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発明の名称 被覆超電導導体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−103834
公開日 平成6年(1994)4月15日
出願番号 特願平4−239179
出願日 平成4年(1992)9月8日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 佐保 典英 / 根本 武夫 / 磯上 尚志
要約 目的
コイル製作時に生じる荷重による超電導導体外表面からの絶縁層の剥離面積を低減した被覆超電導導体を提供する。

構成
超電導体1の絶外表面に凹凸部3,4を設けその表面に絶縁層5を形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】超電導導体のまわりに常電導導体を配置し、前記常電導導体の外表面に冷却面を有する超電導導体において、前記常電導導体の外表面に凹凸状に加工し、その外表面に絶縁層を形成したことを特徴とする被覆超電導導体。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導体を内部に有する超電導導体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の内部に超電導材料から成る超電導体を有する被覆超電導導体は、例えば、実開平3−68317号公報に記載のように、超電導導体の外周面に絶縁層を施し、導体全体が絶縁被覆されている。この絶縁層は、浸漬塗装や電着塗装等で形成される。浸漬塗装は、被塗装体を、例えば、ポリビニルホルマール塗料の塗装液中に浸漬して引き上げた後に塗装を焼き付け,乾燥する塗装法である。また、電着塗装は、例えば、水分散性エポキシ・アクリル樹脂ワニス,水溶性ポリイミド樹脂ワニス,水分散性ポリウレタン樹脂ワニス,非水素ポリイミド分散ワニス等の、水性塗料液中に電極を挿入して直流の電流を通じ、負電荷を持つ塗料粒子を陽極のほうに移動させて、陽極板上に沈着させた後、引き上げ,焼き付け,乾燥する塗装法である。
【0003】超電導材には、特に限定はなく、金属性超電導材料には、ニオブ・チタン,ニオブ・スズ等で、酸化物系超電導材料は、バリウム・イットリウム・銅・酸素,バリウム・ランタン・銅・酸素,ストロンチュウム・ランタン・銅・酸素,バリウム・スカンジウム・銅・酸素,カルシュウム・ランタン・銅・酸素を組成とする化合物がある。
【0004】また、超電導体外周部には銅やアルミニュウムや銀などからなる常電導体層を設けて超電導導体を構成し、超電導体の一部の超電導状態が壊れたときには、より抵抗値が小さい外周部の常電導体側に電流が流れ、常電導体側にジュール熱が発生する。この発熱を極小に抑えて常電導体層外の液体ヘリウム等の冷媒でこの発熱量を吸熱し超電導状態の壊れが全体に広がるのを防止する。しかし、この発熱を十分に冷却できなければ、超電導体の超電導状態が全体にわたって壊れ、再び超電導状態に戻ることはない。超電導導体の外周面に施した適切な膜厚の絶縁層により、この発熱に対する吸熱特性は絶縁層が無い場合に比べて著しく向上し、許容発熱量が大きくなりより安定な超電導導体を提供できる。このため、絶縁層を剥離から保護することが重要となる。
【0005】一方、従来の内部に超電導材料から成る超電導体を有する他の超電導導体は、例えば、特開昭55−60210 号公報に記載のように、超電導導体の外周面の長手方向に連続な凹凸の突起部を設け、凹部底平面部に歯状の突起部を形成し、冷却表面積を増加させて冷却性能を向上させている。本例では、超電導導体でコイルを製作する場合、隣接する超電導導体間に絶縁材料からなるスペーサを挟み込んで導体間を絶縁するため、超電導導体表面に絶縁層を施していない。凸の突起部はスペーサと歯状の突起部が近接して、超電導導体加熱時に生じる歯状の突起部からの沸騰泡が、突起部表面からの離脱を妨げ、冷却性能を低下させないようにしたものである。しかし、本超電導導体は、被覆超電導導体に較べて冷却性能が劣る。また、本例では、超電導マグネット製作時の、冷却面の保護に関する構造に関しては述べられていない。
【0006】これらの超電導導体で構成する超電導マグネットは、超電導導体をベンディングマシン等でコイル状に巻き付けて製作するため、特に被覆超電導導体を使用する場合、ベンディング時の高い冷却性能を保証する絶縁層の剥離を極力少なくしなければならない。
【0007】本発明の目的は、ベンディング時の絶縁層の剥離を極力少なくして、極低温域でのマグネットからの発熱に対して、安定な超電導導体を提供することにある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の被覆超電導導体をベンディングマシン等でコイル状に巻き付けて製作する際、絶縁層には超電導導体とベンディングマシンのローラとの間に挟まれて曲げの力を受けるため、絶縁層と超電導導体外表面,絶縁層内部,絶縁層とベンディングマシンのローラ間にせん断力が働く。しかし、絶縁層自身のせん断強度は小さく、塗装法では、絶縁層と超電導導体外表面との接合強度も小さい。したがって、コイル製作時にローラ接触部で、絶縁層内部の絶縁層が分離したり、超電導導体外表面から絶縁層が広く剥離して、絶縁機能や冷却機能が著しく低下し、超電導体の超電導状態が全体にわたって壊れると言う問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するために、絶縁層を被覆する超電導導体の外表面に凹凸面を加工し、この凹凸面に絶縁層を塗料した。
【0010】
【作用】超電導導体の外表面を凹凸状に加工したことにより、凹部に塗装した絶縁層はローラと接触しない。このため、コイル製作時にローラと超電導導体の外表面との接触部は凸部に塗装した絶縁層のみであり、接触面積は凹凸状に加工しない場合よりも減少する。これによって、絶縁層剥離面積が減少する。したがって、この剥離によって生じる、超電導導体の部分的な発熱に対する吸熱性能の減少を極力抑え、安定な超電導導体を提供できる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1および図2により説明する。図2は図1中X部の拡大断面図である。
【0012】本発明の被覆超電導導体の形成自体は、従来と同等でよく、例えば、金属系または酸化物系超電導材からなる超電導体1,銅やアルミニュウムや銀などからなる常電導体層2,常電導体層の外表面部に凹部3と凸部4,この凹凸部面上に電着塗装等によって形成した適切な膜厚の絶縁層5で構成される。
【0013】この超電導マグネットはこの被覆超電導導体をベンディングマシン等でコイル状に巻き付けて製作する。ベンディング時のベンディングマシンのローラと被覆超電導導体の接触部は、常電導体層の外表面部の凸部4であるため、絶縁層の剥離は凸部4の一部の絶縁層に限られる。すなわち、凹部3の絶縁層は剥離を防止できる。凹部3の塗装面積を凸部4頂部の塗装面積より広くすることによって、被覆超電導導体全体における、絶縁層の剥離面積を極力少なくすることができる。したがって、剥離によって生じる、超電導導体の部分的な発熱に対する冷却性能の減少を極力抑え、安定な超電導導体を提供できる。
【0014】また、凸部を田状に形成したため、ローラによる圧縮荷重に対して凸部が崩れない強固な凸部を形成でき、凹部3の底面の絶縁層の剥離をさらに防止できる。これは、長手方向の凸部群間を周方向に橋渡した凸部群の長手方向ピッチ,位相を異なるようにしても、同様な効果が生じる。
【0015】また、凸部4側面部の絶縁層の剥離も防止できるので実質絶縁層面積を増加出来るので冷却性能を向上させ、さらに安定な超電導導体を提供できる。
【0016】なお、本実施例では、凹凸部を田状に形成したが、該凸状部を面超電導導体の長手方向に螺旋状に形成しても同様な効果が生じる。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、ベンディング時のベンディングマシンのローラと被覆超電導導体の接触部を、常電導体層の外表面部に加工した凸部に限られるので、被覆超電導導体全体における、絶縁層の剥離面積を極力少なくすることができるので、剥離によって生じる、超電導導体の部分的な発熱に対する冷却性能の減少を極力抑え、安定な超電導導体を提供することができる。




 

 


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