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発明の名称 軽水冷却型原子炉
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−174870
公開日 平成6年(1994)6月24日
出願番号 特願平4−330769
出願日 平成4年(1992)12月10日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外2名)
発明者 加藤 潔
要約 目的
軽水冷却型原子炉に係り、ほう酸水の流下性を高めて冷却材喪失時及び一次冷却水ポンプ停止時に、原子炉を速やかにかつ確実に停止状態に導いて安全性を確保するとともに、原子炉格納容器の内部スペースを確保して原子炉等のメンテナンス性を向上させる。

構成
原子炉格納容器の上蓋内壁に配されるポイズンタンクと、原子炉圧力容器とポイズンタンクとの間に接続状態に配される給液系配管と、給液系配管に配され原子炉圧力容器の内部圧力の低下時に管路を開放する給液制御手段とを具備する。
特許請求の範囲
【請求項1】 原子炉格納容器のプール水中に原子炉圧力容器が水漬状態に配される軽水冷却型原子炉であって、原子炉格納容器の上蓋内壁に配されるポイズンタンクと、原子炉圧力容器とポイズンタンクとの間に接続状態に配される給液系配管と、該給液系配管に介在状態に配され原子炉圧力容器の内部圧力の低下時に管路を開放する給液制御手段とを具備することを特徴とする軽水冷却型原子炉。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽水冷却型原子炉に係り、特に、原子炉格納容器内に原子炉圧力容器とともにポイズンタンクを収納する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は、特開平3−252593号公報(燃料集合体の交換装置)、特開平3−252594号公報(燃料集合体の交換装置)、特開平3−252595号公報(燃料集合体の交換装置)に記載されている軽水冷却型原子炉の例を示すものである。
【0003】図2において、符号1は原子炉圧力容器、2は炉心、3は蒸気発生器、6は一次冷却水ポンプ、15はライザ管、16ポイズンタンク、17は冷却水入口、18は水圧作動弁、19はポイズン流通器、20は炉心支持板、Pはほう酸水(炉内プール水)である。
【0004】このような構造を有する原子炉にあっては、一次冷却水及びほう酸水が、運転時、ポンプ停止時の相違によって、以下に記述するように異なった流通(循環)をする。
【0005】運転時にあっては、一次冷却水が、図2に実線の矢印で示すように、炉心2、ライザ管15、一次冷却水ポンプ6、蒸気発生器3、冷却水入口17を経由して炉心2に戻る循環流となるが、ほう酸水Pは、水圧作動弁18及びポイズン流通器19の部分で隔離されて、挿通する現象や混合し合う現象の発生が妨げられ、したがって、一次冷却水中のほう酸水濃度が変化することなく、定常運転状態が維持される。
【0006】そして、一次冷却水ポンプ6の停止時にあっては、蒸気発生器3への送り込みが行なわれなくなるとともに、一次冷却水ポンプ6の吐出圧力低下検出によって水圧作動弁18が管路を開放した状態となり、また、炉心2において引き続き加熱された一次冷却水の上昇が生じるために、図2に破線の矢印で示すように、上昇した一次冷却水がポイズンタンク16の内部に送り出されるとともに、ほう酸水Pがポイズン流通器19を経由して炉心2に流れ込み、炉心2のほう酸水濃度が高まることによって核分裂反応が抑制されて自然停止に導かれる。
【0007】このような図2例の原子炉にあっては、ポイズンタンク16の内外が高温状態の一次冷却水によって囲まれた状態となっており、原子炉の出力が変化すると、ほう酸水Pの液量が膨張収縮に基づいて変化し、このため、ポイズン流通器19の部分において一次冷却水とほう酸水Pとの境界が変動し易く、原子炉出力の制御性が損われ易くなる。
【0008】次いで、図3例は、軽水冷却型原子炉の他の構造例(計画例)を示すものである。該計画例にあっては、原子炉格納容器21のプール水Wの中に、原子炉圧力容器1が水漬状態に配され、ポイズンタンク22もプール水Wの中に配される。そして、原子炉圧力容器1とポイズンタンク22との間が、給液系配管23を構成する均圧用配管23a及び給液用配管23bによって接続される。この構造とすることによって、ポイズンタンク22が低温状態のプール水Wに収容されて、原子炉圧力容器1からの熱的な隔離と、一次冷却水とほう酸水Pとの隔離とを行なうとともに、落差及び比重差を利用したほう酸水Pの供給により原子炉を自然停止状態に導くことが可能となり、加えて、ほう酸水Pの容量を大容量とすることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図3例の原子炉にあっては、原子炉圧力容器1の回りにポイズンタンク22が配されて落差に制限が生じるために、ほう酸水Pの供給が緩やかなものとなり、一次冷却水が喪失した場合における炉心2の冠水状態の確保や、速やかな原子炉停止状態への誘導の点で限界がある。
【0010】本発明は、上記課題を有効に解決するもので、■ほう酸水の流下性を高めて、冷却材喪失時及び一次冷却水ポンプ停止時に、原子炉を速やかにかつ確実に停止状態に導いて安全性を確保すること、■原子炉格納容器の内部スペースを確保して原子炉等のメンテナンス性を向上させることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】原子炉格納容器のプール水中に原子炉圧力容器が水漬状態に配される軽水冷却型原子炉において、原子炉格納容器の上蓋内壁に配されるポイズンタンクと、原子炉圧力容器とポイズンタンクとの間に接続状態に配される給液系配管と、該給液系配管に介在状態に配され原子炉圧力容器の内部圧力の低下時に管路を開放する給液制御手段とを具備する構成を採用している。
【0012】
【作用】一次冷却水ポンプの停止時や原子炉冷却水の水位低下時に、給液制御手段が作動することにより、原子炉圧力容器内部とポイズンタンクの内部とが連通状態となり、両者の大きなヘッド差に基づいてポイズンタンク内のほう酸水が原子炉圧力容器内に流下し、ほう酸濃度の上昇によって原子炉が自然停止状態に導かれる。上蓋を外すことにより、ポイズンタンクの部分を原子炉格納容器の上部開口が開放状態となり、原子炉のメンテナンス性が向上する。
【0013】
【実施例】図1は、本発明に係る軽水冷却型原子炉の一実施例を示すものである。図1にあって、符号18は給液制御手段(例えば水圧作動弁)、24は上蓋、25はポイズンタンク、26は断熱材である。
【0014】前記上蓋24は、原子炉格納容器21の上部開口に着脱に取り付けられる。
【0015】前記ポイズンタンク25は、上蓋24の内壁に一体に配され、例えば原子炉圧力容器1と同程度の耐圧性を持つように設定されるとともに、高濃度のほう酸水Pを貯留する。
【0016】そして、原子炉圧力容器1の上部位置とポイズンタンク25の上部位置との間が、給液制御手段18を介在させた状態の均圧用配管23aによって接続され、原子炉圧力容器1の下部位置とポイズンタンク25の下部位置との間が給液用配管23bによって接続されている。なお、符号23cは導圧管で、原子炉圧力容器1と給液制御手段18との間に配されて均圧用配管23aの一部を構成する。
【0017】このような構造の軽水冷却型原子炉であると、原子炉の運転時に一次冷却水ポンプ6が作動させられていると、炉心2で加熱されて高温状態となった一次冷却水が、図1に実線の矢印で示すように、ライザ管15、一次冷却水ポンプ6、蒸気発生器3、冷却水入口17を経由して炉心2に戻る循環流となり、この際に、蒸気発生器3の部分における熱交換によって、蒸気の発生と一次冷却水の冷却とが行なわれる。
【0018】そして、一次冷却水ポンプ6の吐出圧力が導圧管23cを経由して給液制御手段18にそれぞれ伝送されることによって、給液制御手段18が均圧用配管23aの管路を遮断した状態を保持し続ける。
【0019】そして、原子炉の運転時にあっては、原子炉圧力容器1の下方位置とポイズンタンク25の下方位置とが接続されているために、一次冷却水の圧力上昇とともに、給液用配管23bの中のほう酸水Pが若干押し上げられた位置で平衡する。したがって、ポイズンタンク25のほう酸水Pが原子炉圧力容器1の内部に注入されることがなく、原子炉圧力容器1の内部に収納されている一次冷却水及びほう酸水量に基づいて運転がなされる。
【0020】原子炉の運転中に、停電や故障等の原因に基づいて一次冷却水ポンプ6が停止した場合には、以下に説明するように、原子炉が受動的に自然停止状態に導かれる。
【0021】一次冷却水ポンプ6が停止すると、ポンプ吐出圧力の低下または圧力消滅が、導圧管23cを経由して給液制御手段18に伝達され、給液制御手段18の作動によって均圧用配管23aによる管路が開放状態に導かれる。原子炉圧力容器1の下部位置とポイズンタンク25の下部位置との連通に加えて、原子炉圧力容器1の上部位置とポイズンタンク25の上部位置とが接続されることによって、原子炉圧力容器1の気相部分の蒸気がポイズンタンク25に送り込まれて、ポイズンタンク25に気相部分が形成されることによる均圧化が図られ、ポイズンタンク25と原子炉圧力容器1との水頭差に基づいて、ほう酸水Pが図1の破線の矢印で示すように、原子炉圧力容器1の内部に注入される。ほう酸水Pが炉心2に送り込まれると、炉心2の冷却と核反応抑制とによって原子炉が自然停止状態に導かれる。
【0022】原子炉運転中に、一次冷却系のなんらかの故障に起因して、炉水が低下する現象が発生した場合(冷却材喪失時)には、一次冷却水の水位レベルが一次冷却水ポンプ6のポンプ吸引口の下方位置まで低下すると、一次冷却水ポンプ6が気体分を吸い込むことに基づいて吐出圧力が低下し、一次冷却水ポンプ6が停止した場合と同様に、給液制御手段18が均圧用配管23aの管路を開放し、ポイズンタンク25のほう酸水Pが炉心2に送り込まれ、炉心2の冠水状態の保持と原子炉停止とが行なわれる。
【0023】一方、ポイズンタンク25の部分は、上蓋24の部分と一緒に原子炉格納容器21から外し得るものとなり、また、図3例と比較して、ポイズンタンク25やその支持構造物が、原子炉格納容器21の内部から撤去されることによって、原子炉圧力容器1の周囲から原子炉格納容器21の上部開口までの間が開放される。したがって、原子炉格納容器21の内部における各種メンテナンス性が向上するものとなる。
【0024】
【発明の効果】本発明に係る軽水冷却型原子炉によれば、以下の効果を奏する。
(1) 原子炉格納容器の上蓋内壁に配されるポイズンタンクと、原子炉圧力容器とポイズンタンクとの間に接続状態に配される給液系配管と、給液系配管に配され原子炉圧力容器の内部圧力の低下時に管路を開放する給液制御手段とを具備する構成の採用によって、従来技術と比較してほう酸水の供給時の流下性を高めて、冷却材喪失時及び一次冷却水ポンプ停止時に、原子炉を速やかにかつ確実に停止状態に導いて安全性を確保することができる。
(2) 原子炉圧力容器の回りからポイズンタンクをなくすことによって、原子炉圧力容器を水浸状態とする場合にあっても、原子炉格納容器の内部スペースを確保して原子炉等のメンテナンス性を向上させることができる。
(3) 原子炉圧力容器の上蓋にポイズンタンクを一体化状態に配することにより、ほう酸水給液のための水頭差の設定の自由度を向上させることができる。




 

 


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