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発明の名称 膜式抵抗体及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−96904
公開日 平成6年(1994)4月8日
出願番号 特願平4−247550
出願日 平成4年(1992)9月17日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 布川 功 / 府山 盛明
要約 目的
電解めっき法により白金薄膜の応力を低減し平板基板上への白金薄膜の密着性を向上させ結晶粒径を均一化して長期間安定した抵抗温度係数の白金薄膜抵抗体を温度センサ、空気流量センサおよび温度による抵抗変化を利用したセンサ等に低コストで提供する。

構成
白金薄膜16を電解めっき法により白金イオンとして陰極13側に取り付けた絶縁体の平板基板14側に形成するため絶縁体の平板基板14上に白金粒を析出させる。電解めっき法により形成された白金薄膜16の抵抗温度係数の安定化処理をして白金薄膜16の結晶粒径を均一化して長期間安定した抵抗温度係数の白金薄膜16を絶縁体の平板基板14上に形成して白金薄膜抵抗体素子を製造する。
特許請求の範囲
【請求項1】絶縁性の平板基板上に温度依存性の薄膜が形成された膜式抵抗体の前記温度依存性の薄膜として白金薄膜を用いた膜式抵抗体において、前記白金薄膜を電解めっき法を用いることで結晶粒径を制御して白金薄膜の膜応力を抑制して作製したことを特徴とする膜式抵抗体。
【請求項2】請求項1において、前記白金薄膜を用いた膜式抵抗体において前記白金薄膜の結晶粒径を450Å〜500Åの範囲とした膜式抵抗体。
【請求項3】請求項2において、前記白金薄膜を用いた膜式抵抗体において前記白金薄膜の格子面(111)および(200)のX線吸収ピーク強度比(111)/(200)が0.1〜0.4の範囲とした膜式抵抗体。
【請求項4】請求項1,2または3において、前記白金薄膜を電解めっき法で形成するとともに電解めっき時の印加電流密度を1.11A/dcm2〜4.44A/dcm2の範囲とした膜式抵抗体の製造方法。
【請求項5】請求項4において、前記白金薄膜による抵抗体の抵抗温度係数(TCR)3800ppm/℃〜3850ppm/℃の範囲で安定化するため白金薄膜の熱処理温度を900℃ 〜1200℃の範囲とした膜式抵抗体の製造方法。
【請求項6】請求項2または3において、前記白金薄膜を用いた白金薄膜抵抗体を絶縁性の平板基板上に形成して流体の流量を測定する流量センサおよび温度センサを作製したことを特徴とする膜式抵抗体の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は温度依存性の抵抗体を用いた膜式抵抗体に係り、特に、温度センサ,空気流量センサ等の抵抗体として使用されている白金による白金薄膜抵抗体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から白金抵抗体は自動車の空燃比を制御するセンサとしての空気流量センサが知られている。これらの空気流量センサはアルミナ等の絶縁体の円筒体局面に白金の細い金属線を抵抗体として巻線し、この巻線抵抗体の両端を白金イリジウム等の棒状のリード線に接続して両側のリード線部をターミナルに固定する構造のものであり、このような従来の巻線式の空気流量センサでは巻線工程を含むために量産性が劣り、かつ、空気流れ等の流体中の異物が抵抗体の形成された面に付着すると熱伝達係数が変化して出力精度が低下するという欠点がある。特に、自動車用エンジンの吸気流量の検出等に使用する場合はエアクリーナを通過する空気中に含まれる微細なダストや油滴が付着したり、あるいはエンジン側からのカーボン粒子が付着して出力信号の精度が低下し、エンジン制御に誤差を生じるという問題がある。
【0003】上述した従来の巻線式の空気流量センサの欠点を改良すべく絶縁体の平板基板上に温度依存性の膜式抵抗体を多量に形成して量産性を高め、基板を切断分離し各抵抗体の電極取り出し端子をターミナルに接合後、流体に対して基板を同一方向の姿勢で配置して抵抗体への異物の付着による出力精度の低下を防止し耐汚損性を向上させる構造の空気流量センサが検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】絶縁体の平板基板上に温度依存性の膜式抵抗体として白金薄膜を形成する方法が多数検討されているが、蒸着およびスパッタリング法等で形成すると平板基板以外の装置壁面への白金付着量が多くコスト高となる。またこの手段では白金粒が、平板基板上に物理的な付着となるために安定な金属である白金は平板基板との密着性が悪く、白金薄膜が平板基板から剥離してしまう問題があり、対策として平板基板と白金薄膜との密着性を良くするために中間層を形成する(特開昭63−209103号公報)および(特開昭62−284216号公報)等の方法が提案されているが、抵抗温度係数が長時間の使用で径時変化を起こし測定精度の劣化が問題となっている。また蒸着およびスパッタリング法等で形成した白金薄膜は抵抗温度係数の安定化を得るための熱処理により白金粒間の凝集の発生で白金粒が島状膜を形成して白金薄膜自身の抵抗値を増加させるなどの問題がある。
【0005】そこで本発明者らは絶縁体の平板基板上に低コストで密着性に優れ、かつ抵抗温度係数の安定した白金の薄膜による膜式抵抗体およびその製造方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は絶縁体の平板基板上に金属として安定な白金による温度依存性の高い抵抗体を作製するために前記平板基板上に密着性に問題のある物理的な付着でなく、密着性をあげる一つの手段として白金を金属イオンとして前記平板基板上に付着させる電解めっき法を用いて低コストの白金薄膜を形成する。
【0007】前記平板基板上に白金薄膜を直接形成するために電解めっき時の印加電流値を制御することで析出する白金粒の結晶粒径に影響される膜応力を低減して白金薄膜の膜剥がれを防止して前記平板基板に付着させる。そして温度依存性の高い抵抗体を得るために前記白金薄膜を熱処理することで膜中に含まれる不純物を除去するとともに白金結晶粒径を均一化し、長期間の使用に対しても抵抗温度係数の安定した白金薄膜とする。さらに、白金薄膜を温度依存性の抵抗体として使用した場合の検出精度を良くするために前記白金薄膜の結晶粒径および結晶格子面のX線吸収ピーク比(111)/(200)等を制御することで温度に対する抵抗変化量の大きい白金薄膜とした。上記方法で製造した白金薄膜を用いて絶縁性の平板基板上に白金薄膜抵抗体を形成して流体の流量を測定する流量センサおよび温度センサを作製した。
【0008】
【作用】本発明によれば絶縁体の平板基板上に電解めっき法により白金を金属イオンとして付着させるために電解めっき法による白金粒は電気的な結合となりまた粒間密度も大きく、電解めっき時の印加電流密度を制御にすることにより前記平板基板への付着時の白金薄膜の膜応力を小さく保つことができるので膜剥離を防止して高い密着性の白金薄膜を絶縁性の平板基板上に得られる。そして熱処理によって白金薄膜の結晶粒径を制御して均一化することにより抵抗温度係数を安定化させ本発明による白金薄膜を用いた膜式抵抗体の長期間の使用に対する抵抗変動を小さくできる。
【0009】
【実施例】本発明の白金薄膜抵抗体の製造方法および前記白金薄膜抵抗体による空気流量センサの一実施例を図面を参照して説明する。
【0010】白金薄膜抵抗体を形成する絶縁体の平板基板としてアルミナ基板等を使用してアルミナ基板等の表面あらさは白金薄膜抵抗体を形成した後の形成抵抗値のばらつき精度から0.5μRa 以下としてアルミナ基板を塩酸と過酸化水素水の混合液で表面処理後に電解めつき用の陰極となる白金下地膜を500〜1000Å蒸着および無電解めっき法等により形成し、脱脂工程および酸洗い塩酸処理を行なった後に電解めっきによる白金薄膜を形成する。
【0011】図1に電解めっきによる白金薄膜抵抗体の製造装置の説明図を示す。
【0012】白金電解めっき槽10は耐食性のあるパイレックスガラス等の材質で製作して電解めっき用の陽極12,陰極13の両電極間に白金薄膜16のアルミナ平板基板14への面内膜厚分布を陰極13に取付けられたアルミナ平板基板14で均一化するための導通管10aとからめっき槽は構成され、陽極12にはメッシュ状のチタン素材に白金膜が被覆形成されてアルミナ平板基板14の表面積の2倍以上の表面積のものを使用しクーロンメータ,電流計,直流電源,可変抵抗および陰極13等で電解めっき回路が構成されている。白金電解めっき槽10による白金薄膜16の電解めっきは直流電源を使用し可変抵抗値を調整してアルミナ平板基板14側の電流密度を一定にする定電流法により陰極13に電気的に接続されたアルミナ平板基板14に白金イオンとして白金粒を析出させながら白金薄膜16の膜厚は印加した電気量を積算するクーロンメータを使用して膜厚制御をおこなっている。
【0013】尚電解めっき液の加熱は恒温槽にめっき槽10を浸積して電解めっき液を一定温度に調整し下部よりのスターラでゆっくり撹拌して電解めっきを行う。
【0014】表1に白金薄膜16の電解めっき時の電流密度を変化させてアルミナ基板に析出させた白金薄膜16(膜厚:3μm)の剥離結果を示す。
【0015】
【表1】

【0016】電解めっき時のアルミナ平板基板14側の電流密度を5.55A/dcm2以上にすると白金析出速度は増加するが白金薄膜16の析出による膜応力によってアルミナ平板基板14からの白金薄膜16の剥離が発生してアルミナ平板基板14への白金薄膜16の形成が困難となる。また電流密度を1.11A/dcm2未満とすると白金析出速度が低下して析出効率が悪くなるが白金薄膜16の剥離は発生しないため、本発明の一実施例としてアルミナ平板基板14側での電流密度を4.44A/dcm2 以下でアルミナ平板基板14上に電解めっき法により白金薄膜16を形成し、抵抗温度係数の安定化を得るための熱処理を行った。熱処理は、すべて大気中で行い本発明の一実施例の熱処理は3段階ステップ方式で電解めっき工程中に白金薄膜16に取り込まれた水素イオンを第一ステップの熱処理温度150〜250℃−3〜5時間保持により水素ガスとして放出させて白金薄膜16の熱処理温度400℃〜500℃で水素ガスの影響で発生するふくれによる白金薄膜16のアルミナ平板基板14からの剥離を防止し、第二ステップの熱処理温度600℃−1時間保持により白金結晶粒の温度上昇による成長で発生する白金結晶粒の凝集により白金薄膜16内にピンホールを形成され白金薄膜16自身の抵抗が増加するのを防止する目的で熱処理温度の急激な温度上昇を一時停止させる。第三ステップの最終熱処理は白金薄膜16の抵抗温度係数の安定化を得るための熱処理で処理後は自然放冷とした。
【0017】図2にアルミナ平板基板14側に形成された白金薄膜16の電解めっき時の電流密度に対する抵抗温度係数の安定化熱処理温度の関係を示す。熱処理温度800℃−1時間までは電解めっき時の電流密度1.11A/dcm2〜4.44A/dcm2に依存して電流密度の増加とともに抵抗温度係数の増加が見られる。しかし熱処理温度900℃−1時間以降では電解めっき時の電流密度の影響は小さく抵抗温度係数の変化が少なくなってきていることから電解めっき法による白金薄膜16の熱処理は熱処理温度900℃以上とすれば白金薄膜の電解めっき時の印加電流密度および電解めっき条件のばらつきによる影響のない安定した抵抗温度係数が得られる。
【0018】図3に抵抗温度係数と白金結晶粒径の関係を示す。
【0019】抵抗温度係数の安定化熱処理温度を800℃−1時間以下の条件で処理した場合抵抗温度係数の増加にともない結晶粒径は小さくなり電解めっき時のアルミナ平板基板14側の白金薄膜16の電解めっき時の電流密度の増加により稠密な白金薄膜16が形成されるために白金薄膜の応力が増加し表1の白金薄膜16が電解めっき時の電流密度5.55A/dcm2以上でアルミナ平板基板14から剥離した要因の一つであることがわかる。そして熱処理温度900℃−1時間で電解めっき時の電流密度の影響による白金の結晶粒径の変化が少なくなり、熱処理温度1000℃−1時間では結晶粒径が減少して電解めっき時のアルミナ平板基板14側の印加電流密度に依存せず結晶粒径が均一化されて、さらなる熱処理温度1100℃−1時間によって白金の結晶粒は再成長による白金の結晶粒径の増加が起きるが白金薄膜16の結晶粒径は均一化されている。これらのことから白金薄膜16の結晶粒を熱処理温度900℃以上の熱処理により白金粒径を均一化して白金薄膜16の結晶粒径を450Å以上とすることで長期間安定した抵抗温度係数を得られる。
【0020】図4にX線回折による(111)と(200)格子面のピーク強度比(111)/(200)を示す。
【0021】熱処理温度800℃の(111)と(200)の格子面のピーク強度比(111)/(200)は電解めっき時のアルミナ平板基板14側の印加電流密度の増加により比例的に低下して印加電流密度3.33A/dcm2以上で増加している。また熱処理温度900℃も同様の傾向を示しているが電解めっき時の印加電流密度による白金薄膜16の応力等の影響により電解めっきによる白金薄膜16の再結晶温度より低い温度で再結晶が進んでいるために印加電流密度3.33A/dcm2以上の白金薄膜16では格子面のピーク強度(111)/(200)が熱処理温度800℃と熱処理温度900℃では異なっていると考えられる。そして印加電流密度2.22A/cm2の各熱処理温度による格子面のピーク強度比(111)/(200)をみると熱処理温度800℃〜900℃において(111)格子面が増加して熱処理温度1000℃において(111)格子面の急激な減少が生じて熱処理温度1100℃への温度上昇により(111)格子面が再び増加している。これらのことから熱処理温度900℃〜1000℃の間で白金薄膜16の再結晶化が生じていることがわかる。そこで電解めっき法により形成した白金薄膜16を熱処理温度900℃以上で熱処理し、白金薄膜16の(111)と(200)格子面のピーク強度比(111)/(200)が0.4 以下の白金薄膜16の(200)格子面が支配的な白金薄膜16により白金薄膜抵抗体を形成する。
【0022】図5に上述した方法により製造した白金薄膜16を用いた白金薄膜抵抗体素子を空気流量センサとして使用した場合の空気の流量変化に対する応答特性を示す。
【0023】電解めっき法により形成した白金薄膜16を白金薄膜抵抗体素子として使用する場合には半導体工程等で採用されているフォトリソグラフィ法とイオンミリング法等により白金薄膜16を使用条件に合った任意の抵抗値を有する白金薄膜抵抗体パターン16aを形成し白金薄膜抵抗体パターン16aの接続端子部以外を必要に応じてガラス等で保護し、アルミナ平板基板14上に多量に形成された各白金薄膜抵抗体パターン16aごとに切断分離して断熱効果の大きいガラス等の支持部材17上に形成した配線に共晶圧接接合およびはんだ接合等により切断分離したアルミナ基板14を接合して支持するとともに支持部材17の他端部の配線に駆動用回路からのリード線18をパラレルギャップ接続,はんだ接続および金属ペースト接続およびワイヤーボンディング等により接続して白金薄膜抵抗体素子を構成する。
【0024】本発明の一実施例の空気流量センサとして電解めっき法による白金薄膜16を用いた白金薄膜抵抗体素子を使用する場合は発熱用の発熱抵抗体センサ素子と流体の温度測定に使用する温度センサ素子に使いわけられた一対の抵抗体センサにより空気流量センサを構成して、空気流量センサは温度センサ素子による流体温度と発熱抵抗体センサ素子の温度差が常に一定になるようなブリッジ回路が構成され、空気の流量変化により発熱抵抗体センサ素子が流体に放熱した熱量に相当する熱量をフィードバックして流体温度と空気流量センサ温度差が一定になるようにフィードバックされた熱量に相当する出力検出電圧から流体の質量流量を得る電子回路に接続されている。白金薄膜抵抗体素子と電子回路を用いた空気流量センサの応答速度は空気の流量変化に対して電子回路からフィードバックされた熱量に相当する出力検出電圧の時間変化により決定している。
【0025】
【発明の効果】本発明の白金薄膜抵抗体の製造方法には、次のような実用上極めて有益な利点がある。すなわち、白金薄膜抵抗体の製造方法として電解めっき法による電解めっき時の印加電流密度を制御して形成することで絶縁体の平板基板上に稠密で密着性に優れた白金薄膜を析出し、白金薄膜を熱処理により再結晶化して白金薄膜の結晶粒径を均一にすることで安定した抵抗温度係数の白金薄膜を低コストで得られる。




 

 


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