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発明の名称 シールド方法及びこれを用いた回路基板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−204681
公開日 平成6年(1994)7月22日
出願番号 特願平4−347685
出願日 平成4年(1992)12月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 秋庭 豊 / 松本 邦夫 / 飯田 誠 / 丸山 隆 / 原 敦 / 吉留 等 / 廣田 和夫
要約 目的
電磁放射ノイズの発生源に対して3次元構造の効果的なシールド方法、及びこれを用いた回路基板を得る。更に、この回路基板により、筐体レベルでのシールド機能を不要にし、筐体材料のリサイクル性を実現する。

構成
少なくとも信号層、電源層、及びグランド層を有する回路基板構造において、電源層またはグランド層からなる2つの導体層で挾まれた信号層上の信号ラインを上記した導体層を用いて3次元的に取り囲んで電気的な閉ループ電流路を1重または2重に形成したことを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】少なくとも信号層、電源層及びグランド層を有する回路基板構造において、電源層またはグランド層からなる2つの導体層で挾まれた信号層上の信号ラインを上記導体層を用いて3次元的に取り囲み、電気的な閉ループ電流路を形成したことを特徴とするシールド方法。
【請求項2】少なくとも信号層、電源層及びグランド層を有する回路基板において、電源層またはグランド層からなる2つの導体層で挾まれた信号層上の信号ラインを上記導体層を用いて3次元的に取り囲み、電気的な閉ループ電流路を形成したことを特徴とする回路基板。
【請求項3】請求項2において、電源層またはグランド層からなる2つの導体層とこれらの導体層で挾まれた信号層からなる層間の電気的接続を、導体パターンの重なり部面積を増加させて容量結合とすることにより3次元的な閉ループ電流路を形成したことを特徴とする回路基板。
【請求項4】請求項2において、グランド層からなる2つの導体層とこれらの導体層で挾まれた信号層からなる層間の電気的接続を、複数個のスルーホールを近接配置して3次元的な閉ループ電流路を形成したことを特徴とする回路基板。
【請求項5】請求項2において、グランド層からなる2つの導体層とこれらの導体層で挾まれた信号層からなる層間の電気的接続を、ライン状の導体仕切り壁で行い3次元的な閉ループ電流路を形成したことを特徴とする回路基板。
【請求項6】請求項2において、電源層またはグランド層からなる2つの導体層とこれらの導体層で挾まれた信号層からなる層間の接続を、電源層に対して導体パターンの重なり部面積を増加させて電気的に容量結合とし、グランド層に対して複数個のスルーホールを近接配置して、3次元的な閉ループ電流路を形成したことを特徴とする回路基板。
【請求項7】請求項2において、基板最外層の少なくとも一層を電源層またはグランド層としたことを特徴とする回路基板。
【請求項8】電源層またはグランド層に搭載され、かつ信号層の信号パターンと接続された電子部品を、電源層またはグランド層からなる導体層と電気的に接続される導体キャップで3次元的に取り囲むことにより、上記した電子部品に対して電気的な閉ループ電流路を形成したことを特徴とするシールド方法。
【請求項9】少なくとも信号層、電源層及びグランド層を有する回路基板において、電源層またはグランド層からなる両側各々2つの導体層で挾まれた信号層上の信号ラインを、上記した4つの導体層を用いて3次元的に取り囲む構造とし電気的な閉ループ電流路を2重に形成したことを特徴とする回路基板。
【請求項10】請求項9において、電源層またはグランド層からなる4つの導体層とこれら両側各々2つの導体層で挾まれた信号層からなる層間の接続を、電源層に対して導体パターンの重なり部面積を増加させて電気的に容量結合とし、グランド層に対して複数個のスルーホールを近接配置して、3次元的な閉ループ電流路を2重に形成したことを特徴とする回路基板。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の詳細な説明】本発明は、特に電子素子、回路の高速化、高密度化で増々重要となるEMC対応の電子機器に係る電磁放射ノイズのシールド方法及びこれを用いた回路基板に関する。更に、プラスチック筐体でシールドを行う電子機器において、筐体材料のリサイクル性を実現するため筐体レベルのシールド機能を不要にする回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】電子素子、回路の高速化、高密度化に伴い、特に電磁放射ノイズ量が増加し、電子機器の誤動作等が問題になっている。このためVCCI規格が制定されノイズ規制が行われている。しかし、EMC/EMI対策技術の現状は定性的、経験的なノウハウに頼っており、場合によっては、オーバスペック、開発期間オーバ、対策費用オーバ等の問題が発生している。
【0003】電子機器の回路基板等が発生源となって放射されるノイズには2種類ある。一つは電流Iが信号ラインとグランド層で閉ループを形成して流れることにより近傍磁界を発生してノイズを放射する差動モード放射で、もう一つはグランド層に流れるリターン電流によってグランドインピーダンス等で発生する電位Vnがケーブル等に伝導しそこから電界を発生してノイズを放射する共通モード放射である。
【0004】差動モード放射は、小さいループアンテナから磁界が輻射源となって発生するモデルで表される。この時の遠方界における電界強度Edは、信号ラインとグランド層で形成される閉ループに流れる電流、そのループ面積、及び周波数の2乗に比例する。従って、ノイズを低減するには、電流値、電流のもつ周波数や高調波成分の低減、及び電流路で形成されるループ面積の低減が必要になる。
【0005】一方、共通モード放射は、主にグランド電位で駆動される短いモノポールアンテナから電界が輻射源となって発生するモデルで表される。この時の遠方界における電界強度Ecは、グランドに接続されたアンテナ(ケーブル等)の長さ、ケーブルに流れる電流、周波数に比例する。従って、ノイズを低減するにはこれらのパラメータ値を減少させる必要がある。
【0006】例えば、両面回路基板の場合、特開昭62−295498号公報のEMI対策用回路基板に見られるように、基板上に絶縁層を介してシールド電極層を形成することにより基板外部からみた差動モード放射のループ面積を減少させてEMI対策を実施している。また、実施例に示されている1次元の伝送線路モデルからも明らかなように、アース(GND)パターンの補強(低インピーダンス化)効果を用いている。このシールド電極層は基本的に多層回路基板における電源層やGND層に相当するため、多層回路基板と同等の伝送特性、シールド特性を提供できると考えられる。しかし、この様な従来技術のEMI対策基板の場合、多層回路基板に対して基本構成が同レベルにあるためこれ以上の性能を期待出来ない状況にある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のシールド方法は、前述した特開昭62−295498号公報に見られるように1次元レベルのモデル、理論に基づくものが多い。このため、電磁ノイズのシールド法として採られている各種方法では実際に起きている現象を正確に予測(制御)できていない。この結果、シールド対策もノウハウ的であり、その効果も定量的に予測できず大きく期待できない状況にある。
【0008】本発明の目的は、例えばノイズ発生源を有する回路基板のような対象に対して3次元構造による効果的なシールド方法及びこれを用いた回路基板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、基本的に以下に示す2つの手段を有する。
【0010】(1)ノイズ発生源からの近傍電磁界エネルギー(ディファレンシャルモード放射ノイズ)をフレーム導体との磁気結合によりマクロ的に吸い上げると同時にフレーム導体上に共振現象を発生させて共振エネルギーに変換し、3次元構造の閉ループ電流路を形成したフレーム導体上にこの共振エネルギーを基に高周波電流を流し、効率的に渦電流損や吸収体損(磁性体損、誘電体損等)に変換してディファレンシャルモード放射ノイズを低減する。
【0011】(2)この時、共振電流を含む高周波電流により通常フレーム導体上に電位変動が起こりコモンモード放射ノイズが発生するため、フレーム導体を絶縁層を介して2重シールド構造とし、内部フレーム導体で打ち消せないコモンモード放射ノイズを外部フレーム導体で閉じ込めて低減する。内部フレーム導体のインピーダンスや高周波電流の大きさによってノイズ発生量が十分小さくなる場合は、外部フレーム導体、つまり2重シールド構造は不要となる。
【0012】
【作用】近傍電磁界エネルギー(ディファレンシャルモード放射ノイズ)の発生が高速信号を伝搬させる上で必然的であると考えると、発生したエネルギーを高速信号に影響を与えず効率良く渦電流損等に変換するシールド法が必要になる。
【0013】シールド効果は、到来した電磁界によりシールド板等のフレーム導体で電流が誘起され、もとの電磁界を相殺するような電磁界を発生させることにより得られる。電磁波(電磁界)が導体の表面に到来した時、一部は表面で反射され、反射されない部分は導体中を進み減衰していく。前者は反射損失と呼ばれ、効果は電界、磁界や波動インピーダンスに依存する。後者は、吸収損失と呼ばれ、近傍電磁界、遠方電磁界や電界、磁界によらず同様の効果を示す。実際には、数MHz以上で吸収損失が大勢を占め、シールド効果を十分得るためにはある程度の厚みが必要になる。この吸収損失は、電磁波が導体等の媒質内を伝搬するとき媒質内に誘起した電流によって生じる渦電流損等である。1次元モデルにおけるシールド板の吸収損失は単位表皮深さ(浸透深さ)δ当たり約9dBである。従って、同じ厚さであれば、周波数が高いほどシールド効果が向上する。しかし、実際上の問題として、完全な密閉形シールド構造は存在しないため材料自体の特性で決まる固有のシールド効果は得られず、継ぎ目等の開口部によってシールド効果が決まっている。開口部を有するシールド板の不連続性は、シールド板上を流れる誘起電流を異なった経路に流れるようにするためシールド効果を減少させている。現象的には、開口部の存在によりシールド板のインピーダンスが部分的に増加するため、電磁界を相殺する誘起電流が減少しシールド効果が低下する。1次元モデルの条件下では、基本的に誘起電流の流れる電流路に対する開口部の影響をできるだけ小さくすることが重要になる。
【0014】本発明の第一の手段は、電磁界のシールド現象において誘起電流(渦電流)の発生構造と発生方法を3次元的に考慮したもので、電磁界を相殺するための誘起電流と共振電流からなる高周波電流を十分に与え、最適なシールド条件を提供することを特徴とする。つまり、1次元モデルでは説明できない3次元構造の閉ループ電流路の形成と導体上の共振現象を用いることにより、実効的にインピーダンスを減少させて、電磁界を相殺する高周波電流の増加を図っている。この時発生する共振現象は閉ループ導体で形成される電流路の形状等で周波数領域が関係づけられる。誘起電流を基に共振現象により増加した高周波電流により、近傍電磁界エネルギーであるディファレンシャルモード放射ノイズを打ち消し、同時に効率的に渦電流損等を発生させてシールド効果を向上させている。
【0015】一方、閉ループ電流路上に共振電流を含む高周波電流が流れることにより導体(シールド板)上に電位変動が起こり、部分的に電磁放射ノイズ(コモンモード放射ノイズ)が発生する。この時の高周波電流は、近傍電磁界エネルギー(ディファレンシャルモード放射ノイズ)を打ち消すのに必要な分だけあればよい。もし、高周波電流が余分に流れ、上記した電磁放射ノイズ(コモンモード放射ノイズ)が大きい場合、これを抑制するための方法が幾つかある。
【0016】一つは、閉ループ電流路で形成される共振回路のQを低くして高周波電流(共振電流)を減少させる方法がある。例えば、閉ループ電流路を形成する導体材料の導電率を低くし、電磁放射ノイズ(コモンモード放射ノイズ及びディファレンシャルモード放射ノイズ)のシールドに対して適正な共振電流を与えることができる。
【0017】もう一つは、誘電体や磁性体からなる電波吸収体を閉ループ電流路内で特にループインピーダンスの高くなる部分(例えば、多層回路基板の層間接続部近傍等)に配置し、効率良く電磁放射ノイズを吸収させる方法である。
【0018】本発明の第2の手段は、絶縁層を介した2重の閉ループ電流路を十分に近接させて形成することにより、上記した電磁放射(コモンモード放射ノイズ)のシールドを実現している。つまり、閉ループを形成する2重シールド構造により内部導体で発生する近傍電界(コモンモード放射ノイズ)を外部導体で吸収して電磁放射ノイズをシールドしている。
【0019】
【実施例】図1は、本発明の実施例の一つであり、6層(S1、S2、V、G、S3、S4)の多層回路基板1に上下2層の外部グランド層(Go1、Go2)を加えた8層構造の回路基板2の断面図の一部を示す。
【0020】回路基板2では、シールドに必要となる3次元的な閉ループ電流路8を形成している。特に、シールドを必要とする高周波領域に対しては閉ループ電流路8を形成する各層間の接続部でインピーダンスが通常、数オーム以下になるようにするため、層間におけるパターン重なり部の面積増加、複数スルーホールの近接配置、ライン状接続構造等の手段を用いている。
【0021】例えば、ノイズ発生源の一つとして信号層(S2)3の信号ライン4(クロック等の高速信号を伝搬するライン等)に着目すると、外部グランド層(Go1)5、信号層(S1)6、信号層(S2)3、及び電源層(V)7の4層構造により、信号ライン4を3次元的に取り囲む構造、つまり電気的に閉ループ電流路8を形成している。
【0022】信号層(S2)3と電源層(V)7の場合は、回路基板2の周辺部でパターン重なり部面積を増加させて容量結合により電気的接続を行っている。これは、電源層(V)7のベタパターンが閉ループ電流路8と直流的に絶縁分離される必要があるためである。また、信号層(S1)6と信号層(S2)3の周辺部は、図9(後述)に示すスルーホール、ライン状接続構造等の手段により低インピーダンス化を図った構造で接続しているが、容量結合により電気的接続を行ってもよい。外部グランド層(Go1)5と信号層(S1)6の電気的接続は、各層の周辺部において容量結合やスルーホール、等を用いて行われている。特に、外部グランド層(Go1)5の場合、回路基板2の表面にLSI、IC、チップ等の搭載部品が多数個搭載される場合があり、閉ループ電流路8の形成が困難になる場合がある。この様な場合は、外部グランド層(Go1)5と接続される導体キャップ9で搭載部品10を覆って閉ループ電流路8を確保している。導体キャップ9と外部グランド層(Go1)5の接続部は、はんだや導電接着剤を用いている。搭載部品10のリペアが必要になる場合は、特に容量結合での電気的接続等を考慮することにより、導電性の接着剤である必要はない。
【0023】回路基板1上に形成される外部グランド層(Go1)5は、直接導電性塗料(ペースト)や、銅単体あるいはNi/Auめっきした銅金属箔等を用いる。また、修正(リペア)や組立性等を考慮して外部グランド層(Go1)5の強度を上げるためには、最外絶縁層(図番省略)となる絶縁シートに外部グランド層(Go1)5となる上記した金属箔シートや導電性塗料を貼り付け、塗布あるいは印刷して一体化したシート(通常は、I/O部、部品接続部等が存在するためベタパターン以外のパターンも含む)を予め形成しておいて、これを回路基板1に装着する方法もある。この場合、電磁放射ノイズの漏洩しやすい層間接続部等の近傍にシート状の電波吸収体(強誘電体、磁性体、及びこれらの組合せ)を配置(図中省略)して、電磁放射ノイズを効率良く吸収させている。同様に、回路基板1の中で層間接続部の近傍に用いる場合もある。
【0024】また、上記した導体キャップ9の形成方法の一つとして、上記した絶縁シートに金属箔シートや導電性塗料を貼り付け、塗布あるいは印刷して一体化したシートを用いる場合もある。更に、この一体化シートを2重に用いることにより局部的な2重シールドを行い、シールドを強化する場合もある。
【0025】図7、図8は、導体キャップ9とその接続構造を示す。何れも導体キャップ9を装着することにより回路基板のシールドを強化している。図7は、絶縁層2層49−1、49−2で挟み込みこまれ、4方向に裸の接続リード50−1、50−2、50−3、50−4を有するフィルムキャリア等で形成される導体キャップ51(9)であり、外部グランド層5(図1)と接続リード50とをAu/Snや低融点はんだ、あるいは導電接着剤等でタブ接続して搭載部品10を含めた回路基板2のシールドを強化している。図8の導体キャップ52(9)は、外部グランド層5との電気的接続部以外を絶縁層53−1、53−2、53−3で絶縁された2重構造の金属箔54−1、54−2を用いて一定の構造に成形されており、Au/Snやはんだを熱圧着方式を用いて外部グランド層5と接続部55−1、55−2、55−3、55−4と接続されている。
【0026】一方、外部グランド層(Go2)11、信号層(S4)12、信号層(S3)13、及びグランド層(G)14からなる4層構造の場合についても、上記した外部グランド層(Go1)5、信号層(S1)6、信号層(S2)3、及び電源層(V)7の4層構造と同様の働きがある。
【0027】図2は、上記した回路基板2において閉ループ電流路8を形成するための各層間のパターン重なり部面積、あるいはスルーホール等の電気的接続部を示す平面図の一例である。回路基板2のAA’線は、図1の断面図を与える切断位置を示す。
【0028】パターン面積の重なり部やスルーホール等の電気的接続部は、回路基板2の周辺部15のほかに、局部的に閉ループ電流路8を形成しシールドを強化した部分16、17もある。周辺部15の近傍に対しては特に電磁波の漏洩を防止するため、各層間に電波吸収体を配置、形成(図中省略)する場合が有る。
【0029】電気的接続部17では、ノイズ発生源(図中省略)に対して2重シールド構造とし、シールド効果を向上させている。特に、本実施例ではパターン重なり部の面積が全層でほぼ一致しているが、共振周波数領域等を考慮した効率的なシールドのためには必ずしもその必要はない。回路基板2の周辺部15等におけるパターン面積の重なり部では、電気的接続部の低インピーダンス化や回路基板2の小型化から必要になるパターン面積の低減等から、特に回路基板2の絶縁層(図1の)の誘電率を他のパターン周辺部と比べて数倍程度大きくする場合もある。また、回路基板2の周辺部15で各層間を電気的に接続するには、回路基板2の側面に導電性接着剤の塗布やチップ状のコンデンサを装着する等の方法もある。この場合、層間を電気的に接続するための上記した手段が省略あるいは簡略化されるため、回路基板2の小型化が図れる等のメリットがある。但し、電源層(V)7のような場合は、上記したように容量結合により接続される。
【0030】図3は、上記した外部グランド層(Go1)5、信号層(S1)6、信号層(S2)3、及び電源層(V)7の4層構造からなる3次元的な閉ル−プ電流路8を表す等価モデルである。この時、電源層(V)7は、着目している信号ライン4を有する信号層(S2)3に対して反射板(ミラー効果)の働きをし、リターン電流の通り道となる。等価モデルでは、外部グランド層(Go1)5と電源層(V)7との間の電気的接続を回路基板2の周辺部15における容量成分(Cs1)18と容量成分(Cs2)19で与えることにより閉ループ電流路8を形成している。容量成分(Cs1)18や容量成分(Cs2)19に替わり、スルーホール等のインピーダンス成分を考慮したモデルもあるが、同様に扱えるので省略する。一定の信号源(ωn)20から終端負荷(Zr)22に流れ込む信号電流(is)21は、電源層(V)7にリターン電流23を流す。この時、閉ループ信号回路24から放射される近傍磁界25は、磁気結合(誘導結合)により上記した閉ループ電流路8上に近傍磁界25を打ち消すように誘起電流(ie)26、つまり逆極性の近傍磁界27を発生する。周波数が高ければ高いほど表皮効果等により結合係数kが1に近づき打ち消し(シールド)効果が増加する。この時、誘起電流(ie)26の流れる閉ループ電流路8は、トランスモデルにおける2次回路となり、短絡負荷に近い状態で効率よく渦電流損を発生する。
【0031】図4は、上記した閉ループ電流路8の共振回路モデル28を示す。誘起電流(ie)26の流れる外部グランド層(Go1)5を抵抗成分(rg)29とインダクタンス成分(Lg)30に、電源層(V)7を抵抗成分(rv)31とインダクタンス成分(Lv)32に、そして外部グランド層(Go1)5と電源層(V)7の周辺部接続に対して容量成分(Cs1)18、(Cs2)19を与えて考えている。この時の共振周波数の領域は、閉ループ電流路8の構造に依存し、基本的にλ/2で関係付けられる。閉ループ電流路8が近傍磁界25のエネルギーを磁気結合により吸収し共振現象を起こすことにより、上記した特定の周波数領域において誘起電流(ie)26に共振電流33(図5に表示)を加えた高周波電流(26+33)を発生させ、実効的に誘起電流(ie)26の増加を図っている。この誘起電流(ie)26と共振電流33からなる高周波電流(26+33)が近傍磁界25を打ち消すことによりシールド効果を向上させ、同時に共振エネルギー、つまり近傍磁界25を効率良く渦電流損に変換している。
【0032】図5は、外部グランド層(Go1)5における高周波電流(26+33)の板厚方向に対する電流密度分布を示す。
【0033】共振現象が発生している場合、前記した閉ループ電流路8上に誘起電流26と共振電流33からなる高周波電流(26+33)を流すことによりディファレンシャルモード放射ノイズを打ち消している。しかし、共振電流33を含むことにより高周波電流(26+33)は外部グランド層(Go1)5の外側にも流れるため、外部グランド層(Go1)5の導体上に電位変動を起こし、ある程度の電磁放射ノイズ(コモンモード放射ノイズ)が発生する。この時の高周波電流(26+33)は、近傍電磁界エネルギー(ディファレンシャルモード放射ノイズ)を打ち消すのに必要な分だけあればよく、余分に流す必要はない。そこで、コモンモード放射ノイズを抑制するため、前記した閉ループ電流路8で形成される共振回路モデル28のQを低くして余分な共振電流33を減少させている。ここでは、閉ル−プ電流路8を形成する外部グランド層(Go1)5に用いた導体材料の導電率を低くし(シート抵抗値で数オーム/□程度)、電磁放射ノイズ(コモンモード放射ノイズとディファレンシャルモード放射ノイズ)のシールドに対して適正な共振電流33を与えている。
【0034】図6は本発明のもう一つの実施例であり、6層(S1、V、S2、S3、G、S4)の多層回路基板34に上下2層の外部グランド層(Go1、Go2)を加えた8層構造の回路基板35の断面図の一部を示す。回路基板35では、基板表面に搭載される部品を省略してある。
【0035】回路基板35では、シールドに必要となる3次元的な閉ループ電流路を複数個形成している。特に、シールドを必要とする高周波領域に対しては閉ループ電流路を形成する各層間の接続部でインピーダンスが通常、数オーム以下になるようにするため、層間におけるパターン重なり部の面積増加や複数スルーホール形成、ライン状接続構造等の手段を用いている。
【0036】例えば、ノイズ発生源の一つとして信号層(S2)42の信号ライン47(クロック等の高速信号を伝搬するライン等)に着目すると、回路基板34の層構成のうち電源層(V)41、信号層(S2)42、信号層(S3)43、グランド層(G)44の4層構造により信号ライン47を電気的に取り囲む構造、つまり3次元的に閉ループ電流路37を形成している。更に、回路基板35の層構成を用いて、外部グランド層(Go1)39、(Go2)46を加えた8層構造により、閉ループ電流路38を形成して2重シールドの構造を与えている。このように回路基板35の層構成を用いて2重シールドの構造をとることにより、他の信号ライン(ノイズ発生源)、例えば信号層(S1)40の信号ライン48−1、信号層(S4)45の信号ライン48−2等に対しても各々閉ループ電流路36−1、36−2を同時に実現している。特にクロック等の高速信号を伝搬するラインの場合、これらを積極的に信号層(S2)42や信号層(S3)43に配置して2重シールドの構造とすることにより電磁放射ノイズを大幅に低減している。
【0037】図9は、図6の実施例における回路基板35の電源層、グランド層を中心とした層間接続部の構造を示す。3次元的な閉ループ電流路37、38(1断面構造における2重ループを示す)を形成する場合、グランド層44と信号層42のベタパターンからなる接続部のインピーダンスを低減するため複数スルーホール56−1、56−2、・・・、56−nを出来るだけ連続的(高密度)に一直線に配置する構造やライン状の仕切り壁58を設ける構造(図中では、残りの2辺の接続構造を省略してある)を用いる。閉ループ電流路38の場合は、ライン状の仕切り壁57−1、57−2(57−3、57−4は図中省略)を用いている。回路基板35上に搭載部品やI/O部等が接続されるが、図中では省略してある。基本的には、3次元的な閉ループ電流路37、38でのインピーダンス変化が少ない構造としている。一方、電源層41と信号層42のベタパターンとの接続では、パターン重なり部の面積を増加させて容量結合59−2、59−4(59−1、59−3は省略)で対処している。
【0038】本実施例では、6層、及び6層基板を基にした8層の回路基板を対象に取り上げたが、両面回路基板においても外部グランド層を加えた3層、4層の回路基板とすることにより信号ラインを電気的に取り囲む構造、つまり3次元的に閉ループ電流路を形成できるため十分なシールド効果を得ることができる。
【0039】また、実施例で示したシールド方法は、対象を回路基板に限定せず、例えば回路基板に搭載される部品(LSI、IC、MCM等)やモジュール部品に対しても適用できる。これらを本発明の回路基板に搭載することにより、更にシールド効果を向上させることができる。
【0040】
【発明の効果】本発明は、少なくとも信号層、電源層、及びグランド層を有する回路基板構造において、電源層またはグランド層からなる2つの導体層で挾まれた信号層上の信号ラインを上記した導体層を用いて3次元的に取り囲んで電気的な閉ループ電流路を1重または2重に形成することにより、電磁放射ノイズを大幅に低減させる効果がある。更に、この結果から、筐体のシールド処理が不要になるため筐体材料のリサイクル効果もある。




 

 


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