米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 電気素子 -> 株式会社日立製作所

発明の名称 薄型トランス及びそれを用いた電源装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−61072
公開日 平成6年(1994)3月4日
出願番号 特願平4−291124
出願日 平成4年(1992)10月29日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 ▲高▼橋 正 / 恩田 謙一 / 叶田 玲彦 / 堀江 秀明 / 萩原 修哉 / 内山 倫行 / 斉藤 達
要約 目的
本発明は高周波で安定して動作し、損失の少ない薄型トランスを目的としており、さらにこれを搭載した薄型電源及び薄型のパーソナル機器を提供することを目的とする。

構成
薄型トランスは、導体断面が円形でその外周が絶縁された複数の絶縁導線を近接して渦巻状に複数段巻回してなるコイル体で、前記複数の前記導線のうち一部を一次巻線,残りを二次巻線とし、前記二次巻線の複数の導線は前記一次巻線の導線の表面と接触して巻回されてなる構成。
特許請求の範囲
【請求項1】導体断面が円形でその外周が絶縁された複数の絶縁導線を平面上で渦巻状に巻回してなるコイル体で、前記複数の前記導線のうち一部を一次巻線とし、残りを二次巻線とした構成を特徴とする薄型トランス。
【請求項2】導体断面が円形でその外周が絶縁された絶縁導線を平面上で渦巻状に巻回したコイル体を複数段積層し、前記複数のコイル体のうちの一部を一次巻線とし、残りを二次巻線とした構成を特徴とする薄型トランス。
【請求項3】導体断面が円形でその外周が絶縁された複数の絶縁導線を近接して渦巻状に複数段巻回してなるコイル体で、前記複数の前記導線のうち一部を一次巻線,残りを二次巻線とし、前記二次巻線の複数の導線は前記一次巻線の導線の表面と接触して巻回されてなる構成を特徴とする薄型トランス。
【請求項4】請求項3において、奇数段の導線と偶数段の導線とは各導線径の中心がずれるように巻回した構成を特徴とする薄型トランス。
【請求項5】請求項4において、外周に段差を有するボビンに前記複数本の導線を巻回した構成を特徴とする薄型トランス。
【請求項6】請求項5において、前記ボビン上下面に巻線ガイド板を設け、少なくとも前記ガイド板若しくは前記ボビンの何れかに前記導線引出用の端子を設けたことを特徴とする薄型トランス。
【請求項7】請求項3において、前記複数の絶縁導線のうち、導線の径が少なくとも2種類以上異なることを特徴とする薄型トランス。
【請求項8】請求項7において、前記複数の絶縁導線のうち、二次巻線となる導線は一次巻線となる導線の径より小さいことを特徴とする薄型トランス。
【請求項9】軸になる導線の外周に絶縁被膜を介して、複数の導線を同心螺旋状に巻回した複合導線を、平面上で渦巻状に巻回してなるコイル体で、前記軸になる導線を一次巻線,他の導線を二次巻線としたことを特徴とする薄型トランス。
【請求項10】請求項9において、前記軸となる導線を複数の電線の組合せにより細分化構成したことを特徴とする薄型トランス。
【請求項11】請求項9において、前記1個の渦巻状コイル体と、渦巻方向が逆のコイル体とを重ね合わせ、各コイル体の内周端で複合電線の各構成導線を接続したことを特徴とする薄型トランス。
【請求項12】請求項1から請求項11において、前記導線が渦巻状に巻回されてなるコイル体の外形は角型であることを特徴とする薄型トランス。
【請求項13】請求項1から請求項11の何れかに記載の薄型トランスにおいて、前記導線が渦巻状に巻回されてなるコイル体を磁性体で包囲したことを特徴とする薄型トランス。
【請求項14】請求項1から請求項11の何れかに記載の薄型トランスにおいて、前記導線が渦巻状に巻回されてなるコイル体に放熱板を設けたことを特徴とする薄型トランス。
【請求項15】請求項1から請求項11の何れかに記載の薄型トランスにおいて、前記導線が渦巻状に巻回されてなるコイル体を複数個設け、そのコイル体を直列または並列または直並列接続して構成したことを特徴とする薄型トランス。
【請求項16】請求項15において、互いに隣接する前記コイル体における一次巻線の電流の方向が同じ向きになるように各コイル体を接続したことを特徴とする薄型トランス。
【請求項17】請求項1から請求項16の何れかに記載の薄型トランスを、電圧変換する部署に用いたことを特徴とする電源装置。
【請求項18】請求項1から請求項16の何れかに記載の薄型トランスと電源回路部品とを同一基板上に配置したことを特徴とする電源装置。
【請求項19】請求項18記載の電源装置を用いてなるパーソナルコンピュータ,ワードプロセッサ及びディスク装置等のポータブルな情報処理装置。
【請求項20】請求項1から請求項16の何れかに記載の薄型トランスを用いてなるパーソナルコンピュータ,ワードプロセッサ及びディスク装置等のポータブルな情報処理装置。
【請求項21】請求項20において、前記薄型トランスを装置のケースに埋め込んで配置したことを特徴とする情報処理装置。
【請求項22】請求項21において、前記薄型トランスの引出線は、該トランスの一次,二次巻線の同一極性に接続されるものをペアとして近接し配置したことを特徴とする情報処理装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄型トランスとそれを用いた電源装置及びその電源装置を用いたOA機器やAV機器等のポータブルな情報処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の薄型トランスは、例えば特開平4−42907号公報に記載のように、幅の広い箔を複数枚それぞれ絶縁して積層し、それを巻回した後切り出して得られる円形薄板状のコイルの一部を一次巻線,その他を二次巻線としてトランスを構成させるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術で得られるトランスは複数のコイルを同一平面上に配置しているため、トランスの一次と二次の巻数比が1:3以上になると、一次巻線と直接接触しなくなる二次巻線が出てくる。この場合、二次巻線と一次巻線間の磁気結合が極端に悪くなり、トランスとしての所要の特性を達成することができないという問題がある。また、3出力以上の多出力を取る場合も導体数が4以上となり上記と同様の問題が生じる。また、OA機器やAV機器等のパーソナル機器における電源装置は、出力電圧が様々な多出力が要求されるため、従来技術のトランスを用いて上記電源装置を構成することには問題がある。
【0004】さらに、上記従来技術のトランスの一次,二次巻線導体の断面が角形となることから一次,二次巻線間の静電容量が大きくなってしまい、高周波で使用する場合はトランスとしての磁気的な結合の外にこの静電容量により一次,二次の結合が生じたり、またこの静電容量と回路のインダクタンスとの間で共振現象が生じてしまう。このため高周波で動作させることは難しく、高周波で動作させると損失が増加し高い効率が得られないという問題がある。
【0005】本発明の目的は、磁気結合が大きく、高周波で使用しても静電容量により一次,二次の結合が少なく共振等が生じない安定して動作する薄型トランスと、かつ本発明の他の目的は、この特性を損なうこと無く巻数比が1:3以上、多出力が可能な薄型トランスを提供することにある。
【0006】さらに、本発明の他の目的は、上記薄型トランスを電源装置に用いることで装置全体として薄型化を図ると共に、この電源装置をOA機器またはAV機器等のパーソナルな情報処理装置に用いることで装置の小型,薄型化を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明では、導体断面が円形でその外周が絶縁された複数の絶縁導線を平面上で渦巻状に巻回してなるコイル体で、前記複数の前記導線のうち一部を一次巻線とし、残りを二次巻線とした構成を薄型トランスの特徴とする。
【0008】また、他の目的を達成するために本発明では、導体断面が円形でその外周が絶縁された複数の絶縁導線を近接して渦巻状に複数段巻回してなるコイル体で、前記複数の前記導線のうち一部を一次巻線,残りを二次巻線とし、前記二次巻線の複数の導線は前記一次巻線の導線の表面と接触して巻回されてなる構成を薄型トランスの特徴とする。または他の手段としては、軸になる導線の外周に絶縁被膜を介して、複数の導線を同心螺旋状に巻回した複合導線を、平面上で渦巻状に巻回してなるコイル体で、前記軸になる導線を一次巻線,他の導線を二次巻線とした構成を薄型トランスの特徴とする。
【0009】さらに、他の目的を達成するために本発明では、上記薄型トランスを、電圧変換する部署に用いて、該トランスを電源回路部品と同一基板上に配置した電源装置を特徴とする。また、この電源装置をパーソナルコンピュータ,ワードプロセッサ及びディスク装置等のポータブルな情報処理装置の電源部に用いることを特徴とした。
【0010】
【作用】本発明によれば、トランスの構成を、複数の絶縁導線を一次,二次巻線として近接密着して平面に配置するので、厚み方向に対し隙間無く配置でき、かつ鉄芯が無く導体のみで構成出来るため薄型化が可能である。そして、一次,二次の巻線導体は近接接触して配置するため高周波で使用する場合は各導体に高周波電流が流れるので表皮効果により密着した一次,二次導体の電流の流れる間隔が近づき、磁気的な結合が良くなる。このため、磁性体の鉄芯がなくとも一次巻線が作る磁束のほとんどを二次巻線で捕捉できるので、一次,二次間の結合が高くかつ鉄損が無いため、効率がよい。また、一次,二次巻線は円形断面の絶縁導線を用いるので、両導線を近接しても点でしか接触しないことより両導線間の静電容量を最小に出来、高周波でも安定して動作できる。
【0011】また、複数段巻回してなるコイル体あるいは同心螺旋状に巻回した複合導線により、一次巻線の導線の表面と接触して二次巻線の導線を複数巻回できるので、上記特性を損なうこと無く、二次巻線の接続状態で巻線比の大きなもの、あるいは多出力を得ることができる。
【0012】さらに、上記薄型トランスを、電源回路部品と同一基板上に配置できるので電源装置の薄型化が図れる。また、この電源装置をパーソナルコンピュータ,ワードプロセッサ及びディスク装置等のポータブルな情報処理装置の電源部に用いることで装置全体として薄型化が図れる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図3により説明する。図1は導体断面が円形でその外周が絶縁された2本の絶縁導線C11,C12を平行に近接させ、この2本を一緒に同一平面上で渦巻状に巻回してコイル体を形成し、この絶縁導線C11,C12の両端にそれぞれ端子T11,T12,T21,T22を設け、この絶縁導線C11,C12それぞれを一次巻線、二次巻線とすることにより薄型トランスを形成する。図2は図1の2つの巻線C11,C12を断面で見たときの磁束分布を示す。図示のように巻線C11,C12の外周は絶縁皮膜IS1,IS2が施され、両者はその絶縁皮膜を介して隣接している。いま、一次巻線であるC11に交流電流を流したとすると、先ず、周波数が低い場合には、表皮効果が小さいためC11の断面(中心部C1L,周辺部C1H)全体に電流が流れる。従って、低周波では図示のように一次巻線C11のC1L,C1Hで作られる磁束φ1 は二次巻線C12の断面における中心部C2L,周辺部C2Hともに包んでいる。しかし、磁束φ2,φ3は二次巻線のC2L,C2Hを全て含んでいないので、全体として一次巻線の作る磁束を二次巻線が全て捕捉(鎖交)できない。ところが、周波数が高くなると表皮効果のため一次巻線の中心部C1Lには電流が流れず、導体周辺部C1Hに集中して流れるようになる。このため一次巻線が作る磁束が二次巻線に捕捉されやすくなる。また、二次巻線でも一次と同様に表皮効果で導体の表面のC2Hにしか電流が流れない。この結果、高周波では図示のように導体C1Hの作る磁束φ1〜φ3は全て二次巻線C2Hを包むので、二次巻線が磁束を全て捕捉でき一次と二次の結合が良くなり、その結果一次と二次の電圧変換効率が良くなる。また、図1のように渦巻状に巻回する事で、渦巻の内周を通る磁束は全ての導体と鎖交するため更に結合係数が良くなり電圧変換効率が向上する。
【0014】図3は本実施例の薄型トランスにおける周波数に対する一次,二次の結合係数を示す。同図に示されるように周波数が10kH以上では結合係数が急に良くなり、100kH以上では100%に近くなることがわかる。
【0015】以上、本発明の一実施例によれば、高周波で鉄損が無く効率の高い薄型で構造が簡単なトランスを得ることができる。
【0016】図4は本発明の他の実施例を示す。これは上記絶縁導線C11,C12のそれぞれを単独に平面上で渦巻状に巻回し、それら巻回したコイルを上下2段に密着積層し、上段コイルを一次巻線に下段コイルを二次巻線としてトランスを構成する。この構成によって得られるトランスとしての効果は上記図2,図3を用いて説明したと同様の効果が得られる他に、用途に応じて上記コイルを複数段積層することで、一次と二次の巻線比(電圧比)を自由に変化でき、また多出力を実現できるという効果が得られる。
【0017】図5は本発明の他の実施例を示す。同図は導体断面が円形でその外周が絶縁された4本の絶縁導線C11,C12,C13,C14を互いに接触させて渦巻状に巻回して構成した薄型トランスを示す。ここでトランスの断面A−A′は図6に示すように、導線C11,C12,C13,C14は同じ線径であり、また導線C11,C12と導線C13,C14はそれぞれ同一平面上で2段に配置し、かつ導線C11,C12と導線C13,C14とは導線の半径分だけ位置をずらせて上下2段に配置している。ここで、導線C11を一次巻線とし、導線C12,C13,C14を二次巻線としてトランスを形成すると、図示のように一次巻線C11に二次巻線C12,C13,C14のいずれもが直接接触しており、一次巻線と二次巻線の電磁気的な関係は図2,図3で説明したのと同様に磁気結合が良好になる構成を示している。
【0018】なお、図5では4本の導線のうちの1個を一次巻線に残りの3個を二次巻線としており、ここで各二次巻線を直列接続すれば1:3の巻数比の出力が出来る。また、各二次巻線からそれぞれ出力をとれば1:1の出力が3個とる事も出来る。このように用途にあわせて多数のアレンジができる。また他の効果としては、各段の導体をずらして配置しているため、トランスの厚さtは導体径をDとし、導体段数をmとすると(1)式で表される様に図4で構成されるトランス厚さ(導体の径Dと段数mをかけた寸法mD)より小さくできる効果がある。
【0019】
t=D+(m−1)×(√3/2)×D …(1)図7は本発明の他の実施例を示す。同図は6本の絶縁導線C11,C12,C13,C14,C15,C16を互いに接触させ、導線C12,C13と導線C11,C14及び導線C16,C15がそれぞれ同一平面でそれぞれ3段に配置し、かつ各段の導体C12,C13とC11,C14及びC16,C15がそれぞれほぼ導線の半径分位置をずらして配置している。ここで、一次巻線をC11としたときこの導体の周囲には二次巻線となる導線C12,C13,C14,C15,C16が配置される。これにより、図5と同様一次,二次間の結合を良好に出来ると共にトランスの厚みを小さくできるなどの効果が得られるのに加え、一次,二次巻線が同一径ならば1:5までの巻線比が、または1:1の出力が5個まで取ることができる。
【0020】図8は本発明の他の実施例を示す。これも図7と同様に段数を3段にした例で、6本の絶縁導線を使用し、一次巻線をC11,C15にして二次巻線をC12,C13,C14,C16に選んだ例であり、各段の導体を導体径の半分ずらして配置している。この様に配置すると全ての一次,二次巻線が互いに直接接触しているので結合が良い。2本の一次巻線を並列接続し、他の4本の導体を二次巻線として直列に接続すると1:4の巻数比が得られる。また、一次巻線をC13,C14,C15にして並列接続し、他の3導体を直列に接続すると1:3の巻数比が得られ、全ての一次,二次巻線が互いに直接接触しているので結合も良い。この様に一次,二次巻線が直接接触するように選ぶ事で結合も良くしながら、一次,二次巻線の接続を直列,並列に変えれば巻数比を1:1〜1:5に選ぶ事が出来る。
【0021】図9は本発明の他の実施例を示す。これは図5,図7,図8より構成されるトランスの空心部にボビンGC を入れ、ボビンの外周の形状は丁度導線径の半分の段差を有し、またボビン上下面にはガイド板GS1,GS2を設け、更にはボビン若しくはガイド板面に導線引出用の端子T1,T2,T3,T4を設ける構成にしたところに特徴を有する。これにより、このボビンの外周に沿って導線を巻回すれば、図5,図7,図8のトランスを容易に製作することができると共に、ガイド板GS1,GS2により導線の電気的,機械的な保護ができるという効果が得られる。なお、図9においてガイド板GS1,GS2が製作後不要ならこれを取り除いてトランスを形成しても何ら差し支えない。
【0022】図10は本発明の他の実施例を示す。この例は径の異なる絶縁導線を組み合わせた例である。図示のように径の小さい4本の導線C12〜C15と径の大きい1本の導線C11を配置している。径の小さい導線は径の大きい導線径の半分に選んだ例であり、これを渦巻状に巻回した断面の一部の2回分を示している。一次巻線をC11とし、他の導線を二次巻線とすると、一次,二次巻線が直接接触しているので、一次,二次間の結合を良くする事が出来る。さらに、一次,二次共に同一径の導線を用いたこれまでの実施例に比べ、導体の占積率が上がりトランスを小型,薄型化できる。
【0023】なお、同図において、一次巻線をC11とし、二次巻線C12,C13,C14,C15を直列接続して使用すると1:4の巻数比が得られる。また、二次巻線C12,C13及びC14,C15を各々並列接続したものを直列接続すると1:2の巻数比が得られる。
【0024】図11は本発明の他の実施例を示す。この例は径の小さい1本の導線C11を径の大きい4本の導線C12,C13,C14,C15で囲むようにこれら導線を渦巻状に巻回する。この時、径の小さい導線は径の大きい導線径の(√2−1)倍に選んでいる。ここで、一次巻線をC12,C14に、二次巻線をC11,C13,C15とすると一次と二次の各巻線は直接接触しているので、一次,二次巻線の結合を良くする事が出来る。
【0025】なお、同図において、一次巻線C12,C14を並列接続し、二次巻線C13,C15を直列接続してC11を単独で使用すると、1:2と1:1の2組の出力が得られる。また、C11を一次巻線として他を二次巻線とする事もできる。
【0026】図12は4本の導線を角型に巻回した本発明の他の実施例であり、図5は円形に巻回しているがこの例は角型の巻枠に同時に巻回する事により平面的に角形形状に構成できる。図示のように4本の導線C11,C12,C13,C14を互いに接触させて外周方向に巻回してコイル体を形成した例である。導線C11,C12,C13,C14は同じ線径を用いており、その断面は図6に示すように導線C11,C12と導線C13,C14がそれぞれ同一平面でそれぞれ2段に配置し、かつ導線C11,C12と導線C13,C14がほぼ導線の半径分位置をずらして配置している。この様な形状にすれば図5の実施例の効果のほかに、装置に組み込むときに無駄なスペースがなくなり、配置し易い効果がある。すなわち、電源に使用する場合は他の部品との配置が容易でかつ、複数のトランスを配置するのにも無駄なスペースがなくなり、スペースファクターを良くできる。
【0027】図13は本発明によるトランスの一構成例を示す。同図のトランスの構成において、上記までのトランスの構成と大きく異なるところは、一次巻線となる1本の絶縁被膜した大電流導線11と、二次巻線となるn本、一例として4本の絶縁被膜した小電流導線21,22,23,24よりなる同心螺旋巻複合電線2を平面的に渦巻状に巻回して構成するところである。この同心螺旋巻複合電線2の構成例を図14により説明する。大電流導線11を軸とし、その外周に4本の小電流導線21,22,23,24を同心螺旋状に巻き付けている。この構成によれば4本の小電流導線は全て大電流導線との幾何的な位置関係がほぼ等しく、従って結合係数や漏れインダクタンスについても4本の小電流導線間の差異は小さい。
【0028】このトランスにおいて、例えば外部結線により二次巻線の端子21bと22a,22bと23a,23bと24aを接続することで、二次巻線の端子21aと24b間の電線の総長は軸となる二次巻線の端子11aと11b間の電線の総長のほぼ4倍となる。図14に示す複合電線2に高周波電流を流すと表皮作用により一次,二次巻線間の結合が良好になり漏れ磁束が減少することから、一次,二次巻線の鎖交磁束量はほぼ1:4となり、トランス1の電圧比も1:4となる。また二次巻線21〜24の全てまたは一部を単独の二次巻線として用いることも可能であり、一つの一次巻線に対して複数の二次巻線を持つ多巻線トランスとして使用することもできる。
【0029】図15は本発明の図13の変形例を示す。同図は同心螺旋巻複合電線2の一例の断面図を示すが、一例として3本の12a,12b,12cをまとめて大電流導線12とし、これを軸としてその外周に、一例として10本の小電流導線27a,27b,…,27jを螺旋状に巻き付けた例である。ここで大電流導線の3本の素線12a,12b,12cに絶縁被覆電線を用いてもよく、または裸電線を使用して3本まとめて小電流導体との間で絶縁層を設けてもよい。また3本の素線12a,12b,12cの間での転位の有無は問わない。本実施例によれば大電流導線の必要な断面積を確保したまま素線径を小さくできるため、剛性が小さく可撓性が大きい複合電線2を構成でき、渦巻状に巻回してトランスを構成する際の作業性が良く、内径の小さいトランスを製作できる。また素線12a,12b,12cに絶縁被覆電線を用いた場合には各素線間に渡って流れる渦電流を防止できることから、損失低減と効率向上の効果もある。
【0030】図16は本発明の図13の変形例を示す。同図は同心螺旋巻複合電線2の一例の断面図を示す。これは大電流導線13および小電流導線28a,28b,28c,28dを細線集合電線で構成した例である。本実施例によれば各導線を単線で構成した場合に比べて同じ断面積としても剛性が小さい複合電線2を構成でき、内径が小さい渦巻状のトランスを作業性良く製作できる。また各素線に絶縁被覆付電線を用いることで、高周波電流を流した際の表皮効果による実効的な抵抗増加や、渦電流による損失増加を防ぐことができ、効率向上を図れる効果がある。なお図16には大電流導線13と小電流導線28a,28b,28c,28dを構成する素線の線径が同じ例を図示したが、両者の素線径が異なってもかまわない。
【0031】図17は仕様に応じて本発明の図12で示した角型形状のコイル体C1 と同じ形状のコイル体を複数配置した例である。この例では4個のコイル体C1〜C4を縦横2個ずつ隙間無く配置した。この様に分散して配置すれば作り易い大きさのコイル体を作り、そのコイル体を配置することが出来るので量産に適している。ここでは角型の例を示したが、図1のような円形のコイル体を複数配置しても同じ効果が得られる。
【0032】図18は図17に示したような4個のコイル体C1〜C4を配置した場合の最適な配置と接続の例である。ここでは分かり易くするため、一次巻線C11〜C41のみを示し、その配置と接続を示した。なお、二次巻線は省略したが一次巻線と同じ接続である。図は同じ形状のコイル体を4個配置した例であり、図示のように第1の導体C11のコイル体の外側端子T111 を全体端子T01に接続し、内側の端子T112を第2の導体C21のコイル体の内側端子T212に、第2の導体C21のコイル体の外側端子T211を第3の導体C31のコイル体の外側端子T311に接続する。第3の導体C31のコイル体の内側の端子T312 を第4の導体C41のコイル体の内側端子T412に接続し、第4の導体C41のコイル体の外側端子T411は全体の端子T02に接続する。この様に前のコイル体の外側端子には次の外側端子を、内側端子には次の内側端子を順次接続する。この様に接続すると図示のように隣あう導体C11と導体C21及びC41の矢印に示すように電流の方向が同じようになり、導体C11の一次巻線と導体C21の二次巻線の間及び、導体C11の二次巻線と導体C21の一次巻線の間でも結合するので両コイル体間の一次巻線と二次巻線との間で結合がさらに良くなる。同様に各コイル体間の全てで結合が良くなる効果がある。
【0033】図19は複数のコイル体の並列接続の実施例である。同じ形状のコイル体を4個配置した例で、一次巻線を簡略化して示した。配線は第1と第3の導体C11,C31の奇数コイル体の巻終わり端子T111,T311及び第2と第4の導体C21,C41の偶数コイル体の巻始め端子T212とT412を全体端子T01に接続し、残りの端子すなわち、第1と第3の導体C11,C31の奇数コイル体の巻始め端子T112,T312及び第2と第4の導体C21,C41の偶数コイル体の巻終わり端子T211,T411 を全体端子T02に接続する。この様に各コイル体を並列接続すると図示のように隣あう導体C11と導体C21及びC41の矢印に示すように電流の方向が同じようになり、同様に全てのコイル体間の一次,二次間の結合が良くなる。
【0034】図20は三角形に配置したコイル体の直列接続の実施例である。同じ三角形状のコイル体を4個配置した例で、一次巻線を簡略化して示した。接続は第1の導体C11のコイル体の巻終わり(外側)端子T111 を全体端子T01に接続し、巻始め(内側)端子T112を第2の導体C21のコイル体の巻始め端子T212に接続し、第2の導体C21のコイル体の巻終わり端子T211 を第3の導体C31のコイル体の巻終わり端子T311に接続する。第3の導体C31のコイル体の巻始め端子T312を第4の導体C41のコイル体の巻始め端子T412 に接続し、第4の導体C41のコイル体の巻終わり端子T411 は全体の端子T02に接続する。この様に接続すると図示のように隣あう導体C11と導体C21及びC41の矢印に示すように電流の方向が同じ向きになり、同様に全てのブロック間の一次,二次間の結合が良くなる。
【0035】図21は本発明の他の実施例を示す。これは同心螺旋巻複合電線2を渦巻状に巻回したコイル体3と、同心螺旋巻複合電線2′を逆方向に巻いたコイル体3′を重ね合わせてトランス1′を構成した例である。本実施例においては端子11bと11b′を接続することで両渦巻状コイル体3,3′の外周端子11aと11a′の間に大電流コイルが形成される。巻数が多い小電流コイルについては例えば端子21bと21b′,21a′と22a,22bと22b′,22a′と23a,23bと23b′,23a′と24a,24bと24b′を接続することで外周端子21aと24a′の間に大電流コイルのほぼ4倍の長さのコイルが形成される。本実施例によれば渦巻状のコイル体の内,外周端にまたがる接続線を設けることなく外周端に所定の端子を形成することができ、トランスを搭載する回路基板の配線や周辺回路との配線引き回しが簡略にできる効果がある。この実施例においてはコイル体3と3′は別体である必要はなく、1本の同心螺旋巻複合電線2を連続して巻回して構成すれば、内周端の結線が不要となり、製作工程が簡略化されて信頼性も向上する。
【0036】本発明においては電線の巻回体がそれだけで高周波トランスとして動作することは以上に記載したとおりであるが、磁路がないことから周囲の空間を流れる磁束が多くなる場合もある。そこで図22に一例を示すように、同心螺旋巻複合電線2のコイル体3の周囲に磁気シールド体30で包囲して空間に流れる磁束を低減する構造が効果的である。本構成例によれば磁気シールド効果に加えて、比較的低い周波数域でも一次,二次間の磁気結合向上を図れる効果もある。図22に示した実施例の磁気シールド体30はフェライトパウダーや磁性金属粉末等の磁性粒子を混入した樹脂を塗布したり、磁性粒子を塗布したテープ材を巻き付けて構成することができる。またアモルファスや微結晶質の箔状磁性体や珪素鋼板帯で構成することもできる。この磁気シールド体30はコイル体3の全体を包囲する閉磁路である必要はなく、一部分を覆う開磁路構造でも効果がある。
【0037】また、図22にはコイル体3の周囲に磁気シールド体30で包囲した上に更に銅板等からなる放熱板HFを設けており、これによりコイル体3に発生する熱を外部に効率良く放出することができる。
【0038】図23は本発明の薄型トランスを電源装置に用いたときの一構成例を示す。この電源装置はDC/DCコンバータであり、図24はその具体的回路を示す。まず、この図を用いて本発明の薄型トランスと装置を構成する他の部品との接続関係を説明する。入力に直流電圧Vi を加え、これと並列に平滑用コンデンサP1を接続する。これらに直列に薄型トランスC1 の一次巻線C11とスイッチング素子PTを直列接続する。薄型トランスの二次巻線C12に直列にダイオードD1 を接続し、この両端にダイオードD2 を接続し、このダイオードD2 に並列にチョークコイルCh とコンデンサP2 を接続する。コンデンサP2 の両端から出力V0 を得る。又、出力電圧V0 を安定化するため出力電圧V0 を制御回路SCに入力し、制御回路SCは出力V0 の間に抵抗R1 とR2 を接続し、その接続点から増幅器OPに入力する。更に増幅器OPの他の入力端子には基準電圧VS を接続する。増幅器OPの出力にはフォトカップラーPCの入力に接続する。フォトカップラーPCの出力はパルス幅変調器発信器(PWM OSC)PWを接続し、その出力にはスイッチング素子PTのベースに接続する。
【0039】図23は上記DC/DCコンバータを構成する薄型トランスC1 ,チョークコイルCh ,パワー素子PT,ダイオードD1,D2、コンデンサP1,P2,制御回路CC 及び外部接続用の端子Tm を同一の配線基板Bd 上に配置したものである。ここでは、チョークコイルCh として前記薄型トランスの一次巻線のみを使用している。
【0040】以上のように本発明によれば電源装置を構成する半導体素子と同一の基板上に薄型トランスを取付けることができるので電源装置として薄型化できるという効果が有る。
【0041】図25は図23の電源装置をパーソナルコンピュータに備えた一構成例を示す。DIはディスプレイで、電源装置PSは薄型化によりケースCAの中のキーボードKB下に設置することができる。従来のパーソナルコンピュータの電源装置(アダプター)はケースCAの外にあり電源配線が複雑であったがこの点でも本発明により解消された。なお、本発明の電源装置の適用は同図のパーソナルコンピュータに限られるものではなく、ワードプロセッサー等のパーソナルな小型OA機器の情報処理装置に用いることでより発明の効果が得られる。
【0042】図26,図27は本発明の電源装置をパーソナルOA機器に配置した場合の各実施例で図は機器の断面図を示す。図26は、キーボードKBとケースCAとの間にOA機器の部品BHと電源装置の駆動回路PCを配置し、薄型トランスC1はケースの底の部分に埋め込んでいる。この様にすると機器の小型,薄型が可能になる。
【0043】図27はキーボードKBとケースCAとの間にOA機器の部品BHと電源装置の駆動回路PCを配置し、薄型トランスC1,C2はケースの両側に分けて埋め込んでいる。この様にするとパーソナル機器の小型,薄型が可能になる。
【0044】図28は図26,図27に示す薄型トランスとその配線を示す。電源装置本体から薄型トランスを離す場合でも、一次巻線と二次巻線の引出線C11HとC12Hは接近配置させる。この様にすると一次配線部C11Hと二次配線部C12Hの結合が良くなり、この部分でも電圧変換部として働くので有効に利用できる。又、配線部の導体を薄型トランスと異なる物を使用しても近接配置すれば同じ効果が得られる。
【0045】図29は本発明の電源装置をAV機器等のコンパクト光ディスク装置に用いた一構成例を示す。ディスクDESはケースCAに取付けられたモータM1 により回転駆動され、ディスクDESへの情報の入出力は光ヘッドPHより行われ、ヘッド送りモータM2 は光ヘッドを移動させるものである。ここで、モータM1 ,ヘッド送りモータM2 等の電源として本発明の電源装置PSを用いるがその配置はスペース的にみてヘッド機構PH,M2 とは反対側のケース上にしている。これにより装置の薄型化が図れるという効果がある。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、トランスの構成を、複数の絶縁導線を一次,二次巻線として近接密着して平面に配置するので、厚み方向に対し隙間無く配置でき、かつ鉄芯が無く導体のみで構成出来るため薄型化が可能である。そして、一次,二次の巻線導体は近接接触して配置するため高周波で使用する場合は各導体に高周波電流が流れるので表皮効果により密着した一次,二次導体の電流の流れる間隔が近づき、磁気的な結合が良くなる。このため、磁性体の鉄芯がなくとも一次巻線が作る磁束のほとんどを二次巻線で捕捉できるので、一次,二次間の結合が高くかつ鉄損が無いため、効率がよい。また、一次,二次巻線は円形断面の絶縁導線を用いるので、両導線を近接しても点でしか接触しないことにより両導線間の静電容量を最小に出来、高周波でも安定して動作できる。
【0047】また、複数段巻回してなるコイル体あるいは同心螺旋状に巻回した複合導線により、一次巻線の導線の表面と接触して二次巻線の導線を複数巻回できるので、上記特性を損なうこと無く、二次巻線の接続状態で巻線比の大きなもの、あるいは多出力を得ることができる。
【0048】さらに、上記薄型トランスを、電源回路部品と同一基板上に配置できるので電源装置の薄型化が図れる。また、この電源装置をパーソナルコンピュータ,ワードプロセッサ及びディスク装置等のポータブルな情報処理装置の電源部に用いることで装置全体として薄型化が図れる。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013