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発明の名称 軽水冷却型原子炉
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−273568
公開日 平成6年(1994)9月30日
出願番号 特願平5−64399
出願日 平成5年(1993)3月23日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外2名)
発明者 加藤 潔 / 岡田 宏基
要約 目的
軽水冷却型原子炉に係り、高濃度のほう酸水を充分に攪拌した状態にして炉心に送り込み、原子炉停止を円滑に行なう。

構成
原子炉圧力容器とポイズンタンクとの間を接続する給液用配管と、炉心の下方位置に配され複数のほう酸水噴出孔が明けられたリング状マニホールドとを具備し、高濃度のほう酸水を周方向に誘導した後、複数のほう酸水噴出孔から噴出することにより、ほう酸水と一次冷却水との攪拌及び混合を行なう。
特許請求の範囲
【請求項1】 原子炉格納容器のプール水中に原子炉圧力容器が水漬状態に配されるとともに、原子炉格納容器の内方上部に高濃度のほう酸水を貯留するポイズンタンクが配される軽水冷却型原子炉であって、原子炉圧力容器とポイズンタンクとの間に配されこれらを接続する給液用配管と、該給液用配管と炉心の下方位置との間に接続状態に配され複数のほう酸水噴出孔が明けられたリング状マニホールドとを具備することを特徴とする軽水冷却型原子炉。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽水冷却型原子炉に係り、特に、高濃度のほう酸水注入時に、原子炉を円滑に停止状態に導く技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、特開平3−252593号公報(燃料集合体の交換装置)、特開平3−252594号公報(燃料集合体の交換装置)、特開平3−252595号公報(燃料集合体の交換装置)に記載されている軽水冷却型原子炉の例を示すものである。
【0003】図4において、符号1は原子炉圧力容器、2は炉心、3は蒸気発生器、6は一次冷却水ポンプ、15はライザ管、16はポイズンタンク、17は冷却水入口、18は水圧作動弁、19はポイズン流通器、20は炉心支持板、Pはほう酸水(炉内プール水)である。
【0004】このような構造を有する原子炉にあっては、一次冷却水及びほう酸水Pが、運転時、ポンプ停止時の相違によって、以下に記述するように異なった流通(循環)をする。
【0005】運転時にあっては、一次冷却水が、図4に実線の矢印で示すように、炉心2、ライザ管15、一次冷却水ポンプ6、蒸気発生器3、冷却水入口17を経由して炉心2に戻る循環流となるが、ほう酸水Pは、水圧作動弁18及びポイズン流通器19の部分で隔離されて、挿通する現象や混合し合う現象の発生が妨げられ、したがって、一次冷却水中のほう酸水濃度が変化することなく、定常運転状態が維持される。
【0006】そして、一次冷却水ポンプ6の停止時にあっては、蒸気発生器3への送り込みが行なわれなくなるとともに、一次冷却水ポンプ6の吐出圧力低下検出によって水圧作動弁18が管路を開放した状態となり、また、炉心2において引き続き加熱された一次冷却水の上昇が生じるために、図4に破線の矢印で示すように、上昇した一次冷却水がポイズンタンク16の内部に送り出されるとともに、ほう酸水Pがポイズン流通器19を経由して炉心2に流れ込み、炉心2のほう酸水濃度が高まることによって核分裂反応が抑制されて自然停止に導かれる。
【0007】このような図4例の原子炉にあっては、ポイズンタンク16の内外が高温状態の一次冷却水によって囲まれた状態となっており、原子炉の出力が変化すると、ほう酸水Pの液量が膨張収縮に基づいて変化し、このため、ポイズン流通器19の部分において一次冷却水とほう酸水Pとの境界が変動し易く、原子炉出力の制御性が損われ易くなる。
【0008】次いで、図5例は、軽水冷却型原子炉の他の構造例(計画例)を示すものである。該計画例にあっては、原子炉格納容器21のプール水Wの中に、原子炉圧力容器1が水漬状態に配され、ポイズンタンク22もプール水Wの中に配される。そして、原子炉圧力容器1とポイズンタンク22との間が、給液系配管23を構成する均圧用配管23a及び給液用配管23bによって接続され、特に、給液用配管23bの下部開口位置は、炉心2の下部位置になるように設定される。この構造とすることによって、ポイズンタンク22が低温状態のプール水Wに収容されて、原子炉圧力容器1からの熱的な隔離と、一次冷却水とほう酸水Pとの隔離とを行なうとともに、落差及び比重差を利用したほう酸水Pの供給と、一次冷却水の循環流の下部位置にほう酸水Pを合流させる設定を行なうことにより、水圧作動弁18の作動時に、高濃度のほう酸水を図5の矢印で示すように、下方から炉心2に送り込んで、原子炉を速やかに自然停止状態に導くことができ、加えて、ほう酸水Pの容量を大容量として安全性を向上させることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図5例の構造であると、給液用配管23bからのほう酸水が、炉心2の下方に集中して供給されるため、充分に攪拌されることなく、濃度が不均一な状態のまま炉心2に供給される可能性がある。そして、大量のほう酸水を流下させた場合には、その傾向が強まるものと考えられる。
【0010】本発明は、上記課題を有効に解決するもので、高濃度のほう酸水を充分に攪拌した状態にして炉心に送り込み、原子炉停止を円滑に行なうことを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決する手段として、原子炉格納容器のプール水中に原子炉圧力容器が水漬状態に配されるとともに、原子炉格納容器の内方上部に高濃度のほう酸水を貯留するポイズンタンクが配される軽水冷却型原子炉とする場合に、原子炉圧力容器とポイズンタンクとの間に配されこれらを接続する給液用配管と、該給液用配管と炉心の下方位置との間に接続状態に配され複数のほう酸水噴出孔が明けられたリング状マニホールドとを具備する構成を採用している。
【0012】
【作用】ポイズンタンクから、給液用配管を経由して高濃度のほう酸水を流下させると、炉心の下方において、ほう酸水がリング状マニホールドによって周方向に誘導されるとともに、複数のほう酸水噴出孔から噴出することによって、一次冷却水との攪拌及び混合が行なわれて、濃度の均一化したほう酸水が炉心に供給され、炉心全域で核分裂反応が一様に抑制されて、原子炉が自然停止状態に導かれる。
【0013】
【実施例】以下、本発明に係る軽水冷却型原子炉の一実施例について、図1ないし図3に基づいて説明する。該一実施例においても、原子炉格納容器21のプール水Wの中に、原子炉圧力容器1が水漬状態に配される軽水冷却型原子炉に適用され、各図において、符号31は下部プレナム隔壁、32はサポートフレーム、33はサポートスタンド、34はリング状マニホールド、35は接続管、36はほう酸水噴出孔である。
【0014】前記下部プレナム隔壁31は、図2及び図3に示すように、炉心2の下方位置に同心状にかつ円筒状に形成される。そして、該下部プレナム隔壁31は、炉心2等を支持した状態に、原子炉圧力容器1の内底部に立設され、複数の貫通穴31aを明けること等により冷却水入口17が構成される。
【0015】前記サポートフレーム32は、図3に示すように、下部プレナム隔壁31によって水平に支持された状態に十字状等に配され、その上部に複数のサポートスタンド33が取り付けられる。
【0016】前記リング状マニホールド34は、図2及び図3に示すように、サポートスタンド33の上に、炉心2及び下部プレナム隔壁31に対して同心状に、二つの円環状の中空リング34A,34Bを取り付けた構造であり、給液用配管23bの下端部及び接続管35に接続される。
【0017】前記ほう酸水噴出孔36は、リング状マニホールド34における中空リング34A,34Bと接続管35に、上方及び斜め上方に向けて複数明けられる。
【0018】このような構造の軽水冷却型原子炉であると、通常の運転状態にあっては、一次冷却水が、図1及び図2に実線の矢印で示すように、炉心2、ライザ管15、一次冷却水ポンプ6、蒸気発生器3、下部プレナム隔壁31の冷却水入口17を経由して炉心2に戻る循環をする。この場合には、一次冷却水とほう酸水とが完全に隔離されて、ほう酸水濃度が変化することがなく、定常運転状態の保持がなされる。
【0019】一方、一次冷却水ポンプ6の停止や一次冷却水の液位の低下等によって、一次冷却水ポンプ6の吐出圧力が減少した場合には、水圧作動弁18が給液系配管23を開放することによって、ポイズンタンク22及び原子炉圧力容器1の上部空間の圧力差がなくなるとともに、ポイズンタンク22の内部のほう酸水の液位と原子炉圧力容器1の液位とのレベル差(水頭差)が付与されていることに基づいて、ポイズンタンク22のほう酸水が、給液用配管23bを経由して下部プレナム隔壁31の内部に流入し、リング状マニホールド34の中空リング34A,34B及び接続管35の各ほう酸水噴出孔36から、高濃度のほう酸水が、図3に破線の矢印で示すように、各方向に分散した状態で噴出することにより、一次冷却水への攪拌及び混合がなされる。これらの攪拌及び混合によって、濃度が高くかつ濃度むらの少ないほう酸水が、図1の破線の矢印で示すように炉心2に送り込まれると、炉心2の全域で核分裂反応が一様に抑制されて、自然停止状態に導かれることになる。
【0020】〔他の実施態様〕本発明にあっては、一実施例に代えて次の技術を採用することができる。
a)リング状マニホールド34における中空リング34A,34Bが、任意数配されること。
b)中空リング34A,34Bが、上下方向に複数段配されること、この際にほう酸水噴出孔36が横方向等に対しても向けられて明けられること。
c)中空リング34A,34Bの間の接続管35が任意数であること。
d)下部プレナム隔壁31に冷却水入口17を配するために明けられる複数の貫通穴31aが、上下方向に長手方向を合わせたスリット状等であること。
【0021】
【発明の効果】本発明に係る軽水冷却型原子炉によれば、以下の効果を奏する。原子炉圧力容器とポイズンタンクとの間を接続する給液用配管と、炉心の下方位置に配され複数のほう酸水噴出孔が明けられたリング状マニホールドとを具備することにより、高濃度のほう酸水が、リング状マニホールドによって周方向に誘導されるとともに、複数のほう酸水噴出孔から噴出させられ、分散したほう酸水と一次冷却水との攪拌及び混合が行なわれて、濃度の均一化したほう酸水が炉心に供給され、炉心全域で核分裂反応を一様に抑制して、原子炉を円滑に自然停止状態に導くことができる。




 

 


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