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発明の名称 厚膜ペースト及びこれを用いて作製したセラミック多層配線基板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−97668
公開日 平成6年(1994)4月8日
出願番号 特願平4−243656
出願日 平成4年(1992)9月11日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】富田 和子
発明者 森 泰宏 / 戸崎 博己 / 佐藤 信義 / 黒木 喬
要約 目的
印刷パタ−ンの位置精度及びグリ−ンシ−トの積層接続精度の高いセラミック多層配線基板を形成することを目的とする。

構成
厚膜導電ペースト用のビヒクルの溶剤が、次の組成点(A),(B),(C),(D),(E),(F)で囲まれる範囲(単位:wt%)にあることを特徴とする厚膜導電ペ−スト。
特許請求の範囲
【請求項1】セラミックグリ−ンシ−トを積層し焼結して成る多層配線基板の該グリーンシートに厚膜を形成するために用いる厚膜ペーストにおいて、該厚膜ペーストが、有機ポリマーと溶剤とから成るビヒクル及び主材粉末とで構成され、該ビヒクルの溶剤が、次の組成点(A),(B),(C),(D),(E),(F)で囲まれる範囲(単位:wt%)にあることを特徴とする厚膜ペ−スト。
溶剤の種類 (A) (B) (C) (D) (E) (F) (a)ジエチレングリコ−ル モノブチルエ−テルアセテ−ト・・30 40 80 80 50 30 (b)フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)・・20 10 10 20 50 50 (c)α−テルピネオ−ル ・・50 50 10 0 0 20【請求項2】セラミックグリ−ンシ−トを積層し焼結して成る多層配線基板の該グリーンシートに厚膜を形成するために用いる厚膜ペーストにおいて、該厚膜ペーストが、有機ポリマーと溶剤とから成るビヒクル及び主材粉末とで構成され、該ビヒクルの溶剤が、次の組成点(G),(H),(I),(J),(K)で囲まれる範囲(単位:wt%)にあることを特徴とする厚膜ペ−スト。
溶剤の種類 (G) (H) (I) (J) (K) (a)ジエチレングリコ−ル モノブチルエ−テルアセテ−ト・・ 0 50 50 5 0 (b)トリデシルアルコ−ル ・・10 10 50 95 95 (c)α−テルピネオ−ル ・・90 40 0 0 5【請求項3】請求項1または2に記載の厚膜ペーストにおいて、ビヒクル中の有機ポリマーがエチルセルロースであり、該ビヒクルが、エチルセルロース8〜15wt%と溶剤92〜85wt%からなることを特徴とする厚膜ペ−スト。
【請求項4】請求項1または2に記載の厚膜ペーストにおいて、ビヒクルが85〜45vol%で、導電性粉末が15〜55vol%であることを特徴とする厚膜ペ−スト。
【請求項5】セラミックグリ−ンシ−トを積層し焼結して成る多層配線基板において、請求項1〜4のいずれかに記載の厚膜ペーストにより前記グリーンシートに導電膜が形成されて成ることを特徴とするセラミック多層配線基板。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミック多層配線基板の作成に用いる厚膜ペ−スト及びこれを用いて作成するセラミック多層配線基板に係る。
【0002】
【従来の技術】電子計算機の演算速度の高速化のために誘電率が低く、かつ基板に搭載するシリコン系LSIチップの接続信頼性の確保のために、熱膨張係数がシリコンに近いセラミック材料を用いて電子回路基板を作成することが進められている。そして各種のセラミック材料のなかでムライト(2SiO2・3Al23)、ほうけい酸ガラスあるいはコ−ジエライト(2MgO・2Al23・5SiO2)を主材とするガラスセラミックス等が上記の要求を満たすセラミック材料として着目され、配線及び部品接続端子用導電膜を厚膜導電ペ−ストの印刷により形成する多層配線基板の開発が行われている。
【0003】このセラミック多層配線基板の基本的な構成の断面図を図1に示す。基材1はセラミックスである。裏面(図において基材1の下側の面)の厚膜導電膜2は入出力ピン3の接続用端子であり、表面(図において基材1の上側の面)の厚膜導電膜4は、論理演算用LSIチップ等の電子部品5の接続用端子4−1並びに電子部品の保護キャップ6の封止接続用の導電膜4−2である。これらの表・裏面の厚膜導電膜には必要に応じてめっき処理された後、はんだ付けあるいはろう付けにより、それぞれの部品が接続される。基板内部の厚膜導電膜は、LSIチップ間の電気的接続のための約0.1mm幅の微細な信号配線層膜7、基板内層面のほぼ全面を覆う面積の電源層膜8そして、各上下導電膜を電気的に接続する約0.1mm径の微細なビア導体9から成る。
【0004】そしてこの基板は、従来次のようにして作成される。即ち、ムライトセラミックあるいはガラス粉末及びその他の無機粉末からなる混合物等の基材となるものをセラミック粉末に、セラミック粉末のバインダとなるブチラ−ル樹脂あるいはメタアクリル酸エステル等の油溶解性ポリマ−及びグリ−ンシ−トの可塑剤となるブチルフタリルブチルグリコレ−ト等の高沸点有機溶剤を加え、さらにトリクロロエチレン/テトラクロロエチレン/ブチルアルコ−ルの混合有機溶剤、あるいはアセトン、トルエン、メチルエチルケトン等の揮発性有機溶剤等を加えて混合し、セラミックスラリ(泥しょう)を作成し、ドクタブレ−ドによるキャスティングと加熱乾燥により、セラミック粉末/バインダ/可塑剤からなる帯状のセラミックグリ−ンシ−トが作成される。その後、適当な大きさに外形切断されたグリ−ンシ−トに、ビア形成のための穴あけ、厚膜導電ペ−ストの穴埋め充填印刷をした後、対応する各層ごとに厚膜導電ペ−ストの印刷によりシ−ト表面の配線及び部品接続端子を形成する。次いで、これらを積層接着した後、焼結することにより作成される。
【0005】このような従来のセラミックグリ−ンシ−トの製造における多量の塩素系有機溶剤あるいは揮発性有機溶剤の使用には、人体の安全に対する害、環境汚染、火災、爆発の危険性を本質的に含むという問題がある。そこで、これらの塩素系及び揮発性有機溶剤に替えて、より安全性の高い水への変換が強く要請されている。このため、上記油溶解性ポリマ−に替えて、水溶解変性アクリル樹脂をセラミック粉末のバインダとして用い、水を溶剤とすることにより、セラミックスラリを作成して、グリ−ンシ−トを作成することがおこなわれている。
【0006】しかし、水溶解変性アクリル樹脂をセラミック粉末のバインダとするグリ−ンシ−トへの厚膜ペ−ストの印刷において、ブチラ−ル樹脂をバインダとする従来のグリ−ンシ−トへの印刷に適合する厚膜ペ−ストでは、印刷パタ−ン部においてグリ−ンシ−トが凹状に窪む現象が起きる。このため、■印刷パタ−ンが設計位置からずれ、■パタ−ン印刷した複数のグリ−ンシ−トの積層において、上下の接続精度が低下し、ビア導体どうしの位置がずれる、あるいは、ビア導体とビア外周導体との短絡し易い、等の問題が有り、高精度の多層配線基板が作製できないという問題があった。
【0007】なお、水を溶剤として用いて作成するセラミックグリ−ンシ−ト用バインダに関しては、特開平2-307861号、従来のセラミックグリ−ンシ−トの印刷に用いる厚膜ペーストに関しては特公昭63-040325号等の公報に開示がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来技術では、水溶解変性アクリル樹脂をセラミック粉末のバインダとするグリ−ンシ−トへの厚膜ペ−ストの印刷において、グリーンシートが窪むという変形をおこし、基板形状が悪くなると共に、印刷性が悪く、印刷パタ−ンの位置精度の確保ができず、高精度の多層配線基板が作製できないという問題がある。
【0009】本発明の目的は、多層配線基板に係る上記の問題を解決することにあり、厚膜ペースト印刷時に、グリーンシートの窪み発生を抑えることができて、基板形状を良好に保持でき、かつ、印刷性が良好であり、印刷パターンの高い位置精度の確保ができる、厚膜ペースト、及び、これを用いた高精度の多層配線基板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、厚膜スクリ−ン印刷のための有機ポリマーと有機溶剤とからなるビヒクル用の材料の適正な組合せについて詳細に検討した。その結果、グリ−ンシ−トに導電配線膜等の厚膜を形成するための厚膜ペ−ストのビヒクルの溶剤として、特定の組成及び配合のものを使用することにより上記問題を解決し、目的を達成するに至った。
【0011】すなわち、本発明によれば、セラミックグリ−ンシ−トを積層し焼結して成る多層配線基板の該グリーンシートに厚膜を形成するために用いる厚膜ペーストにおいて、該厚膜ペーストが、有機ポリマーと溶剤とから成るビヒクル及び主材粉末とで構成され、該ビヒクルの溶剤が、次の組成点(A),(B),(C),(D),(E),(F)で囲まれる範囲(単位:wt%)にあることを特徴とする厚膜ペ−ストが提供される。
溶剤の種類 (A) (B) (C) (D) (E) (F) (a)ジエチレングリコ−ル モノブチルエ−テルアセテ−ト・・30 40 80 80 50 30 (b)フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)・・20 10 10 20 50 50 (c)α−テルピネオ−ル ・・50 50 10 0 0 20また、本発明によれば、セラミックグリ−ンシ−トを積層し焼結して成る多層配線基板の該グリーンシートに厚膜を形成するために用いる厚膜ペーストにおいて、該厚膜ペーストが、有機ポリマーと溶剤とから成るビヒクル及び主材粉末とで構成され、該ビヒクルの溶剤が、次の組成点(G),(H),(I),(J),(K)で囲まれる範囲(単位:wt%)にあることを特徴とする厚膜ペ−ストが提供される。
【0012】 溶剤の種類 (G) (H) (I) (J) (K) (a)ジエチレングリコ−ル モノブチルエ−テルアセテ−ト・・ 0 50 50 5 0 (b)トリデシルアルコ−ル ・・10 10 50 95 95 (c)α−テルピネオ−ル ・・90 40 0 0 5上記の各溶剤を用いて、厚膜ペースト用のビヒクルをそれぞれ形成する場合、ビヒクル中の有機ポリマーとしてエチルセルロースを用いることが望ましく、エチルセルロース8〜15wt%、上記溶剤92〜85wt%とすることが望ましい。
【0013】また、厚膜ペーストは、上記ビヒクルのいずれか85〜45vol%と、主材粉末15〜55vol%とで構成することが望ましい。主材粉末としては、例えば、導電性粉末が用いられる。
【0014】さらに、本発明によれば、多層配線基板の各層ごとのパタ−ンに対応してそれぞれのセラミックグリ−ンシ−ト上及びグリ−ンシ−ト内に形成したスル−ホ−ルに上記いずれかの厚膜ペ−ストを印刷して厚膜を形成し、これらのグリ−ンシ−トを順次位置合せして接着後、該積層体を焼結して作製される多層配線基板が提供される。
【0015】
【作用】本発明において、(1)ビヒクルの有機溶剤は、■ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テルアセテ−ト/フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)/α−テルピネオ−ル、あるいは■ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テルアセテ−ト/トリデシルアルコ−ル/α−テルピネオ−ルの図2及び図3に示す特定の配合割合の混合物である。これにより、パタ−ン印刷によりグリ−ンシ−トに生ずる凹状の窪みが生ずることを防止する。そして、■印刷パタ−ンの設計位置からずれを小さくし、■パタ−ン印刷した複数のグリ−ンシ−トの積層において、上下の接続精度が確保され、ビア導体どうしの位置ずれがなく、また、ビア導体とビア外周導体との短絡の発生がなくなる。
【0016】(2)ペ−スト用ビヒクルの有機ポリマ−としてエチルセルロ−スを用いるのが望ましい。しかし、これは、グリ−ンシ−トへ形成する印刷膜の膜強度の点から選ばれたものであり、エチルセルロ−ス以外の、例えば、アクリル系あるいはブチラ−ル系の有機ポリマ−では、膜強度が弱く、例えば、膜厚測定機の走査針で印刷乾燥膜に傷がついて膜厚測定ができないこと、あるいは印刷膜を形成したグリ−ンシ−トのプレス処理において金型との間に挾み込むプラスチックフィルムへ印刷膜材料が転写し、印刷膜面の表面粗さが大きくなり、時には、グリ−ンシ−ト上の印刷膜の欠落を生じること、等の問題が有る。しかし、エチルセルロ−スではこれらの問題はない。
【0017】(3)ペ−スト用ビヒクルの有機ポリマ−8〜15wt%と有機溶剤85〜92wt%の配合量、ならびに、導電ペ−ストのビヒクル85〜45vol%と導電性粉末(主材粉末)15〜55vol%の配合量は、セラミックグリ−ンシ−ト上及びグリ−ンシ−トに形成したスル−ホ−ルへのペ−スト印刷を良好に行うための適正な粘度、プロセス上問題のない膜強度、並びに所定の配線抵抗を得るためのものである。ここで、有機ポリマ−あるいは導電性粉末が多い(溶剤あるいはビヒクルが少ない)と調製するペ−ストの粘度が高くなり、印刷スクリ−ンの版離れ時にグリ−ンシ−トが破れる等の不具合を生じる。また、有機ポリマ−あるいは導電性粉末が少ない(溶剤あるいはビヒクルが多い)と調製するペ−ストの粘度が低くなり、印刷パタ−ンのにじみが増えること、印刷膜が薄く配線抵抗値が高くなること、さらに保管容器からの取り出しあるいは容器への戻し時の回収においてヘラ等での取扱いが困難であること、等の問題があるが、本発明で規定する範囲ではこれらの問題はない。
【0018】以上により、ナトリウム塩あるいはアミン塩として水溶性を付与されたアクリル酸エステル樹脂又はメタクリル酸エステル樹脂などの水溶解変性アクリル樹脂をセラミック粉末のバインダとするグリ−ンシ−トへの良好な厚膜の形成と、これを積層する高精度の多層配線基板が作製できるようになる。
【0019】
【実施例】実施例1次に、本発明の実施例を図1とともに説明する。
【0020】1)多層配線基板の構成図1に示すセラミック回路基板において基板の基材1としてムライトを用い、導電膜として厚膜Wを用いた。裏面(図において基材1の下側の面)の厚膜導電膜2は、入出力ピン3の接続用端子であり、表面(図において基材1の上側の面)の厚膜導電膜4は、論理演算用LSIチップ等の電子部品5の接続用端子4−1並びに電子部品の保護キャップ6の封止接続用の導体膜4−2である。これらの表裏面の厚膜導電膜には、いずれもめっき処理された後、ろう付けあるいははんだ付けにより、それぞれの部品が接続される。基板内部の厚膜導電膜は、LSIチップ間の電気的接続のための0.1mm幅の微細な信号配線層膜7、基板の内層面のほぼ全面を覆う面積の電源層膜8そして、各上下導電膜を電気的に接続する0.11mm径のビア導体9から成る。
【0021】2)多層配線基板の作成2−1)ムライトセラミックグリ−ンシ−トの作製ムライト粉末70wt%とAl23−SiO2−MgO粉末30wt%とからなる混合粉末に、水溶解性変性アクリルとしてアミン系メタクリル酸エステル樹脂をグリ−ンシ−ト用バインダとして加え、さらに、水を加えてボ−ルミルで混練してスラリー(泥しょう)を作製し、ドクタブレード法で0.25mm厚さの帯状のセラミックグリ−ンシ−トを作製した。これを200mm角に切断した後、NCパンチによりに0.5mmピッチで0.13mm径のスル-ホ-ルを125mm角内に形成するとともに、積層用のガイド穴をスルーホール形成部の外周に形成した。
【0022】2−2)厚膜W(タングステン)ペ−ストの作製2−2−1)厚膜Wペ−スト用ビヒクルの組成厚膜導電ペ−スト用ビヒクルの有機溶剤及びエチルセスロースを表1に示す配合比で秤取し、70℃で撹拌してエチルセスロ-スを溶解した粘性溶液(ビヒクル)を作製した。次いで、導電膜の導電成分となるW粉末と作成したビヒクルとを3本ロ−ルミルを用いて混合・混練し、厚膜Wペ−ストを作製した。ここで、No.1〜10は本発明の範囲にあり、No.11〜16は本発明の範囲外の比較例である。これらの調製したそれぞれの厚膜導電ペ−ストについて、グリ−ンシ−トに形成したスル−ホ−ルにペ−ストを印刷充填し、乾燥後1.5mmピッチで1mm角のパターンをグリ−シ−ト表面に印刷した。そして、同一のペ−ストを印刷した6枚のグリ−ンシ−トを外周のガイド穴にて重ね合わせ、130℃,100kgf/(cm平方)で加熱接着した。
【0023】調製したペ-ストの評価結果を表1に示す。ここで、各評価の方法と評価基準は、次の通りである。
(a)印刷乾燥膜の強度:基板製造のプロセス上で問題のない、膜の引掻き強度が5g以上あるものを良好とした。
(b)ペースト印刷部分の凹状の深さ:パターン印刷したグリーンシートの裏面を表面粗さ計で測定し、従来と同等の10um以下を良好とした。
(c)ビア導体の積層位置精度:6枚の積層体の断面を研磨してビア導体の積層状態を観察し、ビア導体の中心軸のずれが20um以下を良好とした。
表から明らかなように、ビヒクルの溶剤配合組成が、本発明の範囲にあるNo.1〜10において、いずれも良好な結果を得た。
【0024】
【表1】

【0025】2−2−2)多層基板の各種導電膜用厚膜ペ−スト本発明の範囲にある良好な厚膜導電ペ−ストのビヒクルの例として表1のNo.7の配合組成を用い、各種添加物を加えた各導体用の厚膜導電ペ−ストを以下に従って作成した。
【0026】(1)ビア導体用厚膜Wペ−ストビア導体用厚膜Wペ−ストの構成成分の配合は下記の通りである。
【0027】
(a)W粉末・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26vol%(b)ビヒクル・・・・・・・・・・・・・・・・・・74vol%(b-1)エチルセルロース・・・ 12wt%(b-2)混合有機溶剤・・・・・ 88wt%(c)表面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1〜0.5wt部(d)ゲル化剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5〜2.0wt部(e)カップリング剤・・・・・・・・・・・・・・・0.1〜1.0wt部(f)焼結助剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・2〜4wt部なおここで、W粉末は平均粒径0.5umのW粉末15wt%と平均粒径1.0〜2.0umのW粉末85wt%の混合粉末である。さらに、W粉末とビヒクルとの混合物100wt部に対して、表面活性剤としてアルキルアミン、ゲル化剤としてジ・ベンジリデン−D−ソルビトール、カップリング剤としてイソプロピル・トリイソステアロイルチタネート、焼結助剤としてAl23−SiO2−MgOの混合粉末を1000℃で熱処理し、平均粒径は2.0umに粉砕したものをそれぞれ加えた。そして調製したペーストの粘度は、12kPas(ずり速度:2sec~1)である。
【0028】(2)表・裏面層導体用厚膜Wペ−スト表・裏面層導体用厚膜Wペ−ストの構成成分の配合は下記の通りである。
(a)W粉末・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15vol%(b)ビヒクル・・・・・・・・・・・・・・・・・・85vol%(b-1)エチルセルロース・・・ 13wt%(b-2)混合有機溶剤・・・・・ 87wt%(c)表面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1〜1.0wt部なおここで、W粉末は平均粒径0.5umのW粉末20wt%と平均粒径2.0umのW粉末80wt%の混合粉末である。表面活性剤はアルキルアミンである。そして調製したペーストの粘度は100Pas(ずり速度:4sec~1)である。
【0029】(3)信号配線膜用厚膜Wペ−スト信号配線膜用厚膜Wペ−ストの構成成分の配合は下記の通りである。
(a)W粉末・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55vol%(b)ビヒクル・・・・・・・・・・・・・・・・・・45vol%(b-1)エチルセルロース・・・・12wt%(b-2)混合有機溶剤・・・・・・88wt%(c)表面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1〜1.0wt部なおここで、W粉末の平均粒径は2.0um、表面活性剤はアルキルアミンである。そして調製したペーストの粘度は120Pas(ずり速度:4sec~1)である。
【0030】(4)電源膜用厚膜Wペ−スト電源膜厚膜Wペ−ストの構成成分の配合は下記の通りである。
【0031】(a)W粉末・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20vol%(b)ビヒクル・・・・・・・・・・・・・・・・・・80vol%(b-1)エチルセルロース・・・・13wt%(b-2)混合有機溶剤・・・・・・87wt%(c)表面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1〜0.5wt%(d)焼結助剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・2〜4wt%なおここで、W粉末の平均粒径は2.0umである。表面活性剤はアルキルアミン、焼結助剤はAl2O3−SiO2−MgOの混合粉末を1000℃で熱処理し、平均粒径は2.0umに粉砕したものである。そして、調製したペーストの粘度は、120Pas(ずり速度:4sec~1)である。
【0032】2−3)多層配線積層体の作製スル−ホ−ルを形成したグリ−ンシ−トに、ビア導体用厚膜Wペ−ストをスクリ−ン印刷して充填し、乾燥後、信号配線膜用厚膜Wペ−スト、電源層用厚膜Wペ−スト、表・裏面用厚膜Wペ−ストをそれぞれグリ−ンシ−ト上にスクリ−ン印刷し、信号配線層、電源膜層及び表面層の各導電膜パタ−ンを形成した。そして、電源膜層を形成した最下層用グリ−ンシ−トを反転し、表・裏面層用厚膜Wペ−ストを印刷して裏面導体膜を形成した。次いで、裏面導体膜を下面として電源膜層、信号配線層、表面層を形成したグリ−ンシ−トを順次位置合わせて43枚を積み上げ、積層体の両面に離型用耐熱プラスチックフィルムを挾込み、130℃,100kgf/(cm平方)で5分間加圧して、各グリ−ンシ−トの接着を行った。冷却後、フィルムを剥がし、N2−H2−H2Oの雰囲気を調整しながらで1600℃まで加熱し、グリ−ンシ−ト及び厚膜ペーストの有機物(溶剤、ポリマー)を分解、揮散させたるとともに、グリ−ンシ−トのセラミック粉末及び厚膜ペ−ストのW粉末並びに焼結助剤を一体焼結させ、ムライト系多層配線基板を作成した。
【0033】その後、表裏面の厚膜WにNi−Auめっきを施し、はんだ付け及びろう付けにより、LSIチップ等の電子部品、保護キャップそして入出力ピンを接続した。
【0034】実施例2基板の基材となるセラミックスとして、ほうけい酸ガラストとアルミナの混合物を用い、また、導電膜として厚膜Cuを用いた例について説明する。
【0035】1)多層配線基板の構成基材及び導電膜の材料が、それぞれほうけい酸ガラストとアルミナの混合物、厚膜Cuであるという材料が異なるが、ここで作成した多層配線基板の構成は実施例1と同様である。
【0036】2)多層配線基板の作製2−1)ほうけい酸ガラスとアルミナの混合物のグリ−ンシ−トの作製ほうけい酸ガラス粉末60wt%とアルミナ粉末40wt%とからなる混合粉末に、水溶解性変性アクリルをグリ−ンシ−ト用バインダとして加え、さらに水を加えてボ−ルミルで混練してスラリー(泥しょう)を作製し、実施例1と同様に、ドクタブレード法で0.25mm厚さの帯状のセラミックグリ−ンシ−トを作製した。これを200mm角に切断した後、NCパンチによりに0.5mmピッチで0.13mm径のスルーホールを125mm角内に形成するとともに、席層用のガイド穴をスルーホール形成部の外周に形成した。
【0037】2−2)厚膜Cuペ−ストの作製2−2−1)厚膜Cuペ−スト用ビヒクルの組成厚膜ペ−スト用ビヒクルの有機溶剤及びエチルセスロースを表2に示す配合比で秤取し、70℃で撹拌してエチルセスロ-スを溶解した粘性溶液(ビヒクル)を作製した。次いで導電膜の導電成分となるCu粉末と作成したビヒクルとを3本ロ−ルミルを用いて混合・混練し、厚膜Wペ−ストを作成した。ここで、No.17〜23は本発明の範囲にあり、No.24〜27は本発明の範囲外の比較例である。これらの調製したそれぞれの厚膜導電ペ−ストについて、グリ−ンシ−トに形成したスル−ホ−ルにペ−ストを印刷充填し、乾燥後1.5mmピッチで1mm角のパターンをグリ−シ−ト表面に印刷した。そして同一のペ−ストを印刷した6枚のグリ−ンシ−トを外周のガイド穴にて重ね合わせ、130℃,100kgf/(cm平方)で加熱接着した。
【0038】調製したペーストの評価結果を表2に示す。ここで各評価の方法と評価基準は実施例1と同様である。表2から明らかなように、ビヒクルの溶剤配合組成が、本発明の範囲にあるNo.17〜23においていずれも良好な結果を得た。
【0039】
【表2】

【0040】2−2−2)多層基板の各種導電膜用厚膜ペ−スト本発明の範囲にある良好な厚膜ペ−ストのビヒクルの例として表2のNo.23の配合組成を用い、各種添加物を加えた各導体用の厚膜ペ−ストを以下に従って作製した。
【0041】(1)ビア導体用厚膜Cuペ−ストビア導体用厚膜Wペ−ストの構成成分の配合は下記の通りである。
(a)Cu粉末・・・・・・・・・・・・・・・・・・26vol%(b)ビヒクル・・・・・・・・・・・・・・・・・・74vol%(b-1)エチルセルロース・・・・12wt%(b-2)混合有機溶剤・・・・・・88wt%(c)表面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1〜0.5wt部(d)ゲル化剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5〜2.0wt部(e)カップリング剤・・・・・・・・・・・・・・・0.1〜1.0wt部(f)焼結助剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・2〜4wt部なお、ここで、Cu粉末は平均粒径0.5umのCu粉末15wt%と平均粒径1.0〜2.0umのCu粉末85wt%の混合粉末である。さらにCu粉末とビヒクルとの混合物100wt部に対して、表面活性剤としてアルキルアミン、ゲル化剤としてジ・ベンジリデン−D−ソルビトール、カップリング剤としてイソプロピル・トリイソステアロイルチタネート、焼結助剤として平均粒径が2.0umのほうけい酸ガラスをそれぞれ加えた。そして、調製したペーストの粘度は、12kPas(ずり速度:2sec~1)である。
【0042】(2)表・裏面層導体用厚膜Cuペ−スト表・裏面層導体用厚膜Cuペ−ストの構成成分の配合は下記の通りである。
(a)Cu粉末・・・・・・・・・・・・・・・・・・15vol%(b)ビヒクル・・・・・・・・・・・・・・・・・・85vol%(b-1)エチルセルロース・・・・13wt%(b-2)混合有機溶剤・・・・・・87wt%(c)表面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1〜1.0wt部なおここで、Cu粉末は、平均粒径0.5umのCu粉末20wt%と、平均粒径2.0umのCu粉末80wt%の混合粉末である。表面活性剤は、アルキルアミンである。そして、調製したペーストの粘度は、100Pas(ずり速度:4sec~1)である。
【0043】(3)信号配線膜用厚膜Cuペ−スト信号配線膜用厚膜Cuペ−ストの構成成分の配合は、下記の通りである。
(a)Cu粉末・・・・・・・・・・・・・・・・・・55vol%(b)ビヒクル・・・・・・・・・・・・・・・・・・45vol%(b-1)エチルセルロース・・・・12wt%(b-2)混合有機溶剤・・・・・・88wt%(c)表面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1〜1.0wt部なおここで、Cu粉末の平均粒径は2.0um、表面活性剤はアルキルアミンである。そして調製したペーストの粘度は120Pas(ずり速度:4sec~1)である。
(4)電源膜用厚膜Cuペ−スト電源膜厚膜Cuペ−ストの構成成分の配合は下記の通りである。
(a)Cu粉末・・・・・・・・・・・・・・・・・・20vol%(b)ビヒクル・・・・・・・・・・・・・・・・・・80volwt%(b-1)エチルセルロース・・・・13wt%(b-2)混合有機溶剤・・・・・・87wt%(c)表面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1〜0.5wt%(d)焼結助剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・2〜4wt%なおここで、Cu粉末の平均粒径は2.0umである。表面活性剤はアルキルアミン、焼結助剤は平均粒径が2.0umのほうけい酸ガラスである。そして、調製したペーストの粘度は、120Pas(ずり速度:4sec~1)である。
【0044】2−3)多層配線積層体の作製スル−ホ−ルを形成したグリ−ンシ−トにビア導体用厚膜Cuペ−ストをスクリ−ン印刷して充填し、乾燥後、信号配線膜用厚膜Cuペ−スト、電源膜層用厚膜Cuペ−スト、表・裏面用厚膜Cuペ−ストをそれぞれグリ−ンシ−ト上にスクリ−ン印刷し、信号配線層、電源膜層及び表面層の各導電膜パタ−ンを形成した。そして、電源膜層を形成した最下層用グリ−ンシ−トを反転し、表・裏面層用厚膜Cuペ−ストを印刷して裏面導体膜を形成した。次いで、裏面導体膜を下面として、電源膜層、信号配線層、表面層を形成したグリ−ンシ−トを、順次、位置を合わせて43枚を積み上げ、この積層体の両面に、離型用耐熱プラスチックフィルムを挾込み、130℃,100kgf/(cm平方)で5分間加圧して各グリ−ンシ−トの接着を行った。冷却後、フィルムを剥がし、N2−H2−H2Oの雰囲気を調整しながらで950℃まで加熱し、グリ−ンシ−ト及び厚膜ペーストの有機物(溶剤、ポリマー)を分解、揮散させたるとともに、グリ−ンシ−トのセラミック粉末及び厚膜ペ−ストのCu粉末並びに焼結助剤を一体焼結させ、多層配線基板を作成した。
【0045】その後、はんだ付け及びろう付けにより、LSIチップ等の電子部品、保護キャップそして入出力ピンを接続した。
【0046】上記した本発明の実施例によれば、水溶解変性アクリル樹脂をセラミック粉末のバインダとするグリ−ンシ−トへの厚膜導電ペ−ストの印刷において、従来のブチラ−ル樹脂をバインダとするグリ−ンシ−トへの厚膜ペ−ストの印刷と同様に、印刷パタ−ン部においてグリ−ンシ−トに凹凸が小さくできる他、次の効果が期待できる。
【0047】■印刷パタ−ンの設計位置からずれが小さい。
■パタ−ン印刷したグリ−ンシ−トの積層において、上下の接続精度が確保でき、ビア導体どうしの位置ずれ、あるいは、ビア導体とビア外周に隔絶されるべき導体との短絡がないこと等により、従来と同等の高精度の多層配線基板が作製できるようになる。
■表・裏面の各種部品接続端子用導電膜において各種部品の接続強度が確保できる。
■ビア導体では、グリーンシート内に形成したビア用スルーホール内部に印刷充填でき、ビア導体自体の抵抗体が低く、焼結体においてビア用端子膜と良好に接合し、抵抗値の増大及び断線等の電気特性上の欠陥並びにビア周囲のムライトセラミックにクラック等の不具合が無い。
■信号配線膜では、膜幅の小さい配線において抵抗値が低い。
■電源層では、面積の広いW膜の電源層を挾む上下のグリーンシート間の接着性が優れ、焼結体において層間剥離が無い。
【0048】また、厚膜ペーストのビヒクル用溶剤として実施例で示した以外の、図2の組成点(A),(B),(C),(D),(E),(F)で囲まれた内側のジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート/フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)/α−テルピネオ−ルからなる組成の有機溶剤の混合物、あるいは、図3の組成点(G),(H),(I),(J),(K)で囲まれた内側のジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート/トリデシルアルコ−ル/α−テルピネオ−ルからなる組成の混合物を用いる場合においても、実施例と同様の効果が得られた。
【0049】さらに、セラミック基材として実施例で用いたムライトセラミックス以外に、コ−ジエライト(2MgO・2Al23・5SiO2)を主材とするガラスセラミックス、その他のセラミック粉末を用いて作成したグリ−ンシ−ト、導電膜として実施例に用いたW、Cuに替えてセラミックグリ−ンシ−トの焼結温度に対応したMo,Au,Ag,Pt等の金属材料あるいはRuO2,CuOその他の導電性酸化物を用いた厚膜導電ペ−ストにおいても、本発明を適用することにより実施例と同様の効果が得ることができた。
【0050】上記実施例では、導電性粉末を用いて導電膜を形成する例を示したが、本発明は、これに限られない。例えば、抵抗膜用ペースト等にも適用することができる。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、印刷時にグリーンシートに窪みを発生させず、印刷特性に優れ、良好な厚膜及び良好な基板形状の得られる厚膜導電ペ−ストが作製でき、各厚膜の必要な機能を満たす優れた電気的、機械的特性を有する多層配線基板を作製できる。




 

 


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