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発明の名称 重水素放電管
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−60852
公開日 平成6年(1994)3月4日
出願番号 特願平4−214912
出願日 平成4年(1992)8月12日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】中村 純之助
発明者 新井 要次 / 木村 剛 / 安田 誠 / 福田 剛
要約 目的
封入ガスの減少を防ぎ、短寿命を避けて小型化できる重水素放電管を得る。

構成
放電により生じる重水素ガスイオンまたは重水素原子を再結合させるために、光の取出し方向の一部を除き、金属隔壁6をさらに蔽った金属等の囲い10を設ける。
特許請求の範囲
【請求項1】重水素または水素を封入した管内に、電子放射物質を塗布した陰極と陽極とを囲み、上記陰極から上記陽極に至る放電路を形成する金属隔壁を設け、上記金属隔壁の一部に上記放電路を狭窄するための小穴を設けた重水素放電管において、光の取出し方向の一部を除き、上記金属隔壁をニッケルなどの金属で、さらに蔽った囲いを設けたことを特徴とする重水素放電管。
【請求項2】上記金属隔壁をさらに蔽う囲いは、電極導入線を避けて管の内面または外面に施した、ニッケルなどの金属被膜、導電性被膜または絶縁物質の被膜であることを特徴とする請求項1記載の重水素放電管。
【請求項3】上記金属被膜、導電性被膜または絶縁物質の被膜は、融点が350°以上の被膜であることを特徴とする請求項2記載の重水素放電管。
【請求項4】上記金属隔壁をさらに蔽う囲いは、上記金属隔壁の光取出し方向の一部を除くその周囲を蔽う囲いであることを特徴とする請求項1記載の重水素放電管。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分光光度計や液体クロマトグラフィの光検知器などの紫外域光源として用いられる、特に寿命の改良を行った重水素放電管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】重水素放電管については、日本分光学会編「光源の特性と使い方」(昭和60年3月、学会出版センター)の20頁から30頁に記載されている。
【0003】重水素放電管の外観は図5(a)に示すように、石英または硬質ガラスからなるバルブ1が同種のガラスからなるステム2に溶着されて、密閉容器を形成している。上記バルブ1の管内には遮蔽箱を形成する金属隔壁6で蔽った電極部および数Torrの重水素ガスまたは水素ガスが封入されている。また、19は光取出し窓を示し、12は光取出し方向を示す。28は電極に電力を供給するための導入線である。
【0004】図5(b)に従来の重水素放電管の電極中心部の横断面図を示す。電極にはコイル状のフィラメントからなる陰極3と平板状陽極4とを配置し、上記陰極3および陽極4の途中には、放電を狭窄させるための小穴5を有する隔壁板7を設けた構造の放電管である。また、放電路を制御するために、ニッケルなどの金属で密閉した遮蔽箱を形成した金属隔壁6が上記電極を蔽っている。上記構造の放電管に直流電圧を印加して放電すると、上記陰極3と陽極4との間にプラズマ29を生じ、上記放電狭窄用の小穴5の部分で封入ガスが発光するため、紫外域に強い連続スペクトルを放射する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術による重水素放電管では、点灯することによって封入ガスが徐々に減少し、これに基き寿命が短くなるという関係から、上記バルブの容積を30〜50cm3程度にする必要があり、上記容積以下にすると封入ガスの減少が著しく促進されて短寿命になるため、上記放電管を小型化することが難しかった。
【0006】本発明は、封入ガスの減少を防いで、小型化しても長寿命が得られる重水素放電管を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、重水素または水素を封入した管内に、電子放射物質を塗布した陰極と陽極とを囲み、上記陰極から上記陽極に至る放電路を形成する金属隔壁を設け、上記金属隔壁の一部に上記放電路を狭窄するための小穴を設けた重水素放電管において、光の取出し方向の一部を除き、上記金属隔壁をニッケルなどの金属で、さらに蔽った囲いを設けることによって達成される。
【0008】発明者等は図6に示すような2重管構造の重水素放電管を製作し、封入ガスの減少が、ガラスに拡散、透過することによる減少か、または金属表面などにトラップされることによる減少なのかを、実験により確認した。実験においては放電管の外径が20mm、長さが50mmの石英バルブ1とステム2とを、溶着によって密閉容器とし、上記密閉容器内には陰極3と陽極4および放電を狭窄させるための小穴5を有する隔壁板7などの電極部を配置し、その周囲に金属板で蔽った金属隔壁6を設けている。また、上記バルブ1の表面周囲は外径30mmの石英管で蔽って二重管24とし、上記バルブの内部には従来と同じ重水素ガスを数Torr充填した。なお、上記バルブ1の光取出し窓8も、平面状窓27を有する石英で形成した空間部25を溶着して二重構造にした。上記バルブ1を蔽った石英二重壁とバルブ1との間の空間を高真空に保持した二重管構造の重水素放電管を試作し、300mAの定電流電源で点灯しながら封入ガスの変化を測定した。上記実験の結果により、点灯することによってバルブ1を取巻く外側の高真空空間側に重水素ガスが洩れ、点灯時間に比例して上記外側高真空空間側の重水素ガス量が増し、放電管のバルブ1内の重水素ガスが減少して行くということが判った。
【0009】上記現象は放電によって生じるプラズマが陰極3と陽極4との間のみに生じるわけではなく、上記金属隔壁6の開口部から外側にも広がる。特に上記金属隔壁6の外側で生成した重水素イオンまたは重水素原子はバルブ1の管壁方向へと進み、石英などのガラスに拡散し透過するために、上記バルブ1内の重水素ガスが減少するものと推定できる。したがって、重水素ガスイオンや重水素原子をバルブ壁に到達または透過させないために、上記金属隔壁6の外側をさらに金属などで蔽って第2の囲いを設け、上記重水素ガスイオンや重水素原子を再結合させれば、放電管内の重水素ガスの減少を抑制することが可能で、上記目的を達成することができる。
【0010】
【作用】重水素放電管は従来の技術欄に記載したように、バルブとステムを溶着した密閉容器内に、陰極と陽極とをそれぞれ蔽った金属隔壁と、上記陰極と陽極との間に形成する放電路を狭窄するための小穴を設けた隔壁板とともに、重水素ガスまたは水素ガスを封入しているが、上記構成の放電管に電圧を供給して放電させた場合に、放電によって生成される重水素のイオンまたは重水素原子は、拡散によってバルブの管壁方向に進むが、殆んどのイオンおよび原子は電極を囲む金属隔壁で再結合する。しかし前記のように、放電によって生じるプラズマは金属隔壁の開口部から外に洩れるため、上記金属隔壁の外においても重水素のイオンまたは原子が生成され、これらのイオンまたは原子はバルブの内壁へと向う。
【0011】本発明の重水素放電管では、上記バルブの内壁または外壁に金属被膜または導電性被膜を蒸着などによって形成している。そのため、放電により生成された重水素ガスイオンは管壁に向けて進み、管壁に設けた金属被膜や導電性被膜に到達した際に、上記重水素ガスイオンや重水素原子は再結合されて元の重水素ガス(D2)の状態に戻る。上記現象は石英をスパッタリングして形成した絶縁物質の被膜でも、同様の効果が得られることが確認された。また、上記金属隔壁をさらに蔽う金属の囲いを設けた場合には、上記重水素ガスイオンや重水素原子が上記金属隔壁の外で生成しても、これらをさらに蔽う金属の囲いによって再結合される。
【0012】したがって、本発明による構造では石英ガラスのバルブに到達し拡散・透過する重水素ガスイオンや重水素原子がなくなり、放電によってバルブ内の重水素ガスが減少するのを防ぐため、重水素放電管の寿命を延ばし小型化することが可能になる。
【0013】
【実施例】つぎに本発明の実施例を図面とともに説明する。図1は本発明による重水素放電管の第1実施例を示す電極部の断面図、図2は上記重水素放電管の第2実施例を示す電極部の断面図、図3は上記重水素放電管の第3実施例を示す電極部の横断面図、図4は上記実施例の電極部縦断面図である。
【0014】本発明の第1実施例である図1において、1は放電管容器であるバルブを示し、石英ガラスからなり、端部は石英製のステム2と溶着されて密閉容器になっている。上記バルブ1内には重水素ガスを数Torr封入している。電極部分を遮蔽する金属隔壁6は、陰極室と陽極室とを分離し、上記金属隔壁6内には隔壁板7を挾んで、タングステンからなる3重コイルのフィラメントに、熱電子放射物質であるBaO、SrO、CaO等の酸化物を塗布した陰極3と、モリブデンからなる平板形状の陽極4とが、上記隔壁板7の放電狭窄用小穴5を挾んで対置されている。上記陽極4には中心部に直径2mmの小穴が設けてある。また、上記陰極3と陽極4との間の放電狭窄用の小穴5の直径は1mmである。上記陰極3および陽極4はそれぞれニッケルなどの金属で囲んだ金属隔壁6で放電路を制限している。また、陽極4を囲んだ金属隔壁6にも光取出し方向の前方に、光を遮ることがないように直径3mmの小穴を設けている。さらに、フィラメントからなる陰極3が配置してある陰極室は、点灯時にフィラメントを加熱し、陰・陽極間に高電圧を印加した際の放電路が、直径1mmの上記放電狭窄用の小穴5を通らずにフィラメントと陽極間で放電しないように、裏面に金属性の蓋を取付けた。バルブ1の先端の8は紫外線を取出すための窓であり、不純物が少ない石英を用いた。上記構造の放電管に、本発明ではニッケルを真空蒸着してバルブ1の内壁にニッケル被膜10を設けるとともに、上記紫外線を取出す光取出し窓8にも、光を遮らない直径5mmの小穴11を一部に残してニッケル被膜を設けた。
【0015】上記構造の放電管において陰極3のフィラメントを加熱しておき、陰・陽極間に直流電圧を印加して点灯させると、上記隔壁板7に設けた放電狭窄用の直径1mmの小穴5で重水素ガスが強く発光し、紫外域に連続スペクトルを放射する。上記放射光は本実施例では陽極4に設けた直径2mmの小穴および金属隔壁6に設けた直径3mmの小穴を経て、光取出し窓8の直径5mmの小穴11から得ることができる。放電によって生じたプラズマは、前記のように陰極・陽極間だけでなく上記金属隔壁6の外側にも広がって発生するが、金属隔壁6外の上記プラズマ中で生じた重水素イオンおよび重水素原子はバルブ1の内壁に設けた上記ニッケル被膜10によって中和され、バルブ1に拡散・透過することなく重水素分子に戻る。
【0016】上記ニッケル被膜のようにバルブ1の内壁に真空蒸着される金属被膜は、ニッケルに限定されず銅とかアルミニウム等の他の金属でもよく、あるいは金属被膜の代りに導電性被膜を形成しても、放電管の温度を上回る融点350°以上の被膜であれば同様の効果が得られるが、さらに石英をスパッタリングした絶縁物質の被膜であっても、同様の効果を得られることが確認されている。
【0017】図2に示す本発明の第2実施例は、上記ニッケル等の金属被膜10を重水素放電管の容器であるバルブ1の外壁に、ほぼ全面に亘って蒸着したものである。上記金属被膜10を除いては図1に示す上記第1実施例と同様の構造である。放電により重水素ガスが上記バルブの石英に拡散しても、外壁に設けた上記金属被膜10を透過することができないため、放電の時間が経過してもバルブ1内の重水素ガスが減少することなく、放電管の寿命が短くなるのを防ぐことができる。
【0018】本発明の第3実施例を示す図3は重水素放電管電極部の横断面図であり、1は石英ガラスまたは硬質ガラスからなるバルブで、端部でステムと溶着され密閉容器を形成し、内部には重水素ガスを数Torr封入してある。上記バルブ1内に示す電極部を蔽う金属隔壁は陽極遮蔽箱14と陰極遮蔽箱15とに分れ、上記陽極遮蔽箱14にはモリブデンからなる平板状の陽極4を配置し、上記陰極遮蔽箱15にはタングステンからなる3重コイルのフィラメントに、熱電子放射物質であるBaO、SrO、CaO等の酸化物を塗布した陰極3を設置している。上記陰極3と陽極4との間には、両極間の放電を狭窄するための直径1mmの小穴5を設けた隔壁板7を有している。上記陰極3や陽極4はニッケルなどの金属で取り囲んだ構造により、両電極間の放電路を制限しているが、これらの金属隔壁には光通過窓24を設け、上記光通過窓24を設けた方向の上記金属隔壁を蔽うように、本実施例ではさらに囲い17を設けて上記光通過窓24の周囲を蔽っている。上記囲い17には、上記放電狭窄用小穴5と上記光通過窓24および放電管の光取り出し窓19の同軸上に、光の通過を妨げないような貫通穴18を設けている。
【0019】図4は上記電極部の縦断面図であるが、陽極遮蔽箱14は上下方向共上蓋20および下蓋21で蔽っている。また、陰極遮蔽箱15には上記のようにさらにこれを蔽う囲い17を設け、上記囲い17の上蓋22および下蓋23をそれぞれ延長して、上記陰極遮蔽箱15の上下方向を蔽っている。
【0020】上記構造の放電管を放電させると、上記隔壁板7に設けた放電狭窄用の直径1mmの小穴5で発光した重水素ガスは、紫外域に連続スペクトルを放射し、放射光は上記金属隔壁をさらに蔽う囲い17の貫通穴18を経て、光取り出し窓19から得ることができる。放電によって生じるプラズマは、前記のように両電極間の放電路以外にも上記金属隔壁の外に広がる。そのため、上記金属隔壁の外に広がったプラズマ中の重水素ガスイオンまたは重水素原子は拡散して、上記金属隔壁をさらに蔽う囲い17に到達して再結合され、重水素分子に戻されるので、バルブ1内の重水素ガスの減少が防止される。
【0021】
【発明の効果】上記のように本発明による重水素放電管は、重水素または水素を封入した管内に、電子放射物質を塗布した陰極と陽極とを囲み、上記陰極から上記陽極に至る放電路を形成する金属隔壁を設け、上記金属隔壁の一部に上記放電路を狭窄するための小穴を設けた重水素放電管において、光の取出し方向の一部を除き、さらに蔽った囲いを設けることによって、放電時に上記金属隔壁の外に広がったプラズマ中の重水素ガスイオンまたは重水素原子が、上記金属隔壁をさらに蔽う囲いにより再結合されるため、放電管中の重水素ガスの減少がより少なくなり、長寿命の重水素放電管を得ることができ、短寿命を避けて上記放電管の小型化を達成できるという効果がある。




 

 


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