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発明の名称 ビーム誘起プロセス装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−97084
公開日 平成6年(1994)4月8日
出願番号 特願平4−246177
出願日 平成4年(1992)9月16日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 間所 祐一 / ▲高▼橋 由夫 / 川浪 義実 / 梅村 馨
要約 目的
集束ビーム誘起プロセス法において、ノズル位置で決まるガス圧分布とビーム走査範囲の相対的位置関係に関わらず、十分なプロセス速度を実現する。

構成
ノズルの設定角を最適化,試料上で広く均一なガス圧分布が得られるようにした。さらに、ガス圧分布に依存せず均一なビーム誘起加工プロセスを可能にするため、ガス圧分布を表示し、ガス流量,ビームの走査方法を変化させた。
特許請求の範囲
【請求項1】集束ビームを照射,膜堆積,エッチングなどの局所加工を行うビーム誘起プロセスにおいて、被加工面に反応ガスを導入するビーム誘起プロセス用ノズルの開口面の加工試料面に対する角度を60度以上80度以下に設定したことを特徴とするビーム誘起プロセス装置。
【請求項2】ビーム誘起プロセス用ノズルにおいて、開口面の加工試料面に対する角度及び開口面のビーム走査面内での方向を明確に設定する形状を備えたことを特徴とするビーム誘起プロセス装置。
【請求項3】ビームによる加工部を拡大表示するディスプレイ中に、ノズル高さ設定及びガス流量から決定されるガス圧力の分布に対応し、プロセス可能領域、もしくは所望のプロセス速度を得られる領域を表示したことを特徴とするビーム誘起プロセス装置。
【請求項4】ビーム加工領域の大きさに応じて、ノズルを通るガス流量を調節し、プロセス可能領域を拡大,縮小できる機構を備えたことを特徴とするビーム誘起プロセス装置。
【請求項5】加工試料上のガス圧力の分布に従って、ビームプロセスを行う範囲中の任意の点でエッチング,堆積などのプロセス速度が一定となるように、ビームの走査速度、またはビーム強度を各点で最適化することを特徴とするビーム誘起プロセス装置。
【請求項6】加工試料上のガス圧力の分布に従って、プロセス範囲中で膜の抵抗値,機械強度等、所望の膜質が、膜中の部位に依らず一定になるようにビームの走査速度,強度を各点で最適化し、膜形成を行うことを特徴とするビーム誘起膜堆積装置。
【請求項7】加工試料上のガス圧力の分布に従って、プロセス範囲中で表面形状,被加工範囲内で部位に依らず一定になるようにビームの走査速度,強度を各点で最適化し、エッチングを行うことを特徴とするビーム誘起エッチング装置。
【請求項8】加工試料上のガス圧分布が所望の加工部分の形状,大きさに適応しなかった場合、被加工試料を傾斜し、試料上で所望のガス圧分布を得ることを特徴とするビーム誘起プロセス装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は大規模集積回路の開発,製造,不良解析,回路修正に関し、特に超大型集積回路の開発,ウェハ上の修正に際して、検査配線形成,スルーホール形成などに用いられる集束イオンビーム加工プロセスに関する。また、量子デバイスなどに用いられる極微細パターン形成のための加工プロセスに関する。
【0002】
【従来の技術】特公昭63−45815 号では、集束イオンビーム堆積用ノズルの先端の形状を変えることでガス圧力の加工試料上での分布を均一化し、集束イオンビーム誘起堆積法において堆積可能範囲を広げることについて論じている。また、特開平3−289133号公報では、ビーム強度,イオン種に関して、ビーム走査条件を変化させて、一定のプロセス速度を得ることを述べているが、ガス圧力の加工試料上での分布に関しては触れていない。
【0003】また、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジーB7(1989年)第609頁から第617頁(J. Vac. Sci. Technol. B7 (1989)pp609−617)では、基板上でのガス圧力のノズル高さに対する依存性を示しているが、試料上での2次元的なガス圧分布は測定しておらず、これをビーム誘起プロセス装置に応用することに関しても論じていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、点状の開口部を線状に配列したノズル或いは、線状の開口部を持つノズルを用いてガス圧分布の均一化を実現しようとした。しかし、個々の開口部で、広い圧力分布を実現しつつ、さらに多数の開口部を備えるとすると、開口部の総面積は大きくなり、ノズルから流出する単位時間当りのガスの量が増大するという問題があった。線状の開口部を持つノズルでも同様のことが言える(問題点1)。一般に加工試料上の広い範囲で高いガス圧力を得ようとすると、ガス流量を増大させねばならず、反応ガスの無駄な損失,加工チャンバの汚染、さらには真空度の低下による高電圧機器の破損などを起しやすい。
【0005】しかし、逆に開口面積の小さいノズルを使用し同じ流量でガスを流した場合、ノズル開口面近傍で得られる圧力分布は小さくなり、被加工範囲に対するノズルの角度,高さ,水平距離などの位置合わせを正確にしなければ、ビーム照射領域で所望のガス圧が得られない。しかし、従来から使われているノズルでは軸方向,開口面の角度等を光学顕微鏡で或いはイオン,電子ビームの照射から発生する二次電子像から判断することが、困難であった(問題点2)。
【0006】また、上記従来技術ではガスノズル近傍の加工試料上での二次元的ガス圧力分布が考慮されておらず、ガスの総流量を制御しても、試料上のガス圧力は均一でなく、一定のプロセス条件を得ることができなかった。このため、ビーム誘起堆積においては膜質,膜厚を、ビーム誘起エッチングでは、エッチング速度,エッチング形状を被加工領域内で一定にすることは困難であった。さらに、広範囲にこれらの加工プロセスを行う場合、或いは、ビーム照射可能領域中の多数箇所にプロセスを行う場合に、ノズルから遠い,圧力の低い部分でプロセス速度が極端に遅くなる、あるいはプロセスが不可能になるという問題があった(問題点3)。
【0007】さらには、電子ビーム,イオンビームなどのビーム誘起プロセス装置では二次電子検出により被加工領域の像を拡大,ディスプレイ表示するが、拡大率を変化させた場合、表示領域中の点の全てでガス圧が十分得られない場合があった。即ち、ビームの走査領域とノズル近傍のガス圧分布は通常一致しないため、倍率が小さく,ビーム走査範囲の大きい場合に、ビーム走査範囲、つまり表示範囲のうちのノズルに近い一部でしか加工プロセスができないという問題があった(問題点4)。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題中、問題点1を解決する方法を述べる。ノズル開口部の加工試料に対する設定角度を最適化し、ガス圧力分布を広げることにより、これを解決できる。図2は、円筒ノズルを使用した場合の試料表面でのガス圧力分布を示したものである。一般に、ノズル開口面の方向と加工試料面のなす角度が鋭角になればガスの入射は加工試料に垂直に近くなり、それだけ加工試料上でのピーク位置でのガス圧力は高くなる。しかし、同時にガス圧分布自体は狭まり、分布の大部分は、加工試料に垂直な方向からビームが入射する時ビーム照射のできないガスノズルの陰に隠れてしまうため、ビーム照射可能でガス圧が大きい領域、即ち、加工可能領域を広げるという点からは、ノズル開口面の試料面に対する角度設定はむしろ鈍角である方が良い。しかし、角度を大きくしていった場合、ガス圧の分布は大きくなるが、試料に入射角(試料面垂線方向に対する角度)が大きくなるため、圧力(ガスの流束)が低下する。この相反する二つの条件を考慮すると、ノズル開口面の加工試料面に対する角度設定は、60度以上80度以下に設定するのが実用的である。この角度範囲では試料上でのガス圧分布は均一性が良く、ガス流量を大きくしなくてもこれ以外の角度設定の場合と比べて、ビーム照射領域で大きなガス圧値が得られる。また、分布の均一性が良いため、ノズル角度,距離の設定値からの微小なずれに対して分布の変化は小さく、設定誤差に対するマージンを大きくすることができる。
【0009】ビームの入射角が加工試料に対して垂直でない場合、及びノズル設定角度,ビーム入射方向が相対的に可変な場合は、図1に記載の分布に準じてノズルの角度を設定しガス圧分布のピーク位置近傍を利用すれば良い。この場合は、ガス圧の大きな領域を使えるため必要なガス流量をさらに小さくできる。また、このガスノズルの角度設定は異種のガスを多数のノズルから同じ領域に供給する場合、或いは同種のガスを多数のノズルから同時に供給し、広範囲にガス圧分布を形成する場合にも有効である。
【0010】ノズルの加工試料に対する位置合わせ精度の向上(問題点2)は、ノズル形状を拡大観察した場合にもノズル開口面の方向,位置を明確に表わすようにすることで達成できる。具体的には、ノズルの形状を変えノズル上の離れた2点の相対位置を明確に表わすようにすることで角度設定ができるようにすれば良い。
【0011】被加工領域中でのプロセスの均一化(問題点3)はノズル近傍の圧力分布を考慮して、膜形成をしようとする範囲の中で、ビームの走査速度,電流密度等の条件を変え、各点でのプロセス条件が実効的に同じになるようにして加工プロセスを行えば解決できる。ビーム誘起プロセスでは一般にビームを加工試料上で走査し、所望部分にプロセスを行うが、走査範囲内の一部分を見ると、ガスの吸着量はビームが照射されている時間に減少,非照射時間に増大するという挙動を示す。しかし、走査を高速化すると加工試料吸着ガス量を大幅に低下させずに反応を起こすことができる。このように、ガス圧が加工試料上で均一でなくても、ビーム照射条件を変えることでプロセスを均一に行うことができる。具体的には、以下のようにする。電子ビーム,イオンビームは通常ディジタル走査されるが、これは、走査範囲内での各点で、ビーム停止時間を変えることが可能である。即ち、各点での走査速度を所望のプロセス速度に対してあらかじめ得られている関係(集束イオンビーム堆積法における例を図2に示した)からその点でのガス圧に対応した値に設定すれば良い。
【0012】走査速度ばかりでなく、ビーム強度にも同様の効果があり、ビーム強度を下げることで、ガス分子の吸着密度を低下させずにプロセスを進められるが、ビーム径を変化させずにビーム強度を変えるのは通常の集束光学系では困難であり、また、微細加工を行う際には特に、ビーム強度は一定として走査条件を変化させる方が実現が容易である。吸着ガスの実効的密度によって堆積における膜の物性(抵抗値,付着強度など)、エッチングにおけるエッチング形状(凹凸,選択性など)が変化する場合には、上と同様にして走査速度,ビーム強度をガス圧分布に応じて変えることにより、これらを制御することが可能である。
【0013】問題点4は、以下のようにして解決できる。即ち、加工試料上の圧力分布を加工情報として表示し、それに従ってプロセスを行えばよい。図3はこれを等圧線として表示したものである。いまここで、ビームの走査速度,強度が与えられたとすると、必要なプロセス速度の下限に対応して等圧線で示されたある領域に対しては可能,その他の領域に対しては不可能ということになる。通常、必要なプロセス速度はある下限より上という形で与えられるので、このような表示は有効である。表示は加工領域の表示倍率を変えた場合にもそれに応じて変えられるので、常にプロセス可能領域を示すように設定できる。膜形成範囲が広範囲でない場合、あるいは、ノズルに対する相対位置が離れていない場合でも、所望の位置で所望のプロセス速度を得るには、加工試料上の圧力が分かった方がよく、これをプロセス速度分布として表示することが望ましい。これは、ガス圧力とプロセス速度の関係をあらかじめ求めておけば可能である。一例として集束イオンビーム誘起堆積におけるガス圧力と膜堆積速度の関係を図4に示した。
【0014】ガス圧分布は試料台上に小穴を設けて、これに圧力計をつなげば実験的に求められるが、簡易には、以下の様に計算でも近似値が求められる。即ち、ノズル開口面各点でのガス分子の散乱角度分布がノズル開口面垂線に対する角度の余弦に比例する分布を持っているとして、これを開口面全体で積分して試料面の各点でのガス分子の入射量を数値的に計算する。但し、この方法はガス種,圧力によってガスの流れが変化するため散乱の各度分布を補正する必要がある。
【0015】また一方、ノズル開口部の大きさに比べて十分小さい範囲に加工を行う場合には、あえて広範囲で高い圧力分布を実現する必要は無く、チャンバの汚染,ガスの損失等を考慮した場合、流量を絞ってプロセスを行うのが実用的である。通常のビーム誘起プロセスではガス圧を高くしてもプロセス速度は飽和するため、この点からもガス流量は制限した方が良い。このような場合に、加工範囲の大きさに対応している表示倍率に応じて、ガス流量を可変とすればこれらの問題を解決できる。このためには、加工プロセスに入る(ガスノズルを開く)前に、加工領域の大きさ,表示倍率に応じてガス流量を設定,ガス流量バルブを調節する機構を付加すれば良い。
【0016】
【作用】ノズル下のガス圧分布は概略図1に示したようになっており、ノズルの設定角を60度以上80度以下に設定することによりガス圧分布の広い部分をビーム照射可能部分に出すことができ、ビーム誘起プロセスが広範囲でできるようになる。
【0017】ノズル自身にその軸方向を明確に示す溝,突起等の構造をつけることにより、ノズルの位置,角度設定を正確にでき、ビーム誘起プロセス可能領域を広げ、明確にすることができる。
【0018】ビームの加工試料上での滞在時間をガス圧分布に従って、走査することにより、ビーム誘起プロセスを均一に行うことができる。また、ビーム誘起堆積における膜の物性,ビーム誘起エッチングにおけるエッチング形状などを均一になるように制御できる。
【0019】加工試料上でのガス圧分布を、加工領域を表示するディスプレイ上に重畳して表示することにより、ビーム誘起プロセスが可能な領域が明確になり、加工領域内でのプロセスの均一性が保たれる。また、この表示倍率に応じてガス流量を調節することで、加工チャンバ内の真空度を高く保つことができ、同時に反応ガスの無駄な消耗を回避できる。
【0020】
【実施例】
〈実施例1〉図5(a)は本発明の一実施例を示したものであり、試料に垂直な方向に対して、ガスノズル開口面の角度を70度に設定した例である。この場合のノズル開口部の形状は円形であり、内径は0.33mm ,開口面下端と試料面の距離は150μmであった。試料上での圧力分布は、試料を設置する試料台に直径50μmの小孔を設け、そこに入射するガスの圧力、即ち、単位時間当りの入射分子数を測定した。この方法により試料表面での圧力を測定したところ、図5(b)に示すような結果が得られた。図の横軸は試料垂直方向から見たノズルの先端からの距離を表わし、正はノズル先端から見える部分、負はノズル自体に隠れる部分を表わす。比較のため、試料に対する開口面の角度を45度にした場合の結果を同図中に示す。
【0021】45度の場合、圧力が最大となる点は垂直方向から見てノズルの下側約150μmの所にあり、ビームが照射できない領域である。ガスとしてタングステンカルボニル蒸気を総流量を1mTorr・l/s(3×1016分子/sに相当)で流した場合、ビーム照射可能領域での最大のガス流束はノズル先端直下で約4×1018分子/cm2/s であった。これに対して、ノズルの角度を70度にした場合、分布中のガス圧の極大はノズルの先端直下にあり、照射領域で最大のガス流束は約3×1018分子/cm2/s であり、この値は45度の場合の3/4であった。しかし、ガス流束が2×1018分子/cm2/s 以上となる範囲はノズル先端からの最大距離で300μm程度まであるため、他の条件にも依存するが、ほぼ縦横200μm程度の範囲を均一なガス圧条件下で集束ビーム誘起プロセスが可能である。これは、ノズル角度が45度の場合と比べて約2倍である。
【0022】また、この角度設定ではガス圧の分布範囲が広いため、プロセス中にノズル自身にビームが照射されることが無く、このために生じる問題を回避できる。例えば、イオンビームの場合、ノズル自身がイオンによりスパッタされ試料に付着すると、これが試料汚染の原因になる。また、電子ビームの場合でも、ガスがノズル上で反応し、ノズル上に金属が堆積,試料汚染の原因になる。これらの問題点は同時に解決される。
【0023】〈実施例2〉図6(a)乃至(e)は本発明の第2の実施例のノズルの形状を示したものである。同図(a)の例は、ノズル下端部に先端の尖った針状の突起6をつけ、ノズルの中心軸の方向を明確に表した。同図(b)は(a)の側断面図である。これにより、微細な部分に膜形成を行う場合においても、容易にガス圧の分布の中心を二次電子像から読みとることができる。(c)はノズルの上面にノズルの軸方向を示す溝を入れた例で、これを二次電子像で検出することによりノズルの向きを確認でき、必要に応じてその向きを補正することができる。
【0024】(d),(e)はノズル上に凹,凸形状7,8を設けたもので、この二つの突起の相対位置からノズルのビーム入射方向に対する角度、従って試料面に対する角度がわかる。このため、ノズル角度が試料面に対して設定通りになっているかどうかを知ることができ、また調整ができる。上記(a),(c),(d),(e)を適当に組み合わせて方向性をさらに明確にできる。
【0025】〈実施例3〉図7は本発明の第3の実施例として示した集束イオンビーム誘起プロセス装置の構成図である。ここに示したのは、通常の非質量分離型の加工用集束イオンビーム装置であり、12は二次電子検出器、18は加工部の形状を示すためのディスプレイ、14はノズル位置の微動機構である。図中の矢印はデータ,制御の流れを示す。微動機構14は、電気的に試料19とノズル20の位置関係を検出するようになっており、この情報は17に示した演算回路に入力される。通常18の表示部には、加工部の二次電子像が表示されているが、この装置では、プロセスを行う際には演算回路の計算結果がこれに入力され、ガス圧の分布を等高線として、二次電子像に重複して表示することが可能になっている。
【0026】図3は表示した像の一例である。さらに、ビームの走査条件,ビーム強度を演算装置17に入力することにより、これをプロセス速度の分布として表示することも可能である。この際、ビーム走査速度,ビーム強度に対するプロセス速度の依存性をあらかじめデータとして入力しておく必要がある。一例として、集束イオンビーム誘起堆積法における堆積速度のビーム走査速度依存性を図2に、ビーム強度に対する依存性を図8に示す。
【0027】〈実施例4〉図9は本発明の第4の実施例として示した集束イオンビーム誘起エッチング装置のブロック図である。ノズルの位置及び、ガス流量はそれぞれの設定機構14,23から演算装置22に送られ、加工領域のパターン情報,座標(ユーザから入力されるデータもしくは、加工領域を観察する際のビーム走査制御系13の倍率から決められる)から加工領域中の各点(デジタル走査の際のピクセルまたはその中の適当な代表点)でのガス圧力が計算される。このガス圧力値と、走査制御系13で設定されている走査速度、さらに集束系10で設定されるビーム強度から実験データに基づいて各点でのプロセス速度が計算され、領域内でのプロセス速度の最大,最小が求められる。図3,図8は前述のように集束イオンビーム誘起堆積におけるデータである。もし得られたプロセス速度が必要値を満たさなかった場合、ガス流量制御装置23に制御信号を送りガス流量を調節し、これを必要な大きさにする。しかし、ガス導入系及び真空排気系の性能で決定されるガス流量の最大,最小値の限界を越える場合には流量を変えず、ユーザにこれを表示装置18で知らせる。
【0028】〈実施例5〉図10は本発明の第5の実施例として示した集束ビーム誘起プロセス装置の構成図である。実施例3では、被加工試料上のガス圧分布またはプロセス速度を表示、実施例4ではプロセス速度をガス流量で調節したが、本実施例では、ガス圧分布に対応してビーム走査の方法を変え、被加工領域でのプロセス速度を一定にするフィードバックをかける。このためには、演算装置24からの信号をビーム走査系13に入力し、ビーム走査速度とプロセス速度の関係を用いて、加工領域の各点におけるプロセス速度が一定になるようにすれば良い。通常、ビーム走査は各点でのビーム滞在時間を設定するデジタル方式で行っているが、図3の走査速度との間には(ビーム滞在時間)=(ビーム径)/(ビーム走査速度)の関係があるため、加工パターンの大きさからビーム径を決め、これに対応するビーム滞在時間を設定すれば良い。
【0029】ビーム走査系の性能等から必要なビーム走査速度が得られず、加工領域の全体でプロセス速度が一定にならず、プロセス速度の不均一性が加工目的にそぐわない場合は、これを表示装置18に表示する。このような場合には、加工領域を分割してその中で均一性を実現すれば良い。実施例4で述べたガス流量の調節と併用が可能である。この場合、走査速度の調節とガス流量の調節のどちらを優先して行うかは、真空排気速度,ガスの種類などによる。一例として、イオンビーム誘起エッチングの場合には、ガス供給が不足するとガスの化学反応によらず、イオンビーム自身のスパッタリングによってエッチングが進んでしまうため、化学反応に比べて被加工物に対する材料選択性が無くなると同時に、表面の加工形状が凹凸が多くなる。従って、ガス供給が十分にあることは不可欠である。
【0030】各プロセスに関して図3,図8に相当する関係が求められればガスを複数種使用した膜堆積あるいはエッチングの場合にも同様に実施できる。
【0031】〈実施例6〉実施例3,4,5ではノズルによって供給されるガス圧力の分布を表示、それに従って加工を行う方法を示したが、ガス圧分布が必要とする領域の大きさに合わなかったり、ガス圧力が不十分で必要とするプロセス速度が得られないということが生じることが考えられる。このような時は、試料を傾斜し、ガスノズル,ビームの方向に対して角度を変えることができれば条件を満たすことができる場合がある。ガス圧分布の大部分はノズルの影に入っており、分布中の高ガス圧部分は利用できない場合が多いが、試料を傾斜し、試料に対するビームの入射方向を変えてやれば、垂直入射では使えなかったガス圧の高い部分にビームを照射することができ、これにより効率の良いプロセスができることがある。図11はその例である。図中に示したガス圧がプロセスに必要である場合、ノズル角度が80度ではこのような加工は不可能である。しかし、試料の角度を20度傾斜させるとガス圧分布は図12のようになり、試料とノズルのなす角度は60度になり、さらに図中、点Pの右側で示される試料上のビーム照射可能領域は、元の点Oの左側に移動するためプロセスが可能になる。このとき、試料に対するガス圧の分布のみならず、ビームの入射角度が変るため、単位面積当たりのイオン入射量,反応における反応断面積,イオンビームの場合のイオンスパッタ効率も変化し、ビーム誘起反応の反応速度は変化する。パターンの大きさも傾斜方向に引き延ばされるため、これらの情報を考慮して計算し、ビーム走査制御系に入力して描画パターンの形状,ビーム走査速度などを変更する必要がある。
【0032】図13,図14にイオンビーム誘起堆積法における典型的な反応断面積及び、スパッタ率の入射角依存性を示す。電子ビーム誘起プロセスでも反応断面積に関して類似の関係がある。試料を傾斜した場合、イオンビームのスパッタ効率も増加するが、プロセス速度はこれを上回って増加するため、イオンビーム誘起堆積法においてもこの方法は有効である。
【0033】〈実施例7〉本実施例は試料表面の形状が平坦でなかった場合に一様なプロセス速度を得るために走査方法等のプロセス条件を変化させる手法を示したものである。加工試料表面が溝構造を持つなど、平坦でない場合、試料上の傾斜部でのプロセス速度は、ビーム強度,ガス圧力に対して平坦部と異なる依存性を示す。これは、ビームの入射方向と、ノズルによるガスの入射方向が一般に異なるためである。また、ビーム強度とプロセス速度の間には図8に例示したように、単純な比例関係は無いためプロセス速度は一定にはならない。従って、プロセス速度を一定にし、加工領域内で一様な加工を行うためには、既知のビーム走査速度とプロセス速度の関係に基づいてビームの走査速度を変えなければならない。まず、加工領域内の各点における試料面の傾斜角を求め、そこに入射するガスの流束,ビーム強度を求める。さらに、ビーム入射角に依存する反応断面積からプロセス速度が算出できる。イオンビームの場合さらにスパッタ率が必要になるが、これも角度に依存するため考慮しなければならない。こうして得られたプロセス速度はビーム走査速度の関数になっているため、各点における走査速度を変化させてやればプロセス速度を一定にすることが可能である。
【0034】集束イオンビーム誘起堆積を例にとって、試料上の凹部にプロセスを行う場合を考える。一様なビーム走査を行うと傾斜した側壁部で膜の成長が速く、全体に一様な厚さで成膜されず、図15(a)に示したような断面形状になる。これは反応断面積,スパッタ率の入射角依存性が図13,図14に示したようになっているためであり、さらにガスノズルも試料面に対して傾斜しているためである。一様に成膜するためにはこれらの条件の違いを相殺し、各点における堆積速度が等しくなるように走査速度を決めなければならないが、ビームの走査速度と堆積速度の関係は図3に示すようになっているので、堆積速度の最大値よりも小さい値に対しては、走査速度を調節することにより常に所望の堆積速度が得られる。
【0035】図13に示した通り、通常は入射角が大きいほど反応断面積が大きくなるため、平坦な部分での最大の堆積速度に対して、傾斜部での走査速度を決めればよい。従って、傾斜角の点では走査速度を遅くすることにより平坦部でのプロセス速度にあわせることができる。逆に走査速度を非常に速くしてしまうことも考えられる。
【0036】図15(b)に一様に成膜するための走査法の一例を示した。ノズルは左上方にあるものとする。右の側壁で左側より走査速度を小さくしているのはノズル開口面に対して正対している右側の側壁の方がガス流束が大きく、膜成長速度が大きいためである。但し、この場合プロセスの進行に従い表面形状が変り、傾斜角も変化するため、非常に薄い膜を付ける場合以外は、表面形状を二次電子の発生量などでモニタしながらプロセスを進める必要がある。図10に示した装置構成ではガス圧分布しか考慮されないが、二次電子検出器12からの信号をモニタし、傾斜角をデータとして24で演算を行い、結果をビーム走査系13に入力すれば凹凸がある試料上でも常に一様な膜厚で成膜を進めることが可能である。エッチングの場合にも同様に傾斜角に対する反応速度の依存性から走査速度を変化させて一様な形状を得ることができる。また、逆に走査速度を変えて平坦部に凹凸形状を作ったり、或いはエッチング,埋め込み形状を変えたりすることもできる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、集積回路の検査,改造の効率,歩留りを向上し、集積回路の開発期間を短縮できる。




 

 


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