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発明の名称 電子線描画装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−163371
公開日 平成6年(1994)6月10日
出願番号 特願平4−308765
出願日 平成4年(1992)11月18日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】中村 純之助
発明者 早田 康成 / 中山 義則 / 佐藤 秀寿 / 伊藤 博之
要約 目的
可変成形ビーム方式または一括図形照射方式の電子線描画装置において、高精度な加工を可能にした電子線成形アパーチァにより、高集積半導体素子の製造に使用できる高解像度、高スループットの電子線描画装置を実現する。

構成
電子源9より放射された電子線10を、第1および第2アパーチァ11、16によって任意の形状に成形し、縮小レンズ18、対物レンズ20によってウェハ21上に結像させ図形描画を行うが、アパーチァ11、16を電子線10が十分に透過可能な程度に薄くし、かつ、アパーチァ11、16の下方に孔径の小さい対物絞り19を設け、アパーチァ11、16の基板を透過した散乱電子17を遮断する。
特許請求の範囲
【請求項1】可変成形ビーム方式または一括図形照射方式の電子線描画装置において、電子線の成形アパーチァを電子線の飛程よりも薄い基板に開口部を設けた構造とし、上記成形アパーチァより下方の電子光学系内に、上記成形アパーチァの基板部を透過し、散乱された電子を遮断する機構を設けたことを特徴とする電子線描画装置。
【請求項2】上記成形アパーチァの基板の厚さを、用いた電子線の飛程の1/2よりも薄く、上記電子線の平均自由行程の10倍よりも厚くしたことを特徴とする請求項1に記載の電子線描画装置。
【請求項3】上記基板部を透過し、散乱された電子を遮断する機構として、上記成形アパーチァの開口部を通過した電子線の焦点面に、小孔を有する絞りを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子線描画装置。
【請求項4】上記基板部を透過し、散乱された電子を遮断する機構が、上記電子光学系内に設けられたエネルギーフィルタ作用を有する電子光学素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線描画装置。
【請求項5】電子放射源として、熱電界放出型電子銃、またはショットキ放出型電子銃を用いたことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の電子線描画装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子の製造に用いられる電子線描画装置に係り、特に、可変成形ビーム方式、あるいは一括図形照射方式において、高精細な成形アパーチァを有し、高解像度の図形描画を可能にする電子線描画装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高スループットの電子線描画装置として、2段の成形アパーチァにより電子線を任意のサイズの矩形に成形し露光する可変成形ビーム方式の電子線描画装置と、描画すべき図形そのものの形状の開口部を有する成形アパーチァにより電子線を成形して一括図形照射する方式の装置とがある。この他に、大面積の図形転写マスクに均一の電子線を照射し、一度に大面積の図形露光を行う電子線投射型リソグラフィ装置もある。
【0003】ところで近年、半導体素子の高集積化に伴い、0.1μmオーダの極めて微細な図形の描画が必要になりつつある。したがって、上記の電子線描画装置において、電子線を成形するアパーチァは必然的に高精細なものとなり、かつ高精度の加工技術が要求されている。
【0004】これらの成形アパーチァとして、従来は、電子線を完全に遮断できる厚さの基板に、必要な形状の開口部を設けたものが用いられていた。その一例として、たとえば、バキューム サイエンス アンド テクノロジ、B8巻、6号、11/12月、1990年、1836〜1840頁が挙げられる。
【0005】これに対して、最近、電子線投射型リソグラフィ装置の図形転写マスクとして、電子線に対して比較的透明な薄膜を支持体として、その上に電子線を大きく散乱させる重金属で図形を形成したマスクも報告されている。この場合は、薄膜を透過した電子線で図形露光が行われ、重金属部との電子線散乱の違いによって図形コントラストが作り出されている。これに関しては、バキューム サイエンスアンド テクノロジ、B9巻、6号、11/12月、1991年、2996〜2999頁に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記のように、近年の半導体素子高集積化に伴う高精細な成形アパーチァの要求から、種々の問題が生じつつある。
【0007】まず、上記の第一の従来技術の厚い基板に開口部を設ける成形アパーチァでは、たとえば基板材料としてシリコンを用いた場合、基板の厚さは20μm以上が必要である。この基板に数μm幅の図形を精度よく孔あけ加工することは、極めて難しい。それに、厚い基板部では、照射電子線のエネルギーのほぼ100%が熱となりアパーチァを加熱するので、アパーチァ自身の耐久性の問題やその他に、熱膨脹によるアパーチァの位置ドリフトなどの問題が生じている。特に、最近は用いる電子線の加速電圧が次第に高くなる傾向にあるため、アパーチァ基板の厚さは、むしろ厚くなる方向であり、以上の問題は増々深刻なものとなりつつある。
【0008】一方、上記の第二の従来技術である電子線投射型リソグラフィ装置用の薄膜支持体による図形転写マスクでは、入射電子線の殆ど100%はマスクを透過してゆくため、発熱の問題は軽減されている。しかし、この場合にも次のような問題が生じる。まず、露光図形に対応する部分にも薄膜が存在するため電子線に散乱が生じ、図形部分と図形でない部分との間で明瞭なコントラストをつけることが難しい。また、電子線は必ず薄膜部分を透過するので、この膜による電子線の散乱、吸収により、電子流密度の低下が生じる。さらに、この薄膜を透過の際に多少のエネルギー損失を蒙るので、透過電子線にはエネルギーの幅が生じ、これが色収差となって投射図形の解像度を低下させる。
【0009】本発明は、これらの課題を解決するためになされたもので、可変成形ビーム方式または一括図形照射方式の電子線描画装置において、高精度の加工が可能な成形アパーチァにより、高集積半導体素子の製造を可能にする高解像度、高スループットの電子線描画装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するために、本発明では、まず、成形アパーチァの基板の厚さを用いた電子線の飛程よりも十分に薄くし、これに描画図形に応じた開口部を設ける。具体的には、上記基板の厚さを電子線の飛程の1/2よりも薄くして、大部分の電子を透過させる。しかし透過電子にできるだけ大きい散乱角を与えるために、厚さは、電子の平均自由行程(電子が物質中で散乱されることなく通過できる距離)の10倍以上にする。
【0011】次に、成形アパーチァの基板部を透過した電子は描画の妨害要因となるので、これらの電子を露光するウェハなどの試料面に到達させないために、基板部を透過した電子を鏡体内で遮断する機構を設ける。その第一は、図1に示すように、アパーチァ2の下方、開口部を通過した電子線の焦点面に、孔径の小さい制限絞り5を設け、開口部を通過した電子線のみを通過させ、基板部で散乱された電子3は絞り板で取り除く。第二は鏡体内に、図2に示すように、たとえばE×B型のエネルギーフィルタ26を設け、これにより、エネルギーの一部を失った減速電子6を制限絞り5によって取除く。
【0012】また、上記の電子線描画装置では、より高い解像度を得るために、電子源9として、輝度が高く、かつ、エネルギー分布のシャープな熱電界放出型電子銃、あるいはショットキ放出型電子銃を用いる。
【0013】
【作用】上記の電子線描画装置では、成形アパーチァに電子線の飛程よりも十分に薄い基板を用いるが、これにより、まず、アパーチァ基板の電子線照射による加熱を大幅に低減することができる。電子の物質中でのエネルギー損失は電子の飛程附近で最も大きくなるので、アパーチァ基板の厚さを電子の飛程の1/2にすると、アパーチァへのエネルギー堆積量は、照射電子線の約1/4になる。アパーチァを薄くすると熱伝導は低下するが、エネルギーの堆積の方がより大きく低下するため、基板を薄くする程、発熱の問題は緩和される。
【0014】次に、アパーチァの開口部の加工精度は、基板の厚さが薄くなるほど高くなる。たとえば、アパーチァの加工精度が基板の厚さに反比例すると仮定すると、厚さを1/2にすれば精度は2倍に向上し、描画の解像度も向上する。いま、アパーチァ基板の材料をシリコンとすると、厚さが20μmのとき、アパーチァの加工精度による描画の解像度(ライン&スペース・パターンの解像限界で定義する)は約0.1μmである。これに対して、厚さが8μmの場合は0.05μm、2μmでは0.03μmとなる。また、従来は成形アパーチァの基板材料として、タングステンやモリブデンなどの金属は用いられていなかった。それは、金属の場合、加工精度が著しく低かったためである。しかし本発明により、より薄い材料が用いられるようになると、上記のような金属でも十分に精度が出せるようになり、使用可能になる。つまり、基板を薄くすることにより、材料選択の幅が拡がったことになる。
【0015】しかし、このようにアパーチァ基板を薄くすると、基板部に照射された電子線の大部分は基板を透過してゆく。したがって、これらの透過電子をウェハなどの試料面に到達させないように、電子光学通路の途中で遮断する必要がある。ところで、基板部を透過した電子は基板内部で大きな角度で散乱され、かつ、可成りの量のエネルギーを失う。したがって、これらの性質を利用することにより、アパーチァ開口部を通過した電子線と区別をすることができる。
【0016】その第一は、図1に示したように、電子線通路に孔径の小さい制限絞り5を設けることである。アパーチァ2の開口部を通過した電子線1は焦点を結んで全て絞り孔を素通りするのに対して、基板部で大きな角度で散乱された電子3は絞り面上に拡がり、吸収されてしまう。その第二は、図2に示したように、エネルギーフィルタ26を用いることである。図2はエネルギーフィルタ26としてE×B方式を用いた場合で、これにより、アパーチァ2の基板部を透過する際にエネルギーの一部分を失った減速電子6は進路が曲げられ、やはり制限絞り5によって吸収されてしまう。
【0017】こうしてアパーチァ基板部を透過した電子は殆ど全て除去され、実際にウェハなどの試料面上に露光される電子は、成形アパーチァの開口部を通過した電子線に限られる。このため、露光電子はアパーチァにより全く散乱もエネルギー損失も受けていないので、アパーチァによる解像度低下は全く生じない。これが本発明の、従来技術その二の薄膜を支持体とするマスクに対する著しい優位性である。
【0018】また、電子線描画装置の電子源に熱電界放出型電子銃やショットキ放出型電子銃を用いると、通常の熱電子銃に比べて、輝度が数桁も高く、かつエネルギー幅は数分の1程度も狭いので、成形アパーチァの面での入射電子線の照射角を極めて小さくすることができ、かつ、エネルギーフィルタ面でのエネルギー分解能が上昇するので、アパーチァの開口部を通過した電子線と、基板部で散乱され、エネルギーを失った電子との分別が、一層確度の高いものになる。
【0019】
【実施例】
〔実施例1〕図3に、本発明に係る電子線描画装置の第一の実施例の構成図を示す。
【0020】まず、電子源9より放射された電子線10は第1アパーチァ11を照射し、2個の転写レンズ13、15、および成形偏向器14により、第1アパーチァ11の像を第2アパーチァ16の上に形成する。第2アパーチァ16の開口部の形状は、可変成形ビーム方式の電子線描画装置では矩形であり、一括図形照射方式の場合には、描画図形に見合った種々の形状をしている。次に、第2アパーチァ16の開口部を通過した電子線は、縮小レンズ18により対物絞り19の位置に焦点を結び、対物絞り19の小孔を通過して、対物レンズ20によりウェハ21上に第2アパーチァ16の縮小像を形成する。縮小率は1/25である。
【0021】ここで第1および第2アパーチァ11、16の基板の材料はシリコンであり、また、電子線の加速電圧は50kVである。シリコン内での50kV電子の飛程は約20μmであるため、本実施例では基板の厚さを8μmとした。厚さ8μmのシリコンの加工精度は約0.25μmであるから、ウェハ21上では0.01μmとなる。このため、実際に、0.05μmのライン&スペース・パターンをレジスト上に良好に形成することができた。また、さらにアパーチァ16の基板厚さを1μmにまで薄くしたところ、0.03μmのライン&スペース・パターンまで形成することができた。
【0022】ところで、シリコン中での50kV電子の平均自由行程は約0.04μmであるから、アパーチァ基板の厚さが1μmあれば十分に電子を散乱することができる。また、1μmの厚さでは、電子のエネルギー損失は小さく、電子光学系内の側壁に電子が衝突するなどの不測の事態も生じ難く良好である。したがって、アパーチァ基板の厚さは、電子の平均自由行程の10倍から100倍程度が最適である。ただし、1μm厚さのアパーチァでは機械的強度が十分ではないので、図4に示したように、シリコン基板23の所々に厚いリブ24を設ける。
【0023】上記のアパーチァ基板にはシリコンを用いたが、本発明によれば、それ以外の材料も使うこともできる。例えばタングステンの場合、加工精度を出すためには厚さは1μm以下でなければならず、従来は用いられていなかった。しかし、50kVの電子のタングステン内での飛程は約3μmであるから、本発明によれば0.5μm以下でも使えるので、精度的にも十分となり、材料選択の枠が大きく広がったことになる。
【0024】ところで、本実施例では、アパーチァ16基板部からの散乱電子17を、開口部を通過した電子線と、対物絞り19によって分別している。したがって、対物絞り19の孔径はできるだけ小さくする必要があり、このため、対物絞り19と対物レンズ20を事前に正確に軸合わせしておく必要がある。したがって、対物絞り19は鏡体外から軸調整ができるように、可動絞りとすることが有効である。また、可動絞りを用いれば1個の絞り板に複数個の絞り孔を設けることができるので、種々の成形アパーチァに対応して絞り孔を選択することができる。例えば、薄いアパーチァ基板の場合には散乱電子の散乱角が小さいので、孔径の小さい絞りを用いる、などの工夫ができる。
【0025】また、本実施例の電子光学系の縮小率は1/25であるから、アパーチァ16の開口部を通過する電子線の照射角は1〜2×10~4 rad.と小さく、これに対して基板部で散乱された電子の散乱角は10~3〜10~1 rad.と大きいので、所望の孔径の対物絞り19を用いることにより、容易に両者の分別が可能である。例えば、基板厚さが1μmのアパーチャを用い、対物絞りにより<5×10~4 radの電子のみを通過させたところ、104:1のコントラストを得ることができた。
【0026】〔実施例2〕図5に、本発明に係る電子線描画装置の第二の実施例の構成を示す。
【0027】装置構成の殆ど大部分は実施例1のものと同じであるが、本実施例では、第2アパーチァ16の下に、E×B型のエネルギーフィルタ26が挿入されている。E×B型のエネルギーフィルタの大略は、図2に示したように、静電偏向器7、電磁偏向器8と制限絞り5とから構成されている。ところで、アパーチァ16の基板部を透過した電子は、基板内でエネルギーを失うために減速し、この減速電子25は上記のエネルギーフィルタ26により偏向され、除去される。通常、E×B型エネルギーフィルタ26は減速電子25を遮断する制限絞り5を有しているが、本実施例の構成では、さらに下方にある対物絞り19を兼用させることもできる。
【0028】また、この他にエネルギーフィルタとしては、静電レンズ方式のもの、電磁セクタ方式のもの、電磁偏向方式のものなど、いずれの方式のものも使用可能であるが、実際にウェハ21上に露光される電子線が軌道を曲げられずに直進できる意味で、E×B型のエネルギーフィルタが最も使い易い。
【0029】一方、電子源9には、一般には熱電子銃が用いられている。しかし、熱電子銃は放出電子のエネルギー幅が広く、色収差の原因になる。従来の成形アパーチァではアパーチァの加工精度が低く、これが描画装置の解像度を制限していたので、上記の色収差は余り問題になっていなかった。しかし、本発明の結果、加工精度の向上により0.01μmレベルの描画が可能となったため、今度は逆に、色収差が解像度の大きな制限要因となってきた。そのために、偏向フィールドを小さくするなどの制約が生じる。この問題を解決するために、電子銃としてはエネルギー幅の狭い電界放出型電子銃、熱電界放出型電子銃、あるいはショットキ放出型電子銃を用いるとよい。特にショットキ放出型電子銃は輝度も高く、かつ、長時間の安定性にも優れているので、描画装置に適している。本実施例では、ZrO/Wショットキ放出型電子銃を用い、2mm角フィールドの描画をした結果、0.03μmのパターンを安定に描画することができた。
【0030】なお、以上の実施例において、成形アパーチァ、エネルギーフィルタ、制限絞りなど、種々の方式の組合せが可能である。また、電子銃の加速電圧も50kVに限らないので、それぞれの加速電圧での飛程や平均自由行程に合わせて、成形アパーチァの厚さや電子光学系の選択をする。それにより全く同様の効果が期待できる。また、いずれの成形アパーチァも、15μAまでの電子照射において何ら変化はなく、3ケ月以上の連続使用が可能であった。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る可変成形ビーム方式または一括図形照射方式の電子線描画装置において、電子線の成形アパーチァを電子の飛程よりも十分に薄くすることにより、電子照射によるアパーチァの発熱を減少させ、かつ、アパーチァ自身の加工精度を向上させることができ、今後の半導体素子の一層の高集積化に対応できる高精度の電子線描画装置が実現できる。




 

 


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