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発明の名称 磁気シールド
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−68829
公開日 平成6年(1994)3月11日
出願番号 特願平4−289903
出願日 平成4年(1992)10月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 矢島 裕介 / 高橋 由夫 / 市川 昌和
要約 目的
電子顕微鏡内の限定された空間で、試料に対する磁気遮蔽とコンタミネーション対策を行う。

構成
透磁率,熱伝導率が共に高い材料でコールドトラップを兼ねた磁気シールド1を構成する。シールド自身とは絶縁された複数の電極8を表面随所に配し、これが周辺部品との電気的接触や電子線7の電流を検知した場合は、微動機構13による位置調整を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】磁気遮蔽効果のある材料からなる磁気シールドにおいて、電子顕微鏡内に設置し、前記電子顕微鏡用の試料ホルダを内部に挿入できる構造をもち、低温源と熱的に接触していることを特徴とする磁気シールド。
【請求項2】請求項1において、材質をパーマロイとした磁気シールド。
【請求項3】請求項1において、材質を超伝導材料とした磁気シールド。
【請求項4】請求項1において、前記磁気シールドが前記磁気シールドの位置を調整する微動機構に接続されており、前記磁気シールドの表面随所に前記磁気シールド自身とは電気的に絶縁された複数の電極を備えており、前記電極が周辺部品との電気的接触や電子線の電流を検知した場合は、前記微動機構により前記磁気シールドの位置調整を行うことの可能な磁気シールド。
【請求項5】請求項1において、収束した電子線を試料面上で走査して、前記収束電子線が前記試料を透過する際に前記試料に付随する磁場から被るローレンツ偏向を検出し、前記試料における磁場分布を走査像として測定する機能を備えた電子顕微鏡用の電子レンズの間に設置したことを特徴とする磁気シールド。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気シールド、特に、磁性材料の観察を主な目的とした電子顕微鏡の内部で用いるのに適した磁気シールドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子顕微鏡による観察では、電子光学系に用いられている電子レンズから発生する磁界が試料に加わる。このような磁界は、通常の観察(組織像観察)では問題とならないが、磁性材料の磁場分布などのように、外部磁界により変化してしまう対象の観察が行えない原因となっていた。
【0003】電子レンズで発生する磁界の試料への影響を低減するには、例えばフィジカルレビューB、第25巻、6799−6804頁、1982年(Phys. Rev.,B25, pp.6799−6804(1982))に記載されているように、試料を電子レンズの外側に設置し、しかも隣接する電子レンズからの距離をできるだけ大きく取ればよい。しかしこの場合にも、試料と電子レンズの距離を任意に大きくすることは電子光学系の設計上不可能なため、電子レンズからの漏洩磁界の影響を完全に除去することは困難である。
【0004】更に、従来の電子顕微鏡では、同一真空系内の複雑な構成を持つ狭い領域に電子光学系と試料がに共存するため、試料位置での真空度を充分に高めることが出来ない。このため、試料表面の電子線照射部分にコンタミネーションが付着しやすく、長時間の観測が出来ないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】試料に外部磁界が加わらないようにするには試料の周辺に磁気シールドを設ければ良く、試料位置での真空度を高めるには同じく試料付近にコールドトラップを設ければ良い。しかし、電子顕微鏡内の試料設置位置は空間的に非常に限定されているため、これらの対策を個別に行うことは困難である。
【0006】本発明の目的は、空間的に限定された電子顕微鏡内の試料設置位置に、電子顕微鏡の本来の機能を損なうことなく磁気シールド機能とコールドトラップ機能を設けることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、試料周辺を取り囲むような構造を持つ磁気シールドを、磁気遮蔽効果があり、かつ、熱伝導性の良好な材質で構成し、しかもこの磁気シールドを低温源と熱的に接触させることにより解決している。さらに本発明では、この磁気シールドの位置を調整する微動機構を設け、しかもこの磁気シールドの表面随所に磁気シールド自身とは電気的に絶縁された複数の電極を配置し、この電極が周辺部品との電気的接触や電子線の電流を検知した場合は、微動機構により位置調整を行うことを可能としている。
【0008】
【作用】本発明になる磁気シールドはコールドトラップ機能を兼ね備えているため、空間的に限定された電子顕微鏡内の試料設置位置で、電子顕微鏡の本来の機能を損なうことなく磁気遮蔽とコンタミネーション対策が同時に行える。また、電子顕微鏡内の試料設置位置における上述の空間的制約は、本発明のように機能を複合化することにより小型化を図ってもなお、磁気シールドの適正位置への設置作業を必然的に困難にするが、本発明の磁気シールドの持つ、他部品への接触や電子線のブロッキングを検知する機能は、この作業を容易に、しかも確実にする効果がある。
【0009】
【実施例】図1において、電子顕微鏡内部の真空部分に設置された磁気シールド1は透磁率が高く、しかも熱伝導率も高い材料(パーマロイ等)により構成されている。図1では、電子顕微鏡全体の構成は省略されている。
【0010】磁気シールド1は透磁率が高いために磁気遮蔽効果があり、電子レンズ4、あるいはそれ以外の要因により磁気シールド1の外部で発生した磁界を遮蔽するので、その内部に試料2を設置した試料ホルダ3を挿入した際に、試料2の位置での磁界を、測定に影響のない程度まで低減する機能を持つ。
【0011】磁気シールド1は更に、これを所定の位置に保持する機能を兼ねた熱伝導路5を介して液体窒素等の低温源6と熱的に結合している。磁気シールド1は熱伝導率が高いため低温源6により充分に冷却される。このため磁気シールド1は、その内部に設置した試料2の近傍の真空度を磁気シールド1外部よりも高める、すなわち、試料2の近傍の圧力を磁気シールド1外部よりも低く保つ機能(コールドトラップ機能)を持つ。
【0012】また、磁気シールド1には、その内部に設置した試料2に電子線7を照射するための孔8が設けてある。この孔8は磁気シールド1の磁気遮蔽効果、および冷却効果を損なわない程度の大きさにしてある。
【0013】磁気シールド1内部に試料2を設置して測定を行えば、磁気遮蔽機能により、試料2に磁気的擾乱を加えることなく測定が行える。このような測定は、試料2が外部磁界により性質の容易に変化してしまう、磁性体等の場合には特に有効である。
【0014】更に、磁気シールド1内部に試料2を設置して測定を行えば、コールドトラップ機能により、電子線7を長時間にわたり試料2に照射しても試料2の表面にコンタミネーションが付着しない。このため、必要な場合には充分な時間をかけて測定することが可能となる。
【0015】本発明の第二の実施例を図2に示す。図2において、磁気シールド1,試料ホルダ3,電子レンズ4,熱伝導路5,低温源6,孔8は、図1によりすでに説明した第一の実施例と同様の構成および機能を持つ。これにより、磁気シールド1内に設置した試料2の測定において、電子レンズ4等による磁気的擾乱及び電子線7照射に伴うコンタミネーションの発生を回避できる。
【0016】図2では更に、磁気シールド1の試料ホルダ3挿入部,孔8の周辺部、及び突起部に複数の電極9が設置してある。これらの電極9は、磁気シールド1とは電気的に絶縁されており、線10を経てスイッチ11に接続されている。図2では電極9,線10,スイッチ11のうち、明瞭に示せるもの以外は省略してある。
【0017】スイッチ11により、電極9を直接に、または断続及び電流検知器12を介して接地するかを選択する。ここで、磁気シールド1,磁気シールド1内に挿入された試料ホルダ3,電子レンズ4,熱伝導路5,低温源6、および電子顕微鏡本体(図示せず)はいずれも接地されている。また、磁気シールド1,熱伝導路5,低温源6から構成される部分は、微動機構13を介して電子顕微鏡本体に固定されており、位置を高精度に調整できるようになっている。
【0018】次に、電極9及び上述したこれに付帯する部分と、微動機構13の機能を説明する。
【0019】一般に、電子顕微鏡内の試料2設置位置は空間的に非常に狭く、しかも高精度に加工した電子レンズ4等の構造の複雑な部品に隣接している。従って、ここに磁気シールド1を設置すると、周辺の他の部品や試料ホルダ3に接触したり、電子線7の試料2への照射を阻害したりする可能性がある。これを回避するためには、磁気シールド1の位置を高精度に調整する必要がある。図2に示した本発明の第二の実施例では、この調整を以下のように行うことが出来る。
【0020】まず、周辺他部品、あるいは試料ホルダ3との接触を回避するためには、接触が起こる可能性の高い部分に設置した電極9を、これに対応するスイッチ11により断続及び電流検知器12に接続し、他の電極9はそれぞれ対応するスイッチ11により直接接地する。断続及び電流検知器12が回路が切断されていることを示した場合には、この部分での接触は起きていない。断続及び電流検知器12が回路が閉じていることを検知した場合には、この部分で接触が起こっている。この場合には、微動機構13を操作し、断続及び電流検知器12が回路の切断を示すまで磁気シールド1を移動する。このような手続きを、接触が起こる可能性のある部分について繰り返すことにより、磁気シールド1と周辺他部品、あるいは試料ホルダ3との接触を回避出来る。
【0021】次に、磁気シールド1が、電子線7の試料2への照射を阻害しないようにするには、孔8の周辺部に設置した電極9の何れか、あるいはいくつかを、これに対応するスイッチ11により断続及び電流検知器12に接続し、他の電極9はそれぞれ対応するスイッチ11により直接接地する。断続及び電流検知器12が電流を検知しない場合には、磁気シールド1は断続及び電流検知器12に接続された電極9の部分では、電子線7の試料2への照射を阻害していない。断続及び電流検知器12が電流を検知した場合には、磁気シールド1が断続及び電流検知器12に接続された電極9の部分で、電子線7の試料2への照射を阻害している。この場合には、微動機構13を操作し、断続及び電流検知器12が電流を検知しなくなるまで磁気シールド1を移動する。このような手続きを、孔8の周辺部に設置した電極9のすべてにおいて電流が検知されなくなるまで繰り返すことにより、磁気シールド1が、電子線7の試料2への照射を阻害しないよう出来る。
【0022】以上のような方法で磁気シールド1の位置を調整すれば、周辺の他の部品や試料ホルダ3に接触したり、電子線7の試料2への照射を阻害したりすることなく磁気シールド1を設置できる。
【0023】これまで述べてきた磁気シールド1では、高透磁率材料の持つ磁束を吸い込む効果を、その内部の空間における磁気遮蔽に利用しているが、逆に透磁率が実質的にゼロである超伝導材料の持つ磁束を跳ね返す効果によっても、これと同様の磁気遮蔽が行える。従って、一般に超伝導材料の熱伝導率は充分に高いことも合わせて考慮すると、本発明になる磁気シールド1は、超伝導材料によっても実現できる。
【0024】本発明になる磁気シールド1を組み込んだ電子顕微鏡の構成を図3に示す。なお、図3は構成や機能を説明するためのものであり、実際の構造や寸法を反映したものではない。図3において、電界放出型電子銃14から電子引き出し及び加速用電極15により引き出され、かつ1MVまでの範囲で加速された電子線7は、電子レンズ4により100nm以下の径になるよう収束され、熱伝導路5により低温源6と熱的に結合した磁気シールド1に設けた孔8を経て、試料ホルダ3に保持され磁気シールド1内に設置された試料2(図3には示されていない)を透過する。電子線7の試料2透過位置は、電子線走査コイル22により走査状に移動する。ここで、孔8の径は、磁界遮蔽効果を維持するために、走査される電子線7の進行の障害にならない範囲で最小に設計してある。試料2を透過した電子線7は電子レンズ4を通り、電子位置及び強度検出器21に入射する。ここで、電子線7は、電子位置及び強度検出器21上での入射位置が走査によりずれない条件において、電子位置及び強度検出器21の感度が最大となるような径に、電子レンズ4により調整される。磁気シールド1の磁界遮蔽効果に影響を与えない位置には窓16が設けてあり、試料2の電子線7透過位置より発生する蛍光X線17及び二次電子19を、それぞれX線検出及び分析器18及び二次電子検出器20により検出できるようになっている。計測制御及びデータ処理装置23は、走査信号24を電子線走査コイル22に供給すると共に、電子線位置信号25、電子線強度信号26、蛍光X線信号27、二次電子信号28を取得して処理を行い、それぞれ試料2の磁場、内部組織、組成、表面形状のデータに変換して、画像データ処理の後、表示装置29に結果を表示する。具体的には、先端方向が<310>、または<100>方向を向いたタングステン単結晶を冷陰極電界放出型電子銃14とし、ここから放出される電子を200kVに加速した後、電子レンズ4により10nm以下の径に収束して、磁気シールド1内に設置した厚さ200nm以下の薄膜試料2に透過させることにより、試料2の磁場分布、内部組織、表面形状の走査像が10nm以下の解像度で測定でき、かつ測定領域での組成分析も可能となる。
【0025】図4に、表示装置29に表示される結果の概念図を示す。図4において、(a),(b),(c),(d)は、それぞれ表面形状像、磁場分布像、内部組織像、及び組成分布である。図3の電子顕微鏡では、同一視野につきこれらの結果を得ることができ、例えば内部組織像に磁場分布像を重ねるなどの画像合成表示や、磁場分布の色表示なども可能である。
【0026】
【発明の効果】本発明になる磁気シールド1の磁気遮蔽機能は、電子レンズ4、あるいはそれ以外の要因により磁気シールド1の外部で発生し、磁気シールド1内に設置した試料2に加わる磁界を、試料2の磁気的性質を乱さない程度まで低減するのに有効である。これは、試料2が外部磁界により性質の容易に変化してしまう、軟磁性体等につき磁場分布を測定する場合には特に有効である。
【0027】更に、磁気シールド1のコールドトラップ機能により、電子線7を長時間にわたり試料2に照射しても試料2の表面にコンタミネーションが付着しない。このため、必要な場合には充分な時間をかけて測定することが可能となる。
【0028】また、磁気シールド1では、周辺に設置された他の部品や試料ホルダへの接触や、電子線7の試料2への照射経路のブロッキングを検知できるので、磁気シールド1の電子顕微鏡内の適正位置への設置作業が極めて容易に、しかも確実に行える。
【0029】このように、本発明の磁気シールド1は磁気遮蔽機能とコールドトラップ機能を合わせ持つため、電子顕微鏡内の試料2設置位置周辺の非常に限定された空間を有効に利用できる。このような空間的制約は、磁気シールド1の電子顕微鏡内の適正位置への設置作業を必然的に困難にするが、本発明の磁気シールド1の持つ、他部品への接触や電子線7のブロッキングを検知する機能は、この作業を容易に、しかも確実に行うのに有効である。
【0030】本発明になる磁気シールド1は電子顕微鏡内の限られた領域で、複合的試料2保護(磁気遮蔽、およびコールドトラップ)を実現するための機能を備えている。




 

 


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