランドプレーン11が無い場合とほぼ同じであるのに対して、出力電圧が50%以上改善されているので、その結果、信号のS/N比を1.5倍以上に改善することができた。
【0023】一方、インプットコイル3とグランドプレーン11との間には殆ど磁気的な結合が無いために入力磁束の伝達率はグランドプレーンが無い場合と殆ど変わらなかった。従って、本発明のSQUIDによれば磁束伝達率を最高に保ったまま、出力電圧を大きくして磁束電圧変換率を向上させて、S/N比のより大きな高感度なSQUIDを実現することができた。
【0024】本実施例においては、ワッシャコイル1の幅とグランドプレーン11の幅をほぼ同じに選んだが、グランドプレーン11にミラー電流が十分に流れる程度の幅をグランドプレーン11が持てば良いので、グランドプレーン11の幅はワッシャコイル1の幅の約1/4以上である必要があり、より好ましくは本実施例のごとく1倍程度の幅を持つことが発明の目的を達するために必要である。実際のグランドプレーン11の幅はこの範囲に選んでおけば良く、ここに示した値に限定されるものではない。
【0025】また、本実施例ではSQUIDの配線は全てグランドプレーンの上に、絶縁膜を介して設けられており、グランドプレーンはSQUIDの駆動用の電流を供給するための配線のアース面として働く。すなわち配線はマイクロストリップラインの形状を有している。このため配線のインダクタンスはグランドプレーンが無い場合に比べて半分以下の安定した値に作製できる。また、電流が発生する磁束による干渉やクロストークによるSQUIDの誤動作といった問題をなくすことができる。
【0026】次に、図2を用いて第2の実施例を説明する。図2は本発明の実施例によるSQUIDの上面図である。この実施例では図1に示したSQUIDとは異なり、グランドプレーン11とワッシャコイル1が空間的な重なり部分31を持つことが特徴である。dcSQUIDそのものやグランドプレーン11の形成方法は図1に示したSQUIDと同じで良い。図3は図2に示したSQUIDのAA断面を示す断面図である。この図からわかるようにSi単結晶からなる厚さ450μmの基板30の上に、グランドプレーン11とワッシャコイル1が空間的な重なり部分31を持って配置されている。図3にはインプットコイルを明示していない。重なり部分31の大きさおよびその範囲は、グランドプレーン11とインプットコイル3が磁気的な結合を持たない程度に選べば良く、具体的にはグランドプレーン11とインプットコイル3の間の距離を、ワッシャコイル1とインプットコイル3の層間絶縁膜厚の3倍以上、より好ましくは5倍以上に選べば発明の目的を達することができる。 本実施例においても、SQUIDの冷却時にはグランドプレーン11から掃き出された磁束は切り込み10からグランドプレーン11の外側に確実に排除される。このため、グランドプレーンの内部に磁束がトラップされることがない。
【0027】このSQUIDの自己インダクタンスは、周囲にグランドプレーン11を設けたために、周囲にグランドプレーン11が無い場合に比べて約65%に減少した。その結果として磁束を印加した場合の電流−電圧特性の変調度は、周囲にグランドプレーン11が無い場合に比べて約30%増加した。これによって、SQUIDの出力電圧は80%以上改善された。本発明のSQUIDでは、SQUID自体の雑音の大きさは周囲にグランドプレーン11が無い場合とほぼ同じであるのに対して、出力電圧が80%以上改善されているので、その結果信号のS/N比が1.8倍以上に改善することができた。
【0028】一方、インプットコイル3とグランドプレーン11との間には殆ど磁気的な結合が無いために入力磁束の伝達率はグランドプレーンが無い場合と殆ど変わらなかった。従って、本発明のSQUIDによれば磁束伝達率を最高に保ったまま、出力電圧を大きくして磁束電圧変換率を向上させて、S/N比のより大きな高感度なSQUIDを実現することができた。
【0029】本実施例では、重なり部分31はワッシャコイル1の周囲のほぼ全体に設けたが、これを一部分のみにしても、本発明の目的を達することができる。その際には、SQUIDのインダクタンスの対称性を保つように線対称、もしくは点対称の配置になるように重なり部分31を設けることがのぞましい。
【0030】つぎに、図4を用いて本発明の第3の実施例を説明する。図4は本発明の実施例によるSQUIDの上面図である。この実施例では図1に示したSQUIDとは異なり、グランドプレーン11に2つの切り込み10を設けたことが特徴である。作製方法等は本発明の最初の実施例と同じで良い。
【0031】このようにして作製したSQUIDを、液体ヘリウムを用いて徐々に冷却したところ、グランドプレーン11から掃き出された磁束は切り込み10からグランドプレーン11の外側に確実に排除される。このため、グランドプレーンの内部に磁束がトラップされることがない。
【0032】このSQUIDの自己インダクタンスは、周囲にグランドプレーン11を設けたために、周囲にグランドプレーン11が無い場合に比べて約85%に減少した。その結果として磁束を印加した場合の電流−電圧特性の変調度は、周囲にグランドプレーン11が無い場合に比べて約5%増加した。これによって、SQUIDの出力電圧も50%以上改善された。本発明のSQUIDでは、SQUID自体の雑音の大きさは周囲にグランドプレーン11が無い場合とほぼ同じであるのに対して、出力電圧が50%以上改善されているので、その結果、信号のS/N比を1.5倍以上に改善することができた。これらの改善は本発明の最初の実施例と殆ど同じである。つまり、ワッシャコイル1の周囲に設けるグランドプレーン11の配置は必ずしも全体である必要は無く、これを一部分のみにしても、本発明の目的を達することができる。その際には、SQUIDのインダクタンスの対称性を保つように線対称、もしくは点対称の配置になるように切り込み10を設けることがのぞましい。
【0033】一方、インプットコイル3とグランドプレーン11との間には殆ど磁気的な結合が無いために入力磁束の伝達率はグランドプレーンが無い場合と殆ど変わらなかった。従って、本発明のSQUIDによれば磁束伝達率を最高に保ったまま、出力電圧を大きくして磁束電圧変換率を向上させて、S/N比のより大きな高感度なSQUIDを実現することができた。
【0034】本実施例においては、ワッシャコイル1の幅とグランドプレーン11の幅をほぼ同じに選んだが、グランドプレーン11にミラー電流が十分に流れる程度の幅をグランドプレーン11が持てば良いので、グランドプレーン11の幅はワッシャコイル1の幅の約1/4以上である必要があり、より好ましくは本実施例のごとく1倍程度の幅を持つことが発明の目的を達するために必要である。実際のグランドプレーン11の幅はこの範囲に選んでおけば良く、ここに示した値に限定されるものではない。
【0035】つぎに、図5を用いて本発明の第4の実施例を説明する。この実施例では図4に示したSQUIDを4個並べて配置してあることが特徴である。その際、個々のワッシャコイル51〜54にはそれぞれグランドプレーン55〜58がそれぞれ1対1に対応するように設けてあり、電気的には接続しないような形状に選んである。これは、グランドプレーンに流れる磁気遮蔽電流によって別のSQUID同士が磁気的に結合して、特性が変化してしまうことを防止する効果がある。このような構成をとることによって、高感度なSQUIDを多数並べて集積化して使用することができる。また、SQUIDの配線は全てグランドプレーンの上に、絶縁膜を介して設けられており、マイクロストリップラインの形状を有している。このため配線のインダクタンスはグランドプレーンが無い場合に比べて半分以下の安定した値に作製できる。また、電流の発生する磁束による干渉やクロストークによるSQUIDの誤動作といった問題をなくすことができる。
【0036】つぎに、図6を用いて本発明の第5の実施例を説明する。図6は本発明の実施例によるSQUIDの上面図である。この実施例では図1に示したSQUIDとは異なり、ワッシャコイル1を二つ有するダブルワッシャタイプのSQUIDによって本発明を実施している。作製方法等は本発明の最初の実施例と同じで良い。その際、個々のワッシャコイル1にはそれぞれグランドプレーン11が1対1に対応するように設けてあり、しかも切り込み10によってそれらは電気的には接続しないような形状に選んである。これは、グランドプレーンに流れる磁気遮蔽電流によって別のワッシャコイル同士が磁気的に結合して、正しい測定ができなくなることを防止する効果がある。このような構成をとることによって、高感度なSQUIDを多数並べて集積化して使用することができる。また、本実施例でもSQUIDの配線は全てグランドプレーンの上に、絶縁膜を介して設けられており、マイクロストリップラインの形状を有している。このため配線のインダクタンスはグランドプレーンが無い場合に比べて半分以下の安定した値に作製できる。また、電流の発生する磁束による干渉やクロストークによるSQUIDの誤動作といった問題をなくすことができる。
【0037】以上に述べた本実施例では超電導体としてNbを用いたがこれに限るものではなく、Nbの金属間化合物、NbN、Pb−5wt%In合金等のPb合金、あるいは酸化物超電導材料等を用いても良いことは言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、磁束伝達率と磁束電圧変換効率を同時に向上させた高感度なSQUIDを提供すること、多チャンネル化やデジタル化に適したSQUIDを提供すること、磁束トラップが無く安定に動作するSQUIDを提供すること、および配線のインダクタンスを低下させることのできる効果がある。




 

 


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