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発明の名称 弾性表面波装置およびその作製方法およびそれを用いた通信装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−90132
公開日 平成6年(1994)3月29日
出願番号 特願平4−240973
出願日 平成4年(1992)9月9日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】富田 和子
発明者 芝 隆司 / 池田 宏明 / 比企野 治 / 山田 佳弘 / 伊藤 克美
要約 目的
傾斜型(スラント)すだれ状電極を用いた弾性表面波装置の新規な構造を創作し、特性の良い弾性表面波装置を提供する事。

構成
弾性表面波基板と、該基板上に弾性表面波主伝搬軸に垂直な方向においてすだれ状電極の電極ピッチが異なるように配置した傾斜型(スラント)すだれ状電極を少なくとも1以上有して構成される弾性表面波装置において、前記傾斜型すだれ状電極の、弾性表面波主伝搬軸方向における幅の中心点の集合からなる中心線が、前記弾性表面波主伝搬軸に対して垂直でない部分を有する構成とする。
特許請求の範囲
【請求項1】弾性表面波基板と、該基板上に弾性表面波主伝搬軸に垂直な方向においてすだれ状電極の電極ピッチが異なるように配置した傾斜型(スラント)すだれ状電極を少なくとも1以上有して構成される弾性表面波装置において、前記傾斜型すだれ状電極の、弾性表面波主伝搬軸方向における幅の中心点の集合からなる中心線が、前記弾性表面波主伝搬軸に対して垂直でない部分と、垂直な部分を有することを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項2】請求項1記載において、前記傾斜型すだれ状電極を構成する電極指のうち、少なくとも1以上の電極指を曲線上の輪郭を呈するように配置したことを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項3】請求項1記載において、前記弾性表面波基板上に、2つの傾斜型すだれ状電極を配置し、一方を入力電極、他方を出力電極とし、入力電極の中心線と出力電極の中心線における、弾性表面波主伝搬軸方向の両中心線間の距離を考えたとき、電極のピッチが狭いトラックでの中心線間の距離に比べ、電極ピッチが広いトラックでの中心線間の距離が短いことを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項4】請求項1記載において、前記弾性表面波基板上に、2つの傾斜型すだれ状電極を配置し、一方を入力電極、他方を出力電極とし、入力電極の中心線と出力電極の中心線における、弾性表面波主伝搬軸方向の両中心線間の距離を考えたとき、電極のピッチが広いトラックでの中心線間の距離に比べ、電極ピッチが狭いトラックでの中心線間の距離が短いことを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項5】弾性表面波基板と、該基板上に弾性表面波主伝搬軸に垂直な方向においてすだれ状電極の電極ピッチが異なるように配置した傾斜型(スラント)すだれ状電極を少なくとも1個以上有して構成される弾性表面波装置において、前記各々の傾斜型すだれ状電極を1対の電極指グループで構成し、該1対の電極指グループの一方における電圧印加端子を第一の端子とし、さらに他方の電極指グループにおける電圧印加端子を第二の端子として、前記第一の端子と第二の端子の間に、パッシブ回路素子およびアクティブ回路素子のうち少なくともいずれかを接続し、弾性表面波装置を2端子回路として構成したことを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項6】請求項5記載において、傾斜型すだれ状電極を2以上の偶数個設け、2個ずつ1対とし、各対における、一方の傾斜型すだれ状電極における弾性表面波主伝搬軸方向の幅の長い部分と、他方の傾斜型すだれ状極における弾性表面波主伝搬軸方向の幅の短い部分を対向させ、同一トラックに配置したことを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項7】弾性表面波基板と、該基板上に配置した傾斜型すだれ状電極を有して構成する弾性表面波装置において、弾性表面波基板の前記すだれ状電極が配置された面の反対面が、弾性表面波の波長の1/50よりも大きな面粗さで荒らされていることを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項8】弾性表面波基板に傾斜型すだれ状電極を配置し弾性表面波装置を作成する際、傾斜型すだれ状電極が配置された弾性表面波基板面を表面とし、該弾性表面波基板の裏面を、弾性表面波の波長の1/50よりも大きな面粗さとなるように、研磨剤を用いて前記裏面を荒らすことを特徴とする弾性表面波装置の作製方法。
【請求項9】請求項1から8いずれか記載の弾性表面波装置を内蔵し、フィルタとして用いたことを特徴とする通信装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弾性表面波装置およびその作製方法、さらにそれを用いた通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波の主伝搬軸方向に垂直な方向で、すだれ状電極の電極ピッチが異なるように、電極を斜めに配置した傾斜型(スラント)すだれ状電極の代表的な例としては、例えば、米国アイ・イ−・イ−・イ−、1983年ウルトラソニクスシンポジウム、プロシ−ディングス113頁(1983 IEEE Ultrasonics Symposium P.113)、米国アイ・イ−・イ−・イ−、トランザクション、エスユウ31号、46頁(IEEE Trans. SU−31,P.46)等に記載されているものが挙げられる。これら従来の技術は、傾斜型すだれ状電極は、当該電極の弾性表面波主伝搬軸方向における幅の中心点の集合線である中心線(以下、対称軸とも称する)が、上記主伝搬軸に対して垂直であるものが殆どである。このため、弾性表面波装置の群遅延時間特性は平坦なものであった。また、すだれ状電極間の伝達特性を利用したものが殆どであり、弾性表面波装置を1種の2端子電子回路として構成し、使用したものはなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の傾斜型すだれ状電極を利用した弾性表面波装置は、直線位相(すなわち、群遅延時間が一定である)のフィルタ型デバイス(通過特性型)であった。本発明の目的は、上述の場合以外の傾斜型(スラント)すだれ状電極を用いた弾性表面波装置の新規な構造を提案し、所望かつ良好な特性を有する弾性表面波装置を提供する事等にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を課題を解決する手段として、以下に記載する手段が考えられる。弾性表面波基板と、該基板上に弾性表面波主伝搬軸に垂直な方向においてすだれ状電極の電極ピッチが異なるように配置した傾斜型(スラント)すだれ状電極を少なくとも1以上有して構成される弾性表面波装置において、前記傾斜型すだれ状電極の、弾性表面波主伝搬軸方向における幅の中心点の集合からなる中心線が、前記弾性表面波主伝搬軸に対して垂直でない部分と、垂直な部分を有する弾性表面波装置である。また、所望の特性を得るために、前記傾斜型すだれ状電極を構成する電極指のうち、少なくとも1以上の電極指を曲線上の輪郭を呈するように配置した弾性表面波装置も考えられる。さらに、いわゆるアップチャープ型あるいはダウンチャープ型のフィルタを構成するため以下の手段が考えられる。すなわち、上記弾性表面波装置において、前記弾性表面波基板上に、2つの傾斜型すだれ状電極を配置し、一方を入力電極、他方を出力電極とし、入力電極の中心線と出力電極の中心線における、弾性表面波主伝搬軸方向の両中心線間の距離を考えたとき、電極のピッチが狭いトラックでの中心線間の距離に比べ、電極ピッチが広いトラックでの中心線間の距離が短い弾性表面波装置、あるいは、前記弾性表面波基板上に、2つの傾斜型すだれ状電極を配置し、一方を入力電極、他方を出力電極とし、入力電極の中心線と出力電極の中心線における、弾性表面波主伝搬軸方向の両中心線間の距離を考えたとき、電極のピッチが広いトラックでの中心線間の距離に比べ、電極ピッチが狭いトラックでの中心線間の距離が短い弾性表面波装置である。
【0005】さらに、傾斜型(スラント)すだれ状電極を有して構成する弾性表面波装置を、2端子の電子回路として構成し、インピ−ダンス(あるいはアドミタンス)素子として用いた手段も考えられる。すなわち、弾性表面波基板と、該基板上に弾性表面波主伝搬軸に垂直な方向においてすだれ状電極の電極ピッチが異なるように配置した傾斜型(スラント)すだれ状電極を少なくとも1個以上有して構成される弾性表面波装置において、前記各々の傾斜型すだれ状電極を1対の電極指グループで構成し、該1対の電極指グループの一方における電圧印加端子を第一の端子とし、さらに他方の電極指グループにおける電圧印加端子を第二の端子として、前記第一の端子と第二の端子の間に、パッシブ回路素子およびアクティブ回路素子のうち少なくともいずれかを接続し、弾性表面波装置を2端子回路として構成した弾性表面波装置である。さらに、かかる弾性表面波装置において該装置の小型化を図るため、傾斜型すだれ状電極を2以上の偶数個設け、2個ずつ1対とし、各対における、一方の傾斜型すだれ状電極における弾性表面波主伝搬軸方向の幅の長い部分と、他方の傾斜型すだれ状極における弾性表面波主伝搬軸方向の幅の短い部分を対向させ、同一トラックに配置した弾性表面波装置も考えられる。
【0006】また、いわゆるバルク波の散乱による特性劣化を防止した手段として、以下に記す手段も考えられる。すなわち、弾性表面波基板と、該基板上に配置した傾斜型すだれ状電極を有して構成する弾性表面波装置において、弾性表面波基板の前記すだれ状電極が配置された面の反対面が、弾性表面波の波長の1/50よりも大きな面粗さで荒らされている弾性表面波装置である。さらに、かかる弾性表面波装置の作製方法として、以下に示す手段が考えられる。すなわち、弾性表面波基板に傾斜型すだれ状電極を配置し弾性表面波装置を作成する際、傾斜型すだれ状電極が配置された弾性表面波基板面を表面とし、該弾性表面波基板の裏面を、弾性表面波の波長の1/50よりも大きな面粗さとなるように、研磨剤を用いて前記裏面を荒らす弾性表面波装置の作製方法である。
【0007】さらに、本発明にかかる弾性表面波装置の応用例として、上記の弾性表面波装置を内蔵し、フィルタとして用いた通信装置も考えられる。
【0008】
【作用】弾性表面波主伝搬軸方向における、すだれ状電極の幅の中心点の集合線である中心線(対称軸)が、上記主伝搬軸に対して垂直でない部分を有した構成とする。 このような構成により、主な周波数応答トラックにおける、弾性表面波の伝搬時間を変化するため、弾性表面波装置の周波数特性は、いわゆる分散性を呈することとなる。したがって、すだれ状電極の形状、配置間隔等を調整し、所望の特性を有する弾性表面波装置を作製することが可能となる。また、傾斜型すだれ状電極は、本質的に広帯域な周波数特性を有し、しかも該特性は、連続的に変化するため、上記電極を利用し、該電極間にパッシブ回路素子、アクティブ回路素子等を備えた2端子回路を構成し、弾性表面波装置をインピ−ダンス(あるいはアドミタンス)素子として用いる事により、広帯域な電子回路を構成することができる。この場合傾斜型すだれ状電極のレイアウトを考慮し弾性表面波装置の小型化を図ることが望ましい。本発明により、いわゆるアップチャープ型あるいはダウンチャープ型のフィルタを構成できる。さらに、本発明にかかる弾性表面波装置の応用例として、弾性表面波装置をフィルタとして用い、該弾性表面波装置を内蔵した通信装置等も考えられる。
【0009】また、いわゆるバルク波の散乱による特性劣化を防止する方法としては、弾性表面波基板のすだれ状電極が配置された面の反対面を、弾性表面波の波長の1/50よりも大きな面粗さで荒らす弾性表面波の作製方法を採用すれば良い。本方法を用いることにより、弾性表面波装置の一層の特性向上を図れる。
【0010】
【実施例】以下、図1から図17を参照して本発明の実施例について順に説明する。図1は、本発明にかかる弾性表面波装置の構成図を示したものである。本装置は、弾性表面波基板1、入力傾斜型(スラント)すだれ状電極2、出力傾斜型(スラント)すだれ状電極3、シ−ルド斜め電極4および吸音材5を有して構成されている。入力傾斜型(スラント)すだれ状電極2、出力傾斜型(スラント)すだれ状電極3、シ−ルド斜め電極4および吸音材5は、弾性表面波基板1上に配置構成されている。弾性表面波基板1は、例えば128°Y−X LiNbO3等により実現される。また、入力傾斜型すだれ状電極2、出力傾斜型すだれ状電極3、およびシ−ルド斜め電極4は、例えば膜厚1000〜8000(μm)のアルミニウムを用いて実現される。また、本構成では電極の対数を2対としているが、通常は10対以上とする場合が多い。また、シ−ルド斜め電極4は、入力傾斜型すだれ状電極2および出力傾斜型すだれ状電極3の電磁的結合を抑圧するための手段であり、さらに吸音材5は、基板端面からの反射波を抑圧するための手段であり、通常ゴム材等により実現できる。図2は、図1の第1実施例の傾斜型電極を拡大し、模式的に示したものである。 傾斜型すだれ状電極6は、傾斜していない交差部7と、傾斜した交差部8を有して構成される。すだれ状電極の中心線、すなわち弾性表面波主伝搬軸方向(図のC−C’方向)における電極幅の中心点の集合線B−B’は、弾性表面波主伝搬軸方向(図のC−C’方向)に垂直でない個所が存在する。したがって、ある周波数の弾性表面波を考えたとき、その周波数が透過しやすいトラック(弾性表面波主伝搬軸方向に、ある幅を有する領域を称し、その幅を開口と称する)は、他の周波数の弾性表面波が透過しやすいトラックとは異なることを考慮すると、周波数特性は、いわゆる分散性を有する特性となる。また、傾斜していない交差部7での開口Aj’は、自由に選択することが可能であり、傾斜した交差部8の各トラックでの開口Ajは、直線上に変化している。 そのため、弾性表面波の音速をV、最も小さい電極ピッチをλh、最も大きい電極ピッチをλl、斜め部分全体の開口をW、各トラックの電極ピッチをλ(図示せず)、各トラックの最大電極ピッチをλl’、最小電極ピッチをλh’として、幾何学的パスと、弾性表面波の音速は、弾性表面波の波長と周波数の積であることを考慮して、以下の式が導出される。
Aj=Fh・Fl・ΔF・W/{(Fj2+Fj・ΔF)・B} (式1)
B=Fh−Fl (式2)
Fh=V/λh (式3)
Fl=V/λl (式4)
Fj=V/λ (式5)
ΔF=V(1/λh’−1/λl’) (式6)
以上、本実施例を用いれば、中心線が弾性表面波の主伝搬軸に対して、垂直でない部分を有する構成にしたため、いわゆる分散性を有する周波数特性が得られることになる。図3は、第2実施例の1部の構成を示したものである。各トラックでの開口Ajは、所望の周波数特性により決定すればよく、そのため、例えば電極の形状は曲線状となっている。すなわち、ある周波数での応答が強い場合にはAjを大きくし、小さい場合は、その逆とする構成にすれば良い。また、その応答周波数での遅延時間により中心線のずれ量Lは、決定されることになる。すなわち、所望の遅延時間のずれ量をτとすれば、L=V/τ (式7)
なる式でLはほぼ決定される。図4に、第2実施例の弾性表面波装置の周波数特性を示す。第2実施例の弾性表面波装置は、テレビジョン受信機に内蔵するIF(中間周波数)フィルタへの適用を念頭に設計を行ったものである。減衰特性9は、対数スケ−ルで示し、群遅延時間特性10も記載している。
【0011】図に示すとおり、高周波帯域と低周波帯域での群遅延時間の差はτである。また、各周波数における減衰量は微妙に規定されている。したがって本実施例では、これをAjを変化させ製作することにより実現している。以上、本実施例を用いれば、複雑な周波数特性を有するフィルタ装置の実現も可能となる。図5に、本発明の第3実施例の構成図を示す。なお、図中、図1と同一部分は、同一符号を付した。本装置は、弾性表面波基板1、入力傾斜型(スラント)すだれ状電極11、出力傾斜型(スラント)すだれ状電極12、シ−ルド斜め電極4および吸音材5を有して構成されている。第1実施例と同様に、入力傾斜型(スラント)すだれ状電極11、出力傾斜型(スラント)すだれ状電極12、シ−ルド斜め電極4および吸音材5を弾性表面波基板1上に配置して弾性表面波を構成している。入力傾斜型(スラント)すだれ状電極11の中心線B−B’は、電極全体に渡り、弾性表面波の主伝搬軸に対して一様に傾けられている。また、出力傾斜型(スラント)すだれ状電極12の中心線B−B’も、入力側とは対称に、弾性表面波の主伝搬軸に対して一様に傾けられている。また、電極ピッチの小さい(この部分は、高い周波数成分が透過しやすい)トラックの入出力電極の中心線間の距離は、電極ピッチの大きい(この部分は、低い周波数成分が透過しやすい)トラックの入出力電極の中心線間の距離よりも長く弾性表面波が伝搬のためかかる時間が長いため、低周波帯域より、高周波帯域での群遅延時間が遅くなる。図6に、第3実施例のフィルタの周波数特性を示す。フィルタの減衰特性13を対数スケ−ルで示し、フィルタの群遅延時間特性14も記載している。上述したように、入出力電極の中心線が、弾性表面波の主伝搬軸に対して一様に傾けられているため、群遅延時間特性も一様に傾いている。なお、このような特性は、「アップチャ−プ型」と称され、一般にこのような特性を有するフィルタを分散型遅延線(チャ−プフィルタ)と称する。以上説明したように、本実施例を用いれば、アップチャ−プ型分散型遅延線を傾斜型電極で実現することができる。図7に、本発明の第4実施例の構成図を示す。図中、図1と同一部分は、同一符号を付した。本装置は、弾性表面波基板1、入力傾斜型(スラント)すだれ状電極15、出力傾斜型(スラント)すだれ状電極16、シ−ルド斜め電極4および吸音材5を有して構成されている。第3実施例と同様に、入力傾斜型(スラント)すだれ状電極15、出力傾斜型(スラント)すだれ状電極16、シ−ルド斜め電極4および吸音材5を、弾性表面波基板1上に配置し、弾性表面波装置を構成している。入力傾斜型(スラント)すだれ状電極11の中心線B−B’は、電極全体に渡り、弾性表面波の主伝搬軸に対して一様に傾けられている。また、出力傾斜型(スラント)すだれ状電極12の中心線B−B’も、入力側とは対称に、弾性表面波の主伝搬軸に対して一様に傾けられている。また、電極ピッチの小さい(この部分は、高い周波数成分が透過しやすい)トラックの入出力電極の中心線間の距離は、電極ピッチの大きい(この部分は、低い周波数成分が透過しやすい)トラックの入出力電極の中心線間の距離よりも短く弾性表面波が伝搬のためかかる時間が短いため、低周波帯域より、高周波帯域の群遅延時間が短くなる。図8に第4実施例のフィルタの周波数特性を示す。フィルタの減衰特性17を対数スケ−ルで示し、フィルタの群遅延時間特性18も記載した。入出力電極の中心線が、弾性表面波の主伝搬軸に対して、一様に傾けられているため、群遅延時間特性も一様に傾いている。この特性は、「ダウンチャ−プ型」と称され、一般にこの種のフィルタも、前述と同様、分散型遅延線(チャ−プフィルタ)と称す。以上説明した様に、本実施例により、ダウンチャ−プ型分散型遅延線を傾斜型電極で実現することができる。図9は、本発明の第5実施例の構成図を示したものである。図中図1と同一部分は同一符号を付した。本装置は、弾性表面波基板1、傾斜型(スラント)すだれ状電極19、吸音材5、内部インピ−ダンスRsを有する電源20および出力インピ−ダンスRlを有して構成されている。傾斜型(スラント)すだれ状電極19、吸音材5は、弾性表面波基板1上に配置されている。内部インピ−ダンスRsを有する電源20、出力インピ−ダンスRlは、図中の端子A、B間に並列に接続されている。図10に、上記実施例の入出力伝達(周波数)特性を示す。減衰特性21は、対数スケ−ルで示している。傾斜型(スラント)すだれ状電極19の応答周波数領域が、逆に阻止帯域となっている。従来の多対型共振子を複数個並べた構造に比べ、すだれ状電極の応答特性が連続的であるため、広帯域、かつ、大きな減衰量が得られる。以上、本実施例を用いれば、傾斜型(スラント)すだれ状電極を用いて、良好な帯域阻止特性を得ることができる。なお、本実施例は端子A、Bを備える2端子電子回路として、取り扱うことができる。図11に、本発明の第6実施例の構成図を示す。図中、図9と同一部分は、同一符号を付した。本装置は、弾性表面波基板1、傾斜型(スラント)すだれ状電極19、吸音材5、内部インピ−ダンスRsを有する電源20、出力インピ−ダンスRlおよび誘導性素子Lを有して構成されている。
【0012】第5実施例と同様に、傾斜型(スラント)すだれ状電極19および吸音材5を弾性表面波基板1上に配置している。内部インピ−ダンスRsを有する電源20、誘導性素子Lおよび出力インピ−ダンスRlが、端子A、B間に接続されている。図12に、上記実施例の入出力伝達(周波数)特性を示す。減衰量特性22を対数スケ−ルで示す。傾斜型(スラント)すだれ状電極19の応答周波数領域が、逆に阻止帯域と成っている。また、並列に接続された誘導性素子Lにより、低周波数成分がおとされ、低周波数帯で減衰が大きくなり、図に示すような帯域通過特性が得られる。以上、本実施例を用いれば、傾斜型(スラント)すだれ状電極を用いて、良好な帯域阻止特性、および、帯域通過特性を得ることができる。
【0013】なお、端子A、B間に接続する素子は、例えばトランジスタ等のアクティブ回路素子、コイル、抵抗、コンデンサ等のパッシブ回路素子等でもよい。本実施例は、弾性表面波装置の伝達関数を利用して、これを2端子回路として利用する手段を提供するものである。したがって、所望の特性を得るために各種回路素子を備えた構成とし、該装置は、インピーダンス素子あるいはアドミタンス素子としての利用に供することが可能になる。図13に、本発明の第7実施例の構成図を示す。図中、図9と同一部分は、同一符号を付した。本装置は、弾性表面波基板1、傾斜型(スラント)すだれ状電極23、24、吸音材5、内部インピ−ダンスRsを有する電源20、出力インピ−ダンスRlを有して構成されている。傾斜型(スラント)すだれ状電極23、24、および吸音材5は、弾性表面波基板1上に配置されている。さらに、内部インピ−ダンスRs、出力インピ−ダンスRlは、端子A、B間に接続されている。傾斜型(スラント)すだれ状電極23、24は、第1実施例と同様の構造で、各々中心線が、弾性表面波の主伝搬方向に対して、傾けられた個所が存在する。例えば、それぞれの電極を、図13に示すように、弾性表面波基板1上の一点に対して、点対称となるように配置することにより、チップ全体の小型化を図ることができる。もちろん、傾斜型(スラント)すだれ状電極23、24の配置は、本例に限られないが、一般には、一方の傾斜型すだれ状電極における弾性表面波主伝搬軸方向の幅の長い部分と、他方の傾斜型すだれ状極における弾性表面波主伝搬軸方向の幅の短い部分を対向させ、同一トラックに配置すれば、チップ全体の小型化が図れることになる。以上、本実施例を用いれば、傾斜型(スラント)すだれ状電極を用いた弾性表面波装置の小型化を図ることができ、実用性が向上する。図14に、本発明の第8実施例の断面図を示す。図中、図1と同一部分は、同一符号を付した。本装置は、弾性表面波基板1、傾斜型(スラント)すだれ状電極25、26、吸音材5を有して構成されている。傾斜型(スラント)すだれ状電極25、26および吸音材5を、弾性表面波基板1上に配置している。傾斜型(スラント)すだれ状電極25、26が配置された弾性表面波基板1の面の反対側の面27を、弾性表面波波長の1/50よりも大きな面粗さで荒らしている。面荒しは、粗目の研磨剤(例えば、JIS規格GC#600、GC#240等)を用いて行う。このような面荒らしを行なうのは、いわゆるバルク波の散乱による影響を除去するためである。図15に、第8実施例の周波数特性と、従来(反対側の面27を、弾性表面波波長の1/50よりも大きな面粗さで荒らしていない)試料の周波数特性を比較して示す。減衰特性28は、対数スケ−ルで示し、同様に、群遅延時間特性29も示している。実線30は、従来試料の帯域外特性、実線31は、本実施例の帯域外周波数特性を示している。図に示すように、従来試料に比べその帯域外特性は、格段に向上していることが分かる。なお、従来試料の帯域内特性は本実施例とほぼ同等であるため、ここでは示していない。本実施例のように、弾性表面波基板の裏面を荒すことにより、大幅に帯域外特性を改良することができる。
【0014】また、このような良好な特性は、弾性表面波波長の1/50よりも大きな面粗さで荒らしたときに得られることを、数多く行なった実験等で入念に確認している。図16に、本発明にかかる弾性表面波装置をフィルタとして用いた、テレビジョン受信機のシステムブロック図を示す。本装置は、アンテナ32、チューナ部33、弾性表面波装置34および復調部35を有して構成される。さらに、復調部35は、映像信号端子36および音声信号端子37を備えている。以下、本テレビジョン受信機の受信動作について説明する。
【0015】まず、アンテナ32介して得られた受信信号は、チュ−ナ部33により、中間周波数信号(IF信号)に変換される。かかる、IF信号は、本発明にかかる弾性表面波装置34からなるフィルタを通過し、復調部35により受信信号が復調される。復調信号は、映像信号と音声信号に分離される。映像信号は、映像信号端子36から、音声信号は、音声信号端子37から、それぞれ出力されることとなる。以上の動作により、音声と映像の情報が得られることになる。中間周波数信号用のフィルタに、本発明にかかる弾性表面波装置34を用いているため、周波数特性の細部まで最適化したIF回路を構成でき、良好な復調性能を有するテレビジョン受信機が実現できる。図17に、本発明にかかる弾性表面波装置をフィルタとして用いた移動通信電話器のシステムブロック図を示す。本装置は、アンテナ38、受信用分波器フィルタ39、電圧可変発振器40、混合器41、中間周波数フィルタ42、復調ロジック回路43、制御回路45、変調回路47、電圧可変発振器48、送信用分波器フィルタ49を有して構成される。さらに、復調ロジック回路43は、音声出力端子44および音声入力端子46、を備えている。以下、本移動通信電話器の動作について説明する。まず、アンテナ38から入力された受信信号は、第1段目の受信用分波器フィルタ39を通過し、電圧可変発振器40から送信され信号とともに混合器41に入力、混合され中間周波数信号が得られる。該中間周波数信号は、中間周波数フィルタ42により1チャネル分の信号が選択され、復調ロジック回路43により音声信号へと復調処理され、音声出力端子44に音声信号が出力される。一方、復調ロジック回路44からは中間周波変換用の基準信号が、電圧可変発振器40の制御回路45に送信される。同時に、音声入力端子46から入力された音声信号は、復調ロジック回路43を介して、変調回路47に送信される。
【0016】変調回路47では、電圧可変発振器48から変調用信号を混合することにより、信号の変調を行う。さらに、変調された信号は、送信用分波器フィルタ49を通り、アンテナを介して出力される。また、電圧可変発振器48からは、受信用の制御回路45にも制御信号が送られ、同期をとっている。上記送信用分波器フィルタ49に、帯域外抑圧度の大きな本発明にかかる弾性表装置をフィルタとして用いているため、良好な分波器性能が得られ、送信・受信間の漏話の少ない高性能の移動通信電話器が得られることになる。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、新たな構造を有する傾斜型(スラント)すだれ上電極の提供により、精度の高い周波数特性の実現と、より深い帯域阻止特性の実現が可能となるため、弾性表面波装置の性能向上および該弾性表面波装置の応用例である通信装置等の高性能化を図ることができる。




 

 


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