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発明の名称 感放射線性樹脂組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−138654
公開日 平成6年(1994)5月20日
出願番号 特願平4−311266
出願日 平成4年(1992)10月27日
代理人
発明者 猪俣 克巳 / 大田 利幸 / 辻 昭
要約 目的
特に寸法忠実度およびフォーカス許容性に優れており、高集積度の集積回路製造用レジストとして有用な新規感放射線性組成物を提供する。

構成
感放射線性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、並びに下記式【化1】
特許請求の範囲
【請求項1】 アルカリ可溶性樹脂並びに下記一般式(1)
【化1】

〔一般式(1)において、X1 〜X10は同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基または−OD基(但し、Dは水素原子であるかもしくはキノンジアジド基を有する有機基である。)を示し、Y1 〜Y4 は同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基または−OZ基(但し、Zはアルキル基であるかもしくはアリール基を有する有機基である。)を示す。また、R1 〜R4は同一でも異なってもよく、水素原子またはアルキル基を示す。但し、X1 〜X5 の少なくとも1つおよびX6 〜X10の少なくとも1つは−OD基であり、Dのうち少なくとも1つはキノンジアジド基を有する有機基であるものとする。また、Y1 〜Y4 のうち少なくとも1つは−OZ基であるものとする。〕で表わされる化合物を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ可溶性樹脂を含有する高集積度の集積回路製造用レジストとして有用な感放射線性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポジ型レジストは、高解像度のレジストパターンが得られるため、集積回路の製造に広く使用されているが、近年における高集積化の進行に伴って、より解像度の高いレジストパターンを形成することができるポジ型レジストが望まれている。即ち、ポジ型レジストを用いて微細なレジストパターンを形成するためには、放射線照射により形成される潜像をアルカリ性水溶液からなる現像液で現像する際に、放射線照射された部分がウエハー等の基材と接している部分(パターンの裾部)まで速やかに現像されることが必要であるが、従来のポジ型レジストでは、形成すべきレジストパターンの線幅が0. 8μm以下に微細になると、現像性が十分とはいえなかった。また、集積度の高い集積回路を製造するためには、マスクの設計寸法と実際のレジストパターンの寸法との差が少さく、マスクの設計寸法を忠実に再現するレジスト、即ち寸法忠実度の高いレジストが必要であるが、一般にパターンの線幅が狭くなればなるほど、マスクの設計寸法と実際のレジストパターンの寸法との差が大きくなる傾向があり、従来のポジ型レジストでは、必ずしも満足できる寸法忠実度が達成できなかった。しかも、従来のポジ型レジストは、ステッパーによる放射線照射時のフォーカスがずれると、パターン形状の変形、現像性の低下、得られるレジストパターンと設計寸法との差等が著しくなり、フォーカス許容性の点でも十分とはいえなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の目的は、新規な感放射線性樹脂組成物を提供することにあり、さらに詳しくは、良好な現像性を有し、得られるレジストパターンの寸法忠実度に優れるとともに、特にフォーカス許容性が優れたポジ型レジストとして有用な感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によると、前記課題は、アルカリ可溶性樹脂並びに下記一般式(1)
【0005】
【化1】〔一般式(1)において、X1 〜X10は同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基または−OD基(但し、Dは水素原子であるかもしくはキノンジアジド基を有する有機基である。)を示し、Y1 〜Y4 は同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基または−OZ基(但し、Zはアルキル基であるかもしくはアリール基を有する有機基である。)を示す。また、R1 〜R4は同一でも異なってもよく、水素原子またはアルキル基を示す。但し、X1 〜X5 の少なくとも1つおよびX6 〜X10の少なくとも1つは−OD基であり、Dのうち少なくとも1つはキノンジアジド基を有する有機基であるものとする。また、Y1 〜Y4 のうち少なくとも1つは−OZ基であるものとする。〕で表わされる化合物を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物により達成される。
【0006】以下、本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の目的、構成および効果が明確となるであろう。本発明において使用されるアルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂、ポリ(ビニルフェノール)またはその誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(ビニルヒドロキシベンゾエート)、カルボキシル基含有アクリル酸系樹脂、カルボキシル基含有メタクリル酸系樹脂等を挙げることができる。好ましいアルカリ可溶性樹脂は、ノボラック樹脂である。特に好ましいノボラック樹脂は、下記式(2)
【0007】
【化2】

〔ここで、nは1〜3の整数である。〕で表わされるフェノール類とアルデヒド類とを重縮合することによって得られるものである。
【0008】前記フェノール類としては、例えばo−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等を挙げることができる。これらのうち、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノールおよび2,3,5−トリメチルフェノールが好ましい。これらのフェノール類は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。特に好ましい組み合わせは、重量比で、m−クレゾール/2, 3−キシレノール/p−クレゾール=95〜20/5〜60/0〜75、m−クレゾール/3,5−キシレノール/p−クレゾール=95〜30/5〜70/0〜65、m−クレゾール/2,3,5−トリメチルフェノール/p−クレゾール=95〜35/5〜60/0〜60、m−クレゾール/2,3−キシレノール/3,4−キシレノール=95〜35/5〜65/0〜60、m−クレゾール/2,5−キシレノール/3,5−キシレノール=95〜25/5〜70/0〜70、m−クレゾール/2,3−キシレノール/2,3,5−トリメチルフェノール=95〜35/5〜65/0〜60、m−クレゾール/2,5−キシレノール/2,3,5−トリメチルフェノール=95〜35/5〜65/0〜60、m−クレゾール/3,4−キシレノール/2,3,5−トリメチルフェノール=95〜35/5〜50/0〜60、m−クレゾール/3,5−キシレノール/2,3,5−トリメチルフェノール=95〜35/5〜65/0〜60、m−クレゾール/p−クレゾール=90〜30/10〜70等からなるものである。
【0009】また、前記フェノール類と重縮合させるアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール等が好ましく、これらのうち、特にホルムアルデヒドが好ましい。アルデヒド類としてホルムアルデヒドを使用する場合のホルムアルデヒド発生源としては、例えばホルマリン、トリオキサン、パラホルムアルデヒドのほか、メチルヘミホルマール、ブチルヘミホルマール等を挙げることができる。これらのうち、ホルマリンおよびブチルヘミホルマールが特に好ましい。前記アルデヒド類は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。アルデヒド類の使用量は、フェノール類1モルに対し、0.7〜3モルが好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.5モルである。
【0010】前記フェノール類とアルデヒド類との重縮合には、通常、酸性触媒が使用される。この酸性触媒としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸等を挙げることができる。これらの酸性触媒の使用量は、通常、フェノール類1モルに対し、1×10-5〜5×10-1モルである。フェノール類とアルデヒド類との重縮合に際しては、通常、水が反応媒質として使用されるが、用いられるフェノール類がアルデヒド類の水溶液に溶解せず、反応初期から不均一系となる場合は、親水性溶媒を反応媒質として使用することもできる。この親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、およびテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類が挙げられる。これらの反応媒質の使用量は、通常、反応原料100重量部当り、20〜1,000重量部である。フェノール類とアルデヒド類との重縮合温度は、反応原料の反応性に応じて適宜調整されるが、通常、10〜200℃である。フェノール類とアルデヒド類との重縮合方法としては、フェノール類、アルデヒド類、酸性触媒等を一括して仕込み反応させる方法、酸性触媒の存在下でフェノール類、アルデヒド類等を徐々に添加しながら反応させる方法等を採用することができる。重縮合の終了後、反応系内に存在する未反応原料、酸性触媒、反応媒質等を除去するために、一般的には、反応系を130〜230℃に昇温し、減圧下、例えば20〜50mmHg程度の圧力下で揮発分を除去して、生成したノボラック樹脂を回収する。
【0011】ノボラック樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、従来から感放射線性樹脂組成物に使用されているノボラック樹脂の分子量の範囲から適宜選定することができるが、2,000〜20,000であることが好ましく、さらに好ましくは3,000〜15,000である(以下、Mwが2,000〜20,000の範囲にあるノボラック樹脂を「樹脂(A)」という)。Mwが20,000を越えると、本発明の組成物を基材上に均一に塗布することが困難となる場合があり、また現像性および感度が低下する傾向がみられる。一方、Mwが2,000未満では、耐熱性が低下する傾向を示す。特に、高分子量のノボラック樹脂が望ましい場合は、前記重縮合によって得られたノボラック樹脂を、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3- メトキシプロピオン酸メチル、ジオキサン、メタノール、酢酸エチル等の良溶媒に溶解した後、水、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の貧溶媒を混合して、析出するノボラック樹脂を溶液層から分離することにより、分画された高分子量のノボラック樹脂を回収すればよい。さらに、本発明においては、低分子量のフェノール化合物をアルカリ可溶性樹脂と組み合わせて使用することもでき、それによりアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解性が改善される。この低分子量のフェノール化合物としては、特に限定されるものではないが、ベンゼン環数が2〜6程度のものが好ましい。その具体例としては、下記式で表される化合物を挙げることができる。
【0012】
【化3】

【0013】
【化4】

【0014】
【化5】

【0015】
【化6】

【0016】
【化7】

【0017】
【化8】

【0018】
【化9】

【0019】
【化10】

〔ここで、a、bおよびcはそれぞれ0〜3の整数であり(但し、いずれも0の場合は除く)、x、yおよびzはそれぞれ0〜3の整数である。〕これらの低分子量のフェノール化合物の配合量は、通常、アルカリ可溶性樹脂100重量部当り、50重量部以下である。
【0020】また本発明においては、低分子量のフェノール化合物として、低分子量のアルカリ可溶性ノボラック樹脂および/またはアルカリ可溶性レゾール樹脂(以下これらを「樹脂(B)」という。)を使用することができる。前記樹脂(B)は、フェノール類とアルデヒド類との重縮合によって得られるものであるが、該フェノール類としては、前記ノボラック樹脂について挙げたもののほか、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトール等の他のフェノール類も使用することができる。また該アルデヒド類としては、前記ノボラック樹脂について挙げたものを使用することができる。このアルデヒド類の使用量は、通常、フェノール類1モルに対して0.2〜0.8モルである。この重縮合反応には、前記ノボラック樹脂の製造に使用されるような酸性触媒のほか、塩基性触媒も使用することができる。樹脂(B)のMwは、通常、200〜2,000であり、好ましくは300〜1, 000である。樹脂(B)の配合量は、通常、樹脂(A)100重量部に対して、50重量部以下である。
【0021】次に、一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(a)」という。)において、X1 〜X10は同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基または−OD基(但し、Dは水素原子であるかもしくはキノンジアジド基を有する有機基である。)を示し、但し、X1 〜X5 のうち少なくとも1つおよびX6 〜X10の少なくとも1つは−OD基であり、Dのうち少なくとも1つはキノンジアジド基を有する有機基であるものとする。また、X1 〜X10のうち、アルキル基としては炭素数4以下のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。また、アルコキシ基としては炭素数4以下のものが好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、n- プロポキシ基、n−ブトキシ基等を挙げることができる。Y1 〜4 は同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基または−OZ基(但し、Zはアルキル基であるかもしくはアリール基を有する有機基である。)を示すが、少なくとも1つは−OZ基でなければならない。Y1 〜Y4 のうちアルキル基としては、前記X1 〜X10の場合と同様の基を好ましいものとして挙げることができ、−OZ基におけるZのうちアルキル基としては、前記X1〜X10の場合と同様の基を挙げることができる。また、アリール基としては、フェニル基、トルイル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基等を挙げることができる。さらに、R1 〜R4 は同一でも異なってもよく、水素原子またはアルキル基を示すが、アルキル基としては、前記X1 〜X10の場合と同様の基を挙げることができる。−OD基におけるDのうち、キノンジアジド基を有する有機基としては、例えば1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基、1,2−キノンジアジド−6−スルホニル基、2,1−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基、2,1−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基等を挙げることができる。そのうち、特に1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基および1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基が好ましい。
【0022】化合物(a)は、例えば化合物(a)においてDがすべて水素原子、即ち−OD基が水酸基である化合物(以下「化合物(b)」という。)と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド等の1, 2−キノンジアジドスルホニルハライドとを、塩基性触媒の存在下でエステル化反応させることにより得ることができる。化合物(b)の具体例としては、下記式(3)〜(14)で表される化合物を挙げることができる。
【0023】
【化11】

【0024】
【化12】

【0025】
【化13】

【0026】
【化14】

【0027】
【化15】

【0028】
【化16】

【0029】
【化17】

【0030】
【化18】

【0031】
【化19】

【0032】
【化20】

【0033】
【化21】

【0034】
【化22】

化合物(b)は、例えばフェノール類と下記式で表わされるジメチロール体【0035】
【化23】

[式中、Zはアルキル基であるかもしくはアリール基を有する有機基を示し、Y11〜Y15は同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基またはメチロール基を示す。但し、Y11〜Y15のうち、少なくとも2つはメチロール基であるものとする。]とを、酸性触媒の存在下で反応させることによって製造できることができる。ここにおけるフェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フロログルシノール、ピロガロール等が好ましい。また、前記式で表されるジメチロール体の具体例としては、下記式で表される化合物を挙げることができる。
【0036】
【化24】

【0037】
【化25】

【0038】
【化26】

【0039】
【化27】

【0040】化合物(b)と1,2−キノンジアジドスルホニルハライドとの反応割合は、化合物(b)のフェノール性水酸基1グラム当量当たり、1,2−キノンジアジドスルホニルハライドが0.2〜1モルであるのが好ましく、特に好ましくは0.4〜1モルである。本発明において、化合物(a)は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。その使用量は、通常、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、5〜50重量部であり、特に10〜30重量部が好ましい。このように化合物(a)を配合することにより、現像性に加えて、また寸法忠実度およびフォーカス許容性が改善される。
【0041】本発明の感放射線性樹脂組成物において、化合物(a)以外のキノンジアジド化合物(以下、「化合物(c)」という。)を配合することができる。化合物(c)としては、化合物(a)以外の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホン酸エステル、1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸エステル等を挙げることができ、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルおよび1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルが好ましい。化合物(c)の具体例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、3’−メトキシ−2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,5,5’−テトラメチル−2”,4,4’−トリヒドロキシトリフェニルメタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4’−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1−フェニルエタン、2,4,4−トリメチル−2’,4’,7−トリヒドロキシ−2−フェニルフラバン等のフェノール性水酸基含有化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等、並びに前記樹脂(B)の水酸基の水素原子を、例えば該水素原子1グラム当量当たり0.2〜1モル、好ましくは0.4〜1モルの割合で、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基または1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基で置換した1,2−キノンジアジドスルホン酸エステルを挙げることができる。
【0042】本発明の感放射線性樹脂組成物中における化合物(c)の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、さらに好ましくは50重量部以下である。以上のように、本発明の組成物には、化合物(a)および必要に応じて化合物(c)が含有されるが、組成物中におけるキノンジアジド基を有する成分、即ち化合物(a)および化合物(c)の合計含有量は、組成物の現像特性、レジストパターンの特性等を考慮して適宜選定されるが、組成物の固形分中のキノンジアジド基の合計含有量は、好ましくは5〜35重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。
【0043】さらに、本発明の組成物には、必要に応じ、増感剤、界面活性剤等の各種添加剤を配合することができる。増感剤は、レジストの放射線に対する感度を向上させるものであり、その例としては、2H−ピリド−(3,2−b)−1,4−オキサジン−3(4H)−オン類、10H−ピリド−(3,2−b)−(1,4)−ベンゾチアジン類、ウラゾール類、ヒダントイン類、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール類等を挙げることができる。これらの増感剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、好ましくは50重量部以下である。また界面活性剤は、塗布性、現像性等を改良する作用を有し、その例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、オルガノシロキサンポリマーであるKP341(商品名、信越化学工業社製)、アクリル酸系またはメタクリル酸系重合体であるポリフロー No.75、No.95(商品名、共栄社油脂化学工業社製)、およびメガファックスF171、F172、F173(商品名、大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(商品名、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC−101、SC−102、SC−103、SC−104、SC−105、SC−106(商品名、旭硝子社製)等のフッソ系界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤の配合量は、組成物の固形分100重量部に対して、好ましくは2重量部以下である。
【0044】さらに本発明の組成物には、染顔料や接着助剤を配合することもでき、前者の場合は、放射線照射部の潜像を可視化させて、放射線照射時のハレーションの影響を抑えることができ、後者の場合は、基材への接着性を改善することができる。また必要に応じて、保存安定剤、消泡剤等を配合することもできる。本発明の感放射線性樹脂組成物を使用してレジストパターンを形成する際には、アルカリ可溶性樹脂、化合物(a)並びに必要に応じて配合される化合物(c)、前記各種添加剤等を、例えば固形分濃度が20〜40重量%となるように溶剤に溶解し、例えば孔径0.2μm程度のフィルターで濾過することにより、溶液として調製される。
【0045】この溶液の調製に用いられる溶剤としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等を挙げることができる。さらに、これらの溶剤は、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶剤と併用することもできる。
【0046】溶液として調製された本発明の感放射線性樹脂組成物は、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により、例えばシリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基材上に塗布して感放射線性層を形成させ、所定のマスクパターンを介して放射線を照射(以下「露光」という。)し、現像液で現像することによって、パターンを形成する。本発明の感放射線性樹脂組成物をポジ型レジストとして使用する際には、基材上に塗布後、予備焼成および露光を行った後、70〜140℃で加熱処理する操作を行い、その後現像することによって、本発明の効果をさらに向上させることができる。本発明の感放射線性樹脂組成物に対する現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−(4,3,0)−5−ノナン等のアルカリ性化合物を、濃度が、例えば1〜10重量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。また、前記現像液には、水溶性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類や界面活性剤を適量添加することもできる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合は、一般的には、現像後、水で洗浄する。
【0047】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ここで、Mwの測定およびレジストの各種性能評価は、以下の方法により行った。
Mw:東ソー(株)製GPCカラム(G2000H6:2本、G3000H6:1本、G4000H6:1本)を用い、流量1.5ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ法により測定した。
寸法忠実度:(株)ニコン製NSR−1505i6A縮小投影露光機(レンズの開口数;0.50)を用いて、波長365nmのi線を露光時間を変化させて露光し、次いで2.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて25℃で60秒間現像した後、水で洗浄し、乾燥して、シリコン酸化膜を有するシリコンウェハー上にポジ型レジストパターンを形成させた。その際、ライン・アンド・スペースパターンのマスク寸法を0.02μm間隔で小さくしながら、0.5μmのライン・アンド・スペースパターンを1対1の幅に形成する露光時間で露光したときの、レジストのライン・アンド・スペースパターン寸法とマスクの設計寸法との差を走査型電子顕微鏡で測定し、パターン寸法とマスクの設計寸法の差を求めた。形成されたパターン寸法がマスクの設計寸法の±10%以内であるときのマスクの最小設計寸法を寸法忠実度とした。
フォーカス許容性:シリコン酸化膜を有するシリコンウエハー上に、寸法忠実度の場合と同様にレジストパターンを形成して、走査型電子顕微鏡を用いて測定し、線幅0.5μmのライン・アンド・スペースパターンについて、解像されるパターン寸法がマスクの設計寸法の±10%以内となる場合のフォーカスの振れ幅を、フォーカス許容性とした。
【0048】<樹脂(A)の合成>合成例1撹拌機、冷却管および温度計を備えたフラスコに、m−クレゾール69.2g(0.64モル)、2,3−キシレノール9.8g(0.08モル)、3,4−キシレノール9.8g(0.08モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液38.5g(ホルムアルデヒド:0.475モル)、およびシュウ酸2水和物0.19g(0.0015モル)を仕込み、次いでフラスコを油浴に浸し、反応液の温度を100℃に保持して、撹拌下で60分間重縮合を行った。その後、m−クレゾール17.3g(0.16モル)、2,3−キシレノール2.5g(0.02モル)、3,4−キシレノール2.5g(0.02モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液38.5g(ホルムアルデヒド:0.475モル)、およびシュウ酸2水和物1.69g(0.0135モル)を加えて、さらに150分間重縮合を行った。次いで、油浴温度を180℃まで上昇させ、同時にフラスコ内の圧力を30〜50mmHgまで減圧して、水、シュウ酸、未反応の原料等を除去した。次いで、溶融している樹脂を室温まで冷却し回収した。この樹脂を、3−メトキシプロピオン酸メチルに固形分が30重量%になるように溶解し、この樹脂溶液の重量に対して、半量のトルエンおよび0.4倍量のn−ヘキサンを加えて撹拌した後、放置した。放置により2層に分離した下層(樹脂溶液)を取り出し、濃縮、脱水、乾燥して樹脂(A)を回収した。この樹脂(A)を樹脂(A1)とする。
【0049】合成例2オートクレーブに、m−クレゾール69.2g(0.64モル)、2,3−キシレノール9.8g(0.08モル)、3,4−キシレノール9.8g(0.08モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液61.0g(ホルムアルデヒド:0.75モル)、シュウ酸2水和物6.3g(0.05モル)、水52.6g、およびジオキサン182gを仕込み、オートクレーブを油浴に浸し、反応液の温度を130℃に保持して撹拌しながら8時間縮合を行い、反応後、室温まで冷却し、内容物をビーカーに取り出した。ビーカー内で2層に分離した下層を取り出し、濃縮、脱水、乾燥して樹脂(A)を回収した。この樹脂(A)を樹脂(A2)とする。
【0050】合成例3オートクレーブに、m−クレゾール64.9g(0.6モル)2,3−キシレノール36.7g(0.3モル)、3,4−キシレノール12.2g(0.1モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液77.1g(ホルムアルデヒド:0.9モル)、シュウ酸2水和物6.3g(0.05モル)、水79.4g、およびジオキサン383.9gを仕込み、次いでオートクレーブを油浴中に浸し、反応液の温度を130℃に保持して、撹拌下で8時間重縮合を行った。反応後、室温まで冷却し、内容物をビーカーに取り出した。ビーカー内で2層に分離した下層を取り出し、濃縮、脱水、乾燥して、樹脂(A)を回収した。この樹脂(A)を樹脂(A3)とする。
【0051】<樹脂Bの合成>合成例4合成例1で用いたのと同様のフラスコに、m−クレゾール64.8g(0.60モル)、p−クレゾール43.2g(0.40モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液24.3g(ホルムアルデヒド:0.30モル)、およびシュウ酸2水和物0.30g(2.40×10-3モル)を仕込み、フラスコを油浴に浸し、反応液の温度を100℃に保持しながら40分間重縮合を行った。反応後、合成例1と同様にして水、シュウ酸、未反応原料等を除去し、冷却して樹脂(B)を回収した。この樹脂(B)を、樹脂(B1)とする。樹脂(B1)のMwは、800であった。
【0052】<化合物(a)の合成>合成例5遮光下で、撹拌機、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、前記式(11)で表わされる化合物23.5g(0.05モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド40.2g(0.15モル)、およびジオキサン250gを仕込み、撹拌しながら溶解させた。次いで、フラスコを温度30℃にコントロールされた水浴中に浸し、反応液の温度が30℃で一定になった時点で、溶液中にトリエチルアミン17.2g(0.17モル)を、反応液の温度が35℃を越えないように滴下ロートを用いてゆっくり滴下した。次いで、析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、濾液を大量の希塩酸中に注いで、生成物を析出させた。析出した生成物を濾過して回収し、40℃にコントロールされた加熱真空乾燥器で一昼夜乾燥してキノンジアジド化合物(a1)を得た。
合成例6前記式(14)で表される化合物23.5g(0.05モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド40.2g(0.15モル)、トリエチルアミン17.2g(0.17モル)、およびジオキサン250gを使用した以外は、合成例5と同様にしてキノンジアジド化合物(a2)を得た。
【0053】<化合物(c)の合成>合成例72,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン24.6g(0.10モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド67.2g(0. 25モル)、トリエチルアミン27.3g(0.27モル)、およびジオキサン350gを使用した他は、合成例5と同様にしてキノンジアジド化合物(c1)を得た。
合成例81,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン30.6g(0.1モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド53.8g(0.2モル)、トリエチルアミン22.2g(0.22モル)、およびジオキサン300gを使用した他は、合成例5と同様にしてキノンジアジド化合物(c2)を得た。
【0054】実施例1〜3および比較例1〜3表1に示す組成(但し、部は重量部である。)を混合して、均一溶液とした後、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過して、組成物溶液を調製した。得られた溶液を、シリコン酸化膜を有するシリコンウエハー上にスピンナーを用いて塗布した後、90℃のホットプレート上で2分間予備焼成して厚さ1.2μmのレジスト膜を形成し、レジストの各種性能評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0055】
【表1】

表1において、低分子量のフェノール化合物および溶剤の種類は、次の通りである。
α :1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンβ :1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンS1:2−ヒドロキシプロピオン酸エチルS2:3−メトキシプロピオン酸メチル【0056】
【表2】

表2から明かなように、本発明の組成物は、一般式(1)で表される化合物を含有することにより、ポジ型レジストとしての寸法忠実度およびフォーカス許容性が極めて優れている。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の感放射線性樹脂組成物は良好な現像性を有し、得られるレジストパターンの寸法忠実度に優れるとともに、特にフォーカス許容性が優れたポジ型レジストとして有用である。




 

 


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