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発明の名称 円形加速器及び円形加速器の運転方法並びに半導体露光装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−61000
公開日 平成6年(1994)3月4日
出願番号 特願平4−211240
出願日 平成4年(1992)8月7日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 ▲廣▼田 淳一 / 平本 和夫 / 西 政嗣
要約 目的
本発明の目的は、小型で、輝度の高い放射光を発生できる円形加速器及び円形加速器の運転方法、並びに高輝度の放射光を利用できる半導体露光装置を提供することにある。

構成
前段加速器11から出射した電子ビーム12を入射器13により蓄積リング内に入射させ、加速・蓄積する。その後、主偏向磁石14と補助偏向磁石15の間の直線軌道部に設置した挿入光源18を励磁し、その内部に交番磁界を発生させる。この交番磁界で電子ビームを蛇行又は螺旋運動させ、蛇行軌道の頂点又は螺旋軌道上から放出される放射光を重ね合わせることによって、輝度の高い放射光19を発生させる。
特許請求の範囲
【請求項1】電子ビーム又は陽電子ビームを加速・蓄積する円形加速器において、前記電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に放射光を重ね合わせる手段を設けたことを特徴とする円形加速器。
【請求項2】電子ビーム又は陽電子ビームを加速・蓄積する円形加速器において、前記電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に複数の偏向磁石を設け、該偏向磁石は励磁量が異なる隣合う偏向磁石の組を有し、該偏向磁石の間に挿入光源を設けたことを特徴とする円形加速器。
【請求項3】電子ビーム又は陽電子ビームを加速・蓄積する円形加速器において、前記電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に複数の偏向磁石を設け、該偏向磁石は偏向半径が異なる隣合う偏向磁石の組を有し、該偏向磁石の間に挿入光源を設けたことを特徴とする円形加速器。
【請求項4】電子ビーム又は陽電子ビームを加速・蓄積する円形加速器において、前記電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に複数の偏向磁石を設け、該偏向磁石は偏向角度が異なる隣合う偏向磁石の組を有し、該偏向磁石の間に挿入光源を設けたことを特徴とする円形加速器。
【請求項5】電子ビーム又は陽電子ビームを加速・蓄積する円形加速器において、前記電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に複数の偏向磁石を設け、該偏向磁石は励磁量が異なる隣合う偏向磁石の組と、励磁量が等しい隣合う偏向磁石の組とを有し、該励磁量が等しい偏向磁石の間に挿入光源を設けたことを特徴とする円形加速器。
【請求項6】請求項2乃至請求項5の何れかに記載の円形加速器において、前記挿入光源として、プレーナ型又はヘリカル型のアンジュレータ、若しくは、プレーナ型又はヘリカル型のウィグラーを用いたことを特徴とする円形加速器。
【請求項7】電子ビーム又は陽電子ビームを加速・蓄積する円形加速器において、前記電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部から放射される放射光のうち、輝度が最大となるピーク波長より長波長域の放射光を利用することを特徴とする円形加速器。
【請求項8】請求項7に記載の円形加速器において、前記ピーク波長より長波長域の放射光を反射・集光する手段を設けたことを特徴とする円形加速器。
【請求項9】請求項1乃至請求項8の何れかに記載の円形加速器において、前記電子ビーム又は陽電子ビームの前段加速器を蓄積リングの内側に設けたことを特徴とする円形加速器。
【請求項10】請求項2乃至請求項6の何れかに記載の円形加速器の運転方法において、前記電子ビーム又は陽電子ビームの入射時に前記挿入光源を動作させることにより、ビームのベータトロン振動の放射減衰時間を短縮することを特徴とする円形加速器の運転方法。
【請求項11】放射光を用いて半導体の露光処理を行う半導体露光装置において、電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に複数の偏向磁石を設け、該偏向磁石は励磁量が異なる隣合う偏向磁石の組を有し、該偏向磁石の間に挿入光源を設けた円形加速器と、前記偏向部から放射される放射光を反射又は集光する手段と、該手段で反射又は集光された放射光を用いて半導体基板上に所望のパターンを転写するパターン転写装置とで構成したことを特徴とする半導体露光装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子又は陽電子の円形加速器に係り、特に小型で、輝度の高い放射光を発生するのに好適な円形加速器及びその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の円形加速器に関しては、技術雑誌 月刊フィジクス Vol.5 No.11,1984,p.711〜p.721に記載のシンクロトロン放射光発生装置等がある。図2に示すシンクロトロン放射光発生装置の概略図を用いて、従来例を説明する。前段加速器21から出射した電子又は陽電子ビーム(以下、電子ビーム等と呼ぶ)を入射器系22により蓄積リングに入射させる。入射した電子ビーム等は、収束又は発散用4極磁石26,軌道補正用ステアリング磁石27,偏向磁石23により周回軌道28上に保持される。その後、電子ビーム等は加速機能を有する蓄積リングの場合、高周波加速空胴25により所望のエネルギーまで蓄積リング内で加速される。また、所望エネルギーで入射する場合はそのエネルギーのまま蓄積される。所望エネルギーで蓄積された電子ビーム等は、蓄積リング内を周回するとき、偏向磁石23により偏向される毎にそのエネルギーの一部を放射光24として放出する。この放射光を半導体の微細加工等に使用する。この放射光の放出により失われるエネルギーを、蓄積リング内に設けられた高周波加速空胴25で補償することにより、所望エネルギーの電子ビーム等を蓄積リング内の周回軌道28上に保持することができる。偏向磁石23から放出される放射光24のうち長波長域の輝度を高くする方法として、蓄積リング内の周回軌道28に沿って交番磁界を印加し、電子ビーム等に蛇行又は螺旋運動をさせることにより、蛇行軌道の頂点又は螺旋軌道上から放出される放射光を重ね合わせる挿入型発光装置(以下、挿入光源と呼ぶ)18が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、挿入光源は電子ビーム等の直線軌道部に設置する必要があるので、小型化を要求されるような蓄積リングでは、挿入光源を多数設置できないという問題がある。即ち、小型蓄積リングは直線軌道部が少なく、その直線軌道部には前述したように4極磁石,ステアリング磁石,入射器系、及び高周波加速空胴等が設置されるため、小型のまま多数の挿入光源を設置して、輝度を高くすることはできない。
【0004】本発明の目的は、小型で、輝度の高い放射光を発生できる円形加速器及び円形加速器の運転方法、並びに高輝度の放射光を利用できる半導体露光装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための第1の発明は、電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に放射光を重ね合わせる手段を設けたものである。
【0006】上記目的を達成するための第2の発明は、電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に複数の偏向磁石を設け、該偏向磁石は励磁量が異なる隣合う偏向磁石の組を有し、該偏向磁石の間に挿入光源を設けたものである。
【0007】第3の発明は、電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に複数の偏向磁石を設け、該偏向磁石は偏向半径が異なる隣合う偏向磁石の組を有し、該偏向磁石の間に挿入光源を設けたものである。
【0008】第4の発明は、電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に複数の偏向磁石を設け、該偏向磁石は偏向角度が異なる隣合う偏向磁石の組を有し、該偏向磁石の間に挿入光源を設けたものである。
【0009】第5の発明は、電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に複数の偏向磁石を設け、該偏向磁石は励磁量が異なる隣合う偏向磁石の組と、励磁量が等しい隣合う偏向磁石の組とを有し、該励磁量が等しい偏向磁石の間に挿入光源を設けたものである。
【0010】第6の発明は、電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部から放射される放射光のうち、輝度が最大となるピーク波長より長波長域の放射光を利用するようにしたものである。
【0011】第7の発明は、電子ビーム又は陽電子ビームの入射時に挿入光源を動作させ、ビームのベータトロン振動の放射減衰時間を短縮するようにしたものである。
【0012】第8の発明は、電子ビーム又は陽電子ビームの偏向を行う偏向部に複数の偏向磁石を設け、該偏向磁石は励磁量が異なる隣合う偏向磁石の組を有し、該偏向磁石の間に挿入光源を設けた円形加速器と、前記偏向部から放射される放射光を反射又は集光する手段と、該手段で反射又は集光された放射光を用いて半導体基板上に所望のパターンを転写するパターン転写装置とで構成したものである。
【0013】
【作用】第1の発明では、放射光を重ね合わせる手段を偏向部に設けることによって、偏向部で電子ビーム等から放出される放射光を重ね合わせることができるので、輝度の高い放射光を発生することができる。
【0014】第2の発明及び第5の発明では、励磁量が異なる隣合う偏向磁石の組を有する複数の偏向磁石を偏向部に設けることによって、偏向磁石の励磁量を適切に選択すれば、偏向部の軌道長をほとんど変えずに、偏向磁石間に直線軌道部を設けることができる。この偏向磁石間の直線軌道部に挿入光源を設けることによって、挿入光源内で電子ビーム等に蛇行又は螺旋運動をさせ、蛇行軌道の頂点又は螺旋軌道上から放出される放射光を重ね合わせることができるので、小型蓄積リングの大きさを変えずに輝度の高い放射光を発生することができる。
【0015】第3の発明では、偏向半径が異なる隣合う偏向磁石の組を有する複数の偏向磁石を偏向部に設けることによって、偏向磁石の偏向半径を適切に選択すれば、偏向部の軌道長をほとんど変えずに、偏向磁石間に直線軌道部を設けることができる。従って、この偏向磁石間の直線軌道部に挿入光源を設けることによって、小型蓄積リングの大きさを変えずに輝度の高い放射光を発生することができる。
【0016】第4の発明では、偏向角度が異なる隣合う偏向磁石の組を有する複数の偏向磁石を偏向部に設けることによって、偏向磁石の偏向角度を適切に選択すれば、偏向部の軌道長をほとんど変えずに、偏向磁石間に直線軌道部を設けることができる。従って、この偏向磁石間の直線軌道部に挿入光源を設けることによって、小型蓄積リングの大きさを変えずに輝度の高い放射光を発生することができる。
【0017】第6の発明では、偏向部から放射される放射光のうち、輝度が最大となるピーク波長より長波長域の放射光を利用することによって、ミラー等の反射手段を適切に選択すれば、広範囲な反射角に渡って放射光を反射・集光できるので、輝度の高い放射光とすることができる。
【0018】第7の発明では、電子ビーム等の入射時に挿入光源を動作させ、ビームのベータトロン振動の放射減衰時間を短縮することによって、低エネルギーの電子ビーム等を多数回蓄積リング内に入射できる。従って、蓄積リング内の蓄積電流を増加させ、輝度の高い放射光を発生することができる。
【0019】第8の発明では、励磁量が異なる隣合う偏向磁石の組を有する複数の偏向磁石を偏向部に設けることにより、偏向磁石の励磁量を適切に選択すれば、偏向部の軌道長をほとんど変えずに偏向磁石間に直線軌道部を設けることができる。従って、この偏向磁石間の直線軌道部に挿入光源を設けることにより小型蓄積リングの大きさを変えずに輝度の高い放射光を発生することができ、この放射光を用いることにより高輝度の半導体露光処理を行うことができる。
【0020】
【実施例】図1を用いて本発明の第1の実施例を説明する。図1は、電子ビームを用いたレーストラック型のシンクロトロン放射光発生装置の概略図を示す。同図は、電子ビームを加速・蓄積する蓄積リングと、蓄積リングに電子ビーム12を入射させる前段加速器11からなる。蓄積リングは、電子ビーム12の入射器13と、収束又は発散用の4極磁石16と、エネルギー供給用の高周波加速空胴17と、偏向用の偏向部とからなる。偏向部は、主偏向磁石14と補助偏向磁石15とで構成され、主偏向磁石14の励磁量を補助偏向磁石15の励磁量よりも大きくして、主偏向磁石14と補助偏向磁石15の間に作った直線軌道部に4ケの挿入光源18を配置している。前段加速器11から出射した電子ビーム12を入射器13により蓄積リング内に入射させた後、主偏向磁石14,補助偏向磁石15,4極磁石16、及び高周波加速空胴17をパターン運転することによって、所望のエネルギーまで電子ビームをシンクロトロン加速し、蓄積リング内に蓄積する。電子ビームを蓄積後、主偏向磁石14と補助偏向磁石15の間の直線軌道部に設置した挿入光源18を励磁することにより挿入光源内に交番磁界を発生させる。この交番磁界で電子ビームを蛇行又は螺旋運動させ、蛇行軌道の頂点又は螺旋軌道上から放出される放射光を重ね合わせることにより、輝度の高い放射光19を発生させることが可能となる。尚、挿入光源として永久磁石を用い、その磁極幅を狭めることにより、上記放射光の重ね合わせを行うこともできる。
【0021】ここで、図1の構成を用いたときの輝度の増加について説明する。前段加速器11としてレーストラックマイクロトロンを使用し、電子を20MeV程度に加速して入射し、その後、蓄積リング内で1GeVまで加速して蓄積する場合を考える。このとき、偏向磁石の磁場Bは、 B=E/(0.3ρ) …(数1)
B:偏向磁場(T)
E:電子のエネルギー(GeV)
ρ:偏向磁石の曲率半径(m)
となる。また、挿入光源18から放出される放射光のピーク波長λは、 λ=λ0(1+cK2)/2γ2 …(数2)
λ :挿入光源から放出される放射光のピーク波長(m)
λ0 :挿入光源のピッチ(m)
c :挿入光源の型で決まる定数c=1/2 プレーナ型c=1 ヘリカル型K:挿入光源を特徴づける定数K=93.4Bλ0γ:相対論のガンマ(=電子のビームエネルギー/電子の静止エネルギー)
と表わすことができる。挿入光源としてはアンジュレータとウイグラーとがあり、挿入光源内での電子ビームの振動回数が多いものをアンジュレータ、振動回数が少ないものをウイグラーと呼んでいる。数2に示した定数Kを用いれば、K≦1なるものがアンジュレータ、1≪Kなるものがウイグラーである。アンジュレータとウイグラーとでは振動回数の差により、輝度を高める効果に違いが生じる。即ち、アンジュレータでは図3の33で示すように、特定の波長の輝度を選択的に高めることができる。これは、アンジュレータ内での振動回数が多いので、放射光の重ね合わせが十分に行われることにより、波長が揃ってくるためである。これに対して、ウイグラーでは図3の32で示すように、アンジュレータのような波長選択性はなく、広い波長域に渡って輝度が高くなる。特に、偏向磁石のスペクトル31に比べて、短波長側の輝度を高くできることが特徴である。これは、ウイグラー内での振動回数が少ないので、放射光の重ね合わせが十分に行われないことによる。
【0022】以下、一例としてヘリカル型アンジュレータを用いて説明する。ヘリカル型アンジュレータを用いた場合の放射光の輝度Pは、 P=6.5×101122 …(数3)
P:挿入光源を用いた時の輝度N:挿入光源の周期数と表わすことができる。挿入光源を用いないときの放射光の輝度P´は、 P´=2×10112 …(数4)
であるから、挿入光源を用いた場合、従来の輝度を挿入光源の周期数の2乗に比例して増加させることができる。
【0023】次に小型化について説明する。放射光の波長を一例として約150Åとする。放射光の輝度をできるだけ落とさないようにするため電子のエネルギーをE=1GeV一定として、従来装置と本発明を図2と図1を用いて比較する。
【0024】まず、従来装置の大きさを見積もる。従来装置で偏向磁石から放出される放射光のピーク波長λ´は、 λ´=18.6/(E2B) …(数5)
λ´:偏向磁石から放出される放射光のピーク波長(Å)
で与えられる。ピーク波長をλ´=150Åとするために必要な偏向磁石の磁場は数5より、B=0.12 Tとなる。これに対応する偏向磁石の曲率半径は数1より、ρ=27.8 mで、この偏向磁石を用いて図2のような蓄積リングを構成すると蓄積リングの周長は最低でも約170mと非常に大きくなる。そこで、輝度の低下を多少認めても小型化することを優先させ、ピーク波長より長波長域の放射光を利用することを考える。蓄積リングを小型化するためには、偏向磁石の曲率半径ρを小さくする必要がある。数1より曲率半径ρを小さくするためには、偏向磁場Bを大きくする必要があり、これに伴い、数5で表わされる放射光のピーク波長λ´は小さくなる。いま、ピーク波長をλ´=10Åとすれば、図3の31で示した放射光のスペクトル特性から、波長150Åにおける輝度はピーク波長における輝度P´の1/3〜1/2程度に低下する。この輝度低下を認めれば、数5より偏向磁場はB=1.9T となり、これと数1より曲率半径はρ=1.8m となる。これにより、蓄積リング周長を直線軌道部を含めて約17mと小さくできる。
【0025】一方、図1に示す本発明の場合、放射光のピーク波長λ=150Åを実現するための挿入光源は、例えばピッチ5cm、周期数10,K=1.14(挿入光源磁場=0.2T)、全長0.8mとなる。いま、従来装置との比較のために補助偏向磁石15の磁場は従来と同じB=1.9T とする。この場合、主偏向磁石の磁場を4Tとすると、主偏向磁石と補助偏向磁石の間に挿入光源を設置するための直線軌道部を約1m作り出すことができる。この蓄積リングの周長は約17mであり、ピーク波長を10Åとした従来型のリングと同程度になる。また、補助偏向磁石15の磁場を強くしたり、磁場に勾配をつけたりする(弱収束型とする)ことにより、さらに小型のシステムを構成することが可能となる。この場合、挿入光源から放出される放射光の輝度は、数3,数4より従来型の約325倍となり、約325倍の電流を蓄積することと等価になる。以上のように、本実施例によれば、小型で、輝度の高い放射光を発生することができる。
【0026】尚、上記実施例では、主偏向磁石14の励磁量を補助偏向磁石15の励磁量よりも大きくしたものについて説明したが、主偏向磁石14の曲率半径又は偏向角度を、補助偏向磁石15の曲率半径又は偏向角度よりも大きくして、主偏向磁石14と補助偏向磁石15の間に直線軌道部を作り、ここに挿入光源18を設置しても同様の効果が得られる。また、上記実施例では、レーストラック型蓄積リングの例について説明したが、これ以外の構造の蓄積リングにおいても同様の効果が得られる。
【0027】次に、図4を用いて本発明の第2の実施例を説明する。本実施例の基本構成は図1と同じで、図1の主偏向磁石14が2個の主偏向磁石141とその間に設置した挿入光源18とに置き変わっている。その他の構成は図1と同じなので、ここでは説明を省略する。図1に示した第1の実施例において、補助偏向磁石15,挿入光源18、及び主偏向磁石14により構成される偏向部の電子軌道は、主偏向磁石14の中心線に対して対称となっている。従って、主偏向磁石14をその中心線で分割しても他の部分の電子軌道にはほとんど影響しない。主偏向磁石を中心線で2分割したものが図4に示す第2の実施例である。2分割した主偏向磁石141の間には直線軌道部が生じるので、ここにも挿入光源18を設置することが可能となる。従って、2ケ所の偏向部を本実施例のように構成することにより、蓄積リングの周長をあまり変化させずに蓄積リングに6個の挿入光源を設置できるので、小型の蓄積リングで、輝度の高い放射光を発生できると共に、放射光の取り出し領域を拡大できる。これにより、発生させた放射光を同時に、複数の用途に利用することができる。
【0028】次に、図5を用いて本発明の第3の実施例を説明する。本実施例では、蓄積リングの外側に偏向磁石から放出される放射光を集光するミラー51と、ミラー51で集光した放射光を用いて半導体基板上に所望のパターンを転写するパターン転写装置52とを設置している。また、図1では蓄積リングの外側に配置していた前段加速器11を蓄積リングの内側に配置した。本実施例の蓄積リングの基本構成は図1と同じであるので、ここでは説明を省略する。放射光のうちピーク波長以外の輝度は、図3の31で示したように低下するが、主偏向磁石14又は補助偏向磁石15から放出される放射光のうち、ピーク波長より長波長域の放射光をミラー51で集光することにより、この輝度低下を改善することができる。即ち、長波長域の放射光を用いることにより、広範囲な反射角に渡ってミラーを用いて放射光を反射・集光できるので、放射光の輝度を高くすることができる。こうして、輝度を高めた長波長域の放射光をパターン転写装置52に導くことにより、縮小露光処理などに利用することができる。また、本実施例では偏向磁石から放出される放射光を集光する例を示したが、挿入光源から放出される放射光を集光することによって、複数の挿入光源の放射光を重ね合わせて、より高輝度の放射光とすることもできる。更に、本実施例では前段加速器11を蓄積リングの内側に配置することにより、装置全体を小型にすると共に、放射光の取り出し領域を広範囲に拡大できるので、発生させた放射光を同時に、複数の用途に利用できる。
【0029】次に、低エネルギーの電子ビーム入射時の運転方法について説明する。工業用途を目指した放射光発生装置では、設置面積の小さいことは第一に要求されることである。そのためには、蓄積リング内で所望のエネルギーまで電子を加速する機能を有することは必須であり、これに応じて入射エネルギーを低くすることができる。入射直後、電子ビームは大きなベータトロン振動を有している。この振幅は、電子ビームが偏向磁石を通過するとき放射光を放出することにより次第に減衰してゆく。しかし、電子ビームのエネルギーが小さいときには放出される放射光の波長が長く、放射パワーも小さいためこの減衰時間は非常に長い(数分〜数十分)。従って、入射を多数回繰り返すことはできない。放射光のピーク波長は、数1,数5より、電子のエネルギーの3乗に逆比例し、偏向磁石の曲率半径に比例する。そこで、図1に示す構成の蓄積リングに電子ビームを入射したときに主偏向磁石と補助偏向磁石の間に設置した挿入光源を励磁し入射電子を蛇行又は螺旋運動させて放射光の放出を促進させることによって、放射減衰時間を短縮することができる。放射減衰時間が短縮されると入射電子ビームの空間的広がり(エミッタンス)を小さくでき、入射電子ビームの損失を抑えることができる。さらに、低エネルギー状態でも多数回の電子ビーム入射が可能となり、蓄積電流を大電流化できる。従って、輝度の高い放射光を発生することができる。
【0030】尚、以上の実施例では電子ビームを用いた例について説明したが、陽電子ビームを用いても同様の効果は得られる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、小型で、輝度の高い放射光を発生できる円形加速器及び円形加速器の運転方法、並びに高輝度の放射光を利用できる半導体露光装置を提供することができる。また、放射光の取り出し領域を拡大できるので、発生させた放射光を同時に、複数の用途に利用できる。




 

 


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