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発明の名称 原子エレクトロニクス装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−104173
公開日 平成6年(1994)4月15日
出願番号 特願平4−252507
出願日 平成4年(1992)9月22日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 村山 良昌 / 宇田 毅 / 近藤 誠一 / 和田 恭雄
要約 目的
特定の原子種の組合せを用いることにより、安定な高導電性の原子細線を得ること、伝導型をp型あるいはn型に制御された原子細線を得ること【構成】 原子操作により、p型あるいはn型に伝導型を制御された一次元細線およびそれらを用いたダイオード、トランジスターなどの原子エレクトロニクス装置を構成する。その際に、単位胞当たりの構成原子のイオン価の和が+1‰〜+1(n型)あるいは−1‰〜−1(p型)となるように原子種を選ぶ。

構成
原子操作により、p型あるいはn型に伝導型を制御された一次元細線およびそれらを用いたダイオード、トランジスターなどの原子エレクトロニクス装置を構成する。その際に、単位胞当たりの構成原子のイオン価の和が+1‰〜+1(n型)あるいは−1‰〜−1(p型)となるように原子種を選ぶ。
特許請求の範囲
【請求項1】原子を、細線を横断する方向に少なくとも複数個並べた構成において、構成原子を、少なくとも2種以上の原子種とし、その各々の有するイオン価iの和Σiが0ではないように選び、導体細線を構成したことを特徴とする原子エレクトロニクス装置。
【請求項2】各々の有するイオン価iの和Σiが単位胞あたり平均−1と−1‰の間となるように選び、正孔伝導型を持たせるようにして導体細線を構成したことを特徴とする請求項1記載の原子エレクトロニクス装置。
【請求項3】各々の有するイオン価iの和Σiが単位胞あたり平均+1と+1‰の間となるようにして、電子伝導型を持たせるようにして導体細線を構成したことを特徴とする請求項1記載の原子エレクトロニクス装置。
【請求項4】導体細線の一部に電子伝導型を持たせ、それに接する他の一部に正孔伝導型を持たせるようにしてバルクのダイオードと類似の整流性を持たせるように導体細線を構成したことを特徴とする請求項1,2,3のいずれかに記載の原子エレクトロニクス装置。
【請求項5】導体細線の離れた二つの部分に電子伝導型(あるいは正孔伝導型)を持たせ、それらに介在する一部に正孔伝導型(あるいは電子伝導型)を持たせるようにしてバルクのnpnトランジスタ(あるいはpnpトランジスタ)と類似の増幅作用を持たせるように導体細線を構成したことを特徴とする請求項1,2,3のいずれかに記載の原子エレクトロニクス装置。
【請求項6】一つの伝導型導体細線とそれに接する絶縁体あるいは基板上には物質を欠損した空隙およびその絶縁体あるいは空隙と接する別の導体細線からなり、バルクの電界効果型トランジスタと類似の増幅作用を持たせるように導体細線を構成したことを特徴とする請求項1,2,3のいずれかに記載の原子エレクトロニクス装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、最近急速に技術開発が行われている、たとえば、STM(走査トンネル顕微鏡)およびその周辺的な技術を用いて原子数個の太さをもつ原子細線を構成する際に、最適な原子の組合せにより、金属的導体、正孔伝導体あるいは電子伝導体を構成することにより、バルクなエレクトロニクス装置で知られているのと同様な機能を細線に持たせるようにして原子エレクトロニクス装置として利用しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】本発明は、横断方向に原子数個程度の原子細線を構成して、エレクトロニクス装置を実現しようとするものであるが、このような極微細な装置は、まず第一に、通常用いられるバルクなエレクトロニクス装置の技術と比較されるべきである。 後者は、現状では相当に微細化されてはいるものの、一個のデバイスは少なくとも0.5μm×0.5μm程度の2次元的なひろがりを持つものである。よく知られているように、エレクトロニクス装置の将来像としては、より小さいものが望まれる。一定の機能を持つ単位の装置が、1.5nm×0.1μm程度になれば、上記のバルクなデバイスの中に〜1500個ものデバイスを集積することができるようになる。
【0003】このような、極微細な装置を通常用いられる技術(例えば、結晶成長、薄膜成長、リソグラフィー、イオン打ち込み、拡散、エッチング、などなど)により実現することは不可能である。
【0004】この困難を打開するために、例えば、D.M.Eigler & E.K.Schweizer:Nature 344,524(1990)などに見られるように、原子レベルで物質を操作することにより、原子エレクトロニクス装置を実現しようとする試みがある。
【0005】これらの試みにおいてはバルクからの類推をするのが通常である。原子レベルで操作して金属導体細線を構成するのに、例えば、Al,Ag,Auといった単体金属原子をSTMの周辺技術を用いて高々数個の幅で1次元的に並べようとするのが普通である。
【0006】また、バルクのエレクトロニクスと同様に、半導体に1ppm程度の極微量不純物を導入することで、伝導型をp型あるいはn型に制御してダイオードあるいはトランジスタを構成しようとする試みが普通であった。
【0007】しかし、これらの方法は、次の2点の理由で初期の特性を長期にわたり安定に維持することを期待することが困難であった。
【0008】第一の理由を次に述べる。金属原子の一次元的な配列では、原子間の金属結合電子による全エネルギーの下がりが大きくはないことにより、安定した原子細線を構成することが極めて困難である。また、金属原子の細線はその雰囲気により、容易に酸化されてしまい、状態を変えることがしばしばである。
【0009】第二の理由を次に述べる。金属原子の配列による細線は図6(a)、(b)に概念的に示したように、細線と直交する2次元面内で形状量子化を受けた結果、(b)に示したような状態密度(DOS)を得ることが出来ることはよく知られている。図6(a)、(b)において横軸はそれぞれ波数、状態密度(DOS)であり、縦軸はエネルギーである。
【0010】一方、本発明が提案する複数の原子種からなる細線においては、図7(a)、(b)に示すように、バルク系で知られる多数のダンジリングボンド(dangling bond)あるいは不純物準位の集積のような状態を生じることにより、(b)に示したように、前記の金属原子からなる細線の場合とは異なったDOSを持つことになる。図7(a)、(b)において横軸はそれぞれ波数、状態密度(DOS)であり、縦軸はエネルギーである。この場合の方が金属原子からなる細線に較べて、フェルミ準位におけるDOSを所期の値に設定するのに制御性がより容易であり、工業的により有用である。
【0011】また、バルクからの類推で正孔あるいは電子伝導型を制御しようとする従来技術では、1次元的な細線という制約のために、バルクの場合のようにごく少数の原子(通常は0.1〜100ppm)のみを周期率表で隣合う他の原子で置換することでは、所期の正孔あるいは電子伝導型の制御はうまくはいかない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定の原子種の組合せを用いることにより、安定な高導電性の原子細線を得ること、伝導型をp型あるいはn型に制御された原子細線を得ることを提案する。
【0013】
【課題を解決するための手段】原子レベルでのデバイスを達成するには、バルクからの類推ではなく、バルクではその安定性のために、むしろ、不可能とされるような原子種の組合せが有効に作用することを発見し、かつ利用することを特徴とする。
【0014】
【作用】高導電性の細線を得るためには、バルクで用いるAl,Ag,Auなどの単一金属原子よりなるものを用いない。バルクでは半導体あるいは絶縁体となるようなIII−V族(イオン価では、それぞれ、+3価と−3価)、II−VI族(それぞれ、+2価と−2価)、I−VII族(それぞれ、+1価と−1価)などの原子種の組合せにおいては、イオン価の和は0であるが、例えば、III族の一部10ppmをIV族原子で置換するとドナーを生じ、n型に伝導型を制御出来ることが知られている。このときのイオン価の和は+10ppmである。バルクの半導体で通常用いられる置換量は、0.1〜100ppm程度の極微少量である。
【0015】本発明では、置換するIV族原子をバルクでの場合よりもはるかに多い1‰以上とする。極端な場合には、III−V族化合物ではなく、例えば、100%置換してIV−V族化合物とする。一次元性の特殊性のために、バルクの場合になされる程度の微少なドーピングでは、適正な伝導型制御が出来ない。
【0016】伝導型をp型に制御する場合も同様であり、バルクの場合とは異なって、例えば、II−VI族化合物において、VI族原子の1‰から100%をV族原子で置換して、極端な場合には、II−V族化合物とするなどである。
【0017】
【実施例】
(実施例1)図1に示したのは、Ga原子33とAs原子31、およびAs原子を10%程度のSe原子32で置換して、STM様マニピュレーターで原子操作を施した例である。基板には絶縁性Siを用いる。
【0018】この例では、Gaのイオン価を+3、Asのそれを−3、Asを10%程度置換したSeのそれを−2とすれば、単位胞当たりのイオン価の和は、+0.1となる。この原子細線はn型の伝導性を示す。
【0019】同様に、図2に示したのは、基本的にはMoS2からなる細線であるが、S原子41の50%程度をP原子42で置換したものである。Mo原子43のイオン価は+4、S原子のそれは−2、P原子のそれは−3であり、平均して単位胞のイオン価の和は−1の正孔伝導型の原子細線となつている。
【0020】(実施例2)原子エレクトロニクスでp−n接合を有するダイオードを構成するために、まず、図3に示したようなPb原子53とTe原子51とからなるPbTeのPb原子53の30%をGa原子54で置換したGa0.3Pb0.7Teを用意する。この系のイオン価の和は+0.3で電子伝導型を示す。
【0021】一方、その原子細線に直接継がるように同じPbTeのTe原子51の30%をAs原子52で置換したPbAs0.3Te0.7を形成する。この系のイオン価の和は−0.3となり、正孔伝導型を示す。この2つの系が一つの細線を構成することにより、バルクのダイオードと類似の整流性を持つ伝導特性を示す。
【0022】すなわち、PbAsTe側に+の電位を印加するときには電流が観測されるが、−の電位を印加するときには、有意の大きさの電流が観測されない。
【0023】(実施例3)基板としては半絶縁性のGaAsウエーハーを用いる。
【0024】図4に示すような、主としてSi原子61からなる系において、Si原子61の30%程度をAs原子62で置換して、バルクのトランジスターにおけるエミッターEと同様の機能を持たせる。
【0025】ついで、このEに連なげて、Si原子61の50%をGa原子64で置換した系を少なくとも15原子層以上連なげる。この中間層には、バルクのトランジスターにおけるベースBと同様の機能を持たせる。最終の原子層は、Si原子61の30%程度をP原子63で置換した層であり、バルクのトランジスターにおけるコレクターCと同様の機能を持たせる。
【0026】このように構成した3種類の伝導特性を有する原子細線の1次元的な連なりは、バルクのトランジスターに類似の機能を示す。
【0027】(実施例4)基板としては半絶縁性のGaPウエーハーを用いる。図5に示すような、主としてSi原子71からなる系において、Si原子71の30%程度をAs原子72で置換した原子細線2本を、少なくとも30Åの距離だけ離して絶縁性GaAs基板の上に設置する。
【0028】図に示したような長い細線にはバルクの電界効果トランジスターにおけるソースSおよびドレインDと同様の機能を持たせる。この30Åの距離の間には原子細線は存在せず、S−G間に一定の電界を印加した際に、電界が基板を経由して印加され、バルクの電界効果トランジスターにおけるゲート絶縁膜と同様の機能を持たせるようにする。
【0029】このS−D細線の一部には、バルクのトランジスターにおけるチャネルと同様な機能を持たせるために、短い細線、すなわち、ゲートGに対向する部分では、Gにより近い側のSiのみをAsで置換した構成とする。
【0030】このように1種類の伝導特性を有する原子細線の2本からなる構成は、バルクの電界効果トランジスターに類似の機能を示す。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、少なくとも2種以上の原子種を用意し、そのイオン価の和が0とならないように原子比を調整することにより、n型あるいはp型の伝導特性を持ち、バルクのエレクトロニクス装置と類似の機能を有する原子エレクトロニクス装置を構成することが出来た。
【0032】これらの極微細装置は、同一基板上に集積化した際に、その集積度は極めて大きく、また、装置間の配線上を信号が伝ぱんする際の遅れも極めて小さいことから、高速な信号処理を行う装置としてその効果が大である。




 

 


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