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発明の名称 燃料電池
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−89729
公開日 平成6年(1994)3月29日
出願番号 特願平4−240937
出願日 平成4年(1992)9月9日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
発明者 佐藤 隆雄 / 天野 義明 / 堀内 進
要約 目的
燃料電池の運転に伴う性能低下を防止する。

構成
燃料電池の酸素極(燃料極)に酸化剤(燃料)を供給する方向を運転時間の所定値経過毎及び電池出力所定値以下で切替える切替回路と、酸化剤(燃料)に電解質を同伴させるための蒸化器及びミキサ−とからなる。
特許請求の範囲
【請求項1】 電解質マトリックス層を挟んで酸素極及び燃料極を配置し、両電極に燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ供給する燃料通路並びに酸化剤通路が、互いに直交する方向に形成された単電池を多数段積層し、この積層体の側面に機密に結合した燃料及び酸化剤マニフォ−ルドを介して前記燃料通路に燃料ガスを、酸化剤通路に酸化剤ガスを供給して発電する燃料電池において、前記両電極を通過したガスから電解質を回収する手段、回収した電解質を蒸気化する手段、蒸気化した電解質を燃料ガス並びに酸化剤ガスに随伴し前記マニフォ−ルドを介して電池極板に供給する手段、電池の運転時間を計測する手段、並びに電池運転時間が所定値以上となったとき前記燃料通路及び酸化剤通路に供給するガスの給排方向を反転せしむる切替手段とを設けたことを特徴とする燃料電池。
【請求項2】 電池の出力を計測する計測手段をさらに有し、酸化剤ガス及び燃料ガスの供給方向切替を運転時間一定値以上でかつ電池出力一定値以下で実施するようにしたことを特徴とする特許請求項1記載の燃料電池。
【請求項3】 前記電解質を回収する手段は、少なくとも電解質を冷却しドレン化する手段を有することを特徴とする特許請求項1又は2記載の燃料電池。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燃料電池に関し、特に電池内から運転に伴って飛散消失する電解質の量及び補給量を極板全面にわたって平均化するともに電極の浸食反応を極力防止し電池寿命の長期化を図った燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、酸素を供給する酸素極と燃料(水素)を供給する燃料極及びこれらの極に挟まれた電解質マトリックス層とで構成した単電池を、多数段積層して積層体を構成し、この積層体に酸化剤および燃料を供給する通路を形成するためのマニフォ−ルドとから成っている。この電池は、酸素極と燃料極に連続的に一定方向からガスを供給して発電するのであるが、電解質として例えばりん酸を用いるりん酸型燃料電池の場合、運転時間の経過と共にりん酸が飛散消失して電池の性能が低下してくることに加え、りん酸が廃棄物として生ずる問題がある。
【0003】これを解決する一つの案として、例えば、りん酸型燃料電池等の燃料ガス中に電池内から飛散消失する電解質を補給するに必要な量の電解質を水蒸気とともにミスト状で添加することにより電池の性能低下を防止するようにしたもの(特公平4−1470号公報参照)、あるいは燃料極と酸化剤極とよりなる一対の電極の間にりん酸を電解質とするマトリックスを挟持した燃料電池において、電池本体の供給ガスラインと排出ガスラインとを連絡管により連通し、この連通管を介して排ガスとともに排出されるりん酸電解質を霧状又は蒸気にして供給ガスとともに電池本体へ循環させるようにしたもの(特開平1−187774号公報参照)等が提案されている。
【0004】しかし、これらの方法では、いずれもガスの流れの方向が常に同一方向であるため、飛散する電解質の量がガス流れ方向で不均一になることが避けられず、また補給用のりん酸を電極に均一に再分布させることが困難であった。また、特公平4−1470号公報に提案されている補給方法は、補給用電解質は全量新規に追加することを前提としており、電池から排出されたりん酸廃棄物の処理設備を別に設ける必要があった。
【0005】一方、反応ガス通路内の反応ガス濃度及び発電電流密度の分布を等価的に均等化する目的から、発電運転中の単位電池の電位を燃料ガス及び酸化剤ガスの入口側及び出口側に近い位置で検出し、両検出電位の差電圧が所定レベルに達したとき、燃料及び酸化剤ガスの供給方向を切り替えるようにする提案がなされているが(特開平3−11559号参照)、この提案においては電池から排出されたりん酸廃棄物の処理については格別の手段が施されていないことから廃棄物処理について同様の問題を有することに加え、この種の燃料電池において電位差によりガスの供給方向を切り替えることは、電池にそれぞれのガスを供給中(すなわち電池発電中)になされることを意味し、切替の瞬間にガスの流れが滞留し、それにより燃料不足または酸化剤不足による電池電極の侵食が発生する問題を有している。すなわち、例えばりん酸型燃料電池では、電池の定格出力時に燃料の水素ガスの約80%(酸化剤として空気中の酸素の約50%)を発電のために利用しており、この値が極端に大きくなるとガス不足となり、電池電極を侵食する反応が起こり、電池寿命を短縮するのである。そのため、ガスの利用率は如何なる場合もある値以上にならないように設計することが望ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】燃料電池からの電解質消失は、運転により酸素極において燃料の水素と結合して生成する水に随伴して飛散消失するものと、ガスの流れに随伴して両極から飛散消失するものとがあり、ガスを常時一方向から供給する形式の燃料電池にあっては必ずしも電極を構成する極板全面にわたって均一に飛散消失するものではない。また、飛散する電解質をそのまま大気に放出することは、環境上からも避けなければならない。
【0007】本発明は、電池内から運転に伴って飛散消失する電解質の量を平均化し、かつ飛散した電解質を回収し、それをガスに随伴して電極板に流し均一に再分布させて、電池性能の低下を防止するとともに、電池電極の浸食反応を極力防止し電池寿命を長期化した燃料電池を提供することを目的とする。また、本発明はより高温で電池を運転することを可能とし、それにより良質の排熱を得ることができる燃料電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、電解質マトリックス層を挟んで酸素極及び燃料極を配置し、両電極に燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ供給する燃料通路並びに酸化剤通路が、互いに直交する方向に形成された単電池を多数段積層し、この積層体の側面に機密に結合した燃料及び酸化剤マニフォ−ルドを介して前記燃料通路に燃料ガスを、酸化剤通路に酸化剤ガスを供給して発電する燃料電池において、補給用電解質を電池通過ガスから回収する手段、回収電解質を蒸気化する手段、蒸気化電解質を燃料ガス並びに酸化剤ガスに随伴し前記マニフォ−ルドを介して電池極板に供給する手段、電池の運転時間を計測する手段、及び運転時間が一定値以上となったとき前記燃料通路及び酸化剤通路に供給するガスの給排方向を反転せしむる手段を設けることにより達成する。
【0009】本発明において、電池の出力を計測する計測手段をさらに有し、酸化剤ガス及び燃料ガスの供給方向切替を運転時間一定値以上でかつ電池出力一定値以下で実施することにより、より目的を達成することができる。また、前記電解質を回収する手段中に、少なくとも電解質を冷却しドレン化する手段を設けることも好ましい態様である。
【0010】
【作用】本発明による燃料電池は、運転時間が一定値に達したとき、燃料あるいは酸化剤ガスの給排方向を反転させる手段を有しているので、電池の運転に伴って飛散消失する電解質のガス流れ方向の量が均一化される。また燃料あるいは酸化剤ガスに電解質を随伴させて電池に供給し電極極板に均一に再分布させることが可能となり、電池の性能低下を効果的に防止することができる。
【0011】また、電池本体から流出する電解質を分離回収し再使用するので、りん酸廃棄物を生ずることもなく、補給用電解質の量を減少させることもできる。さらに、前記燃料あるいは酸化剤ガスの給排方向のタイミングを運転時間一定値以上があることに加え、必要に応じて電池のガス利用率が所定値以下の条件ですなわち電池出力一定値以下で実施することにより、電池の性能低下を効果的に防止すると同時に電池電極の浸食反応を極力防止し電池寿命を一層長期化することが可能となる。
【0012】また電解質の極板面方向分布が均一化することにより、発熱分布も均一化するので電池の作動温度を上げることが可能となり、良質の排熱を得ることが可能となる。
【0013】
【実施例】以下本発明の具体的な実施例について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例を示す図であり、電池積層体10の構造の一例は図2に示すようになっている。すなわち、電池本体10は空気通路33を有する酸素極31と、燃料通路34を有する燃料極32とがあり、両極はポ−ラスな炭素材料で形成する。イオンの良導体であるりん酸等の電解液を保持するマトリックス35は、両電極31、32に密着するように配設されている。これら、酸素極、燃料極及びマトリックス35によって単位電池を構成し、この単位電池をセパレ−タ36と交互に複数個積層して、所定の出力を得る電池となすものである。また、電池運転中に発生する熱を除去するため、積層した複数個の単位電池毎に冷却装置38を介挿し、冷水等により冷却を行なう。発電用の酸素は例えば空気をマニホ−ルド37を介して、燃料である水素はマニホ−ルド39を介して供給する。
【0014】次に、この燃料電池システムの運転方法について図1を参照しつつ説明する。なお、燃料電池において空気系と燃料系とは異なる経路ではあるがほぼ類似の経路を構成しておりかつ二つの系はその運転時には対をなして作用する。従って、以下の説明においては説明に支障がない限りにおいて、空気系を主に説明することとし、燃料系については、空気系において説明する部材の後にそれに対応する部材名及び符号を括弧内に記載するにとどめ詳細な説明は省略する。
【0015】空気供給ライン11(水素供給ライン21)から供給する空気(水素)は、空気極側りん酸水溶液タンク13(水素極側りん酸水溶液タンク23)のりん酸水溶液を、蒸化器14(24)により蒸気化し、ミキサ−12(22)で空気(水素)と混合して電池本体10に供給する。そしてこの時点の空気(水素)の通路は、例えばバルブ15(25)、電池本体の酸素極31(水素極32)、バルブ18(28)を通り排ガスライン19(29)から排出するようにしている。すなわち、このときバルブ16(26)とバルブ17(27)は閉じている。また、排ガスライン19(29)にはりん酸回収器41(42)を設け、燃料電池本体10を通過し、排ガスライン19(29)に導いた電解質を随伴する空気(燃料ガス)から電解質を分離し、分離液化された例えばりん酸電解質をドレンライン43(44)を介してりん酸水溶液タンク13(23)に回収する。そして排空気(排燃料)はライン45(46)から次段へ導く。
【0016】この実施例においてはさらに、電池の運転時間は図示しないタイマ−により監視され、電池出力も図示しない電池スタックの出口の電圧と電流を計測する出力計により監視されている。そして図4に示すように運転時間が所定値T0 以上でかつ電池出力が所定値P0 以下の条件が満たされたときに、バルブ16及び17(26及び27)を開し、バルブ15及び18(25および28)を閉じる操作を行う。これにより、空気(水素)の通路は、バルブ17(27)、電池本体の酸素極31(水素極32)、バルブ16(26)を通り排ガスライン19(29)から排出するようになり。すなわち、各々の電極にとってガスの流れ方向は反対方向に変化したことになる。
【0017】なお、電池出力を監視する出力計は本発明において必ずしも必須ではなく、その場合には電池の運転時間が所定値に達したときにバルブ操作を行うようにする。なお、本発明において、蒸化器14(24)によるりん酸の蒸気化は任意の手法を用いることができ、例えば特公平4−1470号公報に示されるようにH3PO4 85%、H2 O15%とした水溶液を200℃程度に加熱して蒸気化する方法や、超音波振動子により蒸気化する方法が適用できる。また、ミキサ−12(22)による蒸気化したりん酸と空気(水素)との混合も任意の手法を用いることができ、両者を単に合流させる方法あるいは好ましくは空気(水素)流を旋回させて両者を旋回混合する方法も適用できる。
【0018】次に、本発明に用いるのに好適なりん酸回収器41の一実施例を図3に示す。なお、もう一方のりん酸回収器42も同じ構造を有するものであり説明は省略する。また、図3における図1と番号の等しい部分は相等部分を意味している。りん酸回収器41は、円筒状の内方のケーシング51及び該ケーシング51を外方から囲包する冷却ジャケット52とを有し、内方ケーシング51のほぼ中央位置には下方端を開放し上方端に開口62を有する円筒形の内筒61が位置している。該内筒61の外周部とケーシング51の内壁部とは螺旋状に旋回する隔壁53により接合されている。
【0019】内筒61の上方端には、開口62よりも大径の円筒体63が同心状に固定されており、外円筒体63は内方のケーシング51及び冷却ジャケット52を貫通して突出するとともに先端は蓋体64により閉鎖されている。また、該円筒体63には出口ノズル65が固設されており、該出口ノズル65の先端は内方のケーシング51及び冷却ジャケット52を貫通して機外に開放している。さらに、円筒体63内部には円筒体63より小径の金属材料からなる円筒形フィルタ66が配置されており、該フィルタ66は一方端を内筒61に形成した開口62位置に、他方端を円筒体63上端の蓋体64裏面に固定されている。
【0020】ケーシング51の内壁であって前記内筒61の下方開放端近傍位置には、金属製の網状部材54が固設されている。また、ケーシング51の下端からは排出管55が冷却ジャケット52を貫通して延出しており、その先端には定レベル維持機構57を持つドレンポット56が設けられる。ドレンポット56の排出口はドレンライン43(図1)に接続している。冷却ジャケット52の下方部位には冷却水導入ノズル58が、また上方部には冷却水排出ノズル59が設けられている。さらに、冷却ジャケット52及びケーシング51を貫通してケーシング51の上方部の内部空間に延出するガス入力ノズル60が設けられており、該ガス入力ノズル60は排ガスライン19(図1)に接続している。好ましくはガス入力ノズル60はケーシング51の接線方向に向けて配置される。
【0021】このりん酸回収器41(42)は次のように動作する。燃料電池本体10を通過し、排ガスライン19(29)に導かれた電解質を随伴する空気(燃料ガス)(被処理ガス)は、ガス入口ノズル60からりん酸回収器41(42)内に導入される。導入された被処理ガスは内方のケーシング51の内部空間で渦流となり、さらに旋回羽根53によりケ−シング51壁面を旋回しつつ下降する。下降してきた被処理ガスはケ−シング51の下方部に設けた金属製の網状部材54に衝突し、りん酸を分離する。その後被処理ガスはさらにケーシング51の下方部から上方に向けて上昇し、内筒61内に入り次いでフィルタ66を通過してガス出口ノズル65より排出する。その間に、被処理ガス中のりん酸は網状部材54による捕集に加え、ケーシング51の壁面にも付着しまたフィルタ66でも捕集される。
【0022】ケ−シング51の壁面に付着したりん酸、並びに衝突金網54及びフィルタ66で捕集されたりん酸は、冷却水ノズル58から供給されて冷却ジャケット52とケ−シング51の間を流れる冷却水により冷却されてドレン化し、ケーシング51底部に形成した排出管55からドレンポット56に集められる。集められたりん酸は定レベル維持機構57を介してドレンライン43(44)から図1のりん酸水溶液タンク13(23)に供給される。
【0023】本発明においてはこのように電解質に対して閉ル−プが構成されている。それにより、電池本体10から流出する電解質の大部分が回収できることになるので、図1のりん酸水溶液タンク13(23)に外部から補給するりん酸の量を大幅に減少させることができる。なお空気(水素)の供給方向切替は、両極同時に行ってもよくまた時間差を設けて行ってもよい。さらに、電池の出力を計測する計測手段を設ける場合にあっては、供給方向切替時に滞留等によるガスの利用率が過大になることを防止するために、図4に示すように、運転時間一定値T0 以上の条件に加えて、電池出力が一定値P0 以下のときに供給方向切替を行なうようにすることができる。これにより、ガス不足による電池電極に対する侵食反応が起こるのを極力排除することができ、電池寿命の短縮化を防止できる。
【0024】さらに、上記の実施例においては、りん酸水溶液タンク及び蒸化器を空気系及び燃料系の二つの系にそれぞれに配置したものを示したが、りん酸水溶液タンク及び蒸化器は、発電を停止した時等に両ガスが混合しないようにそれぞれの管路中に逆止弁を設けて配管することにより、二つの系において共用のものとして配置することもできることは容易に理解されよう。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明は、運転時間が一定値に達したとき、燃料あるいは酸化剤ガスの給排方向を反転せしむるので、電池の運転に伴って飛散消失する電解質のガス流れ方向の量が均一化される。また、電池本体から流出する電解質を分離回収し再使用することにより、りん酸廃棄物を無くし、補給用電解質の量を減少させることができる。さらに電解質の電極板面方向分布が均一化することにより、発熱分布も均一化するので電池の作動温度を上げることが可能となり、良質の排熱を得ることが可能となる。
【0026】また燃料あるいは酸化剤ガスに電解質を随伴させて電池に供給し、電池のガス利用率が所定値以下の条件ですなわち電池出力一定値以下の条件で上記供給方向反転を行うようにする場合にあっては、電池電極を侵食することなく、電極極板に均一に再分布させることが可能となり、電池の性能低下を効果的に防止し、寿命を極めて長くできる効果を有する。




 

 


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