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発明の名称 荷電ビーム処理装置およびその方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−44941
公開日 平成6年(1994)2月18日
出願番号 特願平5−53965
出願日 平成5年(1993)3月15日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】秋本 正実
発明者 濱村 有一 / 嶋瀬 朗 / 東 淳三 / 水村 通伸 / 伊藤 文和 / 原市 聡 / 山田 利夫 / 古泉 裕弘
要約 目的
処理ガスによる荷電粒子ディテクタの性能劣化を防止することができる荷電ビーム処理装置およびその方法の提供。

構成
荷電粒子増幅部の前面にシャッタ機構を設け、さらに荷電粒子ディテクタ内部を排気、または差動排気できる構造にして、観察時には荷電粒子ディテクタをオンにしシャッタを開け、処理時には荷電粒子ディテクタをオフまたはそのままにし、シャッタを閉じ荷電粒子ディテクタ内部を排気する。
特許請求の範囲
【請求項1】(1) 試料を搭載したステージを内設し、排気手段を有するメインチャンバと、(2) 該メインチャンバに接続するチャンバ内に、荷電ビーム源にて発生した荷電ビームを、該荷電ビーム導出用のセンターパイプを介して前記試料に照射可能に設けられた排気手段を有する荷電ビーム光学系と、(3) 前記試料面を、電気的に中和する荷電粒子照射用の電子銃と、(4) 前記試料面の加工を前記荷電ビームと協同して行う反応性ガスを、該試料面に導く反応性ガス供給手段と、(5) 前記試料面の加工部を観察可能に、該加工部より放出される荷電粒子を検出する荷電粒子ディテクタと、(6) 該荷電粒子ディテクタを前記反応性ガスより遮蔽可能な遮蔽手段とを備えた荷電ビーム処理装置であって、(7) 前記遮蔽手段により遮蔽可能に仕切られるとともに、前記荷電粒子ディテクタを収納可能な収納空間を有し、該収納空間を真空排気する排気手段を設けたことを特徴とする荷電ビーム処理装置。
【請求項2】 前記荷電ビーム光学系を収容するチャンバと前記メインチャンバとの間に、該両者間を遮蔽する遮蔽部材が設けられ、前記荷電粒子ディテクタが、前記荷電ビーム導出用のセンターパイプの周囲に配設されてなる請求項1記載の荷電ビーム処理装置。
【請求項3】 前記遮蔽手段が、開閉自在なシャッタ機構からなり、前記荷電粒子ディテクタの試料面側に配設されてなる請求項1記載の荷電ビーム処理装置。
【請求項4】 前記荷電ビーム光学系を収容するチャンバと前記メインチャンバとの間を遮蔽する遮蔽部材が、開閉自在なシャッタ機構からなり、前記荷電粒子ディテクタを挾んでその反試料面側に、前記試料面側のシャッタ機構と平行に上下2段に配設されてなる請求項2記載の荷電ビーム処理装置。
【請求項5】 前記シャッタ機構が、前記荷電ビーム導出用のセンターパイプを挾んでその左右両側に開閉可能な2部材のシャッタからなる請求項3または4記載の荷電ビーム処理装置。
【請求項6】 前記シャッタ機構が、該シャッタを閉じた際、該シャッタの左右2部材間,該シャッタと前記荷電ビーム導出用のセンターパイプとの間および該シャッタと前記メインチャンバの内壁との間をシールするシール機構を備えてなる請求項3,4または5記載の荷電ビーム処理装置。
【請求項7】 前記シャッタ機構の試料面側に、該シャッタ機構の開閉による試料上の電磁界乱れ防止用のシールドカバーを設けてなる請求項3記載の荷電ビーム処理装置。
【請求項8】 前記シャッタ機構の試料面側に、該シャッタ機構の開閉による試料上の電界の乱れを防止するシャッタに電圧を印加可能な電極を設けてなる請求項3記載の荷電ビーム処理装置。
【請求項9】 前記シャッタ機構が、前記試料面に導かれた反応性ガスのうちシャッタに接触した反応性ガスを、吸着可能な冷却手段を備えてなる請求項3記載の荷電ビーム処理装置。
【請求項10】 前記メインチャンバ内に、前記試料面に導かれた反応性ガスのうち該試料表面部に残留した反応性ガスを吹き飛ばし、該反応性ガスの試料面への付着防止可能な、不活性ガスをノズルを介して送出する不活性ガス送出手段を備えてなる請求項1記載の荷電ビーム処理装置。荷電ビーム処理装置。
【請求項11】 前記荷電粒子照射用の電子銃が、その内部に設けたオリフィスを挾んでその両側に、荷電粒子収束用のレンズを設けてなる請求項1記載の荷電ビーム処理装置。
【請求項12】(1) 荷電ビーム源からの荷電ビームを、荷電ビーム光学系により収束してメインチャンバ内の試料に照射し、(2) 前記試料面に導かれる反応性ガスより荷電粒子ディテクタを遮蔽するためのシャッタ機構を開き、(3) 前記試料への荷電ビームの照射により、該試料より放出される荷電粒子を前記荷電粒子ディテクタにより検出して該試料面の加工条件を設定し、(4) 該加工条件設定後、前記シャッタ機構を閉じ、荷電粒子ディテクタを反応性ガスより遮断して前記荷電粒子ディテクタの収納空間を排気し、(5) 前記荷電ビームが照射されている試料面に前記反応性ガスを導いて該試料面を加工し、(6) 該加工終了後、前記メインチャンバ内を排気してシャッタ機構を開き、前記(1)の工程に戻ることを特徴とする荷電ビーム処理方法。
【請求項13】(1) 荷電ビーム源からの荷電ビームを、荷電ビーム光学系で収束してメインチャンバ内の試料に照射し、(2) 荷電粒子ディテクタを挾んで前記荷電ビーム光学系を収容するチャンバと前記メインチャンバとの間を遮蔽する上下2段のシャッタ機構のうち、上段シャッタ機構を閉じ、閉じ終わった後、下段シャッタ機構を開き、(3) 前記試料への荷電ビームの照射により、該試料より放出される荷電粒子を前記荷電粒子ディテクタにより検出して該試料面の加工条件を設定し、(4) 該加工条件設定後、前記下段シャッタ機構を閉じ、閉じ終わった後、上段シャッタ機構を開いて、前記荷電粒子ディテクタの収納空間を含む荷電ビーム光学系を収容するチャンバ内を排気し、(5) 前記荷電ビームが照射されている試料面に前記反応性ガスを導いて該試料面を加工し、(6) 該加工終了後、前記荷電粒子ディテクタの収納空間部を排気して上段シャッタ機構を閉じ、閉じ終わった後、下段シャッタ機構を開き、前記(1)の工程に戻ることを特徴とする荷電ビーム処理方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は荷電粒子ディテクタ、または、荷電ビームと処理ガスとを用いて反応性エッチングやビームアシストデポジション等を行う荷電ビーム処理に係り、特に、処理ガスによる荷電粒子ディテクタの性能劣化を防止するのに好適な荷電ビーム処理装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、LSI等の半導体装置は、高集積化、高機能化を進めるために、配線や素子の多層化が進んでいる。このため、LSI設計のデバッグや製造プロセス上の不良解析を目的として、チップ上の配線を切断したり、あるいは任意部分を接続することにより回路修正を短時間で行う要求が高まっている。このような回路修正では、一つのLSI上で数10箇所におよぶ加工を行う必要があり、加工を高速に、しかも100%近い高歩留りで行わねばならない。
【0003】このうち、配線の切断を行う方法としては、従来、集束イオンビームにより配線材料の原子を叩きだすスパッタ加工方法が用いられてきたが、この方法では加工速度が遅い、被加工物の材質に対して選択性が小さい、スパッタされた原子が側面に付着する、などの問題があった。
【0004】これに対し、反応性ガスと集束イオンビームや電子ビームなどの荷電ビームとを組み合わせた化学反応性エッチングを用いれば、前記スパッタ加工の数十倍の高速加工が可能であり、また、反応性ガスの種類を選択することにより、被加工層の下層に対する選択性を大きくすることができ、凹凸の激しい試料に対しても下層にダメージを与えることなく精度良い加工が可能である。
【0005】しかし、反応性ガスを導入した場合、拡散によって像検出用の荷電粒子ディテクタが反応性ガスにさらされ、これにより荷電粒子ディテクタの活性面の腐食が生じる。この結果、荷電粒子ディテクタの性能が劣化し、頻繁に交換が必要となってしまう問題点があった。
【0006】この問題を解決するため、2次粒子ディテクタの2次粒子増幅部の前面にシャッタ機構を設けた、特開平3−245529号公報が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記提案されている従来技術においては、反応性ガスを用いて処理を行った後、充分排気されないうちに、2次粒子ディテクタの2次粒子増幅部の前面のシャッタを開けた場合、反応性ガスが2次粒子ディテクタ内に入り込むが、そのまま再び処理を行うためにシャッタを閉じると、2次粒子ディテクタ内に反応性ガスを閉じ込めてしまうことになり、2次粒子ディテクタの性能劣化を防ぐことができない問題を有している。また、上記シャッタの開閉を繰り返すことにより、同様に2次粒子ディテクタ内に反応性ガスが残留し、性能劣化の問題は避けられない。さらに、構造上の問題で、このシャッタ機構を設けても必ずしも完全に処理ガスを遮断できない場合、わずかなすきまから処理ガスが漏れディテクタ内に入り込んでしまい、腐食による性能劣化を引き起こすことになる。また、材料から放出する気体や、外部からリークしてくる気体により、2次粒子ディテクタの許容動作真空度より圧力が上がった場合、放電などによる該ディテクタの破損を引き起こすことになる。
【0008】本発明は前記従来技術の問題点に鑑み、処理ガスによる荷電粒子ディテクタの性能劣化を防止することができる、荷電ビーム処理装置およびその方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、荷電粒子増幅部の前面にシャッタ機構を設け、さらに荷電粒子ディテクタ内部を排気、または差動排気できる構造にして、観察時には荷電粒子ディテクタをオンにしシャッタを開け、処理時には荷電粒子ディテクタをオフまたはそのままにし、シャッタを閉じ荷電粒子ディテクタ内部を排気する。
【0010】また上記の構造において、荷電粒子ディテクタの前面や試料表面に対して不活性ガスを吹き付ける機構や、冷却により処理ガスを吸着させる機構の少なくともどちらか一方を併用する。
【0011】
【作用】上記構成のうち、シャッタ機構を設け、荷電粒子ディテクタ内部を排気または差動排気する装置では、観察時には荷電粒子ディテクタをオンにしシャッタを開け、処理ガスを供給するときには荷電粒子ディテクタをオフにし、シャッタを閉じ荷電粒子ディテクタ内部を排気することにより、処理ガスがディテクタ内部に入り込むのを防ぎ、また、入ったとしてもそのガスをただちに排気できるので2次粒子ディテクタの劣化を防ぐことができる。また、処理ガスを供給するときに2次粒子ディテクタをオフにすることにより、内部に残留している、あるいは流入してきたガスが2次粒子増幅部の活性面に付着し、反応することを防ぐことができる。
【0012】また上記構成のうち、シャッタに加えて2次粒子ディテクタの前面や試料表面に対して不活性ガスを吹き付ける機構や、冷却により処理ガスを吸着させる機構を用いた装置では、荷電粒子ディテクタ内部への処理ガス流入をさらに防ぐことができる。
【0013】
【実施例】以下、図面に従い本発明の各種実施例を順に説明する。なお、図中、同符号のものは、同じもの、または同機能のものを示す。まず、本発明の第1の実施例を、図1ないし図4を参照して説明する。図1は第1の実施例の装置構成図、図2は試料の観察・加工時における各要素の動作シーケンスを示す図、図3は観察時における装置の要部を示す図で、(a)は側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図、図4は加工時における装置の要部を示す図で、(a)は側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図である。
【0014】図1において、1はイオン源、2はイオンビーム、3は引出し電極で、イオン源1から電極3を介して引き出されたイオンビーム2は、前段集束レンズ4、後段集束レンズ6により集束し、アパーチャ5,7を通過させてデフレクタ電極8により偏向する。これらのイオンビーム光学系は、IBチャンバ26内に設けられており、イオンビームコントローラ33により制御される。
【0015】25はメインチャンバ28内に設けられているステージ、24はステージ25上に搭載されている試料で、該試料24は、流量調整バルブ16を介して反応性ガスボンベ18と接続されているノズル15により、反応性ガスを吹き付けられるようになっている。
【0016】9はIBチャンバ26とメインチャンバ28との間に設けられている光路パイプで、光路パイプ9はイオンビーム2の通路のためにコンダクタンスを充分小さくしている。IBチャンバ26はバルブ29を介して、また、メインチャンバ28はバルブ31を介して、それぞれ図示しない排気装置により差動排気される。これにより、メインチャンバ28内に処理ガスを導入してもIBチャンバ26内を高真空に保つことができる。
【0017】試料24の加工位置の検出には、図3(a),図4(a)に明示するように、イオンビーム2の照射により発生する2次イオンを同期させて検出する走査イオン顕微鏡像(以下、SIM像と記す)を用いる。本実施例では2次粒子増幅部としてマイクロチャンネルプレート(Micro Channel Plate、以下、MCPと称す)11を用いる。引込み電極12によりMCP11に2次粒子を引き込み、MCP11で増幅された2次電子を検出電極10により検出する。これらの各電極による電界がイオンビーム2に影響を及ぼさないように、光路パイプ9は接地される。
【0018】13は、MCP11と引込み電極12との間に、MCP11が反応性ガスにさらされないように設けられているシャッタで、シャッタ13はメーンチャンバ28の外に設けた駆動装置14によりプッシュロッド40を介して駆動される。駆動装置14の一例の断面図を図12に示す。図12において、54はプッシュロッド40に連結されたエアシリンダで、ハウジング53に固定されている。エアシリンダ54により図示矢印方向にプッシュロッド40を移動させるが、このとき、べローズ55の伸縮によりメーンチャンバ28内の真空を維持する。シャッタ13は、その開閉が、所定の電圧を印加した引き込み電極12により生じた試料24方向の電界を変化させないように、引込み電極12とMCP11の間に設け、さらにイオンビーム2が通過できるようにしなければならない。シャッタ13を閉じると、MCP11を囲んでいるMCP室27内が密閉されるので、メインチャンバ28内に処理ガスを用いているときでも、バルブ30を開き、図示しない排気装置により排気することにより、MCP室27内を高真空に保つことができる。
【0019】19は、試料24の表面に蓄積されるイオンビーム2の正電荷を中和するための電子銃である。電子銃19の中には、電子源20,レンズ21,偏向電極22,オリフィス23が設けられており、電子源20から出力された電子ビームを、レンズ21により集束し、偏向電極22により偏向して試料24上に供給するようになっている。電子銃19の内部は、バルブ32を介して図示しない排気装置により常に差動排気される。これにより、電子源20が処理ガスで劣化するのを防ぐことができる。前記電子ビームを、オリフィス23の位置で直径0.5mm程度に集束させ、穴径1.0mm程度のオリフィス23を通過させ、図に示すようにレンズ21の2段目で再度しぼり込むことにより、ビーム径1mm、ビーム電流100nA程度の電子ビームを得ることができる。また、オリフィス23によりメインチャンバ28が1.0×10~4Torrのとき、電子源20の周囲圧力は1.0×10~6Torr程度におさえることができ、寿命を約100倍も伸長することが可能になる。
【0020】ここで、34は電子銃の電源、35はステージ25を制御するステージコントローラ、36は反応性ガス供給用の流量調整バルブ16および排気用のバルブ17のコントローラ、37は荷電粒子ディテクタの制御およびシャッタ開閉制御用のコントローラで、前記イオンビームコントローラ33を含めた各コントローラは、コンピュータ38により制御される。
【0021】次に、前記第1の実施例の装置を用いた場合の制御プロセスの例と、装置内各要素の動作について説明する。
【0022】まず、試料24のSIM像を観察しながら、ステージ25をステージコントローラ35により移動させ、試料24の加工位置および加工領域の設定を行う。この時、MCP11には前段にV1、後段にV2、引き込み電極12にはV0の電圧を印加する。これにより、試料24より出力された2次イオンを引込み電極12で加速し、MCP11で増幅して、検出電極10でこれを検出する。シャッタ13は光路パイプ9を挾んでその左右両側に開閉自在に設けられており、2次イオン(図3(a)に+を丸で囲んだ符号で示す)が通過できるように、図3に示すように両側へ格納して“開”の状態にする。電子シャワーは、加工時のイオンビーム2による試料24のチャージアップ防止のために、図3(a)または図4(a)に符号e~で示す電子を、常に電子銃19を介して供給している状態にする。これは加工時と観察時で加工位置及び加工領域の設定が電界の変化によりずれないようにするためである。反応性ガスは、バルブ16を閉じ、バルブ17を開き、図示しない排気装置によりノズル15の中を排気した状態にする。ここではMCP室27内は、バルブ30を閉じ排気を行わない。光路パイプ9は、前に述べたとおりイオンビーム2がMCP11や引込み電極12の電圧印加による電界に影響されないように常に接地される。また、シャッタ13の開閉により電位分布が変化しないためのシールドカバー41も常に接地される。
【0023】このようにして加工位置および加工領域を設定した後、シャッタ13を前記格納位置から光路パイプ9側に寄せて図4に示す“閉”の状態にする。シャッタ13が完全に閉じるまでに要する時間t1(図2に示す)の後、流量調整バルブ16を開け、バルブ17を閉じて反応性ガスをノズル15から試料24上に供給する。この場合、供給された反応性ガスは、図4に示すように、シャッタ13の上面とメーンチャンバ28の内壁面との隙間がOリング42で遮断され、また、シャッタ13の左右の合わせ面およびシャッタ13と光路パイプ9との隙間がシール43で遮断される構成なっているため、メーンチャンバ28からMCP室27内に流入しようとする反応性ガスは、Oリング42およびシール43で確実に遮断され、MCP11の劣化を防ぐことができる。シャッタ13を閉じることにより、MCP室27内は密閉されることになるため、MCP室27内にわずかにリークしてきたガスを、バルブ30を開きMCP室27内を排気して除去する。このように反応性ガスの遮断が完全な場合、MCP11の印加電圧を0Vにする必要はないが、不完全な場合はこれを0Vにしなければならない。反応性ガスの遮断性能は、シャッタ13が閉じたときのOリング42およびシール43の押し付け力に依存する。Oリング42の押し付け力は、シャッタ13の上下方向の位置によって決まり、シール43の押し付け力は、エアシリンダ54の圧力を選択することにより調節することが可能である。
【0024】つぎに、引き込み電極12に対する印加電圧は、試料24上の電位分布が変化することで前に設定した加工位置、加工領域がずれないように、シャッタ13を閉じた後も引き続き印加される。図3等に示すシールドカバー41は、常に接地している。試料24近傍の電界をシャッタ“開"時と同じにするために、シャッタ13に電極46を設けて電圧を印加することも有効である。ただしその場合には、シャッタ13と電極46との間に絶縁材料(テフロン、マコール、デルリンなど)をはさんで絶縁する。一方、電子銃19は、前記の如く常に差動排気されており、オリフィス23を通過して電子銃19内に入ってくる反応性ガスは、バルブ32を介して直ちに排気されるため、電子源20の回りの反応性ガス濃度を低く抑えることができ、電子源20の性能劣化を防止している。
【0025】上記した状態において試料24は、イオンビーム2により活性化された反応性ガスによって反応性エッチング行う。そして、あらかじめ実験により求められている処理速度に基づいて所望の深さまで処理を行った後、流量調整バルブ16を閉じ、バルブ17を開いて、残留した反応性ガスを、メインチャンバ28内がMCP11の許容動作真空度以下(およそ5.0×10~6Torr)になるまで排気する(所要排気時間は図2に示すt2)。その後、シャッタ13を開き、同時にMCP室27内の排気を停止し、次の加工位置を観察し位置決めを行う。そして、以後はこの動作を繰り返し行う。これら1連の動作は、コンピュータ38により制御して行われる。
【0026】前記制御プロセスでは、1箇所の加工について加工位置および加工領域を決め、加工を繰り返していたが、複数の加工位置が近くにある場合には、1回の観察でこれら複数の加工位置および加工領域のSIM像を画像メモリに登録し、このメモリをもとに複数箇所の加工を行うことができる。
【0027】本実施例によれば、反応性ガスによるMCP11の性能劣化を防ぐことができ、安定な装置稼動が可能となる。
【0028】つぎに、本発明の第2の実施例を、図5ないし図7を参照して説明する。図5は加工時における装置の要部断面図(その1)、図6は加工時における装置の要部を示す図(その2)で、(a)は側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図、図7は試料の観察・加工時における各要素の動作シーケンスを示す図である。
【0029】図5において、44aは、前記図4に示すシール43に対応する位置に設けられているラビリンスで、簡単な構造にすることができる。44bは、前記図4に示すOリング42に対応する位置に設けられているラビリンスである。ラビリンス44a,44bを使用することにより、反応性ガスがMCP室27内に入り込みにくく、コンダクタンスを充分小さくすることができる。そして、シャッタ13を閉じたときも完全に反応性ガスを遮断せず、MCP室27内を差動排気することによって、MCP11の劣化を防止する方式である。この方式の制御プロセスを図7に示す。図2と異なる点は、加工位置決め時にはMCP11に電圧を印加するが、加工時はMCP室27内にわずかではあるが反応性ガスが入り込んでくるので、劣化防止のためにMCP11に電圧を印加しないところにある。
【0030】図6は、規格品のOリングとラビリンス構造とを組み合わせた方式を示す。シャッタ13の上面側からのガス流入は、図4と同様にOリング42で遮断するが、シャッタ13の下面側からのガス流入は、光路パイプ9周辺はOリング45で、また、シャッタ13の左右の合わせ面は図5のラビリンス44aと同じ構造のラビリンス44a´で遮断する。この場合、制御プロセスは図7と同じである。本実施例は、処理ガスの反応性が低い場合、または処理ガスの供給量が少ない場合等に簡便で有効である。
【0031】つぎに、本発明の第3の実施例を、図8ないし図10を参照して説明する。図8は試料の観察・加工時における各要素の動作シーケンスを示す図、図9は観察時における装置の要部断面図、図10は加工時における装置の要部断面図である。
【0032】本実施例は、図9に示すように、IBチャンバ26の下部をメインチャンバ28と同幅に形成し、該下部に同構成のもう1組のシャッタ13b(上段シャッタ)を設けて下段シャッタおよび上段シャッタの2組とし、MCP室27を削除した構成にしたものである。両シャッタ共に、イオンビーム2が通過できる穴が空いており、光路パイプ9の外径部を、前記シール43と同構成のシール49を用いてシールする構造になっている。この方式の制御プロセスを図8に示す。図8において、まず第1の加工位置決めでは、下段シャッタ13aを“開”、上段シャッタ13bを“閉”の状態にする。位置決め終了後、下段シャッタ13aを閉じはじめ、完全に閉じるまでに要する時間t1の後、上段シャッタ13bを開く。これは、2つのシャッタを同時に開けると、IBチャンバ26とメインチャンバ28をつなげている通路のコンダクタンスが大きい場合、差動排気ができなくなるためである。上段シャッタ13bを開き始めてから完全に開くまでの時間t1の後、第1の穴加工が開始される。該穴加工終了後、メインチャンバ28内の反応性ガスを時間t2の間、前記MCP11の許容真空度まで排気する。その後、上段シャッタ13bを閉じ、前記と同様の時間差で下段シャッタ13aを開け、第2の加工位置決めを行う。
【0033】上記第3の実施例では、MCP室27を設けない構造にしているが、前記第1の実施例のようにこれを設けても同様であり、この場合は、MCP室27内は観察時、加工時ともに排気される。
【0034】つぎに、本発明の第4の実施例を、図11を参照して説明する。図11は加工時における装置の要部を示す図で、(a)は側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図である。
【0035】図11において、50は小径の穴からなる冷媒用の通路51を有するシャッタで、メインチャンバ28内に前記シャッタ13に変えて該シャッタ13と同位置に設けられる。通路51内には、例えば液体N2等の冷媒物質が供給され、熱伝導によりシャッタ50の表面を反応性ガスの蒸発温度以下に冷却し、ノズル15より供給された反応性ガスがシャッタ50に当った際に吸着して、反応性ガスのMCP室27内への流入量をさらに減少させるようにしている。また、52は、図示しないバルブおよび不活性ガスボンベに接続されているノズルで、加工時から観察時に移るときに、試料24の表面やその周辺に残留した反応性ガスを、ノズル52からの不活性ガスにより吹き飛ばすことで、反応性ガスが試料24の活性面に吸着するのを、より確実に防ぐようにしている。
【0036】図13を参照して第5の実施例を説明する。図13は、試料の観察・加工時における各要素の動作シーケンスを示す。本実施例の装置構成は、前記第1の実施例と同じである。前記第1の実施例においては、試料24の観察時はシャッタ13を開き、MCP室27内を排気しないこととしたが、MCP室27とメインチャンバ28との間のガス流出入部のコンダクタンスが充分小さければ、MCP室27とメインチャンバ28は、それぞれを独立に差動排気してもポンプどうしがひきあうことがない。そこで本実施例では、観察時もMCP室27内を差動排気する構成である。ここで、前記第2の実施例のように、加工時はMCP11の電圧印加を図13のように行わなくてもよいし、行ってもよい。
【0037】図14は、シャッタ13と光路パイプ9との隙間をシールするシール43の他の実施例である。シール43は、通常は断面が矩形状のものを用いているが、図14(a)のように先の尖った断面形状のシール43aや、図14(b)のように先端面に丸みをつけた断面形状のシール43bを用いてもよい。また、左右のシャッタ13を閉じた場合の合わせ面のシールには、フラットな相手面と図14(a)または図14(b)のいずれかを組み合わせて用いるか、あるいは図14(b)の断面形状のものが互いに押し付け合うように用いる。シールの押し付け力を適度に調節することにより、被シール空間の密閉性やシールの耐摩耗性を向上させることができる。
【0038】図15,図16は、シール機構の説明図で、前記第1の実施例のOリング42に変わる他の実施例を示す。図15は試料観察時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図、図16は加工時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図、(c)は(a)のc−c矢視断面図である。前記第1の実施例では、シャッタ13の上面から流入するガスをOリング42による平面シールで遮断しているが、本実施例では、シャッタ13の相手側(本実施例ではMCP室27の外壁面)にOリング58が収まるような円筒面を設け、これを用いて該円筒面をシールする構造をとる。シャッタ13の上面からの流入はOリング58で遮断し、光路パイプ9の外周からの流入は、Oリング58と同様の構成のOリング59により遮断する。また、シャッタ13の閉じ合う部分には、図16(c)に示すように、L字型のシール60を対称に、かつ互いに相対するようにそれぞれのシャッタ13に取付け、シャッタ13の下方からの流入は図のa部で、また、シャッタ13の側面からの流入は図のb部でそれぞれ遮断する。本実施例のシール構造は、前記第1、第3、第4の各実施例のシャッタに適用可能である。
【0039】図17,図18はシール機構の説明図で、前記図15,図16のL字型のシール60に変わる他の実施例を示す。図17は試料観察時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図、(c)は(a)のc−c矢視断面図、図18は加工時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図である。前記図15,図16では、Oリング2種類と分割されたL字型のシール60を4個使用しているが、本実施例ではこれらを1個にまとめるような構造をとる。すなわち、図17,図18に示すように前記4個のL字型のシール60を1つにまとめたシール材61を、光路パイプ9の周囲に固定する構成である。従って、シャッタ13にはシールを取り付ける必要はない。
【0040】図19,図20はシール機構の説明図で、前記図17,図18の一体化して光路パイプ9の周囲に固定したシール61の変形例を示す。図19は試料観察時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図、図20は加工時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図、(c)は(a)のc−c矢視断面図である。前記図17,図18では一体化したシール61を、本実施例では逆に両側のシャッタ13に分割するような構造をとる。すなわち、図19(b)に示すように同軸の異なる2つの径の半円状のa、b部と、図20(c)のようにL字型のc部が一体となっているシール62を、左右両側のシャッタ13にそれぞれ取り付ける。従って、前記図17,図18の実施例とは逆に、光路パイプ9側にはシールを取り付けない。
【0041】図19,図20に示すシール機構を使用した場合のガス遮断性能を図40に、また、この場合のMCP11による増幅率の推移を図41に示す。図40において、シャッタ13を閉じ、メインチャンバ28内に反応性ガスを10sccm導入した場合、メインチャンバ28内の圧力は0.7Paとなるが、MCP室27内の圧力は初期圧力の1.0×10~3Paを維持することができた。また、図41において、上記シール機構のシャッタ13を実際の加工シーケンスに適用した場合の前記MCP増幅率は、その推移にほとんど変化はなく、そのためMCP11の劣化は認められなかった。これはシャッタ機構なしの場合に比べて寿命が数十倍延びることになる。
【0042】図21,図22はシール機構の説明図で、前記図17,図18におけるシャッタ13の上面からのガスの流入を遮断する部分の変形例を示す。図21は試料観察時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図、(c)は(a)のc−c矢視断面図、図22は加工時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図である。本実施例は、前記図17,図18におけるシャッタ13の上面からのガスの流入を遮断する部分のみを、シャッタ13の両側に2個に分割して取り付けたものである。すなわち、左右両側のシャッタ13には、図21(b)のように半円状のシール63を取付け、リングの両端にL字型のものが2個付いた形状のシール64を光路パイプ9側に固定する構成である。
【0043】図23,図24は、シール機構の説明図で、前記第1の実施例におけるシール43の変形例を示す。図23は試料観察時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図、図24は加工時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図である。本実施例は、前記第1の実施例における光路パイプ9の外周からのガスの遮断に、シャッタ13に取り付けたシール43を光路パイプ9の外周に押し付けて円筒面をシールする構造にしたが、本実施例では、これを平面をシールする構造をとる。シール65は、図23(b)に示すように同心の2個のリングが半径方向に伸びた帯のa部でつながれた形状になっている。シャッタ13を閉じたとき、図24(a)のようにシャッタ13の上面とシール65の下面とは接触しており、シャッタ13の上面のb部からのガス流入と、光路パイプ9の外周および左右シャッタ13の合わせ目のc部からのガス流入を防ぐことができる。
【0044】図25,図26,図27はシャッタ機構およびそのシール機構の説明図で、前記図23,図24における左右のシャッタ13を片側のみのシャッタにした場合の実施例を示す。図25は試料観察時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図、図26は試料観察時から加工時に移行する際のシール部の平面図、図27は加工時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図である。本実施例は、まず、観察時ではシャッタ66は図25に示すように右側に格納されている。シャッタ66には図25(b)に示すように光路パイプ9が収まるべき円孔67aを設けたシール67が固定されている。シャッタ66を閉じるときは、光路パイプ9が障害となるのでシール67に円孔67aまで切れ目67bを入れておく。シャッタ66を閉じていく途中のシール67は、図26に示す状態になり、シャッタ66を閉じ終わると、図27(b)に示す状態になる。
【0045】図28,図29はシャッタ機構およびそのシール機構の説明図で、前記図25,図26,図27における片側のみのシャッタを使用するが、該シャッタにはシールを取り付けない場合の実施例を示す。図28は試料観察時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図、図29は加工時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図である。前記図25〜図27に示す実施例では、シャッタ66にシール67が取り付けられているが、本実施例ではシャッタ66側にはシールは取り付けず、図28(a)に示すように、光路パイプ9を挾んでシャッタ66と相対する位置に梁68を設け、梁68と光路パイプ9との外周に巻きつくようにシール69を取り付ける。これにより、シャッタ66の下面から流入するガスを図29(b)に示すように遮断することができる。また、この梁68の部分のみをそのままにし、シール69をU字形状にしてシャッタ66側に取り付ける構造にすることも可能である。
【0046】図30は、引込み電極12の位置の変形例で、前記図20(a)と同様構成の加工時における装置要部の断面図である。本実施例は、MCP11を通常市販されているような構造、すなわち引込み電極12がMCP11のすぐ前面にあり、シャッタ13より上方に配置された構成である。前記図1〜図29までの構成は、シャッタ13の開閉によって試料24上の電界とそれに応じてイオンビーム2の着地点がなるべく変化しないように、引込み電極12をシャッタ13より下方に配置していた。しかし、電場解析とイオンビーム2の軌道追跡により着地点がずれないような引込み電極の寸法、電圧、配置を、予め求めておけば試料24上の電界は変化しても着地点がずれない効果がある。
【0047】図31は、前記図30におけるシャッタ13と光路パイプ9との変形例である。図29は加工時における状態説明図で、(a)はその側断面図、(b)は(a)のb−b矢視図である。本実施例も前記図30と同様に、シャッタ13の開閉によりイオンビーム2の着地点がずれないような設計を行う。前述した各実施例とは異なり、光路パイプ9がシャッタ13に干渉しない構成になっているので、シャッタ13は1枚の簡単な構造で済む。Oリング42,94はシャッタ13側に固定してあるが、反対側に固定することもできる。イオンビーム2が直接Oリング94に照射されると、Oリングが絶縁材の場合チャージアップし、これにより軌道が曲げられる。このチャージアップ量を計算で求めることは困難であるので、軌道を予測することは難しい。従って、Oリング94は直接イオンビーム2から見込めないようにしなければならない。試料24の観察時は、シャッタ13を図中右側に移動させ、円孔状のa部の中心とイオンビーム2の中心とを一致させ、荷電粒子を引き込めるようにする。
【0048】図32は、シャッタ13の駆動機構の他の実施例で、(a)は試料観察時における状態説明用の側面図、(b)は加工時における状態説明用の側面図である。前記第1の実施例においては図12に示すような駆動装置を使用したが、かわりに真空用の直線導入端子や、回転導入端子(この場合、回転運動を直線運動に変換するボールねじなどが必要)を用いることも可能である。ただし、シール特性向上のためにシャッタ13の押し付け力を調節することが好ましく、図32に示すようにシャッタ13をバネ70の力で押し付けるようにする。まず観察時は、シャフト71がストッパ72を引き掛け、バネ70の力に逆らってシャッタ13を開く。次に加工時は、シャフト71を内側にスライドさせ、シャッタ13が閉じた後も図32(b)に示す、aの長さ分だけさらにスライドさせる。この時、バネ70には圧縮力がかかっており、これによりシール43の押し付け力を調節することができる。
【0049】図33は、シャッタ13の駆動機構の設置位置の他の実施例で、(a)は試料観察時における状態説明用の側面図、(b)は加工時における状態説明用の側面図である。前述した各実施例においては、シャッタ13の開閉はメインチャンバ28の外部の駆動装置を用いて行っているが、本実施例ではメインチャンバ28の内部にこの駆動部を設ける。図において、モータ73はカップリング74を介してボールねじ75に連結され、ボールねじ75のナット部76は、シャッタ13上でスライドできるように、シャッタ13と一体のクロスローラガイド77で支持される。シャッタ13上のストッパ78を用いて、前記図32と同様に、シャッタ13を開くときにはナット部76をストッパ78に引き掛け、閉じるときにはナット部76を空走させてバネ70の予圧によりシール43を押し付ける。この構造により、モータ73の回転運動を、ボールねじ75によりシャッタ13の直線運動に変換することができ、真空のメインチャンバ28外にはモータの電力供給用の導線だけを取り出せば良いので、構造が比較的簡単になる効果を有する。
【0050】図34は、シャッタ13の駆動機構の他の実施例で、加工時の下面側から見た平面図である。前述の各実施例において左右2枚のシャッタを用いる場合、その開閉はそれぞれ独立の駆動装置を用いて行ったが、本実施例では、リンク機構を用いて1個の駆動装置により左右両方のシャッタ13を駆動する構造をとる。図において、シャフト80の動きは、ストッパ81を介してシャッタ13に伝達される。2枚のシャッタ13に連結されたアーム82を支点83で連結する。この支点83がガイド84に沿って移動することにより、両方のシャッタ13を駆動することができる。図中の各矢印は、シャッタ13を開くときの各部の動きを表す。
【0051】図35は、前記図34に示すシャッタ13の駆動機構の変形例で、加工時の下面側から見た斜視平面図である。本実施例では、ワイヤを用いて1個の駆動装置により左右両方のシャッタ13を駆動する構造をとる。駆動機構自体は図33に示すものと同じである。この駆動側のシャッタ13にワイヤ85を締結し、ワイヤ85の端末をプーリ86を介して従動側のシャッタ13に固定する。駆動側のシャッタ13を開くと、ワイヤ85の張力により従動側のシャッタ13も開く。このワイヤ85のかわりにベルト等(それに準じたプーリ)を用いることも可能である。
【0052】図36は、前記図35に示すシャッタ13の駆動機構の変形例で、試料観察時の下面側から見た平面図である。本実施例では、図36に示すようにねじ方向が反対のボールねじ75a、75bを用いて、左右2枚のシャッタ13を1個の駆動装置により開閉駆動する構造をとる。その他の構成は、前記図33と同じである。図示しないモータの回転運動が、カップリング74で連結されたボールねじ75a、75bおよびそれに対応したナット部76a、76bにより、互いに反対方向の直線運動に変換されて、シャッタ13が開閉駆動される。
【0053】図37は、シャッタ13の駆動機構の変形例で、(a)は試料観察時における状態説明用の側面図、(b)は加工時における状態説明用の側面図である。前記第1の実施例などにおいては、シャッタ13を開閉すると該開閉中はシャッタ13がOリング42と接触するため、Oリング42の摩耗が比較的生じやすい。本実施例では、Oリング42の耐摩耗性を向上するため、斜めに取り付けられたクロスローラガイド39を設け、シャッタ13が、全開のときは少し下方に位置させ、左右2枚のシャッタ13の先端が完全に閉じ合うときは、シャッタ13の上面がOリング42に押圧状態で接触するように平行移動させる。プッシュロッド40には、シャッタ13が垂直方向にも動けるように、先端にベアリング87を取り付けて移動時の摩擦を低減させる。モータを用いて駆動する場合には、駆動装置一式を斜めに取り付ければよい。
【0054】図38は、図37に示すシャッタ13の駆動機構の変形例で、(a)は試料観察時における状態説明用の側面図、(b)は加工時における状態説明用の側面図である。左右のシャッタ13の両側面にローラ88を設け、後端部はプッシュロッド40を連結する。シャッタ13を開いている(a)の状態のときには、シャッタ13はOリング42より下方にあり傾いているが、シャッタ13を閉じるときは、プッシュロッド40を図示矢印の水平方向に直線的に動かすことにより、ローラ88がガイド89の斜面89aに沿って動き、左右2枚のシャッタ13は上昇し、閉じ合うときにOリング42に押圧状態で接触する。この構成により図37の場合と同様に、Oリング42の耐摩耗性を向上させることができる。
【0055】図39は、図37または図38に示すシャッタ13の駆動機構の変形例で、(a)は試料観察時における状態説明用の側面図、(b)は加工時における状態説明用の側面図である。シャッタ13の両側面は、スライドベース90に4個所でベアリング付きのアーム91で保持されている。スライドベース90の両側面は、1対のクロスローラガイド39で保持されており、平行移動することができる。また、スライドベース90とシャッタ13との間にはバネ92が設けられており、該バネ92によりシャッタ13は常に開く方向に引張り力を受けながらストッパ93で止まっている。シャッタ13はプッシュロッド40に連結されている。シャッタ13を閉じるときは、プッシュロッド40から水平方向の力を受けシャッタ13とスライドベース90とが平行移動する。シャッタ13が完全に閉じる前にスライドベース90の前面90aがストッパ部にあたる。この後さらにプッシュロッド40によりシャッタ13が押され、バネ92が伸びてアーム91が(b)に示すように回転させられ、シャッタ13の上面がシール面に押し付けられる。本構成においても、前記図37または図38に示すシャッタ13の駆動機構と同様に、シール部の耐摩耗性を向上させる効果を有する。
【0056】以上の各実施例では2次粒子増幅部としてMCP11を使用して説明したが、MCP11に変えてチャンネルトロン、電子増倍管を使用した場合にも有効である。
【0057】また、以上の説明では引込み電極12を用いているが、2次粒子の収率が充分あり解像度に影響がない場合には、引込み電極12を省くこともできる。
【0058】また、以上の記述ではエッチングの場合について述べたが、本発明は、荷電粒子ビーム照射によりデポジションを生じるガスを用いた荷電粒子ビームアシストデポジションにおいても、2次粒子ディテクタの保護に有効である。
【0059】そして、以上の記述では、加工に用いるビームとしてイオンビームの照射を行い、検出する粒子としては2次イオンの場合について述べたが、加工ビームとして電子ビームあるいは検出する粒子として2次電子を用いる場合でも、2次粒子ディテクタの印加電圧を適宜変えることで、同様の効果が得られる。
【0060】さらに、以上の記述では試料加工時にシャッタを用いて反応性ガスを遮断したが、シャッタを用いずに2次粒子ディテクタの電圧の印加を停止し、加工終了後ディテクタに吸着したガス分子を充分排気した後、再度ディテクタに電圧を印加し加工位置決め行う方法によっても、ディテクタの劣化を少なくすることができる。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、反応性ガスを導入してエネルギービームにより反応性エッチング及びアシストデポジションを行う際に、2次粒子ディテクタを反応性ガスから保護することができ、安定した装置稼動が可能となる。また、試料観察や加工条件設定等の非動作時においても、反応性ガスに対して耐久性の低い検出器やその他のチャンバ内構成要素の使用を可能にすることができる。さらに、動作時に高い真空度を要求される検出器も、前記したシャッタ機構を用いることにより常に動作状態にすることができ、動作、非動作の切替えに伴う安定化に要する時間を省くことができる。




 

 


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