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発明の名称 過負荷保護装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−131956
公開日 平成6年(1994)5月13日
出願番号 特願平4−278856
出願日 平成4年(1992)10月16日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎
発明者 島田 俊雄 / 菅原 渉
要約 目的
所定の動作温度で速やかにかつ永久的に電路を遮断し、しかも、通常使用時には、高い信頼性を維持できるようにした簡単でかつ安価な構成とする。

構成
湾曲状のバイメタル5は、ケース内の底部から離れて取り付けられている。バイメタル5の両端側に可動接点3,4が固着され、これらに対向してケース内に固定接点が取り付けられている。バイメタル5の可動接点3,4接合領域の外周付近から放射状にかつ等間隔に複数の貫通孔5eが設けられている。バイメタル5は、通常、可動接点3,4が固定接点に接触するような湾曲をなしているが、異常状態で高温となると逆湾曲状になり、可動接点3,4が固定接点から離れる。異常状態が続くと、可動接点3,4と固定接点との接触,離脱が繰り返し、遂に可動接点3,4が固定接点に溶着すると、可動接点3,4の周りが貫通孔5eがあることによって溶け、可動接点3,4がバイメタル5から外れる。
特許請求の範囲
【請求項1】 ケース内に、該ケースの底部に固定された少なくとも一対の固定端子に固着した固定接点と、該底部から離間して軸支され該固定接点に対向するように可動接点が結合された皿状のバイメタルとが収納されてなり、バイメタルが、温度の変化に応じて、皿形状を反転するようにした過負荷保護装置において、該可動接点は該バイメタルに抵抗溶接によって結合され、該バイメタルの可動接点結合部近傍に、該可動接点結合部中心として放射状に複数の貫通孔もしくは有底溝を設けたことを特徴とする過負荷保護装置。
【請求項2】 ケース内に、該ケースの底部に固定された少なくとも一対の固定端子に固着した固定接点と、該底部から離間して軸支され該固定接点に対向するように可動接点が結合された皿状のバイメタルとが収納されてなり、バイメタルが、温度の変化に応じて、皿形状を反転するようにした過負荷保護装置において、該バイメタルの該可動接点との対向部中央を横切るように貫通長孔を設け、かつ、該可動接点が、該貫通長孔を跨ぐようにして、該バイメタルに抵抗溶接でもって結合していることを特徴とする過負荷保護装置。
【請求項3】 ケース内に、該ケースの底部に固定された少なくとも一対の固定端子に固着した固定接点と、該底部から離間して軸支され該固定接点に対向するように可動接点が結合された皿状のバイメタルとが収納されてなり、バイメタルが、温度の変化に応じて、皿形状を反転するようにした過負荷保護装置において、該バイメタルに略山型の突出部を設け、該突出部と該可動接点を抵抗溶接でもって結合したことを特徴とする過負荷保護装置。
【請求項4】 ケース内に、該ケースの底部に固定された少なくとも一対の固定端子に固着した固定接点と、該底部から離間して軸支され該固定接点に対向するように可動接点が結合された皿状のバイメタルとが収納されてなり、バイメタルが、温度の変化に応じて、皿形状を反転するようにした過負荷保護装置において、該バイメタルの可動接点結合部の端面幅を該可動接点の径と略同一にし、かつ、該端面に可動接点を抵抗溶接でもって結合したことを特徴とする過負荷保護装置。
【請求項5】 ケース内に、該ケースの底部に固定された少なくとも一対の固定端子に固着した固定接点と、該底部から離間して軸支され該固定接点に対向するように可動接点が結合された皿状のバイメタルとが収納されてなり、バイメタルが、温度の変化に応じて、皿形状を反転するようにした過負荷保護装置において、該バイメタルに結合された一対の該可動接点の接点材質を電気伝導度もしくは熱伝導度が異なるものとし、かつ、該可動接点を抵抗溶接でもって該バイメタルに結合したことを特徴とする過負荷保護装置。
【請求項6】 ケース内に、該ケースの底部に固定された少なくとも一対の固定端子に固着した固定接点と、該底部から離間して軸支され該固定接点に対向するように可動接点が結合された皿状のバイメタルとが収納されてなり、バイメタルが、温度の変化に応じて、皿形状を反転するようにした過負荷保護装置において、該一対の可動接点の体積を互いに異なることを特徴とする過負荷保護装置。
【請求項7】 ケース内に、該ケースの底部に固定された少なくとも一対の固定端子に固着した固定接点と、該底部から離間して軸支され該固定接点に対向するように可動接点が結合された皿状のバイメタルとが収納されてなり、バイメタルが、温度の変化に応じて、皿形状を反転するようにした過負荷保護装置において、該可動接点夫々をバイメタルでの互いに異なる断面積の端部に抵抗溶接でもって結合したことを特徴とする過負荷保護装置。
【請求項8】 請求項1,2,3,4,5,6または7において、バイメタルの板厚を0.15mmから0.25mmまでの範囲としたことを特徴とする過負荷保護装置。
【請求項9】 空気調和機,冷蔵庫,除湿機等の電動圧縮機を負荷とすることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8項に記載の過負荷保護装置。
【請求項10】 該ケースの内部の底部に植設されて固定接点が固着された固定端子板と、該ケース内に調整ネジによって保持され、該固定接点と離接する可動接点を備えた皿形バイメタルと、該皿形バイメタルの近傍に配置された発熱要素とからなる主プロテクタと、所定温度で閉成する温度スイッチとが一体収納された過負荷保護装置において、該発熱要素は、その一方の端子が該温度スイッチに接続され、他方の端子が該調整ネジを介して該皿形バイメタルに接続されていることを特徴とする過負荷保護装置。
【請求項11】 請求項10において、前記発熱要素は互いに発熱量が異なる第1,第2の発熱要素からなり、前記温度スイッチが、周囲温度に応じて、該第1,第2の発熱要素のいずれか一方を切替選択することを特徴とする過負荷保護装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動機などに用いて好適なバイメタルによる過負荷保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、冷蔵庫,空気調和機,除湿機などをはじめとする各種電動機を用いる製品には、電動機の過熱焼損を防止するために、過負荷保護装置が設けられている。この種の過負荷保護装置としては、従来、種々提案されているが、その一例として実開昭59−72641号公報や実開昭64−35642号公報などに開示されるものがある。これを図26及び図27によって説明する。但し、図26はその縦断面図、図27は図26の分断線A−Aから見た平面図であって、1はケース、1aは外部底面、1bは内部底面、2は蓋、3,4は可動接点、5はバイメタル、6は調整ネジ、6aはその頭部、7,8は固定接点、9,10は固定端子、11がヒータ端子、12はヒータ線、13はバネである。
【0003】図26において、ケース1はフェノール樹脂または不飽和ポリエステルの合成樹脂などの耐熱絶縁材料からなり、有底円筒状をなしている。このケース1に蓋2が被せられ、これらによって内部空間が形成される。
【0004】この内部空間内には、ケース1の底部の中心に、内部底面1bから外部底面1aを貫いて黄銅製の調整ネジ6が取り付けられており、この調整ネジ6のケース1の内部側の端部に頭部6aが設けられている。この調整ネジ6には、湾曲した皿状のバイメタル5の軸支孔が挿通して取り付けられ、また、バイメタル5とケース1の内部底面6bとの間にバネ13も取り付けられており、このバネ13の付勢力によってバイメタル5が調整ネジ6の頭部6aに押圧されて、バイメタル5がケース1の底部離間している。
【0005】バイメタル5には、湾曲状をなしており、軸支孔に対称に一対の可動接点3,4が抵抗溶接により固着されている。
【0006】また、ケース1の内部底面1bから外部底面1aに貫通して固定された固定端子9の先端に固定接点7が固着され、この固定接点7が内部底面1b上バイメタル5の一方の可動接点3に対向した位置に固着されており、同様に固定されて一部が外部に突出した固定端子10の先端にも固定接点8が固着され、この固定接点8が内部底面1b上バイメタル5の他方の可動接点4に対向した位置に固着されている。
【0007】さらに、同様にして、一部が外部に突出してヒータ端子11がケース1の底部1bに固定されており、このヒータ端子11と固定端子9との間に溶接などによってヒータ線12が接続されている。固定端子10とヒータ端子11とがこの過負荷保護装置の外部端子となっている。このヒータ線12はバイメタル5の下面に近接し、かつ調整ネジ6の向う側に回り込むように配置されており、ヒータ線12から発生する熱により、バイメタル5が全周にわたって加熱されるようにしている。
【0008】バイメタル5はその中心部を中心とした湾曲状をなしており、温度が低い場合には、図示するように、中心部が上方に突出した湾曲状をなして可動接点3,4が夫々固定接点7,8に接触している。これにより、固定端子10から固定接点8、可動接点4、バイメタル5、可動接点3、固定接点7、固定端子9、ヒータ線12を通ってヒータ端子11に至る電路が形成される。温度が高くなって或る温度に達すると、バイメタル5は図示とは逆の中央部が下方に突出した湾曲状に急激に形状変形する。これを、以下、反転運動といい、反転運動後のバイメタル5の状態を反転状態という。また、この反転運動が生ずる温度を反転動作温度という。バイメタル5が反転運動すると、可働接点3,4が夫々固定接点7,8から離れ、電路が断状態となる。
【0009】バイメタル5が反転状態にあって温度が低下しはじめ、或る温度まで低下すると、バイメタル5は図示の状態に復帰する。これを以下、復帰運動といい、図示の状態を元の状態という。また、復帰運動が生ずる温度を復帰動作温度という。バイメタル5が反転状態から元の状態に復帰すると、可動接点3,4が夫々固定接点7,8に接触して電路が再び形成される。
【0010】図28はかかる過負荷保護装置を電動機に用いた場合の電気回路を示す結線図であって、14は上記の過負荷保護装置、15は電動機、16は始動装置、17は始動巻線、18は主巻線であり、図26及び図27に対応する部分には同一符号を付けている。
【0011】同図において、過負荷保護装置14については上記した電路構成部分のみが示され、電動機15は巻線17,18のみが示されている。電動機15では、始動巻線17と始動装置16との直列回路が主巻線18に並列接続されている。かかる電動機15と過負荷保護装置14とは、電動機15の一方の端子とヒータ端子11とを接続することにより、直列接続されることになる。これにより、過負荷保護装置14の固定端子10、バイメタル5、ヒータ線14、ヒータ端子11を介して電動機15の始動巻線17、主巻線18に電流が流れる。
【0012】電動機15の運転中に、電動機15や電動機15で駆動される図示しないコンプレッサでの軸受部分に焼き付けや回転部分へのゴミの侵入により、電動機15にメカニカルロックが発生すると、ロ−タが回転しないために、始動電流に相当する大電流が流れ続ける。この大電流は、電源が接続されている状態でロ−タがロックされている限り、流れ続ける。かかる大電流を拘束電流といい、電動機15の定格電流の4〜5倍程度である。通常、正常な始動時の始動電流の期間(始動時間)は2〜3秒と短いために、電動機15はこの短時間に流れる程度の大きな始動電流には充分耐えられるように設計されている。しかし、拘束電流が長時間にわたって電動機15とその電流回路に流れ続けることは、設計上考慮されておらず、好ましくない。
【0013】電動機15に大きな拘束電流が流れると、バイメタル5とヒータ線12の自己発熱が増加する。そして、温度がバイメタル5の反転動作温度に達すると、この瞬間バイメタルが急激に反転運動し、上記のように、可動接点3,4が固定接点7,8から離れて電動機15の通電が停止する。この通電停止があると、バイメタル5とヒータ線12とは冷却し始め、その後、温度がバイメタル5の復帰動作温度に達すると、バイメタル5は急激に復帰運動して元の状態に復帰し、可動接点3,4が夫々固定接点7,8に接触して電動機15の通電が再開する。
【0014】このとき、電動機15の拘束状態が解除されていれば、バイメタル5は再度反転運動を行なうことがなく、電動機15は正常な運転を行なう。
【0015】次に、実開昭60−183349号公報などに記載されるような従来の過負荷保護装置の他の例を図29によって説明する。但し、同図において、図26に対応する部分には同一符号を付けている。
【0016】この従来例は、基本的には、ヒータ線が設けられていない点が図26に示した従来例と異なっている。このため、図29に示すように、先端に固定接点7を有する固定端子9がケース1の底部を貫いて外部に突出されており、固定端子10とともに外部端子となっている。可動接点3,4が夫々固定接点7,8と接触しているときには、固定端子10から固定接点8、可動接点4、バイメタル5、可動接点3、固定接点7を介して固定端子9に至る電路が形成される。
【0017】かかる過負荷保護装置14を電動機15に使用する場合には、図30に示すように、過負荷保護装置14の一方の固定端子9が電動機15の一方の端子に接続される。
【0018】電動機15に何らかの異常が発生して大きな拘束電流が流れると、バイメタル5の自己発熱が増加する。そして、温度がバイメタル5の反転動作温度に達すると、この瞬間バイメタル5が急激に反転運動し、可動接点3,4が固定接点7,8から離れて電動機15の通電が停止する。この通電停止があると、バイメタル5は冷却し始める。そして、温度がバイメタル5の復帰動作運動に達すると、バイメタル5は急激に復帰運動して元の状態に復帰し、可動接点3,4が夫々固定接点7,8に接触して電動機15の通電が再開する。
【0019】このとき、電動機15の拘束状態が解除されていれば、バイメタル5は再度反転運動を行なうことがなく、電動機15は正常な運転を行なう。
【0020】以上のように、上記各従来例によると、バイメタル5の反転状態中に電動機15の拘束状態が解除されれば、電動機15は正常な運転状態となって加熱焼損を防止できる。
【0021】しかしながら、電動機15の異常状態が解消せず、バイメタル5が復帰運動して元の状態に戻ったとき、電動機15が再び拘束状態となると、また、過負荷保護装置14に大きな拘束電流が流れ、再びバイメタル5が反転運動して反転状態となり、電動機15の通電が停止する。
【0022】このように、電動機15の異常状態が解消されないと、バイメタル5は反転運動と復帰運動とを交互に繰り返し行なうことになり、この繰返し回数が多くなると、遂にはバイメタル5は疲労して破断する。上に挙げた実開昭60−183349号公報においては、バイメタル5として、図31に示すように、調整ネジ6が嵌合する軸支孔5bから放射状に伸延する複数のスリット5cが設けられたものが使用されるが、かかるバイメタル5が上記のように反転運動と復帰運動とを繰り返すと、これらスリット5cの先端から図示するような破断E,Fが生ずることになる。
【0023】なお、図31において、バイメタル5の平面形状は、略円型もしくは略楕円形をなす部分の外周5dの対向する2個所から矩形状の端面5a,5a'が突出した形状をなしており、これら端面5a,5a' 側の軸支孔5bに関して対称な位置に可動接点3,4が抵抗溶接によって接合している。
【0024】また、大電流開閉用の過負荷保護装置では、可動接点3,4としてその電流に見合った大きなものを用いるため、バイメタル5の可動接点3,4との結合部の反転動作時の自由度がなく、この部分の応力が増加する。このために、可動接点3,4の周囲から破断が同時に進行することもある。
【0025】バイメタル5に以上のような破断が生ずると、バイメタル5の特性が変化して接点圧力の減少方向や接点開離力の減少を招くとともに、反転動作温度や復帰動作温度が変化し、反転運動しても可働接点3,4の部分の反転動作量が減少したりなどして反転動作間隔が短くなり、バイメタル5やヒータ線12に流れる拘束電流の通電率が増加して益々ケース1内の温度が上昇する。
【0026】また、かかる繰り返し動作による最終故障モ−ドは、可動接点3,4と固定接点7,8の接点溶着である。このように接点溶着が発生すると、電動機15の巻線と過負荷保護装置14のバイメタル5とに大きな拘束電流が連続して流れることになり、電動機15の巻線が発熱して焼損することになるし、また、バイメタル5やヒータ線12の発熱によってケース1の内部温度が上昇し、この結果、ケース1や蓋2の耐熱温度以上に上昇すると、ケース1や蓋2などのバイメタル5の周辺部材も焼損することになる。
【0027】なお、図26に示した従来例では、ケース1の内部温度が異常に上昇したことによってヒータ線12が断線すれば、過負荷保護装置14の電路が遮断され、上記の焼損が防止できて安全であるが、必ずしもヒータ線12が断線するとは限らず、安全性の点で問題となる。また、図29で示したようなヒータ線をもたない過負荷保護装置14では、この作用さえも期待できない。
【0028】通常、冷蔵庫に用いられる過負荷保護装置14におけるバイメタル5の溶断電流は、5秒通電で70A以上である。また、空気調和機などに用いられるものでは100A以上である。これは、これらに用いられる電動機15の最大拘束電流の2倍以上の電流が流れない限り、溶断しないことを示している。
【0029】以上のような問題を解消する方法としては、従来、種々提案されているが、その一例として、実開昭59−72641号公報においては、ケースにセラミックなどの耐熱性材料を用いるものがある。
【0030】また、実開昭63−174145号公報においては、複数の鋸歯状突起を有する動作係数板を設け、バイメタルが復帰運動する毎に順次異なる鋸歯状突起に接合して動作係数板を降下させ、鋸歯状突起の個数に等しい回数バイメタルが復帰運動すると、動作係数板はケースの内部底面に当接し、バイメタルが復帰運動をすることができないようにした方法が開示されている。これによると、電動機の異常状態が解消されなくとも、バイメタルは、所定回数復帰運動を行なうと、復帰運動ができなくなり、反転状態が維持されて拘束電流が遮断される。
【0031】さらに、実開昭63−224125号公報においては、第1のバイメタルとこれよりも反転動作温度が高い第2のバイメタルとを直列に接続して設け、異常電流が発生すると、まず、第1のバイメタルが反転動作を行なうようにし、異常状態が解消されずに第1のバイメタルが反転運動と復帰運動とを繰り返し、遂に第1のバイメタルが破断して接点溶着が生じたときには、この結果生ずる異常温度上昇により、第2のバイメタルが反転運動して異常電流を遮断する方法が開示されている。
【0032】さらに、実開昭64−1450号公報には、第1のバイメタルの下面に第2のバイメタルを当接させ、第1のバイメタルが破断して接点溶着が生ずると、第2のバイメタルが反転運動して第1のバイメタルを持ち上げるようにした技術が開示されている。
【0033】さらに、実開昭64−35642号公報においては、バイメタルが取り付けられる調整ネジの頭部をこの調整ネジとは別部品とし、この頭部に凹みを設け、この頭部を調整ネジに嵌め込んだときに凹みに熱可溶金属を充填し、この熱可溶金属でもって頭部を調整ネジ先端に固着するようにした技術が開示されている。通常、バイメタルはバネによって頭部に押圧されているが、バイメタルが接点溶着して温度が高くなると、熱可溶金属が溶融して頭部と調整ネジとの固着が解け、バネの付勢力にによってバイメタルと頭部とが持ち上げられる。
【0034】さらに、特開平3−77228号公報には、バイメタルのバイメタル支持体との固定部と可動接点で介される位置に孔を明けてバイメタルの電気抵抗よりも高い抵抗値の高抵抗部を設け、この高抵抗部に過電流によるジュール熱を集中させて溶断させる方法が開示されている。また、これには、高抵抗部を得る方法として、板厚を薄くしたり、外周形状に凹みを設けたりすることでも、同様の効果が得られると述べられている。
【0035】次に、他の過負荷保護装置について説明する。例えば、セパレート形の空気調和機は、室内機と室外機が配管で結ばれるが、その工事が不完全なときには、冷媒であるフレオンが漏れることがある。この場合、空気調和機の圧縮機は過熱するが、その電動機の電流は略ぼ無負荷電流から増加することなく、従来の電流のみに応動する実開昭59−72641号公報等に開示されたプロテクタでは保護が不可能であった。
【0036】そこで、従来では、実開昭60−95183号公報,実開昭62−38090号公報,実開昭63−5422号公報及び特開昭63−61783号公報等に開示されているように、プロテクタをハーメチック形として圧縮機内に取り付け、圧縮機の温度を直接検知するようにしていた。これによると、前述の冷媒漏れによる過熱焼損は防止できても、ハーメチック形のプロテクタはそのもの自身が高価であるばかりか、その取付けの複雑さから工数が増加し、コストアップを招く欠点があった。
【0037】また、圧縮機に内蔵取付けのため、プロテクタの不具合発生時には、圧縮機単体でのサービス交換を必要とし、サービス費用の増大を招く等の不利益が生じていた。
【0038】これ等の問題を解決する手段として、圧縮機モ−タの外殻に取り付ける過負荷保護装置、即ち、2要素式サーマルプロテクタが実開平1−79240号公報に示されている。かかる2要素式サーマルプロテクタは、図32に示すように、皿形の主バイメタル19などからなる主プロテクタPを収納した筒形ケースの開放端側に、ヒータRと温度スイッチTHとの直列回路が配設されているものであって、このヒータRは主プロテクタPの近傍に配置されている。
【0039】かかる2要素式サーマルプロテクタは電源スイッチSWと電動機Mとの間に配置され、通常は主プロテクタPが閉じた状態に、また、温度スイッチTHは開いた状態に夫々あり、図示しない電源から電源スイッチSW,2要素式サーマルプロテクタを介して電動機Mに駆動電流が供給される。冷媒漏れなどの事故で圧縮機の温度が上昇した場合には、図33(a)に示すように、温度スイッチTHがこれを検知して閉じ、これによってヒータRは通電されて発熱する。このヒータRからの熱により、主プロテクタPの主バイメタルが加熱されて、図33(b)に示すように、開き、電動機Mへの通電を遮断する。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、バイメタルの接点溶着の対策方法が種々提案されているが、夫々には次のような問題もある。
【0041】即ち、実開昭59−72641号公報に記載のようにケースをセラミックでもって形成すると、確かにケースの焼損を回避できるが、負荷となる電動機巻線の焼損は免れないし、ケースが高価なものとなるという問題もある。
【0042】また、実開昭63−174145号公報記載のように動作計数板を設けた従来技術においては、この動作計数板によってバイメタルの反転運動、復帰運動の繰り返し動作回数が限られているため、(1)冷蔵庫、空気調和機、除湿機などに用いられる過負荷保護装置の場合、電動圧縮機の故障、即ち、機械的ロック以外でも作動してしまい、バイメタルが動作計数板によって反転状態に保持されてしまう事態が起り易く、従って、 サービスコールの増加を招く(2)調整作業中の動作確認においても、動作計数板が位置移動してしまい、残りの動作回数が減少してしまう等の実用化に際しての課題が残っている。
【0043】さらに、実開昭63−224125号公報記載のように、直列接続した第1,第2のバイメタルを用いる場合には、これらを同時に通電する必要があることから、(1)これらバイメタルの比抵抗に応じて流すことができる電流の大きさの範囲が制限される(2)バイメタルの比抵抗が不足してこれ自体の発熱量が小さいときには、ヒータ線を設ける必要があるが、バイメタルとヒータ線との間の絶縁距離を確保する必要があることから、ヒータ線が占めるスペースも大きくなり、過負荷保護装置が大形化する(3)第1,第2のバイメタル夫々に高価な接点を設ける必要があり、装置自体が高価になる等の実用化に際しての課題が残っている。
【0044】さらに、実開昭64−35642号公報に記載のように、熱可溶金属で調整ネジとその頭部とを固着した場合には、(1)バイメタルが接点溶着して高温となると、熱可溶金属が溶融し始め、バネによってバイメタルと調整ネジの頭部が持ち上げられるが、熱可溶金属の粘性のため、これらの持上げはゆるやかに行なわれる。そして、バイメタルの持上げによって可動接点がケースの内部底面上の固定接点からはずれると、電路が遮断されるために、これと同時に熱源が失われ、熱可溶金属は固相方向に向かう。このように、熱可溶金属の粘性に充分打ち勝つようにバネの力が作用しないときには、上記のように、バイメタルが持ち上げられたときの可動接点と固定接点との間の接点間開離量(接点ギャップ)を充分確保できない(2)上記の熱可溶金属の固相現象は、バネの負荷抵抗そのものであり、接点溶着時でのバネの接点引剥力を減少させるように作用する。このことは、大電流の負荷を開閉する過負荷保護装置を得る場合の障害となることが予想される(3)熱可溶金属による接合にはクリープがあるので、その融点はバイメタルの反転動作温度に対して充分な温度差があることが必要である。通常、このときの温度差は40〜50℃必要である。このため、接点開離動作が行なわれるための動作温度が高くなり、装置の利用範囲が制限されやすい(4)調整ネジ軸の頭部の凹みへの熱可溶金属の溶し込みに安定度が高い設備が必要であって、設備費が高価になる等の実用化に際しての課題がある。
【0045】さらに、特開平3−77228号公報記載のように、バイメタルの電気抵抗より高抵抗部をなすように孔を設けるとすると、普通一般的に用いられるバイメタルの外形形状は、可動接点に近い部分がそのバイメタルの断面積が最少となることから、可動接点に近い側になることは開示された図面からも明確である。
【0046】また、外周形状に凹みを設ける場合において、その位置について開示されていないが、前記の理由と同様に、可動接点に近い側に設けられるのが必然的と言える。
【0047】さらに、バイメタルの板厚を薄くする場合においても、その位置,方法などについて開示されていないが、位置については、前記と同様の可動接点に近い側になることが容易に推定される。また、その方法については、プレス加工等によって部分的に薄くする方法が考えられる。しかしながら、いずれにしても、バイメタルの弾性力が可動接点に作用するとき、バイメタルの変形量が可動接点に近い断面積が最少となる高抵抗部に集中することは避けられず、従来技術に比較して同一接点圧力を得ようとすると、(1)バイメタルの調整代が大きくなる(2)バイメタルの応力が増加し、高抵抗部から破断が始まり、バイメタルの疲労が加速されて寿命が短縮する(3)孔と凹み方式の場合には、ノッチ作用により、寿命短縮を加速させる(4)薄くする方式の場合には、広範囲が加工効果や異種金属接合部(張り合せ部)の剥離により、寿命短縮を加速させる等の問題が予測される。
【0048】また、この問題を避けるため、従来技術と比較して低い接点圧力で実用化しようとすると、(1)接点圧力の減少により、接点溶着が多発しやすくなることは周知の通りである(2)その結果、大容量負荷の開閉時には著しく寿命が短縮し機能停止が早まることになる。
【0049】さらに、バイメタルの応力分散を目的とした実開昭60−183349号公報に開示されるようなバイメタルにおいて、その中央部に形成した嵌合孔から放射状に伸びるスリットを備えたバイメタルと組み合せてこの技術を採用しようとすると、(1)可動接点とスリット間のバイメタル断面積が減少し、バイメタルの基本特性が大きく変化する(2)放射状スリットでバイメタルの断面積が小さいため、この部分よりさらに高抵抗部を得るためには、孔の幅寸法をさらに大きくする必要があり、より技術的に実用化が困難である等の問題があった。
【0050】さらに付記すれば、この従来技術では、バイメタル軸支構造にバイメタルを調整ネジの頭部に押し付けるバネを有せず、バイメタル溶断後の位置はバイメタルの自由位置となるため、充分な遮断距離が確保できないおそれがある。
【0051】また、図32及び図33で示した2要素式サーマルプロテクタでは、冷媒漏れなどの事故で圧縮機の温度が上昇した場合には、その圧縮機のドームの熱を温度スイッチTHが検知し、これが所定の温度になると、温度スイッチTHが閉路することにより、ヒータRが通電されて発熱し、主プロテクタPの主バイメタル19を過熱して主バイメタル19を開路するため、図32に示す状態から図33(a)に示す状態を経て図33(b)に示す状態に変化するとき、1.主バイメタル19が開路し、圧縮機電動機Mの通電が遮断される瞬間に、周知のように、de=di/dt(但し、de:回路電圧 dt:遮断時間)
で表されるサージ電圧deが発生する。このとき発生するサージ電圧deは圧縮機電動機M,温度スイッチTH,ヒータRからなる閉回路に加わり、その大半の電圧はインピーダンスの大きなヒータTHが分担する。
【0052】なお、発生する圧縮機電動機Mのサージ電圧deは、一般に、数百〜千数百ボルトに達する。
【0053】2.主バイメタル19が元の状態に戻って回路が閉路するときには、その主接点が少なからずとも機械的振動(即ち、チャタリング、バウンシング)を起し、短時間ではあるが、圧縮機電動機Mがオン,オフを繰り返す。このときにも、上記と同様、サージ電圧が発生し、温度スイッチTHが閉路していると、その大半の電圧をヒータRが分担する。
【0054】以上のことから、ヒータRとしては、このような大きなサージ電圧に耐える過電圧特性を有するものにする必要がある。これは、万一これに耐え切れないことになると、最悪の場合、ヒータRが断線して2要素式サーマルプロテクタとしての機能を果たさなくなるからである。
【0055】また、前記サージ電圧に耐える過電圧特性を加味してヒータRを選定すると、ヒータR自身が大型化し、また、高価なものとなる。
【0056】本発明の目的は、かかる問題を解消し、所定の動作温度で速やかにかつ永久的に電路を遮断し、なおかつ、通常使用時には、高い信頼性を維持できるようにした構成が簡単でかつ安価な過負荷保護装置を提供することにある。
【0057】本発明の他の目的は、2要素式サーマルプロテクタにおいて、発熱要素や温度スイッチを小型でかつ安価なものを使用できるようにした過負荷保護装置を提供することにある。
【0058】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、ケース内に収納されるバイメタルの可動接点接合部の周りを発熱によって溶融する手段を設ける。
【0059】また、上記目的を達成するために、2要素式サーマルプロテクタとしての本発明による過負荷保護装置は、発熱素子の一端子を温度スイッチに、他方の端子を主バイメタルに夫々接続する。
【0060】
【作用】負荷が異常状態となって異常な電流が流れると、これによって上記手段が異常に発熱し、可動接点接合部の周りを溶融する。そして、バイメタルが反転,復帰運動を繰り返しているときに可動接点が固定接点に溶着すると、上記溶融により、可動接点がバイメタルから溶断する。従って、電気回路が永久に遮断されることになる。
【0061】2要素式サーマルプロテクタとしての本発明による過負荷保護装置は、発熱要素と温度スイッチとの直列回路は、例えば圧縮機電動機などの負荷に並列に接続され、温度スイッチが閉じたときには、これら直列回路と負荷とで閉回路が形成される。しかしながら、周囲温度が上昇し、温度スイッチが閉じてこの閉回路が形成されると、発熱要素の発熱によって主バイメタルが反転動作し、可動接点が固定接点からはなれて上記閉回路が開く。この結果、発熱要素や温度スイッチにサージ電圧が印加されることがない。
【0062】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面によって説明する。図1は本発明による過負荷保護装置の一実施例の全体構成を示す縦断面図であって、5eは貫通孔であり、図26に対応する部分には同一符号をつけている。
【0063】図1において、バイメタル5の可動接点3,4との接合部周辺に貫通孔5eが設けられている。これ以外の構成は、図26で示した従来の過負荷保護装置と同様であるので、図1に対する説明を省略する。また、この実施例の電気回路も図28で示したのと同様である。
【0064】図2は図1におけるバイメタル5の一具体例を示す平面図であって、図1及び図30に対応する部分には同一符号をつけている。
【0065】図2において、バイメタル5の可動接点3,4夫々の接合部周辺には、その接合部から放射状にかつ等間隔に複数の貫通孔5eが設けられている。換言すれば、これら接合部は、貫通孔5e間のバイメタル5と同じ材料の幅狹の複数の支持部材により、バイメタル5に支持されていることになる。
【0066】このような構成のバイメタル5を備えたこの実施例の過負荷保護装置14を図28に示すようにして電動機15に用いた場合、電動機15が正常なときには、始動時にバイメタル5とヒ−タ線12に大きな始動電流が短時間流れた後、小さな運転電流の連続通電状態になる。通常、この始動電流が流れる時間は約2秒以内であって、始動装置16などの作動によって制限されている。このとき、バイメタル5自身の発熱エネルギ−とヒ−タ線12の加熱エネルギ−とによる温度上昇では、バイメタル5が反転動作しないことは従来技術と同様である。
【0067】また、電動機15に、始動電流を最大値とし、過大な拘束電流が連続して流れると、バイメタル5及びヒ−タ線12の自己発熱エネルギ−が増加し、バイメタル5は動作温度の達した瞬間急激に反転運動し、可動接点3,4が固定接点7,8から離れて電動機15の通電が断たれる。これにより、バイメタル5とヒ−タ線12とが冷却を開始し、その後反転復帰温度に達すると、バイメタル5が、また、逆の反転運動を行なって元の位置に復帰し、可動接点3,4が固定接点7,8と接触して電動機15が再び通電される。
【0068】この元の位置に復帰したとき、電動機15の拘束状態が解除されていれば、電動機15は正常に運転し、バイメタル5の次の反転運動は起こらない。これは従来技術と全く同様である。
【0069】しかしながら、電動機15がまだ拘束状態にあると、バイメタル5が動作、復帰の反転動作を繰り返し、この結果、例えば約5000回〜15000回の繰り返し動作によってバイメタル5が疲労すると、図4に示すように、スリット5cの先端から外周部5dの方向に向かって破断E,Fが発生する。
【0070】このようにバイメタル5が破断すると、バイメタル5の特性が変化して接点圧力の減少や接点間開離力の減少を招くとともに、反転動作温度や復帰動作温度が変化し、反転動作しても可動接点3,4の部分の反転動作量が減少したりなどして反転動作間隔が短くなり、バイメタル5やヒ−タ線12に流れる拘束電流の通電率が増加して益々ケ−ス1内の温度が上昇する。
【0071】この結果、可動接点3,4と固定接点7,8との接点溶着が発生すると、溶着した可動接点3,4とバイメタル5の間に大きな拘束電流が連続して流れることになるが、この実施例では、バイメタル5の可動接点3,4との接合部近傍に配置した複数の貫通孔5eが設けられていることにより、貫通孔5e間の上記支持部が幅狹であるため、これら支持部での温度が、一様ではないが、大幅に上昇する。そして、この温度がバイメタル5の材料毎に定まる融点以上になると、これら支持部が融け始め、部分的に融け落ちると、残りの部分にさらに電流が集中することになり、次々と連鎖反応的に、かつ加速度的に融け出して、遂には、図3で符号Xとして示すように、可動接点3,4の周囲がリング状に融けてしまう。従って、図4に示すように、可動接点3はバイメタル5から外れて固定接点7にくっついたままとなる。
【0072】このようにして、電動機15の拘束状態が続くと、可動接点3はバイメタル5から外れて図28に示した電気回路は断の状態となり、過負荷保護装置14が交換されない限り電動機15は通電されない。従って、電動機15の保護が可能となる。
【0073】ところで、通常、上記の作用は、図3,図4に示すように、可動接点3または可動接点4の一方に発生し、両方同時に発生することは極めてまれである。これは、可動接点3,4とバイメタル5の抵抗溶接による溶接有効面積の差や可動接点3,4と固定接点7,8の溶着状況などにより、電気抵抗に差が生じ、このときの発熱量がバイメタル5の貫通孔5eの温度上昇に影響を及ぼすためである。また、過負荷保護装置14の取付方向によっても、可動接点3,4のいずれかの温度が高くなることもあり、これも可動接点3または可動接点4のいずれか一方に上記作用が起こる原因となる。
【0074】このように、可動接点3,4の接合部のいずれか一方が溶断されれば充分であり、その溶断する方を必ずしも限定するような構成とする必要がない。しかしながら、例えば可動接点3側が溶断するように限定しようとするならば、可動接点3の接合部の周囲のみに貫通孔5eを設ければよい。従って、貫通孔5eを可動接点3,4側の一方に設けるかまたは両方に設けるかは設計上の自由裁量範囲であることは言うまでもない。
【0075】以上のように、この実施例では、その使用条件、即ち流れる電流にマッチした断面積を有する貫通孔5eを設けることにより、接点溶着発生時には、確実に回路を遮断させることができるものである。
【0076】発明者等の実験によると、冷蔵庫などの比較的小電流領域で用いられるバイメタル、即ちJIS C2530で規定されたTM−1(体積抵抗率=140μΩ・cm at20℃)及びTM−2(体積抵抗率=80μΩ・cm at20℃)と、空気調和機などの比較的大電流領域で用いられるバイメタル、即ちTM−6(体積抵抗率=20〜50μΩ・cm at20℃)について、板厚を0.15mm,0.18mm,0.20mmの種々の材料を入手して実験した結果、放射状の貫通孔5eによる局部的発熱温度の影響度合は次式で示すことができることがわかった。
【0077】ΔT=0.24I2RT/MCここで、 ΔT:貫通孔5e部の温度上昇(℃)
I :貫通孔5e部に流れる電流(A)
R :貫通孔5e部に影響する抵抗(Ω)
T :貫通孔5e部に流れる電流の時間(sec)
M :貫通孔5e部の影響する質量(g)
C :比 熱(cal/g/℃)。
【0078】これによると、貫通孔5eによってバイメタルの断面積が1/2となると、質量が1/2になるから、この部分の抵抗Rは2倍になる。bの結果、温度上昇は4倍の速さとなり、同一温度に到達するまでの時間は1/4となる。
【0079】換言すれば、貫通孔5eを設けたバイメタルとこれを設けないバイメタルとに同じ大きさの電流を流した場合、前者が後者の1/4の時間で溶断させることができることになる。また、かかるバイメタルの溶断時間が等しいとすると、貫通孔5eを設けたバイメタルには、これを設けないバイメタルに流す電流の1/4の大きさの電流を流すだけでよいことになる。従って、貫通孔5eの断面積に応じて任意の条件を設定できるものである。
【0080】また、貫通孔5eは可動接点3,4の近傍に大きく広がることなく、即ち面積を大きくせずに設ければ、従来技術のようにバイメタル5の調整代が大きくなる欠点も生じない。逆に、貫通孔5eの作用により、バイメタル5が反転動作したとき、バイメタル5での可動接点3,4の接合部周囲が自由に変化するため、この部分を起点にした破断を防止することができる。その結果、大電流開閉用の過負荷保護装置14では、特に、信頼性が向上するなどの利点が得られる。
【0081】さらに、貫通孔5eは、バイメタル5の復帰運動に際し、可動接点3,4が固定接点7,8と接触するときの機械的振動(チャタリングやバウンシングなど)を吸収する。これにより、過負荷保護装置の寿命が延びることになる。また、寿命を同一とした場合には、接点ボリウムを減らすことも可能であって、その分原価を下げることもできるなどの多くの効果が得られる。
【0082】なお、図5に示した具体例では、可動接点3,4の接合部の部分に貫通孔5eや貫通長孔5fなど貫通した穴を設けるとしたが、窪み状の溝を設けるようにしてもよい。要するに、この部分の電気抵抗が大きくなるような手段を講じればよい。
【0083】図5は図1におけるバイメタル5の他の具体例を示す平面図であって、5fは貫通長孔であり、図3に対応する部分には同一符号をつけている。
【0084】同図において、ここでは、図3に示した具体例とは異なり、バイメタル5の可動接点3,4の接合部を横切り、これからはみ出すように、かつ軸支孔5bの方向とは垂直な向きに貫通孔5fが設けられており、図6に示すように、可動接点3,4がこの貫通長孔5fをまたぐようにして抵抗溶接されている。
【0085】この具体例を用いた過負荷保護装置においても、図3に示したバイメタル5を用いた過負荷保護装置と同様、接点溶着が発生すると、最も電流密度の高い部分から融け出し、残りの部分にその溶断部分が広がる。即ち、図6に示したように可動接点3がバイメタル5に狭い断面積で接合されていることから、まず、可動接点3の一方のバイメタル5との接合部近傍が溶け始め、図7でXとして示すように、可動接点3の一方のバイメタル5との接合部が溶断する。そこで、可動接点3からまだバイメタル5と接合している他の接合部,即ちバイメタル5での貫通長孔5fの先端に対向する部分Y,Y'を通して大電流が流れ、このために、図8に示すように、これらの部分Y,Y'が溶断する。
【0086】この結果、可動接点3がバイメタル5からはずれ、電路が遮断されることになり、図3で示したバイメタル5を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0087】なお、以上は、可動接点3の穴5b側の係合部の近傍がまず溶断するものとしたが、最初に可動接点3の穴5bとは反対側の係合部の近傍が溶断する場合もある。この場合には、この係合部の近傍が溶断すると、可動接点3の穴5b側の係合部に大電流が流れ、やはりこの係合部の近傍が加熱されて溶断してしまう。従って、この場合には、図3の場合ように可動接点3のみがバイメタル5から外れることになる。
【0088】図9は図1におけるバイメタル5のさらに他の具体例の可動接点3との係合部付近を示す断面図であって、5gは突出部であり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけている。
【0089】同図において、バイメタル5には、塑性変形(プレス)などによって山形の突出部5gが設けられており、この突出部5gに可動接点3がを抵抗溶接で接合されている。他方の可動接点4についても同様である。
【0090】かかる構成によると、可動接点3のバイメタル5との接合部の断面積が狭く、かつバイメタル5が加工硬化されて固有抵抗が高くなっていることから、この接合部に大電流が流れると、この部分の発熱量が増加し、図10に示すように、突出部5gの周辺がリング状に溶断して可動接点3がバイメタル5から外れる。従って、上記各具体例を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0091】図11は図1におけるバイメタル5のさらに他の具体例を示す平面図であって、前出図面に対応する部分には同一符号をつけている。
【0092】同図において、この具体例では、バイメタル5と可動接点3,4の接合部の端面5a,5a'の幅Wを可動接点3,4の頭径dと略同一にしており、かかる接合部での溶接に使用する抵抗量を多くしている。大電流が流れると、この抵抗部分で発熱量が増加し、この部分のバイメタル5が溶断しやすくなる。
【0093】図12は図1におけるバイメタル5のさらに他の具体例を示す平面図であって、前出図面に対応する部分には同一符号をつけている。
【0094】同図において、この具体例では、可動接点3,4の体積の異なられるようにしている。ここで、可動接点3の体積を大きくし、可動接点4の体積を小さくすると、大電流が流れたとき、体積の小さい方の可動接点4の発熱量し、このため、バイメタル5のこの可動接点4が接合した部分が溶けて可動接点4が溶断しやすくなる。
【0095】図13は図1におけるバイメタル5のさらに他の具体例を示す平面図であって、前出図面に対応する部分には同一符号をつけている。
【0096】同図において、この具体例では、可動接点3,4を夫々断面積の異なるバイメタル5の端部5a,5a'側に抵抗溶接で固着したものである。ここで、可動接点4が断面積が小さいバイメタル5の端部5a'に接合され、可動接点3が断面積が大きいバイメタル5の端部5aに接合されているとすると、大電流が流れたとき、可動接点4が接合された断面積が小さい方のバイメタル5の端部5a'が強制的に溶断しやすくなる。
【0097】さらに他の具体例としては、可動接点3,4を、構造及びバイメタル5との接合方法を同一とし、材料を異ならせることにより、これらの発熱量を異ならせるようにしてもよい。例えば、可動接点3,4の一方に電気伝導度及び熱伝導度の良好な銀接点を用い、他方に銀−タングステンなどの電気伝導度及び熱伝導度の悪いなものを組み合せることにより、電気伝導度及び熱伝導度の悪いなものを組み合せた可動接点側で上記のような溶断がしやすくなる。
【0098】なお、この実施例では、以上説明したバイメタル5のいずれかを用いることができるが、以上説明したバイメタル5での発熱手段の2以上を適宜組み合わせたバイメタルとすることもできる。例えば、図13に示したバイメタル5において、可動接点3に電気伝導度及び熱伝導度の良好な銀接点を用い、可動接点4に銀−タングステンなどの電気伝導度及び熱伝導度の悪いなものを組み合せることにより、より顕著な効果が得られることになる。
【0099】以上のように、この実施例では、負荷電流に左右されず、種々の特性のものが容易に得られることになる。
【0100】図14〜図18は本発明による2要素式サーマルプロテクタとしての過負荷保護装置の一実施例の構造を示すものであって、図14はその内部平面図、図15は図14での分断線I−Iからみた断面図、図16は図14での反対側からみた背面図、図17は図14での分断線II−IIからみた断面図、図18は図14での分断線III−IIIからみた断面図であり、1はケース、2は蓋、3,4は可動接点、6は調整ネジ、6Aは調整ネジ6の頭部、6Bはボルト、7,8は固定接点、9,10は固定端子板、13は圧縮バネ、19は主バイメタル、20はセパレ−タ、21,22は端子、23はタブ端子、24,25はタブ端子、26はバイメタル、27は可動接点、28は固定接点、29,30は支持体、31は導電板、32は当接片、Pは主プロテクタ、Rはヒータ、THは温度スイッチである。
【0101】図14〜図18において、ケース1は絶縁物製で一端開放の角筒状をなし、その開放端に蓋2が取り付けられていることにより、内部空間が形成されており、図14及び図15から明らかなように、この内部空間が主プロテクタPの配置空間と温度スイッチTHの配置空間とに区分され、これらの境界に、例えば、不織布などのセパレータ20が設けられて、これら主プロテクタPと温度スイッチTHとが互いに絶縁されている。
【0102】ここで、まず、主プロテクタPについて説明すると、図14,図15及び図17から明らかなように、ケース1の底部に設けられた貫通孔に嵌合し、この底部の外面側にボルト6Bが螺合された調整ネジ6に皿状の主バイメタル19が取り付けられ、さらに、この調整ネジ6の主バイメタル19とケース1の底部との間に圧縮バネ7が取り付けられている。そして、ボルト6Bを所定量締め付けられており、これによって生ずる圧縮バネ13の弾性力により、主バイメタル19は調整ネジ6の頭部6Aに押しつけられ、ケース1の底部から所定の距離を保って配置されている。このとき、主バイメタル19は、窪んだ方の面(以下、窪み面という)がケース1の底部側を向くように、調整ネジ6に取り付けられている。
【0103】また、図14及び図15から明らかなように、主バイメタル19とケース1の底部との間において、調整ネジ6に対してセパレータ20側にヒータRが配置されている。なお、このヒータRとしては、炭素皮膜抵抗器、或いは金属皮膜抵抗器、或いは炭素体抵抗器または巻線抵抗器などの抵抗器であっても、また、ニッケル−クロム合金、或いはニッケル−クロム−鉄合金、或いは鉄−クロム−アルミ合金、或いは炭化ケイ素、或いは銅−ニッケル合金または銅合金など電流を通電して発熱源になるものであれば、その利用範囲に制限されない。かかるヒータRを主バイメタル19の下面投影面積にほぼ等しい範囲内に対面して配置することにより、主バイメタル19を過熱するときの熱ロスが少なくなり、主バイメタル19の応答性を向上させることができる。
【0104】図17に示すように、主バイメタル19の窪み面の外周部には、調整ネジ6を挾んで図14の分断線II−IIに沿う方向に(即ち、ヒータRの配置方向とは直交する方向に)可動接点3,4が設けられている。また、ケース1の底部の周辺部を貫通して固定端子板10,9が設けられ、夫々の一方の端部に形成された固定接点7,8がケース1内の底面に、主バイメタル19に設けられた可動接点3,4に対向して固定されている。これら固定端子板10,9の他端は、図15や図16に示すように、ケース1の底部を通して外部に突出しており、夫々にタブ端子24,25が固着されている。
【0105】以上が主プロテクタPの構成であるが、次に、温度スイッチTHの構造について説明する。
【0106】図18から明らかなように、蓋2の内面に端子21,22を一部に挾んで2つの絶縁性支持体30,29が設けられ、一方の支持体30上に弾性を有する導電板31の一端が固着されている。この一端は図示しない手段によって端子21と電気的に接続されている。この導電板31の他端蓋2側の面には可動接点27が設けられている。また、他方の支持体29上のこの導電板31の可動接点27に対向した位置に固定接点28が設けられている。この固定端子28も図示しない手段によって端子22と電気的に接続されている。さらに、導電板31の蓋側の面略中央部に突出状の当接片32が設けられ、支持体29,30にまたがって設けられた、曲面状に撓んだバイメタル26の突出面がこの導電板31の当接片32に当接している。このバイメタル26は、通常、大きく撓んでおり、これにより、可動接点27が固定接点28から離されるように、導電板31が付勢されている。
【0107】端子21,22は、主プロテクタPの固定端子板10,9と同様、ケース1の底部を通して外部に突出しており、端子22にタブ端子23が固着されている。
【0108】以上が温度スイッチTHの構成であるが、以上説明した主プロテクタPと温度スイッチTHの構成において、通常では、主バイメタル19とバイメタル26の撓みは大きく、図17に示すように、主バイメタル19に設けられた可動接点3,4は夫々固定端子板10,9の固定接点7,8に接触し、バイメタル17に設けられた可動接点27が支持体29の固定接点28に接触している。このため、タブ端子24,25が固定端子板10,9及び主バイメタル19を介して電気的に接続されており、温度スイッチTHはオフとなっていて端子21,22間が開放されている。なお、これら主バイメタル19,バイメタル26は、周囲温度が高められる程、撓み量が小さくなる。
【0109】ここで、端子21のケース1内の端部は、また、主バイメタル19の近傍に配設されたヒータRに接続され、端子22のケース1から外部に突出した端部に固着されたタブ端子23は、電動機と電源端子とに接続される。また、ヒータRの他方の端子は、主プロテクタPにおける調整ネジ6を介して、主バイメタル19の中央部に接続されている。
【0110】図19は以上の構成の2要素式サーマルプロテクタを電動機と電源との間に接続した場合の回路を示す結線図であって、前出図面に対応する部分には、同一符号をつけている。
【0111】図19において、符号A,B,C,Dは夫々、図16でタブ端子25,24,端子21及びタブ端子23に付した符号である。これによると、可動接点3が端子9,タブ端子24を介して電動機Mの一方の端子に、可動接点4が端子10,タブ端子25,電源スイッチSWを介して図示しない電源端子に夫々接続されている。即ち、主バイメタル19が電源端子と電動機Mの一方の端子との間に接続される。また、ヒータRは端子21を介した温度スイッチTHと直列に接続されており、ヒータRの他方の端子が主バイメタル19に、温度スイッチTHが端子22,タブ端子23を介して電源端子と電動機Mの他方の端子とに夫々接続されている。従って、ヒータRと温度スイッチTHとの直列回路は電動機Mに並列に接続されている。
【0112】図20は以上の2要素式サーマルプロテクタを図19に示したように使用した場合の動作特性,不動作特性を示すものであって、横軸に2要素式サーマルプロテクタの周囲温度を、縦軸に2要素式サーマルプロテクタにおける主バイメタル19の通電電流を示す。
【0113】図中、実線αが主プロテクタPの主バイメタル19の動作特性を示しており、この実線αよりも下方のハッチングした範囲が不動作領域を、上方の白範囲が動作領域を夫々表わしている。また、周囲温度W(℃)で示される一点鎖線δが温度スイッチTHの動作特性を示し、この一点鎖線δよりも左方の黒範囲が不動作領域を、右方の白範囲が動作領域を夫々表わしている。さらに、一点鎖線βは、温度スイッチTHが動作した後の主バイメタル19の動作特性を表わしている。
【0114】これによると、上記の2要素式サーマルプロテクタとしての電流及び温度のいずれでも動作しない合成の不動作領域は斜線で示す範囲となり、他は全て動作領域とすることができるものである。例えば、主プロテクタPの周囲温度X(℃)に於ける不動作,動作の境界電流はY(A)となり、Y(A)未満の電流通電では不動作状態であり、Y(A)を越える電流通電では動作状態となる。また、温度スイッチTHが動作した後では、 Y'(A)未満では不動作状態であり、Y'(A)を越える電流通電では、動作状態となる。
【0115】従って、電動機Mに、過負荷或いは回転子拘束などにより、定常電流に比較して過大な電流が流れると、主バイメタル19が発熱し、その熱によってこの主バイメタル19が反転動作して可動接点3,4が固定接点7,8から離間し、電動機Mへの通電を遮断して電動機Mを過熱焼損から保護する。
【0116】万一冷媒漏れなどで電流が増加せず、ケース1内の温度のみが上昇した場合には、所定の温度W(℃)で温度スイッチTHが、図21(a)に示すように、閉路し、ヒータRが通電されて主バイメタル19を加熱する。この結果、図21(b)に示すように、主バイメタル19が反転動作をして可動接点3,4が固定接点7,8から離間し、通電を遮断して電動機Mを過熱焼損から保護する。
【0117】ここで、主バイメタル19が反転動作すると、ヒータRの一方の端子が調整ネジ6に接続されていることから、電動機M,温度スイッチTH,ヒータRの閉回路が開いてしまい、電動機Mの開路時のサージ電圧の大半は開閉する接点間でアークとなってそのエネルギーが消費されることになる。これにより、温度スイッチTH及びヒータRには、大きなサージ電圧がかからないことになる。
【0118】このようにして、この実施例では、温度スイッチTH及びヒータRはサージ電圧から保護され、ヒータRとしては、小型で安価なものを使用することができるようになる。
【0119】また、この実施例の2要素式サーマルプロテクタは、図22(a),(b)に示すように、圧縮機電動機の外殻での取付方向が垂直面であっても、水平面であってもよく、取付方向によって保護特性が変化するものではない。
【0120】従って、ヒータRに要求される過電圧特性は、その機器が用いられる商用電源電圧を満足すればよく、小型で安価なものを任意に選ぶことができ、その結果、熱的レスポンスが向上する。
【0121】しかも、ヒータRが長期にわたって安定した性能を維持できることから、この実施例が2要素式サーマルプロテクタとしての信頼性,寿命が向上する。
【0122】さらに、温度スイッチTHにもサージ電圧が印加されることがないので、温度スイッチTHの接点間隔を大きくとる必要がなく、その結果、小型で安価な動作応答性の優れた温度スイッチを使用することができる。
【0123】なお、温度スイッチTHとしては熱応動スイッチが用いられるが、この種の熱応動スイッチは、接点間隔が小さくなればなる程、動作感度が向上するものである。
【0124】以上のように、この実施例の2要素式サーマルプロテクタでは、あらゆる密閉形圧縮機電動機に取り付けることができ、特性共々種々の負荷に応答できるものであって、簡単かつ、安価にしかも高信頼性のものを提供することができるなどその利用価値に大なるものがある。
【0125】図23は本発明による2要素式サーマルプロテクタとしての過負荷保護装置の他の実施例の使用時の電気回路を示す結線図であって、R1,R2はヒータ、TH' は温度スイッチであり、図21に対応する部分には同一符号をつけている。
【0126】この実施例は、先に説明した実施例で主バイメタル19の自己発熱エネルギーだけでは主バイメタルの反転動作できない領域においても、ヒータを連続通電してバイメタルの周囲温度を上昇させるようにしたものである。
【0127】図23において、図8での温度スイッチTHが常時開の単極単投スイッチであったのに対して、温度スイッチTH'は常時開及び常時閉の単極双投スイッチにする。この温度スイッチTH'の常時開接点側には、ヒータR1が接続され、常時閉接点側には、ヒータR1よりも発熱量が小さいヒータR2(即ち、R1>R2)が接続されている。かかるヒータR1,R2は主バイメタル19(図14及び図15)の下面投影面積にほぼ等しい範囲内に対面して配置されており、これにより、主バイメタル19を過熱するときの熱ロスが少なくなって、主バイメタル19の応答性を向上させることができる。
【0128】この実施例を図23に示すように使用した場合の動作特性,不動作特性を図24に示す。但し、図24での横軸は2要素式サーマルプロテクタが置かれる周囲温度を、縦軸は主バイメタル19の通電電流を夫々示す。
【0129】同図において、実線αは主バイメタル19のみの動作特性、不動作特性を示すものであり、破線β1はヒータR2の発熱を加えたときの主バイメタル19の見掛け上の動作特性、不動作特性を示す。即ち、ヒータR2の発熱エネルギーにより、主バイメタル19の置かれる周辺温度が高くなり、その分だけ主バイメタル19の発熱エネルギーが少なくても、主バイメタル19が動作しやすくなる。換言すると、主バイメタル19の動作、不動作電流は、主バイメタル19の置かれる周囲温度を変化させることにより、通電電流による動作点を低い任意の電流にシフトさせることができるものである。
【0130】例えば、主バイメタル19の周囲温度をX(℃)とすると、この主バイメタル19の不動作、動作の境界電流は、実線αで示す特性では、Y(A)となり、破線β1で示す特性では、Z(A)となる。夫々Y(A)、Z(A)未満の通電電流では、主バイメタル19は不動作状態であり、Y(A)、Z(A)を越える電流通電では、動作状態である。即ち、図24において、破線β1で示す特性が実際の主プロテクタPの動作特性であり、これより下方のハッチングで示す範囲が不動作領域を、ハッチングしていない範囲が動作領域を表わしている。
【0131】従って、電動機Mに流れる定常電流が小さい場合でもヒータR2の過熱作用効果によって適正な2要素式サーマルプロテクタを得ることができる。その結果、電動機Mに過負荷或いは回転子拘束などで定常電流に比較し過大な電流が流れると、主バイメタル19が発熱し、主バイメタル19が反転動作して可動接点3,4が固定接点7,8から開離し、電流を遮断して電動機Mを過熱焼損から保護する。
【0132】また、図24において、一点鎖線β2が温度スイッチTH'がヒータR1(図23)を選択したときの主バイメタル19の動作特性を示しており、ハッチング領域内のこの一点鎖線β2よりも下方の範囲が不動作領域を、上方の範囲が動作領域を夫々表わしている。その結果、2要素式サーマルプロテクタとしての電流及び温度のいずれでも動作しない合成の不動作領域は斜線で示す範囲となり、他は全て動作領域とすることができるものである。
【0133】そこで、万一冷媒漏れなどがあって、電流が増加せずにケース1内の温度のみが上昇した場合には、所定の温度W(℃)で温度スイッチTH'が、図25(a)に示すように、切り替わり、ヒータR2の通電が断たれてヒータR1の通電が開始する。このために、ヒータR1は多量の熱エネルギーを放出し、主バイメタル19を急速に過熱する。この結果、図12(b)に示すように、主バイメタル19が反転動作をして可動接点3,4が固定設定7,8から離間し、通電を遮断して電動機Mを過熱焼損から保護する。
【0134】ここで、主バイメタル19が上記のように反転動作すると、ヒータR1,R2の一方の端子が調整ネジ6に接続されていることから、電動機M,温度スイッチTH,ヒータRからなる閉回路が開き、電動機Mの通電路の開路時のサージ電圧の大半は、開閉する接点間でアークとなってそのエネルギーが消費されることにより、先に説明した実施例と同様に、温度スイッチTHとヒータR1,R2にかかることがない。
【0135】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、負荷が異常状態になることによって異常に大きな電流が流れると、バイメタルに接合した可動接点の少なくともいずれか一方が確実に溶断することになり、負荷への回路を永久的に遮断される。この結果、1.従来の基本構造を変えることなく、安全性の高い過負荷保護装置わ実現できる。
【0136】2.部品点数を増やすことなく、かつヒ−タの有無に関係なく、全ての過負荷保護装置に採用でき、安価なものとなる。
【0137】3.回路を遮断するのにマイナスとして作用する要因がないので、小電流から大電流領域に用いる全ての過負荷保護装置に採用できる。
【0138】また、2要素式サーマルプロテクタとしての本発明によると、主バイメタルの反転動作時に発生するサージ電圧が発熱要素や温度スイッチに印加されることがなくなるので、1.主バイメタルと組み合せる発熱要素としては、小型で安価のものも使用することができ、さらに、体積等も自由に調整することが可能になったことから、熱的レスポンスの良いものとすることができる。
【0139】2.温度スイッチも小形で安価なものを任意に選定でき、また、その応答性も優れたものとすることができる。
【0140】3.従って、これ等の部品で構成される2要素式サーマルプロテクタ自身も小形で安価な、かつ動作性に優れたものとすることができる。
【0141】4.この結果、2要素式サーマルプロテクタの保護特性も従来同様の広範囲のものがそのまま得られ、その上保護特性も大幅な向上がはかれることから、負荷となる圧縮機電動機の熱的ダメージを小さくすることができ、しかも、長期にわたって高信頼性が得られる。
【0142】5.従来の基本構造を換えることなく、簡単かつ容易に種々の装置に適用することができ、その実用的効果には大なものがある。




 

 


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