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含浸形陰極および電子管の製造方法 - 株式会社日立製作所
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発明の名称 含浸形陰極および電子管の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−150811
公開日 平成6年(1994)5月31日
出願番号 特願平4−300780
出願日 平成4年(1992)11月11日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 佐々木 進 / 会田 敏之 / 矢口 富雄 / 山田 絵実子 / 成清 正 / 田口 貞憲
要約 目的
陰極封入工程での被覆膜酸化に起因する電子放出特性の劣化を受けないSc被覆型含浸形陰極およびそれを用いた電子管を提供する。

構成
Sc被覆型含浸形陰極の被覆膜の上面に、同陰極の予備加熱処理の後、バリウム及び酸素を含む保護膜層を形成し、さらにこれを電子管へ封入して、真空排気の後に再加熱を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】多孔質タングステン基体にバリウムを含む酸化物を含浸させた含浸形陰極の電子放出面に、タングステンと、少なくともスカンジウム,酸化スカンジウム,タングステン酸スカンジウムのいずれか一つ又は複数を含む被覆膜、または前記被覆膜にさらに酸化タングステンを含む被覆膜を形成した被覆型含浸形陰極において、前記被覆型含浸陰極を真空中で予備加熱した後、前記被覆膜の上面に、さらに少なくともバリウム及び酸素を含む保護膜を形成したことを特徴とする含浸形陰極製造方法。
【請求項2】請求項1において、バリウム及び酸素を含む前記保護膜が、BaO,BaO2,Ba(OH)2およびBaCO3から選ばれた一つまたは複数を含む含浸形陰極の製造方法。
【請求項3】請求項1または2において、前記保護膜層の厚さを、20nm以上,200nm以下とした含浸形陰極の製造方法。
【請求項4】請求項1,2または3において、前記予備加熱の温度が900℃以上である含浸形陰極の製造方法。
【請求項5】請求項1,2,3または4において、前記含浸形陰極を含む電極を、ガラスチューブに封入および真空排気したのち、再加熱を行う電子管の製造方法。
【請求項6】請求項5において、前記再加熱の温度が1050℃以上,1250℃以下である電子管の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はブラウン管,撮像管等の電子管に好適な含浸形陰極、特に良好な電子放出特性を発現させるためのスカンジウムを含む表面被覆膜層を有する含浸形陰極に係り、被覆膜の熱酸化防止保護膜を有する含浸形陰極およびその製造方法ならびにこれを用いる電子管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】含浸形陰極は高電流密度動作が可能な陰極であり、電子管の高出力化、特に、ブラウン管では高輝度化,高精細化のために欠くことのできない陰極である。
【0003】含浸形陰極の基本構成は、タングステンからなる耐熱多孔質基体に、BaOを主体に、他にAl23やCaOを水素雰囲気中で加熱溶融し、含浸させたものである。この溶融含浸した物質を、一般に含浸剤と称する。
【0004】含浸形陰極は動作時に、常に1000℃程度に加熱されており、耐熱多孔質基体と含浸剤は反応し、バリウムを遊離する。バリウムは拡散により陰極表面に供給され、同様に陰極内部または電子管内部雰囲気中から供給された酸素と共に、陰極表面、つまり、タングステン基体上に吸着する。このように、金属表面にバリウムと酸素から成る吸着層が形成されると、金属表面の仕事関数が実質的に引き下げられ、電子放出が容易となる。これが、含浸形陰極の動作原理であり、これに対する考察は、例えば、ジャーナル・オブ・フィジックス D:アプライド・フィジックス,第15巻(1982年)第1519頁から第1529頁(J.Phys. D: Appl. Phys.,15(1982)1519−1529)に記載されている。含浸形陰極は電子放出部分が基本的に金属であるため電気的な抵抗が小さい。そのため含浸形陰極は、アルカリ土類金属炭酸塩を原材料とする電気的に高抵抗な酸化物陰極のような、ジュール発熱による陰極材料自体の分解に起因する陰極劣化は生じない。従って、含浸形陰極は、酸化物陰極に比較し高電流密度動作が可能である。
【0005】しかし、含浸形陰極は、高電流密度動作が可能な反面、動作温度が酸化物陰極のおよそ750℃に比較して、より高温で動作させる必要がある。前述の基本構成の含浸形陰極の場合、10A/cm2 の電流密度を得るにはおよそ1100℃に加熱する必要がある。
【0006】このため、含浸形陰極の改良は、この動作温度を低下させることを目的に行われている。例えば、前述の基本構成の含浸形陰極の表面にオスミウムを被覆した含浸形陰極が開発され、その動作温度はおよそ1000℃に低下した。さらに、タングステンを主体に酸化スカンジウムやタングステン酸スカンジウムを含む薄膜を被覆した含浸形陰極は900℃で前述の電流密度動作が可能である。本文中では以後、これらをOs被覆型含浸形陰極,Sc被覆型含浸形陰極と記述するが、これらに関しては、アイイーイー・プロシーディング,第128巻,パート1,ナンバー1(1981年)第19頁から第32頁(IEE Proc.,128,Pt1,No.1(1981)19−32)ならびに、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス,第27巻,ナンバー8(1988年)第1411頁から第1414頁(Jpn. J. Appl. Phys.28,No.8(1988)1411−1414)に記載されている。
【0007】ところで、陰極は、ガラス製チューブの電子管内に他の電極と共に封入される製造工程において、大気雰囲気中で約400℃またはこれ以上の温度で加熱される。これは、ガラス製チューブの電子管製造においては避けられない工程である。
【0008】その結果、Os被覆型含浸形陰極では、オスミウム被覆膜は酸化され、有害でかつ揮発性を有するOsO4 を生じ、かつ電子放出特性が劣化する。このため、被覆膜としてオスミウム単独でなくルテミウムとの合金膜を用いるOs/Ru被覆型含浸形陰極が一般的に用いられている。
【0009】同様に、Sc被覆型含浸形陰極においても、封入工程を経ることにより電子放出特性の劣化がおきる。この原因は明らかでないが、被覆膜中のタングステンが酸化された結果、酸化タングステンと陰極内部から供給されたバリウムが反応し、BaWO4 が形成され、これが電子放出に寄与しないためと推定される。ところで、含浸形陰極はブラウン管内でのガス放出を抑制するため、または、ブラウン管製造工程内の陰極活性化時間を短縮するために、あらかじめ封入前に900℃以上で真空容器中で予備加熱処理を行うことがある。しかし、予備加熱処理を行ったSc被覆型含浸形陰極は、封入工程による被覆膜酸化により著しく電子放出特性が劣化する。陰極の被覆膜の酸化を防ぐには、封入工程を窒素雰囲気中で行えばよいが、製造コストの上昇をまねき量産には不適である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、含浸形陰極の動作温度を低下させる目的で被覆された、オスミウム膜や、スカンジウムを含むタングステン膜は、電子管への封入の工程において酸化され、電子放出特性の劣化を生じる。Os被覆型の場合、オスミウム膜にルテニウムを加えることによりこれを防ぐ事ができる。しかし、Sc被覆型では、封入を窒素雰囲気中で行い酸化を抑制する以外にはこれまで対策がなかった。しかも、窒素雰囲気中で封入を行う事は製造コストの上昇をまねき、量産に不適であった。
【0011】本発明の目的は、Sc被覆型含浸形陰極を用いた電子管において、その製造の封入工程における被覆膜酸化を防止することにある。また、それに用いる優れた耐酸化特性を有するSc被覆型含浸形陰極およびそれを用いた電子管を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題は、以下の解決手段により達成することができる。すなわち、本発明のSc被覆型含浸形陰極は、900℃以上の予備加熱処理の後、被覆膜表面にバリウム及び酸素を含む保護膜を形成することを特徴とする。ここで、バリウム及び酸素を含む保護膜はスパッタ法や蒸着法などの一般的な成膜方法により容易に形成することができる。
【0013】
【作用】前述した通り、陰極は電子管の製造工程である封入において、大気中で約400℃またはこれ以上の温度で加熱される。この時、バリウム及び酸素を含む保護膜は、既にほとんど酸化物であるため、酸化による破損は生じず、本来の被覆膜表面の酸化を防ぐ。封入後、電子管は真空排気され、陰極活性化のために1150℃程度で加熱される。この工程において、バリウム及び酸素を含む保護膜は蒸発し、本来のScを含む被覆膜が陰極表面に現われる。
【0014】ところで、保護膜は陰極表面全面を均一に覆い、塗布膜下の被覆膜の酸化を十分に防ぐ必要がある。さらに、陰極の活性化時に容易に短期間に消失することが必要である。このためには、20nm以上,200nm以下であることが必要である。
【0015】したがって、Sc被覆型含浸形陰極の表面に、保護膜を形成することにより、電子管の製造工程における被覆膜の酸化を防ぐことができる。
【0016】
【実施例】
〈実施例1〉図1に、本発明の含浸形陰極の作製の実施例をブロック図に示す。同図において、破線で囲んだ部分が従来と異なる。
【0017】含浸形陰極の基本構成は、タングステン粉末をプレス,焼結したのち、含浸剤を含浸したものである。これを基本型含浸形陰極と呼ぶ。本実施例では、含浸剤として、BaO,CaO,Al23を4:1:1に混合したものを用いた。そして、この含浸剤を、水素雰囲気中で1900℃に加熱溶融し、タングステンの焼結体つまり多孔質体に含浸した。本実施例で用いた基本型含浸形陰極の大きさ及び形状は、直径1.2mm,厚さ0.4mmの円筒状のペレットである。
【0018】Sc被覆型含浸形陰極は、基本型含浸形陰極の上面に、Wを主体としScを含む膜をスパッタ成膜法を用いて被覆して作製した。このときスパッタターゲットは、タングステンとSc2312の複合ターゲットを用いた。被覆膜の組成はSc/Wの元素比で0.10から0.15に調整し、膜厚は300nmとした。バリウム及び酸素を含む保護膜はスパッタ成膜法により形成した。このとき、スパッタターゲットとして炭酸バリウムを用いた。成膜された保護膜は、主としてBaOであると推定されるが、BaO2やBaCO3またはBa,C,Oの各元素が混在している可能性がある。また、さらには成膜後、保存雰囲気によってはBa(OH)2 が生成されることもある。この保護膜の形成は、陰極の予備加熱処理の後に行う必要がある。本実施例では、予備加熱処理として、真空容器中で1150℃で4時間の加熱(活性化)を行った後、上述のバリウム及び酸素を含む保護膜を形成した。これを、封入工程での電子放出特性劣化を防止する効果を模擬的に確認するために、大気中で400℃,5分の加熱を行った。そして、真空容器中で再び1150℃加熱による再活性化を行い放出電流およびその加熱変化を測定した。
【0019】図2に、本実施例の含浸形陰極の電子放出特性を、保護膜の無い従来例と比較して示す。横軸は真空容器中での1150℃での再加熱(再活性)時間であり、縦軸は900℃での陰極放出電流量である。ただし、放出電流量は予備加熱処理後の値を1.0 として規格化して表している。測定は、陽極を陰極から7mm離して配置し、陽極に4kVの電圧を印加して行った。保護膜厚が10nmから300nmの結果を、保護膜無しの従来例1と比較して示している。
【0020】図2より、20nmから120nmの保護膜を有する陰極3,4,5は、大気酸化後に、真空中で再加熱すれば放出電流量は大気酸化前の値に回復することが分かる。ここで、保護膜厚120nmの陰極5の、再加熱後の陰極表面をSEM及びEDXで観察したところ、Baまたはその酸化物の薄膜は残存せず、含浸形陰極本来の表面が露出していた。保護膜厚が20nmより薄い陰極2の場合、保護膜は陰極表面を覆いきれず、スカンジウムを含む被覆膜が酸化を受け電子放出の劣化は回復不能である。また、保護膜が200nmの陰極6および300nmの陰極7では、保護膜の蒸発に時間を要し放出電流が回復をするまえに陰極本来の劣化が始まるものと考えられる。
【0021】〈実施例2〉実施例1では、予備加熱を、陰極からのガス放出処理と陰極の活性化処理を兼ねて1150℃で行ったが、これはガス放出処理だけを目的とする場合、900℃の加熱で充分である。このとき、1150℃で再加熱した場合の、放出電流の立ち上りを図3に示す。横軸は真空容器中での1150℃での再加熱(活性)時間であり、縦軸は900℃での陰極放出電流量である。ただし、上述の模擬的な封入試験を行っていない陰極9の放出電流の最大値を1.0 として規格化して表している。測定は、陽極を陰極から7mm離して配置し、陽極に4kVの電圧を印加して行った。保護膜厚が10nm,200nm,300nmの陰極11,12,13の結果を、保護膜無しの従来例10と比較して示している。
【0022】図3に示されるように、900℃で1時間の予備加熱を行った場合、保護膜無しの陰極10では、封入試験により放出電流が本来の80%以下に劣化する。これに対し、保護膜を200nm被覆した陰極12では、封入試験を行わない陰極9とほぼ同等の放出電流が得られた。実施例1で示した図2の保護膜厚200nmの陰極6では十分な放出電流が得られていないが、これは、本実施例では予備加熱で陰極活性化を行っていないためである。つまり、本実施例では陰極本来の劣化が始まる再加熱時間が、実施例1より相対的に長く、劣化前に保護膜が蒸発したと推定できる。
【0023】従って、保護膜厚の上限は予備加熱の温度と時間に依存する。しかし、本実施例でも、保護膜が300nmの陰極13では、保護膜が蒸発して十分な放出電流の立上りが得られる前に、陰極本来の劣化が始まる。また、保護膜厚が10nmの陰極11では、保護膜が被覆膜を覆いきれず十分な放出電流は得られない。さらに、図3には示していないが、20nm以上、200nm未満の保護膜を持つ陰極の放出電流は、保護膜厚200nmの陰極12と同等かそれよりも高い放出電流が得られる。従って、保護膜厚は概略20nmから200nmが適当である。
【0024】実施例1および実施例2では、含浸剤として、BaO,CaO,Al23を4:1:1に混合したものを用いたが、これは5:3:2や他の組成のものでも同様の効果を示すことは容易に類推される。さらに、本実施例の保護膜の作製法はスパッタ成膜法を用いたが、これは蒸着法など他の成膜方法でもよいことは明白である。また、実施例1および実施例2では再加熱を1150℃で行ったが、再加熱温度は保護膜が消失する時間との兼ね合いで決まる。再加熱温度が高いほど早く消失するが、1250℃より高温での加熱は本来のScを含む被覆膜の劣化が著しいため好ましくない。また、1050℃より低温では保護膜の消失に要する時間が長く、実用的でない。
【0025】〈実施例3〉図4に本発明の含浸形陰極を実装した電子管の実施例として、ブラウン管の構成を示す。ブラウン管では、ヒータ14で加熱される陰極15から放出した電子を、幾枚かの電極で構成される電子銃で蛍光面20に収束させる。電子銃は、陰極の前面に配置される第1電極16およびその次の第2電極17からなる電子引出部と、主として電子ビームを収束する主レンズ部からなる。主レンズ部18は一般に、2枚から4枚の電極から構成される。また、電子ビームは偏向コイル19で蛍光面全面に走査される。ところで、ブラウン管の製造工程では、陰極は電子銃に組み込まれた後、ガラスで金属端子が固定配置された電流導入端子に取り付けられる。そして、これをガスバーナを用いて蛍光面を有するガラスチューブと一体化する。この封入工程で、陰極は大気中で数分間ではあるが約400℃またはこれ以上の加熱を受ける。このとき従来のSc被覆型含浸形陰極では被覆膜の酸化が生じ、陰極本来の電子放出特性を発揮できない。この被覆膜酸化による、電子放出劣化は特に予備加熱処理を行った陰極で著しい。本来の特性を発揮させるには、窒素雰囲気中で封入するように特別な封入方法を行う必要がある。しかし、本発明の含浸形陰極を通常の方法で電子管に封入、真空排気した後、1050〜1250℃で再加熱を行えば十分な電子放出特性を発揮する。
【0026】
【発明の効果】本発明の含浸形陰極の製造方法を用いれば、あらかじめ予備加熱処理を行ったSc被覆型含浸形陰極の、電子管製造工程での被覆膜酸化を避けることができ、電子放出の劣化を防止することができる。このとき保護膜の厚さは、20nm以上,200nm以下で電子放出特性の劣化を防止できる。また、本発明の製造方法に従う電子管では、その製造工程において、Sc被覆型含浸形陰極では必須である窒素雰囲気中での封入を必要としない。




 

 


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