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発明の名称 金属蒸気レーザ装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−37406
公開日 平成6年(1994)2月10日
出願番号 特願平4−191872
出願日 平成4年(1992)7月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
発明者 水船 栄作 / 大橋 常良 / 白倉 利治 / 和田 昭 / 竹森 聖
要約 目的
本発明の目的は、金属蒸気の消耗が大幅に低減され、長時間運転が可能なことは勿論、高出力で、かつ、高効率なレーザ発信ができる金属蒸気レーザ装置を提供することにある。

構成
本発明は、ガス中の放電エネルギーにより金属源9を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管1の外周に同軸状に設けられた断熱部材2が、前記放電管1内中央部の管壁温度12が極小となり、かつ、放電管中央部と放電管端部の間の管壁温度12が極大となる双峰特性の放電管内管壁温度分布を形成する断熱特性を具備するように、放電管1の軸方向中央部に位置する耐熱断熱部材2の厚みをその端部の厚みより薄くしたことを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記断熱部材は、前記放電管内中央部の管壁温度が極小となり、かつ、放電管中央部と放電管端部の間の管壁温度が極大となる双峰特性の放電管内管壁温度分布を形成する断熱特性を具備していることを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項2】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記放電管内中央部の管壁温度が極小となり、かつ、放電管中央部と放電管端部の間の管壁温度が極大となる双峰特性の放電管内管壁温度分布を形成するように、前記断熱部材の軸方向中央部の厚みをその端部の厚みより薄くしたことを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項3】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記放電管内中央部の管壁温度が極小となり、かつ、放電管中央部と放電管端部の間の管壁温度が極大となる双峰特性の放電管内管壁温度分布を形成するように、前記放電管軸方向中央部に位置する断熱部材の外周長をその端部に比して短くしたことを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項4】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記放電管内中央部の管壁温度が極小となり、かつ、放電管中央部と放電管端部の間の管壁温度が極大となる双峰特性の放電管内管壁温度分布を形成するように、前記放電管軸方向中央部に位置する断熱部材の内周長を、その端部の内周長に比して長くしたことを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項5】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記放電管内中央部の管壁温度が極小となり、かつ、放電管中央部と放電管端部の間の管壁温度が極大となる双峰特性の放電管内管壁温度分布を形成するように、前記断熱部材の軸方向中央部の断熱性能をその端部の断熱性能より低下させたことを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項6】軸方向中央部の厚みをその端部の厚みより薄くした前記断熱部材は、全体が一体に形成されていることを特徴とする請求項2、又は3記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項7】軸方向中央部の厚みをその端部の厚みより薄くした前記断熱部材は、軸方向に3分割され、中央部の厚みの薄い断熱部材とその両端部の厚みの厚い断熱部材とが突き合わせ構造で形成されていることを特徴とする請求項2、又は3記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項8】軸方向中央部の厚みをその端部の厚みより薄くした前記断熱部材は、軸方向に3分割され、中央部の厚みの薄い断熱部材とその両端部の厚みの厚い断熱部材とがはめあい構造で形成されていることを特徴とする請求項2、又は3記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項9】軸方向中央部の厚みをその端部の厚みより薄くした前記断熱部材は、前記中央部の厚みの薄い部分で軸方向に2分割され、該部分が突き合わせ構造で形成されていることを特徴とする請求項2、又は3記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項10】軸方向中央部の厚みをその端部の厚みより薄くした前記断熱部材は、前記中央部の厚みの薄い断熱部材と一方の厚みの厚い断熱部材を一体構造とし、これと残る厚みの厚い断熱部材とが突き合わせ構造で形成されていることを特徴とする請求項2、又は3記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項11】軸方向中央部の厚みをその端部の厚みより薄くした前記断熱部材は、前記中央部の厚みの薄い断熱部材と一方の厚みの厚い断熱部材を一体構造とし、これと残る厚みの厚い断熱部材とがはめあい構造で形成されていることを特徴とする請求項2、又は3記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項12】軸方向中央部の厚みをその端部の厚みより薄くした前記断熱部材は、前記中央部の厚みの薄い部分で軸方向に2分割され、厚みの薄い中央部ではめあい構造に形成されていることを特徴とする請求項2、又は3記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項13】軸方向中央部の厚みをその端部の厚みより薄くした前記断熱部材は、厚みが一様な一体の断熱部材の端部外周に別の断熱部材を同軸状に配置して形成されていることを特徴とする請求項2、又は3記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項14】軸方向中央部の厚みをその端部の厚みより薄くした前記断熱部材は、厚みの厚い断熱部材の端部外周をテーパ状にし、このテーパ状断熱部材と厚みの薄い断熱部材とを突き合わせて形成されていることを特徴とする請求項2、又は3記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項15】軸方向中央部の厚みをその端部の厚みより薄くした前記断熱部材は、厚みの厚い断熱部材の端部外周をテーパ状にし、このテーパ状断熱部材同志を突き合わせて形成されていることを特徴とする請求項2、又は3記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項16】前記放電管軸方向中央部の内周長が、その端部の内周長に比して長くなっている前記断熱部材は、該断熱部材を軸方向に3分割し、その内の厚みの薄い断熱部材を放電管軸方向中央部の外周側に配置して両端部の厚みの厚い断熱部材と突き合わせ構造にして形成したことを特徴とする請求項4記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項17】前記放電管軸方向中央部の内周長が、その端部の内周長に比して長くなっている前記断熱部材は、一方の端部に位置する厚みの厚い断熱部材と軸方向中央部の外周側に位置する厚みの薄い断熱部材とを一体構造にし、この一体構造の断熱部材の厚みの薄い先端部と残りの端部に位置する厚みの厚い断熱部材とを突き合わせ構造にして形成したことを特徴とする請求項4記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項18】前記放電管軸方向中央部の内周長が、その端部の内周長に比して長くなっている前記断熱部材は、一方の端部に位置する厚みの厚い断熱部材と軸方向中央部の外周側に位置する厚みの薄い断熱部材とを一体構造にし、この一体構造の断熱部材の厚みの薄い先端部と残りの端部に位置する厚みの厚い断熱部材とをはめあい構造にして形成したことを特徴とする請求項4記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項19】前記放電管軸方向中央部の内周長が、その端部の内周長に比して長くなっている前記断熱部材は、該断熱部材を軸方向に3分割し、その内の厚みの薄い断熱部材を放電管軸方向中央部の外周側に配置して両端部の厚みの厚い断熱部材とはめあい構造にして形成したことを特徴とする請求項4記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項20】前記放電管軸方向中央部の内周長が、その端部の内周長に比して長くなっている前記断熱部材は、厚みが一様な一体の断熱部材の端部内周に別の断熱部材を同軸状に配置して形成されていることを特徴とする請求項4記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項21】前記放電管軸方向中央部の内周長が、その端部の内周長に比して長くなっている前記断熱部材は、厚みの厚い断熱部材の端部内周をテーパ状にし、このテーパ状断熱部材と厚みの薄い断熱部材とを突き合わせて形成されていることを特徴とする請求項4記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項22】前記放電管軸方向中央部の内周長が、その端部の内周長に比して長くなっている前記断熱部材は、厚みの厚い断熱部材の端部内周をテーパ状にし、このテーパ状断熱部材同志を突き合わせて形成されていることを特徴とする請求項4記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項23】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられた耐熱ガラス管と、該耐熱ガラス管の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記耐熱ガラス管の外周側で、かつ、前記放電管の中央部を除く部位に別の断熱部材を同軸状に配置し、これら断熱部材は前記放電管内中央部の管壁温度が極小となり、かつ、放電管中央部と放電管端部の間の管壁温度が極大となる双峰特性の放電管内管壁温度分布を形成する断熱特性を具備していることを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項24】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられた耐熱ガラス管と、該耐熱ガラス管の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記耐熱ガラス管の外周側で、かつ、前記放電管の中央部を除く部位に少なくとも1枚の熱放射板を設けたことを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項25】前記熱放射板には複数の開孔部が設けられていることを特徴とする請求項24記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項26】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられた耐熱ガラス管と、該耐熱ガラス管の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記真空断熱層内の放電管の中央部に位置する金属製レーザ管本体の内面に熱吸収体を設けると共に、この熱吸収体で吸収した熱を除去する冷却層を前記真空断熱層の外周に設けたことを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項27】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられた耐熱ガラス管と、該耐熱ガラス管の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記真空断熱層の外周に同軸状に冷却層を設けると共に、該冷却層を前記金属製レーザ管の軸方向に設けられた複数の金属フランジにより複数の部屋に隔離し、かつ、前記放電管の軸方向中央部に位置する冷却層隔室の冷却用冷媒の温度を、その両側に位置する冷却層隔室に流す冷却用冷媒の温度より低くすることを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項28】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられた耐熱ガラス管と、該耐熱ガラス管の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記真空断熱層の外周に同軸状に冷却層を設けると共に、該冷却層を前記金属製レーザ管の軸方向に設けられた複数の金属フランジにより複数の部屋に隔離し、このうちの1つの部屋を放電管軸方向中央部に位置する前記耐熱ガラス管と金属製レーザ管で囲まれた領域に形成し、この放電管の軸方向中央部に位置する冷却層隔室の冷却用冷媒の温度を、その両側に位置する冷却層隔室に流す冷却用冷媒の温度より低くすることを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項29】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられた耐熱ガラス管と、該耐熱ガラス管の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記真空断熱層の放電管軸方向中央部に位置する部位に熱良導体から成るバネ状板を、前記耐熱ガラス管の外周面と金属製レーザ管の内周面とに接触するように設けたことを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項30】前記バネ状板はリング状に形成されていることを特徴とする請求項29記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項31】前記放電管の軸方向中央部に位置する断熱部材のかさ密度をその端部に位置する断熱部材のかさ密度より小さくし、前記放電管の軸方向中央部からの放熱をその端部より促進させたことを特徴とする請求項5記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項32】前記断熱部材の軸方向中央部に、該断熱部材より高熱伝導率を有する複数の別の断熱部材を前記断熱部材と交互に配列したことを特徴とする請求項5記載の金属蒸気レーザ装置。
【請求項33】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられた耐熱ガラス管と、該耐熱ガラス管の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記耐熱ガラス管の外周面の少なくとも前記放電管の軸方向中央部を除いた部位に、電気絶縁被覆された発熱体を配置し、該発熱体により前記耐熱ガラス管を加熱することを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
【請求項34】ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管と、該放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材と、該断熱部材の外周に同軸状に設けられた耐熱ガラス管と、該耐熱ガラス管の外周に同軸状に設けられ、真空断熱層を形成する金属製レーザ管とを備えた金属蒸気レーザ装置において、前記放電管の外周面の少なくとも該放電管の軸方向中央部を除いた部位に、電気絶縁被覆された発熱体を配置し、該発熱体により前記放電管を加熱することを特徴とする金属蒸気レーザ装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属蒸気レーザ装置に係り、特に、予め放電管内に収納されている金属をガス放電によって加熱して気化、及び励起させてレーザ出力を得る金属蒸気レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の金属蒸気レーザ装置は、例えば、特開平2−281773 号公報に開示されているように、ガス中の放電エネルギーにより放電管内の管壁温度を所定温度(例えば、銅蒸気レーザでは1500℃前後)に昇温するため、セラミック製放電管の外周に、放電管軸方向に沿って厚みが一様で、かつ、一様な断熱特性を具備した電気絶縁性の円筒状断熱部材と、さらにその外周に真空断熱層とを組み合わせた複合断熱構造が採用され、放電管径方向の断熱強化を図っている。
【0003】また、特開昭63−229782号公報では、真空断熱層内部に放電管軸方向に沿って厚みが一様で、かつ、一様な断熱特性を具備した第2の電気絶縁性の円筒状断熱部材を配設し、放電管径方向の断熱性能の更なる向上を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の金属蒸気レーザ装置によれば、放電管の外周に配設された円筒状断熱部材の厚みが放電管軸方向に沿って一様であり、かつ、一様な断熱性能を具備していたため、放電管内の管壁温度は、放電管軸方向の中央部で最大となり端部に向かって単調減少する単峰性の管壁温度分布を形成していた。
【0005】その結果、金属蒸気密度が放電管内の管壁温度で一義的に決まり、かつ、レーザ出力、及び発振効率が適切な管壁温度、即ち、適切な放電管内金属蒸気密度により最適化される事実から、上述の単峰性の管壁温度分布では、金属蒸気密度も放電管内中央部で最大となり、中央部から端部に向かって単調減少するため、レーザ発振に寄与し得る有効領域は、金属蒸気密度の高い放電管軸方向中央部の高温領域に限定され、従来の装置では、レーザ媒質の放電管内での効率的な形成が図られていなかった。
【0006】そのため、放電長に占めるレーザ媒質長の割合が小さく、従って、レーザ装置の高出力化を図るためには、放電体積の増加を余儀なくされ、放電管の長尺化に対しては、放電抵抗と放電管の自己インダクタンスの増大により電源の高電圧化が必要となり、また、放電管の大口径化に対しては、放電電流の表皮効果のため、放電管径方向中心部の利得低下によりレーザビームがリングモードになり、発振効率が低下するという問題があった。
【0007】さらに、レーザ媒質となる金属蒸気密度が放電管端部へ単調減少するため、放電管中央部と端部の間に大きな密度勾配が生じ、その結果、金属蒸気が放電管端部へ拡散し、端部の低温領域で凝集・固化するため、金属蒸気の消耗が著しく、レーザ装置の長時間運転が困難であった。
【0008】本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、金属蒸気の消耗が大幅に低減され、長時間運転が可能なことは勿論、高出力で、かつ、高効率なレーザ発信ができる金属蒸気レーザ装置を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材が、前記放電管内中央部の管壁温度が極小となり、かつ、放電管中央部と放電管端部の間の管壁温度が極大となる双峰特性の放電管内管壁温度分布を形成する断熱特性を具備していることを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明の上記構成による金属蒸気レーザ装置によれば、ガス中の放電エネルギーにより、予め放電管内に配設された金属塊が加熱・蒸発して生成された金属蒸気は、上記双峰性管壁温度分布に起因した密度勾配により、放電管の中央部と端部の両方向に同時に拡散する。
【0011】このため、放電管最端部を除いて、金属蒸気の密度勾配がゼロになる定常状態では、金属蒸気が均一分布する領域は放電管軸方向に沿って拡大し、長尺、かつ、平坦な金属蒸気密度分布が形成されるので、上記目的が達成される。
【0012】
【実施例】以下、図示した実施例に基づいて本発明の金属蒸気レーザ装置を詳細に説明する。
【0013】図1に本発明の金属蒸気レーザ装置の一実施例を示す。
【0014】該図に示すごとく、予め複数個の金属塊9を収納した耐熱セラミック製の円筒状放電管1は、その外周を耐熱セラミックファイバー製の円筒状断熱層2により同軸状に取り囲まれ、円筒状断熱層2の外周には、更に同軸状に円筒状の耐熱ガラス管3が配設されている。
【0015】また、前記放電管1と断熱層2とを收納した円筒状耐熱ガラス管3は、その両端が金属製のレーザ管本体5に具備された金属フランジ8a〜8cにOリング等(図示せず)の弾性部材を介して支持され、これにより、高温下での放電管1と耐熱ガラス管3の放電管軸方向への伸びを吸収し、かつ、熱応力割れを防止している。
【0016】さらに、前記耐熱ガラス管3と前記レーザ管本体5とに囲まれた空間は、前記Oリング等で密閉され、真空引きにより真空断熱層4を構成することにより、更なる断熱強化を図っている。
【0017】また、前記金属フランジ8a,8b間には電気絶縁用の円筒状スリーブ7が設けられ、金属フランジ8a,8cにはそれぞれ円筒状電極6a,6bが機械的に固定され、電気的に接続されている。
【0018】そして、円筒状電極6aと6b間に外部電気回路(図示せず)から高電圧パルスが印加されると、前記放電管1の内部に予め封入されたバッファーガス中の電極6aと6bに挟まれた放電空間10にプラズマが生成・進展し、パルス放電電流は、このプラズマを介して電極6aと6b間を流れ、更に電極を介して金属製レーザ管本体5を流れる。この時、前記放電空間10と前記レーザ管本体5は同軸構造を形成し、放電空間10を流れる放電電流の向き11aがレーザ管本体5を流れる向き11bと逆方向になるため、レーザ管本体5の自己インダクタンスが低減され、レーザ上下準位間の自己終止遷移を利用した金属蒸気レーザ装置に適した立ち上りの速い放電電流が得られる構造となっている。
【0019】その結果、前記金属蒸気に、前記パルス放電エネルギーの一部が移行し、一部の金属蒸気原子に反転分布状態が形成されるため、誘導放出光の光共振器(図示せず)による増幅作用によってレーザ発振が達成される。
【0020】従来のレーザ装置では、上述した如く、放電管1の外周は一様な厚みで、かつ、一様な断熱特性を具備した断熱層2で同軸状に配設されていたため、管壁温度は放電管軸方向の中央部で最大で、端部に向かって単調減少する単峰性分布を形成していたため、レーザ媒質となる金属蒸気密度も前記管壁温度と同様に、単峰性分布を呈することになる。
【0021】このため、レーザ発振に寄与し得る放電管1内の有効領域が中心部の高温領域に制限されていたので、放電体積を増大させることなくレーザ出力、及び発振効率の向上を図ることは困難であった。
【0022】そこで、本実施例では、図2に断熱層2の詳細を示すように、断熱層2の軸方向中央部の厚みを薄くし、前記中央部での径方向への放熱が、放電管1の中央部と端部とに挟まれた厚みの厚い断熱領域での放熱より顕著になる。
【0023】このため、図3に放電管軸方向長さに対する管壁温度12と銅蒸気密度分布13a,13bの特性を示すごとく、放電管中央部の管壁温度12は極小となり、一方、放電管中央部と端部とに挟まれた領域での管壁温度12は極大となる双峰性の管壁温度分布を形成し得る。
【0024】この結果、管壁温度で決まる金属特有の飽和蒸気圧に達した金属蒸気は、図3に示すように、過渡的には、管壁温度12が極小となる放電管軸方向の中央部で銅蒸気密度が極小となり、放電管軸方向の中央部と端部に挟まれた領域では極大となる双峰性密度分布13aを呈することになる。
【0025】しかし、同様に、図3の金属蒸気の双峰性密度分布13aにより、放電管1内では金属蒸気の密度勾配が生じるため、放電管軸方向の中心部と端部に向かってそれぞれ同時に金属蒸気の拡散14a,14b,14c,14dが生じ、少なくとも放電管軸方向の最端部を除いて、定常的には均一な金属蒸気密度分布の平衡状態13bが放電管1内に形成され得る。
【0026】これにより、放電長に占めるレーザ媒質長の割合が増大し、また、拡散領域が放電管1の最端部に限定されるため、放電体積を増加させることなく、高出力・高発振効率化及び長時間運転の可能な金属蒸気レーザ装置を提供できる。
【0027】図2に示した断熱部材2は一様な断熱特性を有する一体構造であったが、更に、図4から図10に示す他の実施例のように、同一の断熱性能を有する複数の断熱部材の組合わせでも、前記双峰性管壁温度分布を達成することができる。
【0028】即ち、図4に示す実施例は、断熱層2を軸方向に3分割し、中央部の厚みの薄い断熱層と、その両端の厚みの厚い断熱層とを突き合わせた構造で断熱部材を構成したものである。
【0029】図5に示す実施例は、中央部の厚みの薄い断熱層とその両端の厚みの厚い断熱層とをはめ合い構造にして断熱部材を構成したものである。
【0030】図6に示す実施例は、中央部の厚みの薄い部位にて軸方向に2分割された断熱層同士の突き合わせ構造で断熱部材を構成したものである。
【0031】図7に示す実施例は、中央部の厚みの薄い断熱層と一方の厚みの厚い断熱層を一体構造とし、これと残る厚みの厚い断熱層とを突き合わせた構造で断熱部材を構成したものである。
【0032】図8に示す実施例は、図7に示す突き合わせ構造をはめ合い構造に変形して断熱部材を構成したものである。
【0033】図9に示す実施例は、図6に示す突き合わせ構造を厚みの薄い中央部ではめ合い構造に変形して断熱部材を構成したものである。
【0034】図10に示す実施例は、厚みが一様な一体の断熱層の端部外周に更なる断熱層を同軸状に配設して断熱部材を構成したものである。
【0035】図11に示す実施例は、厚みの厚い断熱層の一方の端部外周をテーパ状とし、このテーパ状断熱層と厚みの薄い断熱層とを突き合わせて断熱部材を構成したものである。
【0036】図12に示す実施例は、上述のテーパ状断熱層の突き合わせ構造にして断熱部材を構成したものである。
【0037】上記断熱構造は、断熱層2の軸方向中央部の厚みを薄くするため、放電管1の軸方向中央部に位置する断熱層の外周長をその端部に比して短くする構造としたが、図13に示す実施例では、逆に、3分割された断熱部材において、断熱層2の中央部の内周長をその端部の内周長に比して長くして突合わせ構造としたことを特徴としている。他の構成は図1に示したものと同様である。
【0038】図14に示す実施例は、内周長の短い断熱層と外周長の長い断熱層とを一体構造とし、この断熱層と残る内周長の短い断熱層とを突合わせた構造で断熱部材を構成したものである。
【0039】図15に示す実施例は、図14の突合わせ構造をはめ合い構造の変形した例である。
【0040】図16に示す実施例は、図13をはめ合い構造に変形した例である。
【0041】図17に示す実施例は、一様な断熱特性を有する一体の断熱層の端部内面に、同軸状に断熱層を配設した構造である。
【0042】図18に示す実施例は、端部内面をテーパ状にした断熱層の突合わせ構造である。
【0043】図19に示す実施例は、図18において、軸方向中央部に内周長の長い厚みの一様な断熱層部材を挿入し、突合わせ構造とした実施例である。
【0044】図20に示す実施例は、放電管1と断熱層2とを収納した耐熱ガラス管3の外周で、かつ、放電管1の中央部を除く部位に、別の断熱層15を同軸状に配設したことを特徴とする。
【0045】図21に示す実施例は、図20の断熱層15と同様の部位に、少なくとも1枚以上の金属製熱放射板16を設けたことを特徴とする。
【0046】図22に示す実施例は、真空断熱層4内の放電管1の中央部に位置する金属製レーザ管本体5の内面に熱吸収体17を設け、放電管1の中央部径方向からの放射熱を熱吸収体17により吸収し、吸収した熱を真空断熱層4の外周に設けられた水、あるいは油等の冷却層19により除去し、放電管1の軸方向中央部の管壁温度を端部より低下させることを特徴とする。
【0047】図23に示す実施例は、真空断熱層4内に放電管1の軸方向中央部に位置する部位に少なくとも1枚以上の金属製熱放射板16を設け、この熱放射板16に複数の開孔部18を設けることにより、放電管1の軸方向中央部径方向からの放熱を開孔部18を通して促進させることを特徴とする。
【0048】図25に示す実施例は、真空断熱層4の外周に同軸状に冷却層20を配設し、この冷却層20を放電管1の軸方向中央部に位置する部位のレーザ管本体5に設けられた金属フランジ8dと8eにより隔室20を形成することにより、隔室20の冷却用冷媒の温度を、その両側の冷却層19に流す冷却用冷媒の温度より低くして、放電管1の軸方向端部より中央部からの熱を多く吸収・除去することを特徴としている。
【0049】図26に示す実施例は、金属フランジ8dと8eにより、Oリング等の弾性部材を介して、放電管1の軸方向中央部に位置する耐熱ガラス管3と金属製のレーザ管本体5で囲まれた領域に隔室20を設け、図25の実施例と同様に、隔室20に両側の冷却層19より低い温度の冷媒を流し、放電管1の軸方向中央部からの熱を端部に比べて多く吸収・除去することを特徴としている。
【0050】図27に示す実施例は、真空断熱層4において、放電管1の軸方向中央部に位置する部位に、例えば、金属等の熱良導体から成るバネ状板21を、耐熱ガラス管3の外周面と金属製レーザ管本体5の内周面とに接触して配設することにより、放電管1の軸方向中央部から径方向に伝熱される熱を、バネ状板21の熱伝導を介して金属製レーザ管本体5に放熱することを特徴としている。
【0051】図28に示す実施例は、図27と同様に、真空断熱層4内の放電管1の軸方向中央部に位置する部位に、図29に示すように、例えば、金属製の熱良導体から成るリング状のバネ板材21を、耐熱ガラス管3の外周面とレーザ管本体5の内周面に接触して配設することにより、金属製のバネ状板材21の熱伝導を介して、金属製レーザ管本体5に放熱することを特徴としている。
【0052】さらに、放電管1の軸方向中央部に位置する真空断熱層4内に、図30に示すように、例えば、金属製の熱良導体から成るリング状のバネ状板材21を設けてもよい。
【0053】図31に示す実施例では、放電管1の外周を同軸状に取り巻く断熱部材2において、図32に示すように、放電管1の軸方向中央部に位置する断熱部材のかさ密度を端部の断熱部材のかさ密度より小さくし、放電管1の軸方向中央部からの放熱を端部より促進したことを特徴としている。
【0054】図33に示す断熱部材の構造は、一様な断熱特性を具備した円筒構造において、断熱層2の軸方向中央部に、断熱層2を形成する断熱部材より高熱伝導率を有する複数の断熱部材23a,23b,23cを断熱層2と交互に配列することを特徴とするものである。これにより、図34に示す熱伝導状態図から明らかなごとく、放電管1の径方向に管壁を通して伝熱される熱流束は、断熱層2と断熱部材23a,23b,23cをそれぞれ直接通過するが、低熱伝導率を有する断熱層2が高熱伝導率を有する断熱部材23a,23b,23cと交互に隣接しているため、断熱層2から断熱部材23a,23b,23cへの熱伝導による熱流束24が生成する。
【0055】その結果、放電管1の中央部からの放熱が高熱伝導率を有する断熱部材23a,23b,23cを通して促進され、放電管1の中央部と端部に挟まれた領域からの放熱に比して顕著となるため、図3と同様の定常的な金属蒸気の密度の均一分布13bが放電管1内に形成され得る。
【0056】図35に示す実施例は、真空断熱層4内の放電管1と断熱部材2とを収納した耐熱ガラス管3の外周面で、少なくとも放電管1の軸方向中央部を除いた部位に、例えば、電気絶縁被覆された発熱体25を配設し、この発熱体25により耐熱ガラス管3を加熱することにより、放電管1内に双峰性の管壁温度分布を形成することを特徴とする。
【0057】図36に示す実施例は、レーザ管本体5の外周面において、少なくとも放電管1の軸方向中央部を除く部位に、発熱体25を配設したことを特徴としている。
【0058】
【発明の効果】以上説明した本発明の金属蒸気レーザ装置によれば、ガス中の放電エネルギーにより金属源を加熱・蒸発させて金属蒸気を発生させ、その金属蒸気から成るレーザ媒質を形成させる放電管の外周に同軸状に設けられた断熱部材が、前記放電管内中央部の管壁温度が極小となり、かつ、放電管中央部と放電管端部の間の管壁温度が極大となる双峰特性の放電管内管壁温度分布を形成する断熱特性を具備しているものであるから、ガス中の放電エネルギーにより、予め放電管内に配設された金属塊が加熱・蒸発して生成された金属蒸気は、上記双峰性管壁温度分布に起因した密度勾配により、放電管の中央部と端部の両方向に同時に拡散するため、放電管の最端部を除いて、金属蒸気の密度勾配がゼロになる定常状態では、金属蒸気が均一分布する領域は放電管の軸方向に沿って拡大し、長尺、かつ、平坦な金属蒸気密度分布が形成されるので、放電管内の管壁温度が放電管の軸方向に沿って双峰性分布となり、放電管の軸方向に長尺、かつ、平坦な金属蒸気密度分布が得られ、従って、放電長に占める放電管の軸方向のレーザ媒質長の割合が増加し、高出力、かつ、高効率なレーザ発振が得られる。
【0059】また、平坦な金属蒸気密度分布の放電管の軸方向への拡大により、放電管内の金属蒸気の拡散が生じる領域は少なくとも放電管の最端部にのみ限定されるため、金属蒸気の消耗が大幅に低減されるので、長時間運転の可能な金属蒸気レーザ装置を提供できる。




 

 


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