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発明の名称 基板トランス及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−53045
公開日 平成6年(1994)2月25日
出願番号 特願平4−201400
出願日 平成4年(1992)7月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎
発明者 加藤 和男 / 恩田 謙一 / 高橋 正 / 佐瀬 隆志
要約 目的
通常の印刷配線用電子部品を基板上に装着できる程度の堅牢さを有し、かつ、量産性に富み、薄形化された基板トランス及びその製造方法の提供。

構成
フェライト単体または磁性金属箔を積層した比較的堅牢な基板1と、基板1に設けた複数対のスルーホール21 乃至2n 、31 乃至3n と、基板1の両表面に形成され、かつ、対応するスルーホール21 乃至2n 、31 乃至3n 間をそれぞれ結合した複数条の印刷配線導体41 乃至4n-1 、51 乃至5n-1 とを備え、スルーホール21 乃至2n 、31 乃至3n を介して電気的に直列結合された複数条の印刷配線導体41 乃至4n-1 、51 乃至5n-1 により一対のコイル巻線が形成される。前記一対のコイル巻線は、磁性体基板1に実質的に巻回されているので、小型で、薄型の、堅牢な基板トランスを得ることができ、しかも、この基板トランスは、通常の厚膜印刷配線とほぼ同じ製造工程で製造される。
特許請求の範囲
【請求項1】 フェライト基板または磁性金属箔を積層した基板と、前記基板に設けた複数対のスルーホールと、前記基板の両表面に形成され、かつ、対応するスルーホール間をそれぞれ結合した複数条の印刷配線導体とを備え、前記スルーホールを介して電気的に直列結合された前記複数条の印刷配線導体により一対のコイル巻線を形成したことを特徴とする基板トランス。
【請求項2】 前記基板は、約1乃至2mmの厚さのもので構成されていることを特徴とする請求項1記載の基板トランス。
【請求項3】 前記基板は、1つ以上の付加的スルーホールを具備しており、この付加的スルーホールにダミーパッドが電気的に結合されていることを特徴とする請求項1記載の基板トランス。
【請求項4】 前記基板には、前記一対のコイル巻線からなる基板トランスの他に、各種の印刷配線用電子部品が装着配置されていることを特徴とする請求項1記載の基板トランス。
【請求項5】 前記基板には、1つの一対のコイル巻線からなる基板トランスと、それとは別の一対のコイル巻線からなる基板トランスとが形成されており、これら双方の基板トランスは前記基板上において互いに直交するように配置形成されていることを特徴とする請求項1記載の基板トランス。
【請求項6】 フェライト基板または磁性金属箔を積層した基板を得る工程と、前記基板にスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールに絶縁処理を施す工程と、前記基板の一方の表面に導体を印刷配線する工程と、前記基板の他方の表面に導体を印刷配線する工程と、必要な部分の半田付けを行なって基板トランスを構成させる工程とを経ることを特徴とする基板トランスの製造方法。
【請求項7】 基板の他方の表面に導体を印刷配線する工程の後に、前記基板に端子や他の印刷配線用電子部品を装着する工程を付加したことを特徴とする請求項6記載の基板トランスの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板トランス及びその製造方法に係わり、特に、磁性体からなる堅牢な基板をベースにして、その上に印刷配線によりコイル巻線を形成し、全体的に堅牢で、薄形のトランスを得るようにした基板トランス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、携帯用パーソナルコンピュータ(パソコン)やワードプロセッサ(ワープロ)の普及に伴って、それらの軽量化や薄形化に対する要求が強まってきており、そのためにパソコンやワープロに使用される全ての電子部品に対して軽量化や薄形化を達成するための研究が進められており、特に、電源部を構成するトランスまたはリアクトルは、どうしても大型になってしまうために、前記軽量化や薄形化についての強い期待がもたれている。
【0003】ところで、トランスまたはリアクトルに対する薄形化手段(以下、これを第1の薄形化手段という)としては、特開昭55−82412号に開示のものが知られている。この特開昭55−82412号に開示のものは、シート法または印刷法と呼ばれている方法により積層トランスを形成するものであって、この中のシート法は、磁性ペーストをドクターベレー度等によりシート状に延ばし、これを乾燥し、その上にペースト状の導体を印刷し、その後に乾燥し、その上に磁性ペーストから作ったシートを磁心として重ね、さらに、導体を印刷し、以下、必要に応じて同様な処理工程を繰返し実行して積層トランスを得るものであり、また、印刷法は、アルミニウム等の平坦な支持面にポリエステルフィルムを取付け、前記支持面に磁性ペーストを印刷し、その後に乾燥し、その上にペースト状の導体を印刷し、その後に乾燥し、さらに、磁性ペーストで磁心を印刷し、その後に乾燥し、以下、必要に応じて同様な処理工程を繰返し実行して積層トランスを得るものである。そして、どちらの方法においても、磁性ペーストの印刷及び乾燥、それに続くペースト状の導体の印刷及び乾燥からなる1回の処理工程により作られる層の厚さは、10数乃至数10μm程度である。
【0004】この他にも、トランスまたはリアクトルに対する薄形化手段(以下、これを第2の薄形化手段という)としては、特開昭59−39008号に開示のものが知られている。この特開昭59−39008に開示のものは、絶縁基板の一方の面に1次巻線と2次巻線の半コイルパターンが複数条設けられ、前記絶縁基板の他方の面に1次巻線と2次巻線の残りの半コイルパターンが複数条設けられ、前記両半コイルパターンは前記絶縁基板に設けられたスルーホールで連結されて、トランスの1次巻線と2次巻線が形成され、かつ、前記1次巻線と2次巻線の中央部に相当する絶縁基板の内部に磁性コアが埋め込まれているものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記既知の第1の薄形化手段は、磁性ペーストと導体ペーストを印刷した後、焼結乾燥して磁性体と導体を得るものであるため、その焼結乾燥時に磁性体と導体が大幅に収縮し、トランスとして必要な寸法精度を得ることが困難であり、しかも、磁性体と導体では焼結乾燥時の収縮度に大きな違いがあるので、それにも増してトランスとして必要な寸法精度を得ることが難しく、精密で信頼性の高いトランスを作ることができないという問題がある。また、前記既知の第1の薄形化手段は、印刷積層手段によりトランスを製造するようにしているものであるため、コアの断面積が大きく、特に、その厚みが充分あるような高出力で、堅牢なトランスを得ようとしたときには、同じような処理工程を何回となく繰返し行なう必要があって、量産性に乏しいという問題もある。
【0006】また、前記既知の第2の薄形化手段は、絶縁基板の内部に磁性コアを埋め込む構造のものであるため、このような構造の絶縁基板を得ることは簡単でなく、しかも、磁気抵抗の小さな閉磁路を形成することが難しいという問題がある。
【0007】本発明は、前記問題点を除去するものであって、その目的は、通常の印刷配線用電子部品を基板上に装着できる程度の堅牢さを有し、かつ、量産性に富んだ薄形化された基板トランス及びその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的の達成のために、本発明は、フェライト基板または磁性金属箔を積層した基板と、前記基板に設けた複数対のスルーホールと、前記基板の両表面に形成され、かつ、対応するスルーホール間をそれぞれ結合した複数条の印刷配線導体とを備え、前記スルーホールを介して電気的に直列結合された前記複数条の印刷配線導体により一対のコイル巻線を形成した第1の手段を備える。
【0009】また、前記目的の達成のために、本発明は、フェライト基板または磁性金属箔を積層した基板を得る工程と、前記基板にスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールに絶縁処理を施す工程と、前記基板の一方の表面に導体を印刷配線する工程と、前記基板の他方の表面に導体を印刷配線する工程と、必要な部分の半田付けを行なって基板トランスを構成させる工程とを経てなる第2の手段を備える。
【0010】
【作用】前記第1の手段によれば、一対のコイル巻線が形成されているトランスの磁性体の基板は、フェライト材料または積層した磁性金属箔から構成された比較的堅牢なものであって、最初から1つの基板を構成するようにしたものであるため、通常の印刷基板と同様に、基板は充分な機械的強度を有している。そして、前記一対のコイル巻線の形成においても、前記堅牢な基板上に通常の印刷配線手段を用いて形成するものであるため、容易に高い寸法精度と高い信頼性をもって前記一対のコイル巻線を形成することが可能になり、その上に、前記基板上に通常の印刷配線用電子部品を合わせて装着配置することも可能になる。
【0011】また、前記第2の手段によれば、この基板トランスを製造するのに際して、通常のセラミック基板を用いた厚膜印刷配線の製造工程とほぼ同様な製造工程を経て作ることができるので、特に、新たな製造工程用のラインを準備する必要もなく、量産性に富み、かつ、品質が均一化された基板トランスを製造供給することができるものである。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0013】図1は、本発明による基板トランスの構造の第1の実施例を示す構成図であって、(a)はその正面図、(b)はそのA−A線の断面図である。
【0014】図1(a)、(b)において、1はフェライト基板、21 、22 、… … …、2n 、31 、32 、… … …、3n はインライン状のスルーホール、41 、42 、… … …、4n-1 はフェライト基板1の一方の表面に印刷配線により形成された印刷配線導体、51 、52 、… … …、5n-1 はフェライト基板1の他方の表面に印刷配線により形成された印刷配線導体、61 、62 、71 、72はフェライト基板1の一方の表面に印刷配線により形成された端子パッド、81、82 、91 、92 は同表面に印刷配線により形成された接続リード、10は各スルーホール21 、22 、… … …、2n 、31 、32 、… … …、3n のフェライト基板1側に被着されている絶縁膜である。
【0015】そして、フェライト基板1は、例えば、板厚が約2mmのNi−Zn成分のフェライトからなる基板であって、前記基板1に形成されるスルーホール21 、31、スルーホール22 、32 、スルーホール23 、33 、… … …、スルーホール2n 、3n はそれぞれ対をなすもので、各々前記基板1の縦方向の平行な位置にそれぞれ等間隔に形成配列されている。
【0016】また、フェライト基板1の一方の表面には、スルーホール21 、32 間に第1の印刷配線導体41 が、スルーホール22 、33 間に第2の印刷配線導体42 が、スルーホール23 、34 間に第3の印刷配線導体43 が、以下同様にして、第4乃至第n−2印刷配線導体44 乃至4n-2 がそれぞれ印刷配線形成され、最後に、スルーホール2n-2 、3n-1 間に第n−1の印刷配線導体4n-1 が印刷配線形成されている。一方、フェライト基板1の他方の表面には、スルーホール22、31 間に第1の印刷配線導体51 が、スルーホール23 、32 間に第2の印刷配線導体52 が、スルーホール24 、33 間に第3の印刷配線導体53 が、以下同様にして、第4乃至第n−2印刷配線導体54 乃至5n-2 がそれぞれ印刷配線形成され、最後に、スルーホール2n-1 、3n-2 間に第n−1の印刷配線導体5n-1 が印刷配線形成されている。なお、本実施例においては、印刷配線用導体ペーストとして、例えば、シート抵抗が数10mΩ乃至それ以下のCu系のペーストが用いられているが、これ以外の印刷配線用導体ペーストを用いてもよいことは勿論である。
【0017】さらに、端子パッド61 、62 、71 、72 は、フェライト基板1の横方向の同一ライン上に印刷配線形成されており、この中で、端子パッド61 は印刷配線形成された接続リード81 を介してスルーホール21 に、端子パッド62 は同様の接続リード82 を介してスルーホール2n-1 に、端子パッド71 は同様の接続リード91 を介してスルーホール3n-1 に、端子パッド72 は同様の接続リード92 を介してスルーホール31 にそれぞれ接続された構成になっている。
【0018】前述のような構成にすれば、フェライト基板1の一方の表面に形成された奇数番目の印刷配線導体41 、43 、… … …、4n-2 と、前記基板1の他方の表面に形成された偶数番目の印刷配線導体52 、54 、… … …、5n-1 とはそれらの両端にあるスルーホール21 、32 、23 、34 、… … …、3n-1 、2n を介して順次直列接続されて、例えば、1次側コイル巻線が構成されるようになり、この1次側コイル巻線は、その一端が接続リード81 を介して端子パッド61 に、その他端が接続リード82 を介して接続リード82 にそれぞれ接続されており、前記接続リード81 、82 を通して外部との接続が可能になる。一方、前記基板1の他方の表面に形成された奇数番目の印刷配線導体51 、53 、…… …、5n-2 と、前記基板1の一方の表面に形成された偶数番目の印刷配線導体42 、44 、… … …、4n-1 とはそれらの両端にあるスルーホール31、22 、33 、24 、… … …、2n-1 、3n を介して順次直列接続されて、例えば、2次側コイル巻線が構成されるようになり、この2次側コイル巻線も、その一端が接続リード91 を介して端子パッド71 に、その他端が接続リード92 を介して接続リード72 にそれぞれ接続され、同様に外部との接続が可能になり、これら1次側コイル巻線と2次側コイル巻線によって基板トランス構成されるものである。
【0019】この場合、前記1次側コイル巻線と2次側コイル巻線は、実質的に、磁性体からなる板厚約2mmの前記基板1に巻回されているので、前記1次側コイル巻線と2次側コイル巻線の各巻線数をそれ程多くすることなく、充分な量のインダクタンスを得ることができ、全体的に小型で、薄型の基板トランスを構成させることができる。また、この基板トランスは、板厚約2mmの前記基板1に前記1次側コイル巻線と2次側コイル巻線を形成して構成したものであるため、小型で、薄型にあるにも係わらず、比較的堅牢であって、前記基板1に前記基板トランスの他に他の印刷配線用電子部品を取り付けることも可能になる。
【0020】さらに、得られた基板トランスの寸法精度について見ると、前記基板1として既に焼成されているフェライト基板1が用いられ、しかも、前記基板1は、例えば、板厚が2mmというように充分な強度を有するものであるので、前記基板1に印刷配線手段により、印刷配線導体41 、42 、… … …、4n-1 、51 、52 、… … …、5n-1 等を印刷形成させた場合においても、前記印刷配線導体41 、42 、… … …、4n-1 、51 、52 、… … …、5n-1 等の焼成時の収縮度だけを考慮すれば足り、既知のこの種の薄型トランスに比べて極めて精密で、かつ、寸法精度にばらつきのない基板トランスを得ることができる。
【0021】続く、図2は、前記第1の実施例に係わる基板トランスの電気的な回路を示す等価回路である。
【0022】図2において、図1に示された構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付けている。
【0023】図2に示すように、前記第1の実施例に係わる基板トランスは、従来のバルクコアと銅線コイルとを使用したバルクトランスと機能的に等価なものであり、パソコンやワープロの電源トランスとして充分使用できるものである。
【0024】なお、前記第1の実施例に係わる基板トランスは、トランスの巻線比が1:1である場合のものであるが、例えば、一方のコイル巻線の各印刷配線導体の幅を、他方のコイル巻線の各印刷配線導体の幅よりも広く形成したり、いずれか一方のコイル巻線の各印刷配線導体を複数条のもので形成したりすれば、トランスの1次及び2次間の結合を劣化させることなく、任意の巻数比を有するように構成することができる。
【0025】次に、図3は、本発明に係わる基板トランスを製造する際の製造工程の一実施例を示すフロー図である。
【0026】ただし、図3においては、前記第1の実施例に示された基板トランスを製造するものとして説明を行なうが、図3の説明中において、図1に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号を用いている。
【0027】始めに、ステップS1においては、例えば、Ni−Zn成分のフェライト材を用いて、板厚が約2mmのフェライト基板1を構成する。続く、ステップS2においては、このフェライト基板1の所定の箇所にレーザ加工により複数のスルーホール21 、22 、… … …、2n 、31 、32 、… … …、3n を形成する。次に、ステップS3においては、前記形成した複数のスルーホール21 、22、… … …、2n 、31 、32 、… … …、3n の周辺部について絶縁処理を行なう。続く、ステップS4においては、前記基板1の裏面(他方の表面)に、例えば、Cu系の導電ペーストを用いて、印刷配線導体51 、52 、… ……、5n-1 を印刷形成させる。続いて、ステップS5においては、前記印刷形成した部分の乾燥、焼成を行ない、前記基板1に形成した印刷配線導体51 、52、… … …、5n-1 の状態を安定化させる。次に、ステップS6においては、前記基板1の表面(一方の表面)に、同じく、例えば、Cu系の導電ペーストを用いて、印刷配線導体41 、42 、… … …、4n-1 、端子パッド61 、62、71 、72 、及び、接続リード81 、82 、91 、92 をそれぞれ印刷形成させる。次いで、ステップS7においては、前記印刷形成した部分の乾燥、焼成を行ない、前記基板1に形成した印刷配線導体41 、42 、… … …、4n-1 、端子パッド61 、62 、71 、72 、及び、接続リード81 、82 、91 、92の状態を安定化させる。続いて、ステップS8においては、前記基板1に端子を設けたり、または、必要に応じて、前記基板1に他の印刷配線用電子部品を装着させる。続く、ステップS9においては、前記基板1を半田槽に浸潤させ、必要な部分の半田付けを行なう。最後に、ステップS10においては、前記基板1を洗浄液で洗浄し、検査を行なった後に、完成された基板トランスとして出荷されるものである。
【0028】この場合に、前記製造工程は、通常、セラミック基板を用いた厚膜印刷配線の製造工程と同様な製造工程であるので、前記基板トランスの製造時に、特に、新たな製造工程用ラインを設ける必要がなく、しかも、量産性に富み、品質の均一な基板トランスを製造することができる。
【0029】次に、図4は、本発明による基板トランスの構造の第2の実施例を示す構成図であって、(a)はその正面図、(b)はそのA−A線の断面図である。
【0030】図4において、11は磁性金属箔を積層した基板であり、その他、図1に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0031】そして、前記第1の実施例と第2の実施例との構成の違いは、前記第1の実施例は、基板1として、焼結されたフェライト基板1を用いたものであるのに対して、第2の実施例は、前記フェライト基板1の代わりに、アモルファス磁性箔をエポキシ系接着剤で積層接着させた金属積層基板(以下、これを金属積層基板という)11を用いている点だけであって、その他には前記第1の実施例と第2の実施例との間に構成上何等の違いがないので、第2の実施例の構成についてのこれ以上の詳しい説明は省略する。
【0032】ここにおいて、金属積層基板11を用いてなる第2の実施例は、フェライト基板1を用いてなる前記第1の実施例に比較して、より強い衝撃強度が得られるものであるから、使用中または製造時等において、金属積層基板11が破損を受ける危険性を低減することができ、しかも、フェライト基板1を用いた場合と同様に、薄型の基板トランスを実現できるという利点がある。また、金属積層基板10を用いてなる第2の実施例は、各スルーホール21 、22 、… … …、2n、31 、32 、… … …、3n が、金属積層基板11に対するリベットとしての機能を果たしている。
【0033】続く、図5は、本発明による基板トランスの構造の第3の実施例を示す構成図である。
【0034】図5において、図1に示された構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付けている。
【0035】そして、前記第1の実施例と第3の実施例との構成の違いは、前記第1の実施例は、フェライト基板1の縦方向に2列のインライン状に各スルーホール21 、22 、… … …、2n 、31 、32 、… … …、3n を形成させているのに対して、第3の実施例は、フェライト基板1の縦方向に千鳥状に各スルーホール21 、22 、… … …、2n 、31 、32 、… … …、3n を形成、即ち、具体的に述べると、1次側のコイル巻線に関連する各スルーホール21 、23 、… … …、2n 、32 、34 、… … …、3n-1 が内側に、2次側のコイル巻線に関連する各スルーホール22 、24 、… … …、2n-1 、31 、33 、… … …、3n が外側になるように形成している点だけであって、その他には前記第1の実施例と第3の実施例との間に構成上何等の違いがないので、第3の実施例の構成についてもこれ以上の詳しい説明は省略する。
【0036】第3の実施例においては、フェライト基板1の縦方向に千鳥状に各スルーホール21 、22 、… … …、2n 、31 、32 、… … …、3n が形成されているので、これらの各スルーホール21 、22 、… … …、2n 、31 、32、… … …、3n を前記基板1の縦方向に2列のインライン状に形成した前記第1の実施例のものに比べて、前記基板1の機械的強度の低下が少なくなるという利点がある。なお、第3の実施例は、1次側のコイル巻線に関連する各スルーホール21 、23 、… … …、2n 、32 、34 、… … …、3n-1 が内側に、2次側のコイル巻線に関連する各スルーホール22 、24 、… … …、2n-1 、31 、33 、… … …、3n が外側になるようにした例を示しているが、1次側のコイル巻線に関連する各スルーホール21 、23 、… … …、2n、32 、34 、… … …、3n-1 を外側に、2次側のコイル巻線に関連する各スルーホール22 、24 、… … …、2n-1 、31 、33 、… … …、3nを内側にするようにしてもよい。
【0037】なお、各スルーホール21 、22 、… … …、2n 、31 、32 、… ……、3n を設けたことによるフェライト基板1の機械的強度の低下を補うため、印刷配線導体41 、42 、… … …、4n-1 、51 、52 、… … …、5n-1 等を印刷形成させた後で、これら各スルーホール21 、22 、… … …、2n 、31 、32 、… … …、3n をエポキシレジン等の充填物により充填させるようにしてもよい。
【0038】次いで、図6は、本発明による基板トランスの構造の第4の実施例を示す構成図である。
【0039】図6において、12は第1の基板トランス構成部分、13は第2の基板トランス構成部分であって、その他、図1に示された構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付けている。
【0040】そして、第1の基板トランス構成部分12と、第2の基板トランス構成部分13とは、1つの共通のフェライト基板1に形成されており、この場合に、第1の基板トランス構成部分12の1次側及び2次側のコイル巻線と、第2の基板トランス構成部分13の1次側及び2次側のコイル巻線とは、その向きが約90度程異なるように配置されているものであって、第1の基板トランス構成部分12及び第2の基板トランス構成部分13において形成されている各基板トランスは、前記第1の実施例に示された構成のものと全く同様のものである。
【0041】第4の実施例のように、第1の基板トランス構成部分12の1次側及び2次側のコイル巻線と、第2の基板トランス構成部分13の1次側及び2次側のコイル巻線との向きが約90度程異なるように配置すれば、1つの共通のフェライト基板1に2つの基板トランス構成部分12、13を形成したにも係わらず、第1の基板トランス構成部分12の1次側及び2次側のコイル巻線と、第2の基板トランス構成部分13の1次側及び2次側のコイル巻線との間の磁気的干渉を最小にすることができるようになる。
【0042】次に、図7は、本発明に係わる基板トランスの構造の第5の実施例を示す構成図である。
【0043】図7において、14は付加的スルーホール、15はダミーパッドであり、その他、図1に示された構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付けている。
【0044】そして、前記第1の実施例と、第5の実施例との構成の違いは、第5の実施例は、フェライト基板1に各スルーホール21 、22 、… … …、2n 、31 、32 、… … …、3n と別個に付加的スルーホール14が設けられ、この付加的スルーホール14の周囲にダミーパッド15が形成されているのに対して、前記第1の実施例は、前記付加的スルーホール14やダミーパッド15を有していない点だけであって、その他には前記第1の実施例と第5の実施例との間に構成上の違いがない。
【0045】第5の実施例に示されるように、付加的スルーホール14と、周囲に何等の配線もなされていないダミーパッド15とを設けるようにすれば、前記ダミーパッド15は、端子パッド61 、62 、71 、72 と同じように、配線を半田付けするための接続基地として用いることができ、融通性に富んだ配線を行なうことができるとともに、基板トランスを取付強度の強い通常のチップ部品として扱うことができるようになる。
【0046】続く、図8は、本発明に係わる基板トランスを用いたスイッチング電源の実装構造の一例を示す構成図である。
【0047】図8において、16は基板トランス、17は基板トランス16と同様な構成を有する基板リアクトル、18は入力コネクタ、19は出力コネクタ、20は平滑コンデンサ、21は整流ダイオード、22はパワートランジスタ、23は小信号トランジスタ、24はチップ抵抗、25はチップコンデンサ、26は制御用IC、27は取付穴であり、その他、図1に示された構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付けている。
【0048】そして、前記スイッチング電源を製造する際には、始めに、フェライト基板1に、既に述べたような製造工程によって基板トランス16と基板リアクトル17とを形成し、かつ、必要な回路パターン配線や部品搭載用パッド等の配線を行ない、次に、スイッチング電源として必要な電子部品類、例えば、制御用IC26、小信号トランジスタ23、チップ抵抗24、チップコンデンサ25、パワートランジスタ22、整流ダイオード21、平滑コンデンサ20、入力コネクタ18、、出力コネクタ19等を前記基板1上に一括して配置搭載させ、その後に、前記基板1を取付穴27を介して上位のシステムに合体構成されるものである。
【0049】また、図9は、図8に示されたスイッチング電源の実際の回路構成を示す回路図であって、この回路は、正負の電圧+Es、−Esからなる平衡出力電圧を発生する周知のDC/DCコンバータを構成しているものである。
【0050】図9において、図8に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。また、図9に示されたDC/DCコンバータの動作は、自ずと明らかであるので、前記動作に対するこれ以上の説明は省略する。
【0051】この場合、前記スイッチング電源においては、使用されている基板トランス16や基板リアクトル17自体の厚みが極めて薄いので、基板トランス16や基板リアクトル17を他の電子部品とともに前記基板1に搭載した場合に、前記基板トランス16や基板リアクトル17は前記他の電子部品よりも薄くなり、低い状態において前記スイッチング電源を実装することができ、面付部品の使用効果が極めて大きくなる。また、従来、配置上、小型化、薄型化の障害となっていたトランス、リアクトルが基板上に任意に配置することができるため、配線を引き廻す必要性が少なくなり、前記スイッチング電源を前記基板1上にコンパクトに実装させることができる。さらに、前記基板1全体が磁性体で構成されているため、前記基板1による磁気シールド効果があり、この種のスイッチング電源において問題視されていた磁気的雑音による他機器との相互干渉を低減させることができ、その上に、ビーズコア等を用いることなく、配線に伴う高周波雑音を効果的に減衰させることができるようになる。この他にも、磁性体からなる基板1は、従来の有機材料からなる基板に比べて熱伝導性が良好であるため、前記基板1自体を放熱器として用いることができ、いままで以上に実装を小型化できるという利点もある。
【0052】なお、前記基板1に大きな放熱特性を持たせるときには、前記基板1の裏面の広い部分に金属性の放熱フィンを装置すれば、前記基板1単体のものよりも、著しく放熱能力を高めることができるようになる。
【0053】続いて、図10は、本発明に係わる基板トランスに用いられる磁性体からなる大型基板を示す構成図である。
【0054】図10において、28は磁性体からなる大型基板、29は縦方向の切込溝、30は横方向の切込溝であり、その他、図8に示された構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付けている。
【0055】そして、磁性体からなる大型基板28には、既に述べたような製造工程により複数の基板トランス16を一括形成し、その後に、縦方向の切込溝29及び横方向の切込溝30に沿って前記大型基板28を個別の複数の基板1に分割し、個々の基板トランス16を形成するようにしたものである。
【0056】図10に示すような製造工程を経て作られた基板トランス16は、多数の基板トランス16が能率的に一括して作られるので、個別に基板トランス16を作ったものに比べて製造原価が安くなり、また、各基板トランス16は個々に切り離されて使用されるので、実際上配置の良否による相互干渉の問題がなくなる。
【0057】なお、図10に示された基板トランス16は、1つの電子部品として他の基板に搭載されて用いられるため、図8に示された基板トランス16に比べれば、トランスとしての厚みは増大するが、その厚みは実質的に前記基板1のみに依存しているため、基板トランスの薄形化は充分達成することができる。
【0058】なお、前記各実施例においては、基板1、11の板厚が約2mmのものとして説明したが、本発明による基板1、11の板厚は前述のもの限られるものではなく、前記板厚よりも薄い約1乃至2mm程度ものでもよく、場合によっては板厚が約2mmを多少超える程度のものでもよい。
【0059】また、前記各実施例においては、金属積層基板11として、アモルファス磁性材料からなる金属箔を接着剤で積層接着させたものの例を示したが、本発明による前記材料はアモルファスに限られるものではなく、他の磁性材料を用いることもできる。
【0060】また、前記各実施例では、基板のスルーホール加工にレーザ加工法を用いた場合について説明したが、本発明は、このような加工法に限られるものではなく、超音波加工法、型抜き加工法を用いても、同様の加工が行なえることはいうまでもない。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、比較的機械的強度の高い板厚が約1乃至2mm程度の磁性体基板1、11に、通常の印刷配線手段を用いて一対のコイル巻線を形成しているので、小型で、薄型の基板トランスを実現することができるとともに、容易に高い寸法精度と、高い信頼性を持った一対のコイル巻線を形成することができ、しかも、前記基板1、11に他の電子部品を実装させることもできるという優れた効果がある。
【0062】また、本発明によれば、前記基板1、11が前記一対のコイル巻線のコアを形成しているので、小型で、薄型であるにも係わらず、充分大きなリアクタンスを得ることができ、従来のこの種のトランスに比べて高い出力(数10W)程度を処理することができるという効果もある。
【0063】さらに、本発明によれば、基板トランスの製造に際して、通常のセラミック基板を用いた厚膜印刷配線と同じ製造工程を経て作ることができるので、新たな製造工程ラインを準備する必要がなく、量産性に富み、品質の均一な基板トランスを製造できるという効果もある。




 

 


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