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発明の名称 低温核融合方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−317686
公開日 平成6年(1994)11月15日
出願番号 特願平5−254351
出願日 平成5年(1993)10月12日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 曉司
発明者 能登谷 玲子
要約 目的


構成
電解質の軽水溶液を遷移金属、アルミニウム、錫またはステンレス鋼からなる空隙率が0.3〜35容量%の多孔質体を陰極として電気分解することを特徴とする低温核融合方法。
特許請求の範囲
【請求項1】 電解質の軽水溶液を遷移金属、アルミニウム、錫またはステンレス鋼からなる空隙率が0.3〜35容量%の多孔質体を陰極として電気分解することを特徴とする低温核融合方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低温核融合方法に関する。詳しくは高温プラズマ状態を達成することなく、常温等の低温で電気化学的に核融合を行なうことにより、エネルギーとしての利用が容易な低温核融合方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】エネルギー資源として核分裂反応を利用した原子力エネルギーは実用化されているが、安全性、放射性廃棄物等の問題がある。この点から核融合はクリーンなエネルギー資源として期待されているが、核融合を発現させるためには高密度で超高温のプラズマを閉じ込めなければならず、非常に強力な磁場等を必要とする等、技術的困難性は極めて高い。
【0003】一方、1989年3月23日、M.フライシュマン(英、サウサンプトン大学)とS.ポンス(米、ユタ大学)は陰極をパラジウム、陽極を白金とする重水の電解系で、長時間電流を流し続けると、異常な発熱と中性子が認められると報告した(M.Fleischmann and S.Pons, J.Electroanalytical Chem.,261,301(1989))。この現象は一般にコールドフュージョン(Cold Fusion)、低温核融合(常温核融合)と呼ばれ、極めて簡便に核融合反応を行わせることの出来る方法として注目される。
【0004】しかし、この方法は、トータルでみると入力より出力が大きくならないこと、ある時突然起きる現象であること、パラジウム陰極は一回しか使用できないこと、重水およびパラジウムは高価であることなどの欠点を有する。また、最近、R.ミルズ(米)とS.クナイジス(米)はカリウムイオンの軽水溶液をフォイル状ニッケル陰極を用いて電解することにより、低温核融合を実現している(R.Miles and S.Kneizys, Fusion Technol.,19,65(1991))。しかし、この方法をさらに検討したその後の報告では得られる過剰熱(〔出力─入力〕/入力で表現される)は実用的にはたかだか30%が限度であり、実用化には難がある。また、ニッケル陰極は再使用出来ない、電力の印加が電流のオン/オフを繰り返す等複雑である、定常的な熱発生は出来ない等の課題を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような難点を解決し、定常的に熱を、しかも大量の過剰熱を発生し、安価で、長期繰り返し使用可能な電極を用い、安全に低温核融合を行わせることの出来る方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】電解液水溶液中で多孔質体の陰分極電極を用いて陰分極を行うと、水素電極反応が生起され、その際、電解質の金属イオン(MZ+:zはイオン価数を表す)が電極表面において電子移動を起こし、電極表面層に吸着、蓄積し、さらには電極素材との間で、下記式〔1〕で示されように、金属間化合物(式中ではM(I)で示す。)を形成することが、本発明者の研究により知られている(R.Notoya and A.Matsuda, J.Research Inst. Catal. Hokkaido Univ.,14,198(1966); R.Notoya, Shokubai, 61(1970); R.notoya, Elektrokhimiya,in press)。
【0007】この電極反応は、〔1〕 MZ+ + ze- = M(I) 、 〔2〕M(I) + H2 O = MZ+ + OH- + H および 〔3〕 2H= H2 となるが、この反応の中間体である金属中間体M(I)と吸着(吸収)水素Hが、電極上に十分蓄積されるように工夫すれば、これらの中間体同士が核反応を起こし、重水を用いないで通常の軽水の溶液系で大量の発熱が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】本発明は、電解質の軽水溶液を遷移金属、アルミニウム、錫またはステンレス鋼からなる空隙率が0.3〜35容量%の多孔質体を陰極として電気分解することを特徴とする低温核融合方法に存する。以下、本発明を詳細に説明する。本発明において陰極として使用する多孔質金属を構成する金属元素は遷移金属、アルミニウム、錫またはステンレス鋼である。遷移金属としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir,Pt、Au、Hgが挙げられる。特に好ましい構成金属はニッケル、コバルトおよび白金である。
【0009】本発明においては、これらの金属を用いて空隙率5〜35容量%の多孔質体を陰極として使用する。多孔質電極の製造は各種の方法が採用できるが、好ましくは粒径が100μm以下、好ましくは5nm〜100μmの金属粉を常温または高温中で加圧して成形して得る。1μm未満では成形が困難であり、100μmを超えたものを原料としたものでは電極としての堅牢性に優れたものが得られにくい。加圧する圧力は10数トン/cm2 までの範囲から適宜選択される。原料金属粉は二種以上混合して用いてもよく、また合金化したものを用いてもよい。
【0010】陰極の空隙率は0.5〜35容量%とする必要がある。0.5容量%未満では効果が十分でなく、35容量%を超えると堅牢性に優れた陰極は得られずまた前述した金属中間体M(I)と吸着(吸収)水素Hが電極上に十分蓄積する効果が十分発揮されない。特に好ましい空隙率は20〜35容量%である。陰極の製法として特に好ましい方法は、原料の遷移金属、アルミニウム、錫またはステンレス鋼として粒径1〜100μmのほぼ球状の微小球体を使用する方法である。特に粒径が10〜30μmの範囲にあるほぼ同じ粒径の微小球体を使用して成形した成形体が、電極としての活性が高くまた前述の陰極上の現象が生起し易く好ましい。また、この際、原料金属粉とは異なる種類の遷移金属、アルミニウムまたは錫を、平均粒径が1μm以下の微小粉体の形で添加してもよい。また、形成された成形体を異なる種類の遷移金属、アルミニウムまたは錫の溶液で含浸、塗布、電解あるいは無電解メッキ処理等を施してもよい。
【0011】陰極はその多孔質部分を電解液に浸漬する前に、真空引きを行って吸着している物質やミクロポア(細孔)中に存在する気体等を除去したのち、水素、酸素、ヘリウムガスまたは電解液でミクロポアを満たすことが好ましい。使用する電解液は、電解質を溶解した軽水てある。通常の水を用いて低温核融合を実現するのが本発明の特徴であるが、重水が存在していても悪影響はない。従って天然水や通常の工業用水等で十分可能であるが、好まざる電極反応を引き起こす不純物を除去するために、蒸留法あるいはイオン交換法等の通常の精製法で精製された軽水を使用する。また重水を添加、混合したものを用いてもよい。
【0012】電解質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第3A族元素および遷移金属の水酸化物、炭酸化合物、硫酸化合物、燐酸化合物、硝酸化合物、ハロゲン化合物および過塩素酸化合物が使用できる。具体例としては、例えば、KOH、K2 CO3 、CoSO4 、LiOH、Li2 CO3 、NaOH、Na2 CO3 、KCl、KNO3 、K2 SO4 、KClO4 、K3 PO4 等が挙げられるが、特に好ましくはK2 CO3 およびCoSO4 である。
【0013】これらの電解質は二種以上を混合して用いてもよく、その濃度は軽水の溶液として溶解していれば特に制限されないが、通常0.01モル/l以上、好ましくは0.1モル/l以上である。電気分解の際の陰極と陽極間に印加される極間電圧は通常1.5から50V程度、好ましくは2から10Vである。両極間に流れる電流量は、電極の見掛けの表面積1cm2 あたり通常1mA以上であり特に制限されない。
【0014】電解は、常温、常圧下で行ってよく、必要に応じて加圧下で行ってもよく、温度も0℃から300℃あるいはさらに高温でもよい。
【0015】
【実施例】以下実施例により本発明を詳細に説明するが本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1粒径10μm未満と20μm超のものを除去した粒径10μm〜20μm(平均粒径15μm)の完全球に近いニッケル微小球体からなるニッケル粉末を、常温下10ton/cm2 荷重でプレス成形して、空隙率30%の1x0.5x0.1cmの板状陰極を作成した。
【0016】この陰極とこれに対向するPt製陽極およびPt製参照電極で構成したガラス製の同一の電解槽(a)、(b)の2槽に濃度0.5モル/lの炭酸カリウムの軽水溶液20mlを入れたものを恒温槽に収容した。恒温槽は電解の間中、19.40℃プラスマイナス0.01℃に保持される。電気分解を開始し、電解槽中の電解液の温度は開始時の20℃から60℃に上昇した。
【0017】電解のために加えたエネルギーWinput は次の式から求められる。
【0018】
【数1】Winput =I(E−1.482V)
ここで、Iは電流値、Eは陰極と陽極との電位差、1.482Vは H2 O=H2 + (1/2)O2 に要するエンタルピー変化の値を示す。リファレンスとして同じ電解槽に、抵抗値14オームのニクロム線ヒーターからなる標準ヒーターを挿入したものを用い、電解の時と同じエネルギーWinputを与え、その際の電解液の温度上昇を同様に測定して比較解析を行った。
【0019】図1は電解槽(a)、(b)の電解液の温度上昇(それぞれ1a、1bで示す)とリファレンスの温度上昇(2で示す)を示す。電解液が2.2joule.sec -1のWinput に対して初期温度20℃から50℃に上昇していることが分かる。またWinput と温度上昇が比例関係にあり、リファレンスに対して著しい温度上昇があることが分かる。この差は過剰熱(ΔWoutput)として定義される。
【0020】図2は過剰熱ΔWoutputと加えたエネルギーWinput の関係を示す図であり、図2からΔWoutputがWinput に対し3倍以上であることが理解される。電解の後、電解液を検出精度0.02ppm の炎光分光分析装置でカルシウム濃度を測定したところ、4.4wt.ppmおよび3.6wt.ppmのカルシウム濃度の増加が確認された。
【0021】以上のことから、次のような核反応が起こったものと推測される。
【0022】
【数2】

【0023】実施例2実施例1において、電解質を濃度0.2モル/lの硫酸コバルトに代えた以外は実施例1と同じにして行った。電解液の温度は20℃から50℃まで上昇し、50℃の状態が100時間維持された。このときの過剰熱ΔWoutputと加えたエネルギーWinput の関係を図3に示す。以上のことから、次のような核反応が起こったものと推測される。
【0024】
【数3】

【0025】実施例3実施例1において、電解質を炭酸カリウムから濃度0.5モル/lの水酸化リチウムに代え、また、陰極として、実施例1で用いたのと同様の多孔質ニッケル電極および白金黒付き白金を用いた以外は実施例1と同様に電解を行った。その結果得られた過剰熱ΔWoutputと加えたエネルギーWinput の関係を図4に示す。ニッケル電極の場合220%、白金の場合250%の過剰熱が発生した。
【0026】以上のことから、次のような核融合が起こったものと考えられる。
【0027】
【数4】

実施例4実施例1において、多孔質ニッケル陰極を、電解前に10-6mmHgに到達した真空度のガラス管に100時間入れ、その間数時間数回にわたり100〜150℃に加熱した後、電解液をガラス管に導入し、ニッケル陰極中の細孔を電解液で満たした。これ以外は実施例1と同じにして電解を行った。
【0028】図5はその結果得られた過剰熱ΔWoutputと加えたエネルギーWinput の関係を示す図で、5aは上記処理を行った陰極を用いた場合、5bは上記の真空処理を施さなかった場合を示す。真空処理を行った場合、過剰熱は370%以上であるが、真空処理を行わなかった場合は240〜170%であり、処理を行わなかった場合は過剰熱が半減し、さらに電極の汚染による活性低下が見られた。
【0029】
【発明の効果】本発明の低温核融合方法は、過剰熱を300%以上も発生させることが出来、定常電流による入力に対して比例した定常発熱が出来る。また陰極は100回以上も再使用あるいは長期使用可であり、陰極として堅牢であり自由な形状に成形出来る。また中性子やトリチウムを極微量しか発生しないので、安全で容易に安価なエネルギー資源として多いに期待される。




 

 


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