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発明の名称 電力変換器の冷却装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−163769
公開日 平成6年(1994)6月10日
出願番号 特願平4−315229
出願日 平成4年(1992)11月25日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】鵜沼 辰之
発明者 斎藤 秀治 / 坪井 孝 / 堀江 哲 / 安藤 武 / 豊田 瑛一 / 松井 孝行 / ▲高▼久 敏彦 / 中村 清 / 仲田 清 / 桑原 平吉 / 井坂 功一
要約 目的
冷却器システムを含めて装置全体を小形化すること。

構成
電力変換器の構成部品を収納する筐体6に受熱板31,32を支持させ、受熱板31,32の一方の面に半導体スイッチモジュールSM1〜SM4を装着し、他方の面にヒートパイプ51の一方の直状部を埋め込み、ヒートパイプ51の他方の直状部を筐体6の外部に引き出し、その直状部に放熱フィン52を取り付けて冷却装置を構成する。半導体スイッチモジュールSM1〜SM4はそれぞれ同一時にオンしないから、受熱板31,32への入熱量が均一化される。これにより、冷却器53,54を小形にできる。
特許請求の範囲
【請求項1】 電力変換器の少なくとも主回路の半導体スイッチ素子を受熱板の一方の面に装着し、前記受熱板の他方の面にL形に曲折したヒートパイプの一方の直状部を当該受熱板の板面に沿わせて埋め込み、前記ヒートパイプの他方の直状部に放熱フィンを取り付けてなる電力変換器の冷却装置。
【請求項2】 請求項1において、前記受熱板が前記電力変換器の構成部品を収納する筐体の外壁面の一部を構成してなる電力変換器の冷却装置。
【請求項3】 請求項1又は2において、前記ヒートパイプが前記受熱板に対して複数設けられ、該複数のヒートパイプが少なくとも2列に分割して配列されてなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項4】 請求項3において、前記受熱板が前記ヒートパイプの分割に合わせて少なくとも2つに分割して設けられていることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記受熱板に一方の側端部から他方の側端部に向けてヒートパイプ挿通孔を穿設し、該挿通孔に前記ヒートパイプの直状部を挿入し、空隙部に熱伝導性を有する充填材を充填してなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項6】 請求項3において、前記受熱板に一方の側端部から他方の側端部に向けてヒートパイプ挿通孔を列ごとに配列方向の位置をずらして穿設し、前記ヒートパイプの直状部が埋め込まれる部分を除きヒートパイプ挿通孔の挿入側の一部を開口溝状に形成し、前記ヒートパイプの直状部を対応する前記ヒートパイプ挿通孔に挿入し、空隙部に熱伝導性を有する充填材を充填してなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかにおいて、前記受熱板が第1と第2の受熱板を重ね合わせてなり、第1の受熱板側に前記半導体スイッチ素子を取り付け、第2の受熱板側に前記ヒートパイプを埋め込んでなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかにおいて、前記ヒートパイプの埋込部と露出部の境界部を樹脂で被覆してなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項9】 電力変換器の少なくとも主回路の半導体スイッチ素子を受熱板の一方の面に装着し、前記受熱板の他方の面にL形に曲折したヒートパイプの一方の直状部を当該受熱板の板面に沿わせて埋め込み、前記ヒートパイプの他方の直状部に放熱フィンを取り付け、前記受熱板を前起電力変換器の構成部品を収納する筐体の垂直外壁面の一部を構成するように当該筐体に取り付けてなる電力変換器の冷却装置。
【請求項10】 請求項9において、前記放熱フィンが取り付けられたヒートパイプの直状部が、水平面に対して上方に傾斜してなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項11】 請求項9又は10において、前記ヒートパイプが前記受熱板に対して複数設けられ、該複数のヒートパイプが垂直方向に少なくとも2段に分割して配列されてなることを特徴とする電車用インバータ装置の冷却装置。
【請求項12】 請求項10において、前記受熱板が前記ヒートパイプの分割に合わせて垂直方向に分割して設けられていることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項13】 請求項9乃至12のいずれかにおいて、前記受熱板の上端部から下端部に向けてヒートパイプ挿通孔を穿設し、該挿通孔に前記ヒートパイプの直状部を挿入し、空隙部に熱伝導性を有する充填材を充填してなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項14】 請求項12において、前記受熱板の上端部から下端部に向けてヒートパイプ挿通孔を段ごとに配列方向の位置をずらして穿設し、前記ヒートパイプの直状部が埋め込まれる部分を除きヒートパイプ挿通孔の挿入側の一部を開口溝状に形成し、前記ヒートパイプの直状部を対応する前記ヒートパイプ挿通孔に挿入し、空隙部に熱伝導性を有する充填材を充填してなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項15】 請求項9乃至14のいずれかにおいて、前記ヒートパイプは、冷媒液として水が封入され、かつ内部が負圧に形成されてなり、前記水の初期水位が少なくとも前記受熱板に埋め込まれたヒートパイプの埋込部と露出部との境界よりも埋込部側に設定されてなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項16】 請求項9乃至15のいずれかにおいて、前記放熱フィンが、前記ヒートパイプを挿通する貫通穴が形成された複数の平板を間隔を置いて前記ヒートパイプに挿入し、該平板の貫通穴部と前記ヒートパイプとを熱的に固着して形成されてなり、前記貫通穴が前記平板の中心より上方に偏芯した位置に設けられてなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項17】 請求項9乃至16のいずれかにおいて、前記受熱板が第1と第2の受熱板を重ね合わせてなり、第1の受熱板側に前記半導体スイッチ素子を取り付け、第2の受熱板側に前記ヒートパイプを埋め込んでなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
【請求項18】 請求項9乃至17のいずれかにおいて、前記ヒートパイプの埋込部と露出部の境界部を樹脂で被覆してなることを特徴とする電力変換器の冷却装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体スイッチ素子を用いて構成されたインバータやコンバータ等の電力変換器の冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電力変換器として半導体スイッチ素子を用いて構成されたものが一般に採用されており、このような電力変換器には半導体スイッチ素子を冷却する冷却装置が備えられている。
【0003】一般に、大容量のインバータやコンバータの主回路の半導体スイッチ素子としては、ゲートターンオフ・サイリスタ(GTOサイリスタ)が用いられている。これは、バイポーラトランジスタやゲート絶縁型バイポーラトランジスタ等の半導体スイッチ素子に比べて、電圧及び電流容量が比較的大きいという特徴があるからである。
【0004】ところで、GTOサイリスタは大電流用に適してはいるが損失(発熱量)が大きいことから、冷却効率を高めるために、実開平2−75738号公報に記載されているように、GTOサイリスタを円盤状に形成してその両面を主電極とし、それらの主電極に導電性の冷却ブロックをそれぞれ圧接し、その冷却ブロックの内部に沸騰性の冷媒を通流するヒートパイプを連通し、そのヒートパイプに放熱フィンを取り付けて外気により冷却する冷却方式が採用されている。
【0005】このような冷却方式の場合、GTOサイリスタの主電極と冷却ブロックとの間の絶縁をとることができないことから、冷却ブロックとヒートパイプ凝縮部(大地電位)との間、あるいは両側の冷却ブロック相互間の電気絶縁を確保するために、冷却ブロックとヒートパイプとの間を絶縁パイプにより絶縁するとともに、沸騰冷媒として冷却性能に優れかつ絶縁性を有するフロンが用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、フロンは有害物質であるから、フロンを用いないで冷却性能に優れた代替冷却方式の採用が要望されている。
【0007】このような要望を満たすため、GTOサイリスタと冷却ブロック間の絶縁を図ることが考えられるが、絶縁材による冷却効率の低下は避けられない。したがって、損失が大きいGTOサイリスタを充分冷却するには、冷却システムが大形になってしまう。
【0008】そこで、GTOサイリスタよりも損失が小さい半導体スイッチ素子である、例えばバイポーラトランジスタ、ゲート絶縁形バイポーラトランジスタ(IGBT)、MOSゲートにより制御されるサイリスタ等を用いて、冷却システムを小形化することも考えられる。
【0009】しかし、IGBT等の低損失の半導体スイッチ素子は一般に電流容量が小さくかつ耐電圧が低いから、例えば電気車用等の大容量インバータ装置(例えば、単機容量が200kW以上の電動機駆動用)に適用すると、半導体スイッチ素子の並列接続数及び直列接続数が多くなり、結果的に冷却システムを含めた装置が大形になるという問題がある。
【0010】本発明の目的は、冷却器システムを含めて装置全体を小形化できる電力変換器の冷却装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の電力変換器の冷却装置は、以下の手段により上記目的を達成するものである。
【0012】基本的に、電力変換器の少なくとも主回路の半導体スイッチを受熱板の一方の面に装着し、前記受熱板の他方の面にL形に曲折したヒートパイプの一方の直状部を当該受熱板の板面に沿わせて埋め込み、前記ヒートパイプの他方の直状部に放熱フィンを取り付けて冷却装置を構成したことを特徴とする。
【0013】
【作用】このように構成することにより、本発明によれば、次の作用により上記各目的が達成できる。
【0014】まず、電力変換器を構成する正側アーム関係の半導体スイッチと負側アーム関係の半導体スイッチ素子は、同一時にオンすることがない。したがって、それらを同一の受熱板に装着することにより、受熱板の入熱量が均一化され、冷却装置の熱負荷が均一化されるから、受熱板及び放熱フィン等を含む冷却装置を小形化できる。
【0015】また、受熱板に埋め込まれたヒートパイプの一方の直状部は、冷媒液の蒸発部として機能する。本発明は、その蒸発部を受熱板の板面に沿って埋め込んだことから、それらの間の伝熱面積を十分に広くでき、集熱効率を高くできる。
【0016】また、ヒートパイプをL形に曲げて構成したから、放熱フィン部を含む冷却装置の外形寸法を筐体の高さ又は幅内に容易に収めることができる。これにより、電力変換器を含む全体装置のスペースの利用率(空間の集積度)が向上する。
【0017】特に、受熱板が筐体の外壁面の一部を構成するようにすれば、受熱板の一方の面が外気に露出し、放熱面として作用するから、その分だけ筐体内部の温度上昇を抑えることができ、冷却器の放熱容量を低減てきる。
【0018】また、半導体スイッチ素子の発熱総量と1本のヒートパイプの冷却能力とを勘案し、ヒートパイプを複数に分割して受熱板に設けることにより、放熱フィン部が占める容積を小さくすることが好ましい。特に、複数のヒートパイプを受熱板に対して少なくとも2列(例えば上下2段)に分けて配列することが装置の小形化にとって好ましい。この場合、ヒートパイプの分割に合わせて受熱板を分割することにより、製作及び組立て時の取り扱い作業が容易になる。
【0019】受熱板とヒートパイプの接合は、受熱板に一方の側端部から他方の側端部に向けてヒートパイプ挿通孔を穿設し、その挿通孔にヒートパイプの直状部を挿入し、空隙部に熱伝導性を有する充填材を充填することにより実現できる。ヒートパイプを2列に分けて配列する場合は、ヒートパイプ挿通孔を列ごとに配列方向の位置をずらして穿設し、ヒートパイプの直状部が埋め込まれる部分を除きヒートパイプ挿通孔の挿入側の一部を開口溝状に形成することにより、接合作業が容易になる。
【0020】なお、受熱板は第1と第2の受熱板を重ね合わせて形成することができる。この場合、第1の受熱板側に半導体スイッチ素子を取り付け、第2の受熱板側にヒートパイプを埋め込むようにすると、製作及び組立て時の取り扱い作業が容易になる。
【0021】また、ヒートパイプの埋込部と露出部の境界部を樹脂で被覆することにより、例えばヒートパイプを銅で形成し、受熱板をアルミニウムで形成する場合のように、両者の材料が異なる場合に生じる電食を防止できる。
【0022】一方、上記の受熱板を電力変換器の構成部品を収納する筐体の垂直な外壁面の一部を構成するように取り付け、また、ヒートパイプの一方の直状部を下方に向けて受熱板に埋め込み、放熱フィンが設けられたヒートパイプの直状部を水平より上方に傾斜させて設ければ、放熱フィン部で凝縮された冷媒液はその傾斜に沿って受熱板に埋め込まれたヒートパイプの蒸発部に重力により円滑に還流するから、ヒートパイプの伝熱作用が十分に発揮され、冷却能力が向上する。これに対し、平行又は下方に傾斜させると、凝縮した冷媒液の重力による還流が妨げられ、冷却能力が低下することになる。
【0023】また、ヒートパイプの冷媒液としては、水を用いることができる。この場合、内部を負圧に形成して沸騰温度を下げることが好ましい。これによれば、フロンを用いずに優れた冷却性能を発揮できる。
【0024】冷媒液として水を用いる場合、水の初期水位は少なくとも受熱板に埋め込まれたヒートパイプの埋込部と露出部との境界よりも埋込部側に設定することが好ましい。これによれば、冬期などの寒冷時に内部の水が凍結しても受熱板に埋め込まれているので、半導体スイッチの発熱により速やかに融けるから問題はない。この点、外部に露出した位置まで水を充填すると、その露出部で凍った水は融けるのが遅れるから、蒸発部の圧力が異常に上昇してしまうという問題がある。
【0025】また、放熱フィンをヒートパイプに対し下方に偏芯させて設ければ、高さ方向の寸法をその分だけ抑えることができる。
【0026】なお、受熱板を導電性を有する材料を用いて形成する場合は、半導体スイッチ素子に電気絶縁を施して受熱板に装着することにより、半導体スイッチ素子の相互間、半導体スイッチと受熱板及びヒートパイプとの間の絶縁が確保されるから、ヒートパイプの冷媒液の絶縁性は問われず、水等のフロン以外の冷却性能に優れた冷媒液を用いることができ、フロン公害の問題を解決できる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を図示実施例に基づいて説明する。本発明の電力変換器の冷却装置の一実施例として、電車用インバータ装置に適用した冷却装置を図1乃至図8を用いて説明する。図1は電車用インバータ装置の1相分の主要部と冷却装置の構成図、図2は図1の矢印 II−II から見た構成図である。図3は1相分のインバータ主回路の構成図である。図4は電車用インバータ装置の全体外観の背面図である。図5は図4の矢印 V-V から見た断面図である。図6は半導体スイッチモジュールとクランプダイオードの受熱板上の配置およびそれらの電気的接続を示す拡大図である。図7は半導体スイッチモジュールの構造を一部を破断して示した斜視図である。図8はヒートパイプの受熱板に対する埋込み状態を示す断面図である。
【0028】まず、図3乃至図5を参照して、本実施例の電車用インバータ装置の全体的な構成及びインバータ主回路について説明する。本実施例の電車用インバータ装置の全体は、図4に示すように、共通の筐体6に制御ユニットCU−A,B及び付属装置AU−A,Bを中心に、両側に同一構成のインバータ装置1A,BのパワーモジュールPU1〜PU3を対称的に配置して構成されている。図5に示す断面図のように、冷却器53,54の部分が筐体6の正面側の外部に突き出して設けられている。このように構成された電車用インバータ装置は、その長手方向を電車の走行方向に合わせ、筐体6の上部に設けられた複数の吊り金具7を介して電車の車両の中央部の床下に吊り下げて取り付けられる。また、冷却器53,54側を車両の外側に向けて取り付けられる。これにより冷却器53,54には紙面に直角な方向の走行風が当たるようになっている。
【0029】本実施例の電車用インバータ装置は4台の誘導電動機を駆動するものであり、その4台の誘導電動機をインバータ装置1A,Bにより2台づつ分担して駆動するようになっている。各インバータ装置1A,BのはパワーモジュールPU1〜PU3は、それぞれ3相のインバータ主回路を各相ごとに分割して構成されている。
【0030】各パワーモジュールPU1〜PU3の主回路は、図3に示すように、いわゆる3レベル・インバータ回路が適用されている。図3は、インバータの1相分の主回路を示しており、一対の直流入力端子P,Nのうち、Pは直流ラインを介して図示していないパンタグラフに接続され、Nは接地される。この一対の直流入力端子P,Nに2個のフィルタコンデンサCF1,CF2の直列回路が接続され、フィルタコンデンサCF1とCF2の接続点は直流電源の中性点であり、中性点端子Oに接続されている。一対の直流入力端子P,N間に4個の半導体スイッチモジュールSM1〜SM4の直列回路が接続されている。各半導体スイッチモジュールSM1〜SM4は、それぞれIGBT Q1〜Q4とフリーホイーリングダイオードDF1〜DF4とを逆並列接続して構成されている。半導体スイッチモジュールSM1とSM2の接続点及び半導体スイッチモジュールSM3とSM4の接続点は、それぞれクランプダイオードDC1とDC2を介して中性点端子Oに接続されている。そして、半導体スイッチモジュールSM2とSM3の接続点が交流出力端子Mに接続されている。スナバ回路は、スナバコンデンサCS1、CS2とスナバダイオードDS1〜DS4とスナバ抵抗RS1〜RS3とから構成されている。スナバコンデンサCS1、CS2はそれぞれ3つのコンデンサC11〜C13、C21〜C23をデルタ型に接続して構成されている。スナバコンデンサCS1、CS2はそれぞれ3つのコンデンサをスター型に接続しても等価に構成できる。また、各半導体スイッチモジュールSM1〜SM4の各ゲートにはゲートドライバGDにより増幅されたゲートパルスが入力されるようになっている。
【0031】次に、パワーモジュールPUの具体的な構造を図1と図2を参照して説明する。図1は、1つのパワーモジュールを側面から見た主要部の構成図である。図2は、図1の矢印 II−II から見た構成図である。
【0032】それらの図に示すように、半導体スイッチモジュールSM1〜SM4はそれぞれ2つの半導体スイッチモジュールを並列接続してなり、それらの半導体スイッチモジュールは横に並べて配置されている。正側アームの半導体スイッチモジュールSM1とSM2は第1の受熱板31の表面に縦に並べて取り付けられ、負側アームの半導体スイッチモジュールSM3とSM4は第2の受熱板32の表面に縦に並べて取り付けられている。また、各受熱板31,32の表面に、クランプダイオードDC1とDC2が取り付けられている。クランプダイオードDC1、DC2も、2つのダイオードを並列接続して構成している。
【0033】半導体スイッチモジュールSM1〜SM4は、同一の構成であり、図7に一部を破断して示した斜視図のような構造のいわゆる片面冷却型に形成されている。すなわち、銅等の伝熱性に優れた材料により形成された基板61の上にアルミナ等の絶縁板62を載置し、その絶縁板62の上に導電性を有する銅板等の第1の主電極63を載置し、その主電極63の上に導電性を有するモリブデン等の熱応力緩和板64を複数載置し、各熱応力緩和板64の上にIGBT素子65を載置し、また第1の主電極63の上に導電性を有する銅板等の第2の主電極66を載置し、これら全体を絶縁ケース67でカバーした構造となっている。絶縁ケース67の外面に一対の主電極端子68と、ゲート端子69が露出して設けられている。また、図示していないが、IGBT素子(Q)65に逆並列接続されるフリーホィーリングダイオードDFも第1の主電極63上に載置されている。そして、基板61に設けられたボルト穴70により第1,第2の受熱板31,32に密着させて取り付けるようになっている。受熱板31,32上の配置は、図6に示すように、半導体スイッチモジュールSM1〜SM4とクランプダイオードDC1、DC2とを配置し、図3の回路構成にしたがって導体11〜16により接続されている。
【0034】第1と第2の受熱板31,32はアルミニュウム等の伝熱性に優れた材料で形成されている。各受熱板31,32は矩形枠状に形成されたパワーモジュール支持枠33にボルト34により固定して取り付けられている。
【0035】このパワーモジュール支持枠33の周辺部に鍔部35が設けられている。また、筐体6の側面に形成された開口部の周辺に枠状の取付け座37が形成されている。そして、パワーモジュール支持枠の鍔部35をパッキン39を介して取付け座37にボルト38で固定し、パワーモジュール支持枠33を筐体6に取り付けている。すなわち、受熱板31,32及びパワーモジュール支持枠33により筐体6の側面の一部が形成され、パッキン39により気密が確保されている。
【0036】受熱板31,32に対し半導体スイッチモジュールSM1〜SM4を挟む位置に部品支持部材40が設けられている。この部品支持部材40は腕部材41によりパワーモジュール支持枠33に固定されている。この部品支持部材40にスナバコンデンサCS1、CS2及びスナバダイオードDS1〜DS4を半導体スイッチモジュールSM1〜SM4に対向させて取り付けられ、接続対象の端子を近接させるように配置されている。これにより、スナバ回路の配線を最短距離で実装するようにしている。
【0037】この部品支持部材40の反対側の位置に、エポキシ樹脂等の絶縁材からなる端子台42〜45が取り付けられ、これらの端子台42〜45に直流入力端子P,N、中性点端子O、交流出力端子Mが支持されている。また、端子台42〜45の横に電流変成器CTとゲートドライバGD(GD1、GD2)が部品支持部材40に取り付けられている。これらのCTとGDの下側の空間に、フィルタコンデンサCF1、CF2が配置されている。なお、ゲートドライバGD1とGD2は、それぞれ半導体スイッチモジュールの正側と負側に対応するものである。
【0038】受熱板31,32には、それぞれ複数のヒートパイプ51とそのヒートパイプ51に取り付けられた放熱フィン52からなる冷却器53,54が熱的に取り付けられている。ヒートパイプ51は銅等の伝熱性及び加工性に優れた材料で形成されており、パイプ内部に沸騰冷媒としての水が封入され、低い温度で沸騰を容易にするため、及び非凝縮性のガスが混入しないようにするために、負圧に調整されている。
【0039】本実施例の場合は、ヒートパイプ51をL型に曲げ、一方の直管部を受熱板31,32に埋め込んで熱的に接続して蒸発部51aとするとともに、ヒートパイプ51を受熱板に支持させている。他方の直管部を水平面に対して少し上方向に角度θだけ傾けて設け、この部分に複数の放熱フィン52を取り付けて凝縮部51bとしている。この傾きθは、線路のカーブ等で起こる電車の最大傾き角を考慮し、蒸発部51bの傾きが水平面に対して少なくとも上方に維持できる角度に設定する。
【0040】また、凝縮部51bの先端を振れ止め55で連結し、これを支持部材56を介して受熱板31に固定し、ヒートパイプ51の振れをインバータ装置本体と同一の振動系にしている。また、冷却器53,54の全体は、図5に示すように、多数の通気孔を有する保護カバー57により覆われている。
【0041】ヒートパイプ51と受熱板31,32との接合法は、図8に示すように、受熱板31の上端から下端に向けてヒートパイプ挿通孔を穿設し、その挿通孔にヒートパイプを挿入し、空隙部に熱伝導性を有するはんだ等の充填材を充填して熱的及び機械的に接合している。また、ヒートパイプ51の埋込部と露出部との境界部を、エポキシ樹脂接着材等の樹脂58により被覆している。これにより、その部分に雨水等の水分が付着しても、ヒートパイプ51の銅と受熱板31のアルミニウムとの電食を防止できる。
【0042】また、半導体スイッチモジュールSMは埋め込みボルト59により受熱板31(32)に取り付けるようにしている。ヒートパイプ挿通孔はボルト59と当たらない位置に形成する。
【0043】このように構成される電車用インバータ装置の動作及び半導体スイッチ素子の冷却動作について、本発明の特徴部を中心に次に説明する。
【0044】本実施例の電車用インバータ装置を駆動制御するゲートパルスは、制御ユニットCUの図示していないPWM制御装置により周知の3レベル・インバータの基本動作に従って生成される(参考文献:ア ニュー ニュートラル ポイント クランプド PWM インバータ (A New Neutral-Point-Clamped PWM Inverter, IEEE Transactions on industry applications ,vol.1A-17,No.5,september/october1981))。すなわち、3レベル・インバータの基本動作は、半導体スイッチモジュールSM1〜SM4のQ1〜Q4を次の3通りの導通モードに従いオン・オフさせ、交流出力端子Mに3レベルの電圧を選択的に出力する。ここでは、直流全電圧をEdとし、中性点電圧をEd/2vと仮想して示す。
【0045】
1 2 3 4 出力電圧 第1の導通モード オン オン オフ オフ Ed 第2の導通モード オフ オン オン オフ Ed/2 第3の導通モード オフ オフ オン オン 0次に、本実施例の半導体スイッチモジュールを冷却する冷却システムの特徴作用について説明する。
【0046】PWM制御装置は上記3つの導通モード及び指定される電車の目標速度及び走行モードに従ってゲートパルスを生成し、ゲートドライバを介して各半導体スイッチモジュールをPWM制御し、インバータ装置の出力電圧及び周波数を可変制御するとともに、電車の走行モード(力行、惰行、制動)に従ってインバータ装置を制御する。
【0047】半導体スイッチモジュールSM1〜SM4はオン動作時の損失により発熱する。本実施例ではその熱を受熱板31,32と冷却器53,54からなる冷却システムにより放熱し、所定の許容温度以下に保持するようにしている。すなわち、まず、半導体スイッチモジュールSM1〜SM4の熱は、基板21を介して受熱板31,32に伝わり受熱板31,32の温度が上昇する。次に、受熱板31,32の温度上昇によりヒートパイプ51の蒸発部51a内の水が沸騰して蒸発し、その蒸発熱により受熱板31,32が冷却される。ヒートパイプ51内の蒸発した水は凝縮部51bに導かれ、放熱フィンを介して電車の走行風(基本的に、図1又は図5の紙面に直角な方向の風)と熱交換して凝縮する。その凝縮した水はヒートパイプ51の内壁を伝わって蒸発部51aに還流し、上述した冷却動作が繰り返される。なお、ヒートパイプ51の内壁には長手方向に沿って複数の溝が形成されており、これらの溝に沿って凝縮水が蒸発部51aに還流するようになっいる。
【0048】一方、3レベル・インバータを形成する半導体スイッチモジュールSM1〜SM4の損失(発熱量)は、図9(a),(b)に示す半導体素子発熱サイクルのように、電気車の走行モード(力行、惰行、制動)に関連することが判明した。つまり、半導体スイッチモジュールSM1とSM4の損失は力行時にピークがあり、半導体スイッチモジュールSM2とSM3の損失は制動時にピークがある。
【0049】このことに鑑み、図1等に示したように、本実施例では、損失のピークがずれているSM1とSM2の対を同一の受熱板31に取付け、同様にSM3とSM4の対を同一の受熱板32に取付けている。これにより、力行時と制動時における受熱板への入熱量が均等化され、半導体スイッチモジュールSM1〜SM4に対して冷却器を個別に設けた場合よりも、冷却器53,54の熱負荷量が平均化されるから、冷却器を小形化することができる。
【0050】また、図7に示したように、IGBTと同一の基板上にフリーホィーリングダイオードDFを載置して半導体スイッチモジュールSMを形成し、発熱する半導体素子とその冷却系統を集約しているから、装置全体の小形化に寄与する。
【0051】この場合、スナバダイオードDSも半導体スイッチモジュールSMに一体化して形成することができ、これによれば冷却系統を一層集約でき装置の小形化に寄与しうる。
【0052】同様に、クランプダイオードDC1とDC2を半導体スイッチモジュールSMと同一の受熱板31,32に取り付けているので、発熱半導体素子とその冷却系統を一層集約でき、装置全体の小形化に寄与する。また、クランプダイオードDC1、DC2の損失は電車の走行モードに対応して図9(c)のように変化するから、冷却器を個別に設ける場合に比較して、冷却器の熱負荷量をある程度平均化できる。
【0053】また、ヒートパイプの蒸発部51aを受熱板31,32の板面に沿って埋め込んだことから、それらの間の伝熱面積を十分に広くでき、集熱効率を高くできる。
【0054】また、ヒートパイプ51をL形に曲げて構成したから、放熱フィン部を含む冷却器53,54の外形寸法を筐体の高さ内に容易に収めることができる。これにより、電車の床下に垂下させて取り付けられるインバータ装置に要求される装置高さの制限を、容易に満たすことができる。しかも、車両の床下に取り付けられる筐体に対し、放熱フィンが設けられたヒートパイプ51の直状部を電車の幅方向に延在させて設けたことから、電車の走行風が放熱フィン部に十分に通流され、大きな冷却効果が得られる。
【0055】特に、受熱板31,32の一方の面が外気に露出し、放熱面として作用するから、その分だけ筐体内部の温度上昇を抑えることができ、冷却器53,54の放熱容量を低減できる。
【0056】また、ヒートパイプ51を複数に分割して受熱板31,32に設けているから、放熱フィン部が占める容積を小さくできる。特に、ヒートパイプ51を受熱板に対して上下2段に分けて配列していることから、装置を一層小形化できる。
【0057】また、本実施例では、受熱板31,32を上下に分割し、これに合わせてヒートパイプ51a,bを分割して埋め込んでいるから、製作及び組立て時の取り扱い作業が容易になる。
【0058】また、放熱フィン52をヒートパイプ51に対し下方に偏芯させて設けていることから、高さ方向の寸法をその分だけ抑えるとともに、十分な放熱面積を確保できる。
【0059】一方、図7に示したように、半導体スイッチモジュールSMを構成するIGBT及びフリーホイーリングダイオードDFを、絶縁板62を介して基板61に載置し、半導体素子の対地絶縁をモジュール内部で確保する構成としたことから、導電性を有する受熱板31,32を大地電位にすることが可能になる。
【0060】これにより、受熱板31,32及び冷却器53,54の対地絶縁が不要になるから、冷却システムの構成を簡単化でき、装置全体の小形化に寄与するとともに、受熱板31,32と冷却器53,54とを熱的に接続する伝熱部材として、絶縁性を有しない水等の冷媒を用いたヒートパイプを適用できる。したがって、冷却能力を損なうことなく、有害なフロンを用いない冷却システムを実現できる。
【0061】冷媒液として水を用いる場合は、ヒートパイプ51の埋込部に注入する水の初期水位は、埋込部と露出部の境界よりも埋込部側に設定することが好ましい。初期水位を露出部に達する位置に設定すると、冬期に露出部の水が凍結し、インバータ運転開始時に蒸発部51aの圧力が異常に上昇してしまう恐れがあるからである。
【0062】また、受熱板31,32を大地電位にできるから、これらを筐体6に直接取り付けることができる。そこで、本実施例では、図1,2に示したように、受熱板31,32を筐体6の垂直外壁に形成された開口部に、半導体スイッチモジュールSMを内側にして取付けたことから、受熱板31,32の片方の面が筐体6の外部に露出する。その結果、従来のように受熱板全体を筐体内に設置した場合に比べて、露出した受熱板31,32の表面も放熱面として有効に作用するから、その放熱量の分だけ筐体内部の温度上昇を抑えることができ、しかも冷却器の放熱容量を低減して小形化できる。
【0063】なお、上記の実施例では、インバータ主回路の半導体スイッチ素子としてIGBTを適用した例を示したが、これに限らず、バイポーラトランジスタやMOSゲートにより制御されるサイリスタ等を適用しても同一の効果が得られる。
【0064】上記実施例では3レベル・インバータを例にして説明したが、本発明はこれに限らず2レベルインバータ、あるいはコンバータ等の電力変換器の冷却装置に適用できる。すなわち、電力変換器は一般に正側アーム関係の半導体スイッチと負側アーム関係の半導体スイッチ素子をブリッジ接続して構成され、それら正側と負側の半導体スイッチは同一時にオンすることがない。したがって、それらを同一の受熱板に装着することにより、受熱板の入熱量が均一化され、冷却装置の熱負荷が均一化されるから、受熱板及び放熱フィン等を含む冷却装置を小形化できる。
【0065】また、上記実施例では電気車用インバータ装置を例にして説明したが、本発明はこれに限らず、一般用の電力変換装置に適用でき、同一の効果が得られる。
【0066】また、上記実施例では、受熱板を受熱板31と32に分割し、それぞれに冷却器53,54を取り付けた例を示したが、図10に示すように、受熱板48を一体化しても上記の効果は変わらない。
【0067】この場合のヒートパイプ51と受熱板48との接合は、図11(A),(B)に示すように、上段用と下段用のヒートパイプ挿通孔49a,49bを段ごとに配列方向の位置をずらして穿設し、ヒートパイプ51a,51bの直状部がそれぞれ埋め込まれる部分を除き、ヒートパイプ挿通孔49a,49bの挿入側の一部を開口溝状に形成する。これにより、ヒートパイプ51と受熱板48との接合作業が容易になる。
【0068】また、図12に示すように、受熱板31(32)を半導体スイッチモジュールSM側の受熱板31a(32a)と、ヒートパイプ51側の受熱板32b(32b)とに2つ割りし、これらを接合した2層構造にしてもよい。これによれば、更に製作、組立てが容易になる。なお、図13に示すように、半導体スイッチモジュールSM側の受熱板50は分割しない構成にすることも可能である。しかし、これらによれば、2層の受熱板の接合面の伝熱抵抗により冷却効果が低下するおそれがある。
【0069】上記実施例では、冷却器としてヒートパイプと放熱フィンを組み合わせたものを示したが、本発明はこれに限らず、受熱板の外面に放熱フィンを熱的に直接接合する構成、または受熱板に放熱フィンを一体形成する構成にすることができる。 また、図5に示した実施例では、スナバ抵抗RS1〜RS3を冷却器53の上部に配置した例を示したが、図10に示すように、冷却器54の下部の受熱板48の空いてる面に、熱伝導率の高い電気絶縁材71を介して取り付けてもよい。これによれば、スナバ抵抗RS1〜RS3が発生する熱は、電気絶縁材71を介して受熱板48に吸収され、放熱フィン52から効率よく空気中に放散される。その結果、スナバ抵抗RS1〜RS3の電流密度を高くして、小形にすることができる。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、電力変換器の冷却装置全体を小形化することができる。




 

 


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