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発明の名称 熱陰極構体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−44892
公開日 平成6年(1994)2月18日
出願番号 特願平4−195120
出願日 平成4年(1992)7月22日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】秋田 収喜
発明者 田口 貞憲 / 斎藤 駿次 / 鈴木 行男
要約 目的
黒色粗面層が安定した状態で形成され、これにより信頼性ある耐熱性および熱吸収性を備える。

構成
中心軸上に配置される加熱用ヒータ2を内臓しこの加熱用ヒータ2に対向する内壁面に黒色粗面層13が形成された円筒状のスリーブ11と、このスリーブ11の一端に配置される熱陰極ペレット部12とからなり、前記スリーブ11はモリブデンから構成される熱陰極構体において、前記黒色粗面層13はアルミニュウムがイオン打ち込みされたスリーブ面を熱処理することによって形成されたものである。
特許請求の範囲
【請求項1】 中心軸上に配置される加熱用ヒータを内臓しこの加熱用ヒータに対向する内壁面に黒色粗面層が形成された円筒状のスリーブと、このスリーブの一端に配置される熱陰極ペレット部とからなり、前記スリーブはモリブデンから構成される熱陰極構体において、前記黒色粗面層はアルミニュウムがイオン打ち込みされたスリーブ面を熱処理することによって形成されたものであることを特徴とする熱陰極構体。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱陰極構体に係り、そのスリーブの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえばテレビジョン用受像管、表示管、あるいは撮像管の陰極線管に用いられる熱陰極構体は、中心軸上に配置される加熱用ヒータを内臓する円筒状のスリーブと、このスリーブの一端に配置される熱陰極ペレット部とから構成されている。
【0003】そして、前記スリーブの加熱用ヒータに対向する内壁面にはいわゆる黒色粗面層が形成されているのが通常である。
【0004】この黒色粗面層は、黒色あるいは灰色の熱吸収層として機能するもので、前記加熱用ヒータからの輻射熱を吸収してスリーブの加熱を効率良く行なうことを目的とするものである。特に、含浸形陰極のように動作温度が高い(約1000℃)場合の熱陰極構体においては不可欠となるものである。
【0005】従来において、この黒色粗面層は、モリブデン(Mo)からなるスリーブ面に、たとえば蒸着等により数μm以上のアルミニゥム(Al)あるいはそれを含む合金からなる堆積層を形成し、その後、非酸化性雰囲気中で加熱することによって、Al3Moからなる金属層を形成することによって構成している。
【0006】この黒色粗面層を備える熱陰極構体については、たとえば西独国特許第868026号明細書に詳述されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このように構成された陰極構体は、そのスリーブをいわゆる深絞り加工によって形成し、その深絞り加工の前工程において、アルミニゥム蒸着層を形成している。
【0008】したがって、スリーブを構成する材料の表面にアルミニゥム層が形成されている状態となるため、硬さや加工特性がそれぞれ異なる材料が層状に配置されたものとなる。
【0009】このことから、深絞り加工の段階で、前記アルミニゥム蒸着層が部分的に剥がれたりし、これにより深絞り加工の後に熱処理を施して黒色粗面層を形成した場合にも、その層厚の均一なものが得られず、耐熱性および熱吸収性の面で信頼性が乏しかったという問題点が残されていた。
【0010】また、黒色粗面層の形成における熱処理によって、前記アルミニゥム蒸着層が部分的に蒸発してしまい、やはり上述したような問題点が残されていた。
【0011】それ故、本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところのものは、黒色粗面層が安定した状態で形成され、これにより信頼性ある耐熱性および熱吸収性を備える熱陰極構体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明は、基本的には、中心軸上に配置される加熱用ヒータを内臓しこの加熱用ヒータに対向する内壁面に黒色粗面層が形成された円筒状のスリーブと、このスリーブの一端に配置される熱陰極ペレット部とからなり、前記スリーブはモリブデンから構成される熱陰極構体において、前記黒色粗面層はアルミニュウムがイオン打ち込みされたスリーブ面を熱処理することによって形成されたものであることを特徴とするものである。
【0013】
【作用】このように、本発明は、そのスリーブの黒色粗面層が、該スリーブ面にイオン打ち込みにより形成されたアルミニゥム層を熱処理することによって形成されたものである。
【0014】イオン打ち込みによって形成されたアルミニゥム層は、スリーブを構成する材料の表面内部に浸透して存在するため、該アルミニゥム層の硬さおよび加工特性は主としてスリーブの材料に支配されることになる。
【0015】このため、深絞り加工の段階で前記アルミニゥム層が極めて剥がれ難くなる。
【0016】また、黒色粗面層の形成における熱処理においても、前記アルミニゥム層を形成するアルミニゥムが蒸発され難くなる。
【0017】したがって、黒色粗面層が安定した状態で形成され、これにより信頼性ある耐熱性および熱吸収性を備えることができるようになる。
【0018】
【実施例】図5は、本発明による熱陰極構体が適用されるカラーブラウン管の一実施例を示す一部破断構成図である。
【0019】同図において、映像面側から、フェースパネル21、蛍光体膜22、シャドウマスク23、電子銃25がそれぞれ順次配置されている。そして、フェースパネル21側からつぼまって電子銃25を内包するようにしてファネル26が設けられている。
【0020】ここで、電子銃25から放射された電子ビーム27は、ファネル26の外面に配置された偏向ヨークの磁界で偏向作用を受け、シャドウマスク23を通過して蛍光体膜22に照射されるようになっている。
【0021】図6は、図5に示した電子銃25の一実施例を示す斜視図である。
【0022】電子銃25は、同じ構造の青電子銃25B、赤電子銃25R、および緑電子銃25Gからなり、各電子銃はそれぞれの中心軸が正三角形の各頂点に位置付けられるように配置されたものである。
【0023】そして、これら各電子銃は、ガラス支持ビード28によって固定され、その蛍光体膜22側(前方部)にはコンバゼンス磁極29が設けられたものとなっており、また、後方部にはベースが設けられたものとなっている。
【0024】そして、図7は、図6におけるたとえば青電子銃25Bを取りだして示した斜視分解構成図である。円筒状からなる第1グリッドG1、第2グリッドG2、第3グリッドG3、第4グリッドG4が、それぞれ中心軸を一致づけて配置され、前記第1グリッドG1内に、本実施例で特に改良された熱陰極構体1が内臓され、さらに、この熱陰極構体1内に加熱用ヒータ2が内臓されている。
【0025】図1は、前記熱陰極構体1と、この陰極構体1に内臓された加熱用ヒータ2のさらに詳細な構成を示す断面図である。
【0026】同図において、電子銃の中心線と一致づけられて配置されたたとえばモリブデン(Mo)から構成される円筒状のスリーブ11があり、このスリーブ11内には加熱用ヒータ2が配置されている。そして、このスリーブ11の前方部(加熱用ヒータ2の端子が取りだされる側と反対側)にはカップ状の障壁層12Aと含浸形熱陰極ペレット12Bとからなる熱陰極ペレット部12が配置されている。
【0027】熱陰極ペレット12Bは多孔質基体にBaO−CaO−Al23からなるエミッタ剤が含浸されている。
【0028】そして障壁層12Aは、該熱陰極ペレット12Bの保持とBa,BaOの蒸発を防止するようになっている。
【0029】そして、この実施例では、特に、前記スリーブ11の前記加熱用ヒータ2に対向する内壁面には、該スリーブ11面にイオン打ち込みで形成されアルミニゥム層を熱処理することにより得られる黒色粗面層13が形成されている。
【0030】このように構成された熱陰極構体は、そのスリーブ11の黒色粗面層13が、該スリーブ11面にイオン打ち込みにより形成されたアルミニゥム層を熱処理することによって形成されたものである。
【0031】イオン打ち込みによって形成されたアルミニゥム層は、スリーブを構成する材料の表面内部に浸透して存在するため、該アルミニゥム層の硬さおよび加工特性は主としてスリーブの材料に支配されることになる。
【0032】このため、深絞り加工の段階で前記アリミニゥム層は極めて剥がれ難くなる。
【0033】また、黒色粗面層13の形成における熱処理においても、前記アルミニゥム層を形成するアルミニゥムは極めて蒸発され難くなる。このことは、たとえば1×10~6Pa以下の高真空中で1150℃、5000時間の連続加熱試験を実施した場合、該アルミニュムの蒸着は全く認められないことが判明した。
【0034】したがって、黒色粗面層13が安定した状態で形成され、これにより信頼性ある耐熱性および熱吸収性を備えることができるようになる。
【0035】図3は、上記実施例のようにして構成される熱陰極構体1による効果を示す説明図であり、スリーブ11面に黒色粗面層が全く形成されていない場合、黒色粗面層がアルミニゥム蒸着層の熱処理によって形成されている場合と比較して示したものである。
【0036】同図において、横軸に温度(℃)を、縦軸に熱輻射率をとっている。図中、特性Aに示したものが、本実施例によって得られた熱陰極構体であり、1000℃に到るまで熱輻射率は高く維持され、その効果の大きいことが判明する。また、本実施例による熱陰極構体の黒色粗面層13は、極めて微細な凹凸構造からなっており、いわゆるガス吸着法によって有効表面積の測定を行なった結果、マクロ的表面積の約4.1倍の表面積を有していることが知られた。
【0037】なお、同図において、特性Bに示したものはアルミニゥム蒸着層を熱処理によって黒色粗面層を形成した場合、特性Cに示したものは黒色粗面層を全く形成していない場合を示している。
【0038】次に、このように構成された熱陰極構体1におけるスリーブ11の製造方法について、以下、図2を用いて工程順に説明する。
【0039】工程1.同図(a)たとえば厚さ75μmからなるモリブデン(Mo)薄板11Aを用意し、その一方の表面にアルミニゥム(Al)をイオン打ち込みし、これによりAlイオン打ち込み層13Aを形成する。イオン打ち込み装置としては大容量イオン打ち込み装置を用い、300〜10000nmの層厚で、好ましくは1010〜1022個/cm2、望ましくは1018〜1022個/cm2のイオン密度を有するAlイオン打ち込み層13Aを形成する。
【0040】工程2.同図(b)このようにしてAlイオン打ち込み層13Aが形成されたモリブデン(Mo)薄板11Aを、いわゆる深絞り加工によって、所定寸法の円筒状スリーブ11を形成する。
【0041】この場合、Alイオン打ち込み層13Aが形成された面が内壁面となるように前記スリーブ11を形成する。
【0042】工程3.同図(c)スリーブ11を真空あるいは非酸化性雰囲気中の容器に配置し、この容器内で500〜650℃の熱処理(第1次熱処理)を約0.5時間行ない、ついで、同様の容器内で750〜1100℃の熱処理(第2次熱処理)を約0.5〜数時間行なう。このような順次熱処理によって、モリブデン薄板11Aの表面には金属間化合物層(AlMo3およびAlMo4)13Bが形成される。
【0043】ここで、アルミニゥムの融点(660℃)以下の温度で第1次熱処理を施す理由は、該アルミニゥムが急速な拡散や移動によって、不均一分布になるのを防ぐためであり、この処理によってアルミニゥムがスリーブ面近傍(深さ方向)に均一に固着されるようになる。また、第2次熱処理によって、モリブデンとアルミニゥムの金属間化合物(AlMo3、Al3Mo、およびその他の中間生成物)13Cが形成される。高温度で安定な金属間化合物はAlMo3であり、その他は図4に示すAl−Mo系状態図から明らかなように不安定なものとなる。
【0044】工程4.同図(d)前記スリーブ11を湿潤水素雰囲気中の容器に配置し、この容器内で950〜1200℃の熱処理を1〜2時間行なう。このような熱処理によって、モリブデン薄板11Aの表面には、AlMo3、Al−Moの酸化物、およびAl23からなる耐熱性に優れた黒色粗面層13が得られる。
【0045】なお、このような熱処理においては、前工程で生成されたAl3Moが安定なAlMo3に移行する過程が見られる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、本発明による熱陰極構体によれば、黒色粗面層が安定した状態で形成され、これにより信頼性ある耐熱性および熱吸収性を備えることができるようになる。




 

 


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