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発明の名称 多層回路基板及びその製造方法とそれを用いた電子回路モジュール並びに電子回路装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−53350
公開日 平成6年(1994)2月25日
出願番号 特願平4−202781
出願日 平成4年(1992)7月30日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】薄田 利幸
発明者 有馬 英夫
要約 目的
一括積層法が可能なグリーンシート積層法において、製造する回路を高密度でしかも低抵抗配線を実現すること。

構成
絶縁層10の面方向に展開する配線層3、4、5、6、7と、垂直方向に接続するための配線8をおのおの独立したグリーンシートに形成する。平面方向の配線は、従来と異なり絶縁シート10中に貫通した溝を形成し、その中に配線を埋込み形成する。これらのシートを複数層積層して焼結すれば、無機系絶縁物を層間絶縁膜とする図1の構造の多層回路基板40が得られる。この配線シートの形成では、予めレジストで仮の絶縁層を形成しておきこれに配線を形成してからレジストを除去し、その跡に絶縁体を埋め込んで形成してもよい。この平面方向の配線の幅に対する膜厚は最大で0.4以上である。
特許請求の範囲
【請求項1】無機系層間絶縁膜を介して導体回路が複数層積層されて成る多層回路基板であって、絶縁層毎に、絶縁層の面方向に展開する回路配線部及び垂直方向に展開し隣接する層間を接続するバイア導体配線部の少なくとも一方の導体回路が、絶縁層と同一層内にほぼ同一厚で配設され、前記絶縁層が積層される毎に相互のバイア導体配線部を介して電気的に接続して多層配線構造体を構成して成る多層回路基板。
【請求項2】上記無機系層間絶縁膜をセラミックスもしくはガラスを主成分とするガラス絶縁体で構成して成る請求項1記載の多層回路基板。
【請求項3】上記導体回路を導体ペーストの焼結体で構成して成る請求項1記載の多層回路基板。
【請求項4】上記導体回路をめっき層で構成して成る請求項1記載の多層回路基板。
【請求項5】■無機系絶縁層内に、ほぼ絶縁層と同一厚さで面方向に展開する回路配線部及び垂直方向に展開し隣接する層間を接続するバイア導体配線部の少なくとも一方を含む導体回路パターン層を形成し、同一平面に導体回路パターン領域と絶縁層領域とが共存すると共に、表面が平坦化されたグリーンシートを準備する工程と、■前記工程を経て形成されたグリーンシートのバイア導体配線部が、隣接するグリーンシート間で電気的に接続されるように相互に位置決めしてグリーンシートを複数層積層する工程と、■前記積層されたグリーンシートを焼結して多層配線構造体を形成する工程とを有して成る多層回路基板の製造方法。
【請求項6】上記■のグリーンシートを準備する工程として、絶縁シートをパンチで打ち抜き所定の回路パターンを形成して溝パターンとし、この溝に導電ペーストを充填してグリーンシートを形成する工程として成る請求項5記載の多層回路基板の製造方法。
【請求項7】上記■のグリーンシートを準備する工程として、絶縁シートを感光性成分を含むシートで形成し、これを所定の回路パターンのマスクを介して露光、現像して溝パターンを、次いでこの溝に導電ペーストを充填して配線層を、順次形成してグリーンシートを形成する工程として成る請求項5記載の多層回路基板の製造方法。
【請求項8】上記■のグリーンシートを準備する工程として、絶縁シートを感光性成分を含むシートで形成し、これを所定の回路パターンのマスクを介して露光、現像して溝パターンを、次いでこの溝内にめっき処理にて配線層を、順次形成してグリーンシートを形成する工程として成る請求項5記載の多層回路基板の製造方法。
【請求項9】上記めっき処理を電気めっき処理として成る請求項8記載の多層回路基板の製造方法。
【請求項10】上記■のグリーンシートを準備する工程として、導体膜上に感光性レジスト膜を形成し、これを所定の回路パターンのマスクを介して露光、現像して溝パターンを形成し、次いでこの溝内に前記導体膜を電極としてめっき処理にて配線層を形成した後、レジストを除去すると共に、このレジスト跡をガラスを主成分とする絶縁体で埋め戻し、最後に前記導体膜を除去してグリーンシートを形成する工程として成る請求項5記載の多層回路基板の製造方法。
【請求項11】上記■のグリーンシートを準備する工程として、絶縁シートをガラス絶縁体で形成し、これを所定の回路パターンのマスクを介してレーザービームで貫通した溝パターンを形成し、次いでこの溝内に導電ペーストを充填するか、もしくはめっき処理にて導体層を形成してグリーンシートを形成する工程として成る請求項5記載の多層回路基板の製造方法。
【請求項12】請求項1乃至4何れか記載の多層回路基板の一方の面にLSIを搭載接続すると共に、その上を熱的に接続された冷却手段を備えた封じキャップで密封し、他方の面に外部接続端子を配設して成る電子回路モジュール。
【請求項13】請求項12記載の電子回路モジュールの外部接続端子を、配線基板に搭載接続して成る電子回路装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グリーンシート一括積層法による多層回路基板及びその製造方法とそれを用いた電子回路モジュール並びに電子回路装置に係り、特に高密度で積層しても配線抵抗値を上昇させることのない回路、モジュール及び電子機器とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器において、実装電気回路の信号遅延の短縮化や回路自体の小形化の要求は強く、このため回路の高密度化、多層化が進められている。この中で、例えばセラミックグリーンシート積層法を用いた多層回路基板は、各グリーンシートを別個に製造し、その各シート内の良品のみを持ち寄り、積層・焼結して多層回路基板を製造するものである。この方法は薄膜技術を用いて回路上に順次回路を積み上げる薄膜逐次積層法と比較して、配線密度は低いが、製造時間が短く、歩留まりが高いという実用プロセスとして捨て難い特徴を持っている。
【0003】しかし、このグリーンシート積層法では、配線形成を印刷技術にベースを置いているため配線密度が低い。現時点での実用レベルでは、配線幅0.1mmがほぼ上限である。また、配線抵抗値が比較的高い欠点もある。これはシート上に流動性のある導体ペーストで配線を印刷するため、配線の膜厚が幅と比較して大幅に薄くなることが一因である。0.1mm幅の配線では約0.03mm厚がほぼ上限である。また、導体ペーストが導体粉末の集合体であり、積層後の焼結でも密度がそれ程高くならないことも配線抵抗値が高い一因である。この、配線抵抗値が現在でも比較的高いということは、配線を高密度化するために配線幅を狭くしなければならない状況では、深刻な問題である。
【0004】これらのセラミックグリーンシート積層法及び薄膜多層回路の製造方法に関しては、例えば日経PB社発行「マイクロエレクトロニクス・パッケージング・ハンドブック」第382〜394頁の「多層セラミック基板の製造」の項〔原典は、Rao R. Tummala, Eugene J. Rymaszewski編:Microelectronics PackagingHandbook:Van Nostrand Reinhold 出版(1989)〕でも紹介してある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この様な状況下においては、一括積層法が可能なグリーンシート積層法において、製造する回路を高密度でしかも低抵抗配線を実現することが課題であった。したがって、本発明の目的はかかる課題を解決することにあり、その第1の目的はグリーンシートが積層され、焼結されても低抵抗化可能な改良された多層回路基板を、第2の目的はその製造方法を、第3の目的はそれを用いた電子回路モジュールを、そして第4の目的はかかる電子回路モジュールを搭載、実装した電子回路装置を、それぞれ提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明者等は高密度化に対処してこのグリーンシート積層法の欠点を改善するため、種々実験検討した結果、配線の形成方法として、従来の様に配線をシート上に印刷等で形成するのではなく、シート内にシートを貫通する配線溝を形成し、そこに導体を充填すれば良いという知見を得た。この場合、配線の断面は配線幅に対して膜厚が厚い方形状となる。
【0007】また、上記の構成は、配線を先に形成して、その後に絶縁層を形成することによっても実現することができる。具体的には、配線はあらかじめ厚い感光性レジストをパターニングした溝内に導体を充填し固め、その後レジストを除去することにより、絶縁シートより先に形成する。この配線の上に、絶縁シート形成前のスラリーを配線間または配線間と配線上に形成し、これを乾燥することにより、配線シートを形成する。
【0008】上記何れの方法においても、導体の充填方法としては、従来の様な印刷法でも良いし、インクジェット方式で溝内に選択的にペーストを充填しても良い。また、グリーンシート多層回路の製造では用いられることのなかった電気めっき等のめっき技術で配線を形成することもできる。このめっき法においては、従来のグリーンシートのバインダ材料ではめっき液中では無機粉末同士を接着しておくことができず、シートが割れたりバラバラになり、実用化されていない。また、配線の溝を開ける方法として、微細化が容易なフォトリソグラフィ技術を適用することにより、配線の高密度化は更に容易になる。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであり、上記目的達成手段についてさらに具体的に以下に説明する。
【0009】上記第1の目的は、無機系層間絶縁膜を介して導体回路が複数層積層されて成る多層回路基板であって、絶縁層毎に、絶縁層の面方向に展開する回路配線部及び垂直方向に展開し隣接する層間を接続するバイア導体配線部の少なくとも一方の導体回路が、絶縁層と同一層内にほぼ同一厚で配設され、前記絶縁層が積層される毎に相互のバイア導体配線部を介して電気的に接続して多層配線構造体を構成して成る多層回路基板により、達成される。
【0010】無機系層間絶縁膜としては、セラミックスやガラスを主成分とする絶縁層で、焼結前は無機質成分をグリーンシートとするための結合剤として有機成分も含まれるが、焼結後において有機物は分解、除去され無機質成分のみで絶縁層を構成する。したがって、上記無機系層間絶縁膜はセラミックスもしくはガラスを主成分とするガラス絶縁体で構成される。そして上記導体回路は、導体ペーストの焼結体、もしくはめっき層で構成される。
【0011】また、上記第2の目的は、■無機系絶縁層内に、ほぼ絶縁層と同一厚さで面方向に展開する回路配線部及び垂直方向に展開し隣接する層間を接続するバイア導体配線部の少なくとも一方を含む導体回路パターン層を形成し、同一平面に導体回路パターン領域と絶縁層領域とが共存すると共に、表面が平坦化されたグリーンシートを準備する工程と、■前記工程を経て形成されたグリーンシートのバイア導体配線部が、隣接するグリーンシート間で電気的に接続されるように相互に位置決めしてグリーンシートを複数層積層する工程と、■前記積層されたグリーンシートを焼結して多層配線構造体を形成する工程とを有して成る多層回路基板の製造方法により、達成される。
【0012】上記■のグリーンシートを準備する工程としては、以下に示すような工程例を挙げることができ、目的に応じていずれかの工程を選択すれば良い。
(1)絶縁シートをパンチで打ち抜き所定の回路パターンを形成して溝パターンとし、この溝に導電ペーストを充填してグリーンシートを形成する工程。
(2)絶縁シートを感光性成分を含むシートで形成し、これを所定の回路パターンのマスクを介して露光、現像して溝パターンを、次いでこの溝に導電ペーストを充填して配線層を、順次形成してグリーンシートを形成する工程。
(3)絶縁シートを感光性成分を含むシートで形成し、これを所定の回路パターンのマスクを介して露光、現像して溝パターンを、次いでこの溝内に化学もしくは電気めっき処理にて配線層を、順次形成してグリーンシートを形成する工程。
(4)導体膜上に感光性レジスト膜を形成し、これを所定の回路パターンのマスクを介して露光、現像して溝パターンを形成し、次いでこの溝内に前記導体膜を電極としてめっき処理にて配線層を形成した後、レジストを除去すると共に、このレジスト除去跡をガラスを主成分とする絶縁体で埋め戻し、最後に前記導体膜を除去してグリーンシートを形成する工程。
(5)絶縁シートをガラス絶縁体で形成し、これを所定の回路パターンのマスクを介してレーザービームで貫通した溝パターンを形成し、次いでこの溝内に導電ペーストを充填するか、もしくはめっき処理にて導体層を形成してグリーンシートを形成する工程。
【0013】また、上記第3の目的は、上記第1の目的を達成することのできる多層回路基板の一方の面にLSIを搭載接続すると共に、その上を熱的に接続された冷却手段を備えた封じキャップで密封し、他方の面に外部接続端子を配設して成る電子回路モジュールにより、達成される。
【0014】また、上記第4の目的は、上記第3の目的を達成することのできる電子回路モジュールの外部接続端子を、配線基板に搭載接続して成る電子回路装置により、達成される。
【0015】
【作用】前記したように、従来シート表面に印刷で形成していた平面方向の配線は、印刷スクリーンの精度が実用的には幅約0.1mmが下限であり、また、膜厚も導体ペーストが流動性を持っていることから厚くすることが難しく、幅0.1mmに対してせいぜい0.03mmが上限であった。更に配線シートを積層する時には、シート間の密着を確保する上で加圧・加熱をするが、この際に導体が上下から押されて、配線幅が広がり、膜厚が低減する現象を伴うため、この点からも配線の高密度化は困難な状況であった。
【0016】スクリーン印刷の精度より微細な配線を形成する上では、配線を絶縁シートの溝内に導体を充填することが効果がある。すなわち、印刷でペーストを充填したとしても、ペーストは横方向より溝内に優先的に広がっていく。また、シートの加圧時には、横にある絶縁体も導体同様に抑えられるため導体が横方向に広がることはない。
【0017】また、溝内に導体を形成することにより配線幅を狭くするのと同時に膜厚を厚くすることができる。従来、導体幅0.1mmに対して膜厚0.03mmが実用的限界であったが、この方法では膜厚0.1mmの実現も容易である。従って、従来より配線抵抗が3/10の配線を形成することが容易にできる。
【0018】以上の様に、本発明により配線の高密度化、低抵抗化を容易に達成することができる。
【0019】更に言及すれば、この配線の高密度化、低抵抗化を一層進めるには、絶縁シート内(あるいはレジスト内)に配線用の溝を形成する場合の溝の垂直性が重要である。溝がダレてしまっては、より一層の高密度化は達成できない。その点、パンチング法は垂直な溝を製造する上で適している。また、薄膜回路製造で利用されているフォトリソグラフィ技術は、配線を高密度にしかも垂直な溝加工をする上で適した技術である。
【0020】また、配線の形成方法として、導体ペーストを用いた印刷法でも上記したように目的を達成することができる。更にインクジェット方式による導体ペースト充填も適用できる。更に、めっき法により配線形成すれば高密度でバルクの導電率に近い配線を形成することも可能であり、配線の低抵抗化に非常に有利である。なお、導体ペーストから出発して導体を形成した場合の導体の導電率はバルクの1/2乃至1/3の値となるのが一般的である。
【0021】
【実施例】以下、図面により本発明の一実施例を具体的に説明する。
〈実施例1〉(1)多層回路基板の構成:図1は多層回路基板40の断面概略図を示す。回路は、10枚のシート10a〜10jで構成している。シートは、平面方向に展開する回路配線部3〜7を形成したもの5枚(10a、10c、10e、10g、10i)と、垂直方向に展開し隣接する層間を接続するバイア導体配線部を形成したもの5枚(10b、10d、10f、10h、10j)になる。各シートは絶縁体1と導体2からできている。
【0022】平面方向に展開する回路配線部は、上部グランド配線3、X方向(紙面に垂直な方向)配線4、Y方向(紙面に平行な方向)配線5、下部グランド配線6、ピン付け用導体7である。それ以外の配線はバイア導体8である。
【0023】(2)多層回路基板の製造方法:図2はグリーンシートの製造工程例を示す工程断面図である。同図(A)に示すように、先ずアルミナを主成分とした粉末にバインダと溶剤を混合してスラリーを製造する。このスラリーをキャスティング装置を用いて、マイラシート9上に厚さ約0.15mmのアルミナ絶縁シート10aを形成する。
【0024】次に同図(B)に示すように、この絶縁シート10aからマイラシート9を剥離・除去した後、パンチング装置にセットし、所定の回路パターンに対応した配線部11をシートから打ち抜き、溝パターンを形成する。この場合の配線幅は0.1mmである。
【0025】次に同図(C)に示すように、この絶縁シート10aの溝パターン内に、タングステン粉末を主成分とした導体ペースト12(図1のピン付け導体7となるもの)を印刷法を用いて充填し、埋め戻す。これと同様の工程を繰返し、残りのグリーンシート10b〜10jをも製造した後、図1に示したようにバイア導体8の位置合わせをして各シートを積層し、加圧・加熱して多層シート(グリーンシートの積層)を完成させた。これを電気炉に入れ約1600℃に加熱して焼結し、図1に示す構造の多層回路基板を完成させた。なお、出来上がった基板40の信号配線の幅に対する膜厚、すなわち、アスペクト(厚み/幅)比は1.5である。
【0026】〈実施例2〉図3は図1と同様の多層回路基板40を更に異なる方法で製造する工程図を示したものである。同図(A)に示すように、先ず、ホウ珪酸アルミニュウム系ガラスを主成分とした粉末にバインダと溶剤を混合してスラリーを製造する。ここで使用するバインダーには、感光性を有する材料を適用する。すなわち、材料としては市販のネガ型感光性ポリイミドをバインダとして使用した。このスラリーをキャスティング装置を用いて、マイラシート9上に厚さ約0.05mmの感光性絶縁シート10aを形成する。
【0027】次に、同図(B)に示すように、このマイラーシート付き絶縁シート10aを所定の回路パターンの形成されたマスクを通して露光・現像して、配線部11のシートを選択的に除去する。この場合の配線部11の配線幅は0.05mmである。すなわち、光照射した部分のバインダーが固化することにより、その部分のシートが残り、光の当たらなかった部分が現像液で流出する。このように周知のリソグラフィ技術により配線部11を形成した。
【0028】次に、同図(C)に示すように、この絶縁シート10aの溝11内に、銅粉末を主成分とした銅導体ペースト12を印刷法を用いて充填する。この銅導体ペースト12は、実施例1の図2(C)の導体ペースト12と同様にピン付け導体7となるものである。
【0029】次に、同図(D)に示すように、この配線12(7)を形成したシート10a上に更に上記スラリーを用いて厚さ約0.1mmの感光性絶縁シート10bを形成する。次いで、同図(E)に示すように、上記工程(B)と同様にして感光性絶縁シート10bを所定の回路パターンの形成されたマスクを通して露光・現像して、配線部、この場合は垂直配線部分15のみを除去する。
【0030】次に同図(F)に示すように、この絶縁シート10bの溝15内に、上記工程(C)と同様にして、銅粉末を主成分とした導体ペースト12を印刷法を用いて充填する。この銅導体ペースト12は、実施例1における図1の絶縁層10bのバイア導体8となるものである。
【0031】次に同図(G)に示すように、出来上がったシート10aからマイラシート9を剥離する。すなわち、この例ではシートが薄いので配線部が型崩れしないように、2層のグリーンシートを1組として形成した後にマイラシート9を剥離除去した。シートにある程度の強度があれば、実施例1の図1(A)に示したように各シートに配線部を形成する毎にマイラシート9を剥離し、シートは1枚づつ独立させて形成することを原則とする。この後、図面は省略されているがシート10c〜10jについても同様の手法で絶縁シートに配線部を形成し、そこに導体ペースト12を充填し、2層づつ積み上げたグリーンシートを4組形成した。
【0032】最後に、このようにして製造した5組10枚のシート10a〜10jを積層し、加圧・加熱して多層シートを完成させる。これを電気炉に入れ約980℃に加熱して、図1に示す多層回路基板40を完成する。このようにして出来上がった基板の信号配線のアスペクト比は1である。
【0033】〈実施例3〉実施例2と同様に多層回路を製造した。ただし、実施例2と大きく異なるのは、配線形成方法である。つまり、導体ペースト12を充填して配線部を形成する代わりに、めっき法で配線を形成した。めっき法は化学めっき、電気めっきの何れでも良いが、ここではめっき液の性質を考慮して電気めっきを採用した。
【0034】以下、図4の断面工程図にしたがって説明する。同図(A)に示すように、先ず、ホウ珪酸アルミニュウム系ガラスを主成分とした粉末にバインダと溶剤を混合してスラリーを製造する。ここで使用するバインダーには、実施例2と同じく市販の感光性ポリイミドを適用する。このスラリーをキャスティング装置を用いて、銅箔16上に厚さ約0.1mmの感光性絶縁シート10aを形成する。
【0035】次に、同図(B)に示すように、この銅箔付き絶縁シート10aを所定の回路パターンマスクを用いて露光・現像して、配線部11のシートを選択的に除去する。この場合の配線幅は0.05mmである。次に、同図(C)に示すように、この銅箔付き絶縁シートを電気めっき液に漬け、銅箔16を陰極として、シートの配線部を構成する溝内にめっき銅17を析出させ、溝を埋め戻して配線7を形成する。
【0036】次に、同図(D)に示すように、この配線を形成したシート10a上に更に上記スラリーを用いて厚さ約0.1mmの感光性絶縁シート10bを形成する。次に、同図(E)に示すように、前記(B)と同様にして絶縁シート10bを所定の回路マスクを介して露光・現像して、配線部(この場合は垂直配線部となる)15のみを除去して溝を形成する。
【0037】次に、同図(F)に示すように、この絶縁シート10bの溝内に、前記(C)と同様にして、銅箔16を陰極として、電気めっき法によりめっき銅配線17を析出させ、層間接続のバイア導体8とする。次に、同図(G)に示すように、配線シート10aに付いている銅箔16をエッチング液を用いて除去する。このようにして2枚1組のグリーンシートを形成した。 この後、図面は省略されているがシート10c〜10jについても同様の手法で絶縁シートにめっき銅配線を埋込み、2層づつ積み上げたグリーンシートを4組形成した。
【0038】最後に、この様にして製造した5組10枚のシート10a〜10jを積層し、加圧・加熱して多層シートを完成させる。これを電気炉に入れ約980℃に加熱して、図1に示す多層回路基板を完成した。出来上がった回路基板40の信号配線のアスペクト比は2である。
【0039】〈実施例4〉上記実施例2、3の絶縁シートは、ホウ珪酸アルミニウム系がラスを主成分とする粉末にバインダーとして感光性ポリイミドスラリーを用いて形成したもので、配線部形成のための絶縁シートへの溝形成は、いずれもリソグラフィ技術により行なうものである。回路パターンが高密度になると高精度の回路パターンの形成が必要となり、シートの感度向上が必須となる。しかし、実施例2、3の絶縁シートのように感光性成分をバインダーで構成したのでは、感度向上に限界がある。したがって、この実施例では、高精度回路パターンの形成を可能とするため絶縁層の構成を、配線形成時と最終的なグリーンシート形成時とで区別し、配線形成時には高感度の感光材料層を用い、最終的なグリーンシート形成時には感光材料層を除去して耐熱性の無機系物質を主成分とする絶縁層に置換するようにしたものである。
【0040】以下、図5及び図6の工程断面図にしたがって説明する。先ず、図5(A)に示すように、市販の感光性レジストを用いて、銅膜16´を表面にスパッタしたガラス板18上に膜厚約30μmのレジスト膜19を形成する。
【0041】次に図5(B)に示すように、所定の回路マスクを介して露光・現像により、配線を形成する部分11のレジスト19を選択的に除去する。この場合の配線幅は50μmである。
【0042】次に図5(C)に示すように、このガラス板の付いたレジストシートを実施例3と同様にして電気めっき液に漬け、銅膜16´を陰極として、シートの溝内にめっき銅17を析出させ、ピン付け導体7を形成する。
【0043】次いで図5(D)に示すように、同図(A)と同様に、上記シート上に市販の感光性レジストを用いて、膜厚約30μmのレジスト膜19を形成する。
【0044】次いで図5(E)に示すように、所定の回路マスクを介して露光・現像により、垂直方向配線(バイア導体8)を形成する部分のレジストを除去する。この場合の配線幅も30μmである。
【0045】次いで図5(F)に示すように、この銅膜16´の付いたレジストシートを電気めっき液に漬け、銅膜16´を陰極としてシートの溝内にめっき銅17を析出させ、バイア導体8を形成する。これにより高精度の回路配線パターンが形成された。ここまでの工程は、シート材が異なるだけで実施例3の図4(F)迄とほぼ同一工程である。ただし、この後の工程が次に示すように本実施例独自の工程となる。
【0046】すなわち、図6(G)に示すように、レジスト19を溶剤で除去し、銅膜16´上には銅配線17だけにする。
【0047】次いで図5(H)に示すように、別途、ホウ珪酸アルミニュウム系ガラスを主成分とした粉末にバインダと溶剤を混合してグリーンシート材となるスラリーを製造する。ここで使用するバインダーは、グリーンシートを形成する一般的なものであり、感光性成分は必要ない。このスラリーを用いて前工程でレジスト19を除去した跡に、すなわち、銅配線17を形成したガラス板の銅膜16´上に上記スラリーを用いて膜厚60μmのガラス絶縁体20を形成する。
【0048】次いで図5(I)に示すように、配線表面に付着した部分をテープ研磨機で除去し、シート表面全体を平坦化する。
【0049】次いで図5(J)に示すように、配線シートに付いている銅膜19をエッチング液を用いて除去し、ガラス板18を取り除く。このようにして実施例3の図4(G)とほぼ同一構造のグリーンシート20を形成した。だだし、この実施例では1枚のシート20が実施例3の2枚のシート10a、10bに相当する。すなわち、このようにして図1の各シート10が2枚1組に相当するグリーンシート20として形成した。 この後、図面は省略されているがシート10c〜10jに相当する分についても同様の手法で銅配線を2層づつ積み上げたグリーンシート20を4組形成した。
【0050】最後に、この様にして製造した5組のシート20を積層し(図1の10枚のシート10a〜10jに実質的に同じ)、加圧・加熱して多層シートを完成させる。これを電気炉に入れ約980℃に加熱焼結して、図1に示す多層回路基板40を完成する。出来上がった基板の信号配線のアスペクト比は0.6である。
【0051】〈実施例5〉実施例1と同様にして、図1に示す構造の多層回路基板40を製造した。ただし、異なる点は配線導体3〜8の形成を印刷でなく、インクジェット法で形成した点である。すなわち、図2(C)において、絶縁シートの溝11内に、タングステン粉末を主成分とした導体ペースト12をインクジェット方式で充填した。その他の製造工程は実施例1と同様であり、この様にして製造した各シートを積層し、加圧・加熱して多層シートを完成させた。これを電気炉に入れ約1600℃に加熱焼結して、図1に示すと同様の多層回路基板40を完成させた。出来上がった基板の信号配線のアスペクト比は実施例1と同様に1.5である。
【0052】〈実施例6〉図1と同様の多層回路基板40を図7及び図8に示した製造工程断面にしたがって説明する。
【0053】先ず図7(A)に示すように、ホウ珪酸アルミニュウム系ガラスを主成分とした粉末にバインダと溶剤を混合してスラリーを製造する。次いで、このスラリーをキャスティング装置を用いて、マイラシート9上に厚さ約0.1mmのガラス絶縁体からなる絶縁シート10aを形成する。
【0054】次に、図7(B)に示すように、絶縁シート10a表面に配線部を抜いたニッケルマスク21を密着させる。
【0055】次に、図7(C)に示すように、ピン付け導体7形成用のニッケルマスク21上から図示していないエキシマレーザを照射して、配線部11の絶縁体を除去し溝を形成する。この場合の配線部11の配線幅は0.05mmである。
【0056】次に、図7(D)に示すように、この絶縁シート10aの溝内に、銅粉末を主成分とした銅導体ペースト12を印刷法を用いて充填し、ピン付け導体7となるパターンを形成する。
【0057】次に、図7(E)に示すように、この配線12を形成したシート上に更に上記スラリーを用いて厚さ約0.1mmの絶縁シート10bを形成する。
【0058】次に、図8(F)に示すように、前記工程(B)と同様にして絶縁シート10b表面にバイア導体8となる配線部を抜いたニッケルマスク21を密着させる。
【0059】次に、図8(G)に示すように、前記工程(C)と同様にして、ニッケルマスク21上からエキシマレーザを照射して、垂直配線部15のみを除去して溝を形成する。
【0060】次に、図8(H)に示すように、この絶縁シート10bの溝内に、工程(D)と同様にして、銅粉末を主成分とした導体ペースト12を印刷法を用いて充填する。
【0061】次に、図8(I)に示すように、出来上がったシートからマイラシート9を剥離し、2枚のシート10a、10bが積層された1組のグリーンシートを形成する。
【0062】この後、図面は省略されているがシート10c〜10jに相当する分についても同様の手法で2層づつ積み上げたグリーンシートを4組形成した。
【0063】最後に、この様にして製造した5組のシートを積層し(図1の10枚のシート10a〜10jに実質的に同じ)、加圧・加熱して多層シートを完成させる。これを電気炉に入れ約980℃に加熱焼結して、図1に示す多層回路基板40を完成する。出来上がった基板の信号配線のアスペクト比は1.5である。
【0064】〈実施例7〉この実施例は、以上説明した実施例の多層回路基板40を用いて電子回路モジュールを実現した例を説明するもので、以下、図9の断面概略図を用いて具体的に説明する。回路基板としては、実施例3の方法で製造した多層回路基板40適用した。組立手順は以下のとおりである。
【0065】(1)先ず、基板40の表面の導体8及び封じキャップ28の接続部上に、マスク蒸着法でチタン及び金の2層膜25及び30をそれぞれ形成する。
(2)次に、基板裏面にピン22を鉛/錫系はんだ23で温度290℃で接続した。
(3)基板表面のチタン/金の2層膜25上に鉛/錫系はんだ26を用いてLSI24を温度260℃で接続する。
【0066】(4)LSI24は封止キャップ28で気密封止を実現する。具体的には、封止キャップ28を鉛/錫系はんだ31でチタン/金2層膜30に230℃で接続・封止する。
(5)また、(4)の工程では、LSI24の上面と封止キャップ28との間には良熱伝導性ゴム27をはさみ熱伝導を改善している。更に、封止キャップ28は、冷却フィン29と一体化されおり、LSI24の発熱は、冷却フィン29に伝わり放散される構成をとる。このようにして図9に示した電子回路モジュール32を実現した。なお、ピン22は必ずしも必要でなく、外部端子接続用のパッド構成としても良い。
【0067】〈実施例8〉図10は、電子回路装置への応用例を示す斜視図であり、図9に示す電子回路モジュール32を、プリント基板33上にピン22を介して16個搭載して論理パッケージを形成した。この論理パッケージに記憶パッケージ、入出力処理パッケージを組み合わせて計算機を構成した。
【0068】なお、配線材料としては、タングステンと銅の場合を示したが、金等も適用できることは明かである。また、導体は他の金属との合金であっても良いし混合物であってもよい。また、著しく抵抗値を増大させない範囲内であれば、多少ガラス等の絶縁体が混入しても差し支えない。更には、導体表面を他の金属で被覆しても良い。
【0069】また、上記実施例では、1シートにシートの面方向に展開する配線または垂直方向に展開する配線の何れかを形成したが、1シート内にこれら両方の配線を形成したり、1シート内に面方向に展開する配線を形成したシート表面に垂直配線の一部を印刷等で形成したシートを用いたり、逆に垂直方向に展開するを形成したシート表面に面方向に展開する配線の一部を印刷等で形成したシートを用いてもよい。
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように本発明により、所期の目的を達成することができた。すなわち、個々の効果を列挙すると以下の通りとなる。
(1)多層回路の高密度化が実現できる。
(2)配線が高密度化しても低抵抗化を達成することができる。
【0071】(3)上記(1)の結果として、従来と同等の配線密度であれば、配線間の短絡等の故障が低減する。
【0072】(4)上記(2)の結果として、従来と同等の配線密度であれば、配線抵抗値が低くなることから、長い距離迄電圧降下が少ない状態で信号を伝送できる等の利点があり、このことは回路基板、モジュール及びそれを用いた電子機器の電気的性能を向上させる効果がある。
(5)上記(1)の結果として、従来と同等の配線密度のものを製造するのであれば、回路、モジュール、機器の小形化に効果がある。
(6)上記(1)の結果として、従来と同等の配線密度のものを製造するのであれば、回路の層数が低減することから製造工程の短縮の効果がある。




 

 


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