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発明の名称 撮像管及びその動作方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−96688
公開日 平成6年(1994)4月8日
出願番号 特願平5−151785
出願日 昭和62年(1987)6月17日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 谷岡 健吉 / 設楽 圭一 / 河村 達郎 / 山崎 順一 / ▲昼▼間 栄久 / 竹歳 和久 / 鈴木 四郎 / 山下 孝 / 小杉 美津男 / 池田 喜積 / 愛場 正明 / 平井 忠明 / 高崎 幸男 / 石岡 祥男 / 牧島 達男 / 鮫島 賢二 / 宇田 毅 / 後藤 直宏 / 野中 育光 / 井上 栄典
要約 目的
高感度で低残像、低暗電流でかつ長波長の入射光にも感度を有する撮像管およびその動作方法を提供する。

構成
阻止型接触を有する光導電膜を、入射光を吸収して光キャリアの大部分を発生する光キャリア発生層86と、非晶質半導体から成り、発生した前記光キャリアを増倍する電荷増倍層84とで構成する。また、上記非晶質半導体の内部で電荷増倍が生じる電界領域で動作させる。
特許請求の範囲
【請求項1】透光性基板上に透光性電極と入射光を光電変換するための光導電膜とを形成して成るターゲット部と、このターゲット部を走査するための電子ビームを放出し、加速し、偏向し、集束するための電子ビーム制御部とを有する撮像管であって、上記光導電膜は阻止形接触を有し、かつ前記光導電膜は、入射光を吸収して光キャリアの大部分を発生する光キャリア発生層と、少くとも一部に電荷増倍能力を有する非晶質半導体層から成り発生した前記光キャリアを増倍する電荷増倍層とを有して成ることを特徴とする撮像管。
【請求項2】請求項1記載の撮像管において、前記非晶質半導体層はSeを主体とする非晶質半導体から成ることを特徴とする撮像管。
【請求項3】請求項2記載の撮像管において、前記非晶質半導体層の膜厚は0.5μm以上10μm以下であることを特徴とする撮像管。
【請求項4】請求項2若しくは請求項3記載の撮像管において、前記非晶質半導体層はAs,Geのいずれかまたは両者を含有することを特徴とする撮像管。
【請求項5】請求項2,3若しくは請求項4記載の撮像管において、前記非晶質半導体層はその膜厚方向の少くとも一部の領域にTe,Sb,Cd,Biの中から選ばれた少くとも一者を含有することを特徴とする撮像管。
【請求項6】請求項5記載の撮像管において、前記領域は前記透光性電極から離れて前記非晶質半導体層内に設けられていることを特徴とする撮像管。
【請求項7】請求項5若しくは請求項6記載の撮像管において、前記領域に含有されるTe,Sb,Cd,Biの中から選ばれた少くとも一者の前記非晶質半導体層内における含有量は平均値で0.01重量%以上50重量%以下であることを特徴とする撮像管。
【請求項8】請求項2,3,4,5,6若しくは請求項7記載の撮像管において、前記非晶質半導体層はその膜厚方向の少くとも一部に正孔捕獲準位を形成する物質を含有することを特徴とする撮像管。
【請求項9】請求項8記載の撮像管において、前記正孔捕獲準位を形成する物質はLi,Na,K,Mg,Ca,Ba,Tl及びそれらのフッ化物、及びAl,Cr,Mn,Co,Pb,Ceのフッ化物から成る群から選ばれる少くとも一者であることを特徴とする撮像管。
【請求項10】請求項8若しくは請求項9記載の撮像管において、前記正孔捕獲準位を形成する物質は前記非晶質半導体層の光入射側の一部分に含有せしめたことを特徴とする撮像管。
【請求項11】請求項8,9若しくは請求項10記載の撮像管において、前記正孔捕獲準位を形成する物質の前記非晶質半導体層内における局所的な濃度は20重量ppm以上10重量%以下であることを特徴とする撮像管。
【請求項12】請求項2乃至請求項11のいずれかに記載の撮像管において、前記非晶質半導体層はその膜厚方向の少くとも一部に電子捕獲準位を形成する物質を含有することを特徴とする撮像管。
【請求項13】請求項12記載の撮像管において、前記電子捕獲準位を形成する物質は酸化銅,酸化インジウム,酸化セレン,酸化バナジウム,酸化モリブデン,酸化タングステン,フッ化ガリウム,フッ化インジウム,Zn,Ga,In,Cl,I及びBrから成る群から選ばれた少くとも一者であることを特徴とする撮像管。
【請求項14】請求項12若しくは請求項13記載の撮像管において、前記電子捕獲準位を形成する物質は前記非晶質半導体層の電子ビーム走査側近傍の一部分に含有せしめたことを特徴とする撮像管。
【請求項15】請求項12,13若しくは請求項14記載の撮像管において、前記電子捕獲準位を形成する物質の前記非晶質半導体層内における局所的な濃度は20重量ppm以上10重量%以下であることを特徴とする撮像管。
【請求項16】請求項1記載の撮像管において、前記光キャリア発生層は前記電荷増倍層に対して前記光導電膜の光入射側に設けられていることを特徴とする撮像管。
【請求項17】請求項1若しくは請求項16記載の撮像管において、前記光導電膜は前記光キャリア発生層と前記電荷増倍層との間に両者とバンド・ギャップ若しくは空間電界強度の異なる中間層を有することを特徴とする撮像管。
【請求項18】請求項17記載の撮像管において、前記中間層はSeを主体とする非晶質体に第1の他の物質を含有する材料を有することを特徴とする撮像管。
【請求項19】請求項18記載の撮像管において、前記第1の他の物質はビスマス,カドミウム,およびこれらのカルコゲン化物,テルル,スズ,ヒ素,ゲルマニウム,アンチモン,インジウム,ガリウム,およびこれらのカルコゲン化物,硫黄,塩素,ヨウ素,臭素,酸化銅,酸化インジウム,酸化セレン,五酸化バナジウム,酸化モリブデン,酸化タングステン,フッ化ガリウムおよびフッ化インジウムのうち少くとも一者であることを特徴とする撮像管。
【請求項20】請求項17記載の撮像管において、前記中間層はSiを主体とする非晶質体に第2の他の物質を含有する材料を少くとも含むことを特徴とする撮像管。
【請求項21】請求項20記載の撮像管において、前記第2の他の物質はゲルマニウム,炭素,窒素及びスズよりなる第1群元素、又は、III族及びV族元素よりなる第2群元素のうち少くとも一者であることを特徴とする撮像管。
【請求項22】請求項1乃至請求項21のいずれかに記載の撮像管において、前記光キャリア発生層はZn,Cd,Hg及びPbよりなる第3群のうち少くとも一つの元素と、O,S,Se及びTeよりなる第4群のうち少くとも一つの元素とを組み合せた第1の材料を主体とすることを特徴とする撮像管。
【請求項23】請求項22記載の撮像管において、前記第1の材料はZnS,CdS,ZnSe,CdSe,ZnTe,CdTe,HgCdTe,PbO及びPbSのうち少くとも一者であることを特徴とする撮像管。
【請求項24】請求項1乃至請求項21のいずれかに記載の撮像管において、前記光キャリア発生層はハロゲンまたは水素を含有するテトラヘドラル系非晶質材料を主体とすることを特徴とする撮像管。
【請求項25】請求項24記載の撮像管において、前記ハロゲンはフッ素,塩素のうち少くとも一者であることを特徴とする撮像管。
【請求項26】請求項1乃至請求項21のいずれかに記載の撮像管において、前記光キャリア発生層は非晶質Siを主体とする材料から成ることを特徴とする撮像管。
【請求項27】入射光を吸収して光キャリアの大部分を発生する光キャリア発生層と発生した前記光キャリアを増倍する電荷増倍層とを有する光導電膜を有し、かつ阻止形構造のターゲット部をもつ撮像管の動作方法であって、上記電荷増倍層は電荷増倍能力を有する非晶質半導体層からなり、上記光導電膜を上記非晶質半導体層の内部で上記電荷増倍能力を発揮する電界領域で動作させることを特徴とする撮像管の動作方法。
【請求項28】請求項27記載の撮像管の動作方法において、前記非晶質半導体層はSeを主体とする材料から成り、かつ前記電界領域は5×107V/mから2×108V/mの範囲であることを特徴とする撮像管の動作方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は撮像管及びその動作方法に係り、特に良好な光応答特性を保持した状態で感度を大幅に高めた阻止型接触を有する光導電膜よりなる撮像管及びその動作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】既に知られているように、光導電形撮像管に用いられるターゲットには、信号電極側および電子ビーム走査側からの電荷の注入を阻止した構造の、いわゆる阻止型ターゲット(例えば特許第902189号)と、信号電極側と電子ビーム走査側の双方、あるいはそれらの一方から電荷が注入される構造の、いわゆる注入型ターゲットがある。このうち阻止型ターゲットは残像が小さくできるという特徴を持っているが、光導電膜での増幅作用がないためこれまでに利得が1より大の高い感度を有するものは得られていない。
【0003】一方、注入型ターゲットでは、原理的に入射光子数以上の電子を外部回路に取りだすことができるので、利得が1より大の高感度化の可能性があり、すでにnp構造の単結晶半導体ターゲット板を用いた高感度撮像管(特許第571503号)や、光導電層のビーム走査側に、走査電子の注入および走査電子と正孔の再結合が行われる電子注入再結合層を設けた高感度撮像管ターゲット(特願昭60−140288号)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、光導電型撮像管ターゲットの感度を利得を1より大に増加せしめた上記従来技術はいずれも走査電子の一部を撮像管ターゲットに注入させる方式であるため、原理上ターゲットの実効蓄積容量が増加し、残像が大きくなる問題があった。
【0005】また、前記特許第571503号明細書に記載されている「半導体ターゲット板」を有する撮像管では、p型単結晶半導体層に到達した走査電子がn型単結晶半導体層を通り信号電極に達する平均走行時間をTt,p型単結晶半導体層における電子の平均寿命時間をTn,走査電子ビームの1画素走査時間をTeとするとき、Tt<TnTeの条件を要するなどの制約があり、さらにまた、良質の単結晶半導体基板を得ることは困難であることに加え、単結晶基板としてSi単結晶を用いる場合は、基板の比抵抗が低いため、前記特許公報にも記載されているように、np構造をモザイク状に分離せざるを得ず、撮像管の解像度を高めるうえでは好ましくなかった。
【0006】本発明の目的は、これら従来の問題点を除去し、低残像,高解像度で、感度を大幅に高めた撮像管及びその動作方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、阻止型構造を有する光導電性のターゲット部に、電荷増倍機能をもつ非晶質半導体層を用いることにより、達成される。
【0008】また、そのようなターゲット部に上記非晶質半導体層内で電荷増倍作用が生ずる電界を印加して撮像管を動作させることにより、達成される。
【0009】本発明者等は、Seを主体とする非晶質半導体層に強い電界をかけると非晶質半導体層の内部で電荷増倍作用が起こることを発見した。非晶質半導体におけるこのような増倍現象の確認は、本発明者等によって初めてなされた。
【0010】図2は本発明に係る撮像管のターゲット部の原理構成図である。透光性基板21,透光性電極22,非晶質半導体層24,電子注入阻止層25を示した。
【0011】透明電極22と光導電膜24の間に充分な整流性接触が得られない場合には、整流性接触補助層23を介在させて整流性接触の機能を強化するのも有効である。
【0012】非晶質半導体層に強い電界を印加したときに非晶質半導体層内で電荷増倍作用が生じる現象を利用し、さらにこのような動作を有効に発生させるようなターゲット構造とすることにより、残像を増加させることなく利得が1より大の高い感度を有する撮像管を得ることができる。
【0013】特に、前記光導電膜がセレンを主体とする非晶質半導体層により形成される場合には、前記電荷増倍作用が生じる電界領域が少なくとも5×107V/mから2×108V/mの範囲で撮像管に好適な電荷増倍作用を得ることができる。
【0014】図1は、本発明に係る撮像管の原理的構成例を示している。
【0015】撮像管は、透光性基板1,透光性電極2,光導電膜3よりなるターゲット部を用い、電子ビーム6を放出,加速,偏向集束する電極群4,9,10をガラス匡体5に真空封入することにより作成される。
【0016】カソード4から放出された電子は、加速電極9に加えられる電圧により加速され、また偏向集束電極10に加えられる電圧により偏向,集束され、電子ビーム6となって光導電膜3の面を走査する。電子ビームによって走査されている部分では、その電子ビーム,透光性電極2を経由して外部抵抗7,外部電源8と閉回路が形成され、光導電膜3は電子ビーム走査側が負電位となる向きに外部電圧まで充電される。この状態で光11が照射されると、透光性基板1を透過した光が光導電膜3で吸収され光キャリアを生成する。この光キャリアは外部電源8によってきまる光導電膜3内の電界によって分離され、光導電膜3内を走行する。撮像管は通常図示の電界配置で用いられるため、光キャリアのうち正孔は電子ビーム走査側に、電子は透光性電極2側へ走行し、前述のように充電されている光導電膜3両端の電位差が減少する。
【0017】次に電子ビーム6によって走査されたとき、この電位差の減少分を補うように光導電膜3は再び充電され、このとき外部抵抗7に流れる電流が信号として取り出される。
【0018】以上の過程において外部から印加される電界が充分高ければ、光導電膜3内を走行する光キャリアは強く加速され、高エネルギーを得てそのエネルギーにより新たな光キャリア対を生成する。そしてこの光キャリアの数はなだれ的に増加する。従ってこの場合、光キャリア数が増倍されない場合と比較して、同じ強さの光に対しても上記過程による電位差の減少が大きくなり、これに伴い再充電の過程で流れる電流が大きくなる。即ち信号感度が高くなることを意味している。
【0019】ところで、非晶質半導体層に、内部で電荷増倍作用を生ぜしめるほどに強い電界を印加すると、整流性接触即ち正孔注入阻止の機能が不充分となったり、白キズが発生しやすくなったり、あるいは走査ビームからの電子注入阻止機能が不充分となって暗電流が増加し、画質が低下する欠点がある。これらの欠点は、次に述べるように非晶質半導体層内へ特定の物質を添加して非晶質半導体層内の電界配分を制御することにより解決できる。
【0020】先ず、本発明者らは正孔注入阻止機能を高めたり、キズの発生を抑制する目的でSeを主体とする非晶質半導層内の少くとも一部にこの非晶質半導体層中で正孔捕獲準位を形成する物質を含有せしめることが有効であることを見い出した。又、このような非晶質半導体層中で正孔捕獲準位を形成する物質としてはLi,Na,K,Mg,Ca,Ba,Tlおよびそれらのフッ化物、およびAl,Cr,Mn,Co,Pb,Ceのフッ化物からなる群から選ばれた少くとも一者が極めて有効である。このうちフッ化物については、LiF,NaF,MgF2,CaF2,BaF2,AlF3,CrF3,MnF2,CoF2,PbF2,CaF2,TlF,KFのような化学量論的組成をもったものでも良いし、それらからずれた組成比のものでもよい。さらに詳細に調べた結果、このような非晶質半導体層中で正孔捕獲準位を形成する物質は、光導電膜の膜厚方向に対して、必ずしも均一の濃度で分布している必要はなく、濃度変化を持っていてもかまわないし、又その一部分にのみ含有させてもよく、特に光入射側に添加した場合に、電荷増倍機能を損なうことなしに電極界面近傍の電界を緩和することができるので、その効果は顕著であることが明らかとなった。
【0021】大切なことは、阻止型構造であって、光導電膜を形成する非晶質半導体層の少くともその一部にこの非晶質半導体層中で正孔捕獲準位を形成する物質のうち少くとも一者を含有せしめることである。
【0022】図5はSeを主体とする非晶質半導体層の一部にLiFを2000重量ppm含有せしめたターゲットにおけるキズの発生状況をLiFを添加しなかったターゲットの場合と比較して示したものである。図から明らかなように、LiFを非晶質半導体層の少くとも一部に含有せしめることにより、電荷の増倍作用を損なうことなく光導電膜内の電界を制御しキズの発生率を大幅に減少出来ることが明らかである。
【0023】上記非晶質半導体層中で上記正孔捕獲準位を形成する物質の添加効果は、その添加量が少ないと充分でなく、またその添加量が多すぎると上記非晶質半導体層内の電界が変動しやすく焼付を生じるおそれがある。従って、上記添加物質の非晶質半導体層内膜厚方向の局所的濃度は20重量ppm以上10重量%以下であることが望ましい。
【0024】更にまた、Seを主体とする非晶質半導体層に、内部で電荷増倍作用を生ぜしめるほどに強い電界を印加する場合、走査電子ビームに対する阻止機能を高めるために発明者らは非晶質半導体層の少くとも一部分に非晶質半導体層中で電子捕獲準位を形成する物質を含有せしめることが有効であることを見い出した。この方法によれば走査電子ビーム側阻止層の膜厚を増加させて電流を小さくすることができ、走査電子ビームに対する阻止機能を強化する必要が無く、残像が増加して画質を低下させることもない。また、電荷増倍作用を損うことなく良好な暗電流特性を得ることができた。
【0025】このような、非晶質半導体層中で電子捕獲準位を形成する物質としては、酸化銅,酸化インジウム,酸化セレン,酸化バナジウム,酸化モリブデン,酸化タングステン,フッ化ガリウム,フッ化インジウム,Zn,Ga,In,Cl,I、およびBrから成る群から選ばれた少くとも一者が極めて有効であることが明らかとなった。
【0026】ここで酸化物,フッ化物に関しては、CuO,In23,SeO2,V25,MoO3,WO3,GaF3,InF3の様な化学量論的組成を有するものであっても、またそれらからずれた組成比を有するものであってもよい。
【0027】本発明者らはさらに詳細に調べた結果、このような非晶質半導体層中で電子捕獲準位を形成する物質を電子ビーム走査側近傍に添加すると、電荷増倍機能を損うことなしに電子ビーム走査側近傍の電界を緩和することができるので、その効果が顕著であること、添加する物質は光導電層の膜厚方向に対して、必ずしも均一の濃度で分布している必要はなく、濃度変化を持っていてもかまわないことが明らかとなった。Seを主体とする非晶質半導体層の膜厚方向の少くとも一部に添加する前記電子捕獲準位を形成する物質の濃度が少ない場合には、本発明の効果は充分ではなく、また、多すぎる場合は焼付けが生じやすくなるおそれがある。
【0028】従って、前記非晶質半導体層に添加する電子捕獲準位を形成する物質の非晶質半導体層の膜厚方向の局所的な濃度は20重量ppm以上10重量%以下であることが望ましい。
【0029】なお、この添加濃度の値は、添加する物質が複数種類である場合には、その各添加物質の添加量の合計値である。さらにまた上記電子捕獲準位を形成する物質を添加すると同時に少なくとも電子ビーム走査側近傍の一部にAs又はGeの少くとも一者を添加した層を形成すると、その効果が更に高められることが明らかとなった。
【0030】
【表1】

【0031】表1は、本発明を適用しSeを主体とする非晶質半導体層の走査側近傍の一部分に酸化インジウムを2000重量ppm、Asを38.8重量%含有せしめたターゲット部(I)における暗電流特性と本発明を適用しなかったターゲット部(II)の暗電流特性とを比較して示したものである。以下、本発明では非晶質半導体層に添加する物質の濃度はすべて重量比で表わすことにする。表から明らかなように、本発明を適用した場合には、電荷の増倍作用を損なうことなくターゲット部内の電界を制御し暗電流を大幅に減少出来ることが明らかである。
【0032】上述してきた、非晶質半導体層内に正孔捕獲準位を形成する物質を添加する手段と、電子捕獲準位を形成する物質を添加する手段は組み合せて用いることもできる。
【0033】また、図6は、光導電膜に膜厚がそれぞれ異なるSeを主体とする非晶質半導体層を用いた撮像管のターゲット部において、利得1、または10が得られるようなターゲット印加電圧、ならびに該ターゲット電圧印加時の暗電流と膜厚の関係を示す図である。同図から、非晶質半導体層の膜厚が0.5μm以下になると、暗電流が急激に増大することがわかる。したがって、この非晶質半導体層の膜厚は0.5μm以上が望ましい。
【0034】一方、膜厚が厚くなると1より大の利得を得るために必要なターゲット印加電圧が高くなり、画面周辺にさざ波状の模様(以下「さざ波現象」と呼ぶ。)が発生しやすくなる。このように異常現象は印加電圧が700V以上で発生しやすくなるので、実用上、この非晶質半導体層の膜厚は、同図から10μm以下が望ましいことがわかる。
【0035】また、上記非晶質半導体層中で正孔捕獲準位を形成する物質および/または電子捕獲準位を形成する物質を含有せしめてキズの発生率を低減する方法を組合せてもよい。さらにまた、光導電膜は必ずしも非晶質半導体層の単層である必要は無く、電荷増倍機能を有する異なる2種以上の非晶質半導体層を堆積した構成でも良く、また、結晶半導体層と上記非晶質半導体層を堆積した構成でも良い。必要なことは、Seを主体とする非晶質半導体層を少くとも含む光導電膜の内部で電荷の増倍を生じせしめて用いる撮像管において、Seを主体とする非晶質層の全膜厚を0.5μm以上10μm以下とすることである。
【0036】ところで、非晶質半導体層としてSeを主体とする非晶質半導体材料を用いる場合には、入射光を吸収して光キャリア、即ち電子正孔対を発生しうる入射光の長波長側の限界は、非晶質Seのエネルギーギャップで制限される。更に、非晶質Seには、入射光を吸収して発生した電子正孔対の一部が電界により分離して信号電流になるまえに再結合して消滅してしまうという性質がある。この現象は入射光が長波長の場合ほど顕著であり、非晶質Se膜内で電荷増倍作用が生ずるような強電界領域でもこの傾向はまだ残っている。
【0037】これらの問題を解決するには以下に述べる2つの手段が有効であることがわかった。
【0038】先ず第1に本発明者等によれば、Seを主体とする非晶質半導体層の少くとも一部にTe,Sb,Cd,Biのうち少なくとも一者を添加した場合に、前記電荷増倍作用が維持され、長波長光に対しても容易に高感度が得られることが明らかとなった。この時、Seを主体とする非晶質半導体層に添加する元素の濃度は膜厚方向に対して一定である必要はなく、濃度分布を持っていても構わない。図7は、同一動作条件下で得られた長波長光に対する感度とTeの平均添加濃度の関係の一例を示したものである。図から明らかなようにTe添加濃度が増すにつれて長波長光に対する感度が増加しており、Teを添加することで極めて有効であることがわかる。必要なことはTe,Sb,Cd,Biのうち少なくとも一者を添加することである。添加する物質の濃度は撮像管の用途に応じて選択すべきであるが、平均値で0.01重量%以上であることが望ましい。しかし、添加量が多すぎると、阻止型接触部分の電界が強くなって暗電流が増加するため撮像管として良好な特性が得られなくなる。望ましくは添加する物質の濃度の平均値を50重量%以下とすべきである。又、安定な整流特性を得るには、例えば図1に示した光導電膜3がSeを主体とする非晶質半導体層のみから構成される場合には、その光入射側電極界面の部分には上記物質を添加しない方が望ましい。
【0039】前述の問題を解決するための第2の手段として、非晶質半導体層自体に電荷発生と電荷増倍の両方の機能を持たせるのではなく、新たに非晶質半導体層と異なる光キャリア発生層を非晶質半導体層に隣接して光導電膜内に設ける手段がある。この光キャリア発生層で入射光を吸収させて光キャリアの大部分を発生せしめ、これを非晶質半導体層に導いて非晶質半導体層内で増倍させれば、非晶質半導体層内での自由電子と自由正孔の直接的な再結合による消滅は極めて少いので上記の非晶質半導体層内部での光キャリア再結合による効率低下の問題を解決できる。この手段によれば、光キャリア発生層の材料を目的に応じて選択することにより、撮像管の用途にかなった分光感度特性を設定することができる。
【0040】例えば非晶質Seは真空蒸着法により任意の光キャリア発生層の上に均質の薄膜形成が容易に出来るので、電荷増倍層に非晶質Seを用いた光導電膜を有するものは撮像管のターゲット部として極めて有効である。
【0041】このとき、光キャリア発生層を非晶質Se電荷増倍層よりも透明電極側の位置に設けると、非晶質Se内に流入する電荷はほとんど正孔になるので、光生成される電子の走行に基づく雑音成分を考慮する必要がなくなり、低雑音増幅を行ううえでさらに好都合である。
【0042】図8は本発明に係る撮像管を実施する場合のターゲット部を示す原理構成図である。透光性基板81,透光性電極82,光を吸収して電荷を生ずる光キャリア発生層86,電荷増倍層として働く非晶質半導体層84,電子注入阻止層85を示してある。透光性電極82と光キャリア発生層86との界面に、透光性電極82から光キャリア発生層86への正孔注入を阻止するための充分な整流性接触が得られない場合には、整流性接触補助層83を介在させて整流性接触の機能を強化することも有効である。
【0043】光キャリア発生層を構成する材料は、光吸収係数が大で、かつ光電変換効率の大きなものであることはいうまでもないが、必ずしも非晶質材料である必要はなく、結晶性材料でもかまわない。具体的には、たとえばカルコゲナイド系非晶質半導体,テトラヘドラル系非晶質半導体,III−V族化合物半導体,II−VI族化合物半導体もしくはそれらの化合物などを用い得る。この場合、高電界下で透光性電極から光キャリア発生層への正孔の流入は阻止されているが、光キャリア発生層から非晶質半導体層への正孔の流入は容易でなければならないことが重要である。
【0044】光キャリア発生層から電荷増倍層へのキャリアの走行がスムースに行われない場合には、光キャリア発生層と電荷増倍層との間に光キャリア発生層とは組成の異なる化合物材料からなる中間層を挿入してキャリア走行性を向上させることも有効である。この中間層として例えばSeを主体とする非晶質半導体層にビスマス,カドミウムまたはそれらのカルコゲン化物,テルル,スズ等のバンド・ギャップを変化させる物質や、ヒ素,ゲルマニウム,アンチモン,インジウム,ガリウムまたはそれらのカルコゲン化物,硫黄,塩素,ヨウ素,臭素,酸化銅,酸化インジウム,酸化セレン,酸化バナジウム,酸化モリブデン,酸化タングステン,フッ化ガリウム,フッ化インジウム等の負の空間電荷を形成する物質を添加して光導電膜内の電界強度の分布を変化させる層を用いるのが効果的である。
【0045】いずれにせよ上記中間層の目的は、高電界下で電荷増倍層から光キャリア発生層への電子の流入および光キャリア発生層から非晶質半導体層への正孔の流入を容易ならしめるためのものであって、中間層を形成する材料は必ずしも上記の元素,添加物に限られるものではない。
【0046】図9は本発明に係る撮像管を実施する場合のターゲット部の原理的構成図である。透光性基板91、透光性電極92、光を吸収して電荷を生ずる光キャリア発生層96、電荷増倍層として働く非晶質半導体層94、電子注入阻止層95が図示してあり、透光性電極92と光キャリア発生層96との界面に、透光性電極92から光キャリア発生層96への正孔注入を阻止するための充分な整流性接触が得られない場合には、整流性接触補助層93を介在させて整流性接触の機能を強化することが有効であることは、図8の説明で述べたのと同様である。図9では上記した中間層97の位置を原理的に示している。
【0047】この中間層に関し、膜中の電界強度を変化させる目的では、テトラヘドラル系材料からなる非晶質半導体層へIII族,V族などの伝導型を変調できる物質を微量添加することも有効であった。
【0048】本発明者らは、光キャリア発生層について更に検討を加え、以下に示す二者が好適であることを見い出した。
【0049】第一に、Zn,Cd,HgおよびPbよりなる第1の群のうちの少なくとも一つの元素と、O,S,SeおよびTeよりなる第2の群のうちの少なくとも一つの元素とを組み合わせたものをキャリア発生層の主体的な材料とすれば、このキャリア発生層により高い光電変換効率が得られる。そして、元素の組合せや組成比率によって光学的バンドギャップ幅を調節でき、分光感度の制御ができるので、前記の光キャリア発生層の材料として極めて優れている。
【0050】この光キャリア発生層の材料としては、例えば、ZnS,CdS,ZnSe,CdSe,ZnTe,CdTe,HgCdTe,PbOおよびPbSの少なくとも一つを主体とする材料が好ましい。
【0051】また、例えば光キャリア発生層にCdSeや、CdS,ZnCdTe,CdTeなどを使用したターゲットは可視光および近赤外光領域での撮像に適しており、PbSやHgCdTeなどを用いたものは赤外線撮像用に適している。また光キャリア発生層にPbOなどを使用したターゲットはX線イメージ用に適している。
【0052】本発明に係る光キャリア発生層は、下地基板を加熱した状態での真空蒸着や、アルゴンなどの不活性ガスや成分元素を含む反応ガスの存在下でのスパッタリングなどにより形成が可能である。また、光キャリア発生層を形成した後に、O2,S,Se,Teなどのガス雰囲気中で加熱処理を行うこともできる。
【0053】更に、本発明者が検討を加えた結果、光導電膜のうち入射光を吸収して光キャリアの大部分を生成する層を、非晶質テトラヘドラル系材料を主体としF,H,Cl、のうち少なくとも一者を含有する非晶質半導体で置き換え、電荷増倍層と組合せることにより、上記の非晶質半導体層内部での光キャリア再結合による効率低下の問題を改善した極めて高い感度を有する撮像管を実現できることを見出した。
【0054】入射光の大部分は、非晶質テトラヘドラル系材料からなる光キャリア発生層内部で吸収されて電子正孔対を発生する。フッ素、塩素などのハロゲンまたは水素を含む非晶質テトラヘドラル系材料は内部欠陥が極めて低く抑えられるので高い光電変換効率が得られ、しかも膜形成条件やハロゲンまたは水素含有量、複数のテトラヘドラル系材料との混晶化などによって光学的バンドギャップ幅を調節できるので、薄い膜厚で効率良く信号光を吸収させることができる。なかでも、水素をふくむ非晶質シリコンは可視領域の光に対する吸収率が高く、さらに、非晶質Seと異なり、層内で吸収されたフォトンはほとんどすべて自由電子と自由正孔に分離されるので、上記の光キャリア発生層の材料として極めて優れている。
【0055】この場合、光キャリア発生層は、テトラヘドラル系材料の、フッ素、塩素などのハロゲンまたは水素を含む雰囲気中での反応性スパッタリングや、テトラヘドラル系元素の水素化物、フッ化物、塩化物を含むガスの分解などによって形成出来る。たとえば、水素を含む非晶質シリコンは、堆積下地基板を100〜300℃に保持し、不活性ガスと水素の混合雰囲気中でシリコンを反応性スパッタリングする方法や、モノシラン、ジシランなどのシリコンを含有するガスを、プラズマ放電、光、電磁界あるいは熱などのエネルギーを与えて分解する方法などにより形成できる。
【0056】さらに、シリコンとゲルマニウム、あるいはシリコンと炭素の混合物をスパッタリングしたり、モノシランと同時にゲルマニウムを含むゲルマンや炭素を含むメタン、アセチレンなどを混合導入して分解させることにより、エネルギーギャップが非晶質シリコンより狭い非晶質シリコンゲルマニウム化合物や、エネルギーギャップが非晶質シリコンより広い非晶質シリコン炭素化合物を得ることも出来、撮像管の分光感度特性を調整することが出来る。
【0057】このとき、非晶質シリコン層と非晶質半導体層の間に、エネルギーバンド構造あるいは電界強度を変化させた中間層を介在させて、非晶質シリコン層から非晶質半導体層への光キャリアの受渡しをより円滑にすることで、本発明は一層効果を発揮することは前述の場合と同様であった。
【0058】この中間層として、前述したSeを主体とする非晶質半導体層に特定の物質を添加した層、あるいは、非晶質テトラヘドラル系材料へIII族、V族などの伝導型を変調できる物質、ゲルマニウム、炭素、窒素、スズなどを混合させてバンド・ギャップ、空間電荷を制御する層あるいはそれらを組み合せたものを用いることも効果的であった。
【0059】以上本発明に係る撮像管を種々の改良発明の態様と共に説明してきたが、以上の態様をそれぞれ組み合せて撮像管を実施することができることはもちろんであり、更にそのような撮像管を本発明に係る撮像管の動作方法により動作し得ることはいうまでもない。
【0060】ここで図10に、本発明に係る撮像管を用いた白黒カメラの構成例を示す。図に示されるようにカメラは光学像を形成するための光学系101、電子ビームの偏向、集束用コイルと撮像管を含むコイルアセンブリ102、それから得られる映像信号電流を増幅し、所定の規格の映像信号にして処理するための回路部分103、同期信号を発生し、また電子ビームを偏向させるための偏向増幅回路を含む回路部分104及び電源部105よりなる。
【0061】3管式カラーカメラの場合には、周知のように図10の構成がR、G、B、3色に対応する3系統の並列となり、更に色信号を処理する回路部分がそれに付加される。本発明に係る撮像管は、例えば図10に示される基本的構成を有するカメラに適用されることにより、高精細度テレビ映像を実現することができるだけではなく、幅広い映像ニューメディアを開拓し得るものである。
【0062】
【作用】図3により本発明に係る撮像管の非晶質半導体層における電荷増倍作用を説明する。図3は、透光性ガラス基板上に、順次、透光性N型電極、非晶質Se層、Sb23層を堆積した撮像管のターゲット部における出力信号電流とターゲット電圧との関係を示した図である。同図は透光性N型電極がSb23層に対して正電位になるように電圧を印加した状態で、透光性ガラス基板側から光を照射した場合の光信号電流と印加電圧の関係を示したものであり、ターゲット電圧は電界強度で示してある。
【0063】透光性N型電極と非晶質Se層の界面には正孔の注入を阻止する向きの整流作用があり、また、Sb23層は走査電子が非晶質Se層に流入するのを防止する作用があるので、本撮像管ターゲットは、いわゆる阻止型ターゲットとして動作する。同図から明らかなように、信号電流と印加電圧の関係はA、B、Cの3つの領域からなっている。
【0064】図3の動作領域Cが本発明に係る撮像管の有する動作領域である。動作領域Cの説明に先立ち、他の動作領域AおよびBについて説明する。
【0065】まず図3の領域Aの動作を説明する。例えば図2の透光性基板21、透光性電極22及び整流性接触補助層23を透過した入射光子は非晶質半導体層24で電子正孔対を発生させる。ターゲット電界を零から増加させてゆくと、発生した電子正孔対の一部は分離され、電子は透光性電極22に向い、正孔は電子注入阻止層25に到達し走査電子ビームによって読み取られる。このため信号電流はターゲット電界が強くなるに従って増加する。以上が図3の領域Aの動作である。領域Aの動作では、非晶質半導体層24に発生する電子正孔対の数が入射光子数以上になることはなく、また、非晶質半導体層24の電界は充分に強くなく電子正孔の再結合が活発に行われる状態であるため、ターゲットの利得は1以下である。当然この場合はターゲット内での増幅作用はない。
【0066】続いて図3の領域Bの動作について説明する。
【0067】ターゲット部の電界が、入射光子により発生した電子正孔対のほとんどを分離し、それぞれを再結合させることなく透光性電極22および電子注入阻止層25に向けて走らせるに必要な強さになると、信号電流は飽和する傾向を示しはじめ、それ以上に電界を強くしても信号電流の大きな増加は得られなくなる。以上が図3の領域Bの動作である。領域Bの動作では、前述の領域Aの動作に比べ再結合は減るが、非晶質半導体層24に発生する電子正孔対の数が入射光子数以上になることはないためターゲットの利得は最大時でも1である。すなわち領域Bの場合もターゲットでの増幅作用はない。前述の(従来の技術)の項で述べた阻止型ターゲットはここに述べた領域Bの範囲で動作させている。
【0068】次に本発明に係る撮像管の有する動作領域である図3の領域Cについて説明する。本発明者らは前述の領域Bからさらにターゲット電界を強めてゆくと、図2の非晶質半導体層24の中で電荷増倍作用を生じ、信号電流が急激に増加して利得が1以上になる効果を得ることができることを見い出した。本発明では上術の領域Cで生じる電荷増倍の効果を利用した撮像管のターゲット部に用いる光導電膜の高感度化を図るものである。
【0069】図3の領域Cの動作電界で発生する電荷増倍作用の物理的解釈はまだ充分解明されていない。しかし図4に示す本実施例のターゲット電界と暗電流及び残像の関係では、領域Bに比べ利得が1以上となる本発明の領域Cでの残像増加は全く認められず、また領域Cの中でも極端に利得が高くなる電界領域を除いては暗電流の増加が少ないことから、本発明に係る撮像管における電荷増倍作用は、前述の従来の技術の項で述べた電荷注入による増幅作用でないことは明らかであり、非晶質半導体を使用した阻止形ターゲットに強い電界を印加した時に生じる従来知られていなかった増幅作用である。
【0070】図2に示す構造の撮像管ターゲットに〔課題を解決するための手段〕の項で述べたような向きに領域Cに相当する電界を印加する。この状態で撮像管ターゲットのガラス基板側から光を照射すると、入射光の大部分は非晶質半導体層の主として透光性電極側で吸収されて電子正孔対を発生する。このうち電子は透光性電極側へ流れるが、正孔は非晶質半導体層内を電子注入阻止層へむけて走行する。従って、正孔が非晶質半導体層内を高電界下で走行する際に電荷増倍作用を起こさせ、所望の特性を得るほどに非晶質半導体層を厚くしておけば電荷の増倍がおこり、阻止形ターゲットの低残像性を維持したままで利得が1より大の高感度を得ることができる。
【0071】このような高電界印加時の電荷増倍作用は、結晶半導体ではアバランシェ増幅現象としてすでに知られているが、結晶半導体ではマイクロプラズマの発生があり、また暗電流が10-9A/mm2と大きく、素子の断面積が大きい場合は暗電流を低く抑えられない等の問題からこれまで撮像管などの2次元光電変換デバイスとして実用化された例は無い。一方、一般に非晶質半導体では内部欠陥が多いためこのような現象は起らないと考えられており、事実これまでに非晶質半導体における増幅現象の開示例はなかった。しかしながら、本発明者等の詳しい検討の結果、非晶質半導体においては電荷増倍作用が存在し、しかも、大面積でありながら暗電流が結晶半導体の100分の一以下であることを発見した。
【0072】さらに、発明者等が詳しく調べたところでは、非晶質半導体中での電荷増倍作用は正孔に対しては非常に顕著であるのに対して、電子に対しては僅かであることがわかった。通常の光導電型撮像管は光導電膜中を正孔が走行する動作方式のデバイスである。従って、非晶質半導体における上記現象を光導電型撮像管に利用すれば、低雑音で、かつ効率良く電荷の増幅を行うことができる。さらに、非晶質半導体は均質かつ大面積の薄膜形成が容易であり、簡単なプロセスで撮像管のターゲット部形成が可能であるなど、非晶質半導体材料を用いた本発明に係る撮像管及びその動作方法は極めて有効である。
【0073】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳しく説明する。本発明に係る撮像管は図1に示す如く構成される。
【0074】(実施例1)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上に非晶質Seを0.1〜6μmの厚さに真空蒸着して非晶質半導体層とする。非晶質Seの上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止形構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0075】(実施例2)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上にSeとAs、またはSeとGeからなる膜厚0.1〜6μmの非晶質半導体層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしては、SeとAs2Se3、またはSeとGeをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて基板に蒸着し、AsまたはGeの濃度が平均2重量%となるようにする。その上に電子注入阻止層としてSb23を1×10-1Torrの不活性ガス雰囲気で800Åの厚さに蒸着し、阻止形構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0076】(実施例3)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、その上に、SeとAsとGeからなる膜厚0.5〜6μmの非晶質半導体層を形成する。膜形成にさいしては、Se、As2Se3、GeSeをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて基板に蒸着し、AsとGeの総量が平均3重量%となるようにする。さらにその上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で800Åの厚さに蒸着し、阻止形構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0077】上記実施例1、2および3により得た撮像管のターゲット部を電子銃を内蔵した撮像管匡体に組み込み、光導電型撮像管を得る。得られた撮像管を8×107V/m以上のターゲット電界で動作させると非晶質半導体層内で信号増幅が起こり、例えば1.2×108V/mのとき利得約10の出力が得られる。
【0078】また、前記実施例1,2および3において、透光性電極と非晶質半導体層の間に整流性接触補助層として例えば膜厚300Åの酸化セリウムの真空蒸着膜を介在せしむることもできる。この場合、透光性電極からの正孔注入阻止機能が向上するのでより高い電界での動作ができ、電荷増倍率10以上の感度が得られる。
【0079】(実施例4)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上に蒸発法により非晶質Se層を1〜3μmの厚さに形成して非晶質半導体層とする。この上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止形構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0080】(実施例5)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上にCeO2を0.03μmの厚さに蒸着する。その上に膜厚0.5〜2μmの厚さの非晶質Se層を真空蒸着法で形成して非晶質半導体層とする。その上に電子注入阻止層としてSb23を1×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止形構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0081】(実施例6)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成する。この透光性電極の上に順次GeO2を0.015μm、CeO2を0.015μmの厚さに蒸着する。その上に真空蒸着法により0.02〜0.06μmの厚さの非晶質Se層も形成する。次にSeとLiFをそれぞれ別々のボートから蒸発させ0.02〜0.06μmの厚さの非晶質層を形成する。この時、LiFの濃度は4000重量ppmとし膜厚方向に一定に分布させる。その上に非晶質Se層を真空蒸着法により形成し全体の膜厚1〜8μmとする。非晶質Se層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止形構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0082】(実施例7)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、その上にCeO2を0.03μmの厚さに蒸着する。さらにその上にSe、AsとLiFからなる膜厚0.02〜0.04μmの非晶質半導体層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしては、Se、As2Se3およびLiFをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、Asの濃度が3〜6重量%、LiFの濃度が平均3000〜6000重量ppmとなるようにする。その上にSe,AsとLiFからなる膜厚0.03〜0.045μmの非晶質半導体層を真空蒸着法により形成する。この時のAs濃度は2〜5重量%、LiFの濃度は平均15000重量ppmとする。その上にSeとAsからなる非晶質半導体層を真空蒸着法により形成し全体の膜厚を1〜4μmとする。この時のAs濃度は1〜3重量%とする。その上に電子注入阻止層としてSb23を1×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0083】(実施例8)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、その上に、SeとLiFからなる膜厚0.02〜0.03μmの非晶質半導体層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしては、SeとLiFをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、LiFの濃度が平均2000重量ppmとなるようにする。その上にSeとLiFからなる膜厚0.03〜0.04μmの非晶質半導体層を真空蒸着法により形成する。この時のLiFの濃度は平均8000〜15000重量ppmとする。さらにSeとTeをそれぞれ別々のボートから蒸発させ膜厚0.02〜0.04μmの非晶質半導体層を形成する。この時、Te濃度は5〜15重量%とする。次にその様な非晶質Se層を真空蒸着法により形成し全体の膜厚が1〜4μmの厚さになるようにする。さらにその上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.08μmの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0084】実施例4、5、6、7および8により得た撮像管のターゲット部を電子銃を内蔵した撮像管匡体に組み込み、光導電型撮像管を得る。得られた撮像管を7×107V/m以上の電界で動作させると非晶質光導電層内で信号増幅が起こり、例えば、膜厚2μmのターゲットの場合に1.2×108V/mのとき利得10以上の出力が得られた。
【0085】(実施例9)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上にSeとTeをそれぞれ別々のボートから1〜2μmの厚さに真空蒸着する。この時Te濃度は0.01重量%とし膜厚方向に一定に分布させる。このSeを主体とした非晶質半導体層の上に電子注入阻止層としてSb232×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止形構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0086】(実施例10)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成する。この透光性電極の上にSeとTeをそれぞれ別々のボートから1〜3μmの厚さに真空蒸着する。この時Te濃度は、蒸着を開始する時点では0重量%とし、蒸着が進むにつれて次第に増加させ、膜全体の平均濃度が0.1重量%となるようにする。この光導電層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止形構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0087】(実施例11)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成する。この透光性電極の上にSeとAs、またはSeとGeからなる膜厚0.01〜1μmの層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしては、SeとAs23、またはSeとGeをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、AsまたはGeの濃度が平均3重量%となるようにする。次に、SeとTeまたはSb、及びAsまたはGeとからなる膜厚0.01〜0.06μmの層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしては、Se、TeまたはSb、及びAs2Se3またはGeをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、TeまたはSbの濃度が平均10〜15重量%、AsまたはGeの濃度が平均2重量%となるようにする。さらにSeとAs、またはSeとGeからなる層を真空蒸着法により形成し全体の膜厚を2〜3μmとする。膜形成にさいしては、SeとAs2Se3、またはSeとGeをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、AsまたはGeの濃度が平均2重量%となるようにする。その上に電子注入阻止層としてSb23を1×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.08μmの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0088】(実施例12)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、その上にSeとAsとGeからなる膜厚0.5〜1μmの層を形成する。膜形成にさいしては、Se、As2Se3,Geをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、AsとGeの総濃度が平均3重量%となるようにする。これを第1層とする。次に、第1層の上に第2層としてSe、AsとTe、Sb、Cd、Biのうち少くとも一者とからなる膜厚0.01〜0.06μmの層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしては、Se、As2Se3及びTe、Sb、Cd、Biのうち少くとも一者をそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着する。第2層内のTe、Sb、Cd、Biの濃度は膜厚方向で変化させる。第2層の蒸着開始時点での濃度は0重量%とし、蒸着が進むにつれて次第に増加させ、第2層蒸着の中間時点での濃度が極大値となるようにする。その後濃度を次第に減少させ、第2層の蒸着終了時点では、濃度が再度0重量%となるようにする。この時第2層内のAs濃度は平均2重量%とし、Te、Sb、Cd、Biの一者又は複数の総濃度が第2層内の平均で15〜45重量%となるようにする。以上で第2層の蒸着を終わる。第2層の上に第3層としてSeとAs、またはSeとGeからなる層を真空蒸着法により形成し全体の膜厚を2〜3μmとする。膜形成にさいしては、SeとAs2Se3またはGeをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、AsまたはGeの濃度が平均2重量%となるようにする。さらにその上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.08μmの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0089】上記実施例9、10、11、12により得た撮像管のターゲット部を電子銃を内蔵した撮像管匡体に組み込み、光導電型撮像管を得る。得られた撮像管を8×107V/m以上のターゲット電界で動作させると非晶質半導体層内で信号増幅が起こり、例えば1.2×108V/mのとき量子効率10以上の出力が得られる。
【0090】また、上記実施例9、10、11、12において、透光性電極と非晶質半導体層の間に整流性接触補助層として例えば膜厚0.03μmの酸化セリウムの真空蒸着膜を介在せしむることもできる。この場合、透光性電極からの正孔注入阻止機能が向上するので、より高い電界での動作ができ、さらに高感度が実現できる。
【0091】(実施例13)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上にSeとLiFをそれぞれ別々のボートから蒸発させ1〜6μmの厚さに真空蒸着する。この時、LiFの濃度は500重量ppmとし膜厚方向に一定に分布させる。この上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止形構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0092】(実施例14)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上にSeとCaF2からなる膜厚0.01〜0.045μmの層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしてはSeとCaF2をそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて基板に蒸着し、CaF2の濃度が平均3000重量ppmとなるようにする。その上にSeを蒸着し全体の膜厚を1〜6μmとする。その上に電子注入阻止層としてSb23を1×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0093】(実施例15)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成する。この透光性電極の上にSeを0.02〜0.06μmの厚さに蒸着する。次にSeとKFをそれぞれ別々のボートから蒸発させ0.02〜0.06μmの厚さに真空蒸着するる。この時、KFの濃度は500重量ppmとし膜厚方向に一定に分布させる。その上にSe層を真空蒸着法により形成し全体の膜厚を1〜3μmとする。Se層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0094】(実施例16)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上にSe、AsとLiFからなる膜厚0.01〜0.045μmの層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしては、Se,As2Se3およびLiFをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、Asの濃度が3〜6重量%、LiFの濃度が平均2000〜6000重量ppmとなるようにする。その上にSe、AsとLiFからなる膜厚0.03〜0.045μmの層を真空蒸着法により形成する。この時のAs濃度は2〜3.5重量%、LiFの濃度は平均10000重量ppmとする。その上にSeとAsを真空中で蒸着し全体の膜厚を1〜4μmとする。この時のAs濃度は1〜3重量%とする。その上に電子注入阻止層としてSb23を1×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0095】(実施例17)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、その上に、SeとLiFからなる膜厚0.01〜0.015μmの層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしては、SeとLiFをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、LiFの濃度が平均3000重量ppmとなるようにする。その上にSeとLiFからなる膜厚0.03〜0.045μmの層を真空蒸着法により形成する。この時のLiFの濃度は平均8000〜15000重量ppmとする。さらにSeとTeをそれぞれ別々のボートから蒸発させ膜厚0.02〜0.05μmの層を形成する。この時、Te濃度は5〜15重量%とする。次にSeを蒸着し全体の膜厚が1〜4μmの厚さになるようにする。さらにその上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.08μmの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0096】上記実施例13、14、15、16、17により得た撮像管ターゲット部を電子銃を内蔵した撮像管匡体に組み込み、光導電型撮像管を得る。得られた撮像管を8×107V/m以上の電界で動作させると非晶質光導体層内で信号増幅が起こり、例えば1.2×108V/mのとき量子効率10以上の出力が得られた。また、実施例13、14、15、16、17において、透光性電極と非晶質半導体層の間に整流性接触補助層として例えば膜厚0.03μmの酸化セリウムの真空蒸着膜を介在せしむることもできる。この場合、透光性電極からの正孔注入阻止機能が更に向上するので、より高い電界での動作ができ、さらに高感度が実現できる。
【0097】(実施例18)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成する。この透光性電極の上に非晶質Se半導体層を真空蒸着法により形成する。
【0098】さらにその上にSeとSeO2をそれぞれ別々のボートから蒸発させ0.02〜0.06μmの厚さに真空蒸着する。この時、SeO2の濃度は2500ppmとし膜厚方向に一定分布させる。この上にSeを0.05〜0.06μmの厚さに蒸着し、上記Seを主体とする非晶質半導体層全体の膜厚は1〜6μmとする。この上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止形構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0099】(実施例19)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成する。この透光性電極の上に非晶質Se半導体層を真空蒸着法により形成する。その上にAs2Se3、GaF3をそれぞれ別々のボートから蒸発させ0.03〜0.06μmの厚さに真空蒸着する。この時、GaF3の濃度は2000ppmとし膜厚方向に一定に分布させる。上記Seを主体とする非晶質半導体層全体の膜厚は1〜6μmとなるようにする。この上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止形構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0100】(実施例20)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成する。この透光性電極の上にSeとCaF2からなる膜厚0.01〜0.05μmの層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしては、SeとCaF2をそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、CaF2の濃度が平均6000ppmとなるようにする。その上に非晶質Se層を真空蒸着法により形成し、次にAs2Se3をボートから蒸発させ0.03〜0.06μmの厚さに真空蒸着する。さらにその上にSeとGaF3をそれぞれ別々のボートから蒸発させ0.02〜0.06μmの厚さに真空蒸着する。この時、GaF3の濃度は4000ppmとし膜厚方向に一定に分布させる。上記Seを主体とする非晶質半導体層全体の膜厚は1〜6μmとする。その上に電子注入阻止層としてSb23を1×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で0.08μmの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0101】(実施例21)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上にSe,AsとLiFからなる順厚0.01〜0.06μmの層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしては、Se,As2Se3およびLiFをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、Asの濃度が3〜6重量%、LiFの濃度が平均3000〜6000ppmとなるようにする。その上にSe,AsとLiFからなる膜厚0.03〜0.05μmの層を真空蒸着法により形成する。この時のAs濃度は2〜3.5重量%、LiFの濃度は平均15000ppmとする。その上にSeとAs2Se3をそれぞれ別々のボートから同時に蒸着させてAs濃度1〜3重量%の非晶質半導体層を形成する。その上にAs2Se3,In23をそれぞれ別々のボートから蒸発させ0.01〜0.1μmの厚さに真空蒸着する。この時、In23の濃度は700ppmとし膜厚方向に一定に分布させる。その上にSeとAs2Se3をそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて0.01〜0.06μm厚さに蒸着する。この時のAs濃度は1〜3重量%とする。上記Seを主体とする非晶質半導体層全体の膜厚は1〜6μmとする。その上に電子注入阻止層としてSb23を1×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で0.08μmの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0102】(実施例22)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、その上に、SeとLiFからなる膜厚0.03〜0.06μmの層を真空蒸着法により形成する。膜形成にさいしては、SeとLiFをそれぞれ別々のボートから同時に蒸発させて蒸着し、LiFの濃度が平均4000ppmとなるようにする。その上にSeとLiFからなる膜厚0.03〜0.05μmの層を真空蒸着法により形成する。この時のLiFの濃度は平均8000〜10000ppmとする。さらにSeとTeをそれぞれ別々のボートから蒸発させ膜厚0.02〜0.06μmの層を形成する。この時、Te濃度は5〜15重量%とする。その上に真空蒸着法により非晶質Se層を形成する。その上にAs2Se3,In23をそれぞれ別々のボートから蒸発させ0.03〜0.09μmの厚さに真空蒸着する。この時、In23の濃度は500ppmとし膜厚方向に一定に分布さる。次にSeとIn23をそれぞれ別々のボートから蒸発させ0.02〜0.2μmの厚さに真空蒸着する。この時、In23の濃度は1000ppmとし膜厚方向に一定に分布させる。上記Seを主体とする非晶質半導体層全体の膜厚は1〜6μmとする。さらにその上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で0.1μmの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0103】実施例18,19,20,21,22により得た撮像管ターゲット部を電子銃を内蔵した撮像管匡体に組み込み、光導電型撮像管を得る。得られた撮像管を8×107V/m以上の電界で動作させると非晶質半導体層内で信号増幅が起こり、例えば1.2×108V/mのとき量子効率10以上の出力が得られた。
【0104】また、実施例18,19,20,21,22において、透光性電極と非晶質半導体層の間に整流性接触補助層として例えば膜厚0.03μmの酸化セリウムの真空蒸膜を介在せしむることもできる。この場合、透光性電極からの正孔注入阻止機能が更に向上するので、より高い電界での動作ができ、電荷増倍率を更に高めることができる。
【0105】(実施例23)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらに透光性電極の上に光キャリア発生層として膜厚0.01〜1μmのカルコゲナイド非晶質半導体またはテトラヘドラル系非晶質半導体、またはIII−V族化合物半導体、または、II−VI族化合物半導体層を形成する。さらにその上に非晶質Seを0.5〜6μmの厚さに真空蒸着する。非晶質Se層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0106】(実施例24)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらにその上に実施例23と同じ光キャリア発生層を設け、さらにその上に非晶質SeとAs,またはSeとGeからなる膜厚0.5〜6μmの非晶質半導体層を真空蒸着する。その上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0107】実施例23および24により得た撮像管のターゲット部を電子銃を内蔵した撮像管匡体に組み込み、光導電型撮像管を得る。得られた撮像管を、8×107〜2×108V/mの電界で動作させると非晶質半導体層内で信号増幅が起こり、例えば1.2×108V/mのとき、入射光がすべて信号電流に変換された場合の10倍の出力が得られた。
【0108】また実施例23および24において、透光性電極と非晶質半導体層の間に整流性接触補助層として例えば膜厚300Åの酸化セリウムの真空蒸着膜などを介在せしむることもできる。この場合、透光性電極からの正孔注入阻止機能が向上するので、より高い電界での動作が出来、電荷増倍率10以上の感度が得られる。
【0109】(実施例25)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらにその上に正孔注入阻止層として水素を含む非晶質シリコン窒化物の薄層を100〜1000Å堆積する。次に、基板を200〜300℃に保持した状態で、モノシランをグロー放電分解することにより、水素を含む非晶質シリコンを0.5〜3μm堆積する。さらに、その上に中間層として、ヒ素を20%含むSeを300Å蒸着し、引き続きヒ素を2%含むSeを0.5〜6μmの厚さに真空蒸着する。非晶質Se層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0110】(実施例26)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、その上に正孔注入阻止層として水素を含む非晶質シリコン窒化物の薄層を100〜1000Å堆積する。次に、基板を200〜300℃に保持した状態で、モノシランとジボランの混合ガスをグロー放電分解することにより、ボロンを5ppmを含む非晶質シリコンを0.5〜3μm堆積する。引き続き、中間層として、テルルを30%含む非晶質Seを200Å、砒素濃度が20%から2%まで順次減少する組成分布を持つ非晶質Seを500Å積層し、さらにそのうえに砒素を2%含むSeを0.5〜6μmの厚さに真空蒸着する。非晶質Se層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0111】実施例25および26により得た撮像管のターゲット部を電子銃を内蔵した撮像管匡体に組み込み、光導電型撮像管を得る。得られた撮像管を、電荷増倍層にかかる電界強度が8×107〜2×108V/mになるように電圧を印加し動作させると非晶質半導体層内で信号増幅が起こり、例えば電荷増倍層にかかる電界強度が1.2×108V/mのとき、利得約10の高感度が得られた。
【0112】(実施例27)透光性基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上に、光キャリア発生層としてCdSeを膜厚0.01〜1μmの厚さに真空蒸着する。このガラス面板を、酸素雰囲気中で200〜400℃の温度で熱処理した後、さらにその上に非晶質Seを0.5〜6μmの厚さに真空蒸着する。非晶質Se層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torrの不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0113】(実施例28)透光性基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらにその上に実施例27と同じ光キャリア発生層を設け、さらにその上に非晶質SeとAs、またはSeとGeからなる膜厚0.5〜6μmの非晶質半導体層を真空蒸着する。その上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0114】(実施例29)透光性基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上に光キャリア発生層としてZnSeを膜厚0.01〜0.1μm、さらにZnCdTe化合物を0.1〜1μmの厚さに真空蒸着する。このガラス面板を、酸素雰囲気中200〜600℃の温度で熱処理した後、さらにその上に非晶質Seを0.5〜6μmの厚さに真空蒸着する。非晶質Se層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0115】(実施例30)信号光透過性基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらに透光性電極の上にPbSとPbOからなる層を膜厚0.01〜1μmの厚さに真空蒸着する。さらにその上に非晶質Seを0.5〜6μmの厚さに真空蒸着する。
【0116】非晶質Se層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0117】(実施例31)信号光透過性基板上に、透光性金属薄膜からなる透光性電極を形成し、さらにこの透光性電極の上に光キャリア発生層としてHgCdTe化合物を膜厚0.01〜0.1μm堆積する。さらにその上に非晶質Seを0.5〜6μmの厚さに真空蒸着する。非晶質Se層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0118】実施例27,28,29,30および31により得た撮像管ターゲット部を電子銃を内蔵した撮像管匡体に組み込み、光導電型撮像管を得る。得られた撮像管を、電荷増倍層にかかる電界が8×107〜2×108V/mとなるように電圧を印加して動作させると非晶質半導体より成る電荷増倍層内で信号増幅が起こり、例えば電荷増倍層にかかる電界が1.2×108V/mのとき、入射光がすべて信号電流に変換された場合の10倍の出力が得られた。
【0119】(実施例32)表面に酸化インジウムを主体とする透光性電極を設けたガラス基板をスパッタリング装置内に設置し、この透光性電極の上に正孔注入阻止層としてSiO2薄膜を100〜1000Å堆積する。つぎに基板を200〜300℃に保持した状態で水素とアルゴンの混合ガスを導入し、電極に設置した多結晶シリコンに高周波電力を印加し、基板上に水素を含む非晶質シリコンを0.5〜3μm堆積する。さらにその上に非晶質Seを0.5〜6μmの厚さに真空蒸着する。非晶質Se層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のタ−ゲット部を得る。
【0120】(実施例33)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、その上に実施例32と同じ非晶質シリコンからなる光キャリア発生層を設け、さらにその上に非晶質SeとAs、またはSeとGeからなる膜厚0.5〜6μmの非晶質半導体層を真空蒸着する。その上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr の不活性ガス雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着し、阻止型構造の光導電型撮像管のターゲット部を得る。
【0121】実施例32及び33により得た撮像管のターゲット部を電子銃を内蔵した撮像管匡体に組み込み、光導電型撮像管を得る。得られた撮像管を、電荷増倍層にかかる電界強度が8×107〜2×108V/mになるように電圧を印加し動作させると非晶質半導体層内で信号増幅が起こり、例えば電荷増倍層にかかる電界強度が1.2×108V/mのとき、利得約10の高感度が得られた。
【0122】(実施例34)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成し、さらに整流性接触補助層としてGeO2を200Å、CeO2を200Åの厚さに3×10-6Torrの真空中で蒸着する。その上に非晶質半導体層としてSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから1μmの厚さに蒸着する。この場合As濃度は重量比で2%とし、膜厚方向に一様に分布させる。非晶質半導体層は2×10-6Torr の真空中で蒸着する。この非晶質半導体層の上に電子注入阻止層としてSb23を3×10-1Torr のアルゴン雰囲気中で800Åの厚さに蒸着する。以上により形成されたターゲット部を組み込んだ撮像管を形成し、その非晶質半導体層を電荷増倍作用を生じる8×107V/m〜2×108V/mの電界で動作させる。
【0123】(実施例35)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成する。この透光性電極の上に整流性接触補助層としてCeO2を300Åの厚さに3×10-6Torr の真空中で蒸着する。その上に非晶質半導体層としてSeを2μm厚さに2×10-6Torr の真空中で蒸着する。この非晶質半導体層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr のアルゴン雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着する。以上により形成されたターゲット部を組み込んだ撮像管を形成し、その非晶質半導体層を電荷増倍作用を生じる8×107V/m〜2×108V/mの電界で動作させる。
【0124】(実施例36)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらに整流性接触補助層としてGeO2を200Å、CeO2を200Åの厚さに蒸着する。この蒸着は2×10-6Torr の真空中で行う。続いて非晶質半導体層を蒸着する。非晶質半導体層はまずSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから300Åの厚さに蒸着する。この場合のAsの濃度は重量比で3%とし膜厚方向に一様に分布させる。次にSe,As2Se3,LiFをそれぞれ別々の蒸着ボートにより600Åの厚さに蒸着する。この時のAs濃度は重量比で2%、LiF濃度は重量比で2000ppmとし膜厚方向に一様に分布させる。さらにその上にSe,As2Se3を別々の蒸着ボートで1.4μmの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で2%とし、膜厚方向に一様に分布させる。以上で非晶質半導体層の蒸着を終る。非晶質半導体層の蒸着は2×10-6Torr の真空中で行う。非晶質半導体層の上に電子注入阻止層を蒸着する。電子注入阻止層は3×10-1Torrのアルゴン雰囲気中でSb23を900Åの厚さに蒸着する。以上により形成されたターゲット部を組み込んだ撮像管を形成し、その非晶質半導体層を電荷増倍作用を生じる7×107V/m〜2×108V/mの電界で動作させる。
【0125】(実施例37)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらに整流性接触補助層としてCeO2を300Åの厚さに3×10-6Torr の真空中で蒸着する。その上に非晶質半導体層として、まずSeとAs2Se3を別々の蒸着ボートにより1.4μmの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で3%とし膜厚方向に一様に分布させる。続いてSe,As2Se3,In23を別々の蒸着ボートから1000Åの厚さに蒸着する。このときのAs濃度は重量比で3%,In23は重量比で500ppmとし膜厚方向に一様に分布させる。以上で非晶質半導体層の蒸着を終る。非晶質半導体層の蒸着は2×10-6Torr の真空中で行う。非晶質半導体層の上に電子注入阻止層としてSb23を3×10-1Torrのアルゴン雰囲気中で900Åの厚さに蒸着する。以上により形成されたターゲット部を組み込んだ撮像管を形成し、その非晶質半導体層を電荷増倍作用を生じる7×107V/m〜2×108V/mの電界で動作させる。
【0126】(実施例38)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成し、さらに整流性接触補助層としてGeO2を200Å,CeO2を200Åの厚さに3×10-6Torrの真空中で蒸着する。その上に非晶質半導体層を蒸着する。非晶質半導体層はまずSeとAs2Se3をそれぞれ別々の蒸着ボートにより300Åの厚さに蒸着する。この時のAs濃度は重量比で6%とし膜厚方向に一様に分布させる。続いてSe,As2Se3,LiFをそれぞれ別々の蒸着ボートにより600Åの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で2%、LiF濃度は重量比で4000ppmとし膜厚方向に一様に分布させる。次にSe,As2Se3をそれぞれ別々の蒸着ボートから1.5μmの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で2%とし膜厚方向に一様に分布させる。その上にSe,As2Se3,In23をそれぞれ別々の蒸着ボートから2000Åの厚さに蒸着する。この時のAs濃度は重量比で3%,In23濃度は重量比で700ppmとし膜厚方向に一様に分布させる。さらにその上にSe,As2Se3をそれぞれ別々の蒸着ボートから2000Åの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で2%とし膜厚方向に一様に分布させる。以上で非晶質半導体層の蒸着を終る。非晶質半導体層の蒸着は3×10-6Torr の真空中で行う。非晶質半導体層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr のアルゴン雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着する。以上により形成されたターゲット部を組み込んだ撮像管を形成し、その非晶質半導体層を電荷増倍作用を生じる7×107V/m〜2×108V/mの電界で動作させる。
【0127】(実施例39)ガラス基板上に、酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらに整流性接触補助層としてCeO2を200Åの厚さに3×10-6Torr の真空中で蒸着する。その上に非晶質半導体層を蒸着する。非晶質半導体層はまずSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから5000Åの厚さに蒸着する。この時のAs濃度は重量比で3%とし膜厚方向に一様に分布させる。続いてSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから300Åの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で20%とし膜厚方向に一様に分布させる。次にSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから5000Åの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で3%とし膜厚方向に一様に分布させる。その上にSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから300Åの厚さに蒸着する。この時のAs濃度は重量比で20%とし膜厚方向に一様に分布させる。さらにその上にSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから5000Åの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で10%とし膜厚方向に一様に分布させる。以上で非晶質半導体層の蒸着を終る。非晶質半導体層の蒸着は3×10-6Torr の真空中で行う。非晶質半導体層の上に電子注入阻止層の蒸着を行う。電子注入阻止層はSb23を3×10-1Torr のアルゴン雰囲気中で900Åの厚さに蒸着する。以上により形成されたターゲット部を組み込んだ撮像管を形成し、その非晶質半導体層を電荷増倍作用を生じる5×107V/m〜2×108V/mの電界で動作させる。
【0128】(実施例40)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成し、さらに整流性接触補助層としてGeO2を150Å,CeO2を150Åの厚さに2×10-6Torrの真空中で蒸着する。その上に非晶質半導体層を蒸着する。非晶質半導体層はまずSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから600Åの厚さに蒸着する。こ時のAs濃度は重量比で3%とし膜厚方向に一様に分布させる。続いてSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから150Åの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で10%とし膜厚方向に一様に分布させる。次にSe,Te,As2Se3,LiFをそれぞれ別々の蒸着ボートにより900Åの厚さに蒸着する。この場合のTe濃度は重量比で15%、As濃度は重量比で2%、LiF濃度は重量比で4000ppmとし膜厚方向に一様に分布させる。その上にSe,As2Se3,In23をそれぞれ別々の蒸着ボートにより150Åの厚さに蒸着する。この時のAs濃度は重量比で25%、In23濃度は重量比で500ppmとし膜厚方向に一様に分布させる。さらにその上にSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから1.8μmの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で2%とし膜厚方向に一様に分布させる。以上で非晶質半導体層の蒸着を終る。非晶質半導体層の蒸着は2×10-6Torr の真空中で行う。次に非晶質半導体層の上に電子注入阻止層を蒸着する。電子注入阻止層はSb23を3×10-1Torr のアルゴン雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着する。以上により形成されたターゲット部を組み込んだ撮像管を形成し、その非晶質半導体層を電荷増倍作用を生じる5×107V/m〜2×108V/mの電界で動作させる。
【0129】(実施例41)ガラス基板上に酸化インジウムを主体とする透光性電極を形成し、さらに整流性接触補助層としてCeO2を200Åの厚さに3×10-6Torr の真空中で蒸着する。その上に非晶質半導体層を蒸着する。非晶質半導体層はまずSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから2000Åの厚さに蒸着する。この時のAs濃度は重量比で3%とし膜厚方向に一様に分布させる。続いてSe,As2Se3,LiFをそれぞれ別々の蒸着ボートから500Åの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で1%、LiF濃度は重量比で2000ppmとし膜厚方向に一様に分布させる。次にSe,As2Se3,Teをそれぞれ別々の蒸着ボートから1μmの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で1%とし膜厚方向に一様に分布させる。またTe濃度は膜厚1μmにわたって一様な勾配で増加させTe蒸着開始時の濃度を重量比で1%、Te蒸着終了時の濃度を重量比で15%とする。続いてSe,As2Se3を別々の蒸着ボートで150Åの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で20%とし膜厚方向に一様に分布させる。その上にSe,As2Se3を別々の蒸着ボートから2500Åの厚さに蒸着する。この時のAs濃度は重量比で2%とし膜厚方向に一様に分布させる。以上で非晶質半導体層の蒸着を終る。非晶質半導体層の蒸着は2×10-6Torr の真空中で行う。非晶質半導体層の上に電子注入阻止層としてSb23を2×10-1Torr のアルゴン雰囲気中で900Åの厚さに蒸着する。以上により形成されたターゲット部を組み込んだ撮像管を形成し、その非晶質半導体層を電荷増倍作用を生じる6×107V/m〜2×108V/mの電界で動作させる。
【0130】(実施例42)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成し、さらに整流性接触補助層としてグロー放電法により水素化非晶質窒化シリコン膜を200Åの膜厚に形成する。グロー放電法により水素化非晶質シリコン膜を2000Åの膜厚に形成する。その上に、Se,As2Se3を別々の蒸着ボートにより150Åの厚さに蒸着する。この場合のAs濃度は重量比で30%とし膜厚方向に一様に分布させる。さらにその上にSe,As2Se3を別々の蒸着ボートにより1.8μmの厚さに蒸着する。この時のAs濃度は重量比で2%とし膜厚方向に一様に分布させる。非晶質半導体層のSe,As2Se3の蒸着は3×10-6Torr の真空中で行う。続いて電子注入阻止層を蒸着する。電子注入阻止層はSb23を3×10-1Torr のアルゴン雰囲気中で1000Åの厚さに蒸着する。以上により形成されたターゲット部を組み込んだ撮像管を形成し、その非晶質半導体層を電荷増倍作用を生じる6×107V/m〜2×108V/mの電界で動作する。
【0131】(実施例43)ガラス基板上に、酸化スズを主体とする透光性電極を形成する。次に非晶質半導体層を蒸着する。非晶質半導体層はまずSeを1000Åの厚さに蒸着する。続いてSe,LiFをそれぞれ別々の蒸着ボートから1000Åの厚さに蒸着する。この時のLiF濃度は重量比で3000ppmとし膜厚方向に一様に分布させる。さらにその上にSeを1.8μmの厚さに蒸着する。以上で非晶質半導体層の蒸着を終る。非晶質半導体層の蒸着は2×10-6Torr の真空中で行う。非晶質半導体層の上に電子注入阻止層を蒸着する。電子注入阻止層は3×10-1Torr のアルゴン雰囲気中でSb23を1000Åの厚さに蒸着する。以上により形成されたターゲット部を組み込んだ撮像管を形成し、その非晶質半導体層を電荷増倍作用を生じる7×107V/m〜2×108V/mの電界で動作させる。
【0132】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明によれば、残像特性を劣化させること無く、利得が1より大の高感度の撮像管及びその動作方法を得ることが出来る。
【0133】なお、本発明は撮像管に関してなされたものであるが、本発明は電子的スイッチ等により信号電荷を読み取る方式を用いた受光素子や光通信の受光素子にも応用できることはいうまでもない。




 

 


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