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発明の名称 弾性表面波装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−61774
公開日 平成6年(1994)3月4日
出願番号 特願平4−208787
出願日 平成4年(1992)8月5日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 礒部 敦 / 疋田 光孝 / 浅井 健吾
要約 目的
通過損失が小さく、温度安定性が優れ、経年変化が小さい弾性表面波装置を提供する。

構成
リチウムテトラボレート圧電基板1または窒化アルミニウム圧電薄膜の表面をアルミニウムを主成分とする金属膜2と酸化アルミニウムを主成分とする非金属膜3によって覆う。
特許請求の範囲
【請求項1】潮解性のある圧電基板と、その表面に弾性表面波を送受信することを目的に形成された櫛形電極からなる弾性表面波装置において、前記圧電基板の表面の櫛形電極部を、アルミニウムを主成分とする金属膜と酸化アルミニウムを主成分とする絶縁膜によって覆うことを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項2】リチウムテトラボレート圧電基板とその表面に弾性表面波を送受信することを目的に形成された櫛形電極からなる弾性表面波装置において、リチウムテトラボレート圧電基板表面の電極部を、アルミニウムを主成分とする金属膜と酸化アルミニウムを主成分とする絶縁膜によって覆うことを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項3】請求項2において、前記リチウムテトラボレート圧電基板と、その表面に弾性表面波を送受信するために形成されたアルミニウムを主成分とする櫛形電極からなる弾性表面波装置において、前記リチウムテトラボレート圧電基板の表面の電極を、アルミニウム酸化法により形成する弾性表面波装置。
【請求項4】窒化アルミニウム圧電薄膜とその表面に弾性表面波を送受信するために形成された櫛形電極からなる弾性表面波装置において、前記窒化アルミニウム圧電薄膜の表面の電極部を、アルミニウムを主成分とする金属膜と酸化アルミニウムを主成分とする絶縁膜によって覆うことを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項5】請求項4において、前記窒化アルミニウム圧電薄膜とその表面に弾性表面波を送受信するために形成されたアルミニウムを主成分とする櫛形電極からなる弾性表面波装置において、前記窒化アルミニウム圧電薄膜の表面の電極を、アルミニウム酸化法により形成する弾性表面波装置。
【請求項6】非圧電基板と、前記非圧電基板の上部に弾性表面波を送受信するために形成されたアルミニウムを主成分とする櫛形電極と酸化アルミニウムを主成分とする絶縁膜と、前記櫛形電極と前記絶縁膜の上部に形成された窒化アルミニウム圧電薄膜と、前記窒化アルミニウム圧電薄膜の上部に形成された金属または非金属膜からなる弾性表面波装置において、前記非圧電基板の上部の電極を、アルミニウム酸化法により形成することを特徴とする弾性表面波装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無線通信機又はテレビ用フィルタ,光通信用タイミング抽出フィルタ等に代表される、経年変化を小さくする必要のある通信用弾性表面波装置に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウムテトラボレート(Li247)圧電基板,窒化アルミニウム(AlN)圧電薄膜は電気機械結合係数が大きく、かつ、ゼロ温度係数が報告されており、弾性表面波素子用圧電基板として優れた特性を示す。しかしこれらの材料は潮解性があるため、空気中の水分を吸収して変質する欠点があり、作成素子の保管が難しく、弾性表面波素子として安定性が欠ける、つまり経年変化に関して信頼性が低い欠点があった。また作成プロセスでは水洗洗浄を十分にすることが出来ない欠点があった。このため、電極を形成した圧電基板を、純度の高い乾燥窒素中で封入する、または真空封止することにより変質を防止していた。また電極形成プロセスでも、水洗には溶解酸素濃度の低い超純水を使用し、かつ短時間で水洗をすることにより変質また潮解性による不必要な基板エッチングを最小限に抑えていた。
【0003】電極を形成した圧電基板を真空封止するには、大がかりな真空装置を必要とするばかりではなく、封止作業効率の低下、真空引きに伴う作業時間の増加等問題が多い。純度の高い乾燥窒素は、それ自身が高価である。また、その配管系統の管理が難しい。
【0004】電極形成プロセスでも、水洗に溶解酸素濃度の低い超純水を使用することは、作成コストの上昇を招く。また本来水洗は、不純物などの汚れを除去するため、水洗時間を短くすると、電極材料の腐食,変質を招いてしまう。
【0005】弾性表面波を送受信する電極はインターデジタルトランスデューサ(IDT:Interdigital Transducer)が通常使われている。この電極を用いている弾性表面波を送受信するフィルタ等の弾性表面波素子では、周波数特性においてリップルが発生する場合があることが分かっている。これはIDT電極指エッジによる弾性表面波の反射が主な原因である。この反射係数は圧電基板に強く依存している。リチウムテトラボレート圧電基板の反射係数は、水晶(α−SiO2),リチウムタンタレート(LiTaO3),リチウムナイオベート(LiNbO3)の反射係数と比較して、約4倍大きい。このためリチウムテトラボレート圧電基板を使用した弾性表面波素子は、一般にリップルが大きくなる欠点があった。
【0006】リチウムテトラボレート,窒化アルミニウムにはこの様な欠点があるため、電気機械結合係数が大きく温度特性が優れているにもかかわらず、弾性表面波素子用材料として本格的に採用されるには至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、変質に強い構造を提案することにより、潮解性の材料でも、従来の封止プロセスで、経年変化の小さい弾性表面波装置の作成を可能にすること、また電気機械結合係数が大きく、温度特性が優れたリチウムテトラボレート圧電基板,窒化アルミニウム圧電薄膜を通信用弾性表面波素子に適用し、低挿入損失で温度安定性の優れた弾性表面波装置を作製することである。
【0008】また、本発明の目的は、上記目的を達成するだけではなく、同時にリチウムテトラボレート圧電基板の欠点である電極指エッジによる弾性表面波の反射を極力抑える構造を提案することでもある。
【0009】
【課題を解決するための手段】まず、初めにリチウムテトラボレート圧電基板の変質と弾性表面波の伝搬特性の関係について調べた。図2に従来の櫛形電極を有する弾性表面波素子の断面図を示す。図3(a),(b)に変質が発生した弾性表面波素子の断面図を示す。図3(a)は水蒸気を若干含む空気中に放置した素子、図3(b)は通常の純水に放置した素子である。図3(a)では圧電基板1の露出した部分で変質部4が発生している。図3(b)では圧電基板1の露出した部分で水によるエッチングが発生している。図3(a),(b)共通してアルミニウムを主成分とする金属膜2(以後アルミ膜と略す)で覆われた部分には変質またはエッチングが発生していない。ここで弾性表面波が存在する場所は圧電基板上面の電極部である。このことから弾性表面波の伝搬特性に悪影響を与える変質場所は電極部の、アルミ膜2で覆われていない部分であることが分かる。
【0010】本発明は、弾性表面波が存在する領域全てをアルミ膜と酸化アルミ膜で覆うことにより、弾性表面波の伝搬特性に悪影響を与える圧電基板の変質を防ぐ手段を提供するものである。また、このことは潮解性のある他の材料一般にも適用できることであり、特に潮解性が大きい窒化アルミニウム圧電薄膜を利用した弾性表面波装置でも、圧電基板の変質を防ぐには本発明は有効な手段である。
【0011】
【作用】図1に本発明の1実施例を示す。通常、潮解性のある圧電基板1の表面のアルミ膜2は弾性表面波を送受信または反射することのみを目的に形成される。しかし、本実施例によれば、アルミ膜2の間に酸化アルミニウムを主成分とする絶縁膜3(以後、酸化アルミ膜と略す)を形成することにより、アルミ膜2と酸化アルミ膜3は弾性表面波が存在する基板表面部分を覆い、この部分の変質、または不必要なエッチングを防止する働きをする。
【0012】また、電極部のアルミ膜2で覆われていない部分の酸化アルミ膜3は圧電基板の変質等を防ぐだけではなく、電極指エッジの弾性表面波の反射を抑制する働きも同時に行なう。
【0013】本発明の構造をとることにより、弾性表面波素子作成プロセスを簡略化することが出来る。また水晶(α−SiO2),リチウムタンタレート(LiTaO3),リチウムナイオベート(LiNbO3)等、潮解性のない圧電材料を用いた場合と同じように、乾燥窒素で封入することでも、十分に経年変化の小さい弾性表面波装置を作成することが出来る。
【0014】
【実施例】図1に本発明の実施例1としてリチウムテトラボレート圧電基板を用いた弾性表面波素子の断面図を示す。リチウムテトラボレート圧電基板1の表面に弾性表面波を送受信するIDTとしてアルミ膜2を形成している。またアルミ膜2の間を埋めるように酸化アルミ膜3が存在している。リチウムテトラボレートは潮解性があるため、水または酸性溶液に対して、溶解、または変質する。このため弾性表面波が存在する場所のリチウムテトラボレートを、水,酸性溶液、または空気中の水分等、変質原因となる物質と隔離する必要がある。弾性表面波が存在する場所はアルミ膜2と酸化アルミ膜3とその近傍のリチウムテトラボレート圧電基板1表面、つまり、電極部である。アルミ膜2と酸化アルミ膜3が存在することにより、この近傍のリチウムテトラボレート圧電基板は変質原因となる物質と接触せず、リチウムテトラボレートが潮解性で変質することを防いでいる。また酸化アルミ膜3が存在することにより、電極指エッジによる弾性表面波の反射を抑える働きも行なっている。
【0015】図4に本発明の実施例2を示す。本実施例は実施例1と同様に、リチウムテトラボレート圧電基板を用いた弾性表面波素子であり、同図には入出力電極間の弾性表面波伝搬部分も合わせて記述してある。入出力電極間の弾性表面波伝搬部分も弾性表面波の伝搬特性を大きく左右する領域であるため、この領域の変質も防止する必要がある。実施例では、この領域のリチウムテトラボレート表面をも酸化アルミ膜3によって保護している。なお、この部分は、酸化アルミ膜ではなくアルミ膜であっても同様の効果が得られる。
【0016】図5に本発明の実施例3を示す。実施例1と同様に、リチウムテトラボレート圧電基板を用いた弾性表面波素子である。実施例1と異なる特徴は、酸化アルミ膜3とアルミ膜2の厚さが異なることである。しかし実施例1と同様に、潮解性による変質の防止、電極指エッジによる弾性表面波の反射を抑える働きをしている。
【0017】図6に本発明の実施例4を示す。リチウムテトラボレート圧電基板1表面のアルミ膜2と酸化アルミ膜3の上部に誘電体膜5が存在している。アルミ膜2と酸化アルミ膜3が存在することにより、誘電体膜5の作製プロセスでも、圧電基板の変質、圧電基板の不要なエッチングを防止している。またアルミ膜の間に酸化アルミ膜が存在することにより、基板表面の凹凸が小さくなるため、誘電体膜5を作製しやすくなる。
【0018】図7に本発明の実施例5として窒化アルミニウム圧電薄膜を用いた弾性表面波素子の断面図を示す。窒化アルミニウム圧電薄膜をエピタキシャル成長させるための基板6と、その上部にエピタキシャル成長した窒化アルミニウム圧電薄膜7と、その上部のアルミ膜2と酸化アルミ膜3によって構成されている。窒化アルミニウム圧電薄膜のエピタキシャル成長基板6として、現在サファア(α−Al23)と単結晶シリコン(Si)が知られている。
【0019】窒化アルミニウム圧電薄膜7の表面に弾性表面波を送受信する電極としてアルミ膜2を形成している。またアルミ膜2の間を埋めるように酸化アルミ膜3が存在している。窒化アルミニウムは潮解性があるため、水または酸性溶液に対して、溶解、または変質する。このため弾性表面波が存在する場所の窒化アルミニウムを、水,酸性溶液、または空気中の水分等変質原因となる物質と隔離する必要がある。弾性表面波が存在する場所はアルミ膜2と酸化アルミ膜3とその近傍の窒化アルミニウム圧電薄膜7である。アルミ膜2と酸化アルミ膜3が存在することにより、この近傍のアルミニウム圧電薄膜7は変質原因となる物質と接触せず、窒化アルミニウムが潮解性で変質することを防いでいる。また酸化アルミ膜3が存在することにより、電極指エッジによる弾性表面波の反射を抑える働きも行なっている。
【0020】図8に本発明の実施例6を示す。電気機械結合係数を大きくする、または温度特性を良くするため、実施例5のアルミ膜2と酸化アルミ膜3の上部に酸化亜鉛,窒化アルミニウム等の圧電、または多結晶SiO2 ,BGO等の非圧電薄膜5を形成している。この場合も、本発明の効果がある事は明らかである。なお薄膜5に窒化アルミニウムを用いた場合、実施例7に示されるように、その表面を金属または非金属膜によって保護する必要が有る。
【0021】図9に本発明の実施例7を示す。シリコン,サファイア,ガラス等非圧電基板9と、その上部の弾性表面波を送受信するアルミ膜2と酸化アルミ膜3と、その上部にエピタキシャル成長した窒化アルミニウム圧電薄膜7と、その上部に形成された金属、または非金属膜8によって構成されている。一般に窒化アルミニウムを弾性表面波素子に適用する場合、窒化アルミニウムはエピタキシャル成長していないと大きな電気機械結合係数を得ることができない。この時、下地基板が重要である。実施例7の構造では下地基板はサファイアとシリコンに限定されてしまう。窒化アルミニウム圧電薄膜7をアルミ膜2とアルミニウム酸化法によって形成された酸化アルミ膜3上に形成することにより、アルミ膜2と酸化アルミ膜3の下地基板は、弾性表面波装置の性格にあった材料を選ぶことができる。また窒化アルミニウム圧電薄膜7の表面は、金属または非金属で保護されているから、窒化アルミニウム圧電薄膜7の変質を守る働きも十分に行われている。
【0022】次に本発明による弾性表面波素子の作製方法について説明する。本発明の弾性表面波装置を作製する、アルミニウム酸化法によって電極を形成する方法が最も容易である。図10にアルミニウム酸化法の1手段として、リチウムテトラボレート圧電基板を使用した本発明の実施例8を示す。はじめにリチウムテトラボレート圧電基板1上にアルミ膜2を形成し、アルミ膜の上部にレジスト材料10を作製する。このレジスト10に光露光,電子ビーム露光等と現像により電極パターン構造を形成する。そしてレジスト10が除去された領域のアルミ膜2を酸化し、最後に全てのレジスト10を除去する。このアルミ膜2を酸化する方法には、陽極酸化法,酸素イオンの打ち込み、及び酸素雰囲気中によるアニールの三種類がある。陽極酸化法では、四ホウ酸アンモニウム,酒石酸塩またはエチレングリコール溶液中で、アルミ膜に一定電圧をかける。このことにより、露出しているアルミ膜を緻密な酸化アルミ膜に変えることができる。この方法により、膜厚1μm程度までのアルミ膜を酸化アルミ膜に変化させることができる。
【0023】酸素イオン打ち込み法は、イオン化した酸素を高電場により加速し、アルミ膜内部に打ち込む。この時、加速電圧を制御することにより、アルミ膜を緻密な酸化アルミ膜に変化させることができる。なお、必ずしも高電圧で酸素イオンを加速する必要はない。アルミ膜中の酸素の自由拡散に任せてもよい。
【0024】アニール法は、酸素雰囲気中で基板を加熱する方法である。このことにより、アルミ膜がひとりでに雰囲気中の酸素を吸収し、酸化アルミ膜に変化する。この方法により、膜厚数百Åのアルミ膜を酸化アルミ膜に変化させることができる。
【0025】酸素イオン打ち込み法,アニール法では、場合によってはレジスト膜が劣化し、プロセスに耐えられない場合が生じる。図11にレジスト膜として多結晶SiO2膜 を使用した場合の実施例9を示す。はじめにリチウムテトラボレート圧電基板1上にアルミ膜2及び多結晶SiO2膜11を形成し、多結晶SiO2膜11の上部にレジスト材料10を作製する。次にこのレジスト10に光露光,電子ビーム露光等と現像により電極パターン構造を形成し、多結晶SiO2 膜11をエッチングする。そしてレジスト11を除去し、酸素イオン打ち込み、または酸素雰囲気中アニールを行い、酸化アルミ膜3を形成する。最後に多結晶SiO2膜11を全て除去する。
【0026】この様に、本実施例によれば、陽極酸化法,酸素イオン打ち込み法,アニール法などアルミニウム酸化法によって容易に作製することができる。
【0027】
【発明の効果】潮解性があるリチウムテトラボレート圧電基板,窒化アルミニウム圧電薄膜表面をアルミ膜と酸化アルミ膜で覆うことにより、経年変化の小さい弾性表面波装置を作成することが出来る。また弾性表面波素子作製プロセス中に於いても圧電基板の変質、または不要な圧電基板のエッチングを防止するため、周波数特性の優れた弾性表面波素子を作製することができる。またリチウムテトラボレート圧電基板,窒化アルミニウム圧電薄膜は温度特性が良く、電気機械結合係数が大きいため、挿入損失が小さく、通過帯域が広いフィルタを作成することが出来る。また、電極指エッジによる弾性表面波の反射が小さいため、通過帯域内のリップル,位相歪,群遅延時間の歪が小さい弾性表面波装置を作成することが出来る。またアルミニウム酸化法を用いることにより、容易に作成することが出来る。




 

 


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