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発明の名称 電界効果トランジスタ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−188273
公開日 平成6年(1994)7月8日
出願番号 特願平4−336992
出願日 平成4年(1992)12月17日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 工藤 真 / 谷本 ▲琢▼磨 / 三島 友義 / 樋口 克彦
要約 目的
低電流,低電力で低雑音,高性能動作する電界効果トランジスタを提供する。

構成
基板1上にアンドープのチャネル層3及び該チャネル層よりバンドギャップの大きなバリア層16を有し、上記バリア層は少なくとも2層の原子層ドーピング層を有し、それらの中で最も濃度の大きな層7と上記チャネル層とが少なくとも7ナノメートル離れ、少なくとも1層のドーピング濃度が少なくとも1平方センチメートル当たり5掛ける10の12乗個である電界効果トランジスタ。
特許請求の範囲
【請求項1】基板上にチャネル層及び、該チャネル層に接し、該チャネル層よりバンドギャップの大きな半導体層から成るバリア層を有し、上記基板とは反対側の表面上にソース,ドレイン,ゲート電極を有する電界効果トランジスタにおいて、上記バリア層は1ないし数原子層からなるドーピング層、いわゆる原子層ドーピング層をすくなくとも2層有し、該原子層ドーピング層の中で最もドーピング濃度の大きな層と上記チャネル層とが少なくとも7ナノメートル離れていること及び、上記原子層ドーピングのうち少なくとも1層のドーピング濃度が少なくとも1平方センチメートル当たり5掛ける10の12乗個であることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項2】請求項1記載の電界効果トランジスタにおいて、上記最もドーピング濃度の大きな原子層ドーピング層のチャネル側には、1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗を越えてドーピングしないことを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項3】基板上にチャネル層及び、該チャネル層に接し、該チャネル層よりバンドギャップの大きな半導体層から成るバリア層を有し、上記基板とは反対側の表面上にソース,ドレイン,ゲート電極を有する電界効果トランジスタにおいて、上記バリア層中にチャネル層からの距離が近い順に第1,第2の原子層ドーピング層を有し、該第1の原子層ドーピング層と上記チャネル層が少なくとも7ナノメートル離れていること及び、上記原子層ドーピングのうち少なくとも1層のドーピング濃度が少なくとも1平方センチメートル当たり5掛ける10の12乗個であることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項4】請求項3記載の電界効果トランジスタにおいて、上記第1の原子層ドーピング層のチャネル側には1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗を越えてドーピングしないことを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項5】基板上にチャネル層及び、該チャネル層に接し、該チャネル層よりバンドギャップの大きな半導体層から成るバリア層を有し、該基板とは反対側の表面上にソース,ドレイン,ゲート電極を有する電界効果トランジスタにおいて、上記バリア層中にチャネル層からの距離が近い順に第1,第2,第3の原子層ドーピング層を有し、上記第2の原子層ドーピング層と上記チャネル層が少なくとも7ナノメートル離れていること及び、上記原子層ドーピングのうち少なくとも1層のドーピング濃度が少なくとも1平方センチメートル当たり5掛ける10の12乗個であること及び、上記第1の原子層ドーピング層のドーピング濃度が1平方センチメートル当たり5掛ける10の11乗個を越えないことを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項6】請求項5記載の電界効果トランジスタにおいて、上記第2の原子層ドーピング層のチャネル側には1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗個を超えてドーピングしないことを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項7】上記基板が半絶縁性ガリウム砒素であり、チャネル層がガリウム砒素またはインジウムガリウム砒素またはガリウム砒素とインジウムガリウム砒素からなる超格子のいずれかであり、バリア層がアルミニウムガリウム砒素であり、ドーピング材料がシリコンまたはベリリウムまたはカーボンのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の電界効果トランジスタ。
【請求項8】上記基板が半絶縁性インジウム燐であり、チャネル層がインジウムガリウム砒素またはインジウムガリウム砒素アンチモンのいずれか、バリア層がインジウムアルミニウム砒素またはインジウム燐のいずれかであり、ドーピング材料がシリコンまたはベリリウムまたはカーボンのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の電界効果トランジスタ。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エピタキシャル成長により作製され、低電流,低消費電力にて高性能動作可能な移動無線用または衛星放送受診用高周波低雑音増幅器等に応用可能な電界効果トランジスタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電界効果トランジスタ、特に化合物半導体を材料としたHEMT(HighElectron Mobility Transistor)において、ガリウム砒素基板に格子整合する系としては、例えば特開昭63−60570 号に、また、より高性能なインジウムガリウム砒素をチャネル材料としたHEMTとしては例えば特開昭61−3464号に、また、インジウム燐基板を用いた例としては例えば特願平3−50839号に記載してあるように、そのバリア層の中でドーピングがなされている部分(以後、キャリア供給層と呼ぶ)のドーピング分布は均一であった。また、キャリア供給層に原子層ドーピングと均一ドーピングを併用し、ドーピング分布を変化させたHEMTとしては、特願平3−305929 号に記載してあるが、原子層ドーピングは効果的に用いられていなかった。また、ガリウム砒素チャネルHEMTのキャリア供給層に複数層の原子層ドーピングを用いた例は、アプライド・フィジックス・レターズ,55(1989年)第1888頁〜1890頁(Appl. Phys. Lett. 55(1989),pp1888−1890)に、アルミニウムアンチモン/インジウム砒素系に複数の原子層ドーピングを用いた例は、アイ・イー・イー・イー・エレクトロン・デバイス・レターズ、13(1992年)第164頁〜166頁(IEEE Electron Device Lett. 13(1992), pp164−166)にそれぞれ記載されているが、いずれの場合も原子層ドーピング濃度は1平方センチメートル当たり5掛ける10の11乗個から1掛ける10の12乗個と小さく、バリア層薄層化のために原子層ドーピングが効果的に用いられているとは言えなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えば携帯電話などの増幅器やミキサ等に電界効果トランジスタを利用する場合、低消費電力で低雑音であることが必要である。電界効果トランジスタの雑音の指標である雑音指数は、電界効果トランジスタの重要な性能指数の1つである相互コンダクタンスに依存する量であり、相互コンダクタンスが大きいほど雑音指数は小さい。この相互コンダクタンスは、特にゲート長が0.5 ミクロン以下の領域において、キャリアの飽和速度及び移動度に比例し、かつゲート電極からキャリア電子までの平均的な距離に反比例する。つまり、電界効果トランジスタの特性を改善するには、キャリアの飽和速度あるいは移動度を増加させるか、ゲート電極からキャリア電子の存在するチャネル層までの距離を短縮することが必須である。
【0004】これらの課題のうち、キャリアの飽和速度はチャネル材料によって決まる値であり、チャネル材料の格子定数と用いる基板の格子定数を格子整合させるか、歪チャネルとする場合でもその格子不整合の程度を数%としなければ限界膜厚によりチャネル層に転位が発生し移動度や相互コンダクタンス等の特性が劣化してしまうため、その組合せには限界がある。また、キャリアの移動度についてもキャリアの飽和速度の場合とほぼ同様のことが言えるが、移動度は、キャリア供給層のドーピング濃度やその分布形状によっても変化するので一概には言えない。移動度については後述する。
【0005】次に、ゲート電極からチャネル層までの距離を短縮するためには、前述のキャリア供給層を薄くすることが必要である。以下、図を用いて詳しく説明する。
【0006】図2に従来の電界効果トランジスタの例として、典型的なHEMTの断面構造概略図を示す。この構造のHEMTにおいて、ゲート電極からチャネル層までの距離Lはアンドープアルミニウムガリウム砒素層7(15ナノメートル)とn型アルミニウムガリウム砒素層6(23ナノメートル、シリコン濃度:1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗個)とアンドープアルミニウムガリウム砒素スペーサー層5(2ナノメートル)の厚さを足した値、つまり40ナノメートルとなっていた。
【0007】ここでアンドープアルミニウムガリウム砒素層7はゲート耐圧確保のため少なくとも10ナノメートル程度の厚さが必要であり、また、アンドープアルミニウムガリウム砒素スペーサー層5はチャネルの電子移動度確保のため最低2ナノメートル必要である。それ故、これらの層の大幅な薄層化は期待できない。そこで、n型アルミニウムガリウム砒素層キャリア供給層6を薄くすることが必要となるが、HEMTのしきい電圧及びチャネルのキャリアの量を一定とするためには、キャリア供給層を薄くした分ドーピング濃度を高くしなければならない。
【0008】アルミニウムガリウム砒素にシリコンを均一にドーピングする場合、1立方センチメートル当たり5掛ける10の18乗個程度が再現性良くドーピングできる濃度の上限である。この濃度を用いると、しきい電圧を変化させずにキャリア供給層の厚さを12.8 ナノメートル程度まで薄くできるが、この結果チャネル層の近くに通常の2倍以上のイオン化ドナー不純物が存在することになるためチャネル層の電子移動度は大きく劣化し、相互コンダクタンスも減少してしまう。また、キャリア供給層のドーピング分布を変化させチャネルの移動度が劣化しないように調整した場合でも、均一ドーピングと一層の原子層ドーピングでは、キャリア供給層の厚さは十数ナノメートル程度より薄くすることはできない。
【0009】ゲート電極からキャリア電子までの距離Lを短縮することで更に高性能化を図るためには、チャネル層のキャリアの移動度を減少させず、またしきい電圧も変化させずに、キャリア供給層を充分薄層化する必要がある。
【0010】本発明の目的は上記課題を解決することにあり、チャネル層の移動度を低下させずにゲート電極とチャネル層の間の距離を短縮することにより、低電流,低消費電力において高性能動作可能な電界効果トランジスタを作製することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、基板上にチャネル層及び、該チャネル層に接し、該チャネル層よりバンドギャップの大きな半導体層から成るバリア層を有し、上記基板とは反対側の表面上にソース,ドレイン,ゲート電極を有する電界効果トランジスタにおいて、上記バリア層中にすくなくとも2層の原子層ドーピング層を形成し、該原子層ドーピング層の中で最もドーピング濃度の大きな層と上記チャネル層との距離をを少なくとも7ナノメートルとし、上記原子層ドーピング層のうち少なくとも1層のドーピング濃度を1平方センチメートル当たり5掛ける10の12乗個よりも大きくすることによって達成される。
【0012】また上記目的を達成するためには、上記最もドーピング濃度の大きな原子層ドーピング層のチャネル側には1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗を越えてドーピングしないことが重要である。
【0013】また上記目的は、基板上にチャネル層及び、該チャネル層に接し、該チャネル層よりバンドギャップの大きな半導体層から成るバリア層を有し、該基板とは反対側の表面上にソース,ドレイン,ゲート電極を有する電界効果トランジスタにおいて、上記バリア層中にチャネル層からの距離が近い順に第1,第2の原子層ドーピング層を形成し、上記第1の原子層ドーピング層と上記チャネル層との距離を少なくとも7ナノメートルとし、上記原子層ドーピング層のうち少なくとも1層のドーピング濃度を1平方センチメートル当たり5掛ける10の12乗個よりも大きくすることによっても達成される。
【0014】また上記目的を達成するためには、上記第1の原子層ドーピング層のチャネル側には1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗を越えてドーピングしないことが重要である。
【0015】また上記目的は、基板上にチャネル層及び、該チャネル層に接し、該チャネル層よりバンドギャップの大きな半導体層から成るバリア層を有し、上記基板とは反対側の表面上にソース,ドレイン,ゲート電極を有する電界効果トランジスタにおいて、上記バリア層中にチャネル層からの距離が近い順に第1,第2,第3の原子層ドーピング層を形成し、該第2の原子層ドーピング層と上記チャネル層との距離を少なくとも7ナノメートルとし、上記原子層ドーピング層のうち少なくとも1層のドーピング濃度を1平方センチメートル当たり5掛ける10の12乗個よりも大きくし、上記第1の原子層ドーピング層のドーピング濃度が1平方センチメートル当たり5掛ける10の11乗個を越えないようにすることによっても達成される。
【0016】また上記目的を達成するためには、上記第1と第2の原子層ドーピング層に挟まれた半導体層のドーピング濃度が1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗個を超えないようにすることも重要である。
【0017】また、上記基板が半絶縁性ガリウム砒素である場合、チャネル層の代表的な材料はガリウム砒素またはインジウムガリウム砒素またはガリウム砒素とインジウムガリウム砒素からなる超格子であり、バリア層の代表的な材料はアルミニウムガリウム砒素であり、また、ドーピング材料として代表的な物質はシリコンまたはベリリウムまたはカーボンである。
【0018】また、上記基板が半絶縁性インジウム燐である場合、チャネル層の代表的な材料はインジウムガリウム砒素またはインジウムガリウム砒素アンチモンであり、バリア層の代表的な材料はインジウムアルミニウム砒素またはインジウム燐であり、また、ドーピング材料として代表的な物質はシリコンまたはベリリウムまたはカーボンである。
【0019】
【作用】従来例で問題となった、キャリア供給層を薄層化し、高ドーピング濃度化することによるチャネル移動度の低下は、高濃度の原子層ドーピング層をチャネル層から少なくとも7ナノメートル離すことにより抑えられる。高濃度の原子層ドーピング層とチャネル層の距離を7ナノメートルとするとチャネルの移動度はドーピング濃度に関係なく非常に高い値を示す。また、複数の原子層ドーピング層のうち少なくとも1層のドーピング濃度を1平方センチメートル当たり5掛ける10の12乗個よりも大きくすることにより、チャネル層内に充分キャリアを蓄えた状態でキャリア供給層を大幅に薄層化できる。
【0020】本発明によりゲートからチャネル層までの距離Lは従来型HEMTに比べ約40%短縮され約24ナノメートルとなり、相互コンダクタンスを増加させることができる。また、チャネル層から7ナノメートルより近い位置のバリア層中に原子層ドーピングを施す場合は、その濃度が1平方センチメートル当たり5掛ける10の11乗を越えないようにすることにより、チャネルの移動度を低下させずにしきい電圧の再現性を向上させることができる。
【0021】
【実施例】実施例1図1は基板としてガリウム砒素,チャネル層としてインジウムガリウム砒素,バリア層としてアルミニウムガリウム砒素,ドーピング材料としてシリコンを用いたHEMT型電界効果トランジスタの断面構造概略図である。
【0022】まず、MBE装置により基板温度550℃の条件のもとで図1に示すような構造、つまり半絶縁性ガリウム砒素基板1上にアンドープガリウム砒素バッファ層2を500ナノメートル、ここで基板温度を450℃に下げアンドープインジウムガリウム砒素層3(インジウム組成比0.25)を8ナノメートル、アンドープアルミニウムガリウム砒素層4(アルミニウム組成比0.25)を2ナノメートル、n型アルミニウムガリウム砒素層6(ドーピング濃度1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗個、アルミニウム組成比0.25)をaナノメートル、シリコン原子層ドーピング7を1平方センチメートル当たりδ1 個、n型アルミニウムガリウム砒素層8(ドーピング濃度1立方センチメートル当たり5掛ける10の18乗個、アルミニウム組成比0.25)を2ナノメートル、シリコン原子層ドーピング9を1平方センチメートル当たりδ2 個、アンドープアルミニウムガリウム砒素層10(アルミニウム組成比0.25)を15ナノメートル、n型ガリウム砒素層11(ドーピング濃度1立方センチメートル当たり3掛ける10の18乗個)を160ナノメートル順次エピタキシャル成長した。
【0023】MBE法により上記各層をエピタキシャル成長した後、通常のメサエッチング工程,ソース,ゲート,ドレイン電極12,13,14形成工程を経てゲート長0.15ミクロン,ゲート幅200ミクロンのHEMTを作製した。
【0024】図3は、シリコン原子層ドーピング7からチャネル層までの距離d(上記n型アルミニウム砒素層6の厚さa+アンドープアルミニウムガリウム砒素層4の厚さ2ナノメートル)を横軸、チャネル層の移動度を縦軸、シリコン原子層ドーピング7のドーピング濃度をパラメーターとした実験結果である。なお、ここでシリコン原子層ドーピング9のドーピング濃度δ2 は、各試料のしきい電圧が一定となるように決定した。
【0025】本図のように、シリコン原子層ドーピング7からチャネル層までの距離dが7ナノメートル以上では、シリコン原子層ドーピング7のドーピング濃度を変化させてもチャネルの移動度は変化せず、1ボルト秒当たり約6000平方センチメートルを越えた。この値は、従来型HEMTのチャネルをインジウムガリウム砒素とした歪チャネルHEMTの移動度に匹敵する値であり、それにもかかわらず、ゲート電極からチャネル層までの距離Lは大幅に短縮され、上記変数が上記n型アルミニウムガリウム砒素層6の厚さa=5ナノメートル、δ1 =1平方センチメートルあたり1掛ける10の13乗個、δ2 =1平方センチメートルあたり1.5 掛ける10の12乗個の条件にて動作電流2ミリアンペアにおける相互コンダクタンスはゲート幅200ミクロン当たり35ミリジーメンスと従来の値の1.3から1.5倍となった。
【0026】この結果により、非常に高濃度の原子層ドーピング7を用いても、チャネル層からの距離を少なくとも7ナノメートルとし、1平方センチメートル当たり5掛ける10の12乗よりも高濃度の原子層ドーピング層を少なくとも1層用いることにより、チャネルの移動度を劣化させることなくキャリア供給層を薄層化でき、結果としてゲート電極からチャネルまでの距離Lが短縮され、相互コンダクタンスが向上する。
【0027】ここで、原子層ドーピング7からチャネルまでの距離dは7ナノメートルが望ましいが、これより大きければ、チャネルの移動度を低下させることは無いので、最終的にゲート電極からチャネル層までの距離Lを短縮できれば充分効果が期待できる。
【0028】また、本実施例において、アンドープアルミニウムガリウム砒素層4の厚さを2ナノメートル、n型アルミニウムガリウム砒素層6の厚さを5ナノメートルとしたが、アンドープアルミニウムガリウム砒素層4の厚さとn型アルミニウムガリウム砒素層6の厚さを合わせて少なくとも7ナノメートルであれば良い。
【0029】本実施例で得られた相互コンダクタンスから判断すると同構造のHEMTの雑音指数は低電流動作領域において従来のHEMTに比べ低雑音となることが明らかである。また、本実施例で得られた相互コンダクタンスから判断すると同構造のHEMTの雑音指数を低消費電力低雑音増幅器として用いることにより優れた性能が得られることは言うまでもない。
【0030】本実施例において、n型アルミニウムガリウム砒素層6のドーピング濃度は1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗個としたが、n型アルミニウムガリウム砒素層6のドーピング濃度と移動度との関係を表した図6に示すように、通常この値を越えなければチャネルの移動度を低下させることは無い。
【0031】また、本実施例において、n型アルミニウムガリウム砒素層8のドーピング濃度は1立方センチメートル当たり5掛ける10の18乗個としたが、通常は安定してドーピング制御できる範囲すなわち1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗個から5掛ける10の18乗個の範囲で用いると良い。
【0032】また、本実施例においてアンドープアルミニウムガリウム砒素層10の厚さを15ナノメートルとしたが、アルミニウム組成が0.2〜0.3では通常10ナノメートルより厚ければゲート耐圧を確保できる。
【0033】また、本実施例ではシリコンをドーピングしたが、テルルを用いても同様の効果が得られることはいうまでもなく、p型の電界効果トランジスタを作製する場合は、ベリリウムまたはカーボンをドーピング材料として用いれば良い。
【0034】また、本実施例においてバリア層16のアルミニウム組成比は0.25 としたが、通常n型の電界効果トランジスタであれば0.1から0.3、p型の電界効果トランジスタであれば0.3から1.0において良好な結果が得られた。
【0035】また、本実施例におけるソース及びドレイン電極はn型ガリウム砒素厚膜キャップ層への半埋込構造としたが、かならずしもこの構造にしなければいけないわけでなく、アルミニウムガリウム砒素層10上に直接形成しても良い。
【0036】また、本実施例においてチャネル層3はインジウムガリウム砒素層としたが、ガリウム砒素層またはガリウム砒素層とインジウムガリウム砒素層からなる超格子、またはガリウム砒素層とインジウム砒素層からなる超格子、またはガリウム砒素層とインジウムガリウム砒素層とインジウム砒素層からなる超格子としても良い。ここで、チャネルに接して基板側にバンドギャップの大きな半導体層例えばアルミニウムガリウム砒素層を少なくとも5ナノメートル挿入すると、低電流動作領域における相互コンダクタンスがさらに向上する。ガリウム砒素層をチャネルとする場合は、チャネルの厚さを6から15ナノメートルとし、その基板側に接してアルミニウムガリウム砒素層を少なくとも5ナノメートル挿入すればその効果が大きいことはいうまでもない。また、上記チャネルの基板側に接するバンドギャップの大きな半導体層は、その平均のバンドギャップがチャネルの平均のバンドギャップより大きければ、複数の半導体層から成る超格子であっても良い。
【0037】また、本実施例では原子層ドーピング層7,9を450℃にて形成したが、通常430℃〜510℃の範囲であれば再現性良く形成可能である。
【0038】また、本実施例ではアルミニウムガリウム砒素/インジウムガリウム砒素/ガリウム砒素系について述べたが、もちろんこの系に限定することは無く、インジウムアルミニウム砒素/インジウムガリウム砒素/インジウム燐系,アルミニウムアンチモン/ガリウムアンチモン/インジウム砒素系などのIII−V 族化合物半導体系はもちろん、II−IV族化合物半導体系やII−VI族化合物半導体系、あるいは上記様々な系を組み合わせた電界効果トランジスタにおいても同様に適用できる。
【0039】実施例2図4は基板としてガリウム砒素,チャネル層としてインジウムガリウム砒素,バリア層としてアルミニウムガリウム砒素,ドーピング材料としてシリコンを用いたHEMT型電界効果トランジスタの断面構造概略図である。
【0040】まず、MBE装置により基板温度550℃の条件のもとで図4に示すような構造、つまり半絶縁性ガリウム砒素基板1上にアンドープガリウム砒素バッファ層2を500ナノメートル、ここで基板温度を450℃に下げアンドープインジウムガリウム砒素層3(インジウム組成比0.25)を8ナノメートル、アンドープアルミニウムガリウム砒素層4(アルミニウム組成比0.25)を2ナノメートル、シリコン原子層ドーピング5を1平方センチメートル当たり5掛ける10の11乗個、n型アルミニウムガリウム砒素層6(ドーピング濃度1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗個、アルミニウム組成比0.25)を5ナノメートル、シリコン原子層ドーピング7を1平方センチメートル当たり1掛ける10の13乗個、n型アルミニウムガリウム砒素層8(ドーピング濃度1立方センチメートル当たり5掛ける10の18乗個、アルミニウム組成比0.25)を2ナノメートル、シリコン原子層ドーピング9を1平方センチメートル当たり1.5掛ける10の12乗個、アンドープアルミニウムガリウム砒素層10(アルミニウム組成比0.25)を15ナノメートル、n型ガリウム砒素層11(ドーピング濃度1立方センチメートル当たり3掛ける10の18乗個)を160ナノメートル順次エピタキシャル成長した。
【0041】MBE法により上記各層をエピタキシャル成長した後、通常のメサエッチング工程,ソース,ゲート,ドレイン電極12,13,14形成工程を経てゲート長0.15ミクロン,ゲート幅200ミクロンのHEMTを作製した。
【0042】本実施例のHEMTをドレイン−ソース間電流2ミリアンペアにて動作させたところ、相互コンダクタンスはゲート幅200ミクロン当たり35ミリジーメンスと従来の値の1.3から1.5倍となった。つまり、キャリア供給層薄層化のため1平方センチメートル当たり5掛ける10の12乗を越える高濃度の原子層ドーピング7を用いても、チャネル層からの距離dを少なくとも7ナノメートルとすることにより、チャネルの移動度を劣化させることなくゲート電極からチャネルまでの距離Lを短縮でき、相互コンダクタンスが向上する。
【0043】ここで、原子層ドーピング7からチャネルまでの距離dは7ナノメートルが望ましいが、これより大きければ、チャネルの移動度を低下させることは無いので、最終的にゲート電極からチャネル層までの距離Lを短縮できれば充分効果が期待できる。
【0044】また、本実施例において、アンドープアルミニウムガリウム砒素層4の厚さを2ナノメートル、n型アルミニウムガリウム砒素層6の厚さを5ナノメートルとしたが、アンドープアルミニウムガリウム砒素層4の厚さとn型アルミニウムガリウム砒素層6の厚さを合わせて少なくとも7ナノメートルであれば良い。
【0045】また、本実施例においてシリコン原子層ドーピング層5を1平方センチメートル当たり5掛ける10の11乗個としたが、シリコン原子層ドーピング層5の濃度と移動度の関係を表した図7に示すように、シリコン原子層ドーピング層5の濃度が1平方センチメートル当たり5掛ける10の11乗個を越えなければチャネルの移動度を低下させることはない。この層によりチャネルのキャリアは増加し、しきい電圧の再現性が向上する。
【0046】また、本実施例で得られた相互コンダクタンスから判断すると同構造のHEMTの雑音指数は低電流動作領域において従来のHEMTに比べ低雑音と成ることが明らかである。
【0047】また、本実施例で得られた相互コンダクタンスから判断すると同構造のHEMTの雑音指数を低消費電力低雑音増幅器として用いることにより優れた性能が得られることは言うまでもない。
【0048】本実施例において、n型アルミニウムガリウム砒素層6のドーピング濃度は1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗個としたが、通常この値を越えなければチャネルの移動度を低下させることは無い。
【0049】また、本実施例において、n型アルミニウムガリウム砒素層8のドーピング濃度は1立方センチメートル当たり5掛ける10の18乗個としたが、通常は1立方センチメートル当たり2から5掛ける10の18乗個の範囲で用いると良い。
【0050】また、本実施例においてアンドープアルミニウムガリウム砒素層10の厚さを15ナノメートルとしたが、アルミニウム組成が0.2〜0.3では通常10ナノメートルより厚ければゲート耐圧を確保できる。
【0051】また、本実施例ではシリコンをドーピングしたが、テルルを用いても同様の効果が得られることはいうまでもなく、p型の電界効果トランジスタを作製する場合は、ベリリウムまたはカーボンをドーピング材料として用いれば良い。
【0052】また、本実施例においてバリア層16のアルミニウム組成比は0.25 としたが、通常n型の電界効果トランジスタであれば0.1から0.3、p型の電界効果トランジスタであれば0.3から1.0において良好な結果が得られた。
【0053】また、本実施例におけるソース及びドレイン電極はn型ガリウム砒素厚膜キャップ層への半埋込構造としたが、かならずしもこの構造にしなければいけないわけでなく、アルミニウムガリウム砒素層10上に直接形成しても良い。
【0054】また、本実施例においてチャネル層3はインジウムガリウム砒素層としたが、ガリウム砒素層またはガリウム砒素層とインジウムガリウム砒素層からなる超格子、またはガリウム砒素層とインジウム砒素層からなる超格子、またはガリウム砒素層とインジウムガリウム砒素層とインジウム砒素層からなる超格子としても良い。ここで、チャネルに接して基板側にバンドギャップの大きな半導体層例えばアルミニウムガリウム砒素層を少なくとも5ナノメートル挿入すると、低電流動作領域における相互コンダクタンスがさらに向上する。ガリウム砒素層をチャネルとする場合は、チャネルの厚さを6から15ナノメートルとし、その基板側に接してアルミニウムガリウム砒素層を少なくとも5ナノメートルとすればその効果が大きいことはいうまでもない。また、上記チャネルの基板側に接するバンドギャップの大きな半導体層は、その平均のバンドギャップがチャネルの平均のバンドギャップより大きければ複数の半導体層から成る超格子であっても良い。
【0055】また、本実施例では原子層ドーピング層5,7,9を450℃にて形成したが、通常430℃〜510℃の範囲であれば再現性良く形成可能である。
【0056】また、本実施例ではアルミニウムガリウム砒素/インジウムガリウム砒素/ガリウム砒素系について述べたが、もちろんこの系に限定することは無く、インジウムアルミニウム砒素/インジウムガリウム砒素/インジウム燐系,アルミニウムアンチモン/ガリウムアンチモン/インジウム砒素系などのIII−V 族化合物半導体系はもちろん、II−IV族化合物半導体系やII−VI族化合物半導体系、あるいは上記様々な系を組み合わせた電界効果トランジスタにおいても同様に適用できる。
【0057】実施例3図5は基板としてインジウム燐,チャネル層としてインジウムガリウム砒素,バリア層としてインジウムアルミニウム砒素,ドーピング材料としてシリコンを用いたHEMT型電界効果トランジスタの断面構造概略図である。
【0058】まず、MBE装置により基板温度480℃の条件のもとで図4に示すような構造、つまり半絶縁性インジウム燐基板21上にアンドープインジウムアルミニウム砒素バッファ層22(インジウム組成比0.52)を500ナノメートル、アンドープインジウムガリウム砒素層23(インジウム組成比0.53)を270ナノメートル、アンドープインジウムアルミニウム砒素層24(インジウム組成比0.52)を2ナノメートル、シリコン原子層ドーピング5を1平方センチメートル当たり5掛ける10の11乗個、n型インジウムアルミニウム砒素層25(ドーピング濃度1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗個、インジウム組成比0.52)を5ナノメートル、シリコン原子層ドーピング7を1平方センチメートル当たり1掛ける10の13乗個、n型インジウムアルミニウム砒素層26(ドーピング濃度1立方センチメートル当たり5掛ける10の18乗個、インジウム組成比0.52)を2ナノメートル、シリコン原子層ドーピング9を1平方センチメートル当たり1.5 掛ける10の12乗個、アンドープインジウムアルミニウム砒素層27(インジウム組成比0.53)を15ナノメートル、n型インジウムガリウム砒素層28(ドーピング濃度1立方センチメートル当たり3掛ける10の18乗個、インジウム組成比0.53)を160ナノメートル順次エピタキシャル成長した。
【0059】MBE法により上記各層をエピタキシャル成長した後、通常のメサエッチング工程,ソース,ゲート,ドレイン電極12,13,14形成工程を経てゲート長0.15ミクロン,ゲート幅200ミクロンのHEMTを作製した。
【0060】動作電流2ミリアンペアにおける相互コンダクタンスはゲート幅200ミクロン当たり63ミリジーメンスと従来の値の2.3から2.7倍となった。この結果により、キャリア供給層の薄層化のため1平方センチメートル当たり5掛ける10の12乗個を越える高濃度の原子層ドーピング7を用いても、チャネル層からの距離dを少なくとも7ナノメートルとすることにより、チャネルの移動度を劣化させることなくゲート電極からチャネルまでの距離Lを短縮でき、相互コンダクタンスが向上する。
【0061】ここで、原子層ドーピング7からチャネルまでの距離dは7ナノメートルが望ましいが、これより大きければ、チャネルの移動度を低下させることは無いので、最終的にゲート電極からチャネル層までの距離Lを短縮できれば充分効果が期待できる。
【0062】また、本実施例において、アンドープインジウムアルミニウム砒素層24の厚さを2ナノメートル、n型インジウムアルミニウム砒素層25の厚さを5ナノメートルとしたが、アンドープインジウムアルミニウム砒素層24の厚さとn型インジウムアルミニウム砒素層25の厚さを合わせて少なくとも7ナノメートルであれば良い。
【0063】また、本実施例で得られた相互コンダクタンスから判断すると同構造のHEMTの雑音指数は低電流動作領域において従来のHEMTに比べ低雑音と成ることが明らかである。
【0064】また、本実施例で得られた相互コンダクタンスから判断すると同構造のHEMTの雑音指数を低消費電力低雑音増幅器として用いることにより優れた性能が得られることは言うまでもない。
【0065】本実施例において、n型インジウムアルミニウム砒素層25のドーピング濃度は1立方センチメートル当たり2掛ける10の18乗個としたが、通常この値を越えなければチャネルの移動度を低下させることは無い。
【0066】また、本実施例において、n型インジウムアルミニウム砒素層8のドーピング濃度は1立方センチメートル当たり5掛ける10の18乗個としたが、通常は1立方センチメートル当たり2から7掛ける10の18乗個の範囲で用いると良い。
【0067】また、本実施例においてシリコン原子層ドーピング層5を1平方センチメートル当たり5掛ける10の11乗個としたが、通常この値を越えなければチャネルの移動度を低下させることはない。この層によりチャネルのキャリアは増加し、しきい電圧の再現性が向上する。
【0068】また、本実施例ではシリコンをドーピングしたが、テルルを用いても同様の効果が得られることはいうまでもなく、p型の電界効果トランジスタを作製する場合は、ベリリウムまたはカーボンをドーピング材料として用いれば良い。
【0069】また、本実施例におけるソース及びドレイン電極はn型インジウムガリウム砒素厚膜キャップ層への半埋込構造としたが、かならずしもこの構造にしなければいけないわけでなく、インジウムアルミニウム砒素層27上に直接形成しても良い。
【0070】また、本実施例においてチャネル層23はインジウムガリウム砒素層としたが、ガリウム砒素層またはインジウム砒素、またはガリウム砒素層とインジウムガリウム砒素層からなる超格子、またはガリウム砒素層とインジウム砒素層からなる超格子、またはガリウム砒素層とインジウムガリウム砒素層とインジウム砒素層からなる超格子としても良い。ここで、チャネルに接して基板側にバンドギャップの大きな半導体層例えばアルミニウムガリウム砒素層を少なくとも5ナノメートル挿入すると、低電流動作領域における相互コンダクタンスがさらに向上する。また、上記チャネルの基板側に接するバンドギャップの大きな半導体層は、その平均のバンドギャップがチャネルの平均のバンドギャップより大きければ、複数の半導体層から成る超格子であっても良い。
【0071】また、本実施例では原子層ドーピング層5,7,9を450℃にて形成したが、通常430℃〜510℃の範囲であれば再現性良く形成可能である。
【0072】また、本実施例ではインジウムアルミニウム砒素/インジウムガリウム砒素/インジウム燐系について述べたが、もちろんこの系に限定することは無く、アルミニウムガリウム砒素/インジウムガリウム砒素/ガリウム砒素系、アルミニウムアンチモン/ガリウムアンチモン/インジウム砒素系などのIII−V 族化合物半導体系はもちろん、II−IV族化合物半導体系やII−VI族化合物半導体系、あるいは上記様々な系を組み合わせた電界効果トランジスタにおいても同様に適用できる。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、低電流で高性能動作する電界効果トランジスタが作製可能となり、低消費電力低雑音素子として利用したときに大きな効果がある。




 

 


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