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発明の名称 配向性磁性膜およびこれを用いた磁気ヘッド
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−69031
公開日 平成6年(1994)3月11日
出願番号 特願平4−218915
出願日 平成4年(1992)8月18日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 中村 斉 / 大友 茂一 / 小礒 良嗣 / 山下 武夫
要約 目的
良好な記録再生特性の得られる磁気ヘッド用の強磁性金属膜を得る。

構成
Feの(110)が優先配向するものの、(110)が膜面内および膜厚方向に対してランダム配向に近いFeMC系合金磁性膜(但し、MはHf、Zr、Ta、Nb、W、Ti、V、Moより選ばれる少なくとも一種以上の元素、Cは炭素)。
特許請求の範囲
【請求項1】FeMCで表される強磁性金属膜(但しMはTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Vより選ばれる少なくとも一種以上の元素、Cは炭素)において、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、C濃度が5から20at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【請求項2】FeMRCで表される強磁性金属膜(但しMはTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Vより選ばれる少なくとも一種以上の元素、RはCr,Ru,Rh,Cu,Si,Al,Pt,PdやSmなどの希土類元素より選ばれる少なくとも一種以上の元素、Cは炭素)において、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、R濃度が0.1から10at%、C濃度が5から20at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【請求項3】FeTMCで表される強磁性金属膜(但しTはCo,Niの少なくとも一種の元素、MはTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Vより選ばれる少なくとも一種以上の元素、Cは炭素)において、Tの濃度が0.1から10at%、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、C濃度が5から20at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【請求項4】FeTMRCで表される強磁性金属膜(但しTはCo,Niの少なくとも一種の元素、MはTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Vより選ばれる少なくとも一種以上の元素、RはCr,Ru,Rh,Cu,Si,Al,Pt,PdやSmなどの希土類元素より選ばれる少なくとも一種以上の元素、Cは炭素)において、Tの濃度が0.1から10at%、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、R濃度が0.1から10at%、C濃度が5から20at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【請求項5】請求項1から請求項4に記載した磁性膜のいずれかにおいて、X線によるM炭化物の回折ピ−ク強度比がI111/I200=0.5〜2の範囲であることを特徴とする配向性磁性膜。
【請求項6】FeMNで表される強磁性金属膜(但しMはTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Vより選ばれる少なくとも一種以上の元素、Nは窒素)において、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、N濃度が2から18at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの窒化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【請求項7】FeMRNで表される強磁性金属膜(但しMはTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Vより選ばれる少なくとも一種以上の元素、RはCr,Ru,Rh,Cu,Si,Al,Pt,PdやSmなどの希土類元素より選ばれる少なくとも一種以上の元素、Nは窒素)において、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、R濃度が0.1から10at%、N濃度が2から18at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの窒化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【請求項8】FeTMNで表される強磁性金属膜(但しTはCo,Niの少なくとも一種の元素、MはTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Vより選ばれる少なくとも一種以上の元素、Nは窒素)において、Tの濃度が0.1から10at%、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、N濃度が2から18at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの窒化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【請求項9】FeTMRNで表される強磁性金属膜(但しTはCo,Niの少なくとも一種の元素、MはTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Vより選ばれる少なくとも一種以上の元素、RはCr,Ru,Rh,Cu,Si,Al,Pt,PdやSmなどの希土類元素より選ばれる少なくとも一種以上の元素、Nは窒素)において、Tの濃度が0.1から10at%、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、R濃度が0.1から10at%、N濃度が2から18at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの窒化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【請求項10】請求項6から請求項9に記載した磁性膜のいずれかにおいて、X線によるM窒化物の回折ピ−ク強度比がI111/I200=0.5〜2の範囲であることを特徴とする配向性磁性膜。
【請求項11】請求項1から請求項10のいずれかに記載した配向性磁性膜を磁気ヘッドコアあるいは磁気ヘッドコアの一部に用いたことを特徴とする磁気ヘッド。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高飽和磁束密度、高透磁率、高耐熱性の磁性膜で、磁気ディスク装置やデジタルVTR用の磁気ヘッドのコア材に用いた際に優れた記録再生特性を示す磁気ヘッド用の配向性磁性膜に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の高密度化に伴い、高保磁力媒体にも充分な書き込みが可能な Metalin Gap ヘッドが注目されている。しかし、Metal in Gap ヘッドはガラスボンディングという高温プロセスを必要とするため、熱安定性の高い磁性膜が要求される。Metal in Gap ヘッドに用いられる比較的熱安定性の高い磁性膜としてはCo系の非晶質合金、センダスト合金さらには特開平3−20444に示されたFe(Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W)Cで表される炭素を比較的多量に含む磁性合金などが知られている。この内、Fe(Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W)Cで表される磁性合金は飽和磁束密度が1.5〜1.6Tと高く、しかも軟磁気特性はCo系の非晶質合金やセンダスト合金よりも優れている。このため、Metal in Gap ヘッド用の磁性膜として実用化検討が進められている。
【0003】しかし、平坦な基板上で良好な磁気特性を示した磁性膜を磁気ヘッド化しても必ずしも良好な記録再生特性は得られず、膜特性とヘッド特性との関連については明らかでなかった。Fe系磁性膜の軟磁気特性と配向性との関係についてはこれまでにも特開昭63−58807や特開平2−251104等で報告されているが、上記Fe(Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W)C合金磁性膜では必ずしも相関が見られなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】Fe(Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,V)C合金磁性膜は高飽和磁束密度、高透磁率でしかも優れた耐熱性を示すことが知られている。しかし、平坦な膜で良好な磁気特性を示す上記磁性膜を磁気ヘッド化しても必ずしも良好な記録再生特性は得られず、膜特性とヘッド特性との関連については明らかでなかった。
【0005】本発明の目的は、膜特性とヘッド特性との関連について明らかにし、良好な記録再生特性が得られる磁気ヘッド用のコア材に適した膜特性および膜構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は種々な条件で成膜したFeMC合金磁性膜(但し、MはTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Vより選ばれる元素)について磁気特性や耐熱性、さらには膜構造等について詳細に検討し、また実際に磁気ヘッド化を行い記録再生特性等についても検討を行い、膜特性、膜構造等と記録再生特性との比較検討を行った結果、膜構造と記録再生特性との間に相関があることを見出した。そこで、良好な記録再生特性の得られる膜構造、成膜条件等についてさらに詳細な検討を行った。その結果、本願発明は以下の構造の磁性膜である。但しRはCr,Ru,Rh,Cu,Si,Al,Pt,PdやSmなどの希土類元素より選ばれる少なくとも一種以上の元素、TはCo,Niの少なくとも一種の元素である。
【0007】FeMCで表される強磁性金属膜において、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、C濃度が5から20at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【0008】FeMRCで表される強磁性金属膜において、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、R濃度が0.1から10at%、C濃度が5から20at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【0009】FeTMCで表される強磁性金属膜において、Tの濃度が0.1から10at%、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、C濃度が5から20at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【0010】FeTMRCで表される強磁性金属膜において、Tの濃度が0.1から10at%、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、R濃度が0.1から10at%、C濃度が5から20at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【0011】FeMNで表される強磁性金属膜において、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、N濃度が2から18at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの窒化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【0012】FeMRNで表される強磁性金属膜において、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、R濃度が0.1から10at%、N濃度が2から18at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの窒化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【0013】FeTMNで表される強磁性金属膜において、Tの濃度が0.1から10at%、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、N濃度が2から18at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの窒化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【0014】FeTMRNで表される強磁性金属膜において、Tの濃度が0.1から10at%、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、R濃度が0.1から10at%、N濃度が2から18at%で、その組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの窒化物の結晶層を含むFe系の微結晶析出型磁性膜で、Feが(110)に優先配向し、X線によるFeの回折ピ−ク強度比がI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲である配向性磁性膜。
【0015】
【作用】上述のFeMC合金磁性膜についてX線回折および極点図形により膜の結晶配向性を評価した結果、ヘッド化した際に良好な記録再生特性の得られたFeMC合金磁性膜では、Feの(110)が優先配向し、Feの回折ピ−ク強度(I110、I200、I211等)比、TaCの回折ピ−ク強度(I111、I200、I220等)比がそれぞれランダム配向のFeおよびTaC試料から得られる回折ピ−ク強度比と近い関係にあることが分かった。また、このような良好な記録再生特性の得られるFeMC合金磁性膜の極点図形からは、Feの(110)は膜面内および膜厚方向に対してランダムに近い配向を示し、TaCは(110)配向と思われる強度分布を示した。
【0016】これに対し、平坦な基板上では良好な膜特性が得られ、ヘッド化した際に良好な記録再生特性が得られないFeMC合金磁性膜では、X線回折からはFeの(110)面からの回折強度が最も強く観察されたものの、極点図形から膜の配向性を求めた結果、Feでは(001)配向や強い(110)配向等種々の配向が観察され、TaCは主に(001)配向で、良好な記録再生特性の得られた上記FeMC合金磁性膜とは明らかに異なる膜の配向性を示した。
【0017】膜の配向性とヘッド化による記録再生特性との関連については必ずしも明らかではないが、本発明者等は以下のように推測している。
【0018】一般に磁歪は飽和磁歪λsで代表され、λ100とλ111を用いて以下のように表される。
【0019】λs=(2/5)λ100+(3/5)λ111完全にランダムな多結晶体の場合、等方的とみなされλs=λ100=λ111となるため、異方的な磁歪効果は無視することができる。いわゆるアモルファス材料がこれに対応する。しかし、実際の結晶質材料では大なり小なり配向性が存在し、例えば膜面内ではランダムで、膜厚方向に優先配向している場合、応力による逆磁歪効果の影響が膜面内と膜厚方向では異なることが予想され、この異方的な応力の発生が磁気ヘッドの記録再生特性に影響するものと考えられる。このような観点から、無配向のアモルファス材料が最も理想的と考えられるが、結晶質材料の場合、X線回折による回折ピ−ク強度比がランダム配向の強度比に近く、優先配向面、たとえばFeの場合には(110)が優先配向し、しかも(110)は膜面内および膜厚方向に対してランダムに近い配向を有する多結晶体が望まし【0020】い。
【実施例】以下に図、表を用いて本発明を説明する。
【0021】実施例1磁性膜の作製にはRFスパッタリング装置を用いた。スパッタリングは以下の条件で行った。
【0022】イオンガス Arスパッタリング時のガス圧 6.6×10-1Pa高周波電力 400Wタ−ゲット基板間距離 50mm本実施例ではFeTaC焼結タ−ゲットを用い、Cr、Ru添加膜はそれぞれのペレットをタ−ゲット上に置いて膜形成を行った。磁気特性および配向性測定用には直径10mmの結晶化ガラスを用い、磁気ヘッド用には加工したMnZnフェライト基板を用いた。膜厚は8μm一定とし、Arガス雰囲気中で575℃、1時間の熱処理を行った。作製した膜の磁気特性、ヘッドよる記録再生特性の測定結果を表1に示す。ここで、記録再生特性の測定には特開昭62−60113号に示されたフェライト基板上に上記強磁性膜を形成した構造の磁気ヘッドと保磁力1500Oeのメタルテ−プを用いた。
【0023】
【表1】

【0024】この結果、FeTaC系合金磁性膜の飽和磁束密度はいずれも1.4〜1.5Tと高く、しかも比較例に示したCoNbZrと比べていずれも同等以上の軟磁気特性を有しているにもかかわらず、ヘッドの再生出力には大きなバラツキが見られた。このため、ヘッドの再生出力はコア材の飽和磁束密度や軟磁気特性以外に、さらに他の要因により強く影響を受けることが予想される。
【0025】表2は上記磁性膜についてX線回折により求めた回折ピ−ク強度比の結果で、粉末試料によるランダム配向の強度比の結果も同時に示した。
【0026】
【表2】

【0027】表1および表2の結果から、良好な記録再生特性を示した番号1,2,6の磁性膜ではFeの(200)と(211)の回折ピ−ク強度比(I200/I211)が0.6〜0.8で、ランダム配向で期待される強度比(0.7)と近い値を示し、またTaCの(111)と(200)の強度比(I111/I200)も0.9〜1.1でランダム配向で期待される強度比(1.4)と比較的近い値を示した。
【0028】これに対し、充分な記録再生特性が得られなかった番号3,4,5の磁性膜ではFeの回折ピ−ク強度比(I200/I211)が0.9〜1.6で、TaCの強度比(I111/I200)が約0.2〜0.4と、明らかにランダム配向で期待される強度比とは異なる値を示し、ヘッド化による記録再生特性と膜の配向性とは関連があるように思われる。そこで、極点図形により膜の配向性を調べた結果を表3に、また代表的な極点図形の例を図1、図2に示す。
【0029】
【表3】

【0030】表3においてFe(110)ランダム配向とは、図1の極点図形から(110)が優先配向しているものの、回折強度分布は膜法線方向から70度までの測定範囲内でほぼ一様であることから、(110)が膜面内および膜厚方向に対してランダムに配向していることを表現した。表3から、良好な記録再生特性を示した番号1,2,6の磁性膜はいずれもFe配向面が(110)ランダムで、TaC配向面が(110)であった。これに対し、充分な記録再生特性が得られなかった番号3,4,5の磁性膜ではFeおよびTaCの優先配向面が上記1,2,6の磁性膜とは異なる結果を示し、本結果からもヘッド化による記録再生特性が膜の配向性と関連することが示唆された。
【0031】さらに、種々な組成、成膜条件等をかえ、ヘッドの記録再生特性と膜の配向性との関連について詳細に調べた結果、以下のことが明らかとなった。ヘッド化した際に良好な記録再生特性を示したFe系の微結晶析出型磁性膜では、X線回折および極点図形の結果からFeの(110)が優先配向するものの、(110)は膜面内および膜厚方向に対してランダム配向状態に近いことが明らかとなった。配向の程度をX線による回折ピ−ク強度比から推定すると、FeのI110/I200=5〜50の範囲で、I200/I211=0.3〜1.0の範囲の磁性膜では、ヘッド化により良好な記録再生特性が得られた。
【0032】またこのような膜では表2にも示したようにTaCの回折ピ−ク強度比にも特徴が見られた(I111/I200=0.5〜2)。もちろん磁性膜の配向性が上記条件を満たしていても、平坦な基板上に形成した膜の磁気特性が良好でないかぎり、磁気ヘッド化しても良好な記録再生特性が得られないことは言うまでもない。このため、FeMCで表される磁性膜(但しMはTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Vより選ばれる少なくとも一種以上の元素、Cは炭素)において、Mの磁性膜中での総濃度が2から20at%、C濃度が5から20at%の比較的良好な磁気特性が得られる組成比であることも重要な条件の一つであり、このような膜ではその組織が基本的には平均結晶粒径0.05μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶層を含むことが分かった。
【0033】但し、上記組成は代表的なFeMC合金についての値で、耐食性向上等の目的でCr,Ru,Rh,Cu,Si,Al,Pt,PdやSmなどの希土類元素の適量(〜10at%)添加や、磁歪調製等の目的でCo,Niを適量(〜10at%)添加しても有効であり、この場合には上記組成範囲が変化することは言うまでもない。
【0034】また、FeMC合金のCの代わりにN(窒素)を用いても同様に配向性と記録再生特性との関連が見られ、この場合にはNの組成範囲(2〜18at%)がCとは多少変化することが分かった。但し、Cr,Ru,Rh,Cu,Si,Al,Pt,PdやSmなどの希土類元素や少量のCo,Niを添加しても良好な記録再生特性が得られる上記配向性の条件にはほとんど影響しないことが分かった。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように、本発明はFe系の微結晶析出型磁性膜において、ヘッドの記録再生特性と膜特性および膜構造との関連について検討したもので、ある配向条件を満足する磁性膜をヘッドのコア材に用いることにより良好な記録再生特性を示す磁気ヘッドが得られることが分かった。




 

 


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