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発明の名称 エッチング方法および装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−151360
公開日 平成6年(1994)5月31日
出願番号 特願平4−296039
出願日 平成4年(1992)11月5日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】薄田 利幸
発明者 後藤 康 / 久禮 得男 / 川上 博士
要約 目的
アスペクト比依存性のない垂直加工形状を与える高精度・高選択性のエッチング方法および装置を提供することである。

構成
プラズマエッチング装置において、エッチング用のプラズマを連続発生させた状態で、試料に印加する高周波電力またはプラズマ中に印加する磁界強度を1秒以下の周期でもって周期的に断続変化させることによって、試料表面にエッチャントを吸着させる段階と、このエッチャントが吸着された試料表面にエッチングイオンを照射してエッチングを進行させる段階とを交互に繰り返させながら、所定のエッチングを行なわせる。
特許請求の範囲
【請求項1】反応性ガスを含むガスの放電プラズマを用いて試料表面をエッチング加工するエッチング方法において、上記試料表面のエッチング加工中に、上記放電プラズマを連続発生させた状態で、上記試料の表面に形成されるイオンシースの平均厚さとエッチングイオンの平均エネルギーとをそれぞれ異なる二値の間で周期的に変化させることを特徴とするエッチング方法。
【請求項2】上記のイオンシースの平均厚さが小さい値をとる時にはエッチングイオンの平均エネルギーも小さい値をとり、上記のイオンシースの平均厚さが大きい値をとる時にはエッチングイオンの平均エネルギーも大きい値をとるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】上記の周期的変化の周期が、1秒以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のエッチング方法。
【請求項4】反応室と、該反応室内にエッチング加工されるべき試料を保持する手段と、上記反応室内に反応性ガスを含むガスの放電プラズマを発生させる手段と、上記試料に高周波電力を印加する手段とを有するエッチング装置において、上記の高周波電力印加手段によって上記試料に印加される高周波電力の大きさをエッチング加工中に周期的に変化させる手段がさらに付設されてなることを特徴とするエッチング装置。
【請求項5】上記の放電プラズマ発生手段が、マイクロ波を用いて放電プラズマを発生させるマイクロ波放電プラズマ発生手段であることを特徴とする請求項4に記載のエッチング方法。
【請求項6】上記の放電プラズマ中に磁界を印加する手段がさらに付設されてなることを特徴とする請求項4または5に記載のエッチング装置。
【請求項7】上記の磁界印加手段によって放電プラズマ中に印加される磁界強度をエッチング加工中に周期的に変化させる手段がさらに付設されてなることを特徴とする請求項6に記載のエッチング装置。
【請求項8】上記の試料に印加される高周波電力の周期的変化と上記の放電プラズマ中に印加される磁界強度の周期的変化とを同期させる手段がさらに付設されてなることを特徴とする請求項7に記載のエッチング装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低ガス圧での高密度プラズマを用いて、高選択性、高異方性のエッチング加工を行なうことのできるエッチング方法および該方法を実施するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路等の益々の高集積化に伴い、その製造工程におけるエッチングパターンのより一層の微細化が進められている。エッチングパターンの微細化は、必然的にエッチング加工形状の高アスペクト比化を伴うため、エッチング速度のアスペクト比依存性が問題になってきている。すなわち、アスペクト比が高くなるにつれてエッチング速度を大きくとることが困難になってきている。
【0003】エッチングプロセスは、反応種(以下、エッチャントと云う)が吸着した被加工物表面にエッチング用のエネルギー性イオン(以下、エッチングイオン、または単にイオンと云う)を照射し、該イオンの衝撃によって上記エッチャントと被加工物表面構成物質との反応生成物を形成させかつ該反応生成物を被加工物表面から脱離させることによって所望のエッチングパターンを得るプロセスである。この際、被加工物表面に方向性を持って入射するのは電界により加速されたイオンのみであり、エッチャントはランダムな方向から被加工物表面に入射する。そこで、エッチング速度のアスペクト比依存性を低減するには、エッチングイオンの入射方向を揃えてやる必要があり、そのために種々の工夫がなされている。
【0004】エッチングイオンの進行方向を揃えるための一般的な方法は、エッチングイオンを生成させるプラズマの低ガス圧化である。これは、エッチングイオンのイオンシース内での中性粒子との衝突による散乱を減少させることによって、エッチングイオンの方向性を改善しようとする方法である。しかし、この場合には、低ガス圧化によってエッチャントやエッチングイオンそのものの密度も低下してしまうため、必然的にエッチング速度も低下してしまう。そこで、このエッチング速度の低下を防ぐために、発生プラズマ中に磁場を印加してプラズマを高密度化させることが行なわれている。
【0005】また、超高集積回路(ULSI)の加工においては、マスクや下地の薄膜化が進み、高選択性、低損傷性に優れたエッチング技術が要求されてきており、この要求に対しては、エッチングイオンの低エネルギー化が図られてきている。
【0006】上記の両要求を満足させることのできる低ガス圧かつ低イオンエネルギーのエッチング装置として、有磁場マイクロ波放電を用いたエッチング装置(これは、ECR(電子サイクロトロン共鳴)エッチング装置とも呼ばれている)が実用化され、さらにその改良が進められてきている。例えば、特開平2−253617号公報には、反応室の周囲に配置した電磁石にAC電流を重畳したDC電流を流して、プラズマの均一性を向上させ、もってエッチング速度を高めるようにした装置について開示されている。また、特開平3−155620号公報には、プラズマ発生用のマイクロ波電源をイオンを加速するための交流バイアス電源と同期させてスイッチングすることにより、断続的にプラズマを発生させるようにした装置について開示されている。この装置によれば、交流バイアスの整合が効率よくとれるため、バイアス電力の損失が少なくなり、エッチング速度が向上することが示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のエッチング方法および装置においては、エッチングイオンの方向性を改善しかつ低エネルギー化を図るために、低ガス圧で高密度プラズマを発生させると共に、イオンを加速するための高周波バイアス電力の大きさを下げることが行なわれてきた。このような従来技術においては、エッチングをアシストするイオンの散乱を低減させてイオンの方向性を向上させると云う点については配慮されているが、イオンの加速電界の均一性の向上および十分なエッチャントの供給と云う点については十分な配慮がなされているとは云えない。このため、例えば溝や孔パターンのエッチング加工に際して、溝や孔の底部へのエッチャントの供給が不足するという現象が生じ、エッチングイオンはほぼ垂直方向に揃って入射しているにも拘らず、高アスペクト比部分でのエッチング速度が低下してエッチング深さが不足するという問題が生じている。この問題は、加工寸法が微細化するにつれてアスペクト比が大きくなっていくので益々重要な課題となってきている。
【0008】また、エッチングイオンが被加工物のマスクチャージアップなどの局所電界歪によって曲げられ、加工形状が斜めになる現象も問題となってきている。このイオンが曲げられる現象は、加工段差による電界集中などによって生じる。この現象は、エッチング速度を増すためにプラズマを高密度化すると、エッチング形状の加工段差寸法に対してイオンシースの厚さが相対的に薄くなるので、さらに大きくイオンが曲げられることになるため、一層重大な課題となっている。
【0009】本発明の目的は、上記した従来技術における課題を解決し、アスペクト比依存性のない垂直加工形状を与える高精度・高選択性のエッチング方法、およびその方法を実施するのに好適なエッチング装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、被加工物(試料)の支持台に接続した高周波電源の出力またはプラズマ中に印加する磁界の強度を断続的に変化させることによって、平均イオンシース厚さdと平均イオンエネルギーVsとが、それぞれd1 とVs1 なる値をとる状態とそれぞれd2 とVs2 (d2 >d1 で、かつ、Vs2 >Vs1 )なる値をとる状態と云うような互いに異なる複数の状態間で交互に切り換えることを繰り返すことにより達成される。
【0011】
【作用】上述したように、本発明のエッチング方法および装置においては、エッチングイオンを生成させるためのプラズマを連続発生させた状態のもとで、被加工試料を支持する試料台に接続された高周波電源の出力を異なる複数の出力値間で断続的に変化させるか、若しくは、プラズマ発生室の周囲に配置された磁界発生手段によりプラズマ中に印加する磁界強度を断続的に変化させることにより、プラズマの平均イオンシースの厚さdを薄い状態と厚い状態との間で断続的(周期的)に変化させることを特徴としている。
【0012】まず、平均イオンシース厚さdが(d=d1 と)薄い状態では、高周波電源の出力を下げて平均イオンエネルギーVsを(Vs=Vs1 と)低くする。この時間内ではエッチング反応を抑制した状態で、十分なエッチャントの供給を行なう。その後の平均イオンシース厚さdを(d=d2 と)厚くした状態では、高周波電源の出力を高くして平均イオンエネルギーVsを(Vs=Vs2 と)高め、エッチング反応を促進させる。ただし、この状態での平均イオンエネルギーVs2 は、単に高いほど良いと云うものではなく、実際には使用するマスク材に対して高いエッチング選択性が得られるような範囲内のエネルギーに選定することにより、エッチング選択性の向上も図る必要がある。
【0013】上述したように、本発明のエッチング方法においては、エッチングイオンを生成させるためのプラズマを連続的に発生維持した状態で、上記した二つの状態を周期的に繰り返すことにより、所定のエッチングが遂行される。このため、高アスペクト比部分へのエッチャントの供給が十分になった状態でエッチングイオンを照射することができるので、従来技術において問題となっていたエッチング速度のアスペクト比依存性を効果的に緩和することができるのである。
【0014】また、イオンシースの平均厚さdが厚い(d2 )状態において、この厚さd2を被加工物表面上の段差寸法の10倍以上でかつイオンの平均自由行程よりも短く設定することにより、上記段差近傍での電界ひずみやチャージアップの影響を軽減し、イオンを垂直に入射させることができる。
【0015】本発明のエッチング方法では、エッチャントの供給とエッチングを促進するための比較的高いエネルギーでのイオン照射とを独立して制御できるため、良好な垂直エッチング加工が達成できる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例につき、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】[実施例1]本実施例は、有磁場マイクロ波エッチング装置において被加工試料に印加する高周波電圧を周期的に変化させながら、試料表面のエッチング加工を行なう方法についてのものである。
【0018】図1は、本発明のエッチング方法を実施するために使用される有磁場マイクロ波エッチング装置の要部構成を示した縦断面概略図である。同図において、マイクロ波電力発生器1、導波管2、マイクロ波透過性真空容器(放電管)3、磁場発生用電磁コイル4、試料台5、試料温度制御機構6、被加工試料7、固定電位付与電極8、高周波電力印加電源9、電磁コイル電源10、ガス導入系11、真空排気口12、発光モニター用プラズマ採光窓13、発光モニター処理装置14は、従来からの有磁場マイクロ波エッチング装置においてもすでに用いられているものである。
【0019】上記の構成において、エッチング加工されるべき試料7を試料台5上に載置して放電管3内を真空排気した後、ガス導入系11より放電管3内にエッチング用の反応性ガスを含む放電用ガスを導入した状態で、マイクロ波電力発生器1より導波管2を介して放電管3内にマイクロ波電力を供給することにより、放電管3内にマイクロ波放電プラズマが発生する。また、発生プラズマ中に電磁コイル4により適当な強度の磁場を印加することにより、発生プラズマの密度が高められる。この高密度プラズマ中で放電用ガスが励起解離されて、エッチングイオンおよび反応性のエッチャントが生成される。このエッチングイオンおよびエッチャントによって試料7表面のエッチングが遂行されることは前述のとおりである。なお、かかる従来装置部分の動作や機能についてのさらに詳細な説明は、ここでは省略する。
【0020】本実施例においては、上記した従来の装置構成に加えて、さらに高周波電力印加電源9からの高周波電力を試料台5を介して試料に印加する経路内に、試料7への高周波電力の印加条件を異なる二つの条件間で断続的に切り換えるためのチョッパ15が新たに付設され、さらに、該チョッパ15と磁場コイル電源10とを同期して制御するための同期制御機構16が設けられている。この同期制御機構16によって磁場コイル電源10から電磁コイル4への励磁電流の供給条件を異なる二条件間で断続的に変化させることにより、放電管3内に連続して発生維持されているプラズマのプラズマ発生条件(プラズマ密度とECRポイント)を異なる二状態間で断続的かつ繰返し変化させながら、このプラズマ発生条件の断続的変化に同期してチョッパ15によって高周波電力印加電源9から試料台5を介して試料7に印加する高周波電力の印加条件を異なる二条件間で断続的かつ繰返し変化させ得るように構成されている。なお、上記したチョッパ15を用いる代わりに、高周波電力印加電源9の出力系自体に上記と同様の試料に対する高周波電力印加条件を断続的に変化させ得るような機能手段を付加させておき、同期制御機構16からの制御信号により該機能手段を直接制御するように構成してもよいことは云うまでもない。要は、試料への高周波電力印加条件を断続的に変化させ得るような機能手段であればよい。
【0021】図1の装置構成を用いて遂行される本発明エッチング方法の基本的なフロー図を図2に示す。図2において、(a)はプラズマ中に導入するガスの圧力条件を示し、(b)はプラズマに供給するマイクロ波(μ波)パワーを示し、(c)は試料に印加する高周波電力(RFパワー)の変化を示し、(d)は試料表面上で遂行されるエッチング反応機構の変化の様子を示している。なお、図3は、上記のエッチングフローに従って試料表面のエッチングを行なった場合のエッチング反応機構の変化(反応種の吸着と反応生成物の脱離)の様子を概念的に説明する図である。
【0022】本実施例のエッチング方法においては、まず放電管3内のガス圧力が一定に保たれる(図2の(a))ように反応性ガスを一定流量で放電管3内に導入しながら、該放電管3内に一定強度のマイクロ波パワーを投入(図2の(b))して、放電管3内にマイクロ波放電プラズマを発生させる。その後、上記プラズマを連続発生(連続放電)させたままの状態で、試料7に印加する高周波電力のON、OFFを繰り返す(図2の(c))。これにより、反応種の吸着と反応生成物の脱離とが交互に繰り返される(図2の(d))。
【0023】先ず、試料への高周波電力の印加がOFFの周期時間(Toff )においては、イオンシースの厚みは薄く、生成されるエッチングイオンのエネルギーが低いためエッチングは殆ど進行せずに、エッチャント(反応種)の吸着が優先的に行なわれる期間となっており、この期間(Toff )には、試料表面が少なくとも1層以上のエッチャントで覆われる(図3の(a)参照)。次に、試料への高周波電力の印加がONとなる周期時間(Ton)においては、イオンシースの厚みが厚くなり、エッチングイオンのエネルギーが高くなって、十分なエッチング反応が進行する(図3の(b)参照)。
【0024】これらの操作を1秒よりも短い周期時間(T)で繰り返すことにより、エッチャントが十分に供給された状態でのエッチングが行なわれることとなり、反応効率の高いエッチングが達成される。また、マイクロ波(μ波)パワーの供給を周期的(間歇的)にして、マイクロ波放電プラズマ発生の休止期間を設ける場合には、該プラズマが発生している期間内に上述したような試料に対する高周波電力の断続的印加を繰り返すようにすればよい。
【0025】図1の装置構成を用いて、図4の(a)に示すような単層レジストマスク42を設けたシリコン基板41をSF6 ガスを用いてエッチングする場合について説明する。まず、シリコン基板41を放電管3内に搬送し、温度制御機構6によって冷却されている試料台5上に固定し、シリコン基板温度を−130℃に保持する。続いて、放電管3内に25 sccm のSF6 ガスを含む放電用ガスを導入し、放電管3内の圧力を10 m Torr (一定)に維持する。この状態で電磁コイル4に電流を流し、導波管2から放電管3内にマイクロ波電力を供給し、放電管3内にガス放電プラズマを発生させる。
【0026】この放電プラズマが発生したら、今度は、高周波電源9と試料台5との接続経路内に設けられたチョッパ15に同期制御機構16からの制御信号を送って、試料7への高周波電力の印加状態を0.5秒周期で0W印加状態(OFF状態)と5W印加状態(ON状態)との間で交互に切り換えることを繰り返しながら、開孔幅Waが3μmのパターン部で3μm深さのエッチングを行なった。この方法でエッチングした場合のエッチングパターン形状は、図4の(c)に示すとおりであった。これに対して、従来方法に従って試料7への高周波電力の印加状態を5W一定としてエッチングした場合のエッチングパターン形状は、図4の(b)に示すとおりであった。
【0027】図4の(b)と(c)の比較からも明らかなように、本実施例の方法により得られるエッチング形状は、レジストに対する選択比とアスペクト比依存性とにおいて大きく改善されている。ちなみに、従来方法ではレジストに対する選択比が40程度であったのに対し、本実施例の方法では選択比が100程度となっており、約2倍以上の選択比向上が認められた。また、従来方法による開孔幅Wbが0.5μmのパターン部のエッチング深さ44には開孔幅Waが3μmのパターン部のエッチング深さ43に比べて約20%のエッチング遅れが認められたが、本実施例の方法での0.5μmパターン部のエッチング深さ46にはそのようなエッチング遅れは殆ど認められなかった。
【0028】本実施例において上述したような優れた効果が得られる理由につき図5の実験結果を用いて説明する。図5は、試料に対する高周波電力印加のON−OFF時間を同じ(Ton=Toff )にしてその周期時間Tを変化させた場合のエッチング速度の変化を示している。実験は、図1の装置構成を用いて図4の(a)に示した試料に対して行なった。10 m Torr の圧力でSF6 ガスを25 sccm で導入しながら、試料に印加する高周波電力を0W(無印加状態)と5W(印加状態)との間で周期的に切り換えながらエッチング処理を行ない、0.5μm幅のパターン部のエッチング速度を調べた。なお、比較のために従来法に従って試料に対して5Wの高周波電力を連続印加してエッチングした場合のエッチング速度は約3.5μm/分であり、0W印加(無印加状態)を継続した場合におけるエッチング速度は約0.1μm/分であった。これに対し、本発明に従って試料に印加する高周波電力を周期的に変化させると、その周期時間Tが10秒程度と長い場合にはエッチング速度は約1.5μm/分まで低下してしまうが、この周期時間Tを1秒よりも短くするとエッチング速度は顕著に増大し、0.2秒以下では飽和した。これは、周期時間Tが長い場合には、単純に高周波電力印加を0W連続とした場合と5W連続とした場合とでの平均的なエッチング速度となるが、周期時間Tを短くするに従ってエッチャント吸着の過程と反応生成物脱離の過程とが効率的に行なわれるようになるためと考えられる。なお、この図5に示した条件下では、エッチャントを飽和吸着させた後の高周波電力の印加時間Tonは0.1秒とするのが適当である。
【0029】次に、エッチャント供給時間として試料7への高周波電力無印加時間Toff を設けることの効果について、図6の実験結果を参照して説明する。この実験は、やはり図1の装置構成を用いて図4の(a)に示した試料について行なった。試料7に印加する高周波電力を5Wとしたときの周期時間Tonを0.1秒に固定して、印加高周波電力が0W(RFオフ)時の周期時間Toff を変化させたときの0.5μmパターン部分のエッチング速度の変化の様子を調べた。その他の条件は上記した図5の実験の場合と同様に設定した。
【0030】高周波電力無印加(RFオフ)の周期時間Toff を短くするにつれて、エッチング速度は増加し、0.05秒以下になるとほぼ飽和した。しかし、3.0μmパターン部分のエッチング速度は0.05秒以下になってもまだ飽和せず、再びアスペクト比依存性が生じた。この条件の下ではエッチャントの供給が0.05秒でほぼ飽和し、これ以上吸着時間(Toff )を長くしても吸着量は増加しないので、無為な時間が増加しエッチング速度が低下することになるが、Toff 時間を0.05秒よりも短くすると、高アスペクト比のパターン部でエッチャントの吸着量が不足することになり、アスペクト比依存性が生じることになると考えられる。
【0031】いま、シリコン基板表面上に面積1cm2 当たり約1.4×1015個の面密度で存在するシリコン原子にそれぞれ3〜4個のエッチャントを吸着させようとする場合、10 m Torr の圧力ではエッチャントの入射量が1秒間に約5×1018個であるから、約1ミリ秒で必要数のエッチャントが入射する。ただし、エッチング孔や溝の底部に到達するエッチャント数はアスペクト比の関係で入射量の数%から50%程度になるので、吸着量が飽和するためには少なくとも0.05秒を要する。このように、飽和ガス吸着を行なわせるには、少なくとも1ミリ秒以上の吸着時間が必要である。したがって、試料への高周波電力の断続的印加の周波数は1キロHz以下とする必要がある。
【0032】図1の装置構成でのチョッパ15と高周波電源9の代わりに低周波電源を用いた場合、1周期の間にレジスト等の絶縁物マスクのチャージアップによって加工精度が低下する。このため、単に低周波の試料バイアスを印加すると云うだけでは所望の効果が得られないのであり、1キロHz以上の高周波電力を低周波で振幅変調して試料に印加することによって、始めて所望とする高精度、高効率のエッチング加工を実現することができるのである。
【0033】上記の例では、エッチングガスとしてSF6 ガスを用いた場合について示したが、この他Cl2 やBr2 などのエッチングガスを用いても最適な周期時間Tは多少変化するものの、試料への高周波電力の印加を断続的に変化させることによって同様の効果が得られた。
【0034】また、使用可能なエッチング装置に関しても、上記実施例に示した有磁場マイクロ波プラズマエッチング装置だけで限られるものではなく、ヘリカル共鳴型や3電極型などのプラズマ発生機構を用いたプラズマエッチング装置のようにプラズマの発生と試料への高周波電力の印加とをそれぞれ独立に制御できるプラズマエッチング装置であれば、やはり同様な効果が得られる。
【0035】なお、本発明のエッチング方法においては、連続発生されているプラズマの中で、エッチング中の試料に対し、エッチャントの吸着を十分に行なわせてから、瞬時に高周波バイアスを印加して高異方性イオンの作用でエッチングを行なうものであるから、上記したエッチャントの吸着時には、顕著なエッチング作用を生じない程度の低いエネルギーのイオン照射があっても構わない。すなわち、試料に印加する高周波バイアスを単にON−OFFするだけではなく、高バイアス印加状態と低バイアス印加状態との間での切り換えを繰り返すようにしてもよいことは云うまでもない。
【0036】[実施例2]本実施例は、図1に示した装置構成の有磁場マイクロ波エッチング装置を用いて、酸化膜マスクを介して多結晶シリコンをエッチング加工する方法についてのものであり、被加工試料に印加する高周波電力を周期的に断続変化させた場合のもう一つの効果を説明するためのものである。
【0037】図7に、本実施例によるエッチング方法の工程図を示す。図7の(a)はエッチング前の試料の形状を示し、シリコン基板71上に熱酸化膜72を成長させた後、多結晶シリコン73とシリコン酸化膜74を堆積し、該シリコン酸化膜74に孤立パターンを形成してなるものである。この試料をCl2 ガスを20 sccmの流量で導入し、圧力を10 m Torr 一定とした反応室(放電管)内においてエッチングした。図1の装置構成において、試料に印加する高周波電力を断続的に変化させずに、酸化膜74に対する多結晶シリコン73のエッチング選択比を高く取るために印加高周波電力の出力を3W(一定)に設定して多結晶シリコン層73を連続エッチングすると、エッチング断面形状が図7の(b)に示すように逆テーパ状になる現象が生じた。これは、プラズマと試料表面との間に形成されるイオンシースの平均厚さdがパターン段差に比べて薄く、加速電界も低いためパターン部分の電界の歪の影響を受けるために生じたと考えられる。この時の多結晶シリコン73の酸化膜74に対するエッチング選択比は約30であった。同様の装置構成を用いて、パターン部分の電界歪の影響を緩和するために、高周波電源の出力を10W(一定)に設定して連続エッチングすると、図7の(c)に示すような垂直断面形状が得られるが、この時のエッチング選択比は約10に低下した。
【0038】これに対し、図1の装置構成で、試料への印加高周波電力を0Wと10Wとの間で各0.5秒周期で繰り返し切り換えながらエッチングした場合のエッチング断面形状が図7の(d)である。垂直断面形状で、エッチング選択比は約30となっており、形状、選択比とも改善されている。本実施例では、エッチャントの供給を飽和させてから高エネルギーのイオンを照射するので、効率的なエッチングが進行し、選択比と加工形状が改善されるものと考えられる。
【0039】さらに、本実施例では、アスペクト比依存性の殆どないエッチングが達成されるので、オーバーエッチングの時間が少なくてもよいため、下地酸化膜72の削れが低減できる。
【0040】この他、本実施例のエッチング方法を用いてライン&スペースのようなエッチングすべき溝(スペース)が多数並んだパターンをエッチングした場合においても、上記と同様の良好なエッチング特性が得られた。
【0041】
【発明の効果】本発明のエッチング方法によれば、試料面へのエッチャントの供給時間とエッチングイオンの照射とをほぼ独立に制御できるので、アスペクト比依存性の殆ど無い垂直断面形状の高選択比エッチングが達成できるため、ULSI等におけるパターン加工精度を大幅に向上できるという効果がある。したがって、特に下地酸化膜が薄い場合のゲート加工や高アスペクト比構造となるトレンチキャパシタの加工等に有効である。また、本発明のエッチング方法によれば、低損傷でのエッチング加工が可能となると云う効果も得られる。




 

 


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